説明

リモート商品販売システム、リモート医薬品販売システムおよび有資格者用端末装置

【課題】薬剤師がネットワークを介して購入者と対面し、推薦する医薬品を決定し、直接購入者に医薬品を手渡し、且つその証拠も残すことができるリモート医薬品販売システムを提供することである。
【解決手段】有資格者用端末装置520と購入者用端末装置50がネットワーク介して接続されており、且つ有資格者と購入者はテレビ会議システムで、互いの姿を画面で確認できるようになっている。ネットワークを通して質疑応答し、購入を決定した医薬品は、有資格者用端末装置520から有資格者が操作することで、薬剤ピッキング装置100から第3者の手を経ることなく直接購入者に渡るようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、購入予定者の本人確認が必要な商品またはサービスの販売に関し、販売者と購入予定者が、離れた場所に居ても、実質的には対面での対応を可能としたリモート商品販売システムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品またはサービスの販売に関し、購入する者の本人確認が求められる場合がある。一方、販売する者に一定の資格が必要であったり、厳重な説明責任が課されている場合がある。
例えば、一般医薬品の販売に関しては、薬剤師または登録販売員は、薬剤の購入者と対面して応対し、相談を求められれば、それに応じる義務があるとされている。また、一般医薬品は、リスクの程度に応じて第1種、第2種および第3種に分類されており、リスクの高い第1種の医薬品は、購入者が直接手に取ることができないような場所に保管し、薬剤師が直接購入者に手渡すことが要求されている。
また、携帯電話の販売に関しては、不正利用防止の観点から、厳重な本人確認が要求されている。
さらに、保険やリスクの伴う金融商品(例えば投資信託、外貨預金)を販売するには、消費者保護の観点から、販売者は、リスクを含めて商品の内容を説明し、且つ購入者(契約者)がその説明を受け、理解した旨の確認を得ることが要求されている。
【0003】
特許文献1記載の発明では、インターネットを利用して、健康保険組合員などの会員に医薬品を販売するシステムが開示されている。この発明では、構成員識別データベースを用いて構成員を認証し、且つ購入者から症状データを受け付けた場合は、当該構成員に対して、症状別医薬品情報を送出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−100324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1記載の発明は、インターネットを利用して、健康保険組合員などの登録された会員に医薬品を販売する技術であるが、薬剤師の責任を考慮したり、その証拠を残すといったところまでを視野に入れた発明ではない。
ところで、医薬品の販売の場合、店舗に薬剤師や登録販売員が不在の際は、医薬品の販売を行うことができない。そのため、例えば、夜間急に医薬品を必要とするような事態となっても、店舗に薬剤師や登録販売員が不在であれば、消費者は、仮に店舗に購入したい医薬品が存在していたとしても、当該医薬品を購入することができない。薬剤師が店舗に駐在していたとしても、本当に当該薬剤師が自らの判断で推薦する医薬品を決定し、直接購入者に手渡すという規定に則って業務を行ったかの証拠残すことまでは行われていなかった。
また、携帯電話の販売においても、本人確認が要求され、運転免許証などの証拠の提出は求めるものの、販売者と購入者のやり取りを映像データとして残し、それを証拠として保管することまでは行われていなかった。
さらに、金融商品の販売においては、購入時(契約時)に、購入者(契約者)に説明を受けた旨の書面へのサインを求めている。しかし、どのような状況で説明を受けたか、購入者(契約者)が本当に内容を理解してサインをしたかまでを証拠として残すことまでは行っていなかった。
そこで、本発明の第1の目的は、販売者と購入者をネットワークを介して対面させ、販売者の説明責任、購入者の本人確認を証拠として残すことができるリモート商品販売システムを提供することである。
本発明の第2の目的は、薬剤師など有資格者がネットワークを介して購入者と対面し、自らの判断で推薦する医薬品を決定し、直接購入者に医薬品を手渡し、且つその証拠も残すことができるリモート医薬品販売システムを提供することである。
本発明の第3の目的は、薬剤師など有資格者がネットワークを介して購入者と対面し、自らの判断で推薦する医薬品を決定し、直接購入者に医薬品を手渡し、且つその証拠も残すことができる有資格者用端末装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、商品、サービスを販売する資格を有する有資格者と、商品、サービスを購入する購入者とを互いの姿を認識可能に接続するテレビ会議システムを利用し、前記有資格者が使用する有資格者用端末装置と、前記有資格者用端末装置とネットワークを介して接続され、前記購入者が使用する購入者用端末装置と、を備えたリモート商品販売システムであって、前記購入者用端末装置から前記有資格者用端末装置へ、前記購入者を認証する認証情報を送信する認証情報送信手段と、前記認証情報送信手段で送信された認証情報により認証された購入者に対し、前記有資格者用端末装置から前記購入者用端末装置へ、当該商品、サービスの説明を送信する説明送信手段と、前記説明送信手段で送信された説明を受けた旨の確認を示す確認情報を、前記購入者用端末装置から前記有資格者用端末装置へ送信する確認情報送信手段と、テレビ会議システムの映像記録と前記有資格者用端末装置と前記購入者用端末装置の操作記録を証拠データとして保管する証拠データ保管手段と、を備えたことを特徴とするリモート商品販売システムを提供することにより、前記第1の目的を達成する。
請求項2記載の発明では、医薬品を販売する資格を有する有資格者と、医薬品を購入する購入者とを互いの姿を認識可能に接続するテレビ会議システムを利用し、前記有資格者が使用する有資格者用端末装置と、前記有資格者用端末装置とネットワークを介して接続され、前記購入者が使用し、薬剤供給装置を備えた購入者用端末装置と、を備えたリモート医薬品販売システムであって、前記有資格者用端末装置から前記購入者用端末装置に対して、推薦する医薬品を提示する医薬品提示手段と、前記医薬品提示手段で提示された医薬品を購入するとの決定を前記購入者用端末装置から前記有資格者用端末装置へ送信する決定送信手段と、前記決定送信手段で決定された医薬品を取り出す指示である医薬品選択情報を前記有資格者用端末装置から前記購入者用端末装置へ送信する取出指示送信手段と、前記取出指示送信手段で送信された医薬品選択情報に従って、薬剤供給装置から指定された医薬品を送出する医薬品送出手段と、テレビ会議システムの映像記録と前記有資格者用端末装置と前記購入者用端末装置の操作記録を証拠データとして保管する証拠データ保管手段と、を備えたことを特徴とするリモート医薬品販売システムを提供することにより、前記第2の目的を達成する。
請求項3記載の発明では、医薬品を販売する資格を有する有資格者と、医薬品を購入する購入者とを互いの姿を認識可能に接続するテレビ会議システムを利用し、前記購入者が使用し、薬剤供給装置を備えた購入者用端末装置とネットワークを介して接続され、前記有資格者が使用する有資格者用端末装置であって、前記薬剤供給装置は、当該有資格者用端末装置のみから操作可能であり、販売を希望された医薬品の指定を前記購入者用端末装置から受信し、当該医薬品を販売することを決定する医薬品決定手段と、前記医薬品決定手段で決定した医薬品を前記薬剤供給装置から送出する指示である医薬品選択情報を前記購入者用端末装置に送信する指示送信手段と、テレビ会議システムの映像記録と前記有資格者用端末装置と前記購入者用端末装置の操作記録を証拠データとして保管する証拠データ保管手段と、を備えたことを特徴とする有資格者用端末装置を提供することにより、前記第3の目的を達成する。
請求項4記載の発明では、所定の記録媒体に記録された購入者の薬歴データを含む個人情報を前記購入者用端末装置を介して受信する購入者確認手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の有資格者用端末装置を提供する。
請求項5記載の発明では、有資格者が行う購入者に推薦する医薬品の決定を受け付け、当該決定された医薬品を推薦医薬品として前記購入者用端末装置へ提示する推薦医薬品提示手段を備えたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の有資格者用端末装置を提供する。
請求項6記載の発明では、前記証拠データ保管手段が保管する証拠データに電子署名を付与し、且つタイムスタンプを取得する証拠データ認証手段を備えたことを特徴とする請求項3、請求項4または請求項5記載の有資格者用端末装置を提供する。
請求項7記載の発明では、前記医薬品決定手段販売する医薬品を決定後、当該医薬品の副作用、服用上の注意事項を送信する注意事項送信手段と、前記注意事項送信手段で送信した医薬品の副作用、服用上の注意事項を承諾した旨の応答を受信する承諾受信手段を備えたことを特徴とする請求項3、請求項4、請求項5または請求項6記載の有資格者用端末装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明では、販売者と購入者とをネットワークを介して対面させ、販売者が行った説明、および購入者の本人確認を証拠として残すことができるので、説明責任の遵守、商品、サービスの販売を巡る紛争の防止を図ることができる。
請求項2記載の発明では、有資格者と購入者がネットワークを介して対面し、意思疎通をしたうえで、有資格者が推薦する医薬品を決定し、且つ第3者の手を経ることなく購入者に医薬品を直接渡すことができる。また、両者のやり取りを証拠データして残すことができる。
請求項3記載の発明では、有資格者がネットワークを介して購入者と対面し、意思疎通をしたうえで、販売する医薬品を決定し、且つ第3者の手を経ることなく購入者に医薬品を直接渡すことができる。また、両者のやり取りを証拠データして残すことができる。
請求項4記載の発明では、記録媒体に記録された購入者の薬歴データを含む個人情報を前記購入者用端末装置を介して受信するので、有資格者は、購入者に対して、より適切な説明を行うことができる。
請求項5記載の発明では、有資格者が行う購入者に推薦する医薬品の決定を受け付け、当該決定された医薬品を推薦医薬品として購入者用端末装置へ提示するので、購入者は、医薬品購入に際して、自己の症状に適した医薬品を選択することができる。
請求項6記載の発明では、前記証拠データ保管手段が保管する証拠データに電子署名を付与し、且つタイムスタンプを取得する証拠データ認証手段を備えたことで、規制の遵守、紛争の未然防止図ることができる。
請求項7記載の発明では、前記注意事項送信手段で送信した医薬品の副作用、服用上の注意事項を承諾した旨の応答を受信するので、医薬品の販売に際して、説明して注意を喚起すべき事項を確実に購入者に伝えることができ、また、その事実の確認を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係るリモート医薬品販売システムの概略を説明する図である。
【図2】有資格者用端末装置の構成を示したブロック図である。
【図3】購入者用端末装置の構成を示したブロック図である。
【図4】購入者用端末装置の外観を示した図である。
【図5】本実施形態に係る有資格者と購入者の個人認証を行う処理手順を示したフローチャートである。
【図6】カメラ画像表示画面に表示される画像例を示した図である。
【図7】ICカードから取得した購入者の個人情報を有資格者用端末装置の表示画面に表示した例を示した図である。
【図8】証拠データの生成を説明する図である。
【図9】有資格者と購入者の間で行われる問診の処理手順を示したフローチャートである。
【図10】購入者に症状を問い合せる際に、表示する画面の1例を示した図である。
【図11】購入者に症状を問い合せる際に、表示する画面の1例を示した図である。
【図12】推薦する医薬品のリストを示した図である。
【図13】購入者に他の気になる症状を問い合せる際に、表示する画面の1例を示した図である。
【図14】有資格者が購入者に副作用、注意事項を説明し、および医薬品受け取りの処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るリモート医薬品販売システムを図1ないし図14を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
図1は、リモート医薬品販売システムの概略を示した図である。
この実施形態では、薬剤師または登録販売員(以下、有資格者とする)が店舗510とは別の場所に設置された有資格者駐在センタ500に常駐している。この有資格者駐在センタ500には、有資格者用端末装置520が配置されている。
一方、店舗510側には、購入者用端末装置50が配置されている。この購入者用端末装置50は、購入者Xが操作する購入者操作装置70と、薬剤供給装置である薬剤ピッキング装置100と、購入者操作装置70に設置されたテレビカメラ76を備えている。
店舗510と有資格者駐在センタ500は、購入者操作装置70に設置されたテレビカメラ76と、有資格者用端末装置520に設置されたテレビカメラ526を使用したテレビ会議システムで接続されるようになっている。
そして、有資格者駐在センタ500に駐在している有資格者Aと、店舗510に来店した購入者Xとが、テレビカメラ76とテレビカメラ526を介して対面してリアルタイムで相談できるようになっている。
【0010】
薬剤ピッキング装置100は、各種医薬品を収容すると共に、医薬品選択情報により当該信号に応じた医薬品を取り出して提供するが、この薬剤ピッキング装置100に対する医薬品選択情報は、ネットワークを介して接続されている有資格者用端末装置520だけが出力可能になっている。すなわち、薬剤ピッキング装置100は、有資格者用端末装置520からの遠隔操作によってのみ動作し、その遠隔操作は有資格者駐在センタ500にいる有資格者Aだけが操作可能となる。
本実施形態に係るリモート医薬品販売システムでは、テレビ会議システムを利用した購入者Xとの対話、相談、医薬品の説明等を通じて、最終的に販売する医薬品を有資格者Aが決定し、決定した医薬品を薬剤ピッキング装置100から取り出す操作を有資格者Aだけが行うように構成されている。
これにより、有資格者が決定した医薬品を、有資格者以外の第三者(購入者を含む)の手を一切経ずに、薬剤ピッキング装置100から直接購入者に手渡すことになる。
また、テレビ会議システムでのやり取り(有資格者Aと購入者Xの双方)の映像データを記録し、且つ薬剤ピッキング装置100の操作記録等と併せて電子署名の対象とし、且つタイムスタンプを取得して、有資格者駐在センタ500、店舗510とは別の場所に保存するようにしている。こうすることで、有資格者の行為の証拠性を確保し、同時に不適切な処置を抑制することができる。
【0011】
(2)実施形態の詳細
まず、有資格者駐在センタ500について説明する。
この有資格者駐在センタ500は、店舗510とは別の場所に設置されている。有資格者駐在センタ500には、その規模に応じて1台または複数台の有資格者用端末装置520が配置されており、1台の有資格者用端末装置520は、複数の店舗510に配置されている購入者用端末装置50とテレビ会議システムで接続されている。
有資格者駐在センタ500には、複数の有資格者が、営業時間は常に駐在しており、第1種医薬品を販売する場合には、薬剤師が常に駐在しているようにする。逆に、駐在している有資格者(薬剤師、登録販売員)に対して認められている範囲に応じた種類の医薬品を販売することができるようにしてもよい。
この有資格者駐在センタ500には、同時に複数の店舗510との対応をするために、複数台の有資格者用端末装置520が設置されている。この有資格者用端末装置520から、各店舗510に設置された薬剤ピッキング装置100を操作可能となっている。
各有資格者用端末装置520は、各有資格者毎に割り当てられていてもよく、1台の有資格者用端末装置520を複数の有資格者が交代で使用するようにしてもよい。後者の場合には、有資格者が交代する毎に現在操作中である有資格者の登録を行うようにする。
【0012】
各有資格者は、この有資格者用端末装置520を操作し、店舗510を訪れた購入者との間で、テレビ会議システムを利用した対面による対話を行うことで、購入者の症状を聞き出し、相談に応じ、各医薬品の効果、副作用、用法その他の注意事項を説明する。
そして、最終的に、販売の際に推薦する医薬品を提示し、購入者が納得した医薬品を決定し、当該医薬品の副作用、用法の注意事項を説明する。
そして、有資格者は有資格者用端末装置520を操作することで、決定した医薬品についての注意書きを購入者操作装置70からプリントアウトさせる。
その後、各有資格者は、注意書きを購入者が確認したことを確認した後、有資格者用端末装置520を介して薬剤ピッキング装置100を直接遠隔操作することで、薬剤ピッキング装置100に決定した医薬品を取り出させることで、当該医薬品を直接購入者に渡す。
これらのやり取りは、映像データとして記録されると共に、その間の有資格者用端末装置520と購入者用端末装置50間で送受信される情報(各種の表示を指示する情報や、所定の内容を選択した情報、医薬品選択情報など)も記録され、署名及びタイムスタンプを押した上で、証拠データ保管用サーバ900に保存される。
【0013】
図2は、本実施形態で用いる有資格者用端末装置520の構成を示したブロック図である。
この有資格者用端末装置520は、CPU(中央演算処理装置)521、ROM(リード・オンリ・メモリ)522、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)523、通信装置524、入力装置525、テレビカメラ526、表示画面527、カメラ画像表示画面528および記憶装置550を備えている。
CPU521は、記憶装置550に格納された有資格者用端末装置管理プログラム600等の各種プログラムに従った情報処理を実行することで、有資格者用端末装置520の各部を統括的に制御する。
ROM522は、有資格者用端末装置520が動作するための基本プログラムやパラメータを記憶した読み取り専用メモリである。
RAM523は、CPU521が購入者操作装置70とデータの送受信などを行う際に、ワーキングメモリを提供する読み書き可能なメモリである。
【0014】
通信装置524は、有資格者用端末装置520を、専用線、インターネットなどのネットワーク等の各種通信手段を介して各店舗510に配置した購入者用端末装置50に接続するための接続インターフェイスである。有資格者用端末装置520は、この通信装置524を介して、購入者操作装置70に対して表示画面の指示情報を送ったり、薬剤ピッキング装置100から取り出す医薬品選択情報を送ったりすることで、有資格者用端末装置520を遠隔操作する。また、通信装置524は、有資格者用端末装置520から送信される各種情報(表示画面に従い、購入者が選択した各種選択情報等)を受信する。
入力装置525は、キーボード、マウスなどの入力デバイスを備えており、ユーザからの操作を受け付ける。また、有資格者を個人認証するための、掌紋、または指紋の入力を受け付ける装置も備えている。
有資格者は、この入力装置525を操作して、各種処理を行うようになっている。
テレビカメラ526は、有資格者自身の姿を撮影するためのカメラであり、このテレビカメラ526で撮影した画像を、通信装置524を介して購入者操作装置70へ送り、後述するカメラ画像表示画面79に映るようになっている。
【0015】
表示画面527は、購入者とのやり取りのデータを表示する画面である。この表示画面527には、購入者操作装置70の表示画面77に現在表示されている内容、例えば、風邪、胃が痛い…といった購入者の症状を確認するための症状や、推薦する医薬品のリストと同様な内容が表示されるようになっている。そして、購入者が表示画面77で何れか1つを選択すると、その選択情報が有資格者用端末装置520から送信され、表示画面527は、受信した選択情報に対応する情報が選択されたことを明示的に表示する。例えば、購入者が症状として風邪を選択すると、表示画面527は風邪を点滅表示したり、風邪以外を薄く表示したりする。
なお、表示画面527は、図1において、後述するカメラ画像表示画面528に表示している例を表示しているが、カメラ画像表示画面528と別体で構成してもよく、別の場所に別途設けるようにしてもよい。このように表示画面528中に表示画面527を表示することで、映像データとして記録保存することが可能となる。
【0016】
カメラ画像表示画面528は、購入者操作装置70で撮影した購入者の姿の映像データを通信装置524を介して受信し、映し出すための画面である。
カメラ画像表示画面528には、購入者の映像が大きく表示されると共に、画面の一部にテレビカメラ526で撮影した有資格者の映像が小さく表示されるようになっている。
有資格者と購入者は、カメラ画像表示画面528と、カメラ画像表示画面78(後述)を見ることで、互いの顔や表情を確認しながら、対面で質問、回答の受け答えができるようになっている。
【0017】
記憶装置550は、例えば、ハードディスクなどの大容量記憶媒体である。
この記憶装置550は、有資格者用端末装置管理プログラム600、有資格者データベース700、購入者、薬歴データベース710、医薬品データベース720を記憶している。
これら記憶装置550に記憶されている有資格者用端末装置管理プログラム600をCPU521が実行することで、本実施形態に係る各種処理が行われる。
この有資格者用端末装置管理プログラム600には、テレビ会議システム管理プログラム602、有資格者認証プログラム604、認証管理プログラム605、薬剤ピッキング装置管理プログラム606、および医薬品説明支援プログラム610等を含んでいる。
【0018】
テレビ会議システム管理プログラム602は、テレビカメラ526を使用した映像の撮影、映像・音声データの送受信などの処理を行うためのプログラムである。
有資格者認証プログラム604は、有資格者用端末装置520を操作している者が、真に有資格者であるのかを、有資格者データベース700に登録されているデータを基に認証を行うプログラムである。
認証管理プログラム605は、映像記録データや操作記録データに電子署名を付す処理を行ったり、タイムスタンプを取得する処理を行うためのプログラムである。
薬剤ピッキング装置管理プログラム606は、有資格者の指示により、店舗510に設置された薬剤ピッキング装置100を制御するためのプログラムである。
【0019】
医薬品説明支援プログラム610は、有資格者が説明を行う際に、説明の支援を行うためのプログラムである。
有資格者データベース700は、当該有資格者駐在センタ500で勤務している有資格者の個人データを蓄積しているデータベースである。例えば、個人を認証するために、掌紋、指紋などの生体情報を登録しており、個人認証に用いるようにしてもよい。
購入者、薬歴データベース710は、各購入者の個人データ、および過去に購入した医薬品の履歴を蓄積しておくデータベースである。
医薬品データベース720は、各医薬品の副作用、投与する際の注意事項、投与してはいけない事例などを記憶し、蓄積しておくデータベースである。
【0020】
図3は、店舗510に設置される購入者用端末装置50のうち、購入者操作装置70の構成を示したブロック図である。
この購入者操作装置70は、CPU(中央演算処理装置)71、ROM72、RAM73、通信装置74、入力装置75、テレビカメラ76、表示画面77、カメラ画像表示画面78、バーコード読取装置79および記憶装置80を備えている。
CPU71は、各種プログラムに従った情報処理を実行することで、購入者操作装置70の各部を統括的に制御する。
ROM72は、購入者操作装置70が動作するための基本プログラムやパラメータを記憶した読み取り専用メモリである。
RAM73は、CPU71が有資格者用端末装置520とデータの送受信などを行う際に、ワーキングメモリを提供する読み書き可能なメモリである。
【0021】
通信装置74は、購入者操作装置70を専用線、インターネットなどのネットワーク等の各種通信手段を介して有資格者用端末装置520に接続するための接続インターフェイスである。
購入者操作装置70は、この通信装置74を介して、有資格者用端末装置520から送信される注意書き等の表示内容を指定する指定情報や、薬剤ピッキング装置100の操作指示情報を受信したりする。
入力装置75は、タッチパネルまたはキーボード、マウスなどの入力デバイスを備えている。さらに、購入者の本人認証のためのICカードからの入力を受け付ける装置も備えている。購入者は、この入力装置75を操作して、各種処理を行うようになっている。
テレビカメラ76は、購入者自身の姿を撮影するためのカメラであり、このテレビカメラ76で撮影した映像データは、通信装置74を介して有資格者用端末装置520へ送信されると共に、記録保管の対象となる。有資格者用端末装置520では、受信した購入者の映像データがカメラ画像表示画面528に映しだされるようになっている。
【0022】
表示画面77は、有資格者とのやり取りのデータを表示する画面である。この表示画面77の表面にタッチパネルを配置することで、入力装置としての役割も果たしている。
表示画面77には、有資格者用端末装置520から送信される表示画面を指示する指示情報に従って、風邪、胃が痛い…といった購入者の症状を確認するための症状や、推薦する医薬品のリストと同様な内容が表示される。
そして、購入者が表示画面77に配置されたタッチパネルで何れか1つを選択すると、その選択情報が有資格者用端末装置520に送信される。
【0023】
カメラ画像表示画面78は、有資格者用端末装置520で撮影した有資格者の姿の映像データを通信装置74を介して受信し、映し出すための画面である。このカメラ画像表示画面78およびカメラ画像表示装置528を見ながら、有資格者と購入者は互いの顔、表情を確認しつつ、対面で質問、回答の受け答えができるようになっている。
このカメラ画像表示画面78には、テレビカメラ76で撮影された購入者自身の映像は表示されないが、購入者の選択により、有資格者の映像とともに、画面の一部に購入者を小さく表示するようにしてもよい。
バーコード読取装置79は、例えば、医薬品のパッケージに付されたバーコードを読み取る装置である。
印刷部90は、購入者に渡す注意書きなど印刷する。
【0024】
記憶装置80は、例えば、ハードディスクなどの大容量記憶媒体である。
この記憶装置80は、購入者用端末装置管理プログラム85を記憶している。
CPU71が、記憶装置80に記憶されている購入者用端末装置管理プログラム85を実行することで、本実施形態に係る処理が行われる。
この購入者用端末装置管理プログラム85には、テレビ会議システム管理プログラム87、購入者管理プログラム88等を含んでいる。
【0025】
次に、購入者用端末装置50の構成について説明する。
図4は、本実施形態で用いる購入者用端末装置50外観を示した図である。本実施形態では、各店舗510に、購入者用端末装置50が配設されている。
図4に示されるように、購入者用端末装置50は、購入者操作装置70、薬剤ピッキング装置100、およびテレビカメラ76を備えている。
薬剤ピッキング装置100は、各種医薬品が収容されると共に有資格者用端末装置520から送信される医薬品選択情報により、当該信号に応じた医薬品を取り出して提供する。
そして薬剤ピッキング装置100は、有資格者が決定し遠隔操作により取り出すべき医薬品を、間違いなく取出して購入者に渡すように、薬剤の在庫管理が行われている。
具体的には、各が販売量単位に分けられた各医薬品が対応する収容ボックスににはICタグが付されている。そして、各収容ボックスにはICタグ対応する医薬品以外が収容されないようにするため、収容の際に医薬品に付けられたバーコードで特定される医薬品と、ICタグが指定する医薬品とが一致しない限り収容ボックスは開かないようになっている。
このように、薬剤ピッキング装置100の収容ボックスには確実に指定された医薬品が収容されることで、有資格者用端末装置520からの遠隔操作によっても、確実に有資格者が指定した医薬品を取り出して購入者に提供することができるようになっている。
また、薬剤ピッキング装置100は、収容した各医薬品の量と、購入者に提供した各医薬品の量を正確に把握することができるので、購入者に正しく指定された医薬品を提供するだけでなく、同時に、医薬品の在庫管理も行うことができる。
【0026】
薬剤ピッキング装置100は、有資格者用端末装置520から医薬品選択情報を受信すると、受信した医薬品選択情報で指定される医薬品を対応する収容ボックスから取出し、医薬品取出口101に排出するようになっている。
なお、薬剤ピッキング装置100は、購入者に医薬品の注意事項を記載した用紙や、清算用のバーコードが記載された用紙を印刷する印刷部90(図示せず)と、この印刷部90で印刷した用紙の取出口91が設けられている。また、購入者個人を認識するためのICカードの挿入口92も備えている。
【0027】
この薬剤ピッキング装置100に対する、医薬品の取出しを指示する医薬品選択情報は、ネットワークを介して接続されている有資格者用端末装置520だけが出力可能になっている。すなわち、薬剤ピッキング装置100は、有資格者用端末装置520からの遠隔操作によってのみ動作し、その遠隔操作は有資格者駐在センタ500にいる有資格者Aだけが操作可能となる。
本実施形態に係るリモート医薬品販売システムでは、テレビ会議システムを利用した購入者Xとの対話、相談、医薬品の説明等を通じて、最終的に販売する医薬品を有資格者Aが決定し、決定した医薬品を薬剤ピッキング装置100から取り出す操作を有資格者Aだけが行うように構成されている。
【0028】
この薬剤ピッキング装置100は、鍵がかけられており、医薬品の補充交換等に関し所定の資格を有し、認証された特定の者だけが鍵を開けることができるようになっており、購入者や店舗510の店の店員は一切医薬品に手を触れることができない。この点で、この薬剤ピッキング装置100は、第1種医薬品の陳列は消費者が直接手にとれない場所にするという規制を遵守することができる。
また、この薬剤ピッキング装置100から購入者が直接医薬品を取得することで、有資格者が購入者との対面により決定した医薬品を、購入者を含めた第三者を介さずに有資格者自身が取出し、購入者に直接手渡すという、対面販売に要求されている全ての条件を満たすことが可能になる。
【0029】
次に、医薬品の購入者について説明する。
本実施形態では、購入者は事前に利用者登録してあることを前提としている。具体的には、個人情報を記憶したICカード発行し、このシステムを利用して医薬品を購入する都度このICカードをICカードの挿入口92に挿入することで提示してもらうようにする。
ICカードに記憶する個人情報は、本人の氏名、生年月日(年齢)、服用した医薬品の履歴、病気の記録、持病などである。また、本人の住所、携帯電話の番号、メールアドレス、身長、体重などを記憶しておくようにしてもよい。
さらに、より本人の確認を厳密に行うために、カード自体に本人の顔写真を付するようにしてもよい。
【0030】
次に、本実施形態係るリモート医薬品販売システムにおける処理の手順を図5、図9、および図14フローチャート参照して、説明する。
まず、図5のフローチャートを参照して、購入者が店舗510を訪れ、このシステムによる問診を開始するまでの処理を説明する。この例では、購入者は、事前に利用者登録をしてあり、ICカードを持参しているものとする。
購入者は、購入者操作装置70の前に立ち、「問診要求」ボタンを押下する。
購入者操作装置70のCPU71は、購入者用端末装置管理プログラム87に従い、「問診要求」ボタンの押下常時監視しており、押下を検知すると、「問診要求」があったことをネットワークを介して、有資格者用端末装置520に送信する(ステップ10)。また、CPU71は、テレビ会議システム管理プログラム87を実行して、テレビカメラ76が購入者の姿の撮影を開始する。
【0031】
これを受けて、有資格者用端末装置520は、通信を開始し(ステップ11)、有資格者用端末装置520の前にいる有資格者の個人認証を行う(ステップ12)。この個人認証は、CPU521が、有資格者認証プログラムを実行することにより行う。具体的には、認証対象者の掌紋または指紋を取得し、有資格者データベース700に記憶されている当該対象者の掌紋または指紋と照合することにより行う。
また、他の方法として、予め各有資格者毎にICカードを発行しておき、提示されたICカードが正規に発行されたものか否かを判定することによって認証を行うようにしてもよい。
なお、この認証は、通信を開始する前に事前に行っておくようにしてもよい。
【0032】
この有資格者の認証に成功すると、有資格者用端末装置520のCPU521は、テレビ会議システム管理プログラム602を実行して、テレビカメラ526が有資格者の姿の撮影を開始する。
そして、テレビカメラ526が有資格者の姿を購入者操作装置70のカメラ画像表示画面78に、一方、テレビカメラ76が撮影した購入者の姿を有資格者用端末装置520のカメラ画像表示画面528に映るようにする。このとき、例えば有資格者が薬剤師である旨を表示600を出して、購入者に対して責任者であることを明確にする(ステップ13)。
このように、映像を出すことで、両者がリアルタイムで対面で対話をしているのと同様の状況となる。なお、カメラ画像表示画面78およびカメラ画像表示画面528に映る画像を図6に示すように両者が同時に映るような画面にしてもよい。この画像を記録として残すことで、両者が対面して対話をしていたことの証拠性をより高めることができる。
【0033】
次に、有資格者用端末装置520は、購入者操作装置70に本人認証、即ちICカードの提出を要求を送信する(ステップ14)。この要求は表示画面77に「ICカードをICカードの挿入口(92)に挿入して下さい。」との表示を出すことで行う。また、有資格者が直接カメラ画像表示画面78を通して呼びかけるようにしてもよい。
そして、購入者がICカードをICカードの挿入口92に挿入すると(ステップ15)、CPU71は、購入者管理プログラムを88を実行して、ICカードから購入者の個人情報を取得して、取得した情報を有資格者用端末装置520へ送信する。
有資格者用端末装置520は、この情報を表示画面527に表示する(ステップ16)。その1例を図7に示してある。
また同時に、購入者、薬歴データベース710を検索し、当該購入者の情報が存在すれば表示画面527に表示する。
このように表示することで、有資格者は、購入者の状況を一目で把握することができる。
この段階で、問診が開始することができる状態となる(ステップ17)。
【0034】
この実施形態での有資格者用端末装置520と購入者操作装置70のデータの送受信は、セキュリティーを考慮して、データを暗号化して行う。
暗号化の方式は、取引の安全性を考慮すれば、公開鍵暗号方式が好ましい。一方、処理の迅速性を重視すれば、共通鍵暗号方式であってもよい。
【0035】
ここで、図8に示すように、有資格者用端末装置520と購入者操作装置70との双方で撮影したテレビ会議システムの映像記録データと両者のアクセスログ等の記録に対して、証拠性を高めるために、電子署名を付与する。そして、外部のタイムスタンプサーバよりタイムスタンプを取得して、証拠データを生成する。これを外部の証拠データ保管用サーバ900にネットワークを介して送信し、保管する。
この処理は、有資格者用端末装置520のCPU521が、認証管理プログラム605を実行して行う。
この処理を行うタイミングは、種々可能である。例えば、一連の処理が全て終了してから行うことも可能であるが、本実施形態では処理の各段階で行うようにしている。
【0036】
次に、問診の処理を図9のフローチャートを参照して説明する。
通常は、有資格者と購入者がテレビ会議システムを使って、対面で質疑応答を行う。本実施形態では、対面での質疑応答に加えて、購入者操作装置70の表示画面77に種々の選択枝を提示し、それに対しての選択を有資格者用端末装置520が受信することで、有資格者が、より明確に症状を把握できるようにする。
まず、有資格者が、症状を口頭で尋ねる(ステップ18)。それに対して、「咳がとまらない。」と購入者が回答したとする(ステップ19)。
ここで、有資格者の入力装置525の操作を受けて、有資格者用端末装置520は、図10に記載してあるように質問を購入者操作装置70へ送信し、表示画面77に表示させる。
このとき、有資格者は、音声でその質問を行って、購入者に回答を促す(ステップ20)。
【0037】
ここで、購入者が「軽い咳が継続している」を選択し、タッチパネルをタッチしたとする(ステップ21)。
次に、有資格者は、「咳はいつから継続していますか」との質問を口頭で行い、同時に、有資格者用端末装置520は、有資格者からの入力装置525の操作を受けて、図11に記載してある選択肢を購入者操作装置70へ送信し、表示画面77に表示させる(ステップ22)。
ここで、購入者が「3〜6時間前から」を選択し、タッチパネルをタッチしたとする(ステップ23)。
さらに、有資格者は、「他に気になる症状はありますか」との質問を口頭で行い、同時に、有資格者用端末装置520は、有資格者からの入力装置525の操作を受けて、図13に記載してある選択肢を購入者操作装置70へ送信し、表示画面77に表示させる(ステップ24)。
【0038】
そして、購入者が「鼻水がでる」を選択し、タッチパネルをタッチしたとする(ステップ25)。
ここで、有資格者は、購入者のICカードに記憶してある個人情報である服用した医薬品の履歴、病気の記録、持病などについて、その後、新たな医薬の服用、別の疾病での通院等がないかの確認を行う(ステップ26)。
この確認は、口頭で行ってもよいが、表示画面77に各項目を表示させて、購入者にタッチしてもらうことで確認するようにしてもよい。
有資格者用端末装置520は、この確認を受信すると(ステップ27)、有資格者用端末装置520のCPU521が、医薬品説明支援プログラム610を実行することにより、購入者のICカードから取得した服用した医薬品の履歴、病気の記録、持病などを考慮して、医薬品データベース720を検索する。
そして、図12に示すような、症状に適した医薬品のリストを表示画面527に表示する(ステップ28)。
【0039】
さらに、有資格者は、購入者から他の相談事項、質問等があれば、口頭で回答する。
ここで、新たに服用した医薬品があった場合、有資格者は、それを入力装置525から入力する。この入力を受けて、有資格者用端末装置520のCPU521が、医薬品データベース720をさらに検索する。
その条件を考慮して不適切な医薬品がリストから除外され、別の適切な医薬品が追加される。新たな条件に適した医薬品が、最終的に推薦できる医薬品のリストとして、表示画面527に表示される。
【0040】
この表示画面527の記載に従って、有資格者は、購入者に各医薬品について説明を行う。このとき、このリストを購入者操作装置70へ送信し、表示画面77に表示する(ステップ29)。また、各医薬品のパッケージの外観も表示する。
【0041】
ここで、購入者の表示画面77のタッチを受けて、有資格者用端末装置520は、最終的に購入者が購入したい医薬品の決定を受け付ける(ステップ30)。この決定を受けて、有資格者は、販売する医薬品を決定し(ステップ31)、以後、当該医薬品を投与際の副作用、注意事項を説明する手続に入る。
なお、医薬品データベース720を検索することにより、適切な医薬品を提示するシステムは、有資格者の知識を補い、且つ当該購入者に薦めてはいけない医薬品を薦めてしますリスクを排除することができる。
なお、ここで、有資格者用端末装置520からの操作で、ICカードの挿入口92に入れられているICカードの医薬品の購入履歴を更新する。
また、有資格者用端末装置520で購入履歴を購入者、薬歴データベースに記憶しておき、次回アクセスがあった場合に、当該購入者のICカードのデータを更新するようにしてもよい。
【0042】
この段階で、再び、図8に示すように、有資格者用端末装置520と購入者操作装置70との双方で撮影したテレビ会議の映像記録データと両者のアクセスログ等の記録に対して、証拠性を高めるために、電子署名を付与する。そして、外部のタイムスタンプサーバよりタイムスタンプを取得して、証拠データを生成する。これを外部の証拠データ保管用サーバ900にネットワークを介して送信し、保管する。
この処理も、有資格者用端末装置520のCPU521が、認証管理プログラム605を実行して行う。
【0043】
次に、図14のフローチャートを参照して、有資格者が、投与する医薬品の副作用、服用する際の注意事項を説明する処理、および薬剤ピッキング装置100から購入者に医薬品を直接手渡す処理手順について説明する。
医薬品を投与する前に当該医薬品の副作用、服用する際の注意事項を明確、且つ正確に購入者に伝えることは、有資格者に課された重要な役割である。
本実施形態では、販売する医薬品が決定されて、例えば、有資格者用端末装置520の表示画面527上の医薬品名またはパッケージがクリック、またはタッチなどにより選択されると、医薬品データベース720に記憶されている当該医薬品の副作用、服用する際の注意事項が表示画面527上に表示される。
【0044】
この表示画面527の表示は、有資格者用端末装置520から購入者操作装置70へ送信され、購入者操作装置70の表示画面77にも表示される。
そして、有資格者は、口頭で可能な限り分かり易く副作用、服用する際の注意事項を読み聞かせる。また、購入者から質問等があれば受け付けて回答する(ステップ32)。そして、最終的に、「副作用、服用の際の注意事項の説明を受け、その内容を承諾しましたか」との質問を行い、「承諾しました」との回答を得て、口頭での説明は終了する(ステップ33)。
ここで、さらに、有資格者用端末装置520から購入者操作装置70に「A医薬品の副作用、服用する際の注意事項の説明を受け、承諾しましたか」との質問画面と「承諾」の文字を送信し、表示画面77上に表示するようにしてもよい。
そして、「承諾」の文字をタッチを受け付けることで、より説明が完了したことの証拠性を高めることができる。
このとき、有資格者用端末装置520は、表示画面77に表示されていた「当該医薬品の副作用、服用する際の注意事項」を購入者操作装置70の印刷部30で印刷させ、取り出口91からプリントアウトを指示する(ステップ34)。そして、プリントアウトした用紙を購入者に必ず持ち帰るように促す(ステップ35)。
【0045】
この段階で、再び、図8に示すように、有資格者用端末装置520と購入者操作装置70との双方で撮影したテレビ会議の映像記録データと両者のアクセスログ等の記録に対して、証拠性を高めるために、電子署名を付与する。そして、外部のタイムスタンプサーバよりタイムスタンプを取得して、証拠データを生成する。これを外部の証拠データ保管用サーバ900にネットワークを介して送信し、保管する。
【0046】
次に、薬剤ピッキング装置100から購入者に医薬品を直接手渡す処理手順を説明する。
有資格者用端末装置520は、販売する医薬品が決定し、且つ所定の副作用等の説明が終了すると、リモートで薬剤ピッキング装置100を操作し、販売する医薬品を薬剤ピッキング装置100から出し、購入者に第3者の手を経ずに直接渡るようにする。
この処理は、CPU521が、薬剤ピッキング装置管理プログラム606を実行することにより行う。
有資格者用端末装置520は、ネットワークを介して、薬剤ピッキング装置100に指定する医薬品を取出口101へ出す旨の指示である医薬品選択情報を送信する(ステップ36)。
この医薬品選択情報を受信した薬剤ピッキング装置100は、当該医薬品のパッケージを取出口101へ排出する(ステップ37)。ここで、購入者が薬剤ピッキング装置100の取出口101から当該医薬品を取り出すところを、テレビカメラ76で撮影するようにする。指定された医薬品が直接購入者に渡されたことを明確に証拠とするためである。
【0047】
また、購入者操作装置70に備えてあるバーコード読取装置79で、当該医薬品のパッケージに付されいているバーコードを読み取り、これを有資格者用端末装置520へ送信するようにしてもよい(ステップ38)。有資格者用端末装置520では、受信したバーコードを照合することで、渡された医薬品が確かに有資格者が決定し、販売したものであることを証明することができる(ステップ39)。
本実施形態では、代金の支払いは、医薬品の受け取り後、店舗510のレジに行うことを前提としている。
しかし、例えば、医薬品の受け渡し前に、購入者操作装置70から所定のバーコードが印刷された用紙を取出口91からプリントアウトする。これを購入者がレジ持参して支払を行い、バーコードからその支払が確認された後に、薬剤ピッキング装置100の取出口101から当該医薬品を渡すようにしてもよい。
【0048】
そして、この最終段階で、再び、図8に示すように、有資格者用端末装置520と購入者操作装置70との双方で撮影したテレビ会議の映像記録データと両者のアクセスログ等の記録に対して、証拠性を高めるために、電子署名を付与する。そして、外部のタイムスタンプサーバよりタイムスタンプを取得して、証拠データを生成する。これを外部の証拠データ保管用サーバ900にネットワークを介して送信し、保管する。
本実施形態では、このように、4段階で証拠データを作成するようにしている。
【0049】
本実施形態によれば、有資格者の推薦により販売(購入)する医薬品が決定され、有資格者のが直接操作する薬剤ピッキング装置100から、第3者の手を経ることなく購入者に渡ることなる。
また、有資格者用端末装置520と購入者操作装置70の間の全てのやり取りのデータを基に証拠データを生成しているので、記録を徹底することも達成している。
【0050】
さらに、本実施形態では、購入者の薬歴、持病、病気の記録と、医薬品データベース720に蓄積されたリスク情報を基に、推薦できる医薬品を提示しているので、仮に、有資格者が不知の情報があったとしても、リスクのある医薬品を推薦することがない。
本実施形態に係る購入者操作装置70を例えば、24時間営業のコンビニエンスストアに設置すれば、深夜であっても必要とする医薬品を購入することができる。
一方、コンビニエンスストア側は、各店舗に薬剤師などの有資格者を配置する必要がない。
さらに、本実施形態によれば、少人数の有資格者で多数の店舗を担当できるので、大幅なコスト削減が可能となる。
【0051】
次に、変形例を説明する。
まず、上記した実施形態では、有資格者用端末装置520と購入者操作装置70のやり取りをテレビカメラの映像と音声、および表示画面に表示したデータの双方で行うようにした。しかし、全てのやり取りをテレビカメラの映像と音声で行うようにしてもよい。
この場合、例えば、推薦する医薬品を提示する際には、パッケージをテレビカメラ表示画面78に映すようして、購入者の判断を補助するようにする。
【0052】
上記した実施形態では、全ての映像記録、操作記録を映像記録データとして、証拠データを作成することとしたが、これでは、記録するデータ量が膨大となるおそれがある。そこで、例えば、映像データは、最初と医薬品の受け取りの部分のみを保存し、それ以外は両者間のログデータを保存するようにしてもよい。
【0053】
上記した実施形態では、購入者が予めICカードを保有していることを前提としたが、例えば、ICカード保有していない者でも、このシステムを利用可能とすることができる。
ICカードをもたいない購入者が購入者操作装置70から問診の要求をした場合、まず最初に、個人情報の提供を求める。具体的には、氏名、生年月日、薬歴、病歴、持病などである。
また、このとき、運転免許証、パスポートなどの個人を特定できる書面の提示を求めることにしてもよい。この場合、これらの書面をテレビカメラ76にはっきりと映るように提示してもらうのがよい。
これらの情報が取得できれば、上記した実施形態と同様の処理を行うことができる。
これらの情報の取得には、購入者操作装置70の表示画面77に必要な事項の例を提示して、そこから選択を受け付けるようにすることもできる。
例えば、持病の情報を質問する場合、表示画面77に、「持病はありますか、あるとすればどれですか」といった表示を出し、選択肢として「高血圧」、「糖尿病」、「高脂血症」など提示すると、比較的正確に情報収集を行うことができる。
【0054】
上記した実施形態では、医薬品を必要としている本人が直接店舗510へ出向いて購入する場合について説明したが、本人が店舗510へ出向けない場合も想定できる。この場合には、代理人が、ICカードを持参して店舗510に出向き、有資格者に代理人であることを告げて、本実施形態に係る処理を行うことで、医薬品を購入する。
有資格者は、ICカードから本人の情報を得ることができるので、適切な医薬品を推薦することができる。
【0055】
上記した実施形態では、有資格者用端末装置520と購入者操作装置70が離れた場所に存在することを前提に説明したが、同一の店舗内に両者が配置されていてもよい。この場合、両者のやり取りを証拠データとして確実に保存することができる。また、購入者の薬歴、持病、病気の記録と、医薬品データベース720に蓄積されたリスク情報を基に、推薦できる医薬品を提示すれば、少なくともリスクのある医薬品を推薦することがなくなる。
【0056】
上記した実施形態では、医薬品を販売する例を説明したが、本発明は、他の商品、サービスの販売にも応用することができる。
その例として携帯電話の販売における本人確認に適用する場合を説明する。
携帯電話の販売には、犯罪などの不正行為に携帯電話が用いられることを防止するために、厳重な購入者の本人確認が要請されている。
そこで、テレビ会議システムで接続された有資格者用端末装置520(携帯電話の販売は、有資格者である必要はないが、説明の便宜上この用語を使用する)と購入者用端末装置50を使用して本人確認を行う。
なお、有資格者用端末装置520の「購入者、薬剤データベース」710を「購入者データベース」710とし、可能であれば、購入者に対応して過去の不正利用(例えば、詐欺行為に使用された)の履歴を蓄積しておくようにしてもよい。
【0057】
そして、購入者に、運転免許証、パスポートなどの個人を特定できる書面の提示を求め、これらの書面をテレビカメラ76にはっきりと映るように提示してもらう。そして、有資格者用端末装置520の操作者は、当該情報を入力することで有資格者用端末装置520が情報を取得するようにする。また、画像認識手段により情報を取得するようにしてもよい。
そして、有資格者用端末装置520は、購入者データベース710を検索し、本人確認を行う。
その結果、本人確認に成功すれば、その旨の情報を購入者用端末装置50へ送信する。ここで、印刷部90が、本人確認に成功した旨の情報(例えばバーコードなど)を記載した用紙を印刷し、これを取出口91からプリンタアウトする。購入者はこの用紙を持って携帯電話の購入のカウンタに行けば、直ぐに機種の選定などの購入の手続き入ることができる。販売店も面倒な本人確認をこのシステムで行うこととすれば、携帯電話の販売に専念することができ、販売効率を向上させることが期待できる。
なお、本人確認に成功しなかった場合、その旨を購入者に告げ、他の方法で本人確認を行うよう要請する。
この処理でも、図8に示すように、有資格者用端末装置520と購入者操作装置70との双方で撮影したテレビ会議システムの映像記録データと両者のアクセスログ等の記録に対して、証拠性を高めるために、電子署名を付与する。そして、外部のタイムスタンプサーバよりタイムスタンプを取得して、証拠データを生成する。これを外部の証拠データ保管用サーバ900にネットワークを介して送信し、保管する。
この処理は、有資格者用端末装置520のCPU521が、認証管理プログラム605を実行して行う。
【0058】
次に、他の例として、リスクが伴う金融商品の販売に本発明を応用する例を説明する。
この例では、銀行の店舗(支店)に購入者用端末装置50を設置し、有資格者用端末装置520を銀行の本店または有資格者駐在センタのような場所に設置する。
そして、販売を担当する有資格者と購入者(契約者)が互いの顔を見られるように対峙する。
有資格者は、当該金融商品のリスクを含めた説明を行い、且つ書面で購入者に提示する。書面の提示は、印刷部90で印刷し、取出口91からプリントアウトする。
そして、購入者から求められれば、更に詳しい説明を行う。最終的に、説明が終了すると、口頭での説明を受けた旨の了解を得、且つ表示画面77に、「この金融商品についての説明を受け、その説明を了解しました」との画面を表示し、これをタッチしてもらうことで、了承を受けるようにする。
この処理でも、図8に示すように、有資格者用端末装置520と購入者操作装置70との双方で撮影したテレビ会議システムの映像記録データと両者のアクセスログ等の記録に対して、証拠性を高めるために、電子署名を付与する。そして、外部のタイムスタンプサーバよりタイムスタンプを取得して、証拠データを生成する。これを外部の証拠データ保管用サーバ900にネットワークを介して送信し、保管する。
この処理は、有資格者用端末装置520のCPU521が、認証管理プログラム605を実行して行う。
【0059】
上記した例では、金融商品について、リスクを含めた説明が適切に行われたことが証拠として保管できるので、金融商品を巡る金融機関と購入者との間の紛争を未然に防止することができる。
また、説明の記録を検証することで、例えば、金融機関が自ら適切な説明を行っていたかの検証を行うこともできる。
【符号の説明】
【0060】
50 購入者用端末装置
70 購入者操作装置
71 CPU
76 テレビカメラ
77 表示画面
80 記憶装置
91 取出口
92 ICカードの挿入口
100 薬剤ピッキング装置
101 取出口
500 有資格者駐在センタ
510 店舗
520 有資格者用端末装置
526 テレビカメラ
527 表示画面
550 記憶装置
900 証拠データ保管用サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品、サービスを販売する資格を有する有資格者と、商品、サービスを購入する購入者とを互いの姿を認識可能に接続するテレビ会議システムを利用し、
前記有資格者が使用する有資格者用端末装置と、前記有資格者用端末装置とネットワークを介して接続され、前記購入者が使用する購入者用端末装置と、を備えたリモート商品
販売システムであって、
前記購入者用端末装置から前記有資格者用端末装置へ、前記購入者を認証する認証情報を送信する認証情報送信手段と、
前記認証情報送信手段で送信された認証情報により認証された購入者に対し、前記有資格者用端末装置から前記購入者用端末装置へ、当該商品、サービスの説明を送信する説明送信手段と、
前記説明送信手段で送信された説明を受けた旨の確認を示す確認情報を、前記購入者用端末装置から前記有資格者用端末装置へ送信する確認情報送信手段と、
テレビ会議システムの映像記録と前記有資格者用端末装置と前記購入者用端末装置の操作記録を証拠データとして保管する証拠データ保管手段と、
を備えたことを特徴とするリモート商品販売システム。
【請求項2】
医薬品を販売する資格を有する有資格者と、医薬品を購入する購入者とを互いの姿を認識可能に接続するテレビ会議システムを利用し、
前記有資格者が使用する有資格者用端末装置と、前記有資格者用端末装置とネットワークを介して接続され、前記購入者が使用し、薬剤供給装置を備えた購入者用端末装置と、を備えたリモート医薬品販売システムであって、
前記有資格者用端末装置から前記購入者用端末装置に対して、推薦する医薬品を提示する医薬品提示手段と、
前記医薬品提示手段で提示された医薬品を購入するとの決定を前記購入者用端末装置から前記有資格者用端末装置へ送信する決定送信手段と、
前記決定送信手段で決定された医薬品を取り出す指示である医薬品選択情報を前記有資格者用端末装置から前記購入者用端末装置へ送信する取出指示送信手段と、
前記取出指示送信手段で送信された医薬品選択情報に従って、薬剤供給装置から指定された医薬品を送出する医薬品送出手段と、
テレビ会議システムの映像記録と前記有資格者用端末装置と前記購入者用端末装置の操作記録を証拠データとして保管する証拠データ保管手段と、
を備えたことを特徴とするリモート医薬品販売システム。
【請求項3】
医薬品を販売する資格を有する有資格者と、医薬品を購入する購入者とを互いの姿を認識可能に接続するテレビ会議システムを利用し、
前記購入者が使用し、薬剤供給装置を備えた購入者用端末装置とネットワークを介して接続され、前記有資格者が使用する有資格者用端末装置であって、
前記薬剤供給装置は、当該有資格者用端末装置のみから操作可能であり、
販売を希望された医薬品の指定を前記購入者用端末装置から受信し、当該医薬品を販売することを決定する医薬品決定手段と、
前記医薬品決定手段で決定した医薬品を前記薬剤供給装置から送出する指示である医薬品選択情報を前記購入者用端末装置に送信する指示送信手段と、
テレビ会議システムの映像記録と前記有資格者用端末装置と前記購入者用端末装置の操作記録を証拠データとして保管する証拠データ保管手段と、
を備えたことを特徴とする有資格者用端末装置。
【請求項4】
所定の記録媒体に記録された購入者の薬歴データを含む個人情報を前記購入者用端末装置を介して受信する購入者確認手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の有資格者用端末装置。
【請求項5】
有資格者が行う購入者に推薦する医薬品の決定を受け付け、当該決定された医薬品を推薦医薬品として前記購入者用端末装置へ提示する推薦医薬品提示手段を備えたことを特徴とする請求項3または請求項4記載の有資格者用端末装置。
【請求項6】
前記証拠データ保管手段が保管する証拠データに電子署名を付与し、且つタイムスタンプを取得する証拠データ認証手段を備えたことを特徴とする請求項3、請求項4または請求項5記載の有資格者用端末装置。
【請求項7】
前記医薬品決定手段販売する医薬品を決定後、当該医薬品の副作用、服用上の注意事項を送信する注意事項送信手段と、
前記注意事項送信手段で送信した医薬品の副作用、服用上の注意事項を承諾した旨の応答を受信する承諾受信手段を備えたことを特徴とする請求項3、請求項4、請求項5または請求項6記載の有資格者用端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−109414(P2013−109414A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251941(P2011−251941)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)