説明

リニアモータ、駆動機構及び部品移載装置

【課題】組立作業性に優れたリニアモータ、該リニアモータを用いた駆動機構および部品移載装置を提供する。
【解決手段】レール2aの両端に配置されたリニアガイドストッパ2c1、2c2がレール2aからのスライダ2b1、2b2の抜け落ちを確実に防止する。また、スライダ2b1をリニアガイドストッパ2c1に係止させることでスライダ2b1の移動を規制した状態、つまり可動ベース4に対するスライダ2b1の相対位置を変位させることなく、スライダ2b1への可動ベース4の取付を行うことが可能となっており、当該取付作業を容易なものとすることができる。この点に関しては、(−Z)側スライダ2b2についても全く同様である。その結果、リニアモータLMの組立作業性は非常に優れたものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベースプレートに対して可動ベースを直線的に移動させるリニアモータ、該リニアモータを用いた駆動機構および部品移載装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リニアモータは、複数のコイルが磁極鉄心に列設された1次側要素と、強磁性材料より形成されたヨークに複数の永久磁石が列設された2次側要素とを有しており、永久磁石がコイルに対向しながら離間配置されている。そして、コイルに印加する駆動電流を制御することによって磁極鉄心の磁界を移動させることによって、1次側要素(または2次側要素)が2次側要素(または1次側要素)に対して相対移動する。このようなリニアモータでは、1次側要素と2次側要素の相対移動のために、リニアガイドが用いられている。例えば特許文献1に記載の装置では、固定ベースにガイドレールが設けられるとともに、該ガイドレールに沿ってガイドブロックが所定の移動方向に摺動自在に設けられている。そして、ガイドブロックに可動テーブルが取り付けられ、さらに当該可動テーブルに対して界磁マグネットが配置固定されている。このため、固定ベースに予め固定されたリニア電機子で発生させる磁束と、界磁マグネットで発生する磁束の相互作用により可動テーブルがガイドレールに沿って移動方向に駆動される。
【0003】
【特許文献1】特開2005−341632号公報(段落0009、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように構成されたリニアモータでは、移動方向の可動テーブルの両端部に凹部が形成される一方、これらに凹部に対応してストッパが固定ベースに配置固定されている。すなわち、可動テーブルが所定の移動範囲を超えて移動方向の一方側に移動してきた際に可動テーブルの一方側凹部を係止するようにストッパが固定ベースに設けられている。また、移動方向の他方側についても上記と同様に、ストッパが設けられている。これにより、可動テーブルのオーバーランを防止している。
【0005】
ところで、上記のように構成されたリニアモータでは、ガイドブロックに対して可動テーブルを取り付ける必要があるが、この取付に関して特段の配慮がなされておらず、ガイドブロックへの可動テーブルの連結が必ずしも容易と言えず、組立作業性に大きな問題があった。より具体的には、各ガイドブロックへの可動テーブルの取付時において、ガイドブロックはガイドレールに対して自由に移動することが可能となっているため、取付作業中にガイドブロックが移動して可動テーブルとの相対位置が変位することがあり、作業者は常にガイドブロックと可動テーブルとの相対位置関係を一定に保ちながら取付作業を行う必要があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、組立作業性に優れたリニアモータを提供することを第1の目的とする。
【0007】
また、この発明は上記リニアモータを用いた駆動機構および部品移載装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかるリニアモータの第1態様は、上記第1の目的を達成するため、ベースプレートと、ベースプレートに対して所定の移動方向に延設された直線状のレールと、レールに沿って移動方向にスライド自在に設けられたスライダと、スライダに取付可能な可動ベースと、可動ベースに対して移動方向に延設された可動子と、移動方向と直交する幅方向に可動子から離間して対向するようにベースプレートに対して移動方向に延設された固定子と、レールに沿って移動方向の一方側に移動してくるスライダを係止可能にベースプレートに設けられた第1ストッパとを備え、可動ベースは第1ストッパに係止された状態でスライダに取り付けられてレールに沿って移動方向に移動自在となっており、可動子および固定子で発生する磁束の相互作用により移動方向に駆動されることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、スライダがレールに沿って移動方向にスライド自在に設けられるとともに、当該スライダに対して可動ベースが取り付けられるが、その取付作業を容易なものとするために、第1ストッパが設けられている。すなわち、第1ストッパはレールに沿って移動方向の一方側に移動してくるスライダを係止可能にベースプレートに設けられている。このため、スライダを第1ストッパに係止させることでスライダの移動を規制した状態、つまり可動ベースに対するスライダの相対位置を変位させることなく、スライダへの可動ベースの取付を行うことが可能となっており、当該取付作業を容易なものとすることができる。
【0010】
ここで、レールに沿って移動方向の他方側に移動してくるスライダを係止可能な第2ストッパをベースプレートに設けてもよく、これによって移動方向の他方側においてレールからスライダが抜け落ちるのを防止することができる。
【0011】
また、レールに2つのスライダを設けたリニアモータに対しても本発明を適用することができる。つまり、この発明にかかるリニアモータの第2態様は、上記第1の目的を達成するため、ベースプレートと、ベースプレートに対して所定の移動方向に延設された直線状のレールと、レールに沿って移動方向にスライド自在に設けられた第1スライダと、移動方向における第1スライダの他方側で、レールに沿って移動方向にスライド自在に設けられた第2スライダと、第1スライダおよび第2スライダに取付可能な可動ベースと、可動ベースに対して移動方向に延設された可動子と、移動方向と直交する幅方向に可動子から離間して対向するようにベースプレートに対して移動方向に延設された固定子と、レールに沿って移動方向の一方側に移動してくる第1スライダを係止可能にベースプレートに設けられた第1ストッパと、移動方向における第1ストッパの他方側で、レールに沿って移動方向の他方側に移動してくる第2スライダを係止可能にベースプレートに設けられた第2ストッパとを備え、可動ベースは第1ストッパに係止された状態で第1スライダに取り付けられる一方、第2ストッパに係止された状態で第2スライダに取り付けられてレールに沿って移動方向に移動自在となっており、可動子および固定子で発生する磁束の相互作用により移動方向に駆動されることを特徴としている。
【0012】
このように構成された発明では、移動方向の一方側では、上記第1態様と同様に、第1ストッパはレールに沿って移動方向の一方側に移動してくる第1スライダを係止可能にベースプレートに設けられており、第1スライダを第1ストッパに係止させることで第1スライダの移動を規制した状態、つまり可動ベースに対する第1スライダの相対位置を変位させることなく、第1スライダへの可動ベースの取付を行うことが可能となっている。また、移動方向の他方側では、第2ストッパはレールに沿って移動方向の他方側に移動してくる第2スライダを係止可能にベースプレートに設けられており、第2スライダを第2ストッパに係止させることで第2スライダの移動を規制した状態、つまり可動ベースに対する第2スライダの相対位置を変位させることなく、第2スライダへの可動ベースの取付を行うことが可能となっている。このように第1スライダおよび第2スライダに対して可動ベースを容易に取り付けることが可能となっており、リニアモータの組立作業性を向上させることができる。
【0013】
また、上記のように構成された第1態様および第2態様にかかるリニアモータに対してレールに沿って移動方向の一方側に移動してくるスライダが第1ストッパに当接する前にスライダと一体的に移動方向の一方側に移動してくる可動ベースを係止可能な第3ストッパをベースプレートに設けてもよい。この第3ストッパは、可動ベースが第3ストッパに係合する位置を超えて移動方向の一方側に移動するのを規制する。これによって、移動方向の一方側で可動ベース(あるいは可動ベースに連結される被駆動物)がベースプレートやリニアモータ周囲の構成要素と干渉したり、衝突するのを防止することができる。
【0014】
また、移動方向の一方側に可動ベースの移動を規制する第3ストッパを設けるのみならず、移動方向の他方側にも可動ベースの移動を規制する第4ストッパを設けてもよい。つまり、移動方向における第3ストッパの他方側でレールに沿って移動方向の他方側に移動してくるスライダが第2ストッパに当接する前にスライダと一体的に移動方向の他方側に移動してくる可動ベースを係止可能な第4ストッパをベースプレートに設けてもよい。この第4ストッパは、可動ベースが第4ストッパに係合する位置を超えて移動方向の他方側に移動するのを規制する。これによって、移動方向の他方側で可動ベース(あるいは可動ベースに連結される被駆動物)がベースプレートやリニアモータ周囲の構成要素と干渉したり、衝突するのを防止することができる。
【0015】
また、この発明にかかる駆動機構は、ベース部材に支持された請求項2または3記載のリニアモータを用いてリニアモータの可動ベースに連結される被駆動物を移動方向に駆動する駆動機構であって、上記第2の目的を達成するため、リニアモータのベースプレートに対して、レールに沿って移動方向の一方側に移動してくるスライダが第1ストッパに当接する前にスライダと一体的に移動方向の一方側に移動してくる可動ベースを係止可能な第3ストッパが設けられる一方、ベース部材に対して、移動方向における第3ストッパの他方側でレールに沿って移動方向の他方側に移動してくるスライダが第2ストッパに当接する前にスライダと一体的に移動方向の他方側に移動してくる可動ベースを係止可能な第4ストッパが設けられていることを特徴としている。
【0016】
このように構成された駆動機構では、請求項2または3記載のリニアモータがベース部材に支持された状態で可動ベースに連結される被駆動物を移動方向に駆動する。そして、可動ベースが所定位置を超えて移動方向の一方側に移動するのをベースプレートに設けた第3ストッパが規制する一方、可動ベースが所定位置を超えて移動方向の他方側に移動するのをベース部材に設けた第4ストッパが規制するように構成されている。このように第3ストッパおよび第4ストッパを設けることによって、可動ベース(あるいは可動ベースに連結される被駆動物)がベースプレートやリニアモータ周囲の構成要素と干渉したり、衝突するのを防止することができる。
【0017】
さらに、この発明にかかる部品移載装置は、部品収容部から部品搭載領域に部品を移載する部品移載装置であって、上記第2の目的を達成するため、つぎのような構成を有している。部品移載装置の第1態様は、ベース部材と、ベース部材に対して上下方向に移動自在に支持され、先端部に吸着ノズルが取り付けられるとともに、後端部に接続された負圧配管を介して供給される負圧を吸着ノズルに与えるノズルシャフトと、ノズルシャフトを上下方向に駆動する上下駆動機構とを有する、ヘッドユニットと、部品収容部の上方位置と部品搭載領域の上方位置との間でヘッドユニットを移動させるヘッド駆動手段とを備え、上下駆動機構が請求項5記載のリニアモータであり、リニアモータは移動方向が上下方向と平行となるようにベース部材に取り付けられ、リニアモータの可動ベースがノズルシャフトに連結されていることを特徴としている。また、部品移載装置の第2態様は、ベース部材と、ベース部材に対して上下方向に移動自在に支持され、先端部に吸着ノズルが取り付けられるとともに、後端部に接続された負圧配管を介して供給される負圧を吸着ノズルに与えるノズルシャフトと、ノズルシャフトを上下方向に駆動する上下駆動機構とを有する、ヘッドユニットと、部品収容部の上方位置と部品搭載領域の上方位置との間でヘッドユニットを移動させるヘッド駆動手段とを備え、上下駆動機構は、移動方向が上下方向と平行となるようにベース部材に取り付けられるとともに、可動ベースにノズルシャフトが連結された請求項2または3記載のリニアモータであり、リニアモータのベースプレートに対して、レールに沿って移動方向の一方側に移動してくるスライダが第1ストッパに当接する前にスライダと一体的に移動方向の一方側に移動してくる可動ベースを係止可能な第3ストッパが設けられる一方、ベース部材に対して、移動方向における第3ストッパの他方側でレールに沿って移動方向の他方側に移動してくるスライダが第2ストッパに当接する前にスライダと一体的に移動方向の他方側に移動してくる可動ベースを係止可能な第4ストッパが設けられていることを特徴としている。
【0018】
このように構成された部品移載装置では、リニアモータの可動ベースにノズルシャフトが連結されており、リニアモータによりノズルシャフトが移動方向に駆動されるが、可動ベースが移動方向の一方側に予め設定した位置を超えて移動方向の一方側に移動するのを第3ストッパが規制する一方、可動ベースが移動方向の他方側に予め設定した位置を超えて移動方向の他方側に移動するのをベース部材に設けた第4ストッパが規制するように構成されている。したがって、可動ベースあるいはノズルシャフトがベースプレートやリニアモータ周囲の構成要素と干渉したり、衝突するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、ベースプレートに対して可動ベースを直線的に移動させるリニアモータ、当該リニアモータを用いた駆動機構および部品移載装置に関するものであり、以下においては、本発明にかかるリニアモータと、同リニアモータを用いた駆動機構および部品移載装置の一実施形態である表面実装機に分けて詳述する。
【0020】
<リニアモータ>
図1は本発明にかかるリニアモータの第1実施形態を示す斜視図である。また、図2は図1のリニアモータのA−A線断面図である。さらに、図3は図1のリニアモータの分解組立斜視図である。なお、これらの図面及び後で説明する図面では、各図の方向関係を明確にするために、XYZ直角座標軸が示されている。これら3つの方向X、Y、ZのうちZ方向が本発明の「移動方向」に相当し、Y方向が本発明の「幅方向」に相当し、X方向が「移動方向」および「幅方向」の両方向に直交する「厚み方向」に相当している。
【0021】
このリニアモータLMは所定の移動方向Zに伸びる薄型トレイー状のベースプレート1を有している。このベースプレート1では、図3に示すように、その内底面がベース面1aとなっており、ベースプレート1の(+Y)方向側端部、(−Y)方向側端部および(+Z)方向側端部に立壁1b〜1dが厚み方向(+X)にそれぞれ立設され、これらの立壁1b〜1dとベース面1aにより上方向(+X)に開口する凹部1eが形成されている。そして、当該凹部1eにリニアモータLMの構成部品が後述するように収容される。なお、この実施形態では、アルミニウム合金等によりベース面1aと立壁1b〜1dを一体的に成形して非磁性のベースプレート1を構成しているが、ベース面1aと立壁1b〜1dを個別に形成した上、これらの構成要素を組み付けてベースプレート1を構成してもよい。このようにベースプレート1を非磁性体材料で構成しているが、ベースプレート1を樹脂材料で構成してもよいことは言うまでもない。なお、図1および図2中の符号1hはリターンスプリングを取り付けるためのスプリング係合部である。
【0022】
このように、本実施形態では、(+X)方向がベース面1aの法線方向に相当しており、この法線方向(+X)に延びる立壁1b〜1dとベース面1aに囲まれた空間、つまり凹部1eの内部空間がリニアモータの各構成要素を収納する収納空間となっている。また、本実施形態では、移動方向Zのベースプレート1の両端部のうち(−Z)側端部には立壁は形成されておらず、(−Z)側端部が開放部1jとなって凹部1eの内部空間(収納空間)と当該空間の外部とを連通している。このように開放部1jを設けることによって、本実施形態では後述する可動ベースの(−Z)側端部およびブロック部材の一部が移動方向Zへの可動ベースの駆動に応じて凹部1eの内部空間に対して出入移動されるように構成している。
【0023】
このベース面1a上には、1本のリニアガイド2がZ方向に延設されている。すなわち、ベースプレート1に対して移動方向Zに延びる直線状のレール2aが固定されるとともに該レール2aに沿って2つのスライダ2b1、2b2が移動方向Zにスライド自在に(Y方向及びX方向に規制されて)取り付けられている。また、レール2aからのスライダ2b1、2b2の抜け落ちを防止するために、2つのリニアガイドストッパ2c1、2c2がベースプレート1のベース面1aに取り付け可能となっている。なお、リニアガイドストッパ2c1、2c2の構成および配置などについては後で詳述する。
【0024】
また、これらのスライダ2b1、2b2に対して逆凹状またはH字状の断面を有する可動ベース4が取り付けられ、Z方向に移動自在となっている。より詳しくは、可動ベース4はXY断面にて逆凹形状を有する内部空間4c(図3、図4)を有しており、この内部空間の天井面がスライダ2b1、2b2の上面上に位置した状態で、可動ベース4がスライダ2b1、2b2に固定されている。このように本実施形態では、可動ベース4およびスライダ2b1、2b2が一体的に移動方向Zに移動自在となっている。そして、次に説明するように可動ベース4の(−Y)側端部側面に可動子が取り付けられる一方、(+Y)側端部側面にリニアスケール7bが取り付けられている。
【0025】
また、可動ベース4の天井面には、図4および図5に示すように、スライダ2b1、2b2の取付位置4eから離間した位置に貫通孔4aが形成されて肉盗み部を構成している。このように可動ベース4に肉盗み部を設けることで可動ベース4が軽量化されている。また、この肉盗み部は放熱部としても機能しており、後述するように可動ベース4を駆動している際に発生する熱を放熱する。また、各貫通孔4aは内部空間と連通されており、上記のように肉盗み部(放熱部)から放熱されて暖められた肉盗み部周囲の空気を内部空間を介して可動ベース4の外部に廃棄可能となっている。
【0026】
図4は可動部材と可動子の取付構造を示す斜視図であり、また図5は可動部材と可動子の取付構造を示す図である。これらの図に示すように、可動ベース4の(−Y)側端部側面に強磁性材料より形成されたヨーク5が取り付けられ、さらに当該ヨーク5の表面には、N極側が該表面に対向する永久磁石6と、S極側が該表面に対向する永久磁石とが、交互にZ方向に沿って複数(この実施形態では14個)配列されて取り付けられており、これら永久磁石6とヨーク5によりリニアモータLMの可動子が構成されている。また、この実施形態では、永久磁石6は樹脂層10によりモールドされて表面保護されており、永久磁石6の破損などを効果的に防止することができる。さらに、可動ベース4の(−Y)側端部側面では、可動子(永久磁石6+ヨーク5)の(−Z)側に雌ネジ部4bが2箇所形成されている。これらの雌ネジ部4bは可動ベース4の(−Y)側端部に被駆動物を直接または連結部を介して取り付けるためのものである。例えば後で説明する表面実装機では、雌ネジ部4bを用いて可動ベース4に連結部を連結し、さらに当該連結部にノズルシャフトを被駆動物として接続している。つまり、雌ネジ部4bを用いて可動ベース4の端部に連結される、連結部を介して被駆動物を可動ベース4に取付可能となっている。なお、それについては後の「表面実装機」の項で詳述する。
【0027】
このように構成された可動子(永久磁石6+ヨーク5)の幅方向(−Y)側に電機子3が配置され、ベースプレート1のベース面1aに固定されている。この電機子3は、コア3aと、複数の中空形状のボビン3bと、各ボビン3bの外周部に電線を巻きつけてなるコイル3cとで構成されている。このコア3aはZ方向に延びる矩形プレート部から一定間隔で(+Y)方向に設けられた歯部を有する櫛型形状の珪素鋼板を複数枚X方向に積層したものである。このように構成されたコア3aでは、複数の歯部がZ方向に一定間隔で並設されて歯部列を形成している。そして、各歯部に対し、予めコイル3cが巻き付けられたボビン3bが装着されている。こうして、複数(この実施形態では9個)のコア3aの歯部とこの歯部の周りに巻かれたコイル3cがZ方向に同一間隔で設けられて電機子3を構成しており、可動子(永久磁石6+ヨーク5)に対向配置されている。なお、本実施形態では、図2(b)に示すようにコイル3cが巻かれたコア3aの歯部の先端面8と、その先端面8の対向面となる可動子の永久磁石6の対向面8’との共通の法線8aが移動方向Zおよび幅方向Yを含むYZ平面に対して平行となるように、電機子3は構成されている。そして、図示を省略するモータコントローラから各コイル3cに所定の順番で通電が行われると、上記のように先端面8の磁極と対向面8’の磁極の相互作用により可動子(永久磁石6+ヨーク5)にZ方向の推力が生じて可動ベース4をZ方向に駆動する。
【0028】
また、本実施形態では、可動子に永久磁石を用い、固定子に磁性体で構成されるコア3aを用いているため、コア3aの歯部と可動子の永久磁石との間にコギング力が発生する。「コギング力の発生」とは、従来周知のようにコア3aの歯部位置により永久磁石6の磁束密度が変化し、これによって磁気エネルギーが変化するため、電機子3に作用する電磁気力の脈動が生じる現象である。そこで、コギング力を低減するために、電機子3の歯部列の両端に磁性体からなるサブティース9a、9bが設けられている。すなわち、歯部列の(+Z)側において歯列ピッチと一致あるいは異なる所望の位置にサブティース9aが、また(−Z)側において同歯列ピッチと一致あるいは異なる所望の位置にサブティース9bが、永久磁石6からの離間距離がそれぞれ所望の距離となるように、それぞれベースプレート1のベース面1aに対して着脱自在に設けられている。
【0029】
ところで、上記のように構成したリニアモータLMでは、コア3aに繋がるプレート部位がサブティース9a、9bの近傍まで延ており、電機子のコアとサブティースとが磁気的結合を生じ、磁束密度分布の偏在を生じてしまう。このため、サブティース9a、9bを所定の位置に配置しただけでは、安定したコギング力低減機能を発揮できない場合がある。特に、加速・減速時等において、あるいは作動条件(加速後の一定移動速度)そのものが変化する場合においては、コイル3cに流れる電流量が想定値より変化し、サブティース9a、9bにおける永久磁石との対向面の磁極あるいはその強さが所望のものとはならず、サブティース9a、9bによるコギング力低減の効果が必ずしも得られない場合がある。そこで、本実施形態では、サブティース9a、9bによるコギング力の低減効果を補うために、サブティース9a、9bとベースプレート1の間に磁性体プレート11が設けられている。より詳しくは、次のように構成されている。
【0030】
図6はサブティースと磁性体プレートの配置関係を示す平面図である。同図においては、サブティース9a、9bに対する磁性体プレート11の相対位置と、磁性体プレート11の平面形状を明確にするため、磁性体プレート11にハッチングを付している。ベースプレート1のベース面1aには、磁性体プレート11の平面形状とほぼ同一形状のプレート嵌合部1gが(−X)方向に形成されている(図2(a)参照)。そして、当該プレート嵌合部1gに磁性体プレート11が嵌合されて磁性体プレート11の表面がベース面1aと面一状態となっている。この磁性体プレート11の配設によって、Y−Z面上においてコア3a,サブティース9a、永久磁石6、ヨーク5、隣の永久磁石6、そして隣の歯部を通ってコア3aに到る磁束だけでなく、サブティース9a、永久磁石6、ヨーク5、磁性体プレート11を通じてサブティース9aに到るX−Y面上の磁束が発生し、コギング力の効果的な低減を図っている。
【0031】
上記のように可動子(永久磁石6+ヨーク5)と電機子3で発生する磁束の相互作用により可動ベース4が移動方向Zに駆動されるが、可動ベース4が所定の移動範囲を超えてしまうのを防止するために、ベースプレート1のベース面1aに2つの移動規制ストッパ12a、12bが取付可能となっている。なお、移動規制ストッパ12a、12bの構成および配置などについては後で詳述する。
【0032】
また、可動ベース4の位置を正確に検出するため、可動ベース4の反電機子側、つまり(+Y)側にセンサ7aとリニアスケール7bを有する検出ユニット7が設けられている。このリニアスケール7bは可動ベース4の(+Y)側端部側面に対してZ方向に延設されている。また、リニアスケール7bの(−Y)側でセンサ7aがベースプレート1に固定配置されている。このため、可動ベース4のZ方向移動に応じてリニアスケール7bのうちセンサ7aと対向する領域が変位し、その変位に基づき移動方向Zにおける可動ベース4の位置を正確に検出することが可能となっている。
【0033】
このセンサ7aはセンサ制御ユニット7cと一体的に構成されており、この構造体(センサ7a+センサ制御ユニット7c)は図3に示すように立壁1bに形成された切欠部1fを介して凹部1eに対して挿脱自在となっている。すなわち、構造体は切欠部1fを介してベースプレート1内に挿入され、図2に示すように幅方向Yにおいてセンサ7aがリニアスケール7bに対向して配置されるとともにセンサ制御ユニット7cがセンサ7aの反リニアスケール側、つまり(+Y)側に配置された状態で、ベースプレート1に固定される。特に、この実施形態では、図2(c)に示すように、リニアスケール7bの表面7eと、当該表面7eと対向するセンサ7aのセンシング面7e’との共通の法線7fが移動方向Zおよび幅方向Yを含むYZ平面に対して平行となるように、センサ7aおよびリニアスケール7bの取付位置が設定されている。なお、センサ制御ユニット7cに埃やゴミなどの異物が進入を防止するため、上記構造体を取り付けた後にセンサカバー7dがセンサ制御ユニット7cを覆うようにベースプレート1の立壁1bに取り付けられている。
【0034】
なお、この実施形態では、可動ベース4にリニアスケール7bを取り付ける一方、ベースプレート1にセンサ7aを配置しているが、センサ7aとリニアスケール7bを逆転配置してもよい。また、検出ユニット7の構成要素(センサ7a、リニアスケール7b)の一方を可動ベース4に取り付ける代わりに、スライダ2b1、2b2に取り付けるように構成してもよい。また、検出ユニット7の検出方式としては、磁気を用いた磁気方式であっても、光学方式であってもよい。
【0035】
次に、リニアガイドストッパ2c1、2c2および移動規制ストッパ12a、12bの構成および配置などについて、図7および図8を参照しつつ説明する。ここでは、図7に基づきベースプレート1への可動ベース4の取付手順を説明することでリニアガイドストッパ2c1、2c2の構成、配置および機能を明らかにした上で、さらに図7および図8に基づき移動規制ストッパ12a、12bの構成、配置および機能を明らかにする。
【0036】
図7は図1に示すリニアモータでの可動ベースの取付手順を示す図である。また、図8は図1に示すリニアモータでの移動方向への可動ベースの移動規制を示す図である。この第1実施形態では、図7(a)に示すように、ベースプレート1の(+X)側表面にレール2aが敷設されるとともに、当該レール2aに対して2つのスライダ2b1、2b2がX方向およびY方向への動作を規制されながら移動方向Zに摺動自在に設けられている。また、移動方向Zのレール2aの両端にリニアガイドストッパ2c1、2c2がそれぞれベースプレート1の(+X)側表面に配置固定されている。なお、リニアガイド2(レール2a+スライダ2b1、2b2)とリニアガイドストッパ2c1、2c2の取付順序については任意であり、例えばリニアガイド2を取り付けた後にリニアガイドストッパ2c1、2c2を取り付けることができる。また、リニアガイドストッパ2c1、2c2の固定位置はレール2aの両端に限定されるものではなく、スライダ2b1、2b2がレール2aから抜け落ちない範囲で任意に設定することができる。
【0037】
このような位置に配置されたリニアガイドストッパ2c1、2c2のうち(+Z)側のリニアガイドストッパ2c1に対してスライダ2b1を当接させて係止した状態で当該スライダ2b1に対して可動ベース4の(+Z)側取付位置を位置決めする。そして、ねじなどの締結部材20aにより可動ベース4をスライダ2b1に固定する。
【0038】
この実施形態では、同図(a)に示すように、スライダ2b1への可動ベース4の取付時に、もう一方のスライダ2b2を(−Z)側リニアガイドストッパ2c2に当接させて係止しているが、当該取付作業が終了した後にスライダ2b2を(−Z)方向に移動させて(−Z)側リニアガイドストッパ2c2に当接させてもよい。要は、可動ベース4をスライダ2b2に取り付ける際にリニアガイドストッパ2c2に対してスライダ2b2が当接して係止されておればよく、この係止状態を維持しながら可動ベース4をスライダ2b1とともに(−Z)方向に移動させて当該スライダ2b2に対して可動ベース4の(−Z)側取付位置を位置決めする(同図(b))。そして、ねじなどの締結部材20bにより可動ベース4をスライダ2b2に固定する。
【0039】
以上のように、レール2aの両端にリニアガイドストッパ2c1、2c2をそれぞれ配置しているため、レール2aからのスライダ2b1、2b2の抜け落ちを確実に防止することができるのみならず、これらのスライダ2b1、2b2への可動ベース4の取付作業が容易となる。すなわち、上記実施形態では、スライダ2b1、2b2がそれぞれ本発明の「第1スライダ」、「第2スライダ」に相当し、リニアガイドストッパ2c1、2c2がそれぞれ本発明の「第1ストッパ」、「第2ストッパ」に相当している。そして、スライダ2b1をリニアガイドストッパ2c1に係止させることでスライダ2b1の移動を規制した状態、つまり可動ベース4に対するスライダ2b1の相対位置を変位させることなく、スライダ2b1への可動ベース4の取付を行うことが可能となっており、当該取付作業を容易なものとすることができる。この点に関しては、(−Z)側スライダ2b2についても全く同様である。その結果、リニアモータLMの組立作業性は非常に優れたものとなっている。なお、この実施形態では、(+Z)側スライダ2b1への可動ベース4の取付作業を行った後に(−Z)側スライダ2b2への可動ベース4の取付作業を行っているが、この取付順序を逆にしてもよいことは言うまでもなく、上記と同様の作用効果が得られる。
【0040】
一方、移動規制ストッパ12a、12bについては次のようにして取り付けられる。すなわち、(−Z)側スライダ2b2への可動ベース4の取付のためにベースプレート1の(+Z)側端部から可動ベース4が移動した後、同図(b)に示すように、可動ベース4の(−Z)方向移動後に移動規制ストッパ12aを
ベースプレート1の(+Z)側端部に固定する。また、スライダ2b1、2b2への可動ベース4の取付が完了すると、同図(c)に示すように、可動ベース4をスライダ2b1、2b2とともに(+Z)方向に戻すことでベースプレート1の(−Z)側端部から可動ベース4を移動させた後に、当該(−Z)側端部に移動規制ストッパ12bを固定する。
【0041】
以上のように、本実施形態では、移動規制ストッパ12aは本発明の「第3ストッパ」に相当しており、レール2aに沿って移動方向の一方側、つまり(+Z)方向に移動してくるスライダ2b1がリニアガイドストッパ(第1ストッパ)2c1に当接する前にスライダ2b1と一体的に移動方向(+Z)に移動してくる可動ベース4を係止可能となっている。このため、図8(a)に示すように、可動ベース4が+Z側移動規制ストッパ12aに係合する位置を超えて移動方向(+Z)に移動するのを規制し、移動方向の一方側、つまり(+Z)方向側で可動ベース4がベースプレート1と衝突するのを防止することができる。
【0042】
また、移動方向の他方側、つまり(−Z)方向側にも本発明の「第4ストッパ」に相当する移動規制ストッパ12bが設けられており、レール2aに沿って移動方向(−Z)に移動してくるスライダ2b2がリニアガイドストッパ(第2ストッパ)2c1に当接する前にスライダ2b1、2b2と一体的に移動方向(−Z)に移動してくる可動ベース4を係止可能となっている。このため、同図(b)に示すように、可動ベース4が−Z側移動規制ストッパ12bに係合する位置を超えて移動方向(−Z)に移動するのを規制し、移動方向の他方側、つまり(−Z)方向側で可動ベース4が他の構造物(図示せず)と衝突するのを防止することができる。
【0043】
なお、本発明にかかるリニアモータは上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記第1実施形態では、レール2aに2つのスライダ2b1、2b2を設けたリニアガイド2を用いているが、レールに対して単一のスライダを設けたリニアガイドを用いたリニアモータに対して本発明を適用してもよい。すなわち、レールに沿って+Z方向(あるいは−Z方向)に移動してくるスライダを係止可能なリニアガイドストッパを本発明の「第1ストッパ」としてベースプレート1に設けることができる。このように構成された第2実施形態では、スライダを当該リニアガイドストッパに係止させることでスライダの移動を規制した状態、つまり可動ベース4に対するスライダの相対位置を変位させることなく、スライダへの可動ベース4の取付を行うことが可能となっており、当該取付作業を容易なものとすることができる。また、レールに沿って−Z方向(または+Z方向)に移動してくるスライダを係止可能なリニアガイドストッパを本発明の「第2ストッパ」としてベースプレート1に設けてもよく、これによって−Z方向(または+Z方向)においてレール2aからスライダが抜け落ちるのを防止することができる。
【0044】
また、上記のように構成された第2実施形態にかかるリニアモータに対してレール2aに沿って移動方向の一方側、つまり(+Z)方向側に移動してくるスライダが(+Z)側リニアガイドストッパに当接する前に当該スライダと一体的に(+Z)方向に移動してくる可動ベース4を係止可能な移動規制ストッパを本発明の「第3ストッパ」としてベースプレート1に設けてもよい。このように構成することによって、当該移動規制ストッパに係合する位置を超えて移動方向(+Z)に移動するのを規制し、(+Z)方向側で可動ベース4がベースプレート1と衝突するのを防止することができる。さらに、(−Z)方向側にも可動ベース4の移動を規制する移動規制ストッパを本発明の「第4ストッパ」としてベースプレート1に設けてもよい。このように構成することによって、当該移動規制ストッパに係合する位置を超えて移動方向(−Z)に移動するのを規制し、(−Z)方向側で可動ベース4あるいは可動ベース4に連結される連結構造体(後述する連結部材、ノズルシャフトなど)がベースプレート1やリニアモータ周囲の構成要素と干渉したり、衝突するのを防止することができる。
【0045】
また、上記1実施形態および第2実施形態では、本発明の「第4ストッパ」に相当する移動規制ストッパをリニアモータ内に設けているが、リニアモータLMの外部、例えばリニアモータLMを支持するベース部材に設けても良い。なお、このような構成を有する駆動機構における移動規制ストッパの構成および動作については、後の「表面実装機」の項で詳述する。
【0046】
また、上記第1実施形態では1本のレール2aに沿って、第1実施形態では2つのスライダ2b1,2b2を、また第2実施形態では1つのスライダ(図示省略)を、それぞれ移動自在に設けているが、ベースプレート1に複数本のレールを移動方向Zに延設するとともに、各レールにスライダを設けたリニアモータに対して本発明を適当してもよい。
【0047】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では、可動ベース4の(−Y)側にのみ可動子および電機子(固定子)3を配置して可動ベース4を駆動しているが、可動ベース4の(+Y)側にも可動子および電機子(固定子)3を配置してもよい。このように構成することで可動ベース4を駆動するための推進力をさらに高めることができる。
【0048】
また、上記第1実施形態および第2実施形態では可動ベース4の幅方向Yの端部側面にヨーク5を取り付け、さらに当該ヨーク5に永久磁石6を取り付けているが、可動ベース4を強磁性材料で形成し、当該可動ベース4の幅方向Yの端部側面に直接永久磁石6をZ方向に延設し、磁気回路を形成してもよい。この場合、可動ベース4は「ヨーク」としても機能する。
【0049】
また、上記実施形態のいずれも、いわゆる単軸リニアモータであるが、図9に示すように2つの単軸リニアモータLM1、LM2を組み合わせて多軸リニアモータMLMを構成してもよい。
【0050】
図9は本発明にかかる多軸リニアモータの一実施形態を示す斜視図である。この実施形態では、同一構成の単軸リニアモータを2個準備し、その一方のリニアモータLM1の立壁1b〜1dの(+X)側端面がもう一方のリニアモータLM2のベースプレート1の裏面に当接してリニアモータLM1、LM2がX方向に積層配置されて多軸リニアモータMLMが形成されている。また、各リニアモータLM1、LM2のベースプレート1には、3個の貫通孔1p〜1rが形成されている。そして、リニアモータLM1、LM2の貫通孔1pを貫くようにボルト13pが挿通されるとともに、ボルト13pの先端部に対してナット14pが螺合される。また、他の貫通孔1q、1rについても、貫通孔1pと同様に、ボルト13q、13rが挿通されるとともにナットが螺合される。また、各単軸リニアモーターLM1、LM2に各々2個づつ取り付けられる位置決めピン20が貫通穴21(図3参照)の(−X)側端部に勘合して位置決めを果たす。このように3箇所でリニアモータLM1、LM2が相互に締結固定されて一体化されて2軸のリニアモータMLMが形成される。
【0051】
このように構成された2軸のリニアモータMLMでは、第1実施形態にかかる薄型のリニアモータLM1、LM2をX方向に積層配置したものであるため、2軸のX方向ピッチを狭く設定することができる。また、各リニアモータLM1、LM2では、可動子や電機子(固定子)などの全構成部品の厚み(X方向の長さ)はベースプレート1の立壁1b〜1dのそれ以下となっており、しかもリニアモータの主要構成(可動部、電機子3および可動子)はベース面1aと立壁1b〜1dで囲まれた凹部1eの内部空間(収納空間)に収納されている。このため、2軸の相対位置を高精度に保ちながらモータ組立を容易に行うことができる。
【0052】
また、上記したように構成された単軸リニアモータを複数個、ベース面1aの法線方向(+X)と平行な積層方向に積層配置することで多軸リニアモータMLMが構成されているので、2つの可動部を互いに干渉させることなく、それぞれ独立して移動方向に駆動可能となっている。また、この積層構造を採用した結果、積層方向(+X)の上流側に位置する上流側単軸リニアモータLM1の凹部1eの内部空間(収納空間)が上流側単軸リニアモータLM1の下流側で隣接する下流側単軸リニアモータLM2のベースプレート1の裏面、つまり反ベース面1kで覆われる。このため、上流側単軸リニアモータLM1への異物の侵入を効果的に防止することができる。ここで、下流側単軸リニアモータLM2の(+X)側にサイドプレート(図示省略)を配置し、凹部1eの内部空間(収納空間)および当該内部空間に挿入配置された可動部(スライダ2b1、2b2)、固定子(電機子3)および可動子(永久磁石6+ヨーク5)を法線方向(+X)側から覆うように、立壁1b〜1dの頂部に取り付けもよい。このサイドプレートの取付によって下流側単軸リニアモータLM2についても異物の侵入を効果的に防止することができる。
【0053】
なお、上記多軸リニアモータMLMでは、第1実施形態にかかる単軸リニアモータLMを2個組み合わせているが、第2実施形態にかかる単軸リニアモータを2個組み合わせてもよい。また、第1実施形態にかかる単軸リニアモータLM(図1)および第2実施形態にかかる単軸リニアモータを適宜組み合わせて積層方向(+X)に積層配置して多軸リニアモータを構成してもよい。
【0054】
また、組み合わせる単軸リニアモータの数は「2」に限定されるものではなく、3以上の単軸リニアモータを組み合わせて多軸リニアモータMLMを構成することができる。例えば、次に説明する表面実装機では、10本の吸着ノズルを用いて部品を移載するために各吸着ノズルを上下方向に駆動する上下駆動機構を装備するが、10個の単軸リニアモータLM1〜LM10を組み合わせた多軸リニアモータMLMを当該上下駆動機構として用いることができる。
【0055】
<表面実装機>
図10は本発明にかかる部品移載装置の一実施形態である表面実装機の概略構成を示す平面図である。また、図11はヘッドユニットの正面図および側面図である。さらに、図12は図10に示す表面実装機の電気的構成を示すブロック図である。なお、これらの図面及び後で説明する図面では、上記したリニアモータの移動方向Z、幅方向Yおよび厚み方向Xに対応した三次元の座標系を採用している。
【0056】
この表面実装機MTでは、基台111上に基板搬送機構102が配置されており、基板103を所定の搬送方向Xに搬送可能となっている。より詳しくは、基板搬送機構102は、基台111上において基板103を図10の右側から左側へ搬送する一対のコンベア121、121を有している。これらのコンベア121、121は表面実装機MT全体を制御する制御ユニット104の駆動制御部141により制御される。すなわち、コンベア121,121は駆動制御部141からの駆動指令に応じて作動し、搬入されてきた基板103を所定の実装作業位置(同図に示す基板103の位置)で停止させる。そして、このように搬送されてきた基板103は図略の保持装置により固定保持される。この基板103に対して部品収納部105から供給される電子部品(図示省略)がヘッドユニット106に搭載された吸着ノズル161により移載される。また、基板103に実装すべき部品の全部について実装処理が完了すると、基板搬送機構102は駆動制御部141からの駆動指令に応じて基板103を搬出する。
【0057】
基板搬送機構102の両側には、上記した部品収納部105が配置されている。これらの部品収納部105は多数のテープフィーダ151を備えている。また、各テープフィーダ151には、電子部品を収納・保持したテープを巻回したリール(図示省略)が配置されており、電子部品を供給可能となっている。すなわち、各テープには、集積回路(IC)、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の小片状のチップ電子部品が所定間隔おきに収納、保持されている。そして、テープフィーダ151がリールからテープをヘッドユニット106側に送り出すことによって該テープ内の電子部品が間欠的に繰り出され、その結果、ヘッドユニット106の吸着ノズル161による電子部品のピックアップが可能となる。
【0058】
また、この実施形態では、基板搬送機構102の他に、ヘッド駆動機構107が設けられている。このヘッド駆動機構107はヘッドユニット106を基台111の所定範囲にわたりX方向及びY軸方向(X軸及びZ方向と直交する方向)に移動するための機構である。そして、ヘッドユニット106の移動により吸着ノズル161で吸着された電子部品が部品収納部105の上方位置から基板103の上方位置に搬送される。すなわち、ヘッド駆動機構107は、X方向に延びる実装用ヘッド支持部材171を有しており、この実装用ヘッド支持部材171はヘッドユニット106をX軸に沿って移動可能に支持している。また、実装用ヘッド支持部材171は、両端部がY軸方向の固定レール172に支持され、この固定レール172に沿ってY軸方向に移動可能になっている。さらに、ヘッド駆動機構107は、ヘッドユニット106をX方向に駆動する駆動源たるX軸サーボモータ173と、ヘッドユニット106をY軸方向に駆動する駆動源たるY軸サーボモータ174とを有している。モータ173はボールねじ175に連結されており、駆動制御部141からの動作指令に応じてモータ173が作動することでヘッドユニット106がボールねじ175を介してX方向に駆動される。一方、モータ174はボールねじ176に連結されており、駆動制御部141からの動作指令に応じてモータ174が作動することで実装用ヘッド支持部材171がボールねじ176を介してY軸方向へ駆動される。
【0059】
ヘッド駆動機構107によりヘッドユニット106は電子部品を吸着ノズル161により吸着保持したまま基板103に搬送するとともに、所定位置に移載する(部品移載動作)。より詳しく説明すると、ヘッドユニット106は次のように構成されている。このヘッドユニット106では、鉛直方向Zに延設された実装用ヘッドが10本、X方向(基板搬送機構102による基板103の搬送方向)に等間隔で列状配置されている。実装用ヘッドのそれぞれの先端部には、吸着ノズル161が装着されている。すなわち、図11に示すように、各実装用ヘッドはZ方向に伸びるノズルシャフト163を備えている。ノズルシャフト163の軸心部には、上方(Z方向)に延びる空気通路が形成されている。そして、ノズルシャフト163の下方端部には、吸着ノズル161が接続されて空気通路と連通している。一方、上方端部は開口しており、連結部164、接続部材165、空気パイプ166および真空切替バルブ機構167を介して真空吸引源および正圧源に接続される。
【0060】
また、ヘッドユニット106では、ノズルシャフト163を上下方向Zに昇降させる上下駆動機構168が設けられており、駆動制御部141のモータコントローラ142により上下駆動機構168を駆動制御してノズルシャフト163を上下方向Zに昇降させ、これによって吸着ノズル161を上下方向Zに移動し、位置決めする。この実施形態では、10個の単軸リニアモータLM1〜LM10を組み合わせた多軸リニアモータMLMを上下駆動機構168として用いている。なお、この構成の詳細については、後で詳述する。
【0061】
また、吸着ノズル161をR方向に回転させるR軸サーボモータ169が設けられており、制御ユニット104の駆動制御部141からの動作指令に基づきR軸サーボモータ169が作動して吸着ノズル161をR方向に回転させる。したがって、上記のようにヘッド駆動機構107によってヘッドユニット106が部品収納部105に移動されるとともに、上下駆動機構168およびR軸サーボモータ169を駆動することによって、部品収納部105から供給される電子部品に対して吸着ノズル161の先端部が適正な姿勢で当接する。
【0062】
図13は上下駆動機構の構成を示す図である。この実施形態において上下駆動機構168として用いられている多軸リニアモータMLMは図13に示すように10個の単軸リニアモータLM1〜LM10と2枚のサイドプレートSPa、SPbとで構成されている。これらの単軸リニアモータLM1〜LM10はX方向に積層配置されている。また、リニアモータLM1の(−X)側にサイドプレートSPaが配置される一方、リニアモータLM10の(+X)側にサイドプレートSPbが配置されており、これら2枚のサイドプレートSPa、SPbにより単軸リニアモータLM1〜LM10を挟み込んでいる。これらサイドプレートSPa、SPbおよび単軸リニアモータLM1〜LM10のいずれにも予め設定された位置に3つの締結用の貫通孔が形成されており、これらの締結用貫通孔に貫くようにボルト13p〜13qが挿通されるとともに、ナットによって締結されてサイドプレートSPa、単軸リニアモータLM1〜LM10およびサイドプレートSPbが一体化されて多軸リニアモータMLMが形成されている。この多軸リニアモータMLMは図11に示すようにヘッドユニット106のベースプレート160に取り付けられる。なお、サイドプレートSPbは、端部のリニアモータLM10の凹部1e(図3参照)を覆うカバーとしても機能する。
【0063】
また、各リニアモータLM1〜LM10の可動ベース4には、連結部164を介してノズルシャフト163が連結されている。各連結部164は図11に示すようにL字状のブロック部材164aとシャフトホルダ164bを備えている。各ブロック部材164aでは、(+Z)方向に延びる端部により、ネジで可動ベース4に螺合されている。これによって、各リニアモータLM1〜LM10でブロック部材164aが可動ベース4の下端部、つまり(−Z)側端部に連結される。また、各ブロック部材164aの(−Y)方向に延びる端部の下面にシャフトホルダ164bが取り付けられ、シャフトホルダ164bの下面側、つまり(−Z)方向側でノズルシャフト163を保持可能となっている。また、シャフトホルダ164bの(−Y)側端部側面には接続部材165が取り付けられている。この接続部材165には空気パイプ166の一方端が接続されており、当該空気パイプ166を介して真空切替バルブ機構167から送られてくる空気をシャフトホルダ164bに送り込んだり、逆にシャフトホルダ164bから空気を空気パイプ166を介して真空切替バルブ機構167に吸引可能としている。このように空気パイプ166−シャフトホルダ164b内の空気経路(図示省略)−ノズルシャフト163という経路で真空切替バルブ機構167と吸着ノズル161が接続されており、各吸着ノズル161に正圧を供給したり、逆に各吸着ノズル161に負圧を供給可能となっている。
【0064】
なお、この実施形態では、多軸リニアモータMLMは上下駆動機構168として用いられており、各可動ベース4の移動方向は上下方向Zと平行となっている。このため、各可動ベース4には垂直荷重が常時付与されている。そこで、各リニアモータLM1〜LM10では、リターンスプリング15の上端部をベースプレート1のスプリング係合部1hに係合させるとともに、その下端部をブロック部材164aの(−Y)側端部に設けられたスプリング係合部164cに係合させ、このリターンスプリング15により可動ベース4を上方側、つまり(+Z)方向側に付勢している。これによって、各リニアモータLM1〜LM10のコイル3cへの電流供給を停止している間に、可動ベース4はベースプレート1内に収納される。これにより各吸着ノズル161は上方に位置することになり、上下駆動機構168が電流停止により機能しない状態で、例えばX軸サーボモータ173やY軸サーボモータ174が作動したとしても、各吸着ノズル161、あるいは吸着されている電子部品が基板103やコンベア121等と干渉事故を起こすことがない。
【0065】
このように構成された表面実装機では、制御ユニット104のメモリ(図示省略)に予め記憶されたプログラムにしたがって制御ユニット104の主制御部143が装置各部を制御してヘッドユニット106を部品収納部105の上方位置と基板103の上方位置の間を往復移動させる。また、ヘッドユニット106は部品収納部105の上方位置に停止した状態で上下駆動機構168およびR軸サーボモータ169を駆動制御して部品収納部105から供給される電子部品に対して吸着ノズル161の先端部を適正な姿勢で当接させるとともに、負圧吸着力を吸着ノズル161に与えることで、該吸着ノズル161による部品保持を行う。そして、部品を吸着保持したままヘッドユニット106は基板103の上方位置に移動した後、所定位置に移載する。このように部品収納部105から基板103の部品搭載領域に部品を移載する、部品移載動作が繰り返して行われる。
【0066】
以上のように、この実施形態にかかる表面実装機では、図1に示す単軸リニアモータLMと同一構成を有する10個のリニアモータLM1〜LM10をX方向に積層配置してなる多軸リニアモータMLMを用いてノズルシャフト163を上下方向Zに昇降駆動するように構成しているので、次のような作用効果が得られる。すなわち、可動ベース4が所定位置(+Z移動規制ストッパ12aに係合する位置)を超えて(+Z)方向に移動するのをベースプレート1に設けた移動規制ストッパ12aが規制する一方、可動ベース4が所定位置(−Z移動規制ストッパ12bに係合する位置)を超えて(−Z)方向に移動するのをベースプレート1に設けた移動規制ストッパ12bが規制するように構成している。したがって、可動ベース4(あるいは可動ベース4に連結されるノズルシャフト163、連結部164など)がベースプレート1やリニアモータLM1〜LM10周囲の構成要素と干渉したり、衝突するのを防止することができる。その結果、ノズルシャフト163の先端部に取り付けられた吸着ノズル161による部品移載を長期間、安定して行うことができる。
【0067】
なお、上記実施形態では、第1実施形態にかかる単軸リニアモータLMと同一構成のものを用いた多軸リニアモータMLMを上下駆動機構として用いているが、第2実施形態にかかる単軸リニアモータLMと同一構成のものを用いた多軸リニアモータ、第1実施形態および第2実施形態にかかる単軸リニアモータを組み合わせた多軸リニアモータなど、本発明にかかるリニアモータを複数個設けたものを用いることができる。
【0068】
また、上記実施形態では、可動ベースの(−Z)側端部およびブロック部材164aの一部が移動方向Zへの可動ベース4の駆動に応じて凹部1eの内部空間に対して出入移動されるように構成しているため、各リニアモータLM1〜LM10内に移動規制ストッパ12bを設ける代わりに、例えば図14に示すように、これらのリニアモータLM1〜LM10を支持するベースプレート160に移動規制ストッパ12bを設けてもよい。すなわち、ベースプレート160のうちリニアモータLM1〜LM10を支持する表面位置よりも(−Z)方向に離れた表面位置に断面が略L字形状で、しかもX方向に延びる支持部材12b1の一方端部が固定されている。そして、支持部材12b1の他方端部のうち(+Z)方向に向いた表面に金属ブロックや樹脂パッドなどの係止部材12b2が取り付けられている。したがって、可動ベース4が所定位置(係止部材12b2に係合する位置)を超えて(−Z)方向に移動するのをベースプレート160に設けた移動規制ストッパ12bが規制し、可動ベース4(あるいは可動ベース4に連結されるノズルシャフト163、連結部164など)がベースプレート1やリニアモータLM1〜LM10周囲の構成要素と干渉したり、衝突するのを防止することができる。その結果、ノズルシャフト163の先端部に取り付けられた吸着ノズル161による部品移載を長期間、安定して行うことができる。このように、図14に示す上下駆動機構168が本発明にかかる駆動機構の一実施形態に相当し、ベースプレート160が本発明の「ベース部材」に相当し、支持部材12b1および係止部材12b2からなる−Z移動規制ストッパ12bが「ベース部材」に設けられた「第4ストッパ」に相当している。
【0069】
また、上記実施形態では、部品移載装置として機能する表面実装機MTに対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、ICハンドラー等の部品移載装置に対しても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明にかかるリニアモータの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のリニアモータのA−A線断面図である。
【図3】図1のリニアモータの分解組立斜視図である。
【図4】可動部材と可動子の取付構造を示す斜視図である。
【図5】可動部材と可動子の取付構造を示す図である。
【図6】サブティースと磁性体プレートの配置関係を示す平面図である。
【図7】図1に示すリニアモータでの可動ベースの取付手順を示す図である。
【図8】図1に示すリニアモータでの移動方向への可動ベースの移動規制を示す図である。
【図9】本発明にかかる多軸リニアモータの一実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明にかかる部品移載装置の一実施形態である表面実装機の概略構成を示す平面図である。
【図11】ヘッドユニットの正面図および側面図である。
【図12】図10に示す表面実装機の電気的構成を示すブロック図である。
【図13】上下駆動機構の構成を示す図である。
【図14】本発明にかかる駆動機構の一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1…ベースプレート
2a…レール
2b1、2b2…スライダ
2c1…リニアガイドストッパ(第1ストッパ)
2c2…リニアガイドストッパ(第2ストッパ)
3…電機子
4…可動ベース
5…ヨーク
6…永久磁石
12a…移動規制ストッパ(第3ストッパ)
12b…移動規制ストッパ(第4ストッパ)
12b2…係止部材(第4ストッパ)
106…ヘッドユニット
107…ヘッド駆動機構
160…ベースプレート(ベース部材)
161…吸着ノズル
163…ノズルシャフト(被駆動物)
168…上下駆動機構
LM、LM1〜LM10…単軸リニアモータ
MLM…多軸リニアモータ
MT…表面実装機(部品移載装置)
X…厚み方向(ベース面の法線方向)
Y…幅方向
Z…移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレートに対して所定の移動方向に延設された直線状のレールと、
前記レールに沿って前記移動方向にスライド自在に設けられたスライダと、
前記スライダに取付可能な可動ベースと、
前記可動ベースに対して前記移動方向に延設された可動子と、
前記移動方向と直交する幅方向に前記可動子から離間して対向するように前記ベースプレートに対して前記移動方向に延設された固定子と、
前記レールに沿って前記移動方向の一方側に移動してくる前記スライダを係止可能に前記ベースプレートに設けられた第1ストッパとを備え、
前記可動ベースは前記第1ストッパに係止された状態で前記スライダに取り付けられて前記レールに沿って前記移動方向に移動自在となっており、前記可動子および前記固定子で発生する磁束の相互作用により前記移動方向に駆動されることを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
前記レールに沿って前記移動方向の他方側に移動してくる前記スライダを係止可能に前記ベースプレートに設けられた第2ストッパをさらに備えている請求項1記載のリニアモータ。
【請求項3】
ベースプレートと、
前記ベースプレートに対して所定の移動方向に延設された直線状のレールと、
前記レールに沿って前記移動方向にスライド自在に設けられた第1スライダと、
前記移動方向における前記第1スライダの他方側で、前記レールに沿って前記移動方向にスライド自在に設けられた第2スライダと、
前記第1スライダおよび第2スライダに取付可能な可動ベースと、
前記可動ベースに対して前記移動方向に延設された可動子と、
前記移動方向と直交する幅方向に前記可動子から離間して対向するように前記ベースプレートに対して前記移動方向に延設された固定子と、
前記レールに沿って前記移動方向の一方側に移動してくる前記第1スライダを係止可能に前記ベースプレートに設けられた第1ストッパと、
前記移動方向における前記第1ストッパの他方側で、前記レールに沿って前記移動方向の他方側に移動してくる前記第2スライダを係止可能に前記ベースプレートに設けられた第2ストッパとを備え、
前記可動ベースは前記第1ストッパに係止された状態で前記第1スライダに取り付けられる一方、前記第2ストッパに係止された状態で前記第2スライダに取り付けられて前記レールに沿って前記移動方向に移動自在となっており、前記可動子および前記固定子で発生する磁束の相互作用により前記移動方向に駆動されることを特徴とするリニアモータ。
【請求項4】
前記レールに沿って前記移動方向の一方側に移動してくる前記スライダが前記第1ストッパに当接する前に前記スライダと一体的に前記移動方向の一方側に移動してくる前記可動ベースを係止可能に前記ベースプレートに設けられた、第3ストッパをさらに備えている請求項1ないし3のいずれかに記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記レールに沿って前記移動方向の一方側に移動してくる前記スライダが前記第1ストッパに当接する前に前記スライダと一体的に前記移動方向の一方側に移動してくる前記可動ベースを係止可能に前記ベースプレートに設けられた、第3ストッパと、
前記移動方向における前記第3ストッパの他方側で前記レールに沿って前記移動方向の他方側に移動してくる前記スライダが前記第2ストッパに当接する前に前記スライダと一体的に前記移動方向の他方側に移動してくる前記可動ベースを係止可能に前記ベースプレートに設けられた、第4ストッパとをさらに備えている請求項2または3記載のリニアモータ。
【請求項6】
ベース部材に支持された請求項2または3記載のリニアモータを用いて前記リニアモータの前記可動ベースに連結される被駆動物を前記移動方向に駆動する駆動機構であって、
前記リニアモータの前記ベースプレートに対して、前記レールに沿って前記移動方向の一方側に移動してくる前記スライダが前記第1ストッパに当接する前に前記スライダと一体的に前記移動方向の一方側に移動してくる前記可動ベースを係止可能な第3ストッパが設けられる一方、
前記ベース部材に対して、前記移動方向における前記第3ストッパの他方側で前記レールに沿って前記移動方向の他方側に移動してくる前記スライダが前記第2ストッパに当接する前に前記スライダと一体的に前記移動方向の他方側に移動してくる前記可動ベースを係止可能な第4ストッパが設けられている
ことを特徴とする駆動機構。
【請求項7】
部品収容部から部品搭載領域に部品を移載する部品移載装置において、
ベース部材と、前記ベース部材に対して上下方向に移動自在に支持され、先端部に吸着ノズルが取り付けられるとともに、後端部に接続された負圧配管を介して供給される負圧を前記吸着ノズルに与えるノズルシャフトと、前記ノズルシャフトを前記上下方向に駆動する上下駆動機構とを有する、ヘッドユニットと、
前記部品収容部の上方位置と前記部品搭載領域の上方位置との間で前記ヘッドユニットを移動させるヘッド駆動手段とを備え、
前記上下駆動機構が請求項5記載のリニアモータであり、
前記リニアモータは前記移動方向が前記上下方向と平行となるように前記ベース部材に取り付けられ、
前記リニアモータの前記可動ベースが前記ノズルシャフトに連結されている
ことを特徴とする部品移載装置。
【請求項8】
部品収容部から部品搭載領域に部品を移載する部品移載装置において、
ベース部材と、前記ベース部材に対して上下方向に移動自在に支持され、先端部に吸着ノズルが取り付けられるとともに、後端部に接続された負圧配管を介して供給される負圧を前記吸着ノズルに与えるノズルシャフトと、前記ノズルシャフトを前記上下方向に駆動する上下駆動機構とを有する、ヘッドユニットと、
前記部品収容部の上方位置と前記部品搭載領域の上方位置との間で前記ヘッドユニットを移動させるヘッド駆動手段とを備え、
前記上下駆動機構は、移動方向が上下方向と平行となるように前記ベース部材に取り付けられるとともに、可動ベースに前記ノズルシャフトが連結された請求項2または3記載のリニアモータであり、
前記リニアモータの前記ベースプレートに対して、前記レールに沿って前記移動方向の一方側に移動してくる前記スライダが前記第1ストッパに当接する前に前記スライダと一体的に前記移動方向の一方側に移動してくる前記可動ベースを係止可能な第3ストッパが設けられる一方、
前記ベース部材に対して、前記移動方向における前記第3ストッパの他方側で前記レールに沿って前記移動方向の他方側に移動してくる前記スライダが前記第2ストッパに当接する前に前記スライダと一体的に前記移動方向の他方側に移動してくる前記可動ベースを係止可能な第4ストッパが設けられている
ことを特徴とする部品移載装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−171661(P2009−171661A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−4081(P2008−4081)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】