説明

レリース機構及び該レリース機構を備えた矯正処理装置

【課題】 簡単な構成で、応答性良くレリース動作を行わせることができると共に、低騒音で作業環境も改善することができるレリース機構を提供する。
【解決手段】 プレス部300のプレス加工と連動してサーボモータ410、411にレリース信号が送られると、サーボモータ410、411が回動されボールネジ部420,421の出力部材422、423がレリース方向に移動される。これに伴い、出力部材422、423に連結部424、425を介して連結される上部ワークロール支持部材430がレリース方向に移動され、上部ワークロール支持部材430に支持される上部ワークロール242はレリース方向に移動される。これにより、上部ワークロール242と下部ワークロール244の間を搬送されるワーク2はレリースされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば巻き癖などのワークの変形を矯正(修正)するための矯正処理装置(レベラ)に利用されるワークのレリース機構、及び当該レリース機構を備えた矯正処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コイル状に巻回されたワーク(例えば長尺の板状金属材料)に対してプレス加工などを行う場合には、その巻き癖を矯正しつつ、プレス加工装置に所定の送り速度で搬入することが必要であり、このための装置として、所謂レベラフィーダが種々提案されている。
【0003】
なお、プレス加工装置では、ワークの位置決めを行う際に、精確な位置決めやワークの変形防止などの観点から、ワークを面内或いは少なくともワーク搬送方向において前記レベラフィーダのクランプ状態からレリース(解放)してフリーな状態にすることが、レベラフィーダには要求される。同様に、ワークの変形を伴う加工時においても、ワークを前記レベラフィーダのクランプ状態からレリースすることが要求される。
【0004】
また、レベラフィーダのレベラ部やフィーダ部は、一般に、ワークの表面に当接するロールと、ワークの裏面に当接するロールと、を含んで構成され、これらロールでワークを圧接する構成であり、通板(スレッディング)の際にワークの先端をレベラフィーダのレベラ部分に挿入するときや、必要に応じてロール等の清掃等のメンテナンスを行う際には、ワーク表面側に配設されているロールと裏面側に配設されているロールとを比較的大きく離間させる口開き動作可能に構成されることが要求される。
【0005】
かかる観点から、例えば、特許文献1や特許文献2には、シリンダのようなアクチュエータの往復運動を利用して、ワーク表面側に配設されるロールを支持するフレームを上昇可能に構成し、これによりワーク表面側に配設されているロールを裏面側に配設されているロールから離間させることで、レリース動作や口開き動作を行わせるようにしたものが記載されている。
【0006】
また、特許文献3には、電動モータにより偏心シャフトを回転させ、その偏心量を利用して、ワーク表面側に配設されるロールを支持するフレームを上昇可能に構成し、これによりワーク表面側に配設されているロールを裏面側に配設されているロールから離間させることで、レリース動作を行わせるようにしたものが記載されている。
【特許文献1】特開平10−94830号公報
【特許文献2】実開平5−70719号公報
【特許文献3】特開平5−88706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1や特許文献2に記載の装置は、比較的短い周期で行われるプレス加工に連動してシリンダでレリース動作を行わせるため、電磁弁の切替音やシリンダエンドの衝突音が大きく、騒音を抑制して作業環境の改善等を図りたいといった要請がある。
【0008】
また、シリンダの場合、レベラフィーダにレリースを解除してワークをクランプするためのクランプ信号を出してから実際に作動圧が所定値まで上昇するまでに比較的長いディレイ時間が存在するため、レリース動作を、プレス加工の単位時間当たりのストローク数の増加(高速化)要求に十分に対応させることができないという実情がある。
【0009】
特許文献3に記載のように電動モータにより偏心シャフトを回転させてレリース動作を行わせるものは、レリース動作に見合った偏心量に予め定められているため、かつ、偏心量を変更するには偏心量が異なる偏心シャフトへの交換等が必要となるため、大きく口開き動作させることは困難であり、従って、例えば、ロール清掃やワークをレベラフィーダに通板(スレッディング)させる際には、電動モータにより偏心シャフトを回転させて行うレリース機構とは別個独立に口開き動作を行わせるための機構を設ける必要があり、装置が大型化・複雑化し、コスト、設置性、組付け性、メンテナンス性などの面で問題がある。
【0010】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、比較的簡単な構成でありながら、応答性良くレリース動作を行わせることができると共に、低騒音で作業環境も改善することができるレリース機構を提供することを目的とする。また、比較的簡単な構成でありながら、上記レリース動作を行わせることができると共に、通板やメンテナンス等に十分な口開き動作を行わせることができる矯正処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本発明に係るレリース機構は、
ワークの表面に当接する少なくとも1つの表面側ワークロールと、ワークの裏面に当接しワークの搬送方向において前記表面側ワークロールの回転中心軸からオフセットされた回転中心軸を有する少なくとも1つの裏面側ワークロールと、の間を通過させることによりコイル状のワークに対して所定の矯正処理を実行するための矯正処理装置に利用されるレリース機構であって、
電動モータの正逆方向の回転運動を利用して、前記表面側ワークロールを支持する表面側ワークロール支持部材と前記裏面側ワークロールを支持する裏面側ワークロール支持部材の少なくとも一方を他方に対して相対変位させ、前記表面側ワークロールと前記裏面側ワークロールとの間の距離を変化させることにより、前記矯正処理の実行のためのワークのクランプ状態と、前記クランプ状態からワークをレリースするレリース状態と、を切り換え可能に構成される。
【0012】
また、本発明に係るレリース機構は、
ワークの表面に当接する少なくとも1つの表面側ワークロールと、ワークの裏面に当接しワークの搬送方向において前記表面側ワークロールの回転中心軸からオフセットされた回転中心軸を有する少なくとも1つの裏面側ワークロールと、の間を通過させることによりコイル状のワークに対して所定の矯正処理を実行するための矯正処理装置に利用されるレリース機構であって、
電動モータの正逆方向の回転運動を出力部材の往復運動に変換して出力する変換手段と、
前記変換手段により出力される出力部材の往復運動を利用して、前記表面側ワークロールを支持する表面側ワークロール支持部材と前記裏面側ワークロールを支持する裏面側ワークロール支持部材の少なくとも一方を他方に対して相対変位させ、前記表面側ワークロールと前記裏面側ワークロールとの間の距離を変化させることにより、前記矯正処理の実行のためのワークのクランプ状態と、前記クランプ状態からワークをレリースするレリース状態と、を切り換え可能に構成される。
【0013】
前記電動モータは、サーボモータとすることができる。また、前記変換手段は、ボールネジ機構を含んで構成されることができる。
本発明に係る矯正装置は、ワークの表面に当接する少なくとも1つの表面側ワークロールと、ワークの裏面に当接しワークの搬送方向において前記表面側ワークロールの回転中心軸からオフセットされた回転中心軸を有する少なくとも1つの裏面側ワークロールと、の間を通過させることによりワークに対して所定の矯正処理を実行するための矯正処理装置であって、本発明に係るレリース機構を含んで構成される。
【0014】
前記レリース機構は、少なくとも前記矯正処理の停止時に、電動モータの正逆方向の回転運動を利用して、前記表面側ワークロール支持部材と前記裏面側ワークロール支持部材の少なくとも一方を他方に対して相対変位させ、前記表面側ワークロールと前記裏面側ワークロールとの間を開口させる口開き機構として機能させることができる。
【0015】
前記レリース機構は、電動モータの正逆方向の回転運動を利用して、前記表面側ワークロール支持部材と前記裏面側ワークロール支持部材の少なくとも一方を他方に対して相対変位させ、前記上部ワークロールのワークに対する圧下量を調整可能に構成した圧下機構として機能させることができる。
【0016】
また、本発明に係る矯正装置は、
前記表面側ワークロールが支持され、その上面にテーパ面を有する下部テーパブロックと、
前記下部テーパブロックのテーパ面に対面するテーパ面をその下面に有する上部テーパブロックと、
前記上部テーパブロックに螺合される軸状の螺合部材と、
を含んで構成され、
電動モータにより前記螺合部材を回転させて該螺合部材に沿って前記上部テーパブロックを往復運動させることで、前記上部テーパブロックの下面のテーパ面と、該テーパ面と対面する前記下部テーパブロックの上面のテーパ面と、の相対位置を調整することにより、前記上部ワークロールのワークに対する圧下量を調整可能に構成した圧下機構を含んで構成されることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るレリース機構によれば、比較的簡単な構成でありながら、応答性良くレリース動作を行わせることができると共に、低騒音で作業環境も改善することができる。また、本発明に係るレリース機構を利用すれば、比較的簡単な構成でありながら、上記レリース動作を行わせることができると共に、上記通板やメンテナンス等に十分な口開き動作延いては圧下動作を行わせることができる矯正処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は本発明の一例を示すもので、当該実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0019】
本発明に係る第1の実施の形態における自動プレス装置1は、図1に示すように、コイル状のワーク2を加工工程下流にあるレベラフィーダ部200へ送り出すアンコイラ部100と、前記アンコイラ部100から送り出されるワーク2を受けてワーク2の反り等の変形を矯正しつつ加工工程下流にあるプレス部300へワーク2を送り出すレベラフィーダ部200と、前記レベラフィーダ部200から送り出されるワーク2に対してプレス加工を施すプレス部300と、を含んで構成される。
【0020】
前記アンコイラ部100は、長尺のワーク2をコイル状に巻回して支持しつつ、電動モータ等により回動されてワーク2をレベラフィーダ部200へ所定量づつ送り出すドラム101と、該ドラム101に巻回されているワーク2を両側面から支持して巻き崩れを防止するサイドガイド102と、ワーク2のスレッディング(通板)時及び巻き戻し時のワーク2の先端部の跳ね返り防止及びコイルのばらけを防止するためのコイル押さえ103と、を含んで構成されている。
【0021】
なお、アンコイラ部100は、アンコイラ制御装置104により各部の動作が制御されるようになっており、例えば、ワーク2のスレッディング(通板)の際に、作業者等からのアンコイラ制御装置104への入力指示などに基づいて、前記各部の動作の制御はなされる。
【0022】
前記レベラフィーダ部200は、図2に示すように、サイドガイド220と、ピンチロール部230と、ワークロール部240と、フィードロール部250と、を含んで構成されている。
【0023】
前記サイドガイド220は、レベラフィーダ部200のピンチロール部230に送り込まれるワーク2の側面を両側からガイドしてワーク2の横ぶれを抑制するもので、ワーク2の両側面を案内する回転自在なロール221等を含んで構成される。なお、フィードロール部250の出口側にも設けられ、ワーク2の横ぶれが防止される。
【0024】
前記ピンチロール部230は、ワーク2のスレッディング時に、アンコイラ部100から送られてくるワーク2の先端付近において、ワーク2の表裏面を上部(表面側、以下同様)ピンチロール231及び下部(裏面側、以下同様)ピンチロール232により挟み所定押圧力で圧接してワーク2をクランプ可能に構成されると共に、図示しない電動モータ等により回転駆動される上部ロール231の回転力により下流側のワークロール部240へワーク2を送り出すことができるように構成されている。
【0025】
従って、ピンチロール部230における上部ピンチロール231と下部ピンチロール232の間のワーク2に対するクランプ動作は、自動レリース実行時や電源遮断時などにワーク2の逆戻り現象を防止するために行われるが、下部ピンチロール232に連結される図示しないシリンダの出力部材を上方に所定押圧力で押し上げることで行われる。
【0026】
なお、上部ピンチロール231、下部ピンチロール232の少なくとも一方はワンウェイベアリングを含んで構成されており、本実施の形態に係るピンチロール部230は、上述したクランプ機能を備えると共に、バックストップロールとしての機能も兼ね備えるものである。
【0027】
前記ワークロール部240は、上部フレーム241側に上部ワークロール支持部材430を介して支持され電動モータ等により駆動される複数の上部ワークロール242と、下部フレーム(裏面側ワークロール支持部材に相当)243に配設され、図示しない電動モータ等により駆動される複数の下部ワークロール244と、がワーク2の搬送方向において各々の回転中心軸がオフセットされて、図2に示すように、互い違いに(千鳥状に)配設されている。
【0028】
そして、かかる構成を備えたワークロール部240では、上部ワークロール242と下部ワークロール244とが協働して、上部ワークロール242と下部ワークロール244との間を通過するワーク2に対して巻き癖などの変形を修正(矯正)する。
【0029】
なお、上部ワークロール242、下部ワークロール244は、制御装置290により、後述するフィードロール部250の回転と連動(同期)するように、その回転駆動が制御される。
【0030】
ここで、詳細については後述するが、本実施の形態に係るレベラフィーダ部200には、自動レリース機構400、口開き機構500、及び圧下機構550が備えられている。
【0031】
すなわち、加工工程下流側に配設されるプレス部300では、プレス加工処理に先立ってレベラフィーダ部200から送られてくるワーク2の位置決めを行う必要があるが、精確な位置決めやワーク2の変形防止などの観点から、位置決めの際には、位置決め動作に連動させて、面内或いはワーク2の搬送方向においてレベラフィーダ部200のワークロール部240、フィードロール部250からワーク2を自動的にレリース(解放)してフリーな状態にすることが要求される。
【0032】
同様に、ワークの変形を伴うプレス加工時においても、プレス加工に連動させて、ワーク2をワークロール部240、フィードロール部250から自動的にレリースすることが要求される。このための機構として、自動レリース機構400が備えられている。
【0033】
また、レベラフィーダ部200には、ワーク2のスレッディング(通板)の際に、ワーク2の先端を、レベラフィーダ部200のピンチロール部230、ワークロール部240などに挿入する際や、必要に応じて各ロール等の清掃等のメンテナンスを行う際には、上部ワークロール242と、下部ワークロール244と、を比較的大きく開口(離間)させる口開き動作ができるようにすることが要求される。このための機構として、口開き機構500が備えられる。
【0034】
更に、レベラフィーダ部200には、ワークロール部240において、ワーク2に変形修正(矯正)処理を施す際に、ワーク2の板厚、材質、変形の大小などの種々の要因の相違に応じて最適な矯正処理を施すことができるように、下部ワークロール244に対する上部ワークロール242の相対位置を上下方向に変位させて、ワーク2に対する圧下量を調整可能であることが求められる。このための機構として、圧下機構550が備えられている。
【0035】
かかるレベラフィーダ部200において所定に矯正されたワーク2は、加工工程下流側に設けられているフィードロール部250へ搬入されるが、フィードロール部250は、プレス加工を行うプレス部300のプレス加工動作と連動して、設定された所定の送り速度でワーク2をプレス部300へ送り出すことができるように構成されている。なお、フィードロール部250は、上部フィードロール支持部材251に支持される上部フィードロール252と、下部フレーム253に支持される下部フィードロール254と、を含んで構成されている。
【0036】
前記上部フィードロール支持部材251は、上部フレーム255に上下方向に摺動自在に支持されると共に、上部フレーム255に取り付けられているボールネジ部256に連結されており、ワーク2を送り出す際には、所定の押圧力でワーク2を挟み込むことができるように電動モータ257等を駆動し、前記ボールネジ部256を介して上部フィードロール支持部材251及び上部フィードロール252を下方に移動させるように、制御装置290はその駆動を制御するようになっている。
【0037】
また、プレス部300のプレス加工に連動させてワーク2を自動的にレリースする際には、制御装置290は、電動モータ257等を駆動し、前記ボールネジ部256を介して上部フィードロール支持部材251延いては上部フィードロール252を上方に移動させ、ワーク2をレリースするようになっている。
【0038】
前記フィードロール部250の下流側には、フィードロール部250により送られてくるワーク2の実際の長さ寸法を計測し、すべり等により生じた誤差分をプレス部300における位置決め処理やプレス加工処理にフィードバックするためのデータを取得するメジャリングロールを配設することができる。
【0039】
このメジャリングロールの下流側には、ワーク2にプレス加工処理を施す際に、抵抗による金型のかじり等の発生を防止するため、ワーク2に潤滑油等の潤滑剤を適用(例えば、塗布)するための潤滑剤適用装置を配設することができる。
【0040】
そして、前記フィードロール部250より送り出されたワーク2は、下流側のプレス部300に送り込まれ、該プレス部300においてプレス加工処理などが施されることになる。
【0041】
ここで、本実施の形態に係るレベラフィーダ部200の自動レリース機構400について詳細に説明する。
【0042】
自動レリース機構400は、2つの正逆回転可能なサーボモータ410、411と、サーボモータ410、411にそれぞれ対応して配設される2つのボールネジ部420、421と、前記ボールネジ部420、421に支持される上部ワークロール支持部材(表面側ワークロール支持部材)430と、を含んで構成される。
なお、本実施の形態においては、自動レリース機構400は、後述するように、口開き機構500、圧下機構550としての機能も兼ね備えている。
【0043】
ボールネジ部420、421は、本体フレーム201に略一体的に取り付けられる上部フレーム241に取り付けられ、サーボモータ410、411の回転運動を出力部材422、423の往復運動に変換するためのもので、前記出力部材422、423は前記上部ワークロール支持部材430にボールジョイント426、427などを含んで構成される連結部424、425を介して連結される。
【0044】
なお、上部ワークロール支持部材430は、ワーク2から受ける、ワーク2の搬送方向に作用する力等に起因する変位等を抑制するために、当該上部ワークロール支持部材430の側面を前記上部フレーム241に対して図2中上下方向に摺動自在にリニアガイドなどを介して支持される構成とすることができる。
【0045】
ここにおいて、本実施の形態では、プレス部300におけるプレス加工等と連動して前記サーボモータ410、411にレリース信号が送られると、前記サーボモータ410、411が所定に回転され、該回転に従って、前記ボールネジ部420、421のボールネジ420A、421Aの回転との連れ回りを規制されつつ当該ボールネジ420A、421Aに螺合されている出力部材422、423は、図2に示されるクランプ位置から図中上方のレリース方向に移動されることになる。
【0046】
かかる出力部材422、423は、図2に示すように、連結部424、425のボールジョイント426、427を介して、前記上部ワークロール支持部材430に連結されているため、当該出力部材422、423のレリース方向への移動に伴い、前記上部ワークロール支持部材430は図中レリース方向に移動され、以って該上部ワークロール支持部材430に支持されている上部ワークロール242は図中レリース方向に移動され、下部ワークロール244から所定量離間されることとなり、ワーク2がレリースされることになる。
【0047】
なお、かかるワークロール部240のレリース動作に連動(同期)して、前記制御装置290では、前記フィードロール部250においてもワーク2のレリースをするように制御する。
【0048】
ただし、前記ピンチロール部230においては、レリース動作は行わず、前記ワークロール部240と前記フィードロール部250のレリース動作によりワーク2がレリースされる際(自動レリース実行時)には、ワーク2の逆戻りを防止するようバックストップロールとして機能するようになっている。また、前記ワークロール部240と前記フィードロール部250によるワーク2のレリースが必要のないプレス加工を行う場合(自動レリースの非実行時)においては、前記ピンチロール部230をレリースさせることができる。
【0049】
レリース動作を解除して、ワーク2に対して矯正処理及び搬送を行う場合には、前記サーボモータ410、411をレリース動作時とは逆方向に所定量回転させ、前記ボールネジ部420、421の出力部材422、423を図2中下方に移動させクランプ(レリース解除)位置まで移動させる。
【0050】
かかる出力部材421、422のクランプ(レリース解除)位置への移動に伴って、前記上部ワークロール支持部材430は図中下方(レリース解除方向)に移動されるため、前記上部ワークロール支持部材430に支持される上部ワークロール242はワーク2に対する所定の圧下量をもって接触してワーク2に対する矯正処理を可能な状態に復帰させることができることになる。
【0051】
なお、かかるワークロール部240のレリース解除動作に連動(同期)して、前記制御装置290では、前記フィードロール部250においてもワーク2のレリースを解除してクランプするように制御して、ワーク2を搬送可能な状態にする。
【0052】
なお、制御装置290は、前記サーボモータ410、411を、それぞれ独立に制御可能とすることができる。
【0053】
このように、本実施の形態では、サーボモータ410、411の回転運動をボールネジ部420、421の出力部材422、423の往復運動に変換し、該往復運動を利用してレリース動作を行わせるようにしたので、従来のようにシリンダを利用してレリース動作を行わせるものに対して、応答性良くレリース動作を行わせることができると共に、低騒音で作業環境等も改善することができる。
【0054】
ここにおいて、前記ボールネジ部420、421が本発明に係る変換手段に相当する。
【0055】
次に、本実施の形態に係る口開き機構500について詳細に説明する。
口開き機構500は、既述したように、ワーク2をスレッディング(通板)する際や、各ロール等の清掃等のメンテナンスを行う際に、上部ワークロール242と、下部ワークロール244と、を比較的大きく離間させる口開き動作を行わせるもので、本実施の形態では、レリース機構400がその機能を兼ね備えるもので、2つのサーボモータ410、411と、サーボモータ410、411にそれぞれ対応して配設される2つのボールネジ部420、421と、前記ボールネジ部420、421に支持される上部ワークロール支持部材(表面側ワークロール支持部材)430と、を含んで構成される。
【0056】
すなわち、口開き動作は、作業者等からの指示に従い制御装置290から口開き開始信号が送出されると、前記サーボモータ410、411が所定に回転され、該回転に従って、前記ボールネジ部420、421のボールネジ420A、421Aに螺合されている出力部材422、423は、図2に示されるクランプ状態から図中上方に比較的大きく移動される。なお、制御装置290は、前記サーボモータ410、411を、それぞれ独立に制御可能とすることができる。
【0057】
かかる出力部材422、423は、連結部424、425のボールジョイント426、427を介して、前記上部ワークロール支持部材430に連結されているため、当該出力部材422、423の図中上方への比較的大きな移動に伴い、前記上部ワークロール支持部材430及び上部ワークロール242は図中上方へ比較的大きく移動され、上部ワークロール242と、下部ワークロール244と、を比較的大きく離間させる口開き動作が行われ、以ってスレッディング(通板)や各ロール等の清掃等のメンテナンスを行う際に十分な広さのスペースが、上部ワークロール242と下部ワークロール244との間に形成されることになる。
【0058】
スレッディング(通板)や各ロール等の清掃等のメンテナンス作業の完了後は、作業者等からの指示に従い制御装置290から口開き終了信号が送出されると、口開き動作を終了するべく、前記サーボモータ410、411が口開き動作時とは逆方向に所定に回転され、これにより、前記上部ワークロール支持部材430及び上部ワークロール242は図中下方へ移動され、ワーク2に所定の押圧力をもって接触してワーク2に対する矯正処理を可能な状態に復帰されることになる。
【0059】
次に、本実施の形態に係るレベラフィーダ部200における圧下機構550について説明する。
【0060】
圧下機構550は、既述したように、ワークロール部240において、ワーク2に矯正処理を施す際に、搬入されるワーク2の板厚の違いなどに応じて最適な矯正処理を施すことができるように、下部ワークロール244に対する上部ワークロール242の相対位置を上下方向に変位させて、ワーク2に対する圧下量を調整するため機構である。
【0061】
なお、本実施の形態では、圧下機構550は、レリース機構400がその機能を兼ね備えるもので、2つのサーボモータ410、411と、サーボモータ410、411にそれぞれ対応して配設される2つのボールネジ部420、421と、前記ボールネジ部420、421に支持される上部ワークロール支持部材(表面側ワークロール支持部材)430と、を含んで構成される。
【0062】
本実施の形態に係る圧下機構550は、作業者等の圧下量増加(減少)要求に応じて制御装置290から制御信号が送られると、前記サーボモータ410、411が所定に回転され、該回転に従って、前記ボールネジ部420、421のボールネジ420A、421Aに螺合されている出力部材422、423は、図2に示されるクランプ状態から図中上方(或いは下方)に移動される。
【0063】
これに伴い、前記上部ワークロール支持部材430及び上部ワークロール242は図中上方(或いは下方)へ移動され、上部ワークロール242と、下部ワークロール244と、の相対位置が調整され、上部ワークロール242と、下部ワークロール244と、の間のワーク2に対する上部ワークロール242の圧下量を所望の値に調整することができることになる。なお、制御装置290は、前記サーボモータ410、411を、それぞれ独立に制御可能とすることができる。
【0064】
従って、本実施の形態に係る圧下機構550によれば、比較的簡単な構成により、要求に応じて、或いはワーク2の厚さ、材質などの相違に応じて最適な圧下量に調整することができ、所望の矯正処理を実行することができることになる。
【0065】
このように、本実施の形態では、レリース機構400、口開き機構500、圧下機構550を、サーボモータ410、411と、サーボモータ410、411にそれぞれ対応して配設されるボールネジ部420、421と、前記ボールネジ部420、421に支持される上部ワークロール支持部材(表面側ワークロール支持部材)430と、により構成したので、構成の簡略化が図れると共に、従来のようにシリンダを利用するものに対して、応答性良くレリース動作、口開き動作、圧下動作を行わせることができると共に、低騒音で作業環境等も改善することができる。
【0066】
ところで、本実施の形態では、出力部材422、423と、上部ワークロール支持部材430と、の連結部424、425を、ボールジョイント426、427を含んで構成したので、上部ワークロール支持部材430を図2平面において傾斜させることができるため、ワーク2に対する圧下量を入口側と出口側とで異ならせることができ、以ってワーク2の矯正処理の自由度を拡大でき、延いては矯正処理をより高精度なものとすることができる。
【0067】
また、サーボモータ410とサーボモータ411との間や、ボールネジ部420とボールネジ部421との間や、延いては出力部材422と出力部材423との間に多少の誤差(例えば、移動速度誤差、移動開始時刻誤差、移動量誤差など)があっても、更には上部ワークロール242と下部ワークロール244の間に傾斜誤差などがあっても、これら誤差を前記ボールジョイント426、427で効果的に吸収することができるため、円滑にレリース動作、口開き動作、圧下動作を比較的高速で応答性良く移動させることができると共に、正確な矯正処理を実現できる。
【0068】
なお、前記ボールネジ部420、421のボールネジ420A、421Aは、同一方向にねじ切りされることもできるし、相対する方向にねじ切りされることもできる。相対する方向にねじ切りされている場合には、例えば、サーボモータ410、411の駆動時における反動トルクが相殺されるため、より一層円滑に出力部材422と出力部材423とを比較的高速で応答性良く移動させることができる。
【0069】
ところで、本実施の形態ではサーボモータ410、411を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つの電動モータを含み、正逆方向の回転に対して、例えば、速度、回転量等を制御可能に構成されたものであって、要求される条件を満たすものであれば、他の電動モータであっても採用することができるものである。
【0070】
また、前記ボールネジ部420、421は、ボールネジ機構に限定されるものではなく、電動モータ等の回転運動を往復運動に変換して出力することができるものであれば採用することができるものである。例えば、電動モータと歯車機構(例えば、ピニオンギアとラックギア)との組み合わせにより出力部材を往復運動可能に構成することなども可能である。
【0071】
なお、本実施の形態では、サーボモータ410、411及びボールネジ部420、421を並列に配設して、これら2つのサーボモータ及びボールネジ部により上部ワークロール支持部材430を支持する構成としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、一方のサーボモータ及びボールネジ部を省略すると共に、上部ワークロール支持部材430の一端付近を上部フレーム241等に枢動自在に軸支させ、当該軸廻りに上部ワークロール支持部材430を出力部材の往復運動に従って枢動させることで、ワーク2をレリースしたり、口開き動作させる構成とすることもできる。ただし、かかる構成を採用した場合には、そのままでは、圧下機構については、その機能を奏することができないものとなり、例えば、後述する第2の実施の形態に係る圧下機構等が採用されることになる。
【0072】
次に、本発明に係る第2の実施の形態について、図3、図4を参照しつつ詳細に説明する。
なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対してレベラフィーダ部700の構成が異なるのみであるので、当該レベラフィーダ部700について説明し、同様の要素については同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0073】
本実施の形態に係るレベラフィーダ部700は、サーボモータ710と、サーボモータ710に連結されるボールネジ部720と、前記ボールネジ部720に支持部材731を介して支持される上部ワークロール支持部材(表面側ワークロール支持部材)730と、を含んで構成される。
【0074】
ボールネジ部720は、本体フレーム201と略一体的な上部フレーム241に取り付けられるサーボモータ710の回転運動を出力部材721の往復運動に変換するためのもので、前記出力部材721は前記支持部材731にボルト等の締結要素等を介して取り付けられている。
【0075】
なお、上部ワークロール支持部材730は、前記支持部材731により、前記上部フレーム241に対して図3中上下方向に摺動自在にベアリング等を介して支持されている。
【0076】
ここで、本実施の形態に係るレベラフィーダ部700のレリース機構について説明する。
プレス部300におけるプレス加工等と連動して前記サーボモータ710にレリース信号が送られると、前記サーボモータ710が所定に回転され、該回転に従って、前記ボールネジ部720の出力部材721は、図3に示されるクランプ位置から図中上方のレリース方向に移動されることになる。
【0077】
かかる出力部材721は、図3、図4に示すように、前記支持部材731を介して前記上部ワークロール支持部材730を支持しているため、当該出力部材721のレリース方向への移動に伴い、前記上部ワークロール支持部材730は図中上方のレリース方向に移動され、以って該上部ワークロール支持部材730に支持されている上部ワークロール242は図中上方のレリース方向に移動され、下部ワークロール244から所定量離間されることとなり、ワーク2がレリースされることになる。
【0078】
なお、かかるレベラフィード部700のレリース動作に連動(同期)して、前記制御装置290では、前記フィードロール部250においてもワーク2のレリースをするように制御する。
【0079】
レリース動作を解除して、ワーク2に対して矯正処理及び搬送を行う場合には、前記サーボモータ710をレリース動作時とは逆方向に所定量回転させ、前記ボールネジ部720の出力部材721を図3に示されるクランプ(レリース解除)位置に移動させる。
【0080】
かかる出力部材721のクランプ(レリース解除)位置への移動に伴って、前記上部ワークロール支持部材730は図中下方(レリース解除方向)に移動されるため、前記上部ワークロール支持部材730に支持される上部ワークロール242はワーク2に所定の圧下量をもって接触してワーク2に対する矯正処理を可能な状態に復帰されることになる。
【0081】
なお、かかるレベラフィーダ部700のレリース解除動作に連動(同期)して、前記制御装置290では、前記フィードロール部250においてもワーク2のレリースを解除してクランプするように制御して、ワーク2を搬送可能な状態にする。
【0082】
このように、本実施の形態では、サーボモータ710の回転運動をボールネジ部720の出力部材721の往復運動に変換し、該往復運動を利用してレリース動作を行わせるようにしたので、従来のようにシリンダを利用してレリース動作を行わせるものに対して、簡単な構成としながら、応答性良くレリース動作を行わせることができると共に、低騒音で作業環境等も改善することができる。
【0083】
ここにおいて、前記ボールネジ部720が本発明に係る変換手段に相当し、前記上部ワークロール支持部材730及び支持部材731が本発明に係る表面側ワークロール支持部材に相当することになる。
【0084】
次に、本実施の形態に係る口開き機構について詳細に説明する。なお、本実施の形態では、口開き機構は、上述したレリース機構がその機能を兼ね備えるものである。
【0085】
本実施の形態における口開き動作は、作業者等からの指示に従い制御装置290から口開き開始信号が送出されると、前記サーボモータ710が所定に回転され、該回転に従って、前記ボールネジ部720の出力部材721は、図3に示されるクランプ状態から図中上方に比較的大きく移動される。
【0086】
かかる出力部材721は、前記支持部材731を介して前記上部ワークロール支持部材730に連結されているため、当該出力部材721の図中上方への比較的大きな移動に伴い、前記上部ワークロール支持部材730及び上部ワークロール242は図中上方へ比較的大きく移動され、上部ワークロール242と、下部ワークロール244と、を比較的大きく離間させる口開き動作が行われ、以ってスレッディング(通板)や各ロール等の清掃等のメンテナンスを行う際に十分な広さのスペースが、上部ワークロール242と下部ワークロール244との間に形成されることになる。
【0087】
スレッディング(通板)や各ロール等の清掃等のメンテナンス作業の完了後は、作業者等からの指示に従い制御装置290から口開き終了信号が送出されると、口開き動作を終了するべく、前記サーボモータ710が口開き動作時とは逆方向に所定に回転され、これにより、前記上部ワークロール支持部材730及び上部ワークロール242を図中下方へ移動させて、ワーク2に所定の押圧力をもって接触させてワーク2に対する矯正処理を可能な状態に復帰させる。
【0088】
次に、本実施の形態に係るレベラフィーダ部700の圧下機構について説明する。
本実施の形態に係る圧下機構600は、図4に示すように、台形ネジ部601、602と、作業者等の圧下量増加(減少)要求に応じて制御装置290から送出される制御信号に基づき駆動され前記台形ネジ部601、602に回転力を供給する電動モータ610と、該台形ネジ部601、602にそれぞれ螺合され前記台形ネジ部601、602の回動に伴い相互に接近或いは離間するように図4中左右方向に移動可能に構成される上部テーパブロック603、604と、前記上部テーパブロック603、604のテーパ面603A、604Aと対面して接触するテーパ面605A、606Aを備えた下部テーパブロック605、606と、を含んで構成され、前記下部テーパブロック605、606の下側には上部ワークロール242が支持されている。
【0089】
なお、図4に示すように、下部テーパブロック605、606は、前記支持部材731に、通しボルト608を介して支持され、下部テーパブロック605、606には、上部ワークロール支持部材730を介して、上部ワークロール242が支持されている。符号609は、通しボルト608に挿通され、下部テーパブロック605、606、上部ワークロール支持部材730等を支持部材731に弾性支持させるためのスプリングである。
【0090】
ここで、前記台形ネジ部601と、前記台形ネジ部602と、は共通のシャフト611上に相反する方向にネジが切られて構成されており、前記シャフト611が電動モータ610により所定方向に所定量回動されると、前記台形ネジ部601に螺合されている上部テーパブロック603と前記台形ネジ部602に螺合されている上部テーパブロック604とは互いに接近する方向に前記シャフト611上を所定量移動され、前記所定方向と逆方向に所定量回動されると、前記上部テーパブロック603と前記上部テーパブロック604とは互いに離間する方向に前記シャフト611上を所定量移動されるようになっている。
【0091】
従って、例えば、前記上部テーパブロック603(604)が図4中右(左)方向に移動されると上部テーパブロック603(604)のテーパ面603A(604A)に対面して接触しているテーパ面605A(606A)には図中右(左)方向を向くスラスト力が作用することになるが、テーパ面605A(606A)における力の釣り合いより、下部テーパブロック605(606)のテーパ面605A(606A)には図4中下方を向く力が作用することになり、下部テーパブロック605(606)を図4中下方に所定量移動させることなる。
【0092】
前記下部テーパブロック605、606には、上部ワークロール支持部材730を介して、上部ワークロール242が支持されており、スプリング609に抗して前記下部テーパブロック605、606が図4中下方へ移動されると、上部ワークロール242も図4中下方へ所定量移動されることなる。これにより、上部ワークロール242と、下部フレーム243に回転自在に固定されている下部ワークロール244と、の間のワーク2に対する上部ワークロール242の圧下量を所定に増加させることができることになる。
【0093】
この逆に、前記上部テーパブロック603(604)を図中左(右)方向に移動させると、テーパ面605A(606A)に作用していたスラスト力が弱められることになり、上部テーパブロック603(604)が図4中上方へ移動することとなる。これに伴い、上部ワークロール242は図中上方へ所定量移動され、ワーク2に対する上部ワークロール242の圧下量を所定に減少させることができることになる。
【0094】
従って、本実施の形態に係る圧下機構600によれば、比較的簡単な構成により、要求に応じて、或いはワーク2の厚さ、材質などの相違に応じて最適な圧下量に調整することができ、所望の矯正処理を実行することができることになる。
【0095】
ところで、本実施の形態ではサーボモータ710を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、少なくとも1つの電動モータを含み、正逆方向の回転に対して、例えば、速度、回転量等を制御可能に構成されたものであって、要求される条件を満たすものであれば、他の電動モータであっても採用することができるものである。
【0096】
また、上記各実施の形態におけるボールネジ部や台形ネジ部などは、ボールネジや台形ネジに限定されるものではなく、電動モータ等の回転運動を往復運動に変換して出力することができるものであれば採用することができるものである。例えば、電動モータと歯車機構(例えば、ピニオンギアとラックギア)との組み合わせにより出力部材を往復運動可能に構成することなども可能である。
【0097】
ここにおいて、本発明は、例えば、図5(図3、図4と同様の要素には同一の符号を付してある)に示すように、前記ボールネジ部720を用いたレリース動作や口開き動作に代えて、サーボモータ710により回転駆動されるピニオンギア800と、該ピニオンギア800と噛合するラックギア810と、を用いてレリース動作や口開き動作を行なわせるようにした構成を採用することができる。すなわち、例えば、前記ラックギヤ810を上部ワークロール支持部材730に配設し、前記上部ワークロール支持部材730を枢軸820を介して下部ワークロール支持部材243に対して枢動自在に連結し、サーボモータ710の正逆方向の回転を前記ピニオンギヤ810に与えることで、前記上部ワークロール支持部材730を図5中の矢印I方向に往復運動可能に構成することも可能である。
【0098】
これにより、サーボモータ710の正逆方向の回転運動を利用して、前記上部ワークロール支持部材730を前記下部ワークロール支持部材243に対して相対変位させ、レリース動作、口開き動作を行わせることができることとなり、従来のようにシリンダを利用してレリース動作や口開き動作を行わせるものに対して、簡単な構成としながら、応答性良くレリース動作、口開き動作を行わせることができると共に、低騒音で作業環境等も改善することができる。
【0099】
すなわち、本発明は、電動モータ等の正逆方向の回転運動を利用して、上部(表面側)ワークロールを支持する上部(表面側)ワークロール支持部材と下部(裏面側)ワークロールを支持する下部(裏面側)ワークロール支持部材の少なくとも一方を他方に対して相対変位させることで、レリース機構、口開き機構、圧下機構などとして機能させる点に特徴があり、従ってかかる特徴を備えたものであれば、本発明の技術的範囲に属するものである。
【0100】
加えて、上記各実施の形態では、プレス機械へ供給するワークの矯正装置について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、プレス加工以外の、コイル状のワーク(金属に限定されるものではなく、矯正処理が必要な、樹脂等の他の材料であってもよい)に対して所定の処理(例えば、鍛造、圧延、打ち抜き等の塑性加工)を行う処理装置に適用可能である。
【0101】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る自動プレス装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】同上実施の形態に係るレベラフィーダ部を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るレベラフィーダ部を説明するための図である。
【図4】同上実施の形態に係る圧下機構を説明するための部分拡大図である。
【図5】同上実施の形態に係る他のレリース機構、口開き機構の例を説明するための部分拡大図である。
【符号の説明】
【0103】
1 自動プレス加工装置
200 レベラフィーダ部
240 ワークロール部
241 上部フレーム(表面側ワークロール支持部材に相当)
242 上部ワークロール(表面側ワークロールに相当)
243 下部フレーム(裏面側ワークロール支持部材に相当)
244 下部ワークロール(裏面側ワークロールに相当)
400 自動レリース機構
410,411 サーボモータ
420,421 ボールネジ部
421,422 出力部材
500 口開き機構
550,600 圧下機構
601 台形ネジ部
602 台形ネジ部
603 上部テーパブロック
603A テーパ面
604 上部テーパブロック
604A テーパ面
605 下部テーパブロック
605A テーパ面
606 下部テーパブロック
606A テーパ面
611 シャフト
700 レベラフィーダ部
710 サーボモータ
720 ボールネジ部
730 上部ワークロール支持部材(表面側ワークロール支持部材に相当)
731 支持部材(表面側ワークロール支持部材に相当)
800 ピニオンギア
810 ラックギア
820 枢軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの表面に当接する少なくとも1つの表面側ワークロールと、ワークの裏面に当接しワークの搬送方向において前記表面側ワークロールの回転中心軸からオフセットされた回転中心軸を有する少なくとも1つの裏面側ワークロールと、の間を通過させることによりコイル状のワークに対して所定の矯正処理を実行するための矯正処理装置に利用されるレリース機構であって、
電動モータの正逆方向の回転運動を利用して、前記表面側ワークロールを支持する表面側ワークロール支持部材と前記裏面側ワークロールを支持する裏面側ワークロール支持部材の少なくとも一方を他方に対して相対変位させ、前記表面側ワークロールと前記裏面側ワークロールとの間の距離を変化させることにより、前記矯正処理の実行のためのワークのクランプ状態と、前記クランプ状態からワークをレリースするレリース状態と、を切り換え可能に構成されたことを特徴とするレリース機構。
【請求項2】
ワークの表面に当接する少なくとも1つの表面側ワークロールと、ワークの裏面に当接しワークの搬送方向において前記表面側ワークロールの回転中心軸からオフセットされた回転中心軸を有する少なくとも1つの裏面側ワークロールと、の間を通過させることによりコイル状のワークに対して所定の矯正処理を実行するための矯正処理装置に利用されるレリース機構であって、
電動モータの正逆方向の回転運動を出力部材の往復運動に変換して出力する変換手段と、
前記変換手段により出力される出力部材の往復運動を利用して、前記表面側ワークロールを支持する表面側ワークロール支持部材と前記裏面側ワークロールを支持する裏面側ワークロール支持部材の少なくとも一方を他方に対して相対変位させ、前記表面側ワークロールと前記裏面側ワークロールとの間の距離を変化させることにより、前記矯正処理の実行のためのワークのクランプ状態と、前記クランプ状態からワークをレリースするレリース状態と、を切り換え可能に構成されたことを特徴とするレリース機構。
【請求項3】
前記電動モータが、サーボモータであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレリース機構。
【請求項4】
前記変換手段が、ボールネジ機構を含んで構成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレリース機構。
【請求項5】
ワークの表面に当接する少なくとも1つの表面側ワークロールと、ワークの裏面に当接しワークの搬送方向において前記表面側ワークロールの回転中心軸からオフセットされた回転中心軸を有する少なくとも1つの裏面側ワークロールと、の間を通過させることによりワークに対して所定の矯正処理を実行するための矯正処理装置であって、請求項1〜請求項4の何れか1つに記載のレリース機構を含んで構成されたことを特徴とする矯正処理装置。
【請求項6】
前記レリース機構を、少なくとも前記矯正処理の停止時に、電動モータの正逆方向の回転運動を利用して、前記表面側ワークロール支持部材と前記裏面側ワークロール支持部材の少なくとも一方を他方に対して相対変位させ、前記表面側ワークロールと前記裏面側ワークロールとの間を開口させる口開き機構として機能させることを特徴とする請求項5に記載の矯正装置。
【請求項7】
前記レリース機構を、電動モータの正逆方向の回転運動を利用して、前記表面側ワークロール支持部材と前記裏面側ワークロール支持部材の少なくとも一方を他方に対して相対変位させ、前記上部ワークロールのワークに対する圧下量を調整可能に構成した圧下機構として機能させることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の矯正装置。
【請求項8】
前記表面側ワークロールが支持され、その上面にテーパ面を有する下部テーパブロックと、
前記下部テーパブロックのテーパ面に対面するテーパ面をその下面に有する上部テーパブロックと、
前記上部テーパブロックに螺合される軸状の螺合部材と、
を含んで構成され、
電動モータにより前記螺合部材を回転させて該螺合部材に沿って前記上部テーパブロックを往復運動させることで、前記上部テーパブロックの下面のテーパ面と、該テーパ面と対面する前記下部テーパブロックの上面のテーパ面と、の相対位置を調整することにより、前記上部ワークロールのワークに対する圧下量を調整可能に構成した圧下機構を含んで構成されたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の矯正処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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