説明

リング型ネットワークシステム

【課題】リング型ネットワークシステムにおいて、通信障害が発生しているポートを省電力モードに移行させ、無駄な電力を削減することができる技術を提供する。
【解決手段】通信障害が発生した場合、リングノード12bは、マスターノード12aに向けてリンクダウンフレームを送信する。リンクダウンフレームは、リングノード12c、リングノード12d、リングノード12eを経由してマスターノード12aに送信される。マスターノード12aは、リンクダウンフレームを受信したことを契機として、リングノード12bに向けて送信パワー断フレームF3を送信する。送信パワー断フレームF3は、リングノード12e、リングノード12d、リングノード12cを経由してリングノード12bに送信される。リングノード12bは、送信パワー断フレームF3を受信したことを契機として、通信障害が発生している側のリングポート16rを省電力モードに移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リング型ネットワークシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、低消費電力モードを搭載している電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の技術では、物理レイヤ(PHY用LSI)が低消費電力モードに遷移すると、この遷移に連動して光トランシーバも低消費電力モードである待機状態に移行する。
【0004】
このため、特許文献1の技術によれば、光トランシーバを待機状態に設定することにより、各種回路の駆動電源電圧が低下されるため、消費電力を低減させることができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−118563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ネットワークを冗長化した構成のネットワークシステムとして、ネットワーク中継装置をリング状に接続したリング型ネットワークシステムがある。
リング型ネットワークシステムにおいて、通信ケーブルの断線などの通信障害が発生すると、通信障害が発生しているポートではフレームの送受信が行われない。しかし、従来のリング型ネットワークシステムでは、通信障害が発生しているポートは通常の電力モードのままであるため、無駄に電力を消費してしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、リング型ネットワークシステムにおいて、通信障害が発生しているポートを省電力モードに移行させ、無駄な電力を削減することができる技術の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のリング型ネットワークシステムは、複数のネットワーク中継装置をリング状に接続したリング型ネットワークシステムであって、前記複数のネットワーク中継装置は、制御ポートを有するマスターノードと、前記マスターノードの制御ポートに直接的に又は間接的に接続されるリングポートを有するリングノードとを備え、前記リングノードは、前記リングポートで通信障害が発生したことを検出した場合、前記マスターノードに障害発生情報を送信し、前記マスターノードは、前記障害発生情報を受信した場合、前記通信障害が発生したリングノードに対して省電力モード移行命令情報を送信し、前記リングノードは、前記省電力モード移行命令情報を受信した場合、前記通信障害が発生しているリングポートを通常電力モードと比較して消費電力の少ない省電力モードに移行させるリング型ネットワークシステムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、リング型ネットワークシステムにおいて、通信障害が発生しているポートを省電力モードに移行させ、無駄な電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態のリング型ネットワークシステム10を示す図である。
【図2】マスターノード12aの構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】リングノード12bの構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】制御フレームのフォーマットを示す図である。
【図5】リング型ネットワークシステム10の動作について説明する連続図である(1/5)。
【図6】リング型ネットワークシステム10の動作について説明する連続図である(2/5)。
【図7】リング型ネットワークシステム10の動作について説明する連続図である(3/5)。
【図8】リング型ネットワークシステム10の動作について説明する連続図である(4/5)。
【図9】リング型ネットワークシステム10の動作について説明する連続図である(5/5)。
【図10】リングノードとリングノードとの間で通信障害が発生した場合のリング型ネットワークシステム10の動作について説明する連続図である(1/2)。
【図11】リングノードとリングノードとの間で通信障害が発生した場合のリング型ネットワークシステム10の動作について説明する連続図である(2/2)。
【図12】第2実施形態のリング型ネットワークシステム10−2を示す図である。
【図13】第1マスターノード12xの構成を概略的に示すブロック図である。
【図14】リング型ネットワークシステム10−2の動作について説明する連続図である(1/5)。
【図15】リング型ネットワークシステム10−2の動作について説明する連続図である(2/5)。
【図16】リング型ネットワークシステム10−2の動作について説明する連続図である(3/5)。
【図17】リング型ネットワークシステム10−2の動作について説明する連続図である(4/5)。
【図18】リング型ネットワークシステム10−2の動作について説明する連続図である(5/5)。
【図19】リングノードとリングノードとの間で通信障害が発生した場合のリング型ネットワークシステム10−2の動作について説明する連続図である(1/2)。
【図20】リングノードとリングノードとの間で通信障害が発生した場合のリング型ネットワークシステム10−2の動作について説明する連続図である(2/2)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態のリング型ネットワークシステム10を示す図である。
リング型ネットワークシステム10は、リング状に接続された5つのネットワーク中継装置12(12a〜12e)により構成される。
【0012】
ネットワーク中継装置12は、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルにてレイヤ2レベルでフレームを中継する装置であり、例えばイーサネット(登録商標)スイッチである。
【0013】
各ネットワーク中継装置12は、例えば1本の光通信ケーブル14によってそれぞれ接続されている。光通信ケーブル14には、2本の光ファイバーを含む2芯タイプのものを適用することができる。
【0014】
ネットワーク中継装置12は、光通信ケーブル14が接続される複数のポート16をそれぞれ有する。ポート16は、送信部及び受信部を有し、送信部及び受信部のそれぞれに光ファイバーが接続されている。
【0015】
複数のネットワーク中継装置12は、マスターポート16m(制御ポート、第1制御ポート)及びスレーブポート16s(制御ポート、第2制御ポート)を有するマスターノード12aを備える。マスターノード12aは、マスターポート16mとスレーブポート16sとを単独で有するノードであるため、シングルマスタを構成している。
【0016】
また、複数のネットワーク中継装置12は、マスターノード12aのマスターポート16mやスレーブポート16sに直接的に又は間接的に接続されるリングポート16rを有するリングノード12b,12c,12d,12eを備える。ここで、「直接的に接続される」とは、他のリングポート16rを介さずにマスターノード12aのマスターポート16mやスレーブポート16sにリングポート16rが接続されることを意味しており、「間接的に接続される」とは、他のリングポート16rを介してマスターノード12aのマスターポート16mやスレーブポート16sにリングポート16rが接続されることを意味している。
【0017】
〔マスターノード〕
図2は、マスターノード12aの構成を概略的に示すブロック図である。
マスターノード12aは、ポート16、PHY(physical layer)用LSI(Large Scale Integration、大規模集積回路)40、中継モジュール50、メモリ60及びリング制御モジュール70を備える。
【0018】
〔ポート〕
ポート16は、マスターノード12aに設けられたポートの数に応じて複数設けられ、各ポート16は光トランシーバ30を備えている。なお、図示の例では、2つのポート16のみ図示している。
【0019】
〔光トランシーバ〕
光トランシーバ30は、電気光変換部(E/O(Electrical/Optical Converter)部)32及び光電気変換部(O/E(Optical/Electrical Converter)部)34を有する。
【0020】
電気光変換部32は、LD(Laser Diode、レーザダイオード)等の発光素子によって構成され、ポート16の送信部に接続されている。光電気変換部34は、PD(Photo Diode、フォトダイオード)等の受光素子によって構成され、ポート16の受信部に接続されている。
光トランシーバ30は、省電力モードに移行可能なインターフェースであり、例えば脱着可能なQSFP+(Quad Small Form factor Pluggable Plus)を適用することができる。
【0021】
ここで、「省電力モード」とは、通常電力モード(すなわち、通常時における消費電力のモード)と比較して消費電力の少ないモードである。「省電力モード」は、光トランシーバ30の性能や仕様によってモードの内容は相違するが、例えば消費電力を抑えることによって正確な通信は保証できない状態となるが、光は微かに受信している状態とすることができる。
【0022】
〔PHY用LSI〕
PHY用LSI40は、符号化又は復号化等の処理を行って、光トランシーバ30から中継モジュール50へ、又は中継モジュール50から光トランシーバ30へフレームを送信する。また、PHY用LSI40は、ポート操作部42、通信障害検出部44、通信障害通知部46及び電力モード設定部48を有する。
【0023】
〔ポート操作部〕
ポート操作部42は、所定の命令に基づいて、各ポート16の有効化(enable)及び無効化(disable)を行う。ユーザフレームの送受信は、有効化されているポート16によって行われ、無効化されているポート16では行われない。
【0024】
〔通信障害検出部〕
通信障害検出部44は、ポート16別に、そのポート16が正常状態(リンクアップ)であるか、又は通信障害が発生している状態(リンクダウン)であるかを検出する。通信障害検出部44は、光トランシーバ30での光の受信パワーを監視(モニタリング)しており、受信パワーが一定値以上である場合に正常状態であると判断し、受信パワーが一定値未満である場合に通信障害が発生していると判断する。ここで、「通信障害」には、光通信ケーブル14の切断による通信不能状態のみならず、ネットワーク中継装置12の故障や光トランシーバ30の故障による通信不能状態も含まれる。
【0025】
〔通信障害通知部〕
通信障害通知部46は、通信障害検出部44によっていずれかのポート16で通信障害が発生したことが検出された場合、当該ポート16で通信障害が発生したことを通知する信号をリング制御モジュール70へ通知(出力)する。また、通信障害通知部46は、通信障害が発生している状態から正常状態に復帰した場合、その旨を通知する信号をリング制御モジュール70へ通知(出力)する。
【0026】
〔電力モード設定部〕
電力モード設定部48は、電力モード管理部78からの命令に基づいて、通信障害が発生している光トランシーバ30の電力モード(通常電力モード又は省電力モード)を設定する。
具体的には、電力モード管理部78から省電力モードに移行させる信号を受信した場合、光トランシーバ30を省電力モードに移行させ、電力モード管理部78から通常電力モードに移行させる信号を受信した場合、光トランシーバ30を通常電力モードに移行させる。
【0027】
〔中継モジュール〕
中継モジュール50は、メモリ60及びリング制御モジュール70と協働して、MAC(Media Access Control)層の機能を担当し、必要に応じてMAC層以上の機能を担当する。
中継モジュール50は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)等によって構成される。また、中継モジュール50は、入力処理ユニット52及び出力処理ユニット54を有する。
【0028】
〔メモリ〕
メモリ60は、読み出し及び書き込みが可能な記憶装置であり、FDB(Forwarding Data Base、転送データベース)62を格納している。FDB62には、ポート16の番号及びMACアドレスが相互に関連付けられて登録される。
【0029】
〔リング管理DB〕
また、メモリ60には、リング管理DB(Data Base)64が格納されている。リング管理DB64には、マスターノード12aがリング型ネットワークシステム10におけるマスターノードに設定されていることや、第1制御ポートに設定されているマスターポート16mの番号、第2制御ポートに設定されているスレーブポート16sの番号、マスターポート16m及びスレーブポート16sの状態等が登録されている。
【0030】
ここで、リング管理DB64に登録されるマスターポート16m及びスレーブポート16sの状態には、フォワーディング状態及びブロッキング状態がある。フォワーディング状態とは、ユーザフレーム及び制御フレームの両方を送受信可能な状態であり、ブロッキング状態とは、ユーザフレームの送受信は不能な状態であって、制御フレームの送受信は可能な状態である。
【0031】
マスターポート16mは、リング型ネットワークシステム10に属し、リング型ネットワークシステム10が正常な状態である場合、フォワーディング状態に設定されるポートである。スレーブポート16sは、リング型ネットワークシステム10に属し、リング型ネットワークシステム10が正常な状態である場合、ブロッキング状態に設定されるポートである。
【0032】
〔入力処理ユニット〕
入力処理ユニット52は、フレーム中の送信先MACアドレスに基づいて、FDB62及びリング管理DB64を参照しながら、出力先のポート16を設定し、フレームを出力処理ユニット54へ送信する処理を行う。また、入力処理ユニット52は、PHY用LSI40から受け取ったフレーム中の送信元MACアドレスを、フレームを受信したポート16の番号と対応付けてFDB62に登録する処理を行う。
【0033】
入力処理ユニット52は、ブロッキング状態のスレーブポート16sによって受信されたユーザフレームを破棄する処理を行う。つまり、ブロッキング状態のスレーブポート16sは、ユーザフレームを実質的に受信しない状態となる。また、入力処理ユニット52は、ブロッキング状態のスレーブポート16sをユーザフレームの出力先に設定しない処理を行う。つまり、ブロッキング状態のスレーブポート16sは、ユーザフレームの送信を行わない。
さらに、入力処理ユニット52は、PHY用LSI40から受け取ったフレームが制御フレームである場合、制御フレームをリング制御モジュール70へ送信する処理を行う。
【0034】
〔出力処理ユニット〕
出力処理ユニット54は、入力処理ユニット52から受け取ったフレームを、PHY用LSI40へ送信する。
【0035】
〔リング制御モジュール〕
リング制御モジュール70は、CPU(Central Processing Unit、中央演算処理装置)によって構成され、リングプロトコルを制御する。またリング制御モジュール70は、制御フレーム生成部72、制御フレーム判定部74、リング管理部76及び電力モード管理部78を有する。
【0036】
〔制御フレーム生成部〕
制御フレーム生成部72は、制御フレームを生成する。生成された制御フレームは、中継モジュール50を通じて、マスターポート16m及びスレーブポート16sのうち一方又は両方から送信される。
【0037】
制御フレームの宛先には、リング型ネットワークシステム10に属する全てのネットワーク中継装置12を宛先とするマルチキャストアドレスが設定される。したがって、各リングノード12b〜12eは、リング型ネットワークシステム10に属する2つのポート16のうち一方で受信した制御フレームを、他方のポート16から送信する。つまり、各リングノード12b〜12eは、リング型ネットワークシステム10に沿って流れるように制御フレームを転送することになる。
【0038】
マスターノード12aの制御フレーム生成部72によって生成される制御フレームには、接続確認フレームF1,F2、送信パワー断フレーム(省電力モード移行命令情報)F3がある。なお、接続確認フレームF1は、接続確認フレームのうち、マスターポート16mから送信されるものを指し、接続確認フレームF2は、スレーブポート16sから送信されるものを指す。また、送信パワー断フレームF3は、通信障害が発生しているリングポート16rを省電力モードに移行させるためのフレームである。
【0039】
〔制御フレーム判定部〕
マスターポート16m又はスレーブポート16sによって制御フレームが受信された場合、制御フレームは、入力処理ユニット52を経て、制御フレーム判定部74に送信される。
制御フレーム判定部74は、制御フレームを受信したか否かを判定する。そして、制御フレーム判定部74は、受信した制御フレームが、接続確認フレームF1,F2、リンクダウンフレーム(障害発生情報)F4のうちいずれであるかを判定する。なお、リンクダウンフレームF4は、通信障害発生時にリングノード12b,12c,12d,12eによって送信される制御フレームである。
【0040】
〔リング管理部〕
リング管理部76は、マスターポート16m及びスレーブポート16sの状態をリング管理DB64に登録する。具体的には、スレーブポート16sの状態をブロッキング状態に設定する場合、リング管理部76は、スレーブポート16sの状態をブロッキング状態としてリング管理DB64に登録する。スレーブポート16sの状態をフォワーディング状態に設定する場合、リング管理部76は、スレーブポート16sの状態をフォワーディング状態としてリング管理DB64に登録する。
リング管理部76は、リング型ネットワークシステム10が正常な状態の場合、マスターポート16mの状態をフォワーディング状態に、スレーブポート16sの状態をブロッキング状態に設定する。
また、リング管理部76は、リング型ネットワークシステム10に通信障害が発生した場合、スレーブポート16sをフォワーディング状態に設定する。具体的には、リング管理部76は、リンクダウンフレームF4を受信したことに基づいて、スレーブポート16sをフォワーディング状態に設定する。
また、リング管理部76は、リング型ネットワークシステム10の通信障害が復旧した場合、スレーブポート16sをブロッキング状態に設定する。具体的には、リング管理部76は、接続確認フレームF1を受信するようになったことに基づいて、スレーブポート16sをブロッキング状態に設定する。
また、リング管理部76は、通信障害が発生したことによって通信経路が変更された場合、FDB62の内容をクリアする機能を有する。
【0041】
〔電力モード管理部〕
電力モード管理部78は、光トランシーバ30の電力モード(通常電力モード又は省電力モード)を管理する処理を実行する。具体的には、以下の条件に基づいて電力モードを管理する。
【0042】
〔障害発生時〕
(1)リングノード12b〜12eのリングポート16rで通信障害が発生した場合、リングノード12b〜12eからリンクダウンフレームF4が送信されてくる。電力モード管理部78は、リンクダウンフレームF4を受信したことに基づいて、リングノード12b〜12dのリングポート16rで通信障害が発生したことを認識することができる。この場合、電力モード管理部78は、制御フレーム生成部72に送信パワー断フレームF3を生成させて、障害が発生しているリングノード12b〜12dに対して送信パワー断フレームF3を送信する。
【0043】
(2)マスターノード12aのマスターポート16m又はスレーブポート16sで通信障害が発生した場合、自己の通信障害通知部46から通信障害が発生したことが通知されてくるので、電力モード管理部78は、電力モード設定部48に対して、省電力モードに移行させる信号を送信する。
【0044】
〔障害復旧時〕
(3)マスターノード12aのマスターポート16m又はスレーブポート16sでの通信障害が復旧した場合、自己の通信障害通知部46から通信障害が復旧したことが通知されてくるので、電力モード管理部78は、電力モード設定部48に対して、通常電力モードに移行させる信号を送信する。
【0045】
〔リングノード〕
図3は、リングノード12bの構成を概略的に示すブロック図である。なお、以下の説明では、マスターノード12aと同一の構成については、同一の名称又は符号を付して適宜説明を省略する。また、リングノード12c〜12eの構成については、リングノード12bと同様の構成である。
【0046】
〔リング管理DB〕
リングノード12bのリング管理DB66には、リングノード12bがリング型ネットワークシステム10におけるリングノードに設定されていることや、リングポートに設定されているリングポート16rの番号が登録されている。
【0047】
〔制御フレーム生成部〕
制御フレーム生成部80は、制御フレームを生成する。リングノード12bの制御フレーム生成部80によって生成される制御フレームは、リンクダウンフレームF4である。リンクダウンフレームF4は、通信障害が発生しているリングポート16rの情報をマスターノード12aに通知するためのフレームである。
【0048】
〔電力モード管理部〕
電力モード管理部82は、光トランシーバ30の電力モード(通常電力モード又は省電力モード)を管理する処理を実行する。具体的には、以下の条件に基づいて電力モードを管理する。
【0049】
〔障害発生時〕
(1)リングノード12bのリングポート16rで通信障害が発生した場合、自己の通信障害通知部46から通信障害が発生したことが通知されてくるので、電力モード管理部82は、制御フレーム生成部80にリンクダウンフレームF4を生成させて、マスターノード12aに対してリンクダウンフレームF4を送信する。
(2)マスターノード12aに対してリンクダウンフレームF4を送信すると、今度はマスターノード12aから送信パワー断フレームF3が送信されてくるので、電力モード管理部82は、受信した送信パワー断フレームF3に基づいて、電力モード設定部48に対して省電力モードに移行させる信号を送信する。
【0050】
〔障害復旧時〕
(3)リングノード12bのリングポート16rでの通信障害が復旧した場合、自己の通信障害通知部46から通信障害が復旧したことが通知されてくるので、電力モード管理部82は、電力モード設定部48に対して、通常電力モードに移行させる信号を送信する。
【0051】
図4は、制御フレームのフォーマットを示す図である。
制御フレームは、DA(Destination Address)領域、SA(Source Address)領域、その他領域、フレームタイプ領域、メッセージタイプ領域、ポートタイプ領域等によって構成される。
【0052】
DA領域には、送信先のMACアドレスが格納され、SA領域には、送信元のMACアドレスが格納される。
その他領域には、例えば仮想的なネットワークの識別番号を示すVID(VirtualLAN ID)や、リング状のネットワークの識別番号を示すRingID等が格納される。
【0053】
フレームタイプ領域には、フレームの種類を示す値が格納される。例えば、接続確認フレームF1であれば「1」の値が格納され、接続確認フレームF2であれば「2」の値が格納され、その他の制御フレームであれば「3」の値が格納される。
【0054】
メッセージタイプ領域には、その他の制御フレームの種類を示す値が格納される。例えば、送信パワー断フレームF3であれば「1」の値が格納され、リンクダウンフレームF4であれば「2」の値が格納される。
【0055】
ポートタイプ領域には、所定のポートを特定する必要がある場合、所定のポートを特定するための値(障害発生ポート情報)が格納される。例えば、リングノード16rのうち、マスターポート16mに近いリングポート16rであれば「1」の値が格納され、スレーブポート16sに近いリングポート16rであれば「2」の値が格納される。なお、ポートタイプ領域に対しては、各ポートの識別番号を格納することによってもポートを特定することができる。
【0056】
このため、リンクダウンフレームF4においては、SA領域によって自己の送信元情報を特定することができ、ポートタイプ領域によって通信障害が発生したリングポート16rを特定することができる。また、送信パワー断フレームF3においては、DA領域によって送信先情報を特定することができ、ポートタイプ領域によって通信障害が発生したリングポート16rを特定することができる。したがって、リンクダウンフレームF4や送信パワー断フレームF3を参照することにより、どのノードのどのポートにて通信障害が発生しているのかを把握することができる。
【0057】
〔全体の動作〕
以下、リング型ネットワークシステム10におけるマスターノード12a、リングノード12b〜12eの動作について説明する。
【0058】
図5〜図9は、リング型ネットワークシステム10の動作について説明する連続図である。なお、図5〜図9においては、リング型ネットワークシステム10が正常状態から異常状態となり、その異常状態が復旧するまでの一連の動作について示している。
【0059】
〔正常時(その1)〕
図5(A)に示すように、マスターノード12aは、マスターポート16m及びスレーブポート16sから、接続確認フレームF1及び接続確認フレームF2をそれぞれ送信する。
接続確認フレームF1は、リングノード12b、リングノード12c、リングノード12d及びリングノード12eによって順次転送され、マスターノード12aのスレーブポート16sによって受信される。同様に、接続確認フレームF2は、リングノード12e、リングノード12d、リングノード12c及びリングノード12bによって順次転送され、マスターポート16mによって受信される。マスターノード12aは、接続確認フレームF1,F2を定期的に受信している場合、リング型ネットワークシステム10が正常に動作していると判断することができる。
【0060】
〔正常時(その2)〕
図5(B)に示すように、正常時において、マスターノード12aのマスターポート16mはフォワーディング状態にあり、スレーブポート16sはブロッキング状態にある。
このため、リング型ネットワークシステム10が正常状態にある場合、リングノード12cの外側から送信されてきたユーザフレームUFは、リングノード12c、リングノード12b、マスターノード12aを経由して、マスターノード12aの外側へ転送される。一方、リングノード12d、リングノード12eを経由してきたユーザフレームUFは、マスターノード12aのスレーブポート16sがブロッキング状態であるため、スレーブポート16sにて全て破棄される。
【0061】
〔通信障害発生時(その1)〕
図6に示すように、マスターノード12aとリングノード12bとの間で通信障害が発生した場合を想定する。
リングノード12bは、通信障害の発生を検出し、マスターノード12aに向けてリンクダウンフレームF4を送信する。リンクダウンフレームF4は、リングノード12c、リングノード12d、リングノード12eを経由してマスターノード12aに送信される。マスターノード12aは、リンクダウンフレームF4を受信したことに基づいて、スレーブポート16sをフォワーディング状態に設定する。これにより、リングノード12cの外側から送信されてきたユーザフレームは、リングノード12c、リングノード12d、リングノード12e、マスターノード12aを経由して、マスターノード12aの外側へ転送されることになる(図7(B)参照)。
【0062】
〔通信障害発生時(その2)〕
図7(A)に示すように、マスターノード12aは、リンクダウンフレームF4を受信したことを契機として、リングノード12bに向けて送信パワー断フレームF3を送信する。送信パワー断フレームF3は、リングノード12e、リングノード12d、リングノード12cを経由してリングノード12bに送信される。
【0063】
〔通信障害発生時(その3)〕
図7(B)に示すように、リングノード12bは、送信パワー断フレームF3を受信したことを契機として、通信障害が発生している側のリングポート16rを省電力モードに移行させる。また、マスターノード12aは、マスターポート16mを省電力モードに移行させる。なお、省電力モードに移行しているポートについては黒色の着色を施してある。
【0064】
ここで、マスターノード12a及びリングノード12b〜12eは、省電力モードに移行させた後、例えば所定の時間の経過後にFDB62の内容を消去することができる。省電力モードに移行させた後にFDB62の内容を消去する理由は、通信障害が発生した中継装置を特定することができなくなる前に、送信パワー断フレームF3を送信する必要があるからである。
【0065】
〔復旧時(その1)〕
図8(A)に示すように、通信障害が発生している部分が復旧した場合を想定する。ここで「復旧」とは、通信障害が何らかの原因により解消されることであり、例えば光通信ケーブル14が抜けていた状態をしっかりと挿し込んだり、光通信ケーブル14の断線であれば光通信ケーブル14を交換したり、光トランシーバ30の故障であれば新たな光トランシーバ30に交換すること等により通信障害が解消して復旧状態となる。
【0066】
〔復旧時(その2)〕
図8(B)に示すように、マスターノード12a及びリングノード12bは、通信障害検出部44にて通信障害の復旧を検出すると、省電力モード状態にあるポート16を通常電力モードに移行させる。
【0067】
〔復旧時(その3)〕
図9(A)に示すように、マスターノード12aのマスターポート16mは、省電力モード状態から通常電力モードに移行すると、一旦リスニング状態となる。ここで、リスニング状態とは、ユーザフレームは送受信しないが、制御フレームは送受信する状態である。リスニング状態からフォワーディング状態へ復旧させるためには、手動により又は自動で復旧させることができる。手動により復旧させる場合は、所定の入力装置によってマスターノード12a等に対してコマンド入力することによりリスニング状態からフォワーディング状態へ復旧させることができる。自動で復旧させる場合は、リスニング状態に移行してから一定時間の経過後に、リスニング状態からフォワーディング状態へ復旧する仕様としておくことにより、自動的に復旧処理を行うことができる。
【0068】
〔復旧時(その4)〕
図9(B)に示すように、復旧作業が完了すると、マスターポート16mはリスニング状態からフォワーディング状態に設定される。また、マスターポート16mから送信された接続確認フレームF1をスレーブポート16sで受信したことに基づいて、スレーブポート16sはフォワーディング状態からブロッキング状態に設定される。これにより、リング型ネットワークシステム10は、本来の(最初の)状態に戻ることになる。
【0069】
以上の説明は、マスターノード12aとリングノード12bとの間で通信障害が発生した場合の動作例であるが、リングノードとリングノードとの間で通信障害が発生した場合、以下の動作例となる。なお、先に説明した動作例と同様の部分については説明を省略する。
【0070】
図10及び図11は、リングノードとリングノードとの間で通信障害が発生した場合のリング型ネットワークシステム10の動作について説明する連続図である。
【0071】
〔通信障害発生時(その1)〕
図10(A)に示すように、リングノード12bとリングノード12cとの間で通信障害が発生した場合を想定する。
リングノード12bは、通信障害の発生を検出し、マスターノード12aに向けてリンクダウンフレームF4を送信する。また、リングノード12cは、マスターノード12aに向けてリンクダウンフレームF4を送信する。リングノード12cが送信したリンクダウンフレームF4は、リングノード12d、リングノード12eを経由してマスターノード12aに送信される。
このため、マスターノード12aは、マスターポート16m及びスレーブポート16sの両方のポートでリンクダウンフレームF4を受信することになる。マスターノード12aは、リンクダウンフレームF4を受信したことに基づいて、スレーブポート16sをフォワーディング状態に設定する。
【0072】
〔通信障害発生時(その2)〕
図10(B)に示すように、マスターノード12aは、リンクダウンフレームF4を受信したことを契機として、リングノード12b及びリングノード12cに向けて送信パワー断フレームF3を送信する。送信パワー断フレームF3は、リングノード12bに直接送信されるものと、リングノード12e、リングノード12dを経由してリングノード12bに送信されるものがある。
【0073】
〔通信障害発生時(その3)〕
図11に示すように、リングノード12b及びリングノード12cは、送信パワー断フレームF3を受信したことを契機として、通信障害が発生している側のリングポート16rを省電力モードに移行させる。なお、省電力モードに移行させた後の復旧手順は、先に説明した復旧手順と同様である。
【0074】
このように、第1実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)リングノード12b,12cは、マスターノード12aからの送信パワー断フレームF3を受信したことを契機として、リングポート16rを省電力モードに移行させるため、通信障害が発生しているリングポート16rのみを省電力モードに移行させることができる。このため、通信障害が発生しているリングポート16rのみをピンポイントで省電力モードに移行させることができ、無駄な電力を効率よく削減することができる。なお、省電力モードに移行させたリングポート16rは、通信障害の発生によって、そもそも通信不可能な状態となっているため、省電力モードに移行させたとしても通信への影響はない。
【0075】
(2)通信障害が発生しているリングポート16rは、電源をOFFにするのではなく、省電力モードに移行させることになる。このため、通信障害から復旧した場合には、早急に通常電力モードに移行させることができ、システム全体の通信障害に対する復旧時間を短縮させることができる。具体的な復旧時間は、光トランシーバ30の性能にもよるが、例えば光トランシーバ30にQSFP+を採用している場合、電源がOFFの状態から通常電力モードに移行させるためには「2秒程度」の時間がかかるのに対して、省電力モードから通常電力モードに移行させるためには「100ms」程度の時間で済むため、迅速な復旧処理を実現することができる。
【0076】
(3)リングノード12b,12cは、障害発生時にはリンクダウンフレームF4をマスターノード12aに送信し、マスターノード12aから送信パワー断フレームF3を受信してから、省電力モードに移行することになる。すなわち、リングノード12b,12cは自ら勝手に動作するのではなく、マスターノード12aの指示を仰いでから省電力モードに移行することになる。このため、障害発生時には、マスターノード12aでの一括管理により統制のとれたシステムを提供することができる。これに対して、復旧時に関しては、リングノード12b,12cは、マスターノード12aからの指示を待つのではなく、自ら自発的に通常電力モードに移行することになる。これにより、復旧時にはより迅速な復旧処理を実現することができる。
【0077】
(4)一方、マスターノード12aに関しては、障害発生時にも復旧時にも、自ら自発的にマスターポート16mを省電力モードに移行させたり、通常電力モードに移行させたりすることになる。これは、マスターノード12aは、リング型ネットワークシステム10を統括制御している制御装置に該当するためであり、自ら直接的に電力モードの管理を行うことにより、処理手順や制御内容が複雑化することを回避している。
【0078】
〔第2実施形態〕
図12は、第2実施形態のリング型ネットワークシステム10−2を示す図である。
第2実施形態のリング型ネットワークシステム10−2は、2つのマスターノードを備える点で、第1実施形態のリング型ネットワークシステム10と異なる。
【0079】
具体的には、リング型ネットワークシステム10−2は、マスターポート16m(第1制御ポート)を有する第1マスターノード12x(ネットワーク中継装置12)を備える。また、リング型ネットワークシステム10−2は、スレーブポート16s(第2制御ポート)を有する第2マスターノード12y(ネットワーク中継装置12)を備える。
このため、第1マスターノード12x及び第2マスターノード12yは、マスターポート16m及びスレーブポート16sを個別に有するノードであるため、分散マスタを構成している。また、第1マスターノード12xと第2マスターノード12yとは、インターコネクションポート16iによって接続されている。なお、その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0080】
図13は、第1マスターノード12xの構成を概略的に示すブロック図である。
第2マスターノード12yの構成は、制御ポートの設定と動作が異なる以外、第1マスターノード12xと同一である。このため、第2マスターノード12yについては、図示を省略し、第1マスターノード12xと異なる部分についてのみ説明する。なお、第1マスターノード12xの構成のうち、第1実施形態のマスターノード12aと共通する構成は、説明を省略する。また、リングノード12b,12c等の構成は、第1実施形態のリング型ネットワークシステム10におけるリングノードの構成と同一であるので、説明を省略する。
【0081】
〔リング管理DB〕
第1マスターノード12xの場合、リング管理DB68には、リングノード12bに接続されるポートがマスターポート16mとして設定されており、マスターポート16mの状態として、フォワーディング状態が登録されている。また、リング管理DB68には、第2マスターノード12yに接続されるポートがインターコネクションポート16iとして設定されている。
【0082】
第2マスターノード12yの場合、リング管理DBには、リングノード12cに接続されるポートがスレーブポート16sとして設定されており、スレーブポート16sの状態として、ブロッキング状態が登録されている。また、リング管理DBには、第1マスターノード12xに接続されるポートがインターコネクションポート16iとして設定されている。
【0083】
〔全体の動作〕
以下、リング型ネットワークシステム10−2における第1マスターノード12x、第2マスターノード12y、リングノード12b及びリングノード12cの動作について説明する。
【0084】
図14〜図18は、リング型ネットワークシステム10−2の動作について説明する連続図である。なお、図14〜図18においては、リング型ネットワークシステム10−2が正常状態から異常状態となり、その異常状態が復旧するまでの一連の動作について示している。
【0085】
〔正常時(その1)〕
図14(A)に示すように、第1マスターノード12xは、マスターポート16mから接続確認フレームF1を送信する。
接続確認フレームF1は、リングノード12b及びリングノード12cによって順次転送され、第2マスターノード12yのスレーブポート16sによって受信される。
【0086】
一方、第2マスターノード12yは、スレーブポート16sから接続確認フレームF2を送信する。
接続確認フレームF2は、リングノード12c及びリングノード12bによって順次転送され、マスターポート16mによって受信される。第1マスターノード12x及び第2マスターノード12yは、接続確認フレームF1,F2を定期的に受信している場合、リング型ネットワークシステム10−2が正常に動作していると判断することができる。
【0087】
〔正常時(その2)〕
図14(B)に示すように、正常時において、第1マスターノード12xのマスターポート16mはフォワーディング状態にあり、第2マスターノード12yのスレーブポート16sはブロッキング状態にある。
このため、リング型ネットワークシステム10−2が正常状態にある場合、リングノード12bの外側から送信されてきたユーザフレームUFは、リングノード12bを経由して、第1マスターノード12xの外側へ転送される。一方、リングノード12b、リングノード12cを経由してきたユーザフレームUFは、第2マスターノード12yのスレーブポート16sがブロッキング状態にあるため、スレーブポート16sにて全て破棄される。
【0088】
〔通信障害発生時(その1)〕
図15に示すように、第1マスターノード12xとリングノード12bとの間で通信障害が発生した場合を想定する。
リングノード12bは、通信障害の発生を検出し、第2マスターノード12yに向けてリンクダウンフレームF4を送信する。リンクダウンフレームF4は、リングノード12cを経由して第2マスターノード12yに送信される。第2マスターノード12yは、リンクダウンフレームF4を受信したことに基づいて、スレーブポート16sをブロッキング状態からフォワーディング状態に設定する。これにより、リングノード12bの外側から送信されてきたユーザフレームは、リングノード12b、リングノード12c、第2マスターノード12y、第1マスターノード12xを経由して、第1マスターノード12xの外側へ転送されることになる(図16(B)参照)。
【0089】
〔通信障害発生時(その2)〕
図16(A)に示すように、第2マスターノード12yは、リンクダウンフレームF4を受信したことを契機として、リングノード12bに向けて送信パワー断フレームF3を送信する。送信パワー断フレームF3は、リングノード12cを経由してリングノード12bに送信される。
【0090】
〔通信障害発生時(その3)〕
図16(B)に示すように、リングノード12bは、送信パワー断フレームF3を受信したことを契機として、通信障害が発生している側のリングポート16rを省電力モードに移行させる。また、第1マスターノード12xは、マスターポート16mを省電力モードに移行させる。
【0091】
ここでも同様に、第1マスターノード12x、第2マスターノード12y及びリングノード12b,12cは、省電力モードに移行させた後、例えば所定の時間の経過後にFDB62の内容を消去する。
【0092】
〔復旧時(その1)〕
図17(A)に示すように、通信障害が発生している部分が復旧した場合を想定する。
【0093】
〔復旧時(その2)〕
図17(B)に示すように、第1マスターノード12x及びリングノード12bは、通信障害検出部44にて復旧を検出すると、省電力モード状態にあるポート16を通常電力モードに移行させる。
【0094】
〔復旧時(その3)〕
図18(A)に示すように、第1マスターノード12xのマスターポート16mは、省電力モード状態から通常電力モードに移行すると、一旦リスニング状態となる。
【0095】
〔復旧時(その4)〕
図18(B)に示すように、復旧作業が完了すると、マスターポート16mはフォワーディング状態に設定される。また、マスターポート16mから送信された接続確認フレームF1をスレーブポート16sで受信したことに基づいて、第2マスターノード12yのスレーブポート16sがフォワーディング状態からブロッキング状態に設定される。これにより、リング型ネットワークシステム10−2は、本来の(最初の)状態に戻ることになる。
【0096】
以上の説明は、第1マスターノード12xとリングノード12bとの間で通信障害が発生した場合の動作例であるが、リングノードとリングノードとの間で通信障害が発生した場合、以下の動作例となる。なお、先に説明した動作例と同様の部分については説明を省略するが、以下の動作例では、第1マスターノード12xとリングノード12bとの間に、新たなリングノード12dを追加した例で説明する。
【0097】
図19及び図20は、リングノードとリングノードとの間で通信障害が発生した場合のリング型ネットワークシステム10−2の動作について説明する連続図である。
【0098】
〔通信障害発生時(その1)〕
図19(A)に示すように、リングノード12bとリングノード12dとの間で通信障害が発生した場合を想定する。
リングノード12dは、通信障害の発生を検出し、第1マスターノード12xに向けてリンクダウンフレームF4を送信する。また、リングノード12bは、通信障害の発生を検出し、第2マスターノード12yに向けてリンクダウンフレームF4を送信する。リングノード12bが送信したリンクダウンフレームF4は、リングノード12cを経由して第2マスターノード12yに送信される。
第2マスターノード12yは、リンクダウンフレームF4を受信したことに基づいて、スレーブポート16sをブロッキング状態からフォワーディング状態に設定する。
【0099】
〔通信障害発生時(その2)〕
図19(B)に示すように、第1マスターノード12xは、リンクダウンフレームF4を受信したことを契機として、リングノード12dに向けて送信パワー断フレームF3を送信する。また、第2マスターノード12yは、リンクダウンフレームF4を受信したことを契機として、リングノード12bに向けて送信パワー断フレームF3を送信する。第2マスターノード12yによって送信された送信パワー断フレームF3は、リングノード12cを経由してリングノード12bに送信される。
【0100】
〔通信障害発生時(その3)〕
図20に示すように、リングノード12b及びリングノード12dは、送信パワー断フレームF3を受信したことを契機として、通信障害が発生している側のリングポート16rを省電力モードに移行させる。なお、省電力モードに移行させた後の復旧手順は、先に説明した復旧手順と同様である。
【0101】
このように、第2実施形態によれば、マスターノードに分散マスタを採用した場合であっても、第1実施形態と同様に、通信障害が発生しているポート16のみを正確に省電力モードに移行させることができ、無駄な電力を効率よく削減することができる。
【0102】
本発明は、上述した一実施形態に制約されることなく、各種の変形や置換を伴って実施することができる。
例えば、リング型ネットワークシステムを構成するネットワーク中継装置の数、ポートの数等は、一例として示したものであり、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0103】
10,10−2 リング型ネットワークシステム
12 ネットワーク中継装置
12a マスターノード
12b〜12e リングノード
12x 第1マスターノード
12y 第2マスターノード
16 ポート
16m マスターポート
16s スレーブポート
16r リングポート
30 光トランシーバ
40 PHY用LSI
50 中継モジュール
60 メモリ
70 リング制御モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワーク中継装置をリング状に接続したリング型ネットワークシステムであって、
前記複数のネットワーク中継装置は、
制御ポートを有するマスターノードと、
前記マスターノードの制御ポートに直接的に又は間接的に接続されるリングポートを有するリングノードとを備え、
前記リングノードは、
前記リングポートで通信障害が発生したことを検出した場合、前記マスターノードに障害発生情報を送信し、
前記マスターノードは、
前記障害発生情報を受信した場合、前記通信障害が発生したリングノードに対して省電力モード移行命令情報を送信し、
前記リングノードは、
前記省電力モード移行命令情報を受信した場合、前記通信障害が発生しているリングポートを通常電力モードと比較して消費電力の少ない省電力モードに移行させる
リング型ネットワークシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のリング型ネットワークシステムにおいて、
前記リングノードは、
前記省電力モードに移行しているリングポートで発生している通信障害が復旧したことを検出した場合、前記省電力モードから通常電力モードに移行させる
リング型ネットワークシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のリング型ネットワークシステムにおいて、
前記マスターノードは、
前記制御ポートで通信障害が発生したことを検出した場合、前記通信障害が発生している制御ポートを前記省電力モードに移行させる
リング型ネットワークシステム。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれかに記載のリング型ネットワークシステムにおいて、
前記マスターノードは、
前記省電力モードに移行している制御ポートで発生している通信障害が復旧したことを検出した場合、前記省電力モードから前記通常電力モードに移行させる
リング型ネットワークシステム。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載のリング型ネットワークシステムにおいて、
前記マスターノード及び前記リングノードは、
転送データベースを備え、前記省電力モードに移行させた後に前記転送データベースの内容を消去する
リング型ネットワークシステム。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかに記載のリング型ネットワークシステムにおいて、
前記マスターノードは、
フォワーディング状態に設定される前記制御ポートとしての第1制御ポートと、正常時にはブロッキング状態に設定される前記制御ポートとしての第2制御ポートとを単独で有するノード、又は前記第1制御ポート及び前記第2制御ポートを個別に有する複数のノードからなり、
前記通信障害が発生した場合、前記第2制御ポートをブロッキング状態からフォワーディング状態に設定し、前記通信障害が復旧した場合、前記第2制御ポートをフォワーディング状態からブロッキング状態に設定する
リング型ネットワークシステム。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれかに記載のリング型ネットワークシステムにおいて、
前記リングノードは、
前記障害発生情報として、自己の送信元情報及び通信障害が発生したリングポートを特定する障害発生ポート情報を含む情報を送信し、
前記マスターノードは、
前記省電力モード移行命令情報として、通信障害が発生したリングポートに対して省電力モードに移行させる命令を送信する
リング型ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−85055(P2013−85055A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222512(P2011−222512)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】