説明

リュックサック

【課題】リュックサックの負い面と使用者の背中の間に空間を形成する場合と、リュックサックの負い面と使用者の背中を密着させるいずれの場合もリュックサック内部の形状を一定に保ち、空間形成時の通気性を高め、全ての部品を有効に利用する。
【解決手段】リュックサック1の負い面の下部左右にスペーサー3,4をリュックサックの負い面と側面との間で移動可能に取り付け、スペーサーをリュックサックの負い面に移動するとリュックサックの負い面と使用者の背中の間に空間を形成し、スペーサーをリュックサックの側面に移動するとリュックサックの負い面と使用者の背中を密着させ、スペーサーを用いることでリュックサック内部の形状を一定に保ち、空間形成時の通気性を高め、全ての部品を有効に利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリュックサック、特に背負う際の負い面の下部左右に、スペーサーを負い 面と側面の間で移動可能に取り付けたリュックサックに関するものである。このスペーサーを負い面に移動するとその負い面と使用者の背中との間に適度な空間を形成してリュックサックを背負っての歩行時に、使用者から発せられる熱や汗を背中から発散し易くしたものであり、一方で冬や寒冷地での使用時にはスペーサーをリュックサックの側面に移動することでその負い面と使用者の背中を密着させて保温効果を得ると共に使用者が転倒した時や他の人等にぶつかった時にスペーサーが衝撃を吸収するリュックサックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
これまでのリュックサックとしては、下記の特許文献1で示すようなリュックサックの負い面の左右に一対のポールを取り付け、リュックサックの負い面を使用者の背中に沿うように弧状に湾曲するよう紐で弓状にポール上下を連結したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−93155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の従来技術によれば、リュックサックの負い面を弧状に湾曲させて使用者の背中との間に空間を形成しているが、この方法であるとリュックサック内部を常に一定の形状に保つことは不可能であり、紐でポール上下を引張りリュックサック内部の形状を変更する時は一旦荷物を取り出して行なうか、あるいは荷物を詰め込んだ状態でリュックサック内部の形状を変形することになり、この場合例えば、食料等の水分を含んだ袋が破裂する恐れがあるという問題点があった。
【0005】
また、空間形成時に通気が横方向だけで縦方向には通気しないという問題点もあり、さらに、連結引張を無くすことでリュックサックの負い面と使用者の背中を密着させ保温効果を得ることは可能であるが、この状態では意味のないポールを装着しているという問題点がある、
本発明は、リュックサックの負い面と使用者の背中の間に空間を形成する場合と、リュックサックの負い面と使用者の背中を密着させる場合のいずれでもリュックサック内部の形状を一定に保ち、空間形成時には使用者の背中への通気性を高め、さらに前記のようなポールを必要としないリュックサックを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のリュックサックは次のように構成したものである。
【0007】
すなわち、本発明のリュックサックは、その負い面の下部左右にスペーサーをリュックサックの負い面と側面との間で移動可能に取り付け、スペーサーを負い面に移動するとリュックサックの負い面と使用者の背中の間に空間を形成し、一方スペーサーをリュックサックの側面に移動すると、リュックサックの負い面と使用者の背中を密着させることができるものである。このスペーサーは、リュックサックの負い面、側面それぞれに固定される機構を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、従来の課題であったリュックサック内部が変形する点、また、空間形成時に使用者の背中への通気が横方向だけである点、さらに、空間不要時に無意味なポールを装着している点のすべてを解決し、スペーサーを用いることでリュックサック内部の変形がなく、スペーサーをリュックサックの負い面に移動した場合はリュックサック負い面は左右のスペーサーの2点で使用者の背中と接するので横方向だけでなく縦方向にも通気が図れ、使用者の背中の放熱効果が従来のリュックサックより大きくできるものである。
【0009】
さらに、スペーサーをリュックサックの側面に移動した場合は、リュックサックの負い面と使用者の背中を密着させて保温効果を得ると共に使用者が転倒した時や他の人等にぶつかった時に衝撃を吸収する効果があり、加えて、リュックサックの負い面、側面のいずれに移動した場合でもスペーサー内部の空間を小物入れとすることができてスペーサーを常に有効利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】左右スペーサーをリュックサックの負い面に移動した場合の要部斜視図。
【図2】左右スペーサーをリュックサックの側面に移動した場合の要部斜視図。
【図3】左スペーサーの要部斜視図。
【図4】左スペーサーの要部横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用したリュックサックについて、図面を用いて詳しく説明する。
【0012】
本発明のリュックサック1は、本体2の負い面の下部左右に左スペーサー3と右スペーサー4をリュックサックの負い面と側面との間で移動可能に取り付けたものである。このため、本体2の負い面に左スペーサー3と右スペーサー4を移動することで、リュックサック1の負い面と使用者の背中の間に空間を形成できる。またこのリュックサック1では、本体2の側面に左スペーサー3と右スペーサー4をそれぞれ移動することで、負い面と使用者の背中とを密着させることができる。
【0013】
左スペーサー3及び右スペーサー4は、中空な直方体に形成された樹脂部5のうち、使用者の背中に当たる面に緩衝材6を装着し、この樹脂部5と緩衝材6のすべてを包装布7で包み、包装布7に位置固定用の嵌合型ボタン8bと、小物入れ用の開閉部チャック9を取り付けた構造である。このスペーサー3,4の大きさは一辺がおよそ10cmの長さからなる直方体である。
【0014】
この左スペーサー3と右スペーサー4は、左右対称の形状に作られている。
【0015】
樹脂部5はスペーサーの芯材となる中空の直方体であり、機械的剛性を有する合成樹脂、例えばポロプロピレンやポリカボネイト等で成形されている。
【0016】
緩衝材6はウレタン樹脂等で成形されていて、左スペーサー3、右スペーサー4を本体2の負い面に移動した場合に樹脂部5の使用者の背中に当たる面に取り付けられている。
【0017】
包装布7は、中空の直方体である樹脂部5と緩衝材6を包み込んでいる。左スペーサー3及び右スペーサー4にはその包装布7のそれぞれに本体2へ固定するための嵌合型ボタン8bを取り付けるとともに開閉部チャック9を設けて樹脂部5の中空部に対して開閉自在な開口部を有する構造とした。この包装布7は、リュックサック本体2と同材質の布地である。
【0018】
縫合部10は包装布7の一部で、左スペーサー3と右スペーサー4は本体2に縫合部10で縫合されている。スペーサー3、4は縫合部10を軸として本体2の負い面と側面の間を移動できるものである。
【0019】
本体2には左スペーサー3、右スペーサー4をそれぞれ固定するための嵌合型ボタン8aが装着されており、この嵌合型ボタン8aは左スペーサー3及び右スペーサー4の包装布7に装着されている嵌合型ボタン8bと対になるものである。
【0020】
さらに左スペーサー3、右スペーサー4を本体2の負い面、または側面に固定する手段としては、嵌合型ボタンの他に両面テープがある。
【0021】
包装布7の開口部の開閉手段はチャックの他に、嵌合型ボタンや両面テープがある。
【0022】
さらに図示しないが、ウエストベルトを取り付けることもでき、その場合左スペーサー3、右スペーサー4と干渉しない位置に取り付けることが好ましい。
【符号の説明】
【0023】
1 リュックサック
2 本体
3 左スペーサー
4 右スペーサー
5 樹脂部
6 緩衝材
7 包装布
8a 嵌合型ボタン
8b 嵌合型ボタン
9 開閉部チャック
10 縫合部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
リュックサックの負い面の下部左右にスペーサーをリュックサックの負い面と側面との間で移動可能に取り付け、これらのスペーサーは芯材をなす合成樹脂の中空体とこの中空体の負い面に施した板状スポンジ体からなる直方体に構成され、全体が布で覆われたものであり、前記スペーサーをリュックサックの負い面に移動することでリュックサックの負い面と使用者の背中の間に空間を形成し、リュックサックの側面に移動することでリュックサックの負い面と使用者の背中を密着させる機構を持つリュックサック。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−259470(P2010−259470A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110324(P2009−110324)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【特許番号】特許第4372222号(P4372222)
【特許公報発行日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(308025554)
【Fターム(参考)】