説明

リモコン装置

【課題】浴室1から隔絶された場所に設置されたオーディオ装置2の操作を浴室1内から赤外線式のオーディオリモコン4で行う場合、浴室1の天井11に受光装置を取り付ける必要がある。この受光装置はモジュラー化されており、受光した赤外線を電気信号に変換したあと、ノイズ対策のため変調されている電気信号を復調して操作信号として出力している。とこが、浴室1の天井11には換気扇12などのノイズ源があり、出力された操作信号にノイズが作用してS/N比が低下するという不具合が生じる。
【解決手段】
復調回路を天井11から隔絶された中継ボックス6内に内蔵させ、天井11で変換された電気信号を復調することなく信号線61を介して中継ボックス6に送信し、この中継ボックスで復調することにより、天井11付近のノイズの影響が操作信号に作用しないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室外に設置されたオーディオ装置などの機器を浴室内から制御するリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内で音楽を聴きながら入浴したいという要求を満たすためにはオーディオ装置を用いる必要が生じる。オーディオ装置は一般に防水構造ではないので浴室内に設置することができない。
【0003】
そのため、オーディオ装置を浴室外に設置しておき、そのオーディオ装置の操作を浴室内で行う必要が生じる。そのためにはいくつかの手段が考えられるが、その中の一つとして、浴室内に赤外線式のリモコンを設け、そのリモコンから照射される赤外線を受光する機構を浴室の天井に設けることが考えられる。このように構成すれば、リモコンのみを防水構造にし、あるいはリモコンを透明な防水パック内に収納すればよい。
【0004】
一方、受光部は赤外線を電気信号に変換するフォトトランジスタの他に、フォトトランジスタから出力される電気信号から制御信号を抽出する回路がモジュールとして一体に作成されている(例えば、特許文献1参照)。したがって、このモジュール化された受光部からは制御信号そのものが出力される。
【特許文献1】特開平8−228179号公報(図2、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のモジュール化された受光部を用いると、受光部とオーディオ装置とを信号線で接続し、その信号線を伝って制御信号がオーディオ装置まで送信されることになる。
【0006】
ところが、浴室の天井には、ほとんどの場合、換気扇装置や浴室乾燥装置などのモータを用いた換気装置が設けられており、それらモータからノイズが発生する。このように浴室の天井裏はノイズが非常に多い環境になっている。
【0007】
上記従来のモジュール化された受光部を用いると、このようにノイズが多い環境に信号線が晒されることになり、信号線にノイズが侵入して制御信号のS/N比が低下するという不具合が生じる。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、上記のような不具合の生じないリモコン装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明によるリモコン装置は、浴室内に赤外線式のリモコンが設けられると共に、浴室の天井に赤外線を受光して電気信号に変換する受光部が設置されており、変調された操作信号が重畳された赤外線がリモコンから射出され、その赤外線を受光部で受光して電気信号に変換し、更に復調手段で復調した操作信号で浴室外に設置された機器を操作するリモコン装置において、上記復調手段を浴室の天井から離れた位置に設置し、受光部と復調手段とを信号線で連結したことを特徴とする。
【0010】
この構成では、受光部は赤外線を電気信号に変換するだけであり、受光部から出力される電気信号は変調されている。この変調された電気信号に多少ノイズが加わっても、復調して制御信号を検波する際に、ノイズの影響が低減される。
【0011】
また、上記課題を解決するために本発明による他のリモコン装置は、浴室内に赤外線式のリモコンが設けられると共に、浴室の天井に赤外線を受光する受光レンズが設置されており、変調された操作信号が重畳された赤外線がリモコンから射出され、その赤外線を受光レンズが受光し、この受光レンズで受光された赤外線を、天井から離れた位置に設置され、赤外線を電気信号に変換する受光部まで導く光ファイバを設け、受光部から出力される電気信号を復調する復調手段を受光部の近傍に設け、復調手段で復調した操作信号で浴室外に設置された機器を操作することを特徴とする。
【0012】
この構成では、ノイズが多い天井裏は光ファイバを介して赤外線のまま受光部へ赤外線を導く。ノイズは電磁波であるので光ファイバ中の赤外線にはまったく影響しない。
【0013】
なお、復調手段はノイズの多い天井裏から離れていることが望ましく、例えは、上記復調手段を、浴室外に設置された機器に内蔵させてもよい。
【0014】
そして本発明は、特に上記浴室の天井には、モータを備えた換気装置が設置され、モータからのノイズが多い環境に好適である。
【0015】
ところで、上記浴室の天井に赤外線を発光する発光手段を設けると共に、上記リモコンに受光部を設け、このリモコンで双方向通信ができるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
以上の説明から明らかなように、受光部から出力される電気信号を復調せずにノイズの少ない場所まで送信し、そこで復調し、あるいは赤外線の状態のままでノイズの少ない場所まで送光し、そこで電気信号に変換したあと復調するので、復調された制御信号に対するノイズの影響が少なく、制御信号のS/N比を低下させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1を参照して、1は浴室であり、この浴室1から離れた位置にオーディオ装置2が設置されている。このオーディオ装置2から出力される音声信号は、浴室1の天井11に設けられた1対のスピーカ21,22に出力され、これらスピーカ21,22から音楽などが発音される。3は給湯装置であり、浴室1内へ湯水を供給するためのものである。
【0018】
オーディオ装置2の操作は赤外線式のオーディオリモコン4によって行われる。また、給湯装置3の操作は同じ赤外線式の風呂リモコン5によって行われる。オーディオリモコン4および風呂リモコン5は図示のように浴室1内に設置されており、浴室1内で操作される。
【0019】
オーディオリモコン4および風呂リモコン5を操作すると、その操作に対応する操作信号が生成され、その操作信号の耐ノイズ性を高めるため、例えばバースト変調を施して、赤外線発光ダイオードに供給する。この赤外線発光ダイオードは図示しないが、オーディオリモコン4および風呂リモコン5に各々内蔵されており、変調された操作信号が重畳された赤外線が、赤外線発光ダイオードから浴室1内に照査される。
【0020】
図2に示すように、一方のスピーカ22には赤外線に反応するフォトトランジスタ(受光部)71と、赤外線発光ダイオード72とが設けられている。なお、73は赤外線による通信状態を表示するための発光ダイオードである。
【0021】
上記のようにオーディオリモコン4や風呂リモコン5から赤外線が照射されると、その赤外線はフォトトランジスタ71に受光される。フォトトランジスタ71に受光された赤外線は電気信号に変換され信号線61を介して中継ボックス6に送信される。図3に示すように、この中継ボックス6内には復調回路63が内蔵されており、信号線61を介して送信されてきた電気信号はこの復調回路63に入力される。この入力された電気信号は変調されたままであるので、この復調回路63によって操作信号に復調され、オーディオ装置2および給湯装置3へと送信される。この中継ボックス6は浴室1の天井11から十分に隔絶された位置に配設されており、天井11に換気扇12が取り付けられていても、換気扇12のモータから発生されるノイズが操作信号に影響することはない。
【0022】
ところで、浴室1内からオーディオ装置2を直接目視することができないので、例えば音量の設定について、オーディオリモコン4に表示されている音量の値と実際の設定値とが一致していない場合が生じる。例えば実際の音量設定値が大きいのに、オーディオリモコン4に表示されている音量が小さい場合には、オーディオ装置2の電源を入れたとたんに予期せぬ大きな音量の音楽が発音される。
【0023】
そこで、定期的にオーディオ装置2から設定値をオーディオリモコン4に送信することとした。オーディオ装置2から送られている信号は中継ボックス6内の変調回路64に入力され、バースト変調される。この変調された電気信号は信号線62を介して赤外線発光ダイオード72に送られる。そして、この赤外線発光ダイオード72から赤外線が浴室1内に照射される。
【0024】
オーディオリモコン4には図示しないが受光部であるフォトトランジスタが内蔵されており、受光した赤外線を電気信号に変換し、更に復調して、オーディオリモコン4の表示部(図示せず)に表示させるようにした。
【0025】
また、給湯装置3に関しても、風呂リモコン5でセットした給湯温度と実際に給湯温度とは常に一致していることが望まれるため、給湯装置3から定期的に設定値の信号を変調回路64に送信し、赤外線発光ダイオード72から赤外線として照射するようにした。風呂リモコン5にも同様に受光部であるフォトトランジスタ(図示せず)が内蔵されており、給湯装置3の実際に設定値を風呂リモコン5の表示部に表示させるようにした。
【0026】
このようにオーディオリモコン4と共に風呂リモコン5も双方向通信ができるので、例えば図示しないが、給湯装置3に更に台所リモコンを接続し、台所リモコンと風呂リモコンとの間でインターホンのように会話ができるように構成してもよい。
【0027】
ところで、上記実施の形態では、スピーカ22にフォトトランジスタ71と赤外線発光ダイオード72とを設けたが、これらフォトトランジスタ71と赤外線発光ダイオード72とを中継ボックス6内に設け、スピーカ22に取り付けたレンズ81で受光した赤外線を光ファイバ83を介して送光し、レンズ85を介してフォトトランジスタ71に受光させるようにしてもよい。なお、この場合には、赤外線発光ダイオード72から照射される赤外線は、レンズ86から光ファイバ84内に入射され、レンズ82を介して浴室1内に照射されるように構成される。
【0028】
ところで、上記実施に形態では中継ボックス6をオーディオ装置2や給湯装置3とは別個に設けたが、中継ボックス6を廃止し、内蔵されていた復調回路や変調回路64をオーディオ装置2や給湯装置3内に内蔵させてもよい。
【0029】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】スピーカの構造を示す図
【図3】中継ボックス構造を示すブロック図
【図4】中継ボックスの他の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0031】
1 浴室
2 オーディオ装置
3 給湯装置
4 オーディオリモコン
5 風呂リモコン
6 中継ボックス
12 換気扇
71 フォトトランジスタ
72 赤外線発光ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内に赤外線式のリモコンが設けられると共に、浴室の天井に赤外線を受光して電気信号に変換する受光部が設置されており、変調された操作信号が重畳された赤外線がリモコンから射出され、その赤外線を受光部で受光して電気信号に変換し、更に復調手段で復調した操作信号で浴室外に設置された機器を操作するリモコン装置において、上記復調手段を浴室の天井から離れた位置に設置し、受光部と復調手段とを信号線で連結したことを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
浴室内に赤外線式のリモコンが設けられると共に、浴室の天井に赤外線を受光する受光レンズが設置されており、変調された操作信号が重畳された赤外線がリモコンから射出され、その赤外線を受光レンズが受光し、この受光レンズで受光された赤外線を、天井から離れた位置に設置され、赤外線を電気信号に変換する受光部まで導く光ファイバを設け、受光部から出力される電気信号を復調する復調手段を受光部の近傍に設け、復調手段で復調した操作信号で浴室外に設置された機器を操作することを特徴とするリモコン装置。
【請求項3】
上記復調手段は、浴室外に設置された機器に内蔵されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のリモコン装置。
【請求項4】
上記浴室の天井には、モータを備えた換気装置が設置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のリモコン装置。
【請求項5】
上記浴室の天井に赤外線を発光する発光手段を設けると共に、上記リモコンに受光部を設け、このリモコンで双方向通信ができるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−49604(P2007−49604A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−234376(P2005−234376)
【出願日】平成17年8月12日(2005.8.12)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】