レボルバの定位置停止装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば顕微鏡に用いるものであって、複数の対物レンズ等の被選択部材を支持したレボルバ本体をブラシレスモータにより回転駆動して被選択部材のいずれかを所望の定位置に停止させるレボルバの定位置停止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、顕微鏡のレボルバとして、複数の対物レンズをレボルバ本体に取り付け、これをモータで駆動するようにしたものがある。この場合、対物レンズの一つを選択して光学系の光路上に正確に位置決めするための定位置停止装置(クリック位置決め装置)として、次の2つがある。第1の例は、停止位置の正確な制御のためにパルスモータ、あるいは、直流モータを使用した電気方式である。
【0003】第2の例は、レボルバ本体の外周に形成したV溝に停止レバーを落とし込んでレボルバ本体を所定位置に係止させる機械方式である。
【0004】第1の例は、電気式であるため、慣性のため正確な位置決めは難しく、高価である。第2の例は、第1の例の欠点を除去できることから、従来多く用いられているが、停止位置(クリック位置)を検出するためのセンサが必要である。
【0005】第2の例の具体例の一つとして、特公昭60ー15245号公報に示すものがあり、これはレボルバ本体の一部に停止位置を示すスリットを設けておき、フォトインタラプタで、該スリット、すなわち、停止位置を検出するものである。
【0006】図10は該具体例の他の例を示すもので、レボルバ本体20を回転駆動するモータ23の回転軸23aに直接スリット板24を設け、レボルバ本体20が、1クリック回転する間に、スリット板24が整数回回転するようにしておき、フォトインタラプタ25で停止位置を検出するものである。なお、21は対物レンズ、22は歯車である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた従来のレボルバの定位置停止装置は、レボルバ本体の停止位置を検出するために、フォトインタラプタを用いているため、レボルバ本体の周囲に特別にスペースを設けなければならなかった。また、レボルバ本体の外周にスリット(切り欠き)を設けたり、あるいは、モータ23の回転軸23aに直接取付けるスリット板24を用意しなければならなかった。
【0008】本発明は、停止位置(クリック位置)を検出するためのフォトインタラプタなどの光電センサを必要とせず、また機械的な加工も必要なく、全体として小形で安価なレボルバの定位置停止装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、図1および図2のように構成したものである。すなわち、固定部に回転自在に支持され、複数の対物レンズ等の被選択部材4を支持する円盤状のレボルバ本体1と、このレボルバ本体1の外周縁の全周面または板面の少なくとも一方の周縁部の全周に沿って複数の磁石の極性が、N極,S極と交互になるように着磁された磁石列3と、この磁石列3に対して所定の空隙を挟んで前記固定部に固定され、前記磁石列3と対向する面に空隙を存して配設され、電流を流すことにより、前記磁石列3との間に電流力が作用する磁極を形成する複数の励磁用コイル51〜53と、この励磁用コイル51〜53の近傍にそれぞれ配設され、前記磁石列3から発生する磁界を検出して前記レボルバ本体1の相対位置を検出する磁気検出素子61〜63と、少なくとも前記磁気検出素子61〜63の検出信号および回転方向指令信号を入力し、前記励磁コイル51〜53に流れる電流を順次切換える駆動回路9と、前記磁気検出素子61〜63の検出信号から前記レボルバ本体1の回転方向および回転量を算出し、停止位置で前記駆動回路9に対して所定時間停止信号を出力する制御回路8と、前記被選択部材4が所定位置に位置したとき前記レボルバ本体1を停止させるクリック機構7とを備えている。
【0010】
【作用】本発明によれば、レボルバ本体1の停止位置を検出するために、ブラシレスモータの磁極切換え検出用として使用されている磁気検出素子61〜63の信号を用いることにより、従来のように光電センサなどの部品を必要とせず、スリット板のように特別な加工も必要ない。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図3は本発明のレボルバの定位置停止装置の一実施例のレボルバ部を示す斜視図であり、図4は制御部を示すブロック図である。レボルバ部は回転側と固定側からなっている。回転側は、円盤状であってこの中心位置に軸挿入穴(図示せず)を有し、対物レンズ4を5個装着可能なレボルバ本体1と、このレボルバ本体1の軸挿入穴に装着され、図示しない顕微鏡本体に回転自在に支持される回転軸(図示せず)と、レボルバ本体1の外周面の全周に複数の磁石の極性が、N極,S極と交互になるように着磁された磁石列3と、レボルバ本体1の一方の板面(ここでは下面)側に固着された対物レンズ4と、レボルバ本体1と磁石列3の間に配設され、かつ両者に固着され、磁石列3で発生する磁束を集中させるための鉄などの磁性材料からなるリング2とからなっている。
【0012】固定側は、図示しない顕微鏡本体に固定され、磁石列3に対して僅かの空隙を挟んで配設され、鉄などの磁性材料からなる円弧状のコイル支持用部材(図示せず)と、このコイル支持用部材の磁石列3と対向する面に互いに間隔を存して接着された3個の台形状の励磁用コイル51〜53と、この各励磁用コイル51〜53の配置位置にそれぞれ接着され、磁石列3から発生する磁界を検出し、レボルバ本体1の相対位置を検出するホール素子などの磁気検出素子61〜63とからなっている。
【0013】そして、前記レボルバ本体1には、前記被選択部材4に対応する位置にそれぞれボール71が5個が配置固定され、また図示しない顕微鏡本体に固定され、図6(a)に示すように中央位置にボール71がはまるように穴72aを有する弾性材料からなる位置決め板72によりクリック機構7が構成されている。このクリック機構7は、レボルバ本体1が回転することにより、位置決め板72の穴72aにボール71がはまることから、対物レンズ4のいずれかが顕微鏡の光路に入ったかが分かる。
【0014】また、励磁コイル51〜53に流れる電流を順次切換える駆動回路13を備えている。さらに、レボルバ本体1を定位置停止制御するために、以下のようになっている。すなわち、磁気検出素子61〜63の検出信号から前記レボルバ本体1の回転方向および回転量を算出し、停止位置で前記駆動回路9に対して所定時間停止信号を出力するモータ停止指令回路12と、前記磁気検出素子61〜63で検出された検出信号[図5(a)に示す]を、入力して図5(b)に示すような波形に変換され、インクリメンタルエンコーダと同様に動作する波形変換回路10と、この変換されたA相,B相の信号を、A相,B相毎にカウントし、このカウント値を位置情報としてモータ停止指令回路12に出力するアップダウンカウンタ11とを有している。
【0015】以下、以上のように構成された本実施例の動作について、説明する。いま、駆動回路13からコイル51〜53に対して電圧が印加されて電流が順次切換えられると、これによって形成される磁極と磁石列3の磁石との間に電流力が作用し、ブラシレスモータとして動作し、レボルバ本体1が回転する。
【0016】一方、磁気検出素子61〜63で検出された検出信号は、図5(a)に示すようになり、これが波形変換回路10に入力され、図5(b)に示すような波形に変換される。この変換されたA相,B相の信号は、レボルバ本体1の回転量を示すことになる。
【0017】波形変換回路10で変換された信号は、アップダウンカウンタ11に入力され、ここで、A相,B相毎の信号をカウントし、このカウント値を位置情報としてモータ停止指令回路12に出力する。このモータ停止指令回路12では、レボルバの種別信号より得られるレボルバ本体1に装着可能な被選択部材4の数とアップダウンカウンタ11からの位置情報とにより、モータ停止タイミングを算出し、モータ停止信号を駆動回路13に出力する。駆動回路13では、レボルバ本体1を電動切換時にクリックで停止させる場合に、モータ停止指令回路12からのモータ停止信号により励磁コイル51〜53を一定時間ショートして停止させ、その後モータをフリー(オープン)にする。モータをフリーにすることにより、ボール71を位置決め板72の穴72aにはめる(落とし込む)ことができる。
【0018】ここで、A相とB相と実際の停止タイミングの関係について、図6を参照して説明する。図6(a)は、ボール71が位置決め板72の穴72aに完全に落とし込まれている状態を示している。いま、(イ)の方向からレボルバ本体1が移動することによって、ボール71が移動してきた場合の停止タイミングは、ボール71が位置決め板72の穴72aに完全に落とし込まれる手前のAの地点であり、また逆に(ロ)の方向からレボルバ本体1が移動することによって、ボール71が移動してきた場合はBの地点である。このA点とB点との間隔は、図6(b)に示すようにA相、B相の最小分解能で決まる。
【0019】また、A点から位置決め板72の穴72aの中心までの間隔と、B点からの穴72aの中心までの間隔は、同じになっており、これはクリック位置(ボール71が位置決め板72の穴72aに完全に落とし込まれているいる状態)において、磁気検出素子61〜63の中心と、N,S極の磁石の堺との間に、図9に示すように、1/6w、あるいは3/6w,5/6w(wは磁石の幅)とすることにより、実現される。図9では、磁気検出素子61(U)に着目したが、磁気検出素子62(V)、磁気検出素子63(W)に関しても同様である。
【0020】この状態を式で表すと、クリック位置において、磁気検出素子61〜63と、N極,S極の磁石の堺との間隔が、w(2n+1)/6 (n=0,1,2…)となる。
【0021】ただし、すべての磁気検出素子61〜63が、この条件を満たすには、N極、S極を一対としたときの磁石の対数を2対以上でさらに整数であるように、(磁石の対数)=(被選択部材の本数)×1/6n(n=1以上の整数)の式のnを選択することが条件である。
【0022】なお、前記1/6wの間隔は、図6において、A(またはB)からクリックに完全に落ち込むまでの間隔に対応している。
【0023】以上述べた第1の実施例によれば、フォトインタラプタなどの光電センサを使用せず、ブラシレスモータの極切換えを検出する磁気検出素子61〜63の信号を電気的に処理することにより、レボルバ本体1内に余計な部品を付加することがなく、機械的な加工も必要なく、小形で安価な定位置停止装置が得られる。
【0024】以上述べた第1の実施例は、励磁コイル51〜53に対して、磁気検出素子61〜63を3個使用した場合であり、これを図7(a)に示している。
【0025】これを図7(b)に示すように、位相のずれた位置に、さらに3個の磁気検出素子61A,62A,63Aを追加してもよい。この場合、他の構成は前述の実施例と同様であり、各磁気検出素子61〜63、61A〜63Aの出力信号と図4の波形変換回路10より得られるA相,B相の信号は、図8のようになる。この図から明らかなように、磁気検出素子61A〜63Aを追加することにより、2倍の分解能のA相,B相の信号が得られる。これは、図6において、A,B間の距離が1/2になると言うことである。つまり、A,B間距離は磁石の幅を変えることにより変えることもできるが、さらに磁気検出素子の数を変えることが可能である。
【0026】以上述べた実施例はいずれも、磁気検出素子61,62,63から得られる位置情報は、相対的な位置を表すが、電源をオンするときにレボルバ本体1をクリック位置を設定しておけば問題なく、あるいは、スイッチを1個設けて、電源オン時にはクリック位置になくても、手動でレボルバ本体1をクリック位置に設定し、そこでスイッチを押すことにより、クリック位置を認識させることも可能である。また、各々のレボルバの穴の種別センサを別に設ける場合には、前述のような基準位置を考える必要がなく、レボルバ本体の穴の種別やセンサと組み合わせてクリック位置の絶対位置の検出が可能となる。磁気検出素子としては、ホールICでもよく、モータも三相以外の多相でもよい。さらに、クリック機構に関しても、レボルバ本体の外周にV溝を形成し、これにレバーを落としこむ方式などの他の方式でもよい。また、レボルバ本体に装着する対物レンズの個数は、5個に限らず何個でも良く、対物レンズ以外に、光学フィルタ、ミラー等の被選択部材ならなんでもよい。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、停止位置(クリック位置)を検出するためのフォトインタラプタなどの光電センサを必要とせず、また機械的な加工も必要なく、全体として小形で安価なレボルバの定位置停止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレボルバの定位置停止装置の構成を示す斜視図。
【図2】図1のレボルバの定位置停止装置の制御回路を示すブロック図。
【図3】本発明によるレボルバの定位停止装置の第1の実施例の構成を示す斜視図。
【図4】図3図のレボルバの定位停止装置の制御回路を示すブロック図。
【図5】(a),(b)は図3および図4の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図6】図3のクリック機構の動作を説明するための図。
【図7】(a),(b)はそれぞれ図3および図4の磁気検出素子の配置構成および変形例を示す図。
【図8】図7の(b)の場合の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図9】図3および図4の動作を説明するための図。
【図10】従来のレボルバの定位停止装置の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
1…レボルバ本体、2…リング、3…磁石列、4…対物レンズ等の被選択部材、51〜53…励磁コイル、61〜63…磁気検出素子、8…制御回路、9…駆動回路。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば顕微鏡に用いるものであって、複数の対物レンズ等の被選択部材を支持したレボルバ本体をブラシレスモータにより回転駆動して被選択部材のいずれかを所望の定位置に停止させるレボルバの定位置停止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、顕微鏡のレボルバとして、複数の対物レンズをレボルバ本体に取り付け、これをモータで駆動するようにしたものがある。この場合、対物レンズの一つを選択して光学系の光路上に正確に位置決めするための定位置停止装置(クリック位置決め装置)として、次の2つがある。第1の例は、停止位置の正確な制御のためにパルスモータ、あるいは、直流モータを使用した電気方式である。
【0003】第2の例は、レボルバ本体の外周に形成したV溝に停止レバーを落とし込んでレボルバ本体を所定位置に係止させる機械方式である。
【0004】第1の例は、電気式であるため、慣性のため正確な位置決めは難しく、高価である。第2の例は、第1の例の欠点を除去できることから、従来多く用いられているが、停止位置(クリック位置)を検出するためのセンサが必要である。
【0005】第2の例の具体例の一つとして、特公昭60ー15245号公報に示すものがあり、これはレボルバ本体の一部に停止位置を示すスリットを設けておき、フォトインタラプタで、該スリット、すなわち、停止位置を検出するものである。
【0006】図10は該具体例の他の例を示すもので、レボルバ本体20を回転駆動するモータ23の回転軸23aに直接スリット板24を設け、レボルバ本体20が、1クリック回転する間に、スリット板24が整数回回転するようにしておき、フォトインタラプタ25で停止位置を検出するものである。なお、21は対物レンズ、22は歯車である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた従来のレボルバの定位置停止装置は、レボルバ本体の停止位置を検出するために、フォトインタラプタを用いているため、レボルバ本体の周囲に特別にスペースを設けなければならなかった。また、レボルバ本体の外周にスリット(切り欠き)を設けたり、あるいは、モータ23の回転軸23aに直接取付けるスリット板24を用意しなければならなかった。
【0008】本発明は、停止位置(クリック位置)を検出するためのフォトインタラプタなどの光電センサを必要とせず、また機械的な加工も必要なく、全体として小形で安価なレボルバの定位置停止装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、図1および図2のように構成したものである。すなわち、固定部に回転自在に支持され、複数の対物レンズ等の被選択部材4を支持する円盤状のレボルバ本体1と、このレボルバ本体1の外周縁の全周面または板面の少なくとも一方の周縁部の全周に沿って複数の磁石の極性が、N極,S極と交互になるように着磁された磁石列3と、この磁石列3に対して所定の空隙を挟んで前記固定部に固定され、前記磁石列3と対向する面に空隙を存して配設され、電流を流すことにより、前記磁石列3との間に電流力が作用する磁極を形成する複数の励磁用コイル51〜53と、この励磁用コイル51〜53の近傍にそれぞれ配設され、前記磁石列3から発生する磁界を検出して前記レボルバ本体1の相対位置を検出する磁気検出素子61〜63と、少なくとも前記磁気検出素子61〜63の検出信号および回転方向指令信号を入力し、前記励磁コイル51〜53に流れる電流を順次切換える駆動回路9と、前記磁気検出素子61〜63の検出信号から前記レボルバ本体1の回転方向および回転量を算出し、停止位置で前記駆動回路9に対して所定時間停止信号を出力する制御回路8と、前記被選択部材4が所定位置に位置したとき前記レボルバ本体1を停止させるクリック機構7とを備えている。
【0010】
【作用】本発明によれば、レボルバ本体1の停止位置を検出するために、ブラシレスモータの磁極切換え検出用として使用されている磁気検出素子61〜63の信号を用いることにより、従来のように光電センサなどの部品を必要とせず、スリット板のように特別な加工も必要ない。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図3は本発明のレボルバの定位置停止装置の一実施例のレボルバ部を示す斜視図であり、図4は制御部を示すブロック図である。レボルバ部は回転側と固定側からなっている。回転側は、円盤状であってこの中心位置に軸挿入穴(図示せず)を有し、対物レンズ4を5個装着可能なレボルバ本体1と、このレボルバ本体1の軸挿入穴に装着され、図示しない顕微鏡本体に回転自在に支持される回転軸(図示せず)と、レボルバ本体1の外周面の全周に複数の磁石の極性が、N極,S極と交互になるように着磁された磁石列3と、レボルバ本体1の一方の板面(ここでは下面)側に固着された対物レンズ4と、レボルバ本体1と磁石列3の間に配設され、かつ両者に固着され、磁石列3で発生する磁束を集中させるための鉄などの磁性材料からなるリング2とからなっている。
【0012】固定側は、図示しない顕微鏡本体に固定され、磁石列3に対して僅かの空隙を挟んで配設され、鉄などの磁性材料からなる円弧状のコイル支持用部材(図示せず)と、このコイル支持用部材の磁石列3と対向する面に互いに間隔を存して接着された3個の台形状の励磁用コイル51〜53と、この各励磁用コイル51〜53の配置位置にそれぞれ接着され、磁石列3から発生する磁界を検出し、レボルバ本体1の相対位置を検出するホール素子などの磁気検出素子61〜63とからなっている。
【0013】そして、前記レボルバ本体1には、前記被選択部材4に対応する位置にそれぞれボール71が5個が配置固定され、また図示しない顕微鏡本体に固定され、図6(a)に示すように中央位置にボール71がはまるように穴72aを有する弾性材料からなる位置決め板72によりクリック機構7が構成されている。このクリック機構7は、レボルバ本体1が回転することにより、位置決め板72の穴72aにボール71がはまることから、対物レンズ4のいずれかが顕微鏡の光路に入ったかが分かる。
【0014】また、励磁コイル51〜53に流れる電流を順次切換える駆動回路13を備えている。さらに、レボルバ本体1を定位置停止制御するために、以下のようになっている。すなわち、磁気検出素子61〜63の検出信号から前記レボルバ本体1の回転方向および回転量を算出し、停止位置で前記駆動回路9に対して所定時間停止信号を出力するモータ停止指令回路12と、前記磁気検出素子61〜63で検出された検出信号[図5(a)に示す]を、入力して図5(b)に示すような波形に変換され、インクリメンタルエンコーダと同様に動作する波形変換回路10と、この変換されたA相,B相の信号を、A相,B相毎にカウントし、このカウント値を位置情報としてモータ停止指令回路12に出力するアップダウンカウンタ11とを有している。
【0015】以下、以上のように構成された本実施例の動作について、説明する。いま、駆動回路13からコイル51〜53に対して電圧が印加されて電流が順次切換えられると、これによって形成される磁極と磁石列3の磁石との間に電流力が作用し、ブラシレスモータとして動作し、レボルバ本体1が回転する。
【0016】一方、磁気検出素子61〜63で検出された検出信号は、図5(a)に示すようになり、これが波形変換回路10に入力され、図5(b)に示すような波形に変換される。この変換されたA相,B相の信号は、レボルバ本体1の回転量を示すことになる。
【0017】波形変換回路10で変換された信号は、アップダウンカウンタ11に入力され、ここで、A相,B相毎の信号をカウントし、このカウント値を位置情報としてモータ停止指令回路12に出力する。このモータ停止指令回路12では、レボルバの種別信号より得られるレボルバ本体1に装着可能な被選択部材4の数とアップダウンカウンタ11からの位置情報とにより、モータ停止タイミングを算出し、モータ停止信号を駆動回路13に出力する。駆動回路13では、レボルバ本体1を電動切換時にクリックで停止させる場合に、モータ停止指令回路12からのモータ停止信号により励磁コイル51〜53を一定時間ショートして停止させ、その後モータをフリー(オープン)にする。モータをフリーにすることにより、ボール71を位置決め板72の穴72aにはめる(落とし込む)ことができる。
【0018】ここで、A相とB相と実際の停止タイミングの関係について、図6を参照して説明する。図6(a)は、ボール71が位置決め板72の穴72aに完全に落とし込まれている状態を示している。いま、(イ)の方向からレボルバ本体1が移動することによって、ボール71が移動してきた場合の停止タイミングは、ボール71が位置決め板72の穴72aに完全に落とし込まれる手前のAの地点であり、また逆に(ロ)の方向からレボルバ本体1が移動することによって、ボール71が移動してきた場合はBの地点である。このA点とB点との間隔は、図6(b)に示すようにA相、B相の最小分解能で決まる。
【0019】また、A点から位置決め板72の穴72aの中心までの間隔と、B点からの穴72aの中心までの間隔は、同じになっており、これはクリック位置(ボール71が位置決め板72の穴72aに完全に落とし込まれているいる状態)において、磁気検出素子61〜63の中心と、N,S極の磁石の堺との間に、図9に示すように、1/6w、あるいは3/6w,5/6w(wは磁石の幅)とすることにより、実現される。図9では、磁気検出素子61(U)に着目したが、磁気検出素子62(V)、磁気検出素子63(W)に関しても同様である。
【0020】この状態を式で表すと、クリック位置において、磁気検出素子61〜63と、N極,S極の磁石の堺との間隔が、w(2n+1)/6 (n=0,1,2…)となる。
【0021】ただし、すべての磁気検出素子61〜63が、この条件を満たすには、N極、S極を一対としたときの磁石の対数を2対以上でさらに整数であるように、(磁石の対数)=(被選択部材の本数)×1/6n(n=1以上の整数)の式のnを選択することが条件である。
【0022】なお、前記1/6wの間隔は、図6において、A(またはB)からクリックに完全に落ち込むまでの間隔に対応している。
【0023】以上述べた第1の実施例によれば、フォトインタラプタなどの光電センサを使用せず、ブラシレスモータの極切換えを検出する磁気検出素子61〜63の信号を電気的に処理することにより、レボルバ本体1内に余計な部品を付加することがなく、機械的な加工も必要なく、小形で安価な定位置停止装置が得られる。
【0024】以上述べた第1の実施例は、励磁コイル51〜53に対して、磁気検出素子61〜63を3個使用した場合であり、これを図7(a)に示している。
【0025】これを図7(b)に示すように、位相のずれた位置に、さらに3個の磁気検出素子61A,62A,63Aを追加してもよい。この場合、他の構成は前述の実施例と同様であり、各磁気検出素子61〜63、61A〜63Aの出力信号と図4の波形変換回路10より得られるA相,B相の信号は、図8のようになる。この図から明らかなように、磁気検出素子61A〜63Aを追加することにより、2倍の分解能のA相,B相の信号が得られる。これは、図6において、A,B間の距離が1/2になると言うことである。つまり、A,B間距離は磁石の幅を変えることにより変えることもできるが、さらに磁気検出素子の数を変えることが可能である。
【0026】以上述べた実施例はいずれも、磁気検出素子61,62,63から得られる位置情報は、相対的な位置を表すが、電源をオンするときにレボルバ本体1をクリック位置を設定しておけば問題なく、あるいは、スイッチを1個設けて、電源オン時にはクリック位置になくても、手動でレボルバ本体1をクリック位置に設定し、そこでスイッチを押すことにより、クリック位置を認識させることも可能である。また、各々のレボルバの穴の種別センサを別に設ける場合には、前述のような基準位置を考える必要がなく、レボルバ本体の穴の種別やセンサと組み合わせてクリック位置の絶対位置の検出が可能となる。磁気検出素子としては、ホールICでもよく、モータも三相以外の多相でもよい。さらに、クリック機構に関しても、レボルバ本体の外周にV溝を形成し、これにレバーを落としこむ方式などの他の方式でもよい。また、レボルバ本体に装着する対物レンズの個数は、5個に限らず何個でも良く、対物レンズ以外に、光学フィルタ、ミラー等の被選択部材ならなんでもよい。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、停止位置(クリック位置)を検出するためのフォトインタラプタなどの光電センサを必要とせず、また機械的な加工も必要なく、全体として小形で安価なレボルバの定位置停止装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレボルバの定位置停止装置の構成を示す斜視図。
【図2】図1のレボルバの定位置停止装置の制御回路を示すブロック図。
【図3】本発明によるレボルバの定位停止装置の第1の実施例の構成を示す斜視図。
【図4】図3図のレボルバの定位停止装置の制御回路を示すブロック図。
【図5】(a),(b)は図3および図4の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図6】図3のクリック機構の動作を説明するための図。
【図7】(a),(b)はそれぞれ図3および図4の磁気検出素子の配置構成および変形例を示す図。
【図8】図7の(b)の場合の動作を説明するためのタイミングチャート。
【図9】図3および図4の動作を説明するための図。
【図10】従来のレボルバの定位停止装置の構成を示す斜視図。
【符号の説明】
1…レボルバ本体、2…リング、3…磁石列、4…対物レンズ等の被選択部材、51〜53…励磁コイル、61〜63…磁気検出素子、8…制御回路、9…駆動回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 固定部に回転自在に支持され、複数の対物レンズ等の被選択部材を支持する円盤状のレボルバ本体と、このレボルバ本体の外周縁の全周面または板面の少なくとも一方の周縁部の全周に沿って複数の磁石の極性が、N極,S極と交互になるように着磁された磁石列と、この磁石列に対して所定の空隙を挟んで前記固定部に固定され、前記磁石列と対向する面に空隙を存して配設され、電流を流すことにより、前記磁石列との間に電流力が作用する磁極を形成する複数の励磁用コイルと、この励磁用コイルの近傍にそれぞれ配設され、前記磁石列から発生する磁界を検出して前記レボルバ本体の相対位置を検出する磁気検出素子と、少なくとも前記磁気検出素子の検出信号および回転方向指令信号を入力し、前記励磁コイルに流れる電流を順次切換える駆動回路と、前記磁気検出素子の検出信号から前記レボルバ本体の回転方向および回転量を算出し、停止位置で前記駆動回路に対して所定時間停止信号を出力する制御回路と、前記被選択部材が所定位置に位置したとき前記レボルバ本体を停止させるクリック機構と、を備えたレボルバの定位置停止装置。
【請求項1】 固定部に回転自在に支持され、複数の対物レンズ等の被選択部材を支持する円盤状のレボルバ本体と、このレボルバ本体の外周縁の全周面または板面の少なくとも一方の周縁部の全周に沿って複数の磁石の極性が、N極,S極と交互になるように着磁された磁石列と、この磁石列に対して所定の空隙を挟んで前記固定部に固定され、前記磁石列と対向する面に空隙を存して配設され、電流を流すことにより、前記磁石列との間に電流力が作用する磁極を形成する複数の励磁用コイルと、この励磁用コイルの近傍にそれぞれ配設され、前記磁石列から発生する磁界を検出して前記レボルバ本体の相対位置を検出する磁気検出素子と、少なくとも前記磁気検出素子の検出信号および回転方向指令信号を入力し、前記励磁コイルに流れる電流を順次切換える駆動回路と、前記磁気検出素子の検出信号から前記レボルバ本体の回転方向および回転量を算出し、停止位置で前記駆動回路に対して所定時間停止信号を出力する制御回路と、前記被選択部材が所定位置に位置したとき前記レボルバ本体を停止させるクリック機構と、を備えたレボルバの定位置停止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【図10】
【図5】
【図6】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図7】
【図9】
【図10】
【図5】
【図6】
【図8】
【特許番号】特許第3093010号(P3093010)
【登録日】平成12年7月28日(2000.7.28)
【発行日】平成12年10月3日(2000.10.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−317190
【出願日】平成3年11月30日(1991.11.30)
【公開番号】特開平5−150167
【公開日】平成5年6月18日(1993.6.18)
【審査請求日】平成10年11月25日(1998.11.25)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【参考文献】
【文献】特開 昭53−9550(JP,A)
【文献】特開 昭52−101054(JP,A)
【文献】特開 昭62−218915(JP,A)
【文献】特開 昭50−80125(JP,A)
【文献】特開 昭54−69431(JP,A)
【文献】実開 昭56−93713(JP,U)
【登録日】平成12年7月28日(2000.7.28)
【発行日】平成12年10月3日(2000.10.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成3年11月30日(1991.11.30)
【公開番号】特開平5−150167
【公開日】平成5年6月18日(1993.6.18)
【審査請求日】平成10年11月25日(1998.11.25)
【出願人】(000000376)オリンパス光学工業株式会社 (11,466)
【参考文献】
【文献】特開 昭53−9550(JP,A)
【文献】特開 昭52−101054(JP,A)
【文献】特開 昭62−218915(JP,A)
【文献】特開 昭50−80125(JP,A)
【文献】特開 昭54−69431(JP,A)
【文献】実開 昭56−93713(JP,U)
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