説明

リグニン除去木材チップ、該リグニン除去木材チップの製造方法、及び該リグニン除去木材チップを用いた生ゴミ分解補助剤

【課題】 木材チップが有するハニカム構造の破壊を極力抑えつつ、木材チップからリグニンを好適に除去することができ、かつ、大量のリグニン除去木材チップの製造に好適なリグニン除去木材チップの製造方法、及び、かかるリグニン除去木材チップを用いた生ゴミ分解補助剤を提供する。
【解決手段】 本発明のリグニン除去木材チップの製造方法は、木材チップを、アルカリ溶液中に浸漬することによって、アルカリ液で処理して、アルカリ処理木材チップとする工程と、アルカリ処理木材チップを水中に浸漬して水洗して、水洗木材チップとする工程とを含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を粉砕して得られる木材チップからリグニンが除去されてなるリグニン除去木材チップ、かかるリグニン除去木材チップの製造方法、及び、かかるリグニン除去木材チップを用いた生ゴミ分解補助剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生ゴミの処理方法として、生物処理方法が注目されている。かかる生物処理方法の多くは、微生物を付着させた木材チップを生ゴミに混入した後、かかる木材チップと生ゴミとを適温下で撹拌することによって、生ゴミを微生物で生分解しようとするものである。
【0003】
しかしながら、一般的に、木材を粉砕して得られる木材チップは、木材に含まれるリグニンのために微生物が付着し難い。このため、木材チップに付着させた微生物はその活性を失いやすく、微生物の増殖が不十分となって、生ゴミの生分解が十分に進まないという問題を有していた。
【0004】
そこで、これまでに、かかる木材チップからリグニンを除去して、微生物が付着し易い木材チップを得る方法が開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−94407号公報(特許請求の範囲)
【0005】
しかしながら、かかる従来のリグニン除去方法は、木材チップに遠赤外線を照射して行うものであり、大量の木材チップに均一に遠赤外線を照射するのは困難であることから、大量のリグニン除去木材チップを得るには不向きであった。また、木材チップから大部分のリグニンが除去されると、かかる木材チップを生ゴミと撹拌した際に木材チップが損傷・細分化され易く、微生物の培養床として十分に作用できないという問題があった。また、木材チップ自体が微生物によって資化されるという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、木材チップが有するハニカム構造の破壊を極力抑えつつ、木材チップから適度にリグニンが除去されたリグニン除去木材チップを提供することにある。また、かかるリグニン除去木材チップを大量に製造するのに好適なリグニン除去木材チップの製造方法を提供することにある。また、かかるリグニン除去木材チップを用いた生ゴミ分解補助剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリグニン除去木材チップの要旨とするところは、木材チップが有するハニカム構造が保持されたまま、木材チップに含まれるリグニンが5〜70%除去されてなり、かつ、木の色素の除去率が5〜70%であることにある。
【0008】
かかる構成により、木材チップの表面積が大きくなる。その一方で、リグニン除去木材チップの機械的強度が一定以上に保たれる。
【0009】
なお、本明細書において、リグニンの除去率は、以下のようにして求めた。すなわち、先ず、木材を粉砕して得られる木材チップと、本発明にかかるリグニン除去木材チップとを同体積分取り、同量のアセトンにそれぞれ浸漬してアセトン抽出物を得る。次いで、得られたアセトン抽出物をそれぞれ希釈した後、それぞれの希釈液から液体クロマトグラフィーによってリグニンを単離し、その量(ピークの面積)を求める。最後に、リグニン除去木材チップ由来のリグニンのピーク面積を、木材チップ由来のリグニンのピーク面積で割って求めるのである。
【0010】
また、本明細書において、木の色素の除去率は、以下のようにして求めた。すなわち、リグニン除去木材チップの100μm四方の中に、縦横に10μm間隔で格子点を設け、その格子点上に、色素が存在する点と、存在しない点をそれぞれ数え、色素が存在しない点の割合を算出し、これを3箇所で行なって、その平均値を除去率とするのである。
【0011】
本発明の生ゴミ分解補助剤の要旨とするところは、前記リグニン除去木材チップに木酢液を含浸させた木酢液含浸チップと、酵素と、活性炭とを含んで構成される生ゴミ分解補助剤にある。
【0012】
本発明の生ゴミ分解補助剤が、木酢液を含んで構成されることにより、生ゴミ分解補助剤は、酸性状態で保持されることとなる。また、本発明の生ゴミ分解補助剤を生ゴミと混合・撹拌した際に、木酢液が生ゴミを改質して、生ゴミ中での微生物の増殖が促されることとなる。
【0013】
また、本発明の生ゴミ分解補助剤が、酵素を含んで構成されることにより、本発明の生ゴミ分解補助剤を生ゴミと混合・撹拌した際に、生ゴミが酵素によって分解されて、微生物の資化し易い態様となるため、生ゴミ中での微生物の増殖が促されることとなる。
【0014】
また、増殖した微生物は、リグニン除去木材チップに付着し易くなる。また、リグニン除去木材チップに一度付着した微生物は、リグニン除去木材チップから脱落し難く、その活性を失い難くなる。また、リグニン除去木材チップに付着した微生物が、リグニン除去木材チップ内で増殖し易くなる。
【0015】
また、本発明の生ゴミ分解補助剤が、活性炭を含んで構成されることにより、本発明の生ゴミ分解補助剤を生ゴミ等と混合して、生ゴミを生分解する初期の段階において、生ゴミ等から発せられる臭気は、活性炭に吸着されることとなる。
【0016】
また、本発明の生ゴミ分解補助剤の要旨とするところは、前記酵素が、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼの群から選択される1または複数の酵素であることにある。
【0017】
かかる構成により、本発明の生ゴミ分解補助剤は、生ゴミを、微生物の資化し易い態様により速やかに変えることができる。
【0018】
本発明の要旨とするところは、木材を粉砕して得られる木材チップを通水性の収容体内に収容する工程と、前記木材チップを収容する前記収容体を85〜95℃のセッケン−ソーダー灰混合水中に浸漬し、前記収容体内に前記セッケン−ソーダー灰混合水を流通させて、前記収容体内の前記木材チップをアルカリ処理木材チップとする工程と、前記アルカリ処理木材チップを収容する前記収容体を水中に浸漬し、前記収容体内に前記水を流通させて、前記収容体内の前記アルカリ処理木材チップを水洗木材チップとする工程とを含んで構成される、前記木材チップが有するハニカム構造が保持されたまま、前記木材チップに含まれるリグニンが5〜70%除去されてなり、かつ、木の色素の除去率が5〜70%であるリグニン除去木材チップの製造方法にある。
【0019】
本発明の要旨とするところは、木材を粉砕して得られる木材チップを通水性の収容体内に収容する工程と、前記木材チップを収容する前記収容体を85〜95℃のセッケン−ソーダー灰混合水中に浸漬し、前記収容体内に前記セッケン−ソーダー灰混合水を流通させて、前記収容体内の木材チップをアルカリ処理木材チップとする工程と、前記アルカリ処理木材チップを収容する前記収容体を85〜95℃の過酸化水素水中に浸漬し、前記収容体内に前記過酸化水素水を流通させて、前記収容体内の前記アルカリ処理木材チップを過酸化水素処理木材チップとする工程と、前記過酸化水素処理木材チップを収容する前記収容体を水中に浸漬し、前記収容体内に前記水を流通させて、前記収容体内の前記過酸化水素処理木材チップを水洗木材チップとする工程とを含んで構成される、前記木材チップが有するハニカム構造が保持されたまま、前記木材チップに含まれるリグニンが5〜70%除去されてなり、かつ、木の色素の除去率が5〜70%であるリグニン除去木材チップの製造方法にある。
【0020】
かかる構成により、木材を粉砕して得られる大量の木材チップから、木材チップが有するハニカム構造の破壊を極力抑えつつ、リグニンが適度に除去されることとなる。
【0021】
また、本発明のリグニン除去木材チップの製造装置の要旨とするところは、タンクと、正逆方向に切り替え作動可能な液送ポンプと、前記タンク内に立設され、上端が開放されたパイプと、前記パイプの上端に接続され、側壁に貫通孔が設けられた筒状の蓋部材と、前記タンクの底部を貫通してなり、前記パイプの下端と前記ポンプの一の液送口とを接続する一の流路と、前記タンクの内部と前記ポンプの他の液送口とを接続する他の流路と、.+
前記タンク内の前記パイプの周辺の空間を上下に仕切る、通水性の仕切りと、前記タンク内に蓄えられた液を加熱する加熱手段とを備え、前記仕切りによって仕切られた空間に、木材を粉砕して得られる木材チップが収容された通水性の収容体を収納して用いられることにある。
【0022】
かかる構成により、木材チップが有するハニカム構造の破壊を極力抑えつつ、木材チップからリグニンが好適に除去されることとなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のリグニン除去木材チップは、木材チップが有するハニカム構造が保持されたまま、木材チップから適度にリグニンが除去されているため、その表面積が大きくなっている。このため、本発明のリグニン除去木材チップを、生ゴミ分解補助剤として生ゴミと混合した場合に、生ゴミを分解する微生物をより多く付着させることができる。また、リグニン除去木材チップの機械的強度が一定以上に保たれて、生ゴミとともに撹拌しても、リグニン除去木材チップが損傷したり、細分化されることが防がれるため、微生物によってリグニン除去木材チップ自体が資化され難く、長期間に渡って微生物の培養床として働くことができる。
【0024】
また、本発明の生ゴミ分解補助剤は、酸性状態で保持されるため、生ゴミ分解補助剤を長期間保存しても、生ゴミ分解補助剤中に腐敗菌が増殖することを防ぐことができる。また、本発明の生ゴミ分解補助剤を生ゴミと混合・撹拌した際に、生ゴミ中での微生物の増殖が促されるため、生ゴミの生分解速度を速めることができる。
【0025】
また、本発明の生ゴミ分解補助剤は、酵素を含んで構成されるため、生ゴミを微生物の資化し易い態様として、生ゴミ中での微生物の増殖を促す。また、増殖した微生物は、リグニン除去木材チップに付着し易く、リグニン除去木材チップに一度付着した微生物は、リグニン除去木材チップから脱落し難く、その活性を失い難い。このため、本発明のリグニン除去木材チップは、生ゴミを分解する微生物の好適な培養床となって、生ゴミを分解する微生物の増殖を促すことができる。また、生ゴミの生分解速度を速めることができる。さらに、生ゴミの生分解能を高めることができる。
【0026】
また、本発明の生ゴミ分解補助剤は、活性炭を含んで構成されることにより、これを生ゴミと混合・撹拌した際、かかる生ゴミを分解し得る微生物が生ゴミ分解補助剤と生ゴミの混合物中に十分に増殖する前から、異臭が発生することを防ぐことができる。
【0027】
本発明のリグニン除去木材チップの製造方法は、木材を粉砕して得られる大量の木材チップからリグニンを適度に除去し得るため、生ゴミ分解補助剤に好適に用い得るリグニン除去木材チップを、一度の操作で大量に製造することができる。
【0028】
また、本発明のリグニン除去木材チップの製造方法は、木材チップのアルカリ溶液による処理や、過酸化水素水による処理を、収容体内で保持された木材チップの間にアルカリ溶液や過酸化水素水を循環させて行うため、木材チップ同士が相互に衝突して、木材チップが有するハニカム構造が崩れることを防ぐことができる。そして、ハニカム構造が維持されたリグニン除去木材チップは、微生物の培養床として好適に作用することができる。
【0029】
また、本発明のリグニン除去木材チップの製造装置を用いて、木材チップを処理することによって、木材の有するハニカム構造を保持したまま、木材に含まれるリグニンの除去を効果的に行うことが可能となるため、生ゴミ分解補助剤により適したリグニン除去木材チップを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明にかかるリグニン除去木材チップ、及びかかるリグニン除去木材チップの製造方法について、以下に詳しく説明する。
【0031】
本発明にかかるリグニン除去木材チップは、アルコール、ジオキサン、アセトン、クロロホルム、ピリジン等、リグニンを溶解し得る溶剤中に木材チップを浸漬し、木材チップからリグニンを除去したり、必要に応じて、かかるリグニン除去後の木材チップを、酸化漂白剤や還元漂白剤が溶解された溶液に浸漬して得ることができるが、特に、以下に述べるような、リグニン除去木材チップの製造方法によって得ることが好ましい。
【0032】
すなわち、本発明のリグニン除去木材チップの製造方法は、木材チップを、アルカリ溶液中に浸漬することによって、アルカリ液で処理して、アルカリ処理木材チップとする工程と、アルカリ処理木材チップを水中に浸漬して水洗して、水洗木材チップとする工程とを含んで構成される。
【0033】
本発明において用いられる木材チップは、ハニカム構造を十分に有していれば、いずれの木材から得られてもよく、具体的には、スギやヒノキやマツなど、一般に木材として使用される木材であってよいが、スギから構成されることが好ましい。かかる構成により、木材からヤニなどを除去する手間を省くことができ、製造コストを抑えることができる。また、近年、我が国において間伐されずに放置されているスギを有効に活用することができる。
【0034】
本発明において用いられる木材チップの外径は、木材チップからリグニンを効率よく除去できるものであれば、特に限定されるものではないが、1〜20mmであることが好ましく、5〜10mmであることがより好ましい。かかる構成により、木材チップからリグニンを除去し易くなるだけでなく、木材チップ、及びリグニン除去木材チップの取り扱いが容易になる。かかる外径が1mmより小さい場合には、リグニン除去木材チップ自体が微生物によって早期に分解されて消滅することとなるため、微生物の培養床としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また、かかる外径が20mmより大きい場合には、木材チップからリグニンを除去することが困難となるだけでなく、リグニン除去木材チップを生ゴミと十分に混合・撹拌することができずに、生ゴミの分解速度を遅くする場合がある。
【0035】
本発明のアルカリ処理木材チップとする工程において用いられるアルカリ溶液は、特に限定されるものではなく、具体的には、苛性ソーダー溶液や、亜硫酸ソーダーと重炭酸ソーダーの混合液、セッケン溶液、ソーダー灰溶液等を挙げることができるが、セッケンとソーダー灰との混合水であることが好ましく、アルカリセッケンとソーダー灰との混合水であることがより好ましい。
【0036】
本発明のアルカリ処理木材チップとする工程は、木材チップが繊維状になることを防ぎつつ、木材チップからリグニンを適度に除去できるものであれば、いずれの態様で行われてもよいが、85〜95℃、濃度0.05〜5%のアルカリセッケンーソーダー灰混合水中に、木材チップを1〜5時間浸漬して行うことが好ましく、90〜95℃、濃度0.1〜1%のアルカリセッケンーソーダー灰混合水中に、木材チップを1〜3時間浸漬して行うことがより好ましい。かかる構成により、木材チップが繊維状になることを防いで、木材チップが有するハニカム構造を維持しつつ、木材チップからリグニンを適度に除去することができる。
【0037】
アルカリセッケンーソーダー灰混合水の濃度が0.05%未満では、木材チップを十分に処理することができない。また、かかる濃度を5%より高くした場合には、木材チップが繊維状になるおそれがある。なお、アルカリセッケンとソーダー灰の混合比は、1:1〜1:2(重量比)であることが好ましい。アルカリセッケンーソーダー灰混合水の温度が85℃より低い場合には、木材チップのアルカリ処理に多くの時間がかかるため、製造コストが上がることとなる。また、かかる温度を95℃より高くしても、95℃以下で行った場合に比べて、左程の効果を得ることができない。
【0038】
本発明の水洗木材チップとする工程は、具体的には、アルカリ処理木材チップを、室温下、水中に浸漬して行えばよい。
【0039】
上記製造方法によって、木の色素の除去率が5〜70%で、かつリグニンが5〜70%、好ましくは30〜70%、より好ましくは45〜65%除去されたリグニン除去木材チップとすることが好ましい。木の色素の除去率が5%未満では、リグニン除去木材チップが十分に殺菌されず、リグニン除去木材チップを放置すると腐敗するおそれがある。また、木の色素の除去率が70%より高い場合には、リグニン除去木材チップを構成するセルロースが部分的に切断されることとなって、リグニン除去木材チップの機械的強度が低下して、破損・細分化され易くなる。また、リグニンの除去率が5%未満では、得られたリグニン除去木材チップは、その表面積が十分でないため微生物が付着し難く、微生物の培養床として好適に作用し得えない。また、リグニンの除去率が70%より高いと、得られたリグニン除去木材チップは、リグニン除去木材チップの機械的強度が下がって損傷し易くなるため、長期に渡って培養床として作用し得えない。
【0040】
また、本発明のリグニン除去木材チップの製造方法は、木材チップを、アルカリ溶液中に浸漬することによって、アルカリ液で処理して、アルカリ処理木材チップとする工程と、アルカリ処理木材チップを、過酸化水素水中に浸漬することによって、過酸化水素で処理して、過酸化水素処理木材チップとする工程と、過酸化水素処理木材チップを、水中に浸漬して水洗して、水洗木材チップとする工程とを含んで構成されてもよい。
【0041】
本発明のリグニン除去木材チップの製造方法において、アルカリ処理木材チップを、過酸化水素水中に浸漬して、過酸化水素処理木材チップとすることによって、得られるリグニン除去木材チップを殺菌消毒することができる。
【0042】
本発明の過酸化水素処理木材チップとする工程は、アルカリ処理木材チップを殺菌消毒できれば、いずれの態様で行われてもよいが、85〜95℃下、濃度1〜10%の過酸化水素水中に、アルカリ処理木材チップを3〜7時間浸漬して行うことが好ましく、90〜95℃下、濃度1〜5%の過酸化水素水中に、アルカリ処理木材チップを3〜5時間浸漬して行うことがより好ましい。かかる構成により、アルカリ処理木材チップの殺菌消毒が、より効率的になされることとなる。
【0043】
過酸化水素水の濃度が1%未満では、アルカリ処理木材チップを十分に殺菌消毒することができない。また、かかる濃度を10%より高くしても、10%で行った場合に比べて、左程の効果を得ることができない。過酸化水素水の温度が85℃より低い場合には、アルカリ処理木材チップの過酸化水素処理に多くの時間がかかるため、製造コストが上がることとなる。また、かかる温度を95℃より高くしても、95℃以下で行った場合に比べて、左程の効果を得ることができない。
【0044】
なお、かかる過酸化水素水には、過酸化水素の安定剤として、濃度0.5〜5%のケイ酸ソーダが溶解されていることが好ましい。
【0045】
本発明の過酸化水素処理木材チップとする工程は、85〜95℃下、濃度1〜10%の過酸化水素水中に、アルカリ処理木材チップを3〜7時間浸漬して行った後に、過酸化水素水の加熱を停止して、アルカリ処理木材チップを過酸化水素水中にさらに5〜15時間浸漬して行う工程を含んで構成されてもよい。かかる構成により、アルカリ処理木材チップの過酸化水素による殺菌消毒を、より十分に行うことができる。
【0046】
本発明において、アルカリ溶液や過酸化水素水に木材チップを浸漬する方法は、特に限定されるものではなく、木材チップ自体をアルカリ溶液や過酸化水素水中に投入して行ってもよいが、本発明にかかるリグニン除去木材チップの製造方法が、木材チップを、かかる木材チップが通過しない程度のメッシュを有する袋から構成される収容体の中に封入する工程を含んでなり、かかる収容体自体を、アルカリ溶液や過酸化水素水に浸漬して行うことが好ましい。かかる構成により、アルカリ溶液や過酸化水素水中で、木材チップ同士が衝突して、木材チップのハニカム構造が破壊されることが防がれることとなるため、微生物が付着し得る表面積をより多く有するリグニン除去木材チップを得ることができる。
【0047】
本発明において、木材チップをアルカリ溶液で処理する工程、過酸化水素で処理する工程、又は水洗する工程は、アルカリ溶液や過酸化水素水や水中に、木材チップやアルカリ処理木材チップや過酸化水素処理木材チップが封入された収容体を浸漬し、固定した後、アルカリ溶液や過酸化水素水や水を撹拌して、木材チップやアルカリ処理木材チップや過酸化水素処理木材チップの間を、アルカリ溶液や過酸化水素水や水が循環するようにして行うことが好ましい。かかる態様により、木材チップからリグニンが効率よく除去されることとなるだけでなく、アルカリ処理工程、過酸化水素処理工程、又は水洗工程中に、木材チップやアルカリ処理木材チップや過酸化水素処理木材チップ同士が衝突して、木材チップが有するハニカム構造が破壊されることを極力抑えることができる。
【0048】
なお、上記リグニン除去木材チップの製造方法は、図1に示すような装置10を用いて、より好ましく行うことができる。すなわち、かかる装置10は、タンク12と、液送口14、16を介した液の送り出しが正逆方向に切り替え可能な液送ポンプ18と、タンク12内に立設されたパイプ20と、パイプ20の上端に接続される筒状の蓋部材22と、タンク12の底部を貫通してなり、パイプ20の下端と一の液送口14とを接続する流路24と、タンク12の内部とポンプ18の他の液送口16とを接続する他の流路26と、タンク12内にあって、パイプ20の周辺の空間を上下に仕切る、通水性の仕切り板28と、タンク12内の液に蒸気を送り込む蒸気供給管30と、開閉自在の蓋を含んで構成される。
【0049】
本発明の装置10において、パイプ20は、両端にフランジ34を有してなるパイプユニット32を連結して構成される。筒状の蓋部材22は、一端が閉じられ、側壁に多数の貫通孔36を有し、他端にフランジ35が設けられて構成され、フランジ35を介してパイプ20の上端に接続される。通水性の仕切り板28は、以下の態様においてタンク12内で保持される。すなわち、通水性の仕切り板28にあって、仕切り板28とパイプ20の側壁とが接合する接合部が、上下に隣接するパイプユニット32において、上段のパイプユニット32の下端のフランジ34と、下段のパイプユニット32の上端のフランジ34との間、又は、最上段のパイプユニット32と蓋部材22のフランジ35と間で挟持される。また、仕切り板28とタンク12の内壁とが接合する接合部は、タンク12の内壁に設けられた係止部38で係止される。
【0050】
本発明の装置10が備える液送ポンプ18は、タンク12内に蓄えられた液を、時に一の液送口14から吸入して他の液送口16から排出し、また、時に他の液送口16から吸入して一の液送口14から排出し得るため、不溶の被処理物がタンク12内で固定されて液中に浸漬されていても、タンク12内の液を対流させることができる。その結果、木材チップを収容した収容体44がタンク12内に収納された場合にあっても、液は収容体44内の木材チップの間を通過することとなる。このため、本発明のリグニン除去木材チップの製造方法をかかる装置10で行うことにより、木材チップに含まれるリグニンが除去されつつも、木材チップが有するハニカム構造の破壊が極力抑えられたリグニン除去木材チップを得ることが可能となる。
【0051】
本発明の装置10が備えるパイプ20に、筒状の蓋部材22を設けることにより、蒸気供給管30から送り出された蒸気によってパイプ20内で加熱された液は、ポンプ18の働きによって貫通孔36から満遍無くタンク12内に供給されることとなって、タンク12内の液の循環、及び加熱を効率よく行うことができる。
【0052】
本発明の装置10において、タンク12内の液を加熱する態様は、バルブ40で調整しながら蒸気供給管30を介して液中に蒸気を供給して行う方法がコストの面から好ましいが、液を加熱できれば特に限定されるものではない。したがって、本発明の装置10が備える加熱手段は、蒸気供給パイプ20を介して蒸気を供給してなされる態様に限定されるものではなく、電熱器等の従来公知の加熱装置から構成されてもよい。
【0053】
本発明の装置10を用いた木材チップのリグニン除去木材チップの製造方法は、リグニンが収容されたメッシュ状の袋から構成される収容体44を、仕切り板28同士で仕切られた空間内に収納して行うことが好ましい。かかる態様により、収容体44が仕切り板28間で固定されることとなるため、収容体44がタンク12内の液の対流によって液中を浮遊して、収容体44同士が衝突して、収容体44中の木材チップが有するハニカム構造が破壊されることを極力防ぐことができる。なお、かかる収容体44を、最下層の仕切り板28とタンク12の底部とで仕切られた空間内に収納すると、収容体44が他の流路26の開口部を防ぐ場合があるため、好ましくない。また、かかる収容体44を、最上層の仕切り板28上に載置した場合には、収容体44が液中を浮遊することとなって、木材チップのハニカム構造が崩壊されるおそれがある。
【0054】
本発明の装置10が備える仕切り板28は、タンク12内で液を循環させた際に、他の液送口16より排出された液によって仕切り板28が吹き上げられて、仕切り板28が破損することを防ぐために、上記態様でタンク12内に保持されることが好ましいが、パイプ20を、側壁に仕切り板28を固定する固定手段を有する一本の筒から構成し、かかる固定手段を用いて仕切り板28をタンク12内で保持してもよい。
【0055】
本発明の装置10において、最上層の仕切り板28の上に収容体44を載置しない場合には、タンク12内で液が他の液送口16から排出された際に、最上層の仕切り板28が吹き上げられる場合がある。このため、本発明の装置10において、最上層の仕切り板28は、蓋42を用いて、押圧部材(図示しない)を介して押圧されることが好ましい。
【0056】
以上、本発明のリグニン除去木材チップの製造方法の実施態様を詳述したが、本発明は上述の実施態様に限定されるものではなく、その他の態様でも実施しうるものである。
【0057】
本発明において、木材チップを収容する収容体は、木材チップが収容された後は木材チップが収容体外へ容易に通過することを防ぐことができ、その一方で、アルカリ溶液や過酸化水素水は収容体内を通過し易いものであれば、いずれの態様から構成されていてもよい。したがって、かかる収容体は、メッシュ状の袋から構成される態様に限定されるものではなく、格子状の外表面を備えて構成される、硬質の容器であってもよい。
【0058】
本発明の過酸化水素処理木材チップとする工程は、アルカリ処理木材チップとする工程の後、アルカリ溶液からアルカリ処理木材チップを取り出し、これを過酸化水素水中に浸漬して行う態様や、アルカリ処理木材チップとする工程の後、アルカリ溶液を排出し、次に過酸化水素水を注ぎ入れることによって、アルカリ処理木材チップを過酸化水素水中に浸漬して行う態様の他、アルカリ処理木材チップとする工程の後、このアルカリ溶液に、さらに所望の量の過酸化水素を添加・溶解させて行う態様であってもよい。かかる構成により、リグニン除去木材チップの製造に要する水量を減らすことができるため、リグニン除去木材チップの製造コストを低く抑えることが可能となる。
【0059】
本発明の過酸化水素処理木材チップとする工程において、85〜95℃下、濃度1〜10%の過酸化水素水中に、アルカリ処理木材チップが内包される収容体を3〜7時間浸漬して行った後に、過酸化水素水の加熱を停止して、アルカリ処理木材チップが内包される収容体を過酸化水素水中にさらに5〜15時間浸漬して行う工程は、過酸化水素水の加熱を停止後、1〜4時間は過酸化水素水を循環させて行うことが好ましい。かかる構成により、アルカリ処理木材チップの過酸化水素による処理を、より十分に行うことができる。
【0060】
本発明のリグニン除去木材チップの製造方法は、水洗木材チップとする工程の後、さらに、かかる水洗木材チップを脱水する工程を含んで構成されてもよい。かかる構成により、得られるリグニン除去木材チップの取り扱いが優れることとなる。
【0061】
次に、本発明にかかる生ゴミ分解補助剤について、以下に詳しく説明する。
【0062】
本発明の生ゴミ分解補助剤は、上記態様で製造されたリグニン除去木材チップに木酢液を含浸させた木酢液含浸チップと、酵素と、活性炭とを含んで構成される。
【0063】
本発明の生ゴミ分解補助剤は、リグニン除去木材チップが木酢液を含浸して構成されることにより、生ゴミ分解補助剤が酸性に保持されることとなるため、生ゴミ分解補助剤を長時間保存しても、リグニン除去木材チップ中に雑菌が増殖し難くなる。また、本発明の生ゴミ分解補助剤は、生ゴミと混合・撹拌した際に、木酢液が生ゴミを改質するため、生ゴミの生分解を促進することができる。
【0064】
本発明の木酢液は、リグニン除去木材チップに対して0.05〜5重量%配合されていることが好ましく、0.05〜1重量%配合されていることがより好ましい。かかる配合割合が0.05重量%未満では、生ゴミ分解補助剤に雑菌が増殖することを十分に抑制することができない。また、5重量%より高い場合には、かかる生ゴミ分解補助剤を生ゴミと混合した際に、生ゴミを分解する微生物が増殖することを抑制することとなって、却って生ゴミの生分解を妨げるおそれがある。
【0065】
本発明の生ゴミ分解補助剤が備える酵素は、たんぱく質分解酵素や脂肪分解酵素やデンプン分解酵素を含んで構成されることが好ましく、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼの群から選択される1又は複数の酵素群であることがより好ましく、リパーゼ:プロテアーゼ:アミラーゼ=1:1:1の酵素群から構成されることがさらに好ましい。かかる構成により、本発明の生ゴミ分解補助剤は、生ゴミと混合された際に、速やかに生ゴミを分解して、微生物が資化し易い態様に生ゴミを変えることが可能となる。その結果、本発明の生ゴミ分解補助剤は、生ゴミの生分解速度を上げることができる。
【0066】
本発明の酵素は、リグニン除去木材チップに対して0.05〜5重量%配合されていることが好ましく、0.05〜1重量%配合されていることがより好ましい。かかる配合割合が0.05重量%未満では、微生物が資化し易い態様まで生ゴミを分解するのに長時間を要することとなる。また、5重量%より高い場合には、本発明の生ゴミ分解補助剤の製造コストが上がることとなる。
【0067】
本発明の生ゴミ分解補助剤は、活性炭を含んで構成されることにより、生ゴミと混合した後、生ゴミ分解補助剤と生ゴミとの混合物中で、生ゴミを分解する微生物が十分に増殖する前から、生ゴミから発せられる臭気が活性炭に吸着されることとなる。このため、本発明の生ゴミ分解補助剤は、生ゴミを生分解する初期の段階においても、異臭が発生することを防ぐことができる。
【0068】
本発明の生ゴミ分解補助剤において用いられる活性炭は、生ゴミから発せられる異臭を吸着できるものであれば、いずれの態様であってよく、具体的には、木炭や竹炭を挙げることができるが、いずれも粉末状であることが好ましい。かかる構成により、本発明の生ゴミ分解補助剤は、生ゴミと混合・撹拌し易くなる。また、活性炭の表面積が大きくなるため、消臭効果に優れることとなる。
【0069】
本発明の活性炭は、リグニン除去木材チップに対して、0.005〜0.1重量%配合されていることが好ましく、0.01〜0.02重量%配合されていることが好ましい。かかる配合が、0.005重量%未満では、本発明の生ゴミ分解補助剤に十分な消臭効果を期待できない。また、0.1重量%より多い場合には、本発明の生ゴミ分解補助剤と生ゴミとを混合した際に、粉末状の活性炭が生ゴミ中の水分を吸収することとなって、生ゴミ分解補助剤中の酵素活性を阻害する場合がある。
【0070】
以上、本発明の生ゴミ分解補助剤の実施態様を詳述したが、本発明は上述の実施態様に限定されるものではなく、その他の態様でも実施しうるものである。
【0071】
本発明の生ゴミ分解補助剤は、そのpHを酸性に保つことができるものであれば、木酢液を含んで構成される態様に限られるものではなく、竹酢液や酢酸を含んで構成されてもよい。
【0072】
本発明の生ゴミ分解補助剤は、さらに、生ゴミを分解し得る微生物を含んで構成されてもよい。かかる構成により、生ゴミの分解をより速やかに開始させることができる。
【0073】
本発明のリグニン除去木材チップは、木材チップが有するハニカム構造を保持しながらも、木材チップに含まれるリグニンが適度に除去されて構成されるため、その表面に付着した微生物は脱落し難く、微生物の活性が失われることを防ぐことができる。また、生ゴミと混合・撹拌しても、リグニン除去木材チップが損傷、細分化することを防ぐことができる。したがって、本発明のリグニン除去木材チップは、微生物の培養床として好ましく作用することとなる。このため、本発明の生ゴミ分解補助剤は、生ゴミと混合、撹拌して用いることにより、生ゴミ分解補助剤と生ゴミとの混合物中に、生ゴミを分解する微生物がリグニン除去木材チップを介して大量に増殖することとなって、生ゴミを水と二酸化炭素にまで完全に分解することが可能となる。その結果、生ゴミを生分解した後に、分解物が蓄積することがない。
【0074】
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施しうるものである。
【0075】
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
【0076】
(リグニン除去木材チップの製造)
乾燥させたスギ材を粉砕して、外径3〜10mmのスギ材チップを得、かかるスギ材チップを、外表面がメッシュ状の、容積30lの樹脂製の袋に封入した。次に、かかる袋50個を、内部が通水性の仕切り板(スノコ)によって上下4層に仕切られた、容積1500lのタンク内の、真中の2層に収容した。次に、2kgのアルカリセッケン(共栄社化学株式会社製)と3kgのソーダー灰(セントラル化学株式会社製)を溶解して調製したセッケン−ソーダ灰混合水をタンク内に注ぎ入れて、かかるタンクをセッケン−ソーダ灰混合水で満たした。次に、90〜95℃下で2〜3時間、タンク内でセッケン−ソーダ灰混合水を撹拌しながら、スギ材チップをセッケン−ソーダ灰混合水で処理した。
【0077】
次に、かかるタンク内から、セッケン−ソーダ灰混合水を排出した後、タンク内に水を注ぎ入れ、かかるタンクを水で満たした。次に、室温下、タンク内で水を撹拌しながら、アルカリ処理スギ材チップを洗浄した。その後、タンク内から水を排出して、水洗スギ材チップを得た。
【0078】
次に、かかる水洗スギ材チップを脱水し、本発明にかかる、リグニン除去率60%、木の色素の除去率が20%のリグニン除去スギ材チップを得た。
(実施例2)
【0079】
実施例1において、スギ材チップをセッケン−ソーダ灰混合水で処理した後、かかるタンク内から、セッケン−ソーダ灰混合水を排出し、次いで、40kgの過酸化水素(三菱化学株式会社製)と、20kgのケイ酸ソーダ(東曹産業株式会社製)とを溶解して調製した過酸化水素水をタンク内に注ぎ入れて、かかるタンクを過酸化水素水で満たした。次に、90〜95℃下で3〜4時間、タンク内で過酸化水素水を撹拌しながら、セッケン処理スギ材チップを過酸化水素水で処理した。
【0080】
次に、かかるタンク内から、過酸化水素水を排出した後、タンク内に水を注ぎ入れ、かかるタンクを水で満たした。次に、室温下、タンク内で水を撹拌しながら、過酸化水素処理スギ材チップを洗浄した。その後、タンク内から水を排出して、水洗スギ材チップを得た。
【0081】
次に、かかる水洗スギ材チップを脱水し、本発明にかかる、リグニン除去率60%、木の色素の除去率が70%のリグニン除去スギ材チップを得た。
(実施例3)
【0082】
実施例2において、スギ材チップをセッケン−ソーダ灰混合水で処理した後、タンク内からセッケン−ソーダ灰混合水を排出することなく、かかるセッケン−ソーダ灰混合水に、40kgの過酸化水素と20kgのケイ酸ソーダとを添加・溶解させて、セッケン処理スギ材チップを過酸化水素で処理した以外は実施例2と同様にして、本発明にかかる、リグニン除去率60%、木の色素の除去率が30%のリグニン除去スギ材チップを得た。
(実施例4)
【0083】
(生ゴミ分解補助剤の製造)
実施例1で得られたリグニン除去スギ材チップと、リパーゼ:プロテアーゼ:アミラーゼ=1:1:1の総合酵素と、木酢液と、粉末状の木炭を、100:0.1:0.1:0.01(重量比)で混合して、本発明にかかる生ゴミ分解補助剤を得た。
(実施例5)
【0084】
実施例2で得られたリグニン除去スギ剤チップを用いた以外は、実施例4と同様にして、本発明にかかる生ゴミ分解補助剤を得た。
(実施例6)
【0085】
実施例3で得られたリグニン除去スギ剤チップを用いた以外は、実施例4と同様にして、本発明にかかる生ゴミ分解補助剤を得た。
(実施例7)
【0086】
生ゴミ処理機(BM−A140、株式会社 藤和産業)中に、実施例4で得られた生ゴミ分解補助剤30lと、生ゴミ(一尾の生アジ)200gとを投入した後、かかる生ゴミ処理機内で36℃下、20時間撹拌して、その生ゴミの生分解処理の様子を観察した。その結果を表1に示す。
【表1】

(実施例8)
【0087】
実施例5で得られた生ゴミ分解補助剤を用いた以外は、実施例7と同様にして、生ゴミを生分解処理し、その様子を観察した。その結果を表1に示す。
(実施例9)
【0088】
実施例6で得られた生ゴミ分解補助剤を用いた以外は、実施例7と同様にして、生ゴミを生分解処理し、その様子を観察した。その結果を表1に示す。
(比較例1)
【0089】
乾燥させたスギ材を粉砕して得られる、外径3〜10mmのスギ材チップと、リパーゼ:プロテアーゼ:アミラーゼ=1:1:1の総合酵素と、木酢液と、粉末状の木炭を、100:0.1:0.1:0.01(重量比)で混合して、生ゴミ分解補助剤を得た。
【0090】
生ゴミ処理機(BM−A140、株式会社 藤和産業)中に、比較例1で得られた生ゴミ分解補助剤30lと、生ゴミ(一尾の生アジ)200gとを投入し、かかる生ゴミ処理機内で36℃下、20時間撹拌して、その生ゴミの生分解処理の様子を観察した。その結果を表1に示す。
【0091】
実施例7乃至9から、本発明にかかるリグニン除去木材チップは、生ゴミの生分解速度、生分解能においては、左程の差はでないことが分かった。
【0092】
実施例7乃至9と、比較例1との比較から、本発明にかかる生ゴミ分解補助剤は、生ゴミの生分解をより効果的に促進し得るものであることが分かった。また、生ゴミをほぼ完全に消滅させることができるものであることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明のリグニン除去製造方法に用いられる、リグニン除去木材チップの製造装置の一態様を示す。
【符号の説明】
【0094】
10:装置
12:タンク
14:一の液送口
16:他の液送口
18:液送ポンプ
20:パイプ
22:蓋部材
24:流路
26:他の流路
28:仕切り板
30:蒸気供給管
32:パイプユニット
34、35:フランジ
36:貫通孔
38:係止部
40:バルブ
42:蓋
44:収容体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材チップが有するハニカム構造が保持されたまま、木材チップに含まれるリグニンが5〜70%除去されてなり、かつ、木の色素の除去率が5〜70%であるリグニン除去木材チップ。
【請求項2】
請求項1に記載のリグニン除去木材チップに木酢液を含浸させた木酢液含浸チップと、酵素と、活性炭とを含んで構成される生ゴミ分解補助剤。
【請求項3】
前記酵素が、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼの群から選択される1または複数の酵素である請求項2に記載の生ゴミ分解補助剤。
【請求項4】
木材を粉砕して得られる木材チップを通水性の収容体内に収容する工程と、
前記木材チップを収容する前記収容体を85〜95℃のセッケン−ソーダー灰混合水中に浸漬し、前記収容体内に前記セッケン−ソーダー灰混合水を流通させて、前記収容体内の前記木材チップをアルカリ処理木材チップとする工程と、
前記アルカリ処理木材チップを収容する前記収容体を水中に浸漬し、前記収容体内に前記水を流通させて、前記収容体内の前記アルカリ処理木材チップを水洗木材チップとする工程と
を含んで構成される、前記木材チップが有するハニカム構造が保持されたまま、前記木材チップに含まれるリグニンが5〜70%除去されてなり、かつ、木の色素の除去率が5〜70%であるリグニン除去木材チップの製造方法。
【請求項5】
木材を粉砕して得られる木材チップを通水性の収容体内に収容する工程と、
前記木材チップを収容する前記収容体を85〜95℃のセッケン−ソーダー灰混合水中に浸漬し、前記収容体内に前記セッケン−ソーダー灰混合水を流通させて、前記収容体内の木材チップをアルカリ処理木材チップとする工程と、
前記アルカリ処理木材チップを収容する前記収容体を85〜95℃の過酸化水素水中に浸漬し、前記収容体内に前記過酸化水素水を流通させて、前記収容体内の前記アルカリ処理木材チップを過酸化水素処理木材チップとする工程と、
前記過酸化水素処理木材チップを収容する前記収容体を水中に浸漬し、前記収容体内に前記水を流通させて、前記収容体内の前記過酸化水素処理木材チップを水洗木材チップとする工程と
を含んで構成される、前記木材チップが有するハニカム構造が保持されたまま、前記木材チップに含まれるリグニンが5〜70%除去されてなり、かつ、木の色素の除去率が5〜70%であるリグニン除去木材チップの製造方法。
【請求項6】
タンクと、
正逆方向に切り替え作動可能な液送ポンプと、
前記タンク内に立設され、上端が開放されたパイプと、
前記パイプの上端に接続され、側壁に貫通孔が設けられた筒状の蓋部材と、
前記タンクの底部を貫通してなり、前記パイプの下端と前記ポンプの一の液送口とを接続する一の流路と、
前記タンクの内部と前記ポンプの他の液送口とを接続する他の流路と、
前記タンク内の前記パイプの周辺の空間を上下に仕切る、通水性の仕切りと、
前記タンク内に蓄えられた液を加熱する加熱手段と
を備え、前記仕切りによって仕切られた空間に、木材を粉砕して得られる木材チップが収容された通水性の収容体を収納して用いられる、リグニン除去木材チップの製造装置。


【図1】
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【公開番号】特開2006−27262(P2006−27262A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52692(P2005−52692)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(504230752)甲坂産業有限会社 (3)
【Fターム(参考)】