説明

レンズ駆動装置

【課題】ケースの変形・撓みによる回路基板上の回路の破壊を防止する。
【解決手段】レンズ駆動装置10のケース21内には、駆動機構部38,シート部材44,回路基板39が配されている。ケース21を構成する外側カバー41の内面に設けた取付軸41bにスイッチユニット49の保持部材50が取り付けられている。保持部材50の側面には、スペーサ50bが一体に設けられ、このスペーサ50bに回路基板39が取り付けられており、外側カバー41の内面と所定の間隔があけられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡胴を駆動するレンズ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ENGレンズのレンズ鏡胴に取り付けられる、ドライブユニットと呼ばれるレンズ駆動装置が知られている(例えば、特許文献1,2を参照)。このレンズ駆動装置は、レンズ鏡胴の側方に取り付けられ、ケースの内部に駆動機構部、回路基板等を内蔵している。ケースは、例えば右手でグリップしたときに手のひらになじむように略卵型をしており、そのケース外面にはズームボタン等からなる操作部が設けられている。
【0003】
駆動機構部は、レンズ鏡胴の外周に回動自在に設けた操作リングを回転するためのものであり、この駆動機構部が操作リングを回動することによって、レンズ鏡胴が保持している光学系の調節、例えばズーミング、ピント調節、アイリス調節が行われる。回路基板には、駆動機構部の駆動を制御する駆動制御回路等が形成されている。駆動制御回路は、操作部からの操作信号や、レンズ鏡胴に取り付けられたテレビカメラからの制御信号に基づいて、上記の駆動機構部の駆動を制御する。回路基板は、開口から見て駆動機構部よりもケースの奥に配されており、ケースの内面に複数箇所でねじ止めされている。
【特許文献1】特開平11−184007号公報
【特許文献2】特開2007−298672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなレンズ駆動装置の回路基板は、ケースに覆われることによって直接外力が加わらないようにされているが、ケースが変形したり撓んだりしたときには、ケースの内面に組み付けられた回路基板も変形し、あるいは撓んでしまう。そして、近年の回路基板は、回路の高密度化、微細化が進んでおり、比較的に小さな変形や撓みでも断線するなどして、回路が正常に機能しなくなるという問題があった。また、回路基板を直接ケースに固定するためのボスをケースの内面に一体に形成するため、ケースの外表面にヒケが出て外観上好ましくないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ケースの変形や撓みからケースに内蔵した回路基板の劣化・破壊を防止し、またケースの外観をきれいな状態に保持することができるレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明では、光学系を調節する際に操作される操作部材と、この操作部材を保持する保持部材とを有し、保持部材がケース内に配されて操作部材が外部に露呈されるスイッチユニットと、保持部材をケースに固定するための第1の取付手段と、ケースの内面との間に所定の間隔をあけた状態で、回路基板を保持部材に固定する第2の取付手段とを備えたものである。
【0007】
請求項2記載のレンズ駆動装置では、第2の取付手段を、保持部材と回路基板との間に配され、これらの間に所定の間隔をあけるスペーサを含むものとしたものである。
【0008】
請求項3記載のレンズ駆動装置では、スペーサを、保持部材に一体に形成するようにしたものである。
【0009】
請求項4記載のレンズ駆動装置では、第1の取付手段を、ケースの内面に一体に形成し、先端に保持部材を取り付けて、この保持部材を前記ケースの内面から離して保持するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レンズ鏡胴を駆動するための回路基板をケースに内蔵する際に、操作スイッチの操作部材を保持する保持部材に回路基板を組み付け、この保持部材をケースに固定するようにしたから、ケースとともに回路基板が変形したり、撓むことがなく、その基板上に形成されている配線の劣化や断線、実装した部品の脱落を防止することができる。また、回路基板をケースに固定するためのボスが不要となり、ケース内面に形成すべきボスの個数が少なくなってケースの外観をきれいな状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施したレンズ駆動装置を図1,図2に示す。なお、図1は、レンズ駆動装置10をレンズ鏡胴11に取り付けた状態を、図2はレンズ駆動装置10をレンズ鏡胴11から外した状態を示している。
【0012】
レンズ駆動装置10は、テレビカメラ用の撮影レンズであるレンズ鏡胴11に取り付けて使用する。レンズ鏡胴11は、フォーカスレンズ群,変倍レンズ群,アイリス(絞り)を含む光学系を内部に保持している。レンズ鏡胴11は、略円柱形状であり、その周面には、光学系を調節するための操作リングとして、ピント調節用のフォーカスリング12、ズーミング用のズームリング13、光量調節用のアイリスリング14を回転自在に設けてある。これら各リング12〜14には、その周面に歯列を形成してある。レンズ鏡胴11の後端には、レンズマウント15を設けてあり、そのレンズマウント15を介して周知のテレビカメラ16(図6参照)が取り付けられる。
【0013】
レンズ駆動装置10は、そのケース21の外面21aをグリップし易いように卵を横に寝かせた面形状に、またレンズ鏡胴側の側面としての内面21b(図3参照)をレンズ鏡胴11の周面に沿う凹面にそれぞれしてある。このレンズ駆動装置10は、レンズ鏡胴11に着脱自在としてあり、取り付け時には、レンズ鏡胴11の側面に内面21bを沿う姿勢にしてビス等の固着手段により固定される。また、レンズ駆動装置10と、レンズ鏡胴11の後端に取り付けたテレビカメラ16とは、ケーブルで接続され、これらの間で各種信号の授受が行われる。
【0014】
レンズ駆動装置10には、ズームスイッチ22、モード切替スイッチ23、オートスイッチ24、リターンスイッチ25,録画スイッチ26からなる操作部27を設けてある。各スイッチ22〜26は、その操作部材であるズームボタン22a,モード切替ツマミ23a,オートボタン24a,リターンボタン25a,録画ボタン26aをケース21の外側に露呈して設けてある。
【0015】
ズームスイッチ22は、レンズ鏡胴11の焦点距離を変化(ズーム)させるためのものであり、ズームボタン22aが光軸Pに略直交する軸を中心として揺動自在にしてある。このズームボタン22aは、前方のテレ側凸部を押圧するとレンズ鏡胴11が望遠側に向けて変倍し、逆に後方のワイド側凸部を押圧するとレンズ鏡胴11が広角側に向けて変倍する。いずれの押圧操作においても、ズームボタン22aの押し込み量(操作量)によって変倍スピードを調整することができ、その押し込み量が大きいほど変倍スピードが高速になる。ズームボタン22aは、押圧を解除することで中立位置に復帰する。
【0016】
モード切替スイッチ23は、アイリス調節を自動で行うオートモードと、手動で行うマニュアルモードとに切り換えるものである。モード切替スイッチ23は、そのモード切替ツマミ23aを光軸Pと略平行な方向に沿ってスライド自在としてあり、このモード切替ツマミ23aをスライド操作することで、オートモードとマニュアルモードとのいずれか一方のモードに切り替えられる。
【0017】
オートスイッチ24は、アイリス調節をマニュアルモードに設定しているときに、一時的にオートモードとするためのスイッチとなっている。このオートスイッチ24は、オートボタン24aを押圧する押しボタン式のスイッチであり、アイリス調節をマニュアルモードに設定しているときに、そのオートボタン24aを押圧している間だけ、アイリス調節がオートモードとなる。
【0018】
リターンスイッチ25は、オンエア中の画面や他のカメラで撮影している画面などの他画面をテレビカメラ16に設けたビューファインダに表示するか否かを切り換えるスイッチである。このリターンスイッチ25は、リターンボタン25aを押圧する押しボタン式スイッチであり、リターンボタン25aの押圧するごとに、ビューファインダでの他画面の表示の有無が切り換えられる。
【0019】
録画スイッチ26は、録画ボタン26aの押圧操作ごとに録画の開始/終了を切り換えるものである。録画ボタン26aは、撮影者がレンズ駆動装置10をグリップしたときに、そのグリップする右手の親指が自然に掛かる位置に配してある。録画が開始されると、撮影中の映像がビデオテープやメモリ等の記録媒体に記録(録画)される。
【0020】
図2に示されるように、ケース21の外面21aには、前後方向に長いグリップベルト28を取り付けるためのベルト通し穴29a,29bをそれぞれ設けてある。カメラマンは、ケース21とグリップベルト28の間に右手(親指以外の4本の指)を挿入することによって、レンズ駆動装置10とともにレンズ鏡胴11を保持することができる。また、このようにグリップしたときに、その右手の親指の自然に掛かる位置に録画ボタン26aを配してある。
【0021】
図3に示すように、ケース21の内面21bには、フォーカスリング12,ズームリング13,アイリスリング14に対面する部分に、それぞれギア開口31〜33を形成してあり、これらギア開口31〜33からは、連結ギア34〜36を露呈してある。レンズ駆動装置10をレンズ鏡胴11に取り付けた際には、連結ギア34がフォーカスリング12に形成した歯列に噛合する。同様に、連結ギア35がズームリング13の歯列に、連結ギア36がアイリスリング14の歯列にそれぞれ噛合する。
【0022】
ケース21には、各リング12〜14を回動するための駆動機構部38と回路基板39(いずれも図4参照)を内蔵してある。このうちの駆動機構部38からの駆動力が、上記3つの連結ギア34〜36に個別に伝達され、これによりフォーカスリング12、ズームリング13、及びアイリスリング14が個別に回動する。
【0023】
図4に示すように、ケース21は、外面21aを形成した外側カバー41と、内面21bを形成した内側カバー42とからなり、その中空な内部に駆動機構部38及び回路基板39と、シート部材44とを配してある。駆動機構部38は、内側カバー42側に、また回路基板39は、外側カバー41側にそれぞれ組み付けてあり、これらの間にシート部材44を配してある。
【0024】
駆動機構部38は、各リング12〜14に対応して設けたフォーカス駆動機構45,ズーム駆動機構46、アイリス駆動機構47からなる。各駆動機構45〜47は、後述するようにモータ,ギア列,連結ギア,ポテンショメータから構成され、モータの回転を連結ギアに伝達し、その連結ギアを介して対応するリングを回動する。
【0025】
回路基板39は、そのプリント基板上に各種回路素子を実装することによって、駆動機構部38を駆動するための回路としての駆動制御部48(図6参照)を形成してある。駆動制御部48は、各駆動機構45〜47のモータを駆動するためのドライバ、テレビカメラ16との間で信号の授受を行うための回路、操作部27からの操作信号及びテレビカメラ16からの制御信号に基づいてモータの駆動を制御する制御回路等から構成される。回路基板39には、各種の配線コードによって、各スイッチ22〜26や駆動機構部38に設けたモータ,ポテンショメータ、テレビカメラ16と接続するコネクタ等と電気的に接続される。
【0026】
シート部材44は、水濡れした連結ギア34〜36やギア列のギアが回動したときに、その回動によって飛散する水が上述のような回路基板39及び各スイッチ22〜26に達しないように設けてあり、回路基板39上の回路の短絡、配線の劣化を防止する。シート部材44としては、水濡れに強いものが用いられている。また、シート部材44は、ケース21に衝撃が加えられて回路基板39が大きく揺れて接触したときの短絡を防止するために、絶縁性を持たせたものとなっている。なお、シート部材44に設けた開口44aは、配線コードを通すためのものである。
【0027】
上記回路基板39には、その上部にスイッチユニット49を取り付けてある。スイッチユニット49は、前後方向に長い箱状の保持部材50と、この保持部材50に組み付けたズームスイッチ22やリターンスイッチ25を構成する部材からなる。保持部材50の側面の前方及び後方には、それぞれ貫通孔50aを設けてあり、各貫通孔50aは、後述するようにスイッチユニット49を外側カバー41に組み付けるために用いる。
【0028】
保持部材50は、その上部にズームボタン22aを揺動自在に保持し、さらにズームボタン22aを中立位置に向けて付勢するバネ部材(図示省略)を組み付けてある。また、保持部材50の内部には、ズームボタン22aとともにズームスイッチ22を構成し、ズームボタン22aの押圧方向と押圧量を検出するポテンショメータを組み付けてある。さらに、保持部材50の後方上面には、リターンスイッチ25のスイッチ本体25bを固定してある。
【0029】
上記スイッチユニット49は、保持部材50をケース21内に配し、ズームボタン22aを外側カバー41に設けた開口41aから外部に突出させて露呈し、またスイッチ本体25bをリターンボタン25aの直下に配し、リターンボタン25aの押圧操作でスイッチ本体25bがオン・オフされるようにして組み付けられる。
【0030】
保持部材50の外側カバー41側の側面に、外側カバー41に向かって柱状に突出した一対のスペーサ50bを一体に形成してある。各スペーサ50bの先端には、ねじ穴を形成してある。上記の回路基板39は、その上部をネジ51で各スペーサ50bの先端にネジ止めすることで、保持部材50に固定してある。
【0031】
図5に示すように、外側カバ−41の内面には、ケース21の内部に向かって柱状に突出する一対の取付軸41bを一体に形成してあり、各取付軸41bの先端にはねじ穴を形成してある。保持部材50は、その各貫通孔50aに通したネジ52を取付軸41bの先端のねじ穴に螺合することによって、ケース21の内面より離して外側カバー41に組み付けてある。上記のように保持部材50には、スペーサ50bを介して回路基板39を組み付けてあり、取付軸41b及びスペーサ50bの長さを調整することにより、外側カバー41の内面から所定の間隔をあけて回路基板39がケース21内に配置されるようにしている。
【0032】
取付軸41b,保持部材50が破損しないようにするために、一対の取付軸41bは、グリップ等によりケース21が撓み易い方向を考慮して、各取付軸41bの先端の間隔が所期の間隔を維持するような方向に並べて配してある。この例では、図5に示されるように、外側カバー41が光軸Pと直交する断面形状が湾曲し、上下方向にケース21を圧縮するようにグリップされるから、その湾曲の半径を小さくする上下方向に撓み易く、前後方向(光軸P方向)はあまり撓むことがない。このため、一対の取付軸41bを前後方向(光軸P方向)に並べて設けてある。
【0033】
また、上記のように回路基板39を外側カバー41に直接ではなく、保持部材50を介してケース21(外側カバー41)に組み付けることによって、ケース21とともに回路基板39が撓むことがないようにし、またケース21に加えられた衝撃が保持部材50に直接に伝達しないようにし、回路基板39及びそれに形成された回路の劣化を防止している。
【0034】
この例では、取付軸41b,ネジ52が第1の取付手段であり、スペーサ50b,ネジ51が第2の取付手段となっているが、外側カバー41に対する保持部材50の取付手法、及び保持部材50に対する回路基板39の取付手法は、上記のものに限られるものではない。例えば、スペーサ50bを保持部材50と別々の部品にしたり、ネジ止めに代えて爪係合等で固定してもよい。
【0035】
図6に示すように、操作部27の操作に応じた操作信号は、回路基板39に形成された駆動制御部48に送られる。駆動制御部48は、操作部27からの操作信号に基づいて、またテレビカメラ16から入力する制御信号に基づいて、駆動機構部38を制御する。駆動機構部38は、前述のようにフォーカス駆動機構45,ズーム駆動機構46,アイリス駆動機構47からなる。
【0036】
フォーカス駆動機構45は、フォーカス駆動用モータ45a,ギア列45b,ポテンショメータ45c、及び連結ギア34からなる。駆動制御部48は、テレビカメラ16からのフォーカス制御信号に基づいて、フォーカス駆動用モータ45aの駆動を制御する。フォーカス駆動用モータ45aの駆動力は、複数のギアからなるギア列47b,連結ギア34を介してフォーカスリング12に伝達されて、これを回転する。フォーカスリング12が回転すると、レンズ鏡胴11のフォーカスレンズ群55が光軸Pに沿って前後移動してピント調節が行われる。
【0037】
ポテンショメータ45cは、ギア列45bの出力に連結されており、フォーカスレンズ群55の位置を検出する検出手段として用いられる。ポテンショメータ45cから出力される位置検出信号は、駆動制御部48にフィードバックされる。
【0038】
ズーム駆動機構46,アイリス駆動機構47は、フォーカス駆動機構45と同様な構成であり、ズーム駆動機構46は、ズーム駆動用モータ46a,ギア列46b,ポテンショメータ46c、及び連結ギア35からなり、アイリス駆動機構47は、アイリス駆動用モータ47a,ギア列47b,ポテンショメータ47c、及び連結ギア36からなる。
【0039】
ズーム駆動機構46は、駆動制御部48がズームスイッチ22の操作に応じてズーム駆動用モータ46aを駆動制御することにより、そのズーム駆動用モータ46aの駆動力をギア列46b,連結ギア35を介してズームリング13に伝達し、ズームリング13を回転する。このズームリング13の回転によって変倍レンズ群56が光軸Pに沿って移動して、倍率調節が行われる。
【0040】
モード切替スイッチ23、オートスイッチ24が操作されることで発生する各操作信号は、駆動制御部48を介してテレビカメラ16に送られ、テレビカメラ16のアイリス調節のモードは切り替えられる。また、ポテンショメータ47cから得られるアイリス57の位置検出情報、すなわち絞り値が駆動制御部48を介してテレビカメラ16に送られる。
【0041】
テレビカメラ16は、アイリス調節がオートモードのときには、絞り値と撮影中の被写体の輝度などに基づいてアイリス57を制御するアイリス制御信号を発生して、駆動制御部48に送る。駆動制御部48は、そのアイリス制御信号に応じてアイリス駆動用モータ47aの駆動を制御する。アイリス駆動用モータ47aの駆動力は、ギア列47b,連結ギア36を介してアイリスリング14に伝達される。アイリスリング14が回転すると、アイリス57が絞り開口を拡縮する。
【0042】
次に上記構成の作用について説明する。レンズ鏡胴11にレンズ駆動装置10を取り付けた状態では、連結ギア34がフォーカスリング12に、連結ギア35がズームリング13に、連結ギア36がアイリスリング14にそれぞれ噛合している。
【0043】
例えば、ズーミングする場合には、ズームスイッチ22を操作する。この操作により、ズーム駆動用モータ46aが駆動制御部48によって、ズームスイッチ22の操作に応じていずれか一方向に回転する。そして、このズーム駆動用モータ46aの回転が、ギア列46bを介して連結ギア34に伝達され、この連結ギア34と噛合しているズームリング13を回転させる。これにより、変倍レンズ群56が移動してレンズ鏡胴11の倍率が変化する。
【0044】
また、オートモードのときには、テレビカメラ16からのアイリス制御信号が駆動制御部48に入力され、このアイリス制御信号に応じてアイリス駆動用モータ47aが回転される。そして、アイリス駆動用モータ47aの回転は、ギア列47bを介して、連結ギア36を回転させ、さらにアイリスリング14を回転する。これにより、アイリス57の調節が行われる。同様に、テレビカメラ16からのフォーカス制御信号に基づいて、駆動制御部48によって、フォーカス駆動用モータ45aが駆動され、ギア列47bを介して連結ギア34が回転し、この回転でフォーカスリング12が回転する。これにより、フォーカスレンズ群55が移動してピント調節される。
【0045】
上記のように動作するレンズ駆動装置10の外側カバー41に外力が加わり、それが変形し、あるいは一時的に撓んでしまうことがある。しかし、回路基板39は、保持部材50に取り付けられているから、外側カバー41とともに変形しあるいは撓むことはない。また、ケース21に衝撃が加えられても、その衝撃が回路基板39に直接に伝達されない。このため、回路基板39の変形や撓み、あるいは衝撃で基板上に形成された配線の断線や電子回路素子の脱落等が生じることがない。
【0046】
上記実施形態では、外側カバーにスイッチユニットの保持部材を組み付け、その保持部材に回路基板を組み付けているが、保持部材が組み付けられる部分は外側カバーに限られるものではなく、駆動機構部と回路基板を収容したケースのいずれの部分であってもよい。また、保持部材としては、ズームスイッチの操作部材(ズームボタン)を保持するものに限らず、各種スイッチの操作部材を保持するものであればよい。なお、保持部材として、ケースの変形や撓みによって変形・破損したりしない強度の高いものが好ましい。
【0047】
上記実施形態では、テレビカメラ用のレンズ鏡胴の側部に着脱自在としたレンズ駆動装置を例に説明しているが、本発明はこれに限らず、テレビカメラや電子カメラ、あるいはビデオカメラ等に一体に設けてなるレンズ駆動装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明のレンズ駆動装置をレンズ鏡胴に取り付けた使用状態を示す斜視図である。
【図2】レンズ駆動装置の背面側を示す斜視図である。
【図3】レンズ駆動装置の内面側を示す斜視図である。
【図4】レンズ駆動装置の内部の構成を示す分解斜視図である。
【図5】ケース内部での保持部材と回路基板の配置状態を示す説明図である。
【図6】レンズ鏡胴、レンズ駆動装置、及びテレビカメラの構成の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0049】
10 レンズ駆動装置
11 レンズ鏡胴
21 ケース
31〜33 ギア開口
34〜36 連結ギア
38 駆動機構部
39 回路基板
50 保持部材
44 シート部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を保持するレンズ鏡胴に取り付けられ、光学系を調節するための駆動機構部と回路基板とをケース内に収容したレンズ駆動装置において、
光学系を調節する際に操作される操作部材と、この操作部材を保持する保持部材とを有し、保持部材がケース内に配されて操作部材が外部に露呈されるスイッチユニットと、
前記保持部材をケースに固定するための第1の取付手段と、
前記ケースの内面との間に所定の間隔をあけた状態で、前記回路基板を前記保持部材に固定する第2の取付手段とを備えたことを特徴とするレンズ駆動装置。
【請求項2】
前記第2の取付手段は、前記保持部材と前記回路基板との間に配され、これらの間に所定の間隔をあけるスペーサを含むことを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記スペーサは、前記保持部材に一体に形成されていることを特徴とする請求項2記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記第1の取付手段は、前記ケースの内面に一体に形成され、先端に前記保持部材が取り付けられ、前記保持部材を前記ケースの内面から離して保持することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−145434(P2010−145434A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319115(P2008−319115)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】