説明

リニアモータ

【課題】内部の鉄心構成部を薄型化しつつ漏れ磁束による損失の少ない高速化に対応した可動子を有するリニアモータを提供する。
【解決手段】複数の第1の歯を備え対向して配置された一次側磁束発生部材としての2つの固定子2、3と、複数の第1の歯と対向する複数の第2の歯を備え、2つの固定子2、3の間に配置された二次側磁束発生部材としての可動子4とを具備するリニアモータにおいて、2つの固定子2、3が可動子4を挟んで対向する位置に磁極としての複数の第1の歯を備えているとともに、可動子4が、複数の第2の歯を備える鉄心構成部と、固定子2、3の対向する方向に対して開口部が設けられ、開口部の内部に鉄心構成部を収めた状態で支持する枠体とを備えるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石埋め込み型磁気回路を用いたリニアモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リニアモータは位置決め精度が高く耐摩耗性に優れる等の特徴を有しており、クリーンな環境下での半導体関連の物品の搬送など様々な用途で用いられるとともに、多様な形態のものが知られている。その中でも、磁石埋め込み型磁気回路を用いたリニアモータは、典型的な磁気回路を用いたものに比べ、同じ大きさでもより大きな推力を取り出すことが可能なものである。
【0003】
こうした磁石埋め込み型磁気回路を有するリニアモータとして、下記特許文献1のものが知られている。このものは、平板状に構成した可動子を二次側磁界発生部材として直線方向に移動可能に設けるとともに、当該可動子の表裏面にそれぞれ対向する一次側磁界発生部材としての固定子を設け、それぞれ対向する面に磁石または鉄心からなる歯を形成している。このように可動子側を二次側磁界発生部材として構成することで、可動子は磁石やコイル、さらには電気的接続部を必要とせず軽量化することができるため、より高速に移動を行わせることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−130892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に挙げたリニアモータをさらに高性能化しようとした場合、可動子をさらに軽量化することが考えられる。この可動子の製作方法について上記の特許文献1では具体的には言及されていないが、一般には可動子の歯を構成する鉄心は渦電流の発生による効率低下を避けるために鋼板を積層してボルトによって締結することで製作される。
【0006】
すなわち、特許文献1により開示される技術に一般の積層鋼板による鉄心の製作方法を組み合わせると、具体的には次のようになるものと推測できる。
【0007】
まず、図18に示すように、平板状に構成した可動子504を二次側磁界発生部材としてリニアガイドレール506、506とリニアベアリング507、507とを介してベース501上に直線方向(図のX方向)に移動可能に設ける。そして、当該可動子504の表裏面にそれぞれ対向させて一次側磁界発生部材としての固定子502、503を設ける。さらに、固定子502、503の表面にはそれぞれ図示しない第1の歯を設け、可動子504の表面には後述する第2の歯を設ける。可動子504は、図19に示すように、鉄等の軟磁性材料からなる鉄心構成部541を左右に張り出した形態の支持部542によって挟み込んで固定した形態となっており、当該支持部542によって、図18に示すように、リニアベアリング507の上に固定される。また、上側の固定子502は左右に配された上側固定子支持部材505、505を介して、下側の固定子503は直接的に各々ベース501上に固定される。
【0008】
鉄心構成部541(図19参照)は、図20(a)に中心断面図として示すように、図の上下の面にそれぞれ等ピッチで、上述した第2の歯543、544を形成され、これら第2の歯543、544は、図中の左右方向(X方向)に板状に延出して形成される中間部545と接続されることで全てが一体化している。この鉄心構成部541は、図20(b)に示すような形状の鋼板508を図中の紙面奥行き方向(Y方向)に積層させることによって構成する。図20(a)および(b)に示すように、それぞれの鋼板508は上記第2の歯543、544に対応する凸部581、582をそれぞれ間隙583、584を設けつつX方向に連続的に等ピッチで形成している。そして、上記の板状の中間部545を形成する中間帯部585にはボルト547を挿通するために長孔586を設けている。
【0009】
このように形成した複数の鋼板508を図中の紙面奥行き方向(Y方向)に重ねた状態で、重なった長孔586が中間部545の内部において形成するボルト孔546の中をボルト547を挿通させて、図19に示す鉄心構成部541を形成しつつ当該鉄心構成部541を支持部542に対して固定することになる。
【0010】
以上のように、一般的な鋼板の積層方法を用いて、特許文献1に開示されるリニアモータを現実化しようとした場合、図20(a)および(b)に示すように、それぞれの鋼板508の中央にボルト547を挿通するための長孔586が必要となるために、中間帯部585の幅Bを長孔586の幅に対して十分広くすることが必要となる。そのため鉄心構成部541の厚さHをある一定以下には小さくすることができず、鉄心構成部541およびこれを含んだ可動子504(図19参照)の軽量化には限界が生じる。
【0011】
また、中間帯部585の幅Bを長孔586の幅以上に幅広く形成することが必要であるため漏れ磁束による効率の低下も生じる。図21に模式的に示すように、特許文献1に示すようなリニアモータを駆動させるためには、固定子502、503における第1の歯523、533と可動子504における第2の歯543、544との間に磁気回路Mを形成させることになる。同図は例として可動子504を右方向に移動させる場合の位置関係を示したものであり、磁気回路Mは時計回りの方向に形成されている。しかしながら、可動子504内部の中間部545の幅Bが大きいために、隣接する第2の歯543・543、544・544の間で漏れ磁束Mが生じる。その分磁気回路上の損失となって効率が低下し、可動子504の推力が減少することになる。
【0012】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には内部の鉄心構成部を薄型化することによって、軽量で、かつ漏れ磁束による損失の少ない可動子を有するリニアモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0014】
すなわち、本発明のリニアモータは、複数の第1の歯を備え対向して配置された一次側磁束発生部材としての2つの固定子と、前記複数の第1の歯と対向する複数の第2の歯を備え前記2つの固定子の間に配置された二次側磁束発生部材としての可動子とを具備するリニアモータにおいて、前記2つの固定子が前記可動子を挟んで対向する位置に磁極としての複数の第1の歯を備えているとともに、前記可動子が、前記複数の第2の歯を備える鉄心構成部と、前記固定子の対向する方向に対して開口部が設けられ、当該開口部の内部に前記鉄心構成部を収めた状態で支持する枠体とを備えていることを特徴とする。
【0015】
ここで、本発明において用いる「一次側磁束発生部材」とは、電流を与えることができるコイル等の起磁力を有する部材を含むものであって、磁界を生じさせることや変化させることが可能なものをいい、「二次側磁束発生部材」とは一次側磁束発生部によって形成された磁界内部に置かれて磁化される性質を有するものであって、新たな磁束を発生させることや磁束を集中させることが可能なものをいうものとする。
【0016】
さらに、本発明において用いる「鉄心構成部」とは、可動子内において鉄心としての機能を有する部位を総称するものであり、単独の構成要素からなる場合と分割された複数の構成要素からなる場合とを問わない。
【0017】
上記のように構成すると、第2の歯を備える鉄心構成部を枠体の開口部に収める形態で支持させることによって、鉄心構成部の厚み方向の範囲内に貫通孔を設ける必要がなくなるため、第2の歯同士をつなぐ中間部を薄くして鉄心構成部の厚みを抑えることで可動子の軽量化を図るとともに、第2の歯同士の間での漏れ磁束を低減して効率を向上させることで、可動子の高速化を図ることが可能となる。
【0018】
また、可動子の幅方向に対して平行となる軸回りのたわみを防止して、第1の歯と第2の歯との隙間を適正に保つことで推進力の低下を抑制するためには、前記枠体が、前記対向する2つの固定子に挟まれる固定子対向部と、当該固定子対向部より前記可動子の動作する方向に対して直交する方向に張り出した張り出し部とを備えており、当該張り出し部を前記可動子の動作方向に沿って形成するとともに、前記固定子対向部よりも厚くするように形成することが好適である。
【0019】
また、さらに可動子の軽量化や漏れ磁束の低減効果を高めて、より可動子の高速化を図るためには、前記複数の第2の歯が、各々独立して、かつ、複数の鋼板を積層することにより形成されているとともに、前記枠体が、前記第2の歯の両端部に対応する位置に対をなすように形成された凹部を所定ピッチで複数組形成されており、前記複数の第1の歯を、その両端部を前記凹部に係合させるようにして設けることが好適である。
【0020】
また、渦電流による損失を防ぐことにより効率を向上させ、より可動子の推進力を高めるためには、前記複数の第2の歯を形成する複数の鋼板が前記固定子の対向方向に平行になるような向きにして積層されているように構成することが好適である。
【0021】
また、枠体に対する複雑な加工が不要にしてより可動子の製作を容易にするためには、上記のような第2の歯を各々独立化した鉄心構成部の構成に代えて、前記鉄心構成部が、複数の第2の歯と、それら複数の第2の歯の両端部に各々接続され、前記複数の第2の歯を所定ピッチで平行に配置した状態で支持する一対の側板とを備えているように構成することが好適である。
【0022】
また、さらに可動子の製作の容易にするためには、鉄心構成部を鋼板を同一方向に積層させるのみで製作できるようにすることが好ましく、上記の鉄心構成部の構成に代えて、前記鉄心構成部が、前記可動子の移動方向および前記固定子の対向方向に平行になるような向きで複数の鋼板を積層して形成されており、前記複数の鋼板の各々が前記複数の第2の歯を構成する複数の歯構成部と、それら複数の歯構成部の各々を中央部近傍で連続して繋げる連結帯部とを備えるように構成することが好適である。
【発明の効果】
【0023】
以上説明した本発明によれば、軽量で、かつ、内部での漏れ磁束による損失の少ない可動子を有し、従来よりも高速動作が可能なリニアモータを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態に係るリニアモータの概略構成を示す斜視図。
【図2】同リニアモータの正断面図。
【図3】同リニアモータの要部断面図。
【図4】同リニアモータの可動子の平面図。
【図5】同リニアモータの可動子の斜視図。
【図6】同リニアモータの可動子の組立図。
【図7】同リニアモータの可動子の一部を構成する第2の歯を示す斜視図。
【図8】同リニアモータ内で形成される磁気回路の模式図。
【図9】本発明の第2実施形態に係るリニアモータの概略構成を示す斜視図。
【図10】同リニアモータの可動子の斜視図。
【図11】同リニアモータの可動子の分解斜視図。
【図12】同リニアモータの可動子の平面図。
【図13】同リニアモータの可動子の側面図並びに図12におけるA−A断面図およびB−B断面図。
【図14】本発明の第3実施形態に係るリニアモータの可動子の要部を示す斜視図。
【図15】同リニアモータの鉄心構成部を示す斜視図。
【図16】本発明の第4実施形態に係るリニアモータの可動子を形成する鉄心構成部を示す斜視図。
【図17】図16における鉄心構成部を構成する鋼板の平面図。
【図18】従来技術を用いて仮に構成したリニアモータの概略構成を示す斜視図。
【図19】同リニアモータの可動子の上面図。
【図20】同リニアモータの可動子の断面図および同可動子の構成要素である鋼板の側面図。
【図21】同リニアモータ内で形成される磁気回路の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、本実施形態に係るリニアモータの動作原理は上記特許文献1のものと同様であるため、詳細な磁極の形成方法に関する説明は省略する。
<第1実施形態>
【0026】
本発明の第1実施形態に係るリニアモータは、図1に示すように、大きくは、図中で上下に対向して配置した一対の一次側磁界発生部材としての固定子2、3と、その間に配された二次側磁界発生部材としての可動子4とから構成している。
【0027】
このうち下側の固定子3はベース1の上に直接的に固定し、上側の固定子2はコ字状に形成した上側固定子支持部5を介して下向きになるようにしてベース1の上に固定している。可動子4はリニアガイドレール6、6とリニアベアリング7〜7とを介してベース1に対して図中の座表軸に示すX方向に移動可能に設けている。
【0028】
ここで、図中で示すX方向とは可動子4の動作方向であり、Z方向とは一対の固定子2、3が対向する方向であり、Y方向とは固定子2、3や可動子4の幅方向すなわちX方向およびZ方向に直交する方向であり、可動子4や固定子2、3の幅方向ともいえる。図1以外の図面も、同様にX、Y、Zの各方向を上記の向きに設定しており、以下においては特に述べることなくこれらの軸方向を用いて説明を行うことがある。
【0029】
本実施形態において、可動子4を支持するリニアガイドレール6、6とリニアベアリング7〜7とは、コ字状に形成した上側固定子支持部5の内部に収まるように配置してあるために、可動子4の移動方向に対して上側固定子支持部5は干渉することが無いため、可動子4は大きなストロークで動作させることが可能となっている。
【0030】
また、この実施形態に係るリニアモータでは、図2の正断面図に示したように、上下に配置した固定子2、3は、それぞれ固定子コア部21、31とそれらの外周に設けたコイル22、32とから構成される。可動子4は平板状に構成した鉄心構成部41と、これを支持する枠体42とから構成され、枠体42はリニアベアリング6、6の上に固定されている。上下の固定子コア部21、31はそれぞれ平行に対向して配置しており、さらに、それらの間に鉄心構成部41が配置されるように構成している。鉄心構成部41と固定子コア部21、31とはそれぞれ対向する面同士が平行となるとともに、ギャップが同一となるように調整している。これらは、固定子コア部21、31によって鉄心構成部41に作用する磁気力を上下で釣り合わせて、鉄心構成部41に対してX方向以外の力ができる限り作用しないようにするためである。
【0031】
このように構成した固定子2、3のコイル22、32に対して図示しない制御部から所定のパターンで電流を与えることによって、固定子コア部21、31および鉄心構成部41間に種々のパターンの磁気回路を形成し、可動子4に対して図中X方向に向けた推力を発生させることができる。
【0032】
図3に、固定子コア部21、31と鉄心構成部41の断面を拡大して示す。なお、本図ではコイル22、32(図2参照)を構成する巻線部については省略してある。まず、上側の固定子2における固定子コア部21は、鉄心構成部41と対向する面に永久磁石からなる複数の第1の歯23、23を有しており、それらの間には空隙部24が形成されている。このように、固定子コア部21の表面には空隙部24を伴いながらX方向に所定のピッチで第1の歯23〜23を連続して形成している。
【0033】
さらに、下側の固定子3における固定子コア部31についても、上側の固定子2と同様に、鉄心構成部41と対向する面に複数の第1の歯33〜33を、空隙部34を伴いつつX方向に連続して所定のピッチで形成してある。また、上下の固定子コア部21、31における複数の第1の歯23〜23、33〜33は可動子4を挟んで互いに対称となる位置に配置されるようにしている。
【0034】
これら複数の第1の歯23〜23、33〜33と対向するようにして、鉄心構成部41には軟磁性材料である鋼板を積層して形成した第2の歯41aを、間隙部41bを形成しつつX方向に等ピッチで形成している。ここで、第2の歯41aを設けるピッチは、上述した第1の歯23、33を設ける際のピッチの2倍に設定している。この第2の歯41aは、それぞれ上側部分41a1が上側の固定子2における第1の歯23と対向し、下側部分41a2が下側の固定子3における第1の歯33と対向するものであるが、本実施形態においては上述したように上側固定子2における複数の第1の歯23〜23と、下側固定子3における複数の第1の歯33〜33とを可動子4を挟んで互いに対称な位置に設けているため、これらにそれぞれ対向する上側部分41a1と下側部分41a2は上下に連続して一体的に構成した第2の歯41aとして、それぞれが単なる矩形断面を有するものとして形成している。
【0035】
このように構成した可動子4は、厚み方向(Z方向)より見た場合に図4に示すようにH型の平板状に形成している。この可動子4は鉄心構成部41と、これを収めた状態で支持するする矩形状の開口部42cを備える枠体42より構成されている。
【0036】
鉄心構成部41は、Y方向に延在するように配置した第2の歯41a〜41aを空隙41b〜41bを挟みつつ所定ピッチでX方向に配置したものである。この鉄心構成部41bとともに、固定子固定子2、3(図2参照)に挟まれる枠体42の一部分は、固定子対向部42aとして、第2の歯41a〜41aと同じ厚さで形成されている。さらに、固定子対向部42aおよび鉄心構成部41より、可動子4の動作する方向に対して直交する方向(Y方向)には両側に枠体42の一部としての張り出し部42b、42bが設けられている。
【0037】
これらの張り出し部42b、42bは、両端部に矩形状の支持部42b1〜42b1が形成されており、その支持部42b1〜42b1にはネジ孔42b2〜42b2が設けてある。支持部42b1〜42b1はネジ孔42b2〜42b2を挿通させるネジ(図示せず)によってリニアベアリング7〜7(図1参照)の上部に固定され、X方向に対して動作可能に支持される。
【0038】
図5は可動子4を斜視図によって示したものである。可動子4は上述したように中央に矩形状の開口部42cを設けた枠体42と、その内部に収められた鉄心構成部41としての第2の歯41a〜41aより構成されている。枠体42は非磁性材料である樹脂やアルミ等で形成されており、鉄心構成部41としての第2の歯41a〜41aの位置決めを行いつつ内部で保持する保持部43と、保持部43内に納められた鉄心構成部41の固定を行うための固定部44、44によって構成されている。
【0039】
上述した固定子対向部42aは枠体42の一部として、鉄心構成部41と同じ厚さで、当該鉄心構成部41のX方向の前後でY方向に延在するように形成されている。第2の歯41aは各々長手方向がY方向になる向きに配置されるとともに、空隙41bを挟みながら可動子4の動作方向(X方向)に対して所定ピッチで並べられている。
【0040】
また、上述した張り出し部42b、42bは、保持部43と固定部44、44からなる枠体44の一部であり、上述したリニアベアリング7〜7(図1参照)にネジ孔42b2〜42b2を介して取り付けることにより、保持部43と固定部44、44とは一体化される。この張り出し部42b、42bは、その厚みt2が固定子対向部42aの厚みt1より大きくなるように形成されるとともに、可動子4の移動方向に沿って延在するように形成されている。そのため、張り出し部42b、42bは、可動子4のY軸回り方向のたわみを抑える強度メンバとして作用している。
【0041】
このような可動子4は図6のようにして組立を行う。
【0042】
可動子4の枠体42の一部を構成する保持部43は、枠体の開口部42cとして、中央部に矩形状の開口部42cを有している。そして、各第2の歯41a〜41aの両端部に対応する位置に矩形断面の凹部43a〜43aを所定ピッチで形成している。
【0043】
鉄心構成部41を構成する第2の歯41a〜41aは各々独立して構成し、それぞれ矩形断面を有する棒状の形態になるように形成している。第2の歯41a〜41aは両端部を上記凹部43a〜43aに対応する形状にしており、各端部を凹部43a〜43aに係合させることで、平行に所定ピッチでX方向に並んで配置されるようになっている。
【0044】
全ての凹部43a〜43aに対して第2の歯41a〜41aを係合させた状態で、この第2の歯41a〜41aの両端部を上部より押さえるようにして固定部44、44を取り付け、第2の歯41a〜41aの位置固定を行うようにしている。この場合、第2の歯41a〜41aの位置固定を行うために接着剤を併用することも好適である。
【0045】
第2の歯41a〜41aは、図7(a)のように各々構成している。具体的には、各第2の歯41aは、軟磁性材料である複数の電磁鋼板45〜45を積層することによって構成されている。それぞれの鋼板は可動子4(図1参照)の移動方向(X方向)および固定子の対向方向(Z方向)に対して平行になる向きに配置されることによって、こうした鋼板を積層した形態で一体化されている。こうした一体化を行うためには、カシメ、接着、溶接、樹脂をバインダとした一体成形等の手法を用いることができる。このような形態で第2の歯41a〜41aを構成する場合には、積層鋼板1枚ごとの質量が小さくてすむため、従来に比し、小さな締結力で一体化を行うことができる。
【0046】
さらに、各第2の歯41aの両端部には、上述した凹部43a〜43a(図6参照)に対応した形状の段差部41a3、41a3を形成している。この段差部41a3、41a3を形成する方法には、鋼板を積層して一体化した後に一部をカットして形成する方法と、積層する鋼板の形状を端部のみ異なる形状にしておき、積層させる過程において段差部41a3、41a3を形成する方法のいずれを用いることも可能である。
【0047】
なお、図7(a)に示した第2の歯41aに代えて、図7(b)に示す第2の歯141aを用いることも可能である。この場合の第2の歯141aは、複数の鋼板145〜145を可動子4(図1参照)の幅方向(Y方向)および固定子の対向方向(Z方向)に対して平行になる向きにして積層したものであり、両端部には段差部141a3、141a3を各々形成している。このようにすると、各鋼板145〜145をT字型の同一形状として積層するのみで、容易に所望の形状の第2の歯141aを形成することができる。
【0048】
また、図7(a)、図7(b)のいずれの形態の第2の歯41a、141aであっても、積層する鋼板が固定子の対向方向(Z方向)に対して平行になる向きにしている点では共通しており、こうすることで固定子の対向方向(Z方向)の向きに発生する磁界により生じる渦電流の影響を抑制し、推力の効率の低下を抑えることが可能となる。
【0049】
上記のように、鉄心構成部41を第2の歯41a〜41a(141a〜141a)が各々独立した構成とすることによって、従来技術を用いた場合には図20(a)のようにボルト孔546を設けるために大きく形成していた中間部545が不要となる。また、図5に示す鉄心構成部41の厚みt1を低減することもできる。そのため、可動子4を軽量化することができるため、同一の電力であっても可動子4の加速度を増大させて、反応を速くすることができる。
【0050】
また、可動子4に推力を与えるために、図8に模式的に示すように固定子コア部21、31と鉄心構成部41との間に磁気回路Mを形成した場合、第2の歯41aがそれぞれ独立して構成されているために、従来技術では不可避であった漏れ磁束M(図21参照)をきわめて少なくして効率を向上させることができる。そのため、固定子コア部21、31における第1の歯23、33と可動子41における第2の歯41aとの間の磁束密度をより大きくして可動子4に対する推力を大きくすることができ、同一の電力であってもさらに可動子4の加速度を増大させて、反応を速くすることができる。
【0051】
さらに、本実施形態においては、図3に示すように、鉄心構成部41に対して固定子コア部21、31と、それらに形成する第1の歯23、33とをそれぞれ対称に設けている。そのために、鉄心構成部41に作用する磁気力は、鉄心構成部41を挟んで上下で釣り合い、その結果、鉄心構成部41に作用する磁気力はX方向の推力のみとなる。そのため鉄心構成部41をさらに薄くすることができ、上記の可動子4の軽量化による効果をさらに高めることができる。
【0052】
また、図5に示すように、第2の歯41a〜41aが各々独立した構成となっていることから、鉄心構成部41は可動子4の動作方向(X方向)に対して不連続に形成されており、可動子4の幅方向(Y方向)に平行な軸回り方向のたわみを防止することができない。しかしながら、鉄心構成部41を支持する枠体42における張り出し部42b、42bを厚くして、かつ、X方向に延在するよう形成しているために、これが強度メンバとして作用して可動子4の変形を抑制することができる。
【0053】
このため、固定子2、3に形成された第1の歯23〜23、33〜33と、可動子4に形成された第2の歯41a〜41aとの間の磁気ギャップとしての隙間を適正に保つことができ、効率低下による可動子4の推進力の低下を防ぐことが可能となる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係るリニアモータは、複数の第1の歯23〜23、33〜33を備え対向して配置された一次側磁束発生部材としての2つの固定子2、3と、前記複数の第1の歯23〜23、33〜33と対向する複数の第2の歯41a〜41aを備え、前記2つの固定子2、3の間に配置された二次側磁束発生部材としての可動子4とを具備するリニアモータにおいて、前記2つの固定子2、3が前記可動子4を挟んで対向する位置に磁極としての複数の第1の歯23〜23、33〜33を備えているとともに、前記可動子4が、前記複数の第2の歯41a〜41aを備える鉄心構成部41と、前記固定子2、3の対向する方向に対して開口部42cが設けられ、当該開口部42cの内部に前記鉄心構成部41を収めた状態で支持する枠体42とを備えるように構成したものである。
【0055】
このように構成しているため、第2の歯41a〜41aを備える鉄心構成部41を枠体42の開口部42cに収める形態で支持させることによって、鉄心構成部41を固定するための貫通孔を厚み方向の範囲内に設ける必要がなくなるため、鉄心構成部41の厚みを抑えて可動子4の軽量化を図るとともに、第2の歯41a〜41a間での漏れ磁束を低減して、可動子4を高速化することが可能となる。
【0056】
また、前記枠体42が、前記対向する2つの固定子2、3に挟まれる固定子対向部42aと、当該固定子対向部42aより前記可動子4の動作する方向に対して直交する方向に張り出した張り出し部42b、42bとを備えており、当該張り出し部42b、42bを前記可動子4の動作方向に沿って形成するとともに、前記固定子対向部42aよりも厚くするように形成しているため、可動子4の幅方向に対する平行な軸回りのたわみを防止して、第1の歯23〜23、33〜33と第2の歯41a〜41aとの間の隙間を適正に保つことができ、部材の変形に伴う可動子4の推進力の低下を抑制することが可能となる。
【0057】
また、前記複数の第2の歯41a〜41aが、各々独立して、かつ、複数の鋼板45〜45を積層することにより形成されているとともに、前記枠体42が、前記第2の歯41a〜41aの両端部に対応する位置に対をなすように形成された凹部43a〜43aを所定ピッチで複数組形成されており、前記複数の第2の歯41a〜41aを、その両端部を前記凹部43a〜43aに係合させるようにして設けるようにして構成したため、より可動子4の軽量化を図ることができるとともに、第2の歯41a〜41aの間で生じる漏れ磁束を低減することができ、可動子4の推進力を向上させてより高速化を実現することができる。
【0058】
さらに、前記複数の第2の歯41a〜41aを形成する複数の鋼板45〜45が前記固定子2、3の対向方向に平行になるような向きにして積層されるようにして構成したため、渦電流による損失を防ぐことで効率を向上させ、より可動子4の推進力を高め、高速化を図ることができる。
<第2実施形態>
【0059】
本発明の第2施形態に係るリニアモータを図9に示す。
この実施形態におけるリニアモータでは、可動子204の動作方向に延在するように配置したベース201の側方に張り出すような形態で、固定子202、203が設けられている。固定子202、203は図中の上下方向(Z方向)に対向するように構成されており、その間に挟まれるように可動子204が配置されている。
【0060】
また、ベース201の両端部には、支持部材201a、201bが設けられており、これらの支持部材201a、201bによって両端部を接続されるようにして、円柱状のガイド部材206が設けられている。そして、このガイド部材206によって支持された状態で、可動子204はX方向に動作できるように構成されている。
【0061】
固定子202、203と可動子204の位置関係および構成は、概略上述の第1実施形態と同様であり、動作原理は全く同一のものである。
【0062】
この第2実施形態において、第1実施形態と大きく異なる点は、可動子204の支持方法であり、具体的には図10のような構成となっている。
【0063】
可動子204は、第1実施形態の場合と同様に、大きくは枠体242とこれに組み込まれる鉄心構成部241より構成されており、鉄心構成部241は独立した第2の歯241a〜241aによって構成されている。枠体242は、鉄心構成部241としての複数の第2の歯241a〜241aを保持する保持部243と、保持部243に複数の第2の歯241a〜241aを保持させた状態で上下より挟み込んで固定する固定部244、244より構成されている。
【0064】
可動子204は、固定部244、244に各々設けられた半円状の凹状ガイド部244a〜244aを介して、上述のガイド部材204(図9参照)により支持されるとともに、保持部243の3箇所に設けられた矩形状の凸状ガイド部243c〜243cを介して、ベース201に設けた溝部201cの内部で上下方向(Z方向)に支持されるようになっている。この溝部201cとガイド部材206(図9参照)とは、平行になるように設けられており、これらに沿って可動子204はX方向に対して動作可能になっている。
【0065】
枠体242は、固定子202、203(図9参照)と対向する部分が固定子対向部242aとして、第2の歯241a〜241aとともに平板状に薄く形成されるとともに、この固定子対向部242aに対して、可動子204の幅方向に張り出した張り出し部242bが上記固定部244によって形成されている。この場合においても、第1実施形態の場合と同様に、張り出し部242bが固定子対向部242aに対して厚く形成されるとともに、可動子204の幅方向に延在することで、強度メンバとして作用し可動子204のたわみを防止することができるようになっている。
【0066】
図11に、この可動子204の組立方法を示す。可動子204を構成する保持部243は、第1実施形態の場合と同様に、所定ピッチで溝部243a〜243aが形成されており、これに対応する形に形成した第2の歯241a〜241aを組み込んでいく。
【0067】
そして、第2の歯241a〜241aの一方の端部を、保持部243とともに上下方向に挟み込むようにして一対の固定部244、244をネジ止めして設けることで、保持部243に対し第2の歯241a〜241aの固定を行うことができる。この場合にも接着剤を併用して固定力を増加させることも可能である。
【0068】
保持部244、244には、上述したように半円状の凹状ガイド部244a〜244aが各々形成されており、この内部に円筒状の滑り軸受け(図示せず)を取り付けて、これを介して図9のようにガイド部材206に取り付けることが可能となっている。ガイド部材206は、摺動部を構成するものであるためアルミ等の熱伝導率の高い材質で構成することが好適である。
【0069】
上記のように構成した可動子204の平面図を図12に示す。枠体242を構成する保持部243は、中央に矩形状の開口部243dを設けられており、当該開口部243dは枠体242としての開口部242cを構成することになる。そして、この開口部242cの中で第2の歯241a〜241aは、空隙241b〜241bを挟みつつ所定ピッチで可動子204の移動方向に並んで配置されるようになっている。第2の歯241a〜241aは各々独立するようにして構成されており、可動子204の幅方向(Y方向)に延在する形で配置されている。
【0070】
第2の歯241a〜241aは、各々図7(a)と同様の形態としており、複数の鋼板を各々X方向とZ方向に平行になる向きにして積層しており、両端部には段差部(41a3)を設けている。なお、第2の歯241a〜241aの積層鋼板の向きは、図7(b)と同様、Y方向とZ方向に対して平行になるようにしてもよく、同様に渦電流による損失を抑えることができる。
【0071】
図13(a)は、可動子204の側面図を示すものである。保持部243を幅方向(Y方向)に見た場合、一方の端部には凸状ガイド部243cが設けられており、他方の端部には当該端部を厚み方向(Z方向)に挟み込めように形成された鍔部244b、244bを有する固定部244が設けられている。
【0072】
図13(b)は、図12におけるA−A断面矢視図である。このように保持部243は、第2の歯241a〜241aが存在しない部分では、空間としての開口部242c(241b)が内部で形成されるようになっている。
【0073】
図13(c)は、図12におけるB−B断面矢視図である。第2の歯241a〜241aは、第1実施形態と同様に保持部243に形成された矩形状の溝部243a、243aに対して両端部の段差部241a3、241a3を係合させる形態で嵌め込まれる。そして、片方の端部が、保持部243とともに固定部244、244に形成した鍔部244b、244bによって挟み込まれるようにして固定されるようになっている。
【0074】
このように構成した場合においても、上述の第1実施形態の場合と同様に、従来に比べて可動子204の軽量化を行うとともに、内部での漏れ磁束を低減させて可動子204の推力を向上させ、可動子204の動作の高速化を図ることができるようになっている。
【0075】
また、第2の歯241a〜241aを積層鋼板によって構成し、かつ、その鋼板を固定子202、203の対向方向(Z方向)に対して平行な向きになるようにして積層しているため、渦電流による損失を低減して効率をさらに高めることも可能となっている。
【0076】
以上のように、本第2実施形態に係るリニアモータも上述の第1実施形態に係るリニアモータと同一の作用効果を得ることが可能である。
<第3実施形態>
【0077】
本発明の第3施形態に係るリニアモータは、図9に示した第2の実施形態に係る可動子204を変更したものである。より具体的には、図10に示した保持部243と鉄心構成部241の形状を変更したものである。そのため、そのため、上述の実施形態と同一の部分については説明を省略する。
【0078】
図14で示すように、第3実施形態に係るリニアモータで用いる可動子304は、鉄心構成部341と枠体342より構成されており、枠体342は保持部343と図10に示した2つの支持部244、244とから構成されている。
【0079】
図14に示した鉄心構成部341は箱状に構成されているとともに、これに対応した矩形状の開口部343dが保持部343に設けられている。この保持部343の開口部343dは、枠体342としての開口部342cを構成するものである。
【0080】
鉄心構成部341は、図15に示すように、複数の第2の歯341a〜341aを各々幅方向(Y方向)に延在した形態として形成し、各第2の歯341a〜341aの両端面を側板341c、341cによって連結することで箱形に構成したものである。複数の第2の歯341a〜341aは、それぞれ、図7(a)または図7(b)と同様の向きに鋼板を積層して形成している。
【0081】
図15に示すとおり、側板341c、341cによって、第2の歯341a〜341aは所定ピッチで並んだ状態で相互に連結され、鉄心構成部341として一体となった状態で取り扱うことができるようになる。
【0082】
側板341c、341cと、複数の第2の歯341a〜341aとの連結のためには、側板341cと第2の歯341aの双方に係合部を形成しておき、係合させる方法であっても、溶接や接着等の固定方法を用いても良い。また、複数の第2の歯341a〜341aを、図7(a)のようにして、X方向およびZ方向に対して平行な向きにした鋼板を積層して形成する場合には、その積層過程において側板341cも第2の歯341a〜341aと同時に固定することも可能である。
【0083】
上記のように矩形状の箱形に構成された鉄心構成部341は、図14のようにして、枠体342の矩形状の開口部342cに嵌め込まれる。こうした状態で、固定部244を取り付ける(図10参照)ことによって枠体342に対して鉄心構成部341の固定を行うことができる。この際、接着剤を併用することによって、さらに固定力を増加させるように構成することも可能である。
【0084】
このように構成した場合であっても、上記第1実施形態および第2実施形態と同様にして動作を行わせることができるとともに、第2の歯341a〜341a同士が中央で連結されていないために、可動子304を軽量化でき、さらには漏れ磁束を低減することができる。そのため、可動子304の高速化を実現することが可能となる。
【0085】
また、上述したように、第2の歯341a〜341aは側板341cによって所定ピッチで連結された状態とされているために、枠体342の側には第2の歯341a〜341aを所定ピッチで個々に保持するための溝部243a(図11参照)が不要となり、より枠体342を簡単に構成することができる。
【0086】
以上のように、本実施形態に係るリニアモータは、鉄心構成部341が、複数の第2の歯341a〜341aと、それら複数の第2の歯341a〜341aの両端部に各々接続され、前記複数の第2の歯341a〜341aを所定ピッチで平行に配置した状態で支持する一対の側板341c、341cとを備えていることを特徴とするものである。
【0087】
このように構成しているため、鉄心構成部341のみで複数の第2の歯341a〜341aを所定ピッチで配置した状態として形成することができるために、枠体342に対する複雑な加工が不要となり、より可動子304の製作が容易になる。
<第4実施形態>
【0088】
本発明の第4施形態に係るリニアモータは、基本的な構成を第3実施形態と同一にして、図14、図15に示した第3実施形態における鉄心構成部341を、図16に示す鉄心構成部441のように変更したものである。そのため、上述の実施形態と同一の部分については説明を省略する。
【0089】
鉄心構成部441は、第3実施形態で示した枠体342(図14参照)の内部に収めた形態とすることで、可動子404を構成する。
【0090】
この鉄心構成部441は、直方体状に構成された第2の歯441a〜441aを互いに平行になるように配列し、これらの間を薄板状に形成された連結部441b〜441bによって連結している。このように構成することで、第2の歯441a〜441aは、所定のピッチを維持した状態で形成することができるようになっている。
【0091】
このような形状を有する鉄心構成部441は、複数の鋼板を積層することによって構成されており、各鋼板はX方向およびZ方向に対して平行な向きになるように配置している。積層する鋼板は、それぞれ図17のような形状をしており、第2の歯441a〜441a(図16参照)に対応する矩形状の歯構成部441a1〜441a1と、これらの歯構成部441a1〜441a1を中央部近傍で連続して繋げる、連結部441b〜441b(図16参照)に対応した連結帯部441b1〜441b1を有する形態としている。このような同一形状の鋼板445を打ち抜き等によって複数個製作して、積層するのみで簡単に鉄心構成部441を構成することが可能となる。
【0092】
このようにして構成することで、図16のように第2の歯441a〜441aが所定ピッチで連結された形状に一体化して鉄心構成部441を構成することができるため、この鉄心構成部441を取り付ける枠体342は単純な形として簡単に製作できるようになる。
【0093】
また、連結部441b〜441bは、第2の歯441a〜441aを所定ピッチを維持しつつ連結するためのものにすぎないため、薄く形成することができ、この部分による漏れ磁束も小さく抑えることが可能である。
【0094】
以上のように、本実施形態に係るリニアモータは、前記鉄心構成部441が、前記可動子404の移動方向および前記固定子202、203の対向方向に平行になるような向きで複数の鋼板を積層して形成されており、前記複数の鋼板の各々が前記複数の第2の歯441a〜441aを構成する複数の歯構成部441a1〜441a1と、それら複数の歯構成部441a1〜441a1の各々を中央部近傍で連続して繋げる連結帯部441b1〜441b1とを備えるように構成したことを特徴とするものである。
【0095】
このように構成しているため、枠体342に対する複雑な加工が不要となるとともに、鉄心構成部441を簡単に鋼板を積層させるのみで製作することができるために、可動子404をより容易に製作することができるようになる。
【0096】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0097】
例えば、上述の実施形態では、固定子2、3(202、203)を上下方向に配置していたが、これらを対向させて配置し固定子2、3(202、203)から可動子4(204、304、404)に対して推力を与えることができる限り配置する方向は問わず、それぞれを横向きにも斜めに配置しても構成することが可能である。
【0098】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…ベース
2…固定子(上側)
3…固定子(下側)
4…可動子
5…上側固定子支持部
6…リニアガイドレール
7…リニアベアリング
21…固定子コア部(上側)
22…コイル(上側)
23…第1の歯(上側)
31…固定子コア部(下側)
32…コイル(下側)
33…第1の歯(下側)
41…鉄心構成部
41a…第2の歯
42…枠体
42a…固定子対向部
42b…張り出し部
42c…開口部
43…保持部
44…固定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1の歯を備え対向して配置された一次側磁束発生部材としての2つの固定子と、
前記複数の第1の歯と対向する複数の第2の歯を備え前記2つの固定子の間に配置された二次側磁束発生部材としての可動子とを具備するリニアモータにおいて、
前記2つの固定子が前記可動子を挟んで対向する位置に磁極としての複数の第1の歯を備えているとともに、
前記可動子が、
前記複数の第2の歯を備える鉄心構成部と、
前記固定子の対向する方向に対して開口部が設けられ、当該開口部の内部に前記鉄心構成部を収めた状態で支持する枠体とを備えていることを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
前記枠体が
前記対向する2つの固定子に挟まれる固定子対向部と、
当該固定子対向部より前記可動子の動作する方向に対して直交する方向に張り出した張り出し部とを備えており、
当該張り出し部を前記可動子の動作方向に沿って形成するとともに、前記固定子対向部よりも厚くするように形成したことを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記複数の第2の歯が、
各々独立して、かつ、複数の鋼板を積層することにより形成されているとともに、
前記枠体が、
前記第2の歯の両端部に対応する位置に対をなすように形成された凹部を所定ピッチで複数組形成されており、
前記複数の第1の歯を、その両端部を前記凹部に係合させるようにして設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のリニアモータ。
【請求項4】
前記複数の第2の歯を形成する複数の鋼板が前記固定子の対向方向に平行になるような向きにして積層されていることを特徴とする請求項3に記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記鉄心構成部が、
複数の第2の歯と、
それら複数の第2の歯の両端部に各々接続され、前記複数の第2の歯を所定ピッチで平行に配置した状態で支持する一対の側板とを備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のリニアモータ。
【請求項6】
前記鉄心構成部が、
前記可動子の移動方向および前記固定子の対向方向に平行になるような向きで複数の鋼板を積層して形成されており、
前記複数の鋼板の各々が前記複数の第2の歯を構成する複数の歯構成部と、
それら複数の歯構成部の各々を中央部近傍で連続して繋げる連結帯部とを備えるように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載のリニアモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−46502(P2013−46502A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183153(P2011−183153)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】