説明

リニアモータおよびリニア搬送装置

【課題】比較的長いストローク範囲でのスライダの位置検出機能を維持しつつ、取り扱いを容易ならしめる。
【解決手段】本発明に係るリニアモータは、モータ本体部102に対し、当該移動経路に沿うX方向におけるモータ本体部102の寸法内に収まるように取り付けられたセンサ基板112A〜112Dを備えている。センサ基板112A〜112Dは、スライダ30を検出して位置検出信号を出力する位置検出手段SA1、SA2、SB1、SB2と、原点位置信号を出力する原点位置センサSZと、X方向の両側に隣接して連設された位置検出手段SA1から出力される位置検出信号と位置検出手段SA2から出力される位置検出信号、および位置検出手段SB1から出力される位置検出信号と位置検出手段SB2から出力される位置検出信号をそれぞれ足し合わせ可能な位置検出信号合算部S8とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータおよびリニア搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リニアモータは、固定子が配置されるモータ本体部と、固定子と対向する可動子が配置されモータ本体部に対し移動可能なスライダとを備えている。固定子と可動子は、一方が表面の磁極が交互に異なる永久磁石を一方向に配列するようにし、他方がコイルを装着したコアを具備した電磁石を一方向に配列するようにするか、両方ともコイルを装着したコアからなる電磁石を一方向に配列するようにして構成する。そして、リニアモータは、前記コイルに対する通電制御によって、固定子と可動子との間に吸引力を発生させながら、前記移動経路に沿ってスライダを移動させる。
【0003】
スライダの位置を検出するため、リニアモータには、リニアスケールが設けられている。例えば、特許文献1に開示されているリニアモータではリニアスケールがスライダに取り付けられている。リニアモータは、このリニアスケールを検出して波形信号を出力する位置検出センサと、この波形検出センサの原点位置を特定する信号を出力する原点位置センサと、位置検出センサ及び原点位置センサをモータ本体部に取り付けるセンサ基板とをさらに備えていた。そして、スライダの移動位置に応じて、位置検出センサおよび原点位置センサが信号を出力し、これらの信号に基づいて、スライダの位置を検出するようにしていた。
【0004】
しかしながら、特許文献1のセンサ基板は、移動経路に沿う方向において、モータ本体部に取り付けられた固定子の中央部分に配置されており、各センサも固定部の中央部分にレイアウトされていた。そのため、スライダのリニアスケールが固定子の中央部分に配置された原点位置センサに届くまで、位置検出ができなくなるという問題点があった。そこで、本件出願人は、特許文献2に示すように、移動経路に沿う方向において、原点位置センサが固定子の端部と揃う位置に配置されたリニア搬送装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−244929号公報
【特許文献2】特開2011−101552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のように、移動経路に沿う方向において、原点位置センサが固定子の端部と揃う位置に配置された場合には、移動子のリニアスケールが、リニアモータを構成する複数の固定子ユニット(一つのベースフレームと、このベースフレームに搭載される複数の固定子、複数のセンサヘッドおよびレールとから構成されるものを固定子ユニットと呼称する)の内のある固定子ユニットから、当該固定子ユニットに隣接する別の固定子ユニットに移動し始めた時点で直ちに原点位置を特定することができるので、比較的長いストローク範囲でスライダの位置検出を実現することができる。しかしながら、原点位置センサを移動経路に沿う方向において、固定子の端部と揃う位置に配置するためには、当該原点位置センサを物理的に支持するため、センサヘッドを固定子ユニットに対して前記移動経路に沿う方向にオフセットする必要があった。そのため、センサヘッドは、固定子ユニットの端部から移動経路に沿う方向にはみ出した状態になっていた。この結果、リニアモータを構成しスライダを移動可能に支持するモータ本体部が単体の固定子から構成される場合には、センサヘッドのはみ出し部分を保護することが必要になり、取り扱いが煩雑になる可能性があった。また、固定子ユニットを基台に連設する場合、一旦、固定子ユニットからセンサヘッドを取り外し、固定子ユニットを設置した後、改めて設置された固定子ユニットにセンサヘッドを取り付ける必要があった。このため、連結作業、或いは解体作業が複雑になる場合があった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、比較的長いストローク範囲でのスライダの位置検出機能を維持しつつ、取り扱いの容易なリニアモータおよびリニア搬送装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、可動子を有するスライダの移動経路に配置されるモータ本体部と、前記モータ本体部に取り付けられ、当該スライダの前記可動子と対向し、当該移動経路に沿って並ぶ複数の固定子とを備え、前記固定子と前記可動子との間に吸引力を発生させながら当該移動経路に沿って前記スライダを移動させるリニアモータにおいて、前記固定子の各々に対し、当該移動経路に沿う方向における前記固定子の寸法内に収まるように取り付けられた複数のセンサ基板と、前記センサ基板の各々に取り付けられ、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流に部において、前記スライダを検出して位置検出信号を出力する上流側位置検出手段と、前記移動方向における前記センサ基板の下流部において、前記スライダを検出して位置検出信号を出力する下流側位置検出手段と、前記センサ基板に取り付けられ、前記スライダの移動方向における当該センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の前記下流側位置検出手段からの前記位置検出信号と、前記スライダの移動方向における当該センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の前記上流側位置検出手段からの前記位置検出信号とを足し合わせ、これにより得られる合算信号を出力可能な位置検出信号合算部と、位置検出信号合算部からの合算信号に基づき、当該センサ基板が取り付けられた前記固定子に対する前記スライダの位置を検出する制御装置とを備えていることを特徴とするリニアモータである。
【0009】
この態様では、モータ本体部に連設された複数の固定子のうち、スライダの位置を検知しつつスライダを駆動している固定子の制御装置において、当該固定子に設けた基板の両側の基板、すなわち当該固定子に隣接する固定子に固定子の寸法内に収まるように取り付けられた基板に設けられた位置検出手段からの位置検出信号を足し合わせて、当該固定子に対するスライダの位置を求めているので、当該固定子の長さより長いスライダの移動ストローク範囲で固定子に対するスライダの位置検出をすることができる。しかも、個々の固定子に設けられたセンサ基板は、モータ本体部の内側に収まっているので、余分なはみ出し部分ができることもない。そのため、リニアモータを単体で取り扱う場合、取り扱いが格段に容易になる。また、複数の固定子を基台等に連設する場合や、複数の固定子が連設されて形成されたリニアモータを解体する場合においても、センサ基板の着脱作業が不要になるので、連結作業、或いは解体作業の効率がよくなる。
【0010】
好ましい態様のリニアモータにおいて、前記上流側位置検出手段および前記下流側位置検出手段と対向し、前記スライダの移動方向においてS極とN極の磁極が交互に違えた状態で前記スライダに等ピッチで配設された磁気スケールを備えている。これにより、前記固定子に対する前記スライダの位置を実際の固定子の長さレベルのスケールを利用して位置検出しているので、より正確に位置検出をすることができる。
【0011】
好ましい態様のリニアモータにおいて、前記上流側位置検出手段および前記下流側位置検出手段と対向し、前記スライダの移動方向においてS極とN極の磁極が交互に違えた状態で前記スライダに等間隔に配設された磁気スケールを備え、前記スライダの移動方向における当該センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の前記下流側位置検出手段が、前記磁気スケールの上流側端部の前記磁極と対向する時、移動方向における当該センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の前記上流側位置検出手段が、前記磁気スケールの下流側端部の前記磁極と対向し、且つ当該下流側位置検出手段と当該上流側位置検出手段が対向する2つの前記磁極がS極とN極のいずれか同じとなるように、前記磁気スケールの長さ、磁極の配列、および当該下流側位置検出手段と当該上流側位置検出手段との前記スライダの移動方向における間隔(配置ピッチ)が設定されている。
【0012】
これにより、モータ本体部に連設された複数の固定子に対し前記スライダが順次移動中であっても、これらの固定子に対する前記スライダの位置を連続して検知することができる。すなわち、移動経路に沿う方向に沿って広範囲にわたり、可動子の位置を検出することが可能となる。
【0013】
好ましい態様のリニアモータにおいて、前記上流側位置検出手段と前記下流側位置検出手段は、それぞれ前記スライダの移動方向において位置の異なる2つのセンサから構成され、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の下流側位置検出手段の前記移動方向上流側のセンサと、前記センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の上流側位置検出手段の前記移動方向上流側のセンサとのそれぞれからの位置検知信号を、前記センサ基板に取り付けられた前記位置検出信号合算部で足し合せ、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の下流側位置検出手段の前記移動方向下流側のセンサと、前記センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の上流側位置検出手段の前記移動方向下流側のセンサとのそれぞれからの位置検知信号を、前記位置検出信号合算部で足し合せるようにした。
【0014】
これにより、位置の異なる2つのセンサからそれぞれA相の位置検知信号とB相の位置検知信号が出力され、且つ前記センサ基板の上流側と下流側のそれぞれのセンサから出力される2つのA相の位置検知信号が足し合されるとともに、前記センサ基板の上流側と下流側のそれぞれのセンサから出力される2つのB相の位置検知信号が足し合されるので、モータ本体部に連設された複数の固定子のそれぞれに対し前記スライダがいずれの固定子にあっても、その固定子に対する前記スライダの位置をより詳しく検知することができる。移動経路に沿う方向に沿って広範囲にわたり、可動子の位置をより詳しく検出することが可能となる。
【0015】
好ましい態様のリニアモータにおいて、前記上流側位置検出手段および前記下流側位置検出手段と対向し、前記スライダの移動方向においてS極とN極の磁極が交互に違えた状態で前記スライダに等間隔に配設された磁気スケールを備え、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の下流側位置検出手段の前記移動方向上流側のセンサと、前記センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の上流側位置検出手段の前記移動方向上流側のセンサ、あるいは、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の下流側位置検出手段の前記移動方向下流側のセンサと、前記センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の上流側位置検出手段の前記移動方向下流側のセンサが、それぞれ前記磁気スケールの下流側端部の前記磁極と対向し、且つ当該下流側位置検出手段と当該上流側位置検出手段が対向する前記磁極がS極とN極のいずれか同じとなるように、前記磁気スケールの長さ、磁極の配列、および当該下流側位置検出手段と当該上流側位置検出手段との前記スライダの移動方向における間隔が設定され、当該上流側位置検出手段と当該下流側位置検出手段におけるそれぞれ2つのセンサの前記移動方向における配置ピッチを、磁気スケールの隣接する磁極の配置ピッチに1/2、あるいは3/2、さらにはこれらに2の整数倍を加えたものを乗じたものとした。
【0016】
これにより、上流側位置検出手段と下流側位置検出手段におけるそれぞれ2つのセンサからの位置検知信号の位相が相対的にπ/2ずれることになり、可動子の位置をより詳細に検出することが可能となる。
【0017】
好ましい態様のリニアモータにおいて、前記センサ基板に取り付けられ、前記スライダを検出して前記位置検出信号合成部からの合成信号の原点位置を与える原点位置信号を出力する原点位置センサを備えていることを特徴としている。これにより、当該固定子に設けた基板の長さより長いスライダの移動ストローク範囲で、原点位置を基準として固定子に対するスライダの位置検出をすることができる。
【0018】
好ましい態様のリニアモータにおいて、前記原点位置センサは、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に取り付けられていることを特徴としている。これにより、当該固定子に設定した原点位置を基準として、固定子に対するスライダの位置検出をすることができるスライダの移動ストローク範囲を大きくできる。
【0019】
好ましい態様のリニアモータにおいて、前記スライダの移動方向における最も上流側の固定子に取り付けられる最も上流側のセンサ基板の上流側に隣接してさらに補助のセンサ基板を設け、この補助のセンサ基板の下流部に前記下流側位置検出手段を設け、前記最も上流側の固定子に前記スライダを進入させて移動させるに際し、当該最も上流側の固定子に対する前記スライダの位置を、前記補助のセンサ基板の前記下流側位置検出手段からの前記位置検出信号と、前記最も上流側のセンサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の前記上流側位置検出手段からの前記位置検出信号とを前記位置検出信号合算部で足し合わせ、これにより得られる前記位置検出信号合算部からの合算信号に基づき、前記最も上流側のセンサ基板に取り付けられた制御装置により検出させるようにした。
【0020】
すなわち、スライダの移動方向における最も上流側の固定子にスライダを進入させて移動させるに際し、最も上流側の固定子に対するスライダの位置を制御装置により検出させるようにしたので、スライダを最も上流側の固定子に進入させて直ちに、スライダの位置を検出しつつスライダの移動制御が可能となる。
【0021】
好ましい態様のリニアモータにおいて、前記スライダの移動方向における最も下流側の固定子に取り付けられる最も下流側のセンサ基板の下流側に隣接してさらに補助のセンサ基板を設け、この補助のセンサ基板の上流部に前記上流側位置検出手段を設け、前記最も下流側の固定子から前記スライダを移動させて退出させるに際し、当該最も下流側の固定子に対する前記スライダの位置を、当該補助のセンサ基板の前記上流側位置検出手段からの前記位置検出信号と、前記最も下流側のセンサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の前記下流側位置検出手段からの前記位置検出信号とを前記位置検出信号合算部で足し合わせ、これにより得られる前記位置検出信号合算部からの合算信号に基づき、前記最も下流側のセンサ基板に取り付けられた制御装置により検出させるようにした。
【0022】
すなわち、スライダの移動方向における最も下流側の固定子からスライダを退出させるに際し、最も下流側の固定子に対するスライダの位置を制御装置により検出させるようにしたので、スライダの位置を検出しつつスライダの退出移動の制御が可能となる。
【0023】
本発明の別の態様は、上記いずれかのリニアモータを備え、前記スライダに被搬送物を搭載可能としたことを特徴とするリニア搬送装置である。
【0024】
これにより、複数の固定子が連設されて形成されたリニアモータを解体する場合において、あるいは固定子を追加してリニアモータの長さを長くする連結作業をする場合において、センサ基板の着脱作業が不要になるので、解体作業や連結作業の効率が良いリニア搬送装置を得ることができる。
【0025】
好ましい態様のリニア搬送装置において、所定数のリニアモータを配置するとともに、所定数のリニアモータ一の内、一のリニアモータの他方の端部から隣接するリニアモータの一方の端部へ前記スライダを循環させる第1の循環装置を設けるようにし、各リニアモータの端部を前記スライダを循環させる循環装置で連結し、N台のリニアモータの最後のリニアモータの他方の端部から前記一のリニアモータの一方の端部へ前記スライダを循環させる最後の循環装置を設けるようにしたことを特徴としている。
【0026】
これにより、解体作業や連結作業の効率が良いことに加え、スライダを循環させることができるリニア搬送装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、固定子よりも長いストローク範囲でのスライダの位置検出機能を奏することができ、しかも取り扱いが容易な装置を提供することができるという顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の一形態に係るリニア搬送装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1の実施形態に係る固定子ユニットの要部を示す斜視図である。
【図3】図1の実施形態に係る固定子ユニットの側面略図である。
【図4】図1の実施形態に係る固定子ユニットを2連にしたときの正面図である。
【図5】図1の実施形態に係るリニアモータのリニアスケールおよびセンサの概略構成を示す説明図である。
【図6】図1の実施形態に係る一端側の複数のセンサ基板とセンサ部分の回路構成とを示す回路図である。
【図7】図1の実施形態に係る他端側の複数のセンサ基板とセンサ部分の回路構成とを示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0030】
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係るリニア搬送装置10は、平面視長方形に延びる基台11と、基台11の上に設けられる一対のリニア駆動部20A、20Bと、各リニア駆動部20A、20Bによって駆動される可動子としてのスライダ30とを備えている。また、本実施形態では、スライダ30を一方(往動側)のリニア駆動部20Aの下流端から他方(復動側)のリニア駆動部20Bの上流端へ循環させる第1の循環装置40と、他方のリニア駆動部20Bの下流端から一方のリニア駆動部20Aの上流端へ循環させる第2の循環装置50とが設けられている。
【0031】
基台11は、それぞれ4隅に高さ調整可能な脚を設けた複数のテーブル11Aを組み合わせたものである。各テーブル11Aは、何れも枠材により骨組みとして長方体を形成し、底板と天井板を設けた構造体である。以下の説明では、基台11の長手方向を仮にX方向とし、このX方向に直交する水平方向をY方向とする。また、Y方向の一端側(図3の左側)を仮に前方とする。また、図4において、図の右側を仮に一端(リニア駆動部20Aでは下流端、リニア駆動部20Bでは上流端)とし、左側を仮に他端(リニア駆動部20Aでは上流端、リニア駆動部20Bでは下流端)とする。
【0032】
各リニア駆動部20A、20Bは、X方向に沿って、基台11上で互いに平行に延びており、前方のリニア駆動部20A(図1の手前側)がX方向一端側から他端側へスライダ30を駆動する往路(移動経路)を形成し、後方のリニア駆動部20B(図1の後ろ側)がX方向他端側から一端側へスライダ30を駆動する復路(移動経路)を形成している。本実施形態において、これら各リニア駆動部20A及び20Bは、何れも同一仕様に設けられた複数の固定子ユニット100を連設して構成されている。
【0033】
リニア駆動部20Aについて以下説明する。図2〜図4を参照して、各固定子ユニット100は、概ね同一仕様の固定子110を4つ一組に連設して構成されたアセンブリである。固定子ユニット100は、基台11の上部に固定される、ユニットフレーム101を備えている。ユニットフレーム101は、平面視長方形に形成され、その長手方向がX方向に沿った状態で図略のボルトにより基台11の上面に固定されている。基台11の上に連設されたユニットフレーム101の上部には、X方向に沿って延びるレール103が固定されている。ユニットフレーム101には、固定子110が4つ一組で組み付けられている。本実施形態において、ユニットフレーム101は、各固定子ユニット100のモータ本体部を構成する部材の一例である。図示の実施形態では、各ユニットフレーム101の前後両側には、カバー102a、102bが取り付けられている。
【0034】
各固定子110は、コア111aに界磁コイルが巻き付けられて形成される複数の界磁電磁石111が、X方向に1列に並べられて構成されており、111bは、界磁コイルがX方向に1列に並んだ集合体である。コア111aは、上方端が磁極となり、下方端が隣接するコア111aとつながった櫛型をしている。界磁コイルの集合体111bは、ユニットフレーム101の長手方向に配設されている。図示の例において、固定子110のX方向(移動経路に沿う方向)長さLsは、ユニットフレーム101のX方向長さLfのちょうど1/4に設定されている。この結果、図2に示すように、上面に4つの固定子110が長手方向に連設されたユニットフレーム101を連設することによって、各固定子110は、同一ピッチで直線状に連設されるようになっている。また、このときの固定子110の端部で隣接するコア111a、111a間隔(磁極ピッチ)が、途中部分で隣接するコア111a、111a間隔(磁極ピッチ)と等しくなるように、固定子110のX方向長さLs、ユニットフレーム101のX方向長さLが設定されている。
【0035】
固定子ユニット100は、固定子110毎に設けられたコントローラ200(図3に模式的に図示)を有している。
【0036】
コントローラ200は、マイクロプロセッサその他の電子部品等で構成されており、このコントローラ200が、スライダ30の固定子110に対する位置を求め、求められた位置に対応して各固定子110の界磁コイルへの通電を個別に制御するように構成されている。各コントローラ200は、リニア搬送装置全体を制御するメインの制御装置の制御またはプログラムに基づき、対応する固定子110への供給電流を制御する。また、各コントローラ200は、互いに通信可能に構成されている。
【0037】
ユニットフレーム101には、当該ユニットフレーム101に構成される4つの固定子110に対応して、4つの基板112A、112B、112C、112DがY方向前側に取り付けられている。図3、図4において、各基板112A、112B、112C、112Dには、それぞれ外部との結線のためのワイヤーハーネス115が接続されるコネクタ114が設けられたプレート113が取り付けられている。ワイヤーハーネス115はユニットフレーム101のY方向前側に延びるように配置される。
【0038】
各基板112A、112B、112C、112Dは、何れもX方向における長さLbが固定子110の長さLsと略同一に設定されており、何れもユニットフレーム101の正面に収まった状態で(つまり、はみ出していない状態で)固定子110と等しい配置ピッチでX方向に並んでいる。また、X方向に隣接する他端側のユニットフレーム101に取り付けられた一端側の基板112Aと、一端側のユニットフレーム101に取り付けられた他端側の基板112DとのX方向の配置ピッチは、同一のユニットフレーム101に取り付けられた基板112A、112B、112C、112Dの配置ピッチと等しくなるように設定されている。
【0039】
固定子110毎に設けられたプレート113には、ユニットフレーム101に固定された4つの固定子110を各々、対応する基板112A(112B、112C、112D)と共にコントローラ200と接続するコネクタ114が設けられている。このコネクタ114に接続されるハーネス115(図3参照)により、基板112A(112B、112C、112D)に設けられたセンサ類と固定子110とがコントローラ200に電気的に接続され、固定子110のコア111aに巻かれた界磁コイルに対する通電が制御されるようになっている。
【0040】
さらに、各基板112A、112B、112C、112Dを電気的に接続するため、各基板112A、112B、112C、112DのそれぞれX方向両側には、サブコネクタ116が設けられており、互いに隣接する基板同士(一端側に隣接するユニットフレーム101の基板112Dと基板112A、基板112Aと基板112B、基板112Bと基板112C,基板112Cと基板112D、基板112Dと他端側に隣接するユニットフレーム101の基板112A、以下同様)がフラットケーブル等で具体化されたハーネス117により、接続されている。
【0041】
また、図示の実施形態において、各基板112A、112B、112C、112Dは、本発明におけるセンサ基板の一例であり、各基板112A、112B、112C、112Dに設けられたセンサ類は、スライダ30の位置を検出する位置検知装置Sの要部を構成するものである。位置検知装置Sは、詳しくは後述するように、基板112A、112B、112C、112Dに設けられているセンサ類と、スライダ30に設けられる磁気スケールS1、S2とによって構成されている。
【0042】
図3及び図4を参照して、スライダ30は、レール103に嵌合する摺動子31と、この摺動子31の上部に取り付けられた天板32と、天板の底面に固定されて、固定子110に対向する可動子としての複数の永久磁石33とを備えている。
【0043】
図示の実施形態において、レール103の両側部には、X方向に延びる溝がそれぞれ形成されており、摺動子31は、レール103の上部に覆い被さり両側部の溝に摺接する内壁を有する凹部を有している。この凹部をレール103の端部に導入することにより、摺動子31は、レール103に対し、X方向に挿抜可能な状態で、レール103の長手方向にのみ摺動可能に連結される。
【0044】
天板32は、リニア搬送装置10によって搬送されるワークを載置するパレットの取り付け用部品として機能する構造体である。無論、用途に応じて、天板32自身に加工を施し、ワークを直接載置するようにしてもよい。
【0045】
複数の永久磁石33は、X方向に沿って、下側端面にN極とS極が交互に現れるように所定の配列ピッチで1列に配設されている。従って、スライダ30を移動するための固定子110の作動時に、界磁電磁石111の界磁コイルに対する通電を制御して、位相が異なるu相、v相、w相のうちのいずれかの相の電流を界磁電磁石111の界磁コイルに供給することにより、界磁電磁石111に生じる磁束と永久磁石33の生じる磁束とを相互に作用させ、固定子110の界磁電磁石111とスライダ30の永久磁石33との間に吸引力を発生させながら、スライダ30をX方向に沿って所定の速度で往復移動することが可能となる。
【0046】
スライダ30の天板の前端側底面には、前端壁34が固定されている。前端壁34の背面には、位置検知装置Sを構成する2本のリニアスケール(磁気スケール)S1、S2が貼着されている。
【0047】
以下、本実施形態の位置検知装置Sについて詳述する。
【0048】
まず、図4、および図5(図中、基板112A、112B、112C、112Dは図3の左方すなわちY方向前側からの視図であり、磁気スケールS1、S2は図3の左方から透視して得られる図形を実線で表示したものである)を参照して、スライダ30の前端壁34の内側(基板112A、112B、112C、112Dと対向する側)に設けられた磁気スケールS1、S2は、上下に並んでX方向に沿い、平行に延びている。上側に設けられた磁気スケールS1は、X方向に沿って等しいピッチで貼着された複数の永久磁石S11、S12で構成されている。永久磁石S11は基板112A(112B、112C、112D)側となる端面の磁極がN極であり、永久磁石S12は基板112A(112B、112C、112D)側となる端面の磁極がS極であり、永久磁石S11、S12がX方向に交互に配置されることで、S極とN極が交互に違えた状態で所定のスケール長L内に等しい配置ピッチで配設されている。
【0049】
また、下側の磁気スケールS2は、固定子110のX方向長さLsよりも僅かに長い間隔を隔てて、対をなしている。各磁気スケールS2は、上下に並んで貼着された二つ一組の永久磁石S21,S22で構成されている。各磁気スケールS2の永久磁石S21,S22は、基板112A(112B)側となる端面の磁極が互いに極性を違えた状態で配設されている。
【0050】
磁気スケールS1を検出するため、各固定子110の各基板112A、112B、112C、112Dには、正弦波のパルス信号(A相)を出力する一対の第1センサSA1、SA2と、正弦波のパルス信号(B相)を出力する一対の第2センサSB1、SB2が設けられ、さらに、磁気スケールS2を検出するため、Z相のパルス信号(Z相)を出力する第3センサSZが設けられている。各センサSA1〜SZは、例えばホールセンサで構成されており、対応する永久磁石S11、S12、S21の磁束密度を計測して、磁束密度に応じた出力電圧(振幅)のパルス信号を出力するように構成されている。
【0051】
第1センサSA1、SA2は、基板112A(112B、112C、112D)上において、X方向に沿う線上で磁気スケールS1に対してY方向(前後)に僅かに離間した永久磁石S11、S12と対向する位置に並設されて対をなしている。また、第2センサSB1、SB2は、基板112A(112B、112C、112D)上において、X方向に沿う線上で磁気スケールS1に対してY方向(前後)に僅かに離間した永久磁石S11、S12と対向する位置に並設されて対をなしている。
【0052】
X方向において一方の第1センサSA1と他方の第1センサSA2は、同時に磁気スケールS1の両端部の同じ極性の永久磁石S11(S12)と対向するように間隔(この間隔は、基板112A(112B、112C、112D)の長さLbより長く、長さLbが固定子110の長さLsと略同一に設定されているので、固定子110の長さLsより長い。)が設定されている。同様に、X方向において一方の第2センサSB1と他方の第2センサSB2は、同時に磁気スケールS1の両端部の同じ極性の永久磁石S11(S12)と対向するように間隔が設定されている。これに対し、第1センサSA1、SA2と第2センサSB1、SB2とは、同じタイミングでは、互いに極性の異なる永久磁石S12(S11)と対向し、第1センサSA1、SA2と第2センサSB1、SB2とがそれぞれ出力する波形信号の位相がπ/2だけずれる構成になっている。すなわち、第1センサSA1と第2センサSB1、第1センサSA2と第2センサSB2のそれぞれの配置ピッチは、隣接する2つの永久磁石S11(S12)と永久磁石S12(S11)の配置ピッチに1/2、あるいは3/2、さらにはこれらに2の整数倍を加えたものを乗じたものとなるようにそれぞれが設けられている。この結果、A相のパルス信号とB相のパルス信号とは、一方が正弦波で他方が余弦波になる関係になっている。両パルス信号は、位相が異なる他は、同じ振幅、同じ周期で出力される。但し、磁気スケールS1の両端部の永久磁石S11の幅は残余の永久磁石S11、S12の幅の1/2に設定されており、第1センサSA1、SA2がそれぞれスライダ30の移動に伴い磁気スケールS1の両端部の同じ極性の永久磁石S11と対向するタイミングにおいては、磁束密度の低減により、第1センサSA1、SA2がそれぞれ出力する波形信号の振幅は、第1センサSA1、SA2がそれぞれスケールS1の両端部を除いた同じ極性の永久磁石S11と対向するタイミングにおける第1センサSA1、SA2がそれぞれ出力する波形信号の振幅の1/2となる。第2センサSB1、SB2がそれぞれ磁気スケールS1の両端部の同じ極性の永久磁石S11と対向するタイミングに出力する波形信号の振幅も同様となる。
【0053】
なお、端部の永久磁石S11のX方向中心と隣接する永久磁石S12のX方向中心との間隔である配置ピッチは、他の隣接する2つの永久磁石S11、S12の配置ピッチと同じにされている。
【0054】
図5を参照して、第3センサSZは、一つの基板112A(112B、112C、112D)に対し、一つずつ設けられており、当該固定子110の一端側に近接するように寄せられた位置に取り付けられており、一端側の第1センサSA1とX方向では同一位置であり図の上下に揃っている。この結果、例えば基板112Aの第3センサSZと、この基板112Aに隣接する基板112B(112D)の第3センサSZの間隔Lzは、固定子110のX方向長さLsと同じとなるようにされており、しかも、その両端側のオフセット量L1、L2は、可及的に短くなっている。これらの第3センサSZの間隔Lz、および両端側のオフセット量L1、L2について、基板112B、112C、112Dについても同様である。
【0055】
図6を参照して、各基板112A、112B、112C、112Dにおいて、当該基板112A(112B、112C、112D)は、隣接する基板112B、基板112D(基板112Aと基板112C、基板112Bと基板112D,基板112Cと他端側に隣接するユニットフレーム101の基板112A)の内、他端側の基板112Bの一端側に設けられた第1センサSA1と、一端側の基板112Dの他端側に設けられた第1センサSA2のそれぞれが出力したパルス信号を足し合わせて出力するとともに、基板112Bの一端側に設けられた第2センサSB1と、基板112Dの他端側に設けられた第2センサSB2のそれぞれが出力したパルス信号を足し合わせて出力する加算回路S8(本発明における位置検知信号合算部)を備えている。さらに、各基板112A、112B、112C、112Dには、当該基板112A(112B、112C、112D)に設けられた加算回路S8が出力したパルス信号と、他端側の基板112Bの一端側に設けられた第3センサSZが出力し、基板112Bの一端側に設けられたサブコネクタ116、ハーネス117及び当該基板112Aの他端側に設けられたサブコネクタ116を介して当該基板112Aに導かれたZ相の信号と、当該基板112Aの一端側に設けられた第3センサSZが出力したZ相の信号とが、当該基板112Aに設けられたコネクタ114、及びワイヤーハーネス115を介してコントローラ200に入力される。
【0056】
往路側のリニア駆動部20Aではスライダ30が一端側から他端側に移動する。この際、例えば基板112Bのコントローラ200には一端側に隣接する基板112Aの他端側の第1センサSA2、第2センサSB2からA相のパルス信号とB相のパルス信号がそれぞれ加算回路S8を介して入力される。
【0057】
他端側に隣接する基板112Cの一端側の第1センサSA1、第2センサSB1に磁気スケールS1が到達しない間は、第1センサSA1、第2センサSB1からの出力は0である。基板112Bのコントローラ200は、基板112Bの第3センサSZが磁気スケールS2の他端側の一組の永久磁石S21,S22を検知して出力されるZ相のパルス信号により、基板112Bが取り付けられている固定子110に対するスライダ30の原点位置を求めるとともに、スライダ30が原点位置を通過するタイミングからの、一端側に隣接する基板112Aの他端側の第1センサSA2、第2センサSB2からのそれぞれA相の正弦波信号とB相の余弦波信号の振幅の変化をカウントすることで、原点位置を基準としたスライダ30の位置を検出することができる。
【0058】
さらに、スライダ30が他端側へ移動し、磁気スケールS1の一端側端部の永久磁石S11が基板112Aの他端側の第1センサSA2に到達するタイミングにおいて、磁気スケールS1の他端側端部の永久磁石S11が基板112Cの一端側の第1センサSA1に到達する。これにより、基板112Bのコントローラ200には、基板112Aの他端側の第1センサSA2からの1/2振幅のA相の正弦波信号と、基板112Cの一端側の第1センサSA1からの1/2振幅のA相の正弦波信号が加算回路S8で足し合わされ、2/2振幅のA相の正弦波信号として入力される。これにより、基板112Bのコントローラ200に入力されるA相の正弦波信号の連続性が保たれる。
【0059】
スライダ30がさらに他端側へ移動すると、磁気スケールS1の一端側端部の永久磁石S11が基板112Aの他端側の第2センサSB2に到達するタイミングにおいて、磁気スケールS1の他端側端部の永久磁石S11が基板112Cの一端側の第2センサSB1に到達する。これにより、A相の正弦波信号の場合と同様に、基板112Bのコントローラ200に入力されるB相の余弦波信号の連続性が保たれる。
【0060】
スライダ30がさらに他端側へ移動すると、基板112Bのコントローラ200には、他端側に隣接する基板112Cの一端側の第1センサSA1、第2センサSB1からのそれぞれA相のパルス信号とB相のパルス信号のみが入力される。さらに、それ以前にコントローラ200に入力されていた、一端側に隣接する基板112Aの他端側の第1センサSA2、第2センサSB2からのそれぞれA相のパルス信号とB相のパルス信号との連続性は確保されるので、基板112Cの一端側の第1センサSA1、第2センサSB1からのそれぞれA相のパルス信号とB相のパルス信号の振幅の変化を追加してカウントすることで、基板112Bが取り付けられている固定子110に対するスライダ30の原点位置を基準としたスライダ30の位置を検出することができる。
【0061】
なお、磁気スケールS1の他端側端部の永久磁石S11が基板112Cの一端側の第1センサSA1、第2センサSB1に到達した以降においては、基板112Bのコントローラ200の場合と同様に、基板112Cのコントローラ200が、基板112Cが取り付けられている固定子110に対するスライダ30の原点位置を基準としたスライダ30の位置を検出することができる。
【0062】
この結果、コントローラ200は、入力されるA相,B相,Z相の信号に基づいて固定子110に対するスライダ30の位置を検知し、メインの制御装置によって予め定められたプログラムに基づき、スライダ30の位置に対応して界磁電磁石111の界磁コイルへの通電を制御し、スライダ30の移動を制御する。
【0063】
基板112A(112B、112C、112D)のコントローラ200は、両側に配置された固定子110に設けられた、一端側に隣接するユニットフレーム101の基板112Dと他端側に隣接する基板112B(基板112Aと基板112C,基板112Bと基板112D、基板112Cと他端側に隣接するユニットフレーム101の基板112A、以下同様)のセンサ類の出力を利用して、当該固定子110よりもX方向に長いストローク範囲でスライダ30の位置検出を実現することが可能となる。本実施形態において、第1センサSA1、SA2と、第2センサSB1、SB2とは、二つ一組のセンサセットの一例である。また、本実施形態において、加算回路S8は、各第1センサSA1、SA2の出力したパルス信号を加算するとともに、各第2センサSB1、SB2の出力したパルス信号を加算し、センサセットの出力した位置検出信号を足し合わせて連続的なパルス信号を出力する位置検出信号合算部の一例である。本発明の位置検出手段は、磁気スケールS1,S2と、これら各第1、第2センサSA1、SA2、SB1、SB2、加算回路S8および第3センサSZとを備えたものとして、位置検出装置Sに具体化されている。
【0064】
以上において、往路側のリニア駆動部20Aにおけるスライダ30の位置検出およびスライダ30の移動の制御について詳細に記載したが、復路側のリニア駆動部20Bにおいても、ユニットフレーム101には、当該ユニットフレーム101を構成する4つの固定子110に対応して、4つの基板112A、112B、112C、112DがY方向前側に一端側から他端側への順番で取り付けられている。各基板112A、112B、112C、112Dには、それぞれ外部との結線のためのワイヤーハーネス115が接続されるコネクタ114が設けられたプレート113が取り付けられている。ワイヤーハーネス115はユニットフレーム101のY方向前側に延びるように配置される。
【0065】
復路側のリニア駆動部20Bにおいて、スライダ30が他端側から一端側に移動する際、例えば基板112Bのコントローラ200は、他端側の基板112Cの第3センサSZが磁気スケールS2の一端側の一組の永久磁石S21,S22を検知して出力されるZ相のパルス信号により、基板112Cが取り付けられている他端側に隣接する固定子110に対するスライダ30の原点位置を求めるとともに、スライダ30が原点位置を通過するタイミングからの、基板112Cの一端側の第1センサSA1、第2センサSB1からのそれぞれA相の正弦波信号とB相の余弦波信号の振幅の変化をカウントすることで、他端側に隣接する固定子110の原点位置を基準としたスライダ30の位置を検出することができる。なお、一端側の基板112Aの他端側の第1センサSA2、第2センサSB2には磁気スケールS1の永久磁石S11,S12はいずれも到達していない。
【0066】
スライダ30が他端側から一端側にさらに移動し、磁気スケールS1の他端側端部の永久磁石S11が基板112Cの一端側の第2センサSB1を通過、すなわち磁気スケールS1の一端側端部の永久磁石S11が基板112Aの他端側の第1センサSA2、第2センサSB2を通過した以降においても、それ以前に他端側に隣接する基板112Dの一端側の第1センサSA1から出力されたA相のパルス信号に対し、一端側に隣接する基板112Aの他端側の第1センサSA2から出力されるA相のパルス信号は同期し且つ滑らかに連続する。同様に、通過以前に他端側に隣接する基板112Dの一端側の第2センサSB1から出力されたB相のパルス信号に対し、通過した以降に一端側に隣接する基板112Aの他端側の第2センサSB2から出力されるB相のパルス信号は同期し且つ滑らかに連続する。これにより、基板112Bのコントローラ200は、磁気スケールS1の他端側端部の永久磁石S11が基板112Dの一端側の第1センサSA1、第2センサSB1を通過した以降も、基板112Cすなわち他端側に隣接する固定子に設定される原点位置を基準としたスライダ30の位置を検出することができる。
【0067】
また、一端側端部と他端側端部の磁気スケールS2、S2の間隔が既知であり、基板112Cにおける磁気センサSZと基板112Bにおける磁気センサSZとの間隔Lzを検知することができるので、他端側に隣接する固定子110の原点位置を基準としたスライダ30の位置から、基板112Bの磁気センサSZが一端側端部の磁気スケールS2を検出する以降、基板112Bすなわち基板112Bが取り付けられている固定子に設定される原点位置を基準としたスライダ30の位置を検出することができる。
【0068】
この結果、コントローラ200は、入力されるA相,B相,Z相の信号に基づいて固定子110に対するスライダ30の位置を検知し、メインの制御装置によって予め定められたプログラムに基づき、スライダ30の位置に対応して界磁電磁石111の界磁コイルへの通電を制御し、スライダ30の移動を制御する。
【0069】
図1を参照して、リニア搬送装置10の第1の循環装置40は、往路側のリニア駆動部20Aの他端側の下流端に対向してスライダ30を受取可能な受取位置と、復路側のリニア駆動部20Bの他端側の上流端に対向して、スライダ30を載置可能とされ受け渡し可能な受け渡し位置との間で往復移動可能に構成された搬送ユニット41と、搬送ユニット41を受取位置と受け渡し位置との間に駆動する駆動ユニット42と、スライダ30に係合離脱可能且つX方向に移動可能とされ、係合した状態のスライダ30をリニア駆動部20Aの下流端から受取位置に位置する搬送ユニット41上へX方向に移動することで、スライダ30の受取動作を行うスライダ移送ユニット43と、スライダ30に係合離脱可能且つX方向に移動可能とされ、受取位置からY方向移動により受け渡し位置に位置する搬送ユニット41上から、係合した状態のスライダ30をリニア駆動部20Bの上流端へX方向に移動することで、スライダ30の受け渡しを動作を行うスライダ移送ユニット44とを備えており、往路側のリニア駆動部20Aから搬送されたスライダ30を同じ姿勢のまま、復路側のリニア駆動部20Bに循環させることができるようになっている。
【0070】
また、第2の循環装置50は、復路側のリニア駆動部20Bの一端側の下流端に対向してスライダ30を受取可能な受取位置と、往路側のリニア駆動部20Aの一端側の上流端に対向して、スライダ30を受け渡し可能な受け渡し位置との間で往復移動可能に構成された搬送ユニット51と、搬送ユニット51を受取位置と受け渡し位置との間に駆動する駆動ユニット52と、スライダ30に係合離脱可能且つX方向に移動可能とされ、係合した状態のスライダ30をリニア駆動部20Bの下流端から受取位置に位置する搬送ユニット51上へX方向に移動することで、スライダ30の受取動作を行うスライダ移送ユニット53と、スライダ30に係合離脱可能且つX方向に移動可能とされ、受取位置からY方向移動により受け渡し位置に位置する搬送ユニット51上から、係合した状態のスライダ30をリニア駆動部20Aの上流端へX方向に移動することで、スライダ30の受け渡しを動作を行うスライダ移送ユニット54とを備えており、復路側のリニア駆動部20Bから搬送されたスライダ30を同じ姿勢のまま、往路側のリニア駆動部20Aに循環させることができるようになっている。第2の循環装置50の受け渡し位置からは、作業者が任意にスライダ30を往路側のリニア駆動部20Aに導入することができるようになっている。各リニア駆動部20A、20Bに同時に導入されるスライダ30の個数は、あふれが生じない範囲内において、任意に設定することが可能になっている。
【0071】
ここで図示の実施形態では、第2の循環装置50において、往路側のリニア駆動部20Aの上流端を構成する固定子110の基板112Aの上流側に隣接して配置された一端側センサ基板60Aと、第1の循環装置40において、往路側のリニア駆動部20Aの下流端を構成する固定子110の基板112Dの下流側に隣接して配置された他端側センサ基板61Aとが、それぞれ設けられている。同様に、第1の循環装置40において、復路側のリニア駆動部20Bの上流端を構成する固定子110の基板112Dの上流側に隣接して補助のセンサ基板である他端側センサ基板61Aが配置され、第2の循環装置50において、復路側のリニア駆動部20Bの下流端を構成する固定子110の基板112Aの下流側に隣接して配置された補助のセンサ基板である一端側センサ基板60Aとが、それぞれ設けられている。
【0072】
往路側のリニア駆動部20Aおよび復路側のリニア駆動部20Bの各一端側センサ基板60Aには、他端側に第1センサSA2,および第2センサSB2が設けられる。また、往路側のリニア駆動部20Aおよび復路側のリニア駆動部20Bの各他端側センサ基板61Aには、一端側に第1センサSA1,第2センサSB1、および第3センサSZが設けられる。
【0073】
各一端側センサ基板60Aと各基板112Aの間、各基板112Dと各他端側センサ基板61Aの間は、それぞれハーネス117によって接続されている。そして、各一端側センサ基板60Aの下流側に隣接する基板112Aと接続されるコントローラ200は、基板112Bに設けられる第1センサSA1からのA相の信号と一端側センサ基板60Aに設けられる第1センサSA2からのA相の信号との合算信号、基板112Bに設けられる第2センサSB1からのB相の信号と一端側センサ基板60Aに設けられる第2センサSB2からのB相の信号との合算信号、および基板112Aの第3センサSZからのZ相の信号に基づき、基板112Aが取り付けられる固定子110に対するスライダ30の位置を検知する。
【0074】
また、他端側センサ基板61Aの上流側に隣接する基板112Dと接続されるコントローラ200は、基板112Cに設けられる第1センサSA2からのA相の信号と他端側センサ基板61Aに設けられる第1センサSA1からのA相の信号との合算信号、基板112Cに設けられる第2センサSB2からのB相の信号と他端側センサ基板61Aに設けられる第2センサSB1からのB相の信号の合算信号、および往路側のリニア駆動部20Aでは基板112Dの第3センサSZからのZ相の信号、復路側のリニア駆動部20Bでは他端側センサ基板61Aに設けられる第3センサSZからのZ相の信号、移動途中からは基板112Dの第3センサSZからのZ相の信号に基づき、基板112Dが取り付けられる固定子110に対するスライダ30の位置を検知する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係るリニア搬送装置10によれば、X方向(移動経路に沿う方向)において、往路側のリニア駆動部20Aおよび復路側のリニア駆動部20Bを構成するスライダ30を駆動している複数の固定子110の各々において、固定子110に設けた基板112Bの両側の基板112A,112Cに設けた2つの位置検出手段からの位置検出信号を足し合わせて、当該固定子110に対するスライダ30の位置を求めているので、当該固定子110に設けられた基板112Bの長さ、すなわち当該固定子110の長さより長いスライダ30の移動ストローク範囲で固定子110に対するスライダ30の位置検出をすることができる。
【0076】
しかも、往路側のリニア駆動部20Aおよび復路側のリニア駆動部20Bを構成する個々の固定子110に設けられたセンサ基板としての基板112A〜112Dは、当該固定子110のモータ本体部を構成するユニットフレーム101の内側に収まっているので、余分なはみ出し部分ができることもない。そのため、固定子110を単体で取り扱う場合、取り扱いが格段に容易になる。また、複数の固定子110を基台11等に連設する場合や、連設された複数の固定子110を解体する場合において、あるいは固定子ユニット100を追加して往路側のリニア駆動部20Aや復路側のリニア駆動部20Bの長さを長くする連結作業をする場合において、基板112Aあるいは112Dの着脱作業が不要になるので、解体作業や連結作業の効率が良いリニア搬送装置を得ることができる。
【0077】
また、本実施形態では、X方向の両側に隣接して連設された固定子110に取り付けられた基板に隣接する2つの基板に設けられたそれぞれ位置検出手段としての第1センサSA1、SA2から出力される位置検出信号としてのパルス信号を足し合わせるとともに、固定子110に取り付けられた基板に隣接する2つの基板に設けられたそれぞれ位置検出手段としての第2センサSB1、SB2から出力される位置検出信号としてのパルス信号を足し合わせる位置検出信号合算部としての加算回路S8を備えている。このため本実施形態では、スライダ30を駆動している固定子110に設けられたセンサ基板の長さより長いスライダ30の移動ストローク範囲で固定子110に対するスライダ30の位置検出をすることができる。
【0078】
また、本実施形態では、各センサSA1、SA2、SB1、SB2が、X方向において、固定子110の一方の端部側と他方の端部側に配置されたホールセンサを二つ一組にした2組のセンサセットを構成し、加算回路S8が、位置検出信号を足し合わせて連続的なパルス信号を出力するパルス合算部を構成している。そして、本実施形態に係る位置検出手段は、これらセンサセット、およびパルス合算部を備えたものとして具体化されている。このため本実施形態では、各基板112A〜112Dが対応する固定子110と同一寸法に設定されて、X方向にずれることなく面一にユニットフレーム101に固定されていることと相俟って、比較的広いストローク範囲にわたり、可動子の位置を検出することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態では、第1センサSA1と第2センサSB1、第1センサSA2と第2センサSとのそれぞれの配置ピッチが、磁気スケールS1における隣接する永久磁石S11と永久磁石S12の間の配置ピッチの例えば1/2、3/2としているので、各第1センサSA1、SA2が構成するセンサセットの出力するパルス信号と、第2センサSB1、SB2が構成するセンサセットの出力するパルス信号とは、位相が相対的にπ/2ずれている。このため本実施形態では、2組のセンサセットによって、一方を正弦波、他方を余弦波として用いることにより分解能を向上し、高い位置検出機能を発揮することができる。
【0080】
また、本実施形態では、原点位置センサとしての第3センサSZは、X方向において、当該固定子110の一端側に近接する位置に取り付けられている。このため本実施形態では、第3センサSZが、X方向において、当該固定子110の一方の端部側(一端側)に近接する位置に取り付けられているので、このセンサ基板に設けられた原点位置センサ(第3センサSZ)と、この基板に隣接する基板に設けられた原点位置センサとの間の配置ピッチLzと、X方向における固定子110の長さLsとのオフセット量L1、L2が可及的に少なくなる。そのため、この基板の制御装置200がスライダ30を制御することのできるストローク範囲が広くなり、制御が簡素化する。
【0081】
また、本実施形態では往路側のリニア駆動部20Aは、一端側(スライダ30移動方向における上流側)端部に隣接して取り付けられ、他端側(同移動方向における下流側)位置に第1センサSA1,第2センサSB1が設けられたセンサ基板60Aと、他端側端部に隣接して取り付けられ、一端側位置に第1センサSA2,第2センサSB2、および第3センサSZが設けられたセンサ基板61Aとを備え、復路側のリニア駆動部20Bは、一端側(スライダ30移動方向における下流側)端部に隣接して取り付けられるセンサ基板60Aと、他端側端部に隣接して取り付けられるセンサ基板61Bとを備えている。
【0082】
このため本実施形態では、往路側のリニア駆動部20Aの上流端部を構成する固定子110において、補助のセンサ基板であるセンサ基板60Aと当該固定子110に設けられる基板112Aに隣接する基板112Bとの、基板112Aの両側からそれぞれ出力される信号に基づき、リニア駆動部20Aの上流端部を構成する固定子110に進入する各スライダ30の位置検出制御を実行することが可能になり、スライダ30を最も上流側の固定子110に進入させて直ちに、基板112Aの第3センサSZの検出する原点位置に基づき、スライダ30の位置を検出しつつスライダ30の移動制御が可能となる。
【0083】
また、往路側のリニア駆動部20Aの下流端部を構成する固定子110においても、この固定子110に設けられる基板112Dに隣接する基板112Cと補助のセンサ基板であるセンサ基板61Aとの、基板112Dの両側からそれぞれ出力される信号に基づき、リニア駆動部20Aの下流端部を構成する固定子110から端部側から退出しようとするスライダ30の位置検出制御を実行することが可能になり、スライダ30の位置を検出しつつスライダ30の退出移動の制御が可能となる。
【0084】
同様に、復路側のリニア駆動部20Bの上流端部を構成する固定子110において、補助のセンサ基板であるセンサ基板61Aと当該固定子110に設けられる基板112Dに隣接する基板112Cとの、基板112Dの両側からそれぞれ出力される信号に基づき、リニア駆動部20Bの上流端部を構成する固定子110に進入する各スライダ30の位置検出制御を実行することが可能になり、スライダ30を他端方向から最も上流側の固定子110に進入させて直ちに、センサ基板61Aの第3センサSZの検出する原点位置に基づき、スライダ30の位置を検出しつつスライダ30の移動制御が可能となる。
【0085】
また復路側のリニア駆動部20Bの下流端部を構成する固定子110においても、この固定子110に設けられる基板112Aに隣接する基板112Bと補助のセンサ基板であるセンサ基板60Aとの、基板112Aの両側からそれぞれ出力される信号に基づき、リニア駆動部20Bの下流端部を構成する固定子110から一端方向へ退出しようとするスライダ30の位置検出制御を実行することが可能になり、スライダ30の位置を検出しつつスライダ30の退出移動の制御が可能となる。
【0086】
また、本実施形態においては、両側に連設される基板同士(112Aと112B、112Bと112C、112Cと112D、112Dと112A、または、60Aと112A、112Dと61A)を電気的にハーネス117で接続している。かかる構成において、固定子111のX方向寸法LsとX方向寸法Lbが略等しい基板112A〜112Dを採用しているので、ハーネス117を可及的に短くすることが可能となる。従って、ハーネス117において、ノイズ重畳の懸念も無くなり、差動伝送方式をシングルエンド伝送方式に切り換えることも可能となる。
【0087】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることはいうまでもない。
【0088】
例えば、センサは、ホールセンサが好適であるが、ホールセンサ以外のセンサ素子を使用してもよい。直線状、或いは直線的という表現は、工学的な意味合いであり、湾曲した経路を排除する趣旨ではない。
【0089】
また、往路側のリニア駆動部20Aを上方から見て180度回転させ、上述した実施の形態の復路側のリニア駆動部20Bと置き換え、往路側も復路側も同じリニア駆動部20Aで構成しても良い。この場合は、基板112A〜112D、コネクタ114,116、およびハーネス115,117が往路側ではY方向前側、復路側ではY方向後側となり、点検整備性が向上する。
【0090】
その他、本発明の特許請求の範囲内で種々の変更が可能であることは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0091】
1 リニア搬送装置
20A 往路側のリニア駆動部
20B 復路側のリニア駆動部
30 スライダ
33 永久磁石(可動子の一例)
40 循環装置
50 循環装置
60A 往路端部側センサ基板(端部側センサ基板の一例)
61A 復路端部側センサ基板(端部側センサ基板の一例)
100 固定子ユニット
101 ユニットフレーム(モータ本体部の一例)
103 レール
110 固定子
112A−112D 基板(センサ基板の一例)
S リニアスケール
S1 磁気スケール
S2 磁気スケール
SA1 第1センサ(位置検出手段の一例)
SA2 第1センサ(位置検出手段の一例)
SB1 第2センサ(位置検出手段の一例)
SB2 第2センサ(位置検出手段の一例)
SZ 第3センサ(原点位置検出センサの一例)
S8 加算回路(位置検出信号合成部の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動子を有するスライダの移動経路に配置されるモータ本体部と、前記モータ本体部に取り付けられ、当該スライダの前記可動子と対向し、当該移動経路に沿って並ぶ複数の固定子とを備え、前記固定子と前記可動子との間に吸引力を発生させながら当該移動経路に沿って前記スライダを移動させるリニアモータにおいて、
前記固定子の各々に対し、当該移動経路に沿う方向における前記固定子の寸法内に収まるように取り付けられた複数のセンサ基板と、
前記センサ基板の各々に取り付けられ、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流部において、前記スライダを検出して位置検出信号を出力する上流側位置検出手段と、前記移動方向における前記センサ基板の下流部において、前記スライダを検出して位置検出信号を出力する下流側位置検出手段と、
前記センサ基板に取り付けられ、前記スライダの移動方向における当該センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の前記下流側位置検出手段からの前記位置検出信号と、前記スライダの移動方向における当該センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の前記上流側位置検出手段からの前記位置検出信号とを足し合わせ、これにより得られる合算信号を出力可能な位置検出信号合算部と、位置検出信号合算部からの合算信号に基づき、当該センサ基板が取り付けられた前記固定子に対する前記スライダの位置を検出する制御装置と
を備えていることを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
請求項1記載のリニアモータにおいて、前記上流側位置検出手段および前記下流側位置検出手段と対向し、前記スライダの移動方向においてS極とN極の磁極が交互に違えた状態で前記スライダに等ピッチで配設された磁気スケールを備えていることを特徴とするリニアモータ。
【請求項3】
請求項1または2記載のリニアモータにおいて、
前記上流側位置検出手段および前記下流側位置検出手段と対向し、前記スライダの移動方向においてS極とN極の磁極が交互に違えた状態で前記スライダに等間隔に配設された磁気スケールを備え、
前記スライダの移動方向における当該センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の前記下流側位置検出手段が、前記磁気スケールの上流側端部の前記磁極と対向する時、移動方向における当該センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の前記上流側位置検出手段が、前記磁気スケールの下流側端部の前記磁極と対向し、且つ当該下流側位置検出手段と当該上流側位置検出手段が対向する前記磁極がS極とN極のいずれか同じとなるように、前記磁気スケールの長さ、磁極の配列、および当該下流側位置検出手段と当該上流側位置検出手段との前記スライダの移動方向における間隔が設定されていることを特徴とするリニアモータ。
【請求項4】
請求項1記載のリニアモータにおいて、
前記上流側位置検出手段と前記下流側位置検出手段は、それぞれ前記スライダの移動方向において位置の異なる2つのセンサから構成され、
前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の下流側位置検出手段の前記移動方向上流側のセンサと、前記センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の上流側位置検出手段の前記移動方向上流側のセンサとのそれぞれからの位置検知信号を、前記センサ基板に取り付けられた前記位置検出信号合算部で足し合わせ、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の下流側位置検出手段の前記移動方向下流側のセンサと、前記センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の上流側位置検出手段の前記移動方向下流側のセンサとのそれぞれからの位置検知信号を、前記位置検出信号合算部で足し合わせるようにしたことを特徴とするリニアモータ。
【請求項5】
請求項4記載のリニアモータにおいて、
前記上流側位置検出手段および前記下流側位置検出手段と対向し、前記スライダの移動方向においてS極とN極の磁極が交互に違えた状態で前記スライダに等ピッチで配設された磁気スケールを備え、
前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の下流側位置検出手段の前記移動方向上流側のセンサと、前記センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の上流側位置検出手段の前記移動方向上流側のセンサ、あるいは、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の下流側位置検出手段の前記移動方向下流側のセンサと、前記センサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の上流側位置検出手段の前記移動方向下流側のセンサが、それぞれ前記磁気スケールの下流側端部の前記磁極と対向し、且つ当該下流側位置検出手段と当該上流側位置検出手段が対向する前記磁極がS極とN極のいずれか同じとなるように、前記磁気スケールの長さ、磁極の配列、および当該下流側位置検出手段と当該上流側位置検出手段との前記スライダの移動方向における間隔が設定され、
当該上流側位置検出手段と当該下流側位置検出手段におけるそれぞれ2つのセンサの前記移動方向における配置ピッチを、磁気スケールの隣接する磁極の配置ピッチに1/2、あるいは3/2、さらにはこれらに2の整数倍を加えたものを乗じたものとしたことを特徴とするリニアモータ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載のリニアモータにおいて、
前記センサ基板に取り付けられ、前記スライダを検出して前記位置検出信号合成部からの合成信号の原点位置を与える原点位置信号を出力する原点位置センサを備えていることを特徴とするリニアモータ。
【請求項7】
請求項6記載のリニアモータにおいて、
前記原点位置センサは、前記スライダの移動方向における前記センサ基板の上流側に取り付けられていることを特徴とするリニアモータ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載のリニアモータにおいて、
前記スライダの移動方向における最も上流側の固定子に取り付けられる最も上流側のセンサ基板の上流側に隣接してさらに補助のセンサ基板を設け、この補助のセンサ基板の下流部に前記下流側位置検出手段を設け、前記最も上流側の固定子に前記スライダを進入させて移動させるに際し、当該最も上流側の固定子に対する前記スライダの位置を、前記補助のセンサ基板の前記下流側位置検出手段からの前記位置検出信号と、前記最も上流側のセンサ基板の下流側に隣接するセンサ基板の前記上流側位置検出手段からの前記位置検出信号とを前記位置検出信号合算部で足し合わせ、これにより得られる前記位置検出信号合算部からの合算信号に基づき、前記最も上流側のセンサ基板に取り付けられた制御装置により検出させるようにしたことを特徴とするリニアモータ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のリニアモータにおいて、
前記スライダの移動方向における最も下流側の固定子に取り付けられる最も下流側のセンサ基板の下流側に隣接してさらに補助のセンサ基板を設け、この補助のセンサ基板の上流部に前記上流側位置検出手段を設け、前記最も下流側の固定子から前記スライダを移動させて退出させるに際し、当該最も下流側の固定子に対する前記スライダの位置を、当該補助のセンサ基板の前記上流側位置検出手段からの前記位置検出信号と、前記最も下流側のセンサ基板の上流側に隣接するセンサ基板の前記下流側位置検出手段からの前記位置検出信号とを前記位置検出信号合算部で足し合わせ、これにより得られる前記位置検出信号合算部からの合算信号に基づき、前記最も下流側のセンサ基板に取り付けられた制御装置により検出させるようにしたことを特徴とするリニアモータ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のリニアモータを備え、前記スライダに被搬送物を搭載可能としたことを特徴とするリニア搬送装置。
【請求項11】
請求項10記載のリニア搬送装置において、所定数のリニアモータを配置するとともに、所定数のリニアモータ一の内、一のリニアモータの他方の端部から隣接するリニアモータの一方の端部へ前記スライダを循環させる第1の循環装置を設けるようにし、各リニアモータの端部を前記スライダを循環させる循環装置で連結し、N台のリニアモータの最後のリニアモータの他方の端部から前記一のリニアモータの一方の端部へ前記スライダを循環させる最後の循環装置を設けるようにしたことを特徴とするリニア搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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