説明

レンズ芯出し装置

【課題】装置の小型化、簡素化を図り、さらには、レンズの芯出しを容易にし、再現性のよい調整を可能とするレンズ芯出し装置を提供する。
【解決手段】V溝2aによって第1の方向に案内駆動される第1の移動体4を有する第1の慣性駆動装置14と、第1の移動体4の上部に形成され、第1の方向と直交する第2の方向にV溝3aによって案内駆動される第2の移動体5を有する第2の慣性移動装置15と、第2の移動体5に配置したレンズ把持手段8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小なレンズの芯出しを行うためのレンズ芯出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ等に用いられるレンズは、通常複数枚のレンズやミラーが接合されて構成されている。このような、複数枚のレンズ群を貼り合わせる場合、それぞれのレンズやミラーの光軸を一致させる為に、芯出しが必要となる。
ところで、従来の芯出し装置としては、両側よりレンズを挟むように配置された2台の把持機構と、この2台の把持機構とレンズに関し90度回転させた位置に配置された更なる2台のレンズ把持機構、すなわち4台のレンズ把持機構により、レンズを把持し、xy平面上でレンズを押引して移動させることによりレンズの芯出しを行うことのできるレンズ芯出し装置が知られている。さらに、特許文献1には、レンズの周囲に120°の等角で放射状に配された3台の把持機構からなるレンズ芯出し装置が記載されている。この3台の把持機構を有する芯出し装置においても、3台の把持機構によりレンズをxy平面上で微小移動させることにより芯出しを行う。
【0003】
しかしながら、上述のような3台或いは4台の独立した把持機構を制御しながら、xy軸の全ての方向に移動し、レンズの位置決めすることは容易なことではない。例えば、把持機構が複数台であると、それぞれのレンズを把持する部分の高さ方向の位置調整や性能のばらつきが問題となる。また、一方の把持機構を移動する場合はそれに伴って他方の把持機構も移動が必要となるので、把持機構全てを連動して操作する必要があり、芯出しの調整が困難である。そして、レンズ芯出し装置では、堅固にレンズを把持する必要があり、よって把持機構は堅牢な構造であることが要求されたため、体積的にも大きな把持機構が一般的に用いられていた。従って、比較的小型のレンズ芯出しを行う際は、体積の大きな把持機構が中心に位置する小型レンズに四方或いは三方より迫り、互いにぶつかり合う為、本来の、レンズを堅固に把持し強力な押し出し力を確保するという機能を果たすことが困難になるといった欠点があった。また、レンズが小型化すると、把持機構が大きい場合、設置位置で互いに干渉し合ってしまい、複数の把持機構を設置することができないという問題がある。
【0004】
そして近年、携帯電話組み込みレンズやDVD等のピックアップレンズに代表されるような小型レンズの需要が旺盛となり、芯出し装置においても、益々微細な調整が必要となっている。また、芯出しに必要な偏芯検出装置であるレーザ干渉計やオートコリメータ等も小型化が進んでおり、その直下にレンズを位置させるためにも、小型の把持機構が要求されている。
【0005】
また、微小移動装置として、圧電素子の急速変化に伴う慣性力と摩擦力を利用した慣性駆動装置が知られている(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平06−99331号公報
【特許文献2】特公平06−91753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上述の点に鑑み、装置の小型化、簡素化を図り、さらには、レンズの芯出しを容易にし、再現性のよい調整を可能とするレンズ芯出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のレンズ芯出し装置は、V溝によって第1の方向に第1の移動体を案内駆動する第1の慣性駆動装置と、第1の移動体上に形成され、第1の方向と直交する第2の方向に第2の移動体をV溝によって案内駆動する第2の慣性駆動装置と、第2の移動体に配置したレンズ把持手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のレンズ芯出し装置では、第1の慣性駆動装置においては、第1の移動体が第1の方向にV溝に沿って案内駆動され、第1の移動体の上部に形成された第2の慣性駆動装置においては、第2の移動体が第1の方向と直交する第2の方向にV溝に沿って案内駆動されるので、把持手段に把持されたレンズは2軸方向に移動がなされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のレンズ芯出し装置によれば、第1の方向に案内駆動される第1の移動体上を、第1の方向と直交する第2の方向に第2の移動体が案内駆動されるため、1台のレンズ芯出し装置に把持されたレンズを2軸方向に移動できるので、レンズ芯出し装置の小型化及び簡素化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0012】
図1は本発明の第1の実施形態に係るレンズ芯出し装置の斜視図である。本実施形態のレンズ芯出し装置1は、圧電素子の急速変形に伴う慣性力と摩擦力を利用した慣性駆動装置を用いたものである。
【0013】
本実施形態のレンズ芯出し装置1は、第1の慣性駆動装置14と第2の慣性駆動装置15と、把持手段8とから構成される。第1の慣性駆動装置14は、V溝2aを有する第1のVブロック2と、そのV溝に2a沿って案内駆動される第1の移動体4からなる。第1の移動体4は、V溝3aを有する第2のVブロック3で構成される。また、第2の慣性駆動装置15は、第1の移動体4であるV溝3aを有する第2のVブロック3と、そのV溝に3a沿って案内駆動される第2の移動体5からなる。従って、第1及び第2の移動体4,5のV溝2a,3aに接触する面は、それぞれ第1及び第2のVブロック2,3のV溝形状に合うように形成されている。また、第1の慣性駆動装置14における第1の移動体4は、前述したように第2の慣性駆動装置15における第2のVブロック3を兼ねており、第1及び第2のVブロック2,3が直接的に2段重ねられて構成されている。また、V溝2a,3aの溝先端は、第1及び第2の移動体4,5の先端と接触する際の遊びの為に垂直方向に延びる逃げ溝19,20が設けられている。そして、第1及び第2の慣性駆動装置14,15のV溝2a,3aの長手方向は、互いに直交するように配置されている。第1の慣性駆動装置14におけるV溝2aの延びる方向をx方向、第2の慣性駆動装置15におけるV溝3aの延びる方向をy方向とし、第1の慣性駆動装置14と第2の慣性駆動装置15の重なる垂直方向をz方向とする。
【0014】
第1の移動体4は、第1のVブロック2のV溝2aに対して上方から装脱可能に配置される。第2の移動体5は、第1の移動体4、すなわち第2のVブロック3のV溝3aに対して上方から装脱可能に配置される。
【0015】
第2の慣性駆動装置15の第2の移動体5の上端部には、平板18を介して、レンズを把持するための把持手段8が形成されている。本例では、後述するように、この把持手段8に把持された、例えば直径1cm程度またはそれよりも小さなレンズをxy方向に微小移動させることによりレンズの芯出しの調整が行われるように構成される。また、第1の慣性駆動装置14における第1の移動体4は、レンズ調整位置の反対側に位置する端面に圧電素子13で結合された慣性体12を有し、第2の慣性駆動装置15における第2の移動体5は、y方向の端面に圧電素子11で結合された慣性体10を有する。
【0016】
また、本例のレンズ芯出し装置1における把持手段8は、レンズを把持する部分がL字型である固定部(以下、固定アームという)7と、回動軸17を有する可動部(以下、固定アームという)6により構成される。可動アーム6は、平板18上において、回動軸17の底部に設けられたベアリング(図示せず)により固定アーム7と同一平面上で回動可能に配置される。また可動アーム6は、可動アーム6と固定アーム7の間に設けられた例えば板バネ等による付勢手段9によりレンズを把持する方向に付勢される。すなわち、付勢手段9が可動アーム6の後端側に当接され、可動アーム6が回動軸17を中心に、図1において半時計方向(可動アーム6の先端が固定アーム7側に近づく方向)に回動偏倚される。固定部7であるL字型のレンズ把持側には、その直交する辺に2箇所にピン7a,7bが一体に形成されており、回動軸17を有する可動アーム6にも、レンズ把持側に1箇所、ピン6cが形成されている。
【0017】
図2に本実施形態のレンズ芯出し装置1における把持手段8の概略構成を拡大して示す。図2は、レンズ16を把持した場合の例である。本例のレンズ芯出し装置1においては、固定アーム7に設けられた2箇所のピン7a,7bと、可動アーム6に設けられた1箇所のピン6cの計3箇所でレンズ16は把持され、可動アーム6、固定アーム7間の付勢手段9により安定に固定される。可動アーム6は、矢印r1に示す方向に回動可能である。
把持手段8は、3箇所のピン7a,7b,6cのうち、2箇所を固定とすることができるので、レンズ16をより容易に、そして安定に把持することができる。さらに、把持手段8において、固定アーム7の高さ位置合わせは不要であるため、レンズ16の高さ位置の決定が再現性よく、このため、芯出し作業が容易になる。
また、本実施形態では移動体3上部に配置された平板18の厚みを換えることで、把持手段8に把持されるレンズ16の高さ位置、すなわち、z方向におけるレンズ16の位置を随時調整することができる。
【0018】
また、本例において、第1及び第2の移動体4,5に取り付けられた圧電素子13,11は、積層型の圧電素子である。図3A,Bに本実施形態に用いられる積層型の圧電素子の例を示す。
図3Aに示すように、積層型の圧電素子30は、複数の圧電層31と、印加電圧を供給する為の複数の内部電極32とが交互に積層されている。圧電素子31の一方の側面では、内部電極32の端部が一つ置きに絶縁膜33により被覆されており、その対向する圧電素子31の他方の側面では、一方の側面において被覆されていない一つ置きの内部電極32の端部が絶縁膜33により被覆されている。そして、それらの側面はそれぞれ導電膜34で被覆されて外部配線35が設けられることにより、絶縁膜33により絶縁されていない側の内部電極32が電気的に並列に接続される。このような積層型の圧電素子30において、外部配線35に電圧を印加することにより、圧電素子30は積層方向に伸縮する。
【0019】
また、図3Bに示すように、複数の圧電層31と内部電極32が交互に形成された圧電素子36において、一方の側面に端部を有する内部電極32は、対向する他方の側面に達する前に終端しており、その内部電極32に隣接する内部電極32は、他方の側面に端部を有し、対向する一方の側面に達する前に終端するような構成であってもよい。この場合も一方の側面及び他方の側面にそれぞれ、一つおきに隣り合う内部電極32を電気的に並列に接続するための導電層34が形成され、導電層34には、外部配線35が設けられる。このような構成を有する圧電素子36においても同様に電圧を印加することにより、圧電素子36が伸縮する。
本実施形態では、このような圧電素子による衝撃力に起因して、移動体が移動される。
【0020】
次に、本実施形態のレンズ芯出し装置を用いた小型レンズの調芯方法を説明する。
図4Aに、y方向から見たときのレンズ芯出し装置の概略側面を示し、図4Bに、x方向から見たときのレンズ芯出し装置1の概略側面を示す。図4A,4Bにおいて、移動前の第1の移動体4及び第2の移動体5を実線で示し、移動後の第1の移動体4及び第2の移動体5を二点鎖線で示す。
また、実際には、光源及び顕微鏡等を有するレーザ干渉計やオートコリメータ等の偏芯検出装置を用いて、透過波面計測するなどして偏芯量を観測しながら芯出しが行われる。図5に芯出しの際に偏芯検出装置としてレーザ干渉計を用いたときの概略構成図を示す。
【0021】
先ず、図4Aを用いて、第1の慣性駆動装置14における第1の移動体4の動作について説明する。
第1の移動体4の位置を粗調整する。この粗調整では、第1の移動体3を手動で第1のVブロック2から持ち上げた後、第1のVブロック2上の所要の粗調整位置に置く。
次に、第1の移動体4の位置を微調整する。すなわち、第1の移動体4に取り付けられた圧電素子13は、x方向に圧電層と内部電極を積層した積層構造を有する。従って、圧電素子13に、図示を省略する外部配線により電圧を印加することにより、前述したように圧電素子13をx方向に急速に変形させることができる。そうすると、圧電素子13の急速変形により、圧電素子13に取り付けられた慣性体12が加速する。この慣性体12が加速されたときに、V溝2aと第1の移動体4との摩擦面の摩擦抵抗を適切なものにすることにより摩擦力が働いて、第1の移動体4は、慣性体12の加速方向と逆向きの力を受けて滑らかに微小移動する。次に、圧電素子13をゆっくり変形させ、圧電素子13がもとの形状に戻ったときに急に止めると、慣性体12が、圧電素子13と共にゆっくりと移動していた方向と同じ方向に、慣性の法則により慣性力が働き、第1の移動体4が微小移動する。このように、第1の移動体4は、圧電素子13を急速変化させたり、ゆっくりと変化させて急停止させたりすることによる慣性駆動により矢印x1で示すx方向に移動する。第1の移動体4上には、第2の移動体5が設けられているので、第2の移動体5も第1の移動体4と共にx方向に移動し、これにより第2の移動体5上に構成された把持手段8に把持されるレンズのx方向の位置が調整される。
【0022】
続いて、図4Bを用いて、第2の慣性駆動装置15における第2の移動体5の動作について説明する。
第2の移動体5の位置を粗調整する。この粗調整は、前述と同様に、第2の移動体5を第2のVブロック3から持ち上げた後、第2のVブロック3上の所要の粗調整位置に置く。
次に、第2の移動体5の位置を微調整する。すなわち、第2の移動体5に取り付けられた圧電素子11は、y方向に圧電層と内部電極を積層した積層構造を有する。従って、圧電素子11に、図示を省略する外部配線により、電圧を印加することにより、前述したように圧電素子11をy方向に急速に変形させることができる。よって、第2の慣性駆動装置15における第2の移動体5も前述と同様に、圧電素子11に電圧を印加することによって発生する慣性体の衝撃力を利用した慣性駆動により、移動体5が矢印y1で示すy方向に移動され、把持手段8に把持されるレンズのy方向の位置調整が行われる。
また、第1及び第2の慣性駆動装置が2段重ね構造になっているため、第2の移動体5のy方向の移動は、第1の慣性駆動装置14のVブロック2のV溝2aに直交する方向の幅内で行われる。
【0023】
そして、実際に小型レンズの調芯を行う際には、先ず、図2に示すように把持手段8に小型レンズ16を保持する。この保持は、手動で行われ、可動アーム6を付勢手段9のバネ力に対して開き、小型レンズ16を固定アーム7の2点のピン7a,7bに当接した後、可動アーム6を付勢手段9により閉じて、ピン7a,7b及びピン6cの3点で小型レンズを保持する。
【0024】
次いで、上述したように、手動で第1の移動体4と第2の移動体5の位置を粗調整した後、第1の慣性駆動装置14及び第2の慣性駆動装置15において、それぞれ、圧電素子13,11に電圧を印加して第1の移動体4及び第2の移動体5を慣性駆動することによりV溝上で摺動させ微調整を行い、x方向、y方向の2軸のレンズ位置を調整する。
【0025】
このように、本例のレンズ芯出し装置1では、1つの把持手段8を有する1台のレンズ芯出し装置1により、2軸分のレンズ位置の調整がなされる。また、圧電素子13,11を用いた慣性駆動によるVブロック2,3の位置移動は、100nmオーダーで調整できるので、より小型レンズのための微小な調整が可能である。
【0026】
このようなレンズの芯出しのための位置調整は、図5に示すように偏芯検出装置22により偏芯量を観測されながら行われる。偏芯検出装置22には、例えば、レーザ光が出射される光源と、顕微鏡から成るレーザ干渉計20が用いられる。レーザ光Loの光路上には、参照球面である反射ミラー21が設けられ、レンズ芯出し装置1に把持されたレンズ16が、光源と反射ミラー21の間に配される。この偏芯検出装置22においては、光源から出射されるレーザ光Loをレンズ芯出し装置1に把持されたレンズ16に入射させ、そのレンズ16を透過した光束を反射ミラー21で折り返すことにより、透過波面収差を顕微鏡より測定でき、透過波面収差から偏芯量が解析される。顕微鏡からの測定は、目視で行ってもよく、CCDカメラ等により取り込み、画像処理を行っても良い。この偏芯量が規定値内に入るまで、レンズ芯出し装置1において、慣性駆動によりxy平面でレンズ16が微小移動され位置調整が行われる。
【0027】
本実施形態のレンズ芯出し装置1によれば、慣性駆動装置を2段重ね構造にすることにより、従来3台或いは4台の把持機構によって構成されていたレンズ芯出し装置1が、1台分のスペースで構成される。このため、レーザ干渉計等の偏芯検出装置22が小型化した場合であっても、偏芯検出装置22とレンズ芯出し装置1とが干渉するのを防止することができる。
【0028】
また、本実施形態のレンズ芯出し装置1によれば、1台の装置で把持されたレンズをxy平面で操作できるので、従来のレンズ芯出し装置のように、複数の把持機構により把持するため、それらの把持機構を連動して操作しなければならないという煩わしさが解消される。
【0029】
本実施形態では、レンズは一つの装置で把持され、xy方向のレンズの移動は、V溝2a,3aに沿って第1の移動体4、第2の移動体5を動かすという簡単な移動機構により行われるので、レンズ位置の調整において、粗い移動を手動で行い、細かい移動を慣性駆動により行うことができる。これにより、作業を円滑に行うことができ、作業効率の向上が図られる。
また、第1の移動体4が第2の慣性駆動装置15の第2のVブロック3を兼ねる構成とすることにより、レンズ芯出し装置全体が小型化する。
【0030】
次に、図6に本発明のレンズ芯出し装置の第2の実施形態に係る概略構成を示す。本実施形態は、複数台のレンズ芯出し装置を用いたレンズ芯出し装置群として構成する。図6は、3つのレンズ芯出し装置を用いて、3つのレンズ芯出しを行う例である。
本実施形態に用いられるレンズ芯出し装置、すなわちレンズ芯出し装置群40は、前述の図1におけるレンズ芯出し装置1を用いたものである。従って、図6において、図1に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0031】
本実施形態のレンズ芯出し装置群40は、平板18の厚さを異ならせて、レンズ16の高さ位置を異ならせた3つのレンズ芯出し装置1A,1B,1Cを120度の等角間隔で放射状に配置して構成される。この3つのレンズ芯出し装置1A,1B,1Cは、それぞれの把持手段8に把持されたレンズがz方向に重なるように配置され、かつ、第2の慣性駆動装置15における第2の移動体4に取り付けられた圧電素子11及び慣性体10が、それぞれ、隣り合うレンズ芯出し装置1A,1B,1Cの圧電素子11及び慣性体10と隣接しないように風車状に配置される。そして、この場合も前述と同様に、図示しない偏芯検出装置により、偏芯量が検出され、偏芯量が規定内に達するまで、それぞれのレンズ芯出し装置1A,1B,1Cにおいて、x方向、y方向の微小移動によるレンズの位置調整が行われる。
【0032】
複数のレンズ芯出し装置1A,1B,1Cを用いた本実施形態のレンズ芯出し装置群40では、1台のレンズ芯出し装置の外形寸法が小さいため、隣接する装置と干渉してしまうのを防ぐことができ、レンズが小型化しても、複数のレンズの芯出しを容易に行うことができる。
【0033】
以上のように、本発明のレンズ芯出し装置よれば、第1の慣性駆動装置と第2の慣性駆動装置を2段に重ねた構成にすることにより、装置が体積的に小型化されるので、レーザ干渉計やオートコリメータ等の偏芯検出装置が小型化した場合であっても、その直下に配置することができ、さらに、1台のレンズ芯出し装置によって、レンズのxy方向の微小移動がなされるので、より小さなスペース内でのレンズの芯出しが可能である。また、レンズ芯出し装置が体積的に小型化されるために、複数個のレンズ芯出し装置をレンズの直近まで接近させることが可能である。従って、複数枚のレンズを組み合わせる際の芯出しにおいても、レンズ芯出し装置の体積的な制約が軽減され、芯出し作業が容易になる。
【0034】
上例では、第1の移動体4にV溝3aを形成し、このV溝3aに嵌合し、且つ摺動可能となるように、第2の移動体5を重ねて配設する構成としたが、その他、次の例に示すような構成も可能である。
この例では、V溝を有する第1のVブロックとこのV溝に摺動可能に嵌合する第1の移動体とからなる第1の慣性駆動装置と、V溝を有する第2のVブロックと、このV溝に摺動可能に嵌合する第2の移動体から成る第2の慣性駆動装置を備える。第2のVブロックは、第1の移動体に固定される。第2の移動体上には把持手段が配置される。このような構成のレンズ芯出し装置においても、上例と同様に1台の装置で2軸方向の位置調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るレンズ芯出し装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るレンズ芯出し装置のレンズ把持手段の拡大図である。
【図3】A,B本発明の第1の実施形態に係るレンズ芯出し装置における圧電素子の概略構成図である。
【図4】A,B本発明の第1の実施形態に係るレンズ芯出し装置の第1及び第2の移動体の移動の様子を示した概略断面図である。
【図5】レンズ芯出しにおいて、偏芯検出装置を用いたときの概略構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るレンズ芯出し装置の概略平面構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1・・レンズ芯出し装置、2,3・・Vブロック、2a,3a・・V溝、4・・第1の移動体、5・・第2の移動体、18・・平板、6・・可動アーム、7・・固定アーム、8・・把持手段、9・・付勢手段、10,12・・慣性体、11,13・・圧電素子、14・・第1の慣性駆動装置、15・・第2の慣性駆動装置、16・・レンズ、17・・回動軸、30,36・・圧電素子、31・・圧電層、32・・内部電極、33・・絶縁膜、34・・導電層、35・・外部配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
V溝によって第1の方向に案内駆動される第1の移動体を有する第1の慣性駆動装置と、
前記第1の移動体の上部に形成され、第1の方向と直交する第2の方向にV溝によって案内駆動される第2の移動体を有する第2の慣性移動装置と、
前記第2の移動体に配置したレンズ把持手段とを備える
ことを特徴とするレンズ芯出し装置。
【請求項2】
前記第2の移動体が案内駆動される前記V溝は、前記第1の移動体に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ芯出し装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の移動体は、それぞれ圧電素子により結合された慣性体を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ芯出し装置。
【請求項4】
前記把持手段は、前記第2の移動体上に形成された平板を介して設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ芯出し装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の移動体がそれぞれ前記V溝に対して装脱可能に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のレンズ芯出し装置。
【請求項6】
前記レンズ把持手段は、レンズを3点で支持する固定部と可動部で構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ芯出し装置。
【請求項7】
複数のレンズ芯出し装置が等角間隔に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ芯出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−221412(P2008−221412A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−63681(P2007−63681)
【出願日】平成19年3月13日(2007.3.13)
【出願人】(504133110)国立大学法人 電気通信大学 (383)
【出願人】(505246066)株式会社アプライド・マイクロシステム (7)
【Fターム(参考)】