説明

リード部品ホルダ及び電子機器

【課題】耐振動性能を向上させることが可能なリード部品ホルダ及び電子機器を提供する。
【解決手段】リード部品ホルダ10は、基板22の部品実装面から離れた位置にてリード部品Cをそれぞれ支持する複数の支持部30a〜30cと、部品実装面から離れた位置にて隣り合う支持部30a〜30cをそれぞれ連結する少なくとも1つの連結部材32a、32bとを備える。電子機器12は、基板22と、リード部品ホルダ10と、連結部材32a、32bの下方の基板22に実装された電子部品とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リード部品ホルダ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子部品が記載されている。この電子部品は、素子を収納した有底筒状のケースと、このケースの開口部を封止した封口部材と、この封口部材に結合され上記ケースの内部側で上記素子の電極引き出し部に接続されると共に封口部材の外表面に突出した側の先端にプリント配線板に取り付けられる取り付け部を設けた端子を備えている。また、電子部品は、この端子の封口部材との接合面から先端に設けた取り付け部までの間に所定の長さの間隙形成部を設けた構成としている。
特許文献1に記載の技術は、電子部品をプリント配線板に実装した際に、間隙形成部によって得られる電子部品の封口部材とプリント配線板との間の空隙部に他の電子部品を実装するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−243656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、耐振動性能を向上させることが可能なリード部品ホルダ及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係るリード部品ホルダは、基板の部品実装面から離れた位置にてリード部品をそれぞれ支持する複数の支持部と、
前記部品実装面から離れた位置にて隣り合う前記支持部をそれぞれ連結する少なくとも1つの連結部材とを備える。
【0006】
前記目的に沿う第2の発明に係る電子機器は、基板と、
前記基板の部品実装面から離れた位置にてリード部品を支持する複数の支持部及び前記部品実装面から離れた位置にて隣り合う前記支持部をそれぞれ連結する少なくとも1つの連結部材とを有するリード部品ホルダと、
前記連結部材の下方の前記基板に実装された電子部品とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、耐振動性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態に係るリード部品ホルダが実装されたプリント基板を内蔵したインバータの内部構造図である。
【図2】プリント基板に固定された同リード部品ホルダの拡大図である。
【図3A】同リード部品ホルダの斜視図である。
【図3B】図3Aとは異なる角度から見た、同リード部品ホルダの斜視図である。
【図3C】図3A及び図3Bとは異なる角度から見た、同リード部品ホルダの斜視図である。
【図4A】同リード部品ホルダの平面図である。
【図4B】同リード部品ホルダの正面図である。
【図5】同リード部品ホルダの使用状態を示す斜視図である。
【図6】同リード部品ホルダの変形例を示す平面図である。
【図7A】同リード部品ホルダを使用しない場合の絶縁距離を示す説明図である。
【図7B】同リード部品ホルダを使用した場合の絶縁距離を示す説明図である。
【図8】電解コンデンサ、同リード部品ホルダ及びプリント基板の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、各図において、説明に関連しない部分は図示を省略する場合がある。
【0010】
本発明の一実施の形態に係るリード部品ホルダ10は、例えば図1に示すインバータ(電子機器の一例)12の内部に設けられたプリント基板(基板の一例)22に実装されている。
リード部品ホルダ10は、図2に示すように、プリント基板22の部品実装面から離れた位置にて円筒状の有極性コンデンサ(リード部品の一例、以下、単に「コンデンサ」という。)Cを支持することができる。リード部品ホルダ10に支持されたコンデンサCは、プリント基板22に電気的に接続されている。
【0011】
リード部品ホルダ10は、複数の支持部と、隣り合う支持部をそれぞれ連結する少なくとも1つの連結部材とを備えている。
具体的には、図3A〜図3C並びに図4A及び図4Bに示すように、リード部品ホルダ10は、一方向に並んで配置された第1〜第3の支持部30a、30b、30c及び第1及び第2の連結部材32a、32bを備えている。
【0012】
第1〜第3の支持部30a、30b、30cは、それぞれ、ベース部材42a、42b、42c及びベース部材42a、42b、42cの上側に設けられた支持枠(支持部材の一例)44a、44b、44cを有している。
ベース部材42a、42b、42cは、プリント基板22の部品実装面に取り付けられる。ベース部材42a、42b、42cには、それぞれコンデンサCの底面から延びる1対のリード線が挿入される1対の孔H1a、H1bが、その軸心を部品実装面と交差する方向に向けて形成されている。1対の孔H1a、H1bは、連結部材32a、32bの連結方向と交差する方向に配置されている。コンデンサCのリード線は、この孔H1a、H1bを通って、プリント基板22上の対応する位置に形成されたスルーホールHt(図8参照)にハンダ付けされる。
【0013】
ベース部材42a、42cには、それぞれコンデンサCを支持する側と反対の側(プリント基板22の側)に、位置決めピン50(図3C及び図4B参照)が設けられている。この位置決めピン50は、プリント基板22上に形成された孔H2(図8参照)にそれぞれ挿入され、例えば接着剤によりプリント基板22に接着される。
この位置決めピン50は、リード部品ホルダ10の両端部に位置するベース部材42a、42cにのみ設けられている。位置決めピン50が、複数の支持部30a、30b、30cのうち両端側に位置する第1及び第3の支持部30a、30cにのみ設けられているので、リード部品ホルダ10を固定するための孔の数が低減され、プリント基板22の実装密度をより高めることが可能となる。
【0014】
支持枠44a、44b、44cは、それぞれ、コンデンサCの側面を支持することができる。支持枠44a、44b、44cは、それぞれ、円筒の外周を切り欠いた形状をしている。支持枠44a、44b、44cの内壁には、それぞれ内壁から突出し、コンデンサCの軸方向に延びる3つの接触部材52が設けられている。これら3つの接触部材52の内壁からの突出量は、それぞれ、コンデンサCの挿入方向(プリント基板22の方向)に向かうに従って大きくなっている。従って、各接触部材52は、コンデンサCの少なくとも下部側面に接触し、コンデンサCを支持する。
【0015】
支持枠44a、44b、44cには、それぞれ、第1の切り欠き54が形成されている。詳細には、支持枠44a、44b、44cの一部が周方向にそれぞれ切り欠かれ、第1の切り欠き54が形成されている。各第1の切り欠き54は、連結部材32a、32bの連結方向に形成され、互いに対向していない。
各支持枠44a、44b、44cに第1の切り欠き54が形成されているため、コンデンサCがそれぞれ挿入されると、支持枠44a、44b、44cが撓んで支持枠44a、44b、44cの内径が拡張する。また、前述の通り、3つの接触部材52は、内壁からの突出量が、それぞれコンデンサCの挿入方向(プリント基板22の方向)に向かうに従って大きくなるように設けられているため、各支持枠44a、44b、44cに挿入されたコンデンサCは安定して支持される。その結果、耐振動性能が更に向上する。
更に、図4Aに示すように、リード部品ホルダ10を平面視して、1)円筒状の支持枠44aの中心点を点C、2)リード部品ホルダ10の外形を構成し、円筒状の支持枠44aの内周円に接するベース部材42aの外側の辺を辺x、3)辺xから中心点Cまでの距離を距離d、4)円筒状の支持枠44aの外周円の半径を半径rと定義すると、リード部品ホルダ10の端部に位置する支持枠44aの辺xの側に、第1の切り欠き54が形成されていると共に、距離dが半径rよりも小さく設定されている。そのため、この第1の切り欠き54が形成されていない場合(同図4Aの2点鎖線参照)と比較して、支持枠44aの厚みtの分(半径rと距離dの差分)だけ、リード部品ホルダ10の外形が小さくなり、リード部品ホルダ10の実装面積が低減される。
【0016】
支持枠44a、44b、44cには、コンデンサCの極性の位置を示す第2の切り欠き(目印の一例)56が形成されている。
第2の切り欠き56は、例えば支持枠44a、44b、44cの上端部に設けられている。また、第2の切り欠き56は、第1〜第3の支持部30a、30b、30cの連結方向とは異なる向きに設けられている。
従って、コンデンサCがリード部品ホルダ10によって支持されても、第2の切り欠き56は、コンデンサCによって遮られることがなく、外側から目視にて確認できる。
なお、ベース部材42a、42b、42cにそれぞれ形成された、リード線が挿入される1対の孔H1a、H1bの配置方向を変更することによって、第2の切り欠き56を設けずに、第1の切り欠き54が目印として機能するように構成することも可能である。
【0017】
第1の連結部材32aは、第1の支持部30aと第2の支持部30bとを部品実装面から離れた位置(図4Bに示す高さH)にて連結する。第2の連結部材32bは、第2の支持部30bと第3の支持部30cとを部品実装面から離れた位置(高さH)にて連結する。
図4Aに示すように、第1及び第2の連結部材32a、32bは、それぞれ平面視して(コンデンサCが支持される側から見て)、連結部材32a、32bの連結方向と交差する方向の幅Wcが、第1〜第3の支持部30a、30b、30cの連結方向と交差する方向の幅Wsよりも小さくなるように構成されている。
【0018】
従って、各支持部30a、30b、30cが第1及び第2の連結部材32a、32bにより連結されているので、耐振動性能が向上する。
また、リード部品ホルダ10の各連結部材32a、32bの下側に空間が形成されているので、図5に示すように、チップ部品(電子部品の一例)pが各連結部材32a、32bの下方に実装され、電子部品の実装面積が低減される。
更に、リード部品ホルダ10を平面視すると、隣り合う支持部30aと支持部30bとの間及び隣り合う支持部30bと支持部30cとの間には、それぞれ隙間g(図4A参照)が形成されているので、第1及び第2の連結部材32a、32bの下側に配置された電子部品の実装状態やシルク印刷を目視にて確認できる。
なお、図6に示すように、隣り合う支持部の間の隙間gを支持枠44a、44bの基端部まで広げ、電子部品の実装状態やシルク印刷をより確認しやすくすることも可能である。
【0019】
一般に、コンデンサCを配置する際には、図7Aに示すように、絶縁距離Diを確保するため、コンデンサCの中心軸から距離a以上離れた位置にチップ部品pを配置する必要がある。
しかし、本実施の形態のリード部品ホルダ10を使用することで、図7Bに示すように、距離aよりも短い距離b離れた位置にチップ部品pを配置しても、絶縁距離Diを確保できる。
【0020】
次に、リード部品ホルダ10及びコンデンサCをプリント基板22に組み付ける方法について説明する。
前述の通り、プリント基板22には、リード部品ホルダ10の底面から突出する位置決めピン50を挿入するための孔H2が形成されている(図8参照)。また、プリント基板22には、コンデンサCのリード線がはんだ付けされるスルーホールHtが形成されている。
【0021】
リード部品ホルダ10及びコンデンサCをプリント基板22に組み付ける作業は、例えば以下の手順で実行される。
(第1工程)
孔H2に、それぞれ位置決めピン50を挿入する。
(第2工程)
リード部品ホルダ10をプリント基板22に接着する。
【0022】
(第3工程)
コンデンサCを各支持部30a、30b、30cに挿入する。その際、第2の切り欠き56を目印にして、極性の向きを合わせてコンデンサCを挿入する。
(第4工程)
コンデンサCのリード線をスルーホールHtにはんだ付けする。
【0023】
このように、第2の切り欠き56を目印にしてコンデンサCの極性の向きを合わせることができるので、組み立てのミスを低減することが可能である。
各工程の順序は、適宜入れ替えることができる。例えば、第3工程、第1工程、第2工程、第4工程の順に組み付けることも可能である。
【0024】
本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能である。例えば、前述の実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて発明を構成する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0025】
例えば、リード部品は、絶縁距離を考慮する必要のあるコンデンサ以外のリード部品であっても良い。リード部品の他の例として、ヒューズや抵抗器が挙げられる。また、1つのリード部品ホルダが異なる種類の複数のリード部品を支持するように構成しても良い。
【0026】
また、リード部品ホルダの支持部の数は少なくとも2つあれば良い。
各支持部は直線状に配置されていなくてもよい。例えば、支持部の連結方向が交差するように配置されていてもよい。
【0027】
各連結部材は、異なる高さ位置にて支持部を連結することも可能である。
また、各連結部材の大きさは同じでなくてもよい。
【0028】
位置決めピンの数は必ずしも限定されるものではなく、各支持部が位置決めピンを有していてもよい。
目印は切り欠きではなく、塗料によるマーキングとしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
10:リード部品ホルダ、12:インバータ、22:プリント基板、30a:第1の支持部、30b:第2の支持部、30c:第3の支持部、32a:第1の連結部材、32b:第2の連結部材、42a、42b、42c:ベース部材、44a、44b、44c:支持枠、50:位置決めピン、52:接触部材、54:第1の切り欠き、56:第2の切り欠き、C:コンデンサ、p:チップ部品、H1a、H1b:孔、H2:孔、Ht:スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の部品実装面から離れた位置にてリード部品をそれぞれ支持する複数の支持部と、
前記部品実装面から離れた位置にて隣り合う前記支持部をそれぞれ連結する少なくとも1つの連結部材とを備えたリード部品ホルダ。
【請求項2】
請求項1記載のリード部品ホルダにおいて、前記リード部品が支持される側から見て、前記連結部材の連結方向と交差する方向の幅は、前記連結部材によってそれぞれ連結された前記各支持部の前記連結方向と交差する方向の幅よりも小さいリード部品ホルダ。
【請求項3】
請求項2記載のリード部品ホルダにおいて、前記支持部は、それぞれ、前記リード部品の側面を支持する支持部材を有するリード部品ホルダ。
【請求項4】
請求項3記載のリード部品ホルダにおいて、前記支持部材は、前記リード部品が挿入される支持枠であるリード部品ホルダ。
【請求項5】
請求項4記載のリード部品ホルダにおいて、前記リード部品は、円筒状の有極性コンデンサであり、
前記支持枠は該支持枠の内壁からそれぞれ突出し、前記有極性コンデンサに接し、該有極性コンデンサの軸方向に延びる複数の接触部材を有するリード部品ホルダ。
【請求項6】
請求項5記載のリード部品ホルダにおいて、前記複数の接触部材の前記内壁からの突出量は、それぞれ、前記有極性コンデンサの挿入方向に向かうに従って大きくなっているリード部品ホルダ。
【請求項7】
請求項6記載のリード部品ホルダにおいて、前記支持枠に、それぞれ前記有極性コンデンサが挿入された前記支持枠の内径を拡張するための第1の切り欠きが形成されているリード部品ホルダ。
【請求項8】
請求項7記載のリード部品ホルダにおいて、前記複数の支持部の前記支持枠に形成された前記第1の切り欠きは、互いに対向せず、一方向を向いているリード部品ホルダ。
【請求項9】
請求項8記載のリード部品ホルダにおいて、前記第1の切り欠きが、前記支持枠の前記連結部材の連結方向の側に形成されているリード部品ホルダ。
【請求項10】
請求項4〜9のいずれか1項に記載のリード部品ホルダにおいて、前記支持枠に、前記リード部品の極性の位置を示す目印が設けられているリード部品ホルダ。
【請求項11】
請求項10記載のリード部品ホルダにおいて、前記目印が、前記支持部の前記連結方向とは異なる向きに設けられているリード部品ホルダ。
【請求項12】
請求項11記載のリード部品ホルダにおいて、前記複数の支持部が、一方向に並んで配置されているリード部品ホルダ。
【請求項13】
請求項12記載のリード部品ホルダにおいて、前記目印が前記第1の切り欠きとは異なる第2の切り欠きであるリード部品ホルダ。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のリード部品ホルダにおいて、前記複数の支持部のうち両端側に位置する前記支持部が、それぞれ前記基板に固定される位置決めピンを有するリード部品ホルダ。
【請求項15】
基板と、
前記基板の部品実装面から離れた位置にてリード部品を支持する複数の支持部及び前記部品実装面から離れた位置にて隣り合う前記支持部をそれぞれ連結する少なくとも1つの連結部材とを有するリード部品ホルダと、
前記連結部材の下方の前記基板に実装された電子部品とを備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−26610(P2013−26610A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163329(P2011−163329)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【特許番号】特許第4947228号(P4947228)
【特許公報発行日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】