説明

レゾルシンホルマリン樹脂

【課題】塩を含有せず、水溶液が適度な流動性を有し、1段階の反応でレゾルシン単量体含有量およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量の双方を低減できる、レゾルシンホルマリン樹脂の提供。
【解決手段】水100質量部に対し、レゾルシン20〜150質量部、無機塩20〜80質量部を水に対する溶解度の範囲内で添加し、レゾルシンホルマリン樹脂の溶解パラメーター7.0〜12.5の有機溶媒をレゾルシン100質量部に対して10〜200質量部添加して固形分の残存しない2相系とし、有機酸または無機酸を添加し、0〜60℃に維持しながら、1〜40%ホルマリンを、ホルムアルデヒド/レゾルシン=0.3〜0.8mol比となるよう滴下して反応させる。反応後、水層を除去し、有機溶媒を有機溶媒層と等量〜5倍量添加し、更にこの半量の水を添加して撹拌し、静置後水層を除去して製造されたレゾルシンホルマリン樹脂。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルシンホルマリン樹脂の分子量を調節することによって、レゾルシン単量体含有量およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量の低減された、レゾルシンホルマリン樹脂およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レゾルシンホルマリン樹脂は硬化速度が速いので、接着剤、合板、集成材、表面被覆剤等に使用され、特にゴムや繊維に対する接着力が優れているので、タイヤ用接着剤、ゴムホース用接着剤として使用されている(例えば、特公昭48−12185号公報、特開平4−148920号公報、特開平6−100850号公報、特開2000−178849号公報参照)。
【0003】
レゾルシンホルマリン樹脂を接着剤として使用する場合、レゾルシンホルマリン樹脂が十分な流動性を有していること、および溶媒が共存している場合には均一に溶解していることが要求される。流動性に着目した場合、重縮合物の構成成分の中からレゾルシン5核体以上の構成比を低減させることによって、十分な流動性が得られることが経験的に知られている。レゾルシン5核体以上になると、3次元構造のものの比率が急に高くなるために、流動性が失われると考えられている。また、流動性を付与するために有機溶媒で希釈することも考えられるが、有機溶媒の使用は作業環境の悪化、接着力低下の可能性を有しているので好ましくない。有機溶媒を使用しないで、アニオン界面活性剤によって水中に分散させて接着剤とする方法もあるが(例えば、特開昭57−167342号公報参照)、水分散系の長期安定性という点で不安を残している。
【0004】
上述のように、重縮合物の構成成分の中からレゾルシン5核体以上の構成比を低減させることによって、溶媒が水の場合十分な流動性が得られることが知られているが、レゾルシン5核体以上の構成比を低減させるように反応条件をゆるやかに設定した場合、生成物の分子量分布が単に低分子側にずれるだけの結果となり、通常は逆に未反応レゾルシン(レゾルシン1核体)濃度が高くなってしまう。レゾルシン濃度が高くなると、接着剤使用時にレゾルシンが昇華して、作業環境を悪化させ、さらに接着力をも低下させる可能性があるので好ましくない。レゾルシン1モルに対して0.6モルのホルムアルデヒドを反応させた場合、反応終了後33重量%程度の未反応レゾルシンが含有され、0.8モルのホルムアルデヒドを反応させた場合は、約20重量%の未反応レゾルシンが含有されていることから、未反応レゾルシンの量は15重量%に抑えるべきということで、未反応レゾルシン含有量を減少させるために減圧度0.05mmHg、130℃でレゾルシンを昇華除去したことが報告されている(例えば、特公昭54−932号公報参照)。また、メチルイソブチルケトンを溶媒とし、水を抽剤として連続抽出器を使用し、未反応レゾルシン含有量を5.5%に減じたことが報告されている(例えば、特公昭49−14550号公報参照)。しかし、これらの方法は反応終了後に真空蒸留を必要としたり、連続抽出器を使用して長時間の操作を要する等、工業的に不利である。
【0005】
逆に未反応レゾルシン濃度を低下させるために反応条件を激しくすると、5核体以上のレゾルシン多核体が大量に生成してしまい好ましくない。ここで反応が水系で行われることから、反応終了後に高濃度の塩を添加して高分子量成分の溶解度を低下させ、析出後除去する方法が考えられる。しかしこの方法は、塩析工程をさらに付加させる必要があって不利であり、またレゾルシンホルマリン樹脂中に残存する無機塩による接着力低下、無機塩に起因する被着体の腐食が懸念され、実施されていない。この塩析工程を付加させないで、1段反応であっても7核体以上の構成比を増加させない工夫が開示されている(例えば、特開2003−277308号公報参照)。レゾルシン多核体の溶解度を低下させるために、反応系に大量の塩を共存させる方法であるが、この方法では水相から析出したレゾルシン多核体がガム状になってしまうので、レゾルシン、レゾルシン2核体、レゾルシン3核体までもがガム状物質に採り込まれる結果、反応速度の低下を招いて反応時間が長くなってしまう。工業的製造においては、長時間反応におけるガム状物質の生成は、撹拌停止、送液系のつまり等を起こすので採用することはむずかしい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、塩を含有せず、水溶液にした場合に適度な流動性を有し、1段階の反応でレゾルシン単量体含有量およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量の双方を低減することのできる、レゾルシンホルマリン樹脂およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
レゾルシンホルマリン樹脂は水溶性を有し、また一部の有機溶媒にも可溶で、溶解能力が水か有機溶媒かの一方に偏ることが無いので、液々分配等、有機溶媒を利用する着想には結びつきにくいところである。しかし本発明者らは、上記課題を解決するために、有機溶媒の溶解特性(溶解パラメーター)に着目し、レゾルシンとホルマリンとの反応について種々の角度から鋭意検討した結果、特定範囲の有機溶媒を使用する液々不均一反応を採用することにより、レゾルシン単量体含有量およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量の双方を同時に低減させることができることを見いだし、下記の発明を完成するに至った。
【0008】
[1]
(a)水溶媒中にレゾルシン(A)を水100質量部に対して20〜150質量部添加し、水100質量部に対して20質量部以上溶解する無機塩(B)を、水に対する溶解度の範囲内で水100質量部に対して20〜80質量部添加し、レゾルシンホルマリン樹脂を溶解する溶解パラメーター7.0〜12.5の有機溶媒(C)をレゾルシン(A)100質量部に対して10〜200質量部添加し、有機溶媒(C)の沸点以下の液温で撹拌して、固形分の残存しない2相系とし、触媒量の有機酸または無機酸(D)を添加し、反応系を0〜60℃に維持しながら、1〜40%ホルマリン(E)を、レゾルシン(A)に対して、ホルムアルデヒド/レゾルシン=0.3〜0.8mol比として、撹拌下に1〜300分間かけて滴下し、滴下終了後さらに10〜60分間撹拌して液々不均一反応を進行させ、(b)反応系を反応時の温度に維持しながら静置して2層に分離させ、水層を除去し、有機溶媒層である反応生成物層に有機溶媒(C)を反応生成物量と等量〜5倍量添加して希釈し、この有機溶媒量の半量の水を添加して、沸点以下の温度を維持しながら反応系を撹拌し、静置後2層に分離させて水層を除去することによって、レゾルシンホルマリン樹脂を得る、無機塩を含有せず、レゾルシン単量体およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量が低減された、1段階の反応および液々分配を含む全工程が同一反応器内で行われる製造方法によって製造されたことを特徴とするレゾルシンホルマリン樹脂。
【0009】
[2]
前記した1〜40%ホルマリン(E)を、レゾルシン(A)に対して、ホルムアルデヒド/レゾルシン=0.3〜0.8mol比として、撹拌下に20分〜300分かけて断続的に滴下して添加を行うものであることを特徴とする、[1]記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【0010】
[3]
前記したレゾルシンホルマリン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析で得られる、レゾルシン5核体以上に相当するピーク面積が、全体のピーク面積に対して30%〜55%であり、レゾルシン単量体に相当するピーク面積が、全体のピーク面積に対して3%〜9%であることを特徴とする[1]〜[2]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【0011】
[4]
前記した有機溶媒(C)が、溶解パラメーター9.0〜11.0の有機溶媒であることを特徴とする[1]〜[3]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【0012】
[5]
前記した有機溶媒(C)が、下記一般式[1]で表される有機溶媒(C)であることを特徴とする、[1]〜[4]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
一般式[1]
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、mは0または1を表し、nは0または1を表す。R、R、R、R、Rはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、セカンダリーブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基を表す。m=n=0のとき、RとRが結合して環を形成しても良く、m=1、n=0のとき、RとRが結合して環を形成しても良く、m=n=1のとき、RとRが結合して環を形成してもよい。]
【0015】
[6]
前記した有機溶媒(C)が2種以上の混合物として使用されることを特徴とする、[1]〜[5]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【0016】
[7]
前記した(b)工程のレゾルシンホルマリン樹脂の有機溶媒(C)溶液中のレゾルシンホルマリン樹脂に対して、重量で1〜10倍量の水を添加し、有機溶媒(C)を蒸留によって除去して最終的に、反応生成物濃度30〜80%の適度な流動性を有するレゾルシンホルマリン樹脂水溶液を得ることを特徴とする、[1]〜[6]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【0017】
[8]
前記した(b)工程の静置後2層に分離させて水層を除去した有機溶媒層に有機溶媒(C)を反応生成物重量の2〜10倍量添加して希釈し、水と有機溶媒の共沸温度で蒸留を行い脱水し、次に室温に冷却してから固形分をろ過して除去することを特徴とする、[1]〜[7]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【0018】
[9]
(a)水溶媒中にレゾルシン(A)を水100質量部に対して20〜150質量部添加し、水100質量部に対して20質量部以上溶解する無機塩(B)を、水に対する溶解度の範囲内で水100質量部に対して20〜80質量部添加し、レゾルシンホルマリン樹脂を溶解する溶解パラメーター7.0〜12.5の有機溶媒(C)をレゾルシン(A)100質量部に対して10〜200質量部添加し、有機溶媒(C)の沸点以下の液温で撹拌して、固形分の残存しない2相系とし、触媒量の有機酸または無機酸(D)を添加し、反応系を0〜60℃に維持しながら、1〜40%ホルマリン(E)を、レゾルシン(A)に対して、ホルムアルデヒド/レゾルシン=0.3〜0.8mol比として、撹拌下に1〜300分間かけて滴下し、滴下終了後さらに10〜60分間撹拌して液々不均一反応を進行させ、(b)反応系を反応時の温度に維持しながら静置して2層に分離させ、水層を除去し、有機溶媒層である反応生成物層に有機溶媒(C)を反応生成物量と等量〜5倍量添加して希釈し、この有機溶媒量の半量の水を添加して、沸点以下の温度を維持しながら反応系を撹拌し、静置後2層に分離させて水層を除去することによって、レゾルシンホルマリン樹脂を得る、無機塩を含有せず、レゾルシン単量体およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量が低減され、レゾルシン5核体以上に相当するピーク面積が、全体のピーク面積に対して30〜55%であり、レゾルシン単量体に相当するピーク面積が、全体のピーク面積に対して3〜9%である、1段階の反応および液々分配を含む全工程が同一反応器内で行われることを特徴とする、レゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0019】
[10]
前記した1〜40%ホルマリン(E)を、レゾルシン(A)に対して、ホルムアルデヒド/レゾルシン=0.3〜0.8mol比として、撹拌下に20分〜300分かけて断続的に滴下して添加を行うものであることを特徴とする[9]記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0020】
[11]
前記したレゾルシンホルマリン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析で得られる、レゾルシン5核体以上に相当するピーク面積が、全体のピーク面積に対して30%〜55%であり、レゾルシン単量体に相当するピーク面積が、全体のピーク面積に対して3%〜9%であることを特徴とする[9]〜[10]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0021】
[12]
前記した有機溶媒(C)が、溶解パラメーター9.0〜11.0の有機溶媒であることを特徴とする[9]〜[11]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0022】
[13]
前記した有機溶媒(C)が、下記一般式[1]で表される有機溶媒(C)であることを特徴とする[9]〜[12]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
一般式[1]
【0023】
【化2】

【0024】
[式中、mは0または1を表し、nは0または1を表す。R、R、R、R、Rはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、セカンダリーブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基を表す。m=n=0のとき、RとRが結合して環を形成しても良く、m=1、n=0のとき、RとRが結合して環を形成しても良く、m=n=1のとき、RとRが結合して環を形成してもよい。]
【0025】
[14]
前記した有機溶媒(C)が2種以上の混合物として使用されることを特徴とする[9]〜[13]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0026】
[15]
前記した無機塩(B)がアルカリ金属およびアルカリ土類金属の中から選択される1種または2種以上の陽イオンと、硫酸イオン、硝酸イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンまたはチオシアン酸イオンの中から選択される1種または2種以上の陰イオンからなる塩であることを特徴とする[9]〜[14]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0027】
[16]
前記した無機塩(B)が塩化カルシウムであることを特徴とする[9]〜[15]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0028】
[17]
前記した(a)工程の有機溶媒(C)の添加量が、レゾルシン(A)100質量部に対して、30〜100質量部であることを特徴とする[9]〜[16]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0029】
[18]
前記した有機酸または無機酸(D)が、塩酸であることを特徴とする[9]〜[17]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0030】
[19]
前記したホルマリン(E)中のホルムアルデヒドモル数が、レゾルシン(A)のモル数に対して、ホルムアルデヒド/レゾルシン=0.5〜0.8mol比であることを特徴とする[9]〜[18]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0031】
[20]
前記したホルマリン(E)の滴下時間が、20〜120分であることを特徴とする[9]〜[19]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0032】
[21]
前記した(b)工程のレゾルシンホルマリン樹脂の有機溶媒(C)溶液中のレゾルシンホルマリン樹脂に対して、重量で1〜10倍量の水を添加し、有機溶媒(C)を蒸留によって除去して最終的に、反応生成物濃度30〜80%の適度な流動性を有するレゾルシンホルマリン樹脂水溶液を得ることを特徴とする[9]〜[20]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0033】
[22]
前記した(b)工程の静置後2層に分離させて水層を除去した有機溶媒層に有機溶媒(C)を反応生成物重量の2〜10倍量添加して希釈し、水と有機溶媒の共沸温度で蒸留を行い脱水し、次に室温に冷却してから固形分をろ過して除去することを特徴とする[9]〜[20]いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂の製造方法。
【0034】
前記レゾルシンホルマリン樹脂の製造方法は、液々不均一反応を採用したことを特徴としているが、液々不均一反応を採用したことによる利点は次の通りである。
(1)反応は水相中の方が速く、しかもレゾルシン存在比は水相にかたよるので、未反応レゾルシン量を低減することができる。
(2)反応の進行に伴ってレゾルシン多核体(特に3次元構造が存在する4核体以上)の水相における溶解度が急激に低下し、有機相に移行して、しかも有機相の方の反応が遅いので、5核体以上のレゾルシン多核体の生成が抑制される。
(3)反応が水相と有機相の両相で進行するので、反応時間を短縮することができる。
(4)レゾルシンとホルマリンとの1段階の反応で完結し、反応後にレゾルシン多核体を除去するための工程を必要としない。
(5)以上の理由から、未反応レゾルシンおよびレゾルシン多核体双方の生成量を減少させることができ、反応時間を短縮することができ、しかも1段階の反応で完結することができるので、コスト的に非常に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
前記レゾルシンホルマリン樹脂の製造方法に使用される無機塩(B)の陽イオンとしては、アルカリ金属のリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、アルカリ土類金属のマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの陽イオンが挙げられる。無機塩(B)の陰イオンとしては、硫酸イオン、硝酸イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオンまたはチオシアン酸イオンが挙げられる。好ましくは、塩化カルシウムである。
【0036】
上記した無機塩(B)は単独でまたは2種以上を混合して使用することもできる。これらの無機塩は水100質量部に対して20〜80質量部、好ましくは水100質量部に対して30〜50質量部使用される。いずれにせよこれらの無機塩は、水に対する溶解度の範囲内で使用される。
【0037】
前記レゾルシンホルマリン樹脂の製造方法に使用される溶解パラメーターは、「Solubility Parameters For Film Formes」(Official Digest,October,1955)に具体的に解説されている。
物理定数を用いて算出する計算式は次の通りである。
δ={(ΔH−RH)/V}1/2
δ:溶解パラメーター
ΔH:蒸発潜熱
R:気体定数
V:モル体積
溶解パラメーター7.0未満の有機溶媒はレゾルシン多核体の溶解度が小さいので、レゾルシン多核体が固体となって析出し前記製造方法では使用できない。また、12.5を超える有機溶媒は水と良く混合するので前記製造方法の特徴の1つである液々不均一反応ができないので使用できない。
【0038】
溶解パラメーター9.0〜11.0の有機溶媒は、レゾルシン多核体を溶解し、水と液々不均一系を形成するので前記製造方法で使用する有機溶媒として好ましい。
【0039】
溶解パラメーター7.0〜12.5で表される有機溶媒(C)の中でも好ましいものは、構造式で表すと一般式[1]のとおりである。
一般式[1]
【0040】
【化3】

【0041】
[式中、mは0または1を表し、nは0または1を表す。R、R、R、R、Rはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、セカンダリーブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基を表す。m=n=0のとき、RとRが結合して環を形成しても良く、m=1、n=0のとき、RとRが結合して環を形成しても良く、m=n=1のとき、RとRが結合して環を形成してもよい。]
【0042】
前記レゾルシンホルマリン樹脂の製造方法に使用される溶解パラメーター7.0〜12.5の有機溶媒(C)の具体例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、酢酸n−ブチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられ、好ましくは、溶解パラメーター9.0〜11.0の有機溶媒(C)であるメチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等が挙げられる。更に好ましくは、メチルエチルケトンである。また、これらの有機溶媒を2種以上混合して使用することもできる。その使用量としては、レゾルシン100質量部に対して10〜200質量部が適している。
【0043】
前記レゾルシンホルマリン樹脂の製造方法に触媒として使用される有機酸または無機酸(D)としては、塩酸、硫酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等が挙げられる。好ましくは、塩酸である。
【0044】
また、無機塩を完全に除去した後のレゾルシンホルマリン樹脂の有機溶媒溶液に、レゾルシンホルマリン樹脂に対して、重量で1〜10倍量の水を添加して蒸留し、有機溶媒を除去して、最終的に反応生成物濃度30〜80%、好ましくは反応生成物濃度40〜60%の適度な流動性を有するレゾルシンホルマリン樹脂水溶液を得る工程は、本発明のレゾルシンホルマリン樹脂が次工程において使用され易い形態にしたものである。また、レゾルシンホルマリン樹脂に対して、重量で1〜10倍量の水を添加しているが、共沸蒸留によって最終的に有機溶媒残量を1質量%以下にするのに十分な水の量という意味であり、1〜10倍量から外れることは差し支え無い。次工程には特公昭48−12185号公報に記載されている次のような方法が採用されている。該接着剤原液は繊維材料あるいはフィルム等を処理する前に水で希釈して使用するのが好ましい。希釈水に塩基性物質を適量添加して用いる場合は、接着剤を溶解し易くするというためである。
【0045】
本発明に使用する反応槽は、酸触媒反応を行うので、耐酸性のものであれば通常の装置を使用することができる。本発明で採用する反応温度は、使用する有機溶媒の沸点以下であることが望ましい。また、塩を水中に高濃度に溶解させる必要があるので、溶解度を確保するために室温よりもある程度高い温度にする必要がある。反応温度として0〜60℃、好ましくは30〜50℃が採用される。
【0046】
本発明で使用される有機溶媒は、蒸留で分離された後に再蒸留して、回収再使用することができる。また本発明で使用される塩は、分離後回収して再使用することができる。
【0047】
本発明で使用されるホルマリン(E)中のホルムアルデヒド濃度は、1〜40質量%、好ましくは30〜40質量%である。またホルマリンの使用量は、ホルマリン中のホルムアルデヒドモル数が、レゾルシンに対して、ホルマリン/レゾルシン=0.3〜0.8mol比、好ましくはホルマリン/レゾルシン=0.5〜0.8mol比となるような量である。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明する。
[実施例1]
耐酸性の500リットル反応槽に水133kg、塩化カルシウム85kg、レゾルシン111kgを入れ、50℃で溶解させた後、メチルエチルケトン45kg、35%塩酸0.45kgを反応槽に入れた。反応系を50℃に維持しながら、37%ホルマリン53kgを30分間かけて滴下し、滴下終了後さらに30分間撹拌して液々不均一反応を進行させた。反応系の温度を維持しながら静置して2層に分離させ、下層の水相を抜き取った。有機相をメチルエチルケトン200kgで希釈し、水100kgを添加して、更に同一温度を維持しながら反応系を30分間撹拌し、静置後2層に分離させて水相を抜き取り、レゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。
【0049】
得られたレゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液に水200kgを添加して共沸温度で蒸留を行い、メチルエチルケトンを除去し、水分量を減量させて、目的とする固形分が約50%の適度な流動性を有するレゾルシンホルマリン樹脂水溶液263kgを得た。この固形分が約50%のレゾルシンホルマリン樹脂水溶液は無機塩を含有せず、レゾルシン単量体およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量の低減されたレゾルシンホルマリン樹脂である。
【0050】
得られたレゾルシンホルマリン樹脂をテトラヒドロフランに溶解させて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行い、未反応レゾルシン〜レゾルシン5核体以上の分布を測定した。得られたクロマトグラムを図1に示した。算出されたピーク面積比を表1に示した。
【0051】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析条件を次に示した。
測定機種:東ソー製HLC−8020
カラム:(G−2500)+(G−2500)+(G−4000)
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
流量:1ml/min
【0052】
[実施例2]
5Lガラス製コルベンに水1336g、塩化カルシウム850g、レゾルシン1107.0g、メチルエチルケトン450gを入れ、60℃で溶解させた後、35%塩酸4.5gを反応槽に入れた。反応系を50℃に冷却し、50℃を維持しながら、37%ホルマリン490gを45分掛けて滴下し、滴下終了後50℃で更に1時間撹拌して液々不均一反応を進行させた。その後、37%ホルマリン40gを45分掛けて滴下し、滴下終了後50℃で更に1時間撹拌して液々不均一反応を進行させた。反応系を同一温度に維持しながら静置して2層に分離させ、下層の水相を抜き取った。有機相をメチルエチルケトン1500gで希釈し、水750gを添加して、更に同一温度を維持しながら反応系を1時間撹拌し、静置後2層に分離させて水相を抜き取り、レゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。
【0053】
得られたレゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液に、水2000gを添加して共沸温度で蒸留を行い、メチルエチルケトンを除去し、水分量を減量させて、目的とする固形分が約50%の適度な流動性を有するレゾルシンホルマリン樹脂水溶液2524gを得た。この固形分が約50%のレゾルシンホルマリン樹脂水溶液は無機塩を含有せず、レゾルシン単量体およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量の低減されたレゾルシンホルマリン樹脂である。
【0054】
得られたレゾルシンホルマリン樹脂をテトラヒドロフランに溶解させて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行い、未反応レゾルシン〜レゾルシン5核体以上の分布を測定した。得られたクロマトグラムを図2に示した。算出されたピーク面積比を表1に示した。
【0055】
表1には、2回目に37%ホルマリンを滴下する前の反応液の分析結果も示した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析条件は実施例1と同じである。
【0056】
[実施例3]
5Lガラス製コルベンに水2660g、塩化カルシウム1710g、レゾルシン738g、メチルエチルケトン300gを入れ、60℃で溶解させた後、35%塩酸9gを反応槽に入れた。反応系を50℃に冷却し、50℃を維持しながら、37%ホルマリン326gを45分掛けて滴下し、滴下終了後50℃で更に1時間撹拌して液々不均一反応を進行させた。その後、37%ホルマリン27gを45分掛けて滴下し、滴下終了後50℃で更に1時間撹拌して液々不均一反応を進行させた。反応系を同一温度に維持しながら静置して2層に分離させ、下層の水相を抜き取った。有機相をメチルエチルケトン1000gで希釈し、水500gを添加して、更に同一温度を維持しながら反応系を1時間撹拌し、静置後2層に分離させて水相を抜き取り、レゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。再びメチルエチルケトン1000gで希釈し、水とメチルエチルケトンの共沸温度で蒸留を行い脱水した。次に室温に冷却、ろ過して、レゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。得られたレゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液を、再度反応槽に入れ、水を添加して共沸温度で蒸留を行い、メチルエチルケトンを除去し、水分量を減量させて、目的とする固形分が約50%の適度な流動性を有するレゾルシンホルマリン樹脂水溶液1683gを得た。この固形分が約50%のレゾルシンホルマリン樹脂水溶液は無機塩を含有せず、レゾルシン単量体およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量の低減されたレゾルシンホルマリン樹脂である。
【0057】
得られたレゾルシンホルマリン樹脂をテトラヒドロフランに溶解させて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行い、未反応レゾルシン〜レゾルシン5核体以上の分布を測定した。得られたクロマトグラムを図3に示した。算出されたピーク面積比を表1に示した。
【0058】
表1には、2回目に37%ホルマリンを滴下する前の反応液の分析結果も示した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析条件は実施例1と同じである。
【0059】
[実施例4]
5Lガラス製コルベンに水2660g、塩化カルシウム1710g、レゾルシン738g、メチルエチルケトン300gを入れ、60℃で溶解させた後、35%塩酸9gを反応槽に入れた。反応系を50℃に冷却し、50℃を維持しながら、37%ホルマリン353gを45分掛けて滴下し、滴下終了後50℃で更に1時間撹拌して液々不均一反応を進行させた。反応系を同一温度に維持しながら静置して2層に分離させ、下層の水相を抜き取り、レゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。有機相をメチルエチルケトン1000gで希釈し、水500gを添加して、更に50℃を維持しながら反応系を1時間撹拌し、静置後2層に分離させて水相を抜き取った。再びメチルエチルケトン1000gで希釈し、水とメチルエチルケトンの共沸温度で蒸留を行い脱水した。次に室温に冷却、ろ過して、レゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液を得た。
【0060】
得られたレゾルシンホルマリン樹脂のメチルエチルケトン溶液に水を添加して共沸温度で蒸留を行い、メチルエチルケトンを除去し、水分量を減量させて、固形分が約50%のレゾルシンホルマリン樹脂水溶液1691gを得た。
【0061】
得られたレゾルシンホルマリン樹脂をテトラヒドロフランに溶解させて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析を行い、未反応レゾルシン〜レゾルシン5核体以上の分布を測定した。得られたクロマトグラムを図4に示した。算出されたピーク面積比を表1に示した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析条件は実施例1と同じである。
【0062】
[実施例5]
実施例1では、有機溶媒としてメチルエチルケトンを使用したが、実施例5ではメチルイソブチルケトンを使用した。また、実施例1では、37%ホルマリン53kgを30分間かけて滴下したが、実施例5では37%ホルマリン57kgを30分間かけて滴下した。その他の反応条件、分析条件は実施例1と同じである。固形分が約50%のレゾルシンホルマリン樹脂水溶液243kgを得た。分析結果を図5および表1に示した。
【0063】
[実施例6]
有機溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、37%ホルマリン滴下量は57kgである。その他の反応条件、分析条件は実施例1と同じである。固形分が約50%のレゾルシンホルマリン樹脂水溶液227kgを得た。分析結果を図6および表1に示した。
実施例7〜11 実施例7〜11で使用した溶媒を表1に示した。37%ホルマリン滴下量は57kgである。その他の反応条件、分析条件は実施例1と同じである。分析結果を表1に示した。
【0064】
[比較例1]
2リットル三ツ口フラスコに水265g、塩化カルシウム170g、レゾルシン63gを入れ、50℃で溶解させた後、35%塩酸0.8gを反応槽に入れた。反応系を50℃に維持しながら、37%ホルマリン26gを5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間撹拌して固液不均一反応を進行させた。生成したレゾルシン多核体はガム状となって、撹拌棒にからみつき、後処理が非常にやっかいであった。水相を廃棄した後39%塩化カルシウム水溶液400gでガム状物質を洗浄した。洗浄液を除去した後、ガム状物質を減圧乾燥し、メチルエチルケトン240gで溶解し、不溶分をろ別した後に再度減圧下乾燥させた。実施例の反応に比較すると、はるかに長時間の反応を要した。以上のことから、この反応を工業的規模に拡大することはむずかしいと判断された。
【0065】
[比較例2]
1リットル三ツ口フラスコに水150g、レゾルシン63gを入れ、50℃で溶解させた後、35%塩酸0.8gを反応槽に入れた。反応系を50℃に維持しながら、37%ホルマリン26gを5時間かけて滴下し、滴下終了後さらに1時間撹拌して反応を進行させた。水相を廃棄した後、水400gで洗浄した。洗浄液を除去した後、減圧乾燥し、メチルエチルケトン240gで溶解し、不溶分をろ別した後に再度減圧下乾燥させた。この反応生成物に水を加えて、溶解させることを試みたが、水溶液にすることができなかった。これは、5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂の含有量が高いためと考えられる。
【0066】
【表1】

【0067】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
【0068】
本出願は、2003年10月7日出願の日本特許出願(特願2003−348496)、に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
前記製造方法は液々不均一反応を採用しているので、レゾルシン単量体含有量およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量の双方を低減することができる。反応時間を短縮することができ、しかも1段階の反応で完結することができ、全工程が同一反応器内で行われるので、工業的生産が可能であり、コスト的にも有利である。また、前記製造方法によれば、無機塩を含有せず、水溶液にした場合に適度な流動性を有する、レゾルシンホルマリン樹脂を提供することができる。
【0070】
本発明のレゾルシンホルマリン樹脂は、無機塩を含有せず、適度な流動性を有しており、ゴムや繊維への接着力が優れているので、タイヤ用接着剤、ゴムホース用接着剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例1で得られたゲルパーミェーションクロマトグラムである。
【図2】実施例2で得られたゲルパーミェーションクロマトグラムである。
【図3】実施例3で得られたゲルパーミェーションクロマトグラムである。
【図4】実施例4で得られたゲルパーミェーションクロマトグラムである。
【図5】実施例5で得られたゲルパーミェーションクロマトグラムである。
【図6】実施例6で得られたゲルパーミェーションクロマトグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)水溶媒中にレゾルシン(A)を水100質量部に対して20〜150質量部添加し、無機塩(B)を水100質量部に対して20〜80質量部、水に対する溶解度の範囲内で添加し、レゾルシンホルマリン樹脂を溶解する溶解パラメーター7.0〜12.5の有機溶媒(C)をレゾルシン(A)100質量部に対して10〜200質量部添加し、有機溶媒(C)の沸点以下の液温で撹拌して、固形分の残存しない2相系とし、触媒量の有機酸または無機酸(D)を添加し、反応系を0〜60℃に維持しながら、1〜40%ホルマリン(E)を、レゾルシン(A)に対して、ホルムアルデヒド/レゾルシン=0.3〜0.8mol比として、撹拌下に1〜300分間かけて滴下し、滴下終了後さらに10〜60分間撹拌して液々不均一反応を進行させ、(b)反応系を反応時の温度に維持しながら静置して2層に分離させ、水層を除去し、有機溶媒層である反応生成物層に有機溶媒(C)を反応生成物量と等量〜5倍量添加して希釈し、この有機溶媒量の半量の水を添加して、沸点以下の温度を維持しながら反応系を撹拌し、静置後2層に分離させて水層を除去することによって、レゾルシンホルマリン樹脂を得る、無機塩を含有せず、レゾルシン単量体およびレゾルシン5核体以上のレゾルシンホルマリン樹脂含有量が低減された、1段階の反応および液々分配を含む全工程が同一反応器内で行われる製造方法によって製造されたことを特徴とするレゾルシンホルマリン樹脂。
【請求項2】
前記した1〜40%ホルマリン(E)を、レゾルシン(A)に対して、ホルムアルデヒド/レゾルシン=0.3〜0.8mol比として、撹拌下に20分〜300分かけて断続的に滴下して添加を行うものであることを特徴とする、請求項1記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【請求項3】
前記したレゾルシンホルマリン樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析で得られる、レゾルシン5核体以上に相当するピーク面積が、全体のピーク面積に対して30%〜55%であり、レゾルシン単量体に相当するピーク面積が、全体のピーク面積に対して3%〜9%であることを特徴とする請求項1〜請求項2いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【請求項4】
前記した有機溶媒(C)が、溶解パラメーター9.0〜11.0の有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【請求項5】
前記した有機溶媒(C)が、下記一般式[1]で表される有機溶媒(C)であることを特徴とする、請求項1〜請求項4いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
一般式[1]
【化1】

[式中、mは0または1を表し、nは0または1を表す。R、R、R、R、Rはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、セカンダリーブチル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基を表す。m=n=0のとき、RとRが結合して環を形成しても良く、m=1、n=0のとき、RとRが結合して環を形成しても良く、m=n=1のとき、RとRが結合して環を形成してもよい。]
【請求項6】
前記した有機溶媒(C)が2種以上の混合物として使用されることを特徴とする、請求項1〜請求項5いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【請求項7】
前記した(b)工程のレゾルシンホルマリン樹脂の有機溶媒(C)溶液中のレゾルシンホルマリン樹脂に対して、重量で1〜10倍量の水を添加し、有機溶媒(C)を蒸留によって除去して最終的に、反応生成物濃度30〜80%の適度な流動性を有するレゾルシンホルマリン樹脂水溶液を得ることを特徴とする、請求項1〜請求項6いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。
【請求項8】
前記した(b)工程の静置後2層に分離させて水層を除去した有機溶媒層に有機溶媒(C)を反応生成物重量の2〜10倍量添加して希釈し、水と有機溶媒の共沸温度で蒸留を行い脱水し、次に室温に冷却してから固形分をろ過して除去することを特徴とする、請求項1〜請求項7いずれかの項に記載のレゾルシンホルマリン樹脂。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−95114(P2008−95114A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301760(P2007−301760)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【分割の表示】特願2005−509690(P2005−509690)の分割
【原出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000005315)保土谷化学工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】