説明

ルームミラー型運転監視装置

【課題】 運転者の視界の妨げになりにくく、メインテナンスが容易でかつ低コスト化が可能なルームミラー型運転監視装置を提供する。
【解決手段】 本装置1を既設ルームミラーMに重ねる形で装着することにより、運転者の視界の妨げになりにくくできるとともに、保持部4により既設のルームミラーMに着脱自在に保持されるので、本装置1の着脱が容易となってメインテナンスが容易となり、かつ既設のルームミラーMを改造することなくそのまま支持具として利用するので低コスト化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の既設のルームミラーに装着されて、運転を監視するルームミラー型運転監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されて、加速度センサや速度センサなどのセンサ部から得られた運転操作に関するデータや、撮像装置により車両の運転状況を撮像して得られた運転画像データに基づいて、運転を監視する運転監視装置が知られている。
【0003】
図4に示すように、従来の運転監視装置は、例えば車両内のフロントガラスGに、接着テープや吸盤などを用いて直接取り付けられる場合が多い。この場合、運転監視装置は、運転者の視界の妨げにならないように、既設のルームミラーMの裏側(車両内の前方側)やその周辺にあたる位置のフロントガラスGに取り付けられる。
【0004】
ところが、既設ルームミラーMの裏側などにあたる位置に運転監視装置を取り付けた場合、運転者の見る角度によって依然として装置が視界の妨げになったり、運転者と装置の間に既設ルームミラーMがあるため、装置の動作確認や操作などがしにくいという問題があった。また、フロントガラスGに直接取り付けると、装置に直射日光があたるため内部が高温化して装置内の電子部品の耐久性が低下するおそれがある。さらに、視界の妨げにならないように装置を小型化する必要があるので、搭載する機器が制限されて、運転監視機能が制約される。
【0005】
その一方、既設のルームミラーを改造してルームミラーに運転監視装置そのものを内蔵させるルームミラー型運転監視装置も知られている(例えば、特許文献1、2)。この従来装置は、ルームミラーの外形をそのまま維持しているので、運転者の視界の妨げになりにくい。
【特許文献1】特開2000−264128号公報
【特許文献2】特開2003−36417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のように、運転監視装置をフロントガラスに直接取り付けたものやルームミラーに内蔵させたものは、装置の着脱が困難であるためメインテナンスが困難であるという問題があった。また、装置をルームミラーに内蔵させたものは、既設のルームミラーを改造する必要があり、高コスト化する。
【0007】
本発明は、前記の問題点を解決して、運転者の視界の妨げになりにくく、メインテナンスが容易でかつ低コスト化が可能なルームミラー型運転監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明にかかるルームミラー型運転監視装置は、車両に搭載されて、少なくとも加速度センサを含むセンサ部からの車両の運転状況に関するデータに基づいて運転を監視するものであって、この運転監視装置は、車両内の既設のルームミラーに着脱自在に装着されるものであり、前記既設のルームミラーと代替するミラー部と、前記ミラー部を支持し、前記車両の運転状況に関するデータに基づき運転を監視する装置本体部と、前記装置本体部を前記既設のルームミラーに着脱自在に保持する保持部とを備えている。
【0009】
この構成によれば、本装置を既設のルームミラーに重ねる形で装着することにより、本装置を運転者の視界の妨げになりにくくできる。また、保持部により既設のルームミラーに着脱自在に保持されるので、本装置の着脱が容易となってメインテナンスが容易となり、かつ既設のルームミラーを改造することなくそのまま支持具として利用するので低コスト化が可能となる。
【0010】
好ましくは、前記ミラー部におけるミラー面の反対面に、前記装置本体部のケースが一体形成されている。したがって、装置をより運転者の視界の妨げになりにくくできる。
【0011】
好ましくは、前記装置本体部のケースの外周部およびその近傍に、操作部および表示部が配置されている。したがって、装置の動作確認や操作が容易となる。
【0012】
好ましくは、前記センサ部が車両位置を計測するGPSを含むものである。したがって、容易に正確な車両位置が得られる。
【0013】
好ましくは、前記装置本体部が、運転監視に関するデータを送信または受信するデータ通信回路を備えている。したがって、運転監視に関するデータの送受信が容易にできる。また、前記装置本体部が太陽電池および蓄電池からなる電源部を備えている。したがって、容易に電源を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るルームミラー型運転監視装置を示す概略斜視図である。本装置1は、車両に搭載されて、各種センサからの車両の運転状況に関するデータに基づいて運転を監視するものである。本装置1は、車両内の既設のルームミラーMに代替するルームミラー型のもので、既設ルームミラーMに似た形状を有しており、当該ルームミラーMに着脱自在に装着される。本装置1では、図示しない車両内の電源(例えば、シガーソケット)供給や配電盤からの各種信号などが、フロントガラスGの上部を通る配線コード15によってコネクタ16を介して得られている。
【0015】
図2(C)の側面図に示すように、本装置1は、ミラー部2、装置本体部3および保持部4を備えている。ミラー部2は、ルームミラー形のミラー面2aを有し、既設のルームミラーMに装着されると、既設のルームミラーMの前面を覆って代替する。
【0016】
装置本体部3は、車両の運転状況に関するデータに基づいて運転を監視するものであり、樹脂製のケース33の内部に本装置1の回路を内蔵している。前記ケース33は、ミラー部2と既設のルームミラーMの間に配置されて、ミラー部2におけるミラー面2aの反対面(裏面)2bに一体形成されている。例えば、ミラー部2がケース33にインサート成形で一体形成されている。このように、本装置1は既設ルームミラーMに重ねる形で装着される。
【0017】
図3に示すように、装置本体部3は、車両の運転状況に関する運転計測データを得るセンサ部5、車両外を撮像して運転画像データを得るCCDカメラのようなカメラ6、操作(スイッチ)部7、表示部(LED)8、スピーカ9、および装置全体を制御する制御部(CPU)10からなる監視手段11のほかに、センサ部5からの運転計測データやカメラ6からの運転画像データを記録するメモリーカード12、電源を供給する電源部14、および運転監視に関する各種データを送信または受信するためのデータ通信回路17を備えている。
【0018】
前記電源部14は、例えばフロントガラスGを介して入射する太陽光で発電する太陽電池18および発電した電力を蓄える蓄電池(バッテリ)19からなるが、これに限定されるものではない。前記データ通信は、例えば移動体通信または特定場所で大量のデータを送受信するときのみ無線通信を用いて行われる。前記データ通信回路17には、移動体通信では例えばデータを分割して送受信するパケット通信方式の回路が用いられ、無線通信では例えば無線LAN方式の回路が用いられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
センサ部5は、加速度、GPS、ウインカー、ドア開閉、エンジン回転数、ギア、速度などの各種センサ情報を検出して、車両の運転状況に関する運転計測データを得る。センサ部5の加速度センサは、車両の加速度データを計測し、GPS(Global Positioning System)は、GPS衛星から送られる電波を受信して車両位置を計測する。操作(スイッチ)部7は、例えばカメラ6における自動撮像を切り換えて、手動による撮像データを記録するときに用いられる。表示部(LED)8は、電源のON・OFFやメモリーカード12のメモリ動作状態など、制御部10とそれに接続された部分の動作状態を表示する。スピーカ9は、メモリーカード12のメモリ動作異常、メモリ容量が満杯である旨や装置の動作異常などを音声で発して運転者に報知する。図2(D)の平面図に示すように、メモリーカード12は装置本体3の側方から抜き差し可能に設けられている。
【0020】
図2(A)の正面図に示すように、操作部7および表示部(LED)8は、装置本体部3のケース33の外周部およびその近傍に設けられている。したがって、本装置1の操作部7および表示部(LED)8が運転者に近い既設ルームミラーMの近傍に配置されているので、フロントガラスGに貼り付けられた従来装置に比べて、操作や動作確認が容易となる。
【0021】
図2(C)で、既設のルームミラーMは、ミラー面Mrをもつ既設ミラー本体Ma、この本体Maを支持する既設ミラー基部Mb、車両の天井部に取り付ける既設ミラー取付部Mcを有している。既設ミラー本体Maと既設ミラー基部Mbの外周部間に段差部Dを有する。本装置1の保持部4は、装置本体部3のケース33の裏面33bに取り付けられており、ミラー部2および装置本体部3を、この既設のルームミラーMに着脱自在に保持する。
【0022】
図2(B)の背面図に示すように、この保持部4は、既設のルームミラーMの外周部を挟み込んで例えば4箇所で把持するフック部材20、ガイド部材30およびばね部材41を有する。フック部材20は、ケース33の裏面33bの上部側に上下に移動可能に設けられた2つの可動フック21と、ケース33の裏面33bの下部側に形成された2つの固定フック23とからなる。可動フック21は、ケース33の裏面33bに沿って上下にスライドする駒部21aを備えている。ガイド部材30は、可動フック21の駒部21aをその部材間で上下に移動可能に保持するように、ケース33の裏面33bに形成される。ばね部材41は、例えば複数のV字状の凹凸をもつように曲折された形状を有する板ばねからなり、板ばね41の両端部がケース33の裏面33bに形成されたばね係止部42に係止されている。板ばね41の一部が可動フック21の上面に接触しており、可動フック21は板ばね41の弾性力を下方に向かって受ける。
【0023】
本装置1を既設ルームミラーMに装着するときには、2つの可動フック21が板ばね41の弾性力に抗して引き上げた状態で、可動フック21と固定フック23の内側面が、図2(C)に示すように、既設ミラー本体Maの外周部に当接し、各フック先端が既設ミラー本体Maと既設ミラー基部Mb間の段差部Dに引っ掛けられて取り付けられる。この取付状態では、板ばね41が収縮して下方向にその弾性力を発揮し、4つのフック21、23が既設ルームミラーMの外周部をこの板ばね41の弾性力で押圧して挟み付けるので、ミラー部2および装置本体部3が既設ルームミラーMに強固に支持される。本装置1を既設ルームミラーMから取り外すときには、本装置1を若干引き下げることにより、2つの可動フック21が本装置1に対して相対的に引き上げられて固定フック23の引っ掛けが解除され、その状態で本装置1を前方に引き、つづいて上方に持ち上げることにより、可動フック21が既設ルームミラーMから外れ、本装置1が既設ルームミラーMから離脱される。
【0024】
上記構成において、本装置1は、センサ部5が加速度やGPS位置などを検知し、例えば加速度が一定以上であれば、そのときの加速度データや位置などのほかに、カメラ6による画像データがメモリーカード12に記録され、これらのデータに基づいて運転が監視される。また、データ通信回路17により運転監視に関する各種データが送受信される。
【0025】
本装置1は、保持部4により既設のルームミラーMに着脱自在に装着されるので、本装置1の着脱が容易となってメインテナンスが容易となり、かつ従来のように既設のルームミラーMを改造することなくそのまま本装置1の保持具として利用するので低コスト化が可能となる。
【0026】
ここで、本装置1を既設ルームミラーMに重ねる形で装着することにより、フロントガラスGに貼り付けられた従来装置に比べて、本装置1を運転者の視界の妨げになりにくくできる。また、保持部4により既設のルームミラーMに着脱自在に保持されるので、本装置1の着脱が容易となってメインテナンスが容易となり、かつ既設のルームミラーMを改造することなくそのまま支持具として利用するので低コスト化が可能となる。
【0027】
なお、この実施形態では、本装置1の保持部4が既設ルームミラーMを可動フック21と固定フック23で挟み込むようにして保持しているが、これに限定されるものではなく、伸縮バンドのような保持部を用いて既設ルームミラーMを締め付けて保持するようにしてもよい。
【0028】
なお、この実施形態では、装置本体部3に車両外を撮像して運転画像データを得るカメラ6、運転監視に関する各種データを送受信するデータ通信回路17、および車両位置を得るGPSをセンサ部5に設けているが、必要に応じてこれらを省略してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係るルームミラー型運転監視装置を示す概略斜視図である。
【図2】(A)〜(D)は図1の装置を詳細に示す構成図である。
【図3】装置本体部を示すブロック図である。
【図4】従来の運転監視装置の一例を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1:ルームミラー型運転監視装置
2:ミラー部
3:装置本体部
4:保持部
5:センサ部
7:操作部
8:表示部
M:既設のルームミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて、少なくとも加速度センサを含むセンサ部からの車両の運転状況に関するデータに基づいて運転を監視する運転監視装置であって、
この運転監視装置は、車両内の既設のルームミラーに着脱自在に装着されるものであり、
前記既設のルームミラーと代替するミラー部と、
前記ミラー部を支持し、前記車両の運転状況に関するデータに基づき運転を監視する装置本体部と、
前記装置本体部を前記既設のルームミラーに着脱自在に保持する保持部とを備えている、ルームミラー型運転監視装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ミラー部におけるミラー面の反対面に、前記装置本体部のケースが一体形成されている、ルームミラー型運転監視装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記装置本体部のケースの外周部およびその近傍に、操作部および表示部が配置されている、ルームミラー型運転監視装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記センサ部が車両位置を計測するGPSを含むものである、ルームミラー型運転監視装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記装置本体部が、運転監視に関するデータを送信または受信するデータ通信回路を備えている、ルームミラー型運転監視装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記装置本体部が太陽電池および蓄電池からなる電源部を備えている、ルームミラー型運転監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−1256(P2008−1256A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173479(P2006−173479)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)