説明

レーザ加工機

【課題】レーザ光の光路長を短く略一定として加工品質の悪化を防止するレーザ加工機を提供する。
【解決手段】第1開口部4aに沿うように第1ベルト部材B1が配置され、第2導光部に第1移動ユニット50を設け、第1ベルト部材B1は、第2導光部が近接する部分以外Xでは第1開口部4aを閉塞するように配置され、第2導光部が近接する部分Xでは、第1導光部から離間した位置に配置されて第2導光部5へのレーザ光L4の導入を許容し、反射手段41が、第1移動ユニット50に支持されて、第1導光部4の内部に突出する形で設けられており、第1移動ユニット50には、反射ミラー504を、第1導光部4から離間した位置に配置された状態の第1ベルト部材B1の第1開口部側に、反射手段41から反射されたレーザ光を第2の方向Yに反射し得るように設けて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工ヘッドの移動位置に関わらずレーザ光の光路長が略一定になるようにしたレーザ加工機に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工機においては、ワークの加工はレーザ加工ヘッドを移動させながら行うが、レーザ加工ヘッドの移動に伴ってレーザ光の光路長が変化してしまうとレーザ光の集光度も変化してしまって加工品質を一定に保てなくなる。そこで、レーザ加工ヘッドの移動位置にかかわらずレーザ光の光路長が略一定になるようにしたレーザ加工機が種々提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
図8は、従来のレーザ加工機の構造の一例を示す模式図である。図中の符号200は、レーザ光を発生させるレーザ発振器であり、符号201は、移動駆動されながらワークにレーザ光を照射するレーザ加工ヘッドである。符号202は、ワークを載置するための加工テーブルであり、符号203,204は、レーザ発振器200からレーザ加工ヘッド201にレーザ光を導く導光部である。そして、レーザ発振器200の近傍には反射鏡205aが配置され、導光部203の端部には反射鏡205b,205eが配置され、これらの反射鏡205b,205eに対向する位置であって導光部203の内部には反射鏡205c,205dが配置され、反射鏡205eに対向する位置には反射鏡205fが配置され、反射鏡205fに対向する位置であって導光部204の側には反射鏡205gが配置されていて、レーザ発振器200にて発生されたレーザ光Lが、反射鏡205a→205b→205c→205d→205e→205f→205gの順に反射されてレーザ加工ヘッド201に導かれるようになっている。これらの反射鏡のうち、符号205c,205dで示す反射鏡は光路長調整用ブロック206に支持されていて、レーザ加工ヘッド201の移動量に応じて移動され、レーザ発振器200からレーザ加工ヘッド201までの光路長が略一定に保たれるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−336979号公報
【特許文献2】特開平8−52587号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、レーザ発振器200からレーザ加工ヘッド201までの光路長を略一定に保つことができれば加工品質も一定に保つことができるものの、加工品質を良好にするにはその光路長は短い程(つまり、短くて略一定である程)良い。
【0006】
しかしながら、上述したレーザ加工機の場合、“光路長調整用の反射鏡205d”と“導光部204側の反射鏡205g”との間には少なくとも2つの反射鏡205e,205fが配置されていて、レーザ光は、矢印Aで示すような経路で迂回された後に導光部204に導かれるようになっており、レーザ光がこのように迂回する分だけ光路長が長くなってしまい、加工品質が悪くなるという問題があった。
【0007】
また、導光部203,204は、埃等が侵入しないように密閉しておく必要があるが、その密閉のために蛇腹を使用した場合には反復駆動によって蛇腹が破損され易く、耐久性に劣るという問題があった。
【0008】
本発明は、レーザ光の光路長を短く略一定として加工品質の悪化を防止するレーザ加工機を提供することを目的とするものである。
【0009】
また、本発明は、耐久性に優れたレーザ加工機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、図1に例示するものであって、レーザ光(L1)を発生させるレーザ光発生手段(2)と、該レーザ光発生手段(2)からのレーザ光(L1)を第1の方向(X)に導く第1導光部(4)と、該第1導光部(4)からのレーザ光を第2の方向(Y)に導く第2導光部(5)と、該第2導光部(5)に近接して配置されると共に移動駆動されながら前記第1導光部(4)及び前記第2導光部(5)を通過してきたレーザ光をワークに照射するレーザ加工ヘッド(3)と、を備えたレーザ加工機(1)において、
前記第2導光部(5)に支持されて、第1導光部(4)内を前記第1の方向に通過して来たレーザ光(L3)を前記第2導光部(5)に導き入れる反射手段(41)を有し、
前記第2導光部(5)は、少なくとも一部分(50)が前記第1導光部(4)に近接した状態で前記第1の方向(X)に沿って移動駆動され、
前記反射手段(41)は、前記第2導光部(5)の側であって前記第1導光部に近接する部分(50)に支持されていて、該第2導光部(5)と連動的に移動駆動され、
前記第1導光部(4)には、前記第2導光部(5)が近接する側に前記第1の方向(X)に沿って第1開口部(4a)が形成され、
該第1開口部(4a)に沿うように第1ベルト部材(B1)が配置され、
前記第2導光部に、前記第1ベルト部材による前記第1開口部の閉塞を部分的に解除してレーザ光の取り込みを可能とする第1移動ユニット(50)を設け、
該第1ベルト部材(B1)は、前記第2導光部が近接する部分以外(X)では前記第1開口部(4a)を閉塞するように配置され、前記第2導光部が近接する部分(X)では、前記第1移動ユニットにより、前記第1開口部(4a)を閉塞しないように、前記第1導光部から離間した位置に配置されて前記第2導光部(5)へのレーザ光(L4)の導入を許容し、
前記反射手段(41)は、前記第1移動ユニット(50)に支持されて、前記第1導光部(4)の内部に突出する形で設けられており、
前記第1移動ユニット(50)には、反射ミラー(504)を、前記第1導光部(4)から離間した位置に配置された状態の第1ベルト部材(B1)の第1開口部側に、前記反射手段(41)から反射されたレーザ光を前記第2の方向(Y)に反射し得るように設け、
たことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の発明において、図1乃至図3に示すように、前記レーザ加工ヘッド(3)は、前記第2導光部(5)に近接した状態で前記第2の方向(Y)に沿って移動駆動され、
前記第2導光部(5)から前記レーザ加工ヘッド(3)へのレーザ光の導入は、前記レーザ加工ヘッド(3)と共に移動する別の反射手段(51)により行われる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発明において、図3に示すように、前記第2導光部(5)には、前記第2の方向(Y)に沿って第2開口部(5a)が形成され、
該第2開口部(5a)に沿うように第2ベルト部材(B2)が配置され、
該第2ベルト部材(B2)は、前記レーザ加工ヘッドが近接する部分以外(Y2)では前記第2開口部(5a)を閉塞するように配置され、前記レーザ加工ヘッドが近接する部分(Y1)では前記第2開口部(5a)を閉塞しないように配置されて前記レーザ加工ヘッド(3)へのレーザ光の導入を許容するようにした、ことを特徴とする。
【0013】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、反射手段(41)は第2導光部(5)と連動的に移動駆動されるように構成されているため、反射手段(41)を移動駆動する手段の必要がなく、連動的に移動駆動しない場合に比べて構造を簡素化できる。また、反射手段(41)は第2導光部(5)と連動的に移動駆動されるように構成されているため、それらの相対位置関係は常に適正に維持され、反射手段(41)から前記レーザ加工ヘッド(3)にレーザ光を正確に導くことができる。
【0015】
また、第1開口部(4a)は第1ベルト部材(B1)によって閉塞されているだけなので、該第1開口部(4a)を部分的に開口させるには第1ベルト部材(B1)を前記第1開口部(4a)から離間した位置に配置するだけで足りる。したがって、開口部の開閉を繰り返しても第1ベルト部材(B1)は傷みにくく、従来の蛇腹を用いる場合に比べて耐久性が向上される。
【0016】
請求項2に係る発明によれば、別の反射手段(51)は前記レーザ加工ヘッド(3)と共に移動するように構成されているため、別の反射手段(51)を移動駆動するための手段は必要なく、連動的に移動駆動しない場合に比べて構造を簡素化できる。また、別の反射手段(51)は前記レーザ加工ヘッド(3)と共に移動するように構成されているため、それらの相対位置関係は常に適正に維持され、前記別の反射手段(51)から前記レーザ加工ヘッド(3)にレーザ光を正確に導くことができる。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、第2開口部(5a)は第2ベルト部材(B2)によって閉塞されているだけなので、該第2開口部(5a)を部分的に開口させるには第2ベルト部材(B2)を前記第2開口部(5a)から離間した位置に配置するだけで足りる。したがって、開口部の開閉を繰り返しても第2ベルト部材(B2)は傷みにくく、従来の蛇腹を用いる場合に比べて耐久性が向上される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1乃至図7に沿って、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明に係るレーザ加工機の概略構造を説明するための模式図であり、図2は、本発明に係るレーザ加工機の全体構造の一例を示す外観斜視図であり、図3は、第1導光部から第2導光部への光取り込み部の詳細構造を示す斜視図である。また、図4は、図3のE−E断面図であり、図5は、図4のF−F断面図であり、図6は、図5の詳細断面図である。さらに、図7は、本発明に係るレーザ加工機の制御ブロック図である。
【0020】
本発明に係るレーザ加工機は、図1及び図2に符号1で示すように、レーザ光L1を発生させるレーザ光発生手段2と、移動駆動されながらワークWにレーザ光を照射するレーザ加工ヘッド3と、を備えている。そして、これらのレーザ光発生手段2とレーザ加工ヘッド3とは、レーザ光の光路である第1導光部4及び第2導光部5により連通されていて、レーザ加工ヘッド3は前記第1導光部4及び第2導光部5を通過してきたレーザ光をワークWに照射するように構成されている。この内、第1導光部4は、前記レーザ光発生手段2からのレーザ光L1を第1の方向Xに導く光路であり、第2導光部5は、該第1導光部4からのレーザ光を第2の方向Yに導く光路である。なお、前記レーザ加工ヘッド3は前記第2導光部5に近接して配置されている。そして、第1導光部4には、図1に示すように、前記レーザ光発生手段2からのレーザ光L1を反射する第1反射手段40が移動可能に配置されており、レーザ光の反射位置が変更されることに基づきレーザ光の光路長を調整するように構成されている(詳細は後述する)。また、この第1反射手段40に対向するように前記第2導光部5には第2反射手段41が支持されていて、該第1反射手段40にて反射されてきたレーザ光L3を前記第2導光部5に導き入れるように構成されている。本発明によれば、これらの第1及び第2反射手段40,41は互いに対向する位置に配置されているので、第1反射手段40にて反射されたレーザ光は(他の反射ミラーによって反射されたりせずに)最短距離で第2反射手段41に到達することとなる。このように、第1反射手段40にて反射されてから前記第2導光部5に導き入れられるまでの光路長を比較的短くすることができ、レーザ加工の加工品質を良好にできる。
【0021】
ところで、上述した第2導光部5は、少なくとも一部分(図1乃至図4の符号50参照)が前記第1導光部4に近接すると共に、その近接状態を維持したままで前記第1の方向Xに沿って移動駆動されるようにすると良い。具体的には、図2に示すように、前記第1の方向Xに沿うようにレール部材7a,7bを配置し、該レール部材7a,7bに第2導光部5を移動自在に支持させると共に、駆動手段8a,8bによって移動駆動されるように構成すると良い。
【0022】
なお、前記第2導光部5が移動駆動される場合、如何なる移動位置においてもレーザ光を該第2導光部5に取り込めるようにする必要がある。そのためには、図3に示すように、前記第1の方向Xに沿った開口部(以下、“第1開口部”とする)4aを、前記第1導光部4における前記第2導光部5(具体的には、符号50で示す部分)が近接する側(図では上側に形成されているが、上側以外の側に形成されていても良い)に形成しておくと良い。この場合、上述した第2反射手段41は、前記第1導光部4の側ではなく前記第2導光部5の側(特に、前記第1導光部4に近接する部分50)に支持されていて、該第2導光部5と連動的に移動駆動されるように構成しておくと良い。具体的には、図4に詳示するように、第1開口部4aを通って第1導光部4の内部に突出するようなブラケット500を前記第2導光部5の側に取り付け、第2反射手段41はそのブラケット500に取り付けると良い。第2反射手段41を前記第2導光部5の側に支持させなかった場合には、第2反射手段41を移動駆動するための手段が(第2導光部5を移動駆動する手段とは別に)必要となって構造が複雑化するが、上述のように第2反射手段41が第2導光部5と連動的に移動駆動されるようにした場合にはそのような手段は不要となり(つまり、第2導光部5を移動駆動する手段によって第2反射手段41も移動駆動することができ)構造を簡素化できる。また、第2反射手段41が第2導光部5と連動的に移動駆動されるようにした場合にはそれらの相対位置関係は常に適正に維持されるため、第2反射手段41からレーザ加工ヘッド3にレーザ光を正確に導くことができる。
【0023】
ところで、前記第2導光部5にレーザ光を取り込む部分(つまり、図4に符号X1で示す部分であって、第2反射手段41が配置された部分)では光取り込みのために前記第1開口部4aを開口させておく必要があるものの、それ以外の部分(図4に符号X2で示す部分)では、導光部内部への埃や異物の侵入を防止するために前記第1開口部4aを閉塞しておく必要がある。そのためには、該第1開口部4aに沿うように第1ベルト部材(図4の符号B1参照)を配置し、該第1ベルト部材B1は、前記第2導光部5が近接する部分以外X2では前記第1開口部4aを閉塞するように配置され、前記第2導光部5が近接する部分X1では前記第1開口部4aを閉塞しないように配置されて前記第2導光部5へのレーザ光の導入を許容するようにしておくと良い。このように、第1開口部4aの閉塞にベルト部材B1を用いた場合には、該第1開口部4aを部分的に開口させるには第1ベルト部材B1を前記第1開口部4aから離間した位置に配置するだけで足りる。したがって、開口部の開閉を繰り返しても第1ベルト部材B1が傷みにくく、従来の蛇腹を用いる場合に比べて耐久性が向上される。
【0024】
第1導光部4を形成する部材は、図3及び図5に詳示するように断面が略コ字状のものとし、第1開口部4aは上側に配置すると良い。導光部内部への埃や異物の侵入を確実に防止するためには、
・ 第1ベルト部材B1と密着するシール部材を、図6に符号42に示すように、開口部4aの両縁部に沿って配置する方法(図では片側の縁部に沿って配置されるもののみを示す)
・ 図6に符号43で示すように、第1開口部4aの両縁部に沿ってマグネットを配置すると共に、第1ベルト部材B1としてスチールベルトを用いる方法(図では片側の縁部に沿って配置されるもののみを示す)
のいずれか、或いは両方を採用して、ベルト部材B1と第1導光部4との間に隙間が生じないようにすると良い。シール部材42はウレタン製にすると良い。なお、図6に示すシール部材42やマグネット43は、導光空間4bを構成する部材(符号44で示す部材)自体に形成されてはおらず板状の部材45に形成されているが、部材44自体に形成しても良い。
【0025】
ところで、上述したように、前記第2導光部5が近接する部分(図4の符号X1参照)では前記第1開口部4aが閉塞されないような状態に第1ベルト部材B1を配置して前記第2導光部5へのレーザ光L4の導入を許容する必要があるが、そのためには、第1ベルト部材B1による第1開口部4aの閉塞を部分的に解除してレーザ光の取り込みを可能とするユニット(以下、“第1移動ユニット”とする)50を前記第2導光部5の側に設けると良い。以下、この第1移動ユニット50の構造の一例について図3乃至図5を参照して説明する。
【0026】
この第1移動ユニット50は、前記第1導光部4と接するか微小間隙を開けた状態で移動するように構成すると良い。なお、図3ではこの第1移動ユニット50は第2導光部5の端部に配置されているが、端部以外の位置に配置されていても良い。この第1移動ユニット50の移動方向両端部(つまり、第1の方向Xの端部)であって第1開口部4aに近接する位置には、回転自在なローラー501,503を少なくとも1本ずつ配置し(図3では1本ずつ、図4では2本ずつ)、移動方向中央部であって第1開口部4aから離れた位置には、回転自在なローラー502を少なくとも1本(図3では2本、図4で4本)配置すると良い。そして、この中央部のローラー502の下方(第1開口部4aに近接する方)には反射ミラー504等を配置して、第1導光部4からのレーザ光L4を前記第2の方向Yに反射するように構成すると良い。そして、上述した第1ベルト部材B1は、移動方向両端部のローラー501,503の下方を通り、ローラー502の上方を通るように配置すると良い。このように構成した場合、第1移動ユニット50が前記第1の方向Xの如何なる位置に移動したとしても、レーザ光L4の光路を第1ベルト部材B1が遮蔽してしまうことはなく、第1導光部4から第2導光部5へのレーザ光L4の取り込みが可能となる。また、この第1移動ユニット50が配置されている部分以外X2では、第1ベルト部材B1はローラー501,503によって第1導光部4の側に密着されるので、導光部内部への埃や異物の侵入を確実に防止することができる。なお、第1ベルト部材B1が第1導光部4から離間した位置に配置される部分X1では、図3に示すように、ローラー501,502,503を回転自在に支持する壁部505a,505bが立設されて第1ベルト部材B1と協働して第1開口部4aを閉塞するため、導光部内部への埃や異物の侵入を確実に防止することができる。但し、一方の壁部505aには、図5に示すように、孔部Gが形成されているので、第2導光部5の内部へのレーザ光L5の侵入は阻害されることは無い。また、図4に示すように、移動方向端部のローラー501,503よりも外側には、可撓性材料からなるへら部材506を配置し、ベルト部材B1の表面の埃や異物を除去できるようにしておくと良い。
【0027】
一方、上述したレーザ加工ヘッド3は、前記第2導光部5に近接した状態で、前記第2の方向Yに沿って移動駆動されるようにすると良い。その場合、レーザ加工ヘッド3と第2導光部5とは近接していれば足り、レーザ加工ヘッド3の支持は、
・ 第2導光部5以外の部材で行うようにしても、
・ 第2導光部5で行うようにしても、
どちらでも良い。また、レーザ加工ヘッド3は、サドル(図2の符号6参照)を介して第2導光部5(或いは他の支持部材)に支持されるようにすると良い。
【0028】
なお、前記レーザ加工ヘッド3が移動駆動される場合、如何なる移動位置においても前記第2導光部5からレーザ加工ヘッド3にレーザ光を取り込めるようにしておく必要がある。そのためには、第1導光部4の場合と同様に開口部(以下、“第2開口部”とする)5aやベルト部材(以下、“第2ベルト部材”とする)B2や移動ユニット(以下、“第2移動ユニット”とする)60等を設けると良い。これらの開口部やベルト部材等は上述したものとほぼ同様の構造であるため、以下に簡単に説明することとする。
【0029】
第2開口部5aは、図3に示すように、前記第2の方向Yに沿うように第2導光部5に形成すると良い。なお、図1及び図3に示すように、上述した反射ミラー504(つまり、第1導光部4からのレーザ光L4を、符号L5に示すように前記第2の方向Yに反射させるミラー)に対向する位置には第3反射手段51を配置して、レーザ光L5を第2導光部5からレーザ加工ヘッド3に取り出せるようにしておく必要がある。この第3反射手段51は、レーザ加工ヘッド3やサドル6の側に支持されていて、レーザ加工ヘッド3やサドル6と連動的に移動駆動されるように構成しておくと良い。第3反射手段51をレーザ加工ヘッド3やサドル6の側に支持させなかった場合には、第3反射手段51を移動駆動するための手段が(レーザ加工ヘッド3等を前記第2の方向Yに移動駆動する手段とは別に)必要となって構造が複雑化するが、上述のように第3反射手段51を前記レーザ加工ヘッド3の側に支持させた場合にはそのような手段は不要となり(つまり、レーザ加工ヘッド3等を前記第2の方向Yに移動駆動する手段によって第3反射手段51も移動駆動することができ)構造を簡素化できる。また、第3反射手段51を前記レーザ加工ヘッド3の側に支持させた場合にはそれらの相対位置関係は常に適正に維持されるため、第3反射手段51からレーザ加工ヘッド3にレーザ光を正確に導くことができる。
【0030】
また、第2ベルト部材B2を第2開口部5aに沿うように配置し、レーザ光を加工ヘッドの側に取り出す部分(つまり、前記レーザ加工ヘッドが近接する部分)Y1では第2開口部5aを閉塞しないようにしてレーザ光の導入を許容し、その他の部分(つまり、前記レーザ加工ヘッドが近接する部分以外)Y2では第2開口部5aを閉塞するようにしておくと良い。このように、第2開口部5aの閉塞にベルト部材B2を用いた場合には、該第2開口部5aを部分的に開口させるには第2ベルト部材B2を前記第2開口部5aから離間した位置に配置するだけで足りる。したがって、開口部の開閉を繰り返しても第2ベルト部材B2が傷みにくく、従来の蛇腹を用いる場合に比べて耐久性が向上される。
【0031】
第2導光部5を形成する部材は、図3に示すように断面が略コ字状のものとし、第2開口部5aは上側に配置すると良い。この開口部5aの両縁に沿うように、図6に示したシール部材42やマグネット43を配置しても良い。
【0032】
さらに、第2移動ユニット60は、上述した第1移動ユニット50と同様の構造にすると良い。図3中、符号601,602,603は符号501,502,503に相当するローラーを示し、符号604はレーザ光を加工ヘッドの側に導く反射ミラーを示す。また、符号605a,605bは符号505a,505bに相当する壁部を示す。
【0033】
なお、図2に示すように、レーザ加工ヘッド3及び第2導光部5の下方には、ワークWを支持するためのワーク支持部9を配置すると良い。
【0034】
ところで、上述した第1導光部4は、図1及び図2に示すように、前記レーザ光発生手段2の近傍から前記第1の方向Xに延設されている。
【0035】
また、上述した第1反射手段40は、図1に示すように、前記レーザ光発生手段2からのレーザ光L1を“該レーザ光L1が出射されてきた方向”に反射し返す(符号L3参照)リトロリフレクターとして構成されている必要がある。但し、図1に示す第1反射手段40は、入射光L1に対して45度の角度に傾けたミラー401と、その反射光L2に対して45度の角度に傾けたミラー402とにより構成されているが、このような構成に限定されるものではない。レーザ光L3の光軸と第1の方向Xとが平行になるならばミラー401,402を他の角度(例えば、30度と60度)に傾けても良く、また、3枚以上のミラーにて反射手段を構成しても良い。さらに、図1に示すミラー401,402は、Y方向に沿って隣接されているが、レーザ光が入射される方向(つまり、+X方向)と大体直交する方向であれば第2の方向に沿って隣接されていても良い。
【0036】
なお、第1反射手段40は移動可能に構成する必要があるが、その移動は第1の方向Xに沿うようにして行うと良い。その移動のためには、第1反射手段40のミラー401,402を支持部材403に支持させて、該支持部材403を第1の方向Xに沿って移動可能に構成すると良い。これらのミラーを第2導光部5から遠ざける程(符号401’,402’参照)、第1導光部4におけるレーザ光の光路長は長くなり、これらのミラー401,402を第2導光部5へ近づける程、レーザ光の光路長(第1導光部4における光路長)は短くなる。また、第1反射手段40の移動駆動は駆動手段46によって行うと良い。さらに、レーザ加工ヘッド3が移動した場合にレーザ光の光路長(レーザ光発生手段2からレーザ加工ヘッド3までの全体の光路長)が略一定となるような第1反射手段40の移動量を演算する移動量演算手段47を設け、前記駆動手段46がその演算結果に基づき第1反射手段40を移動駆動し、レーザ光発生手段2からレーザ加工ヘッド3までのレーザ光の光路長を略一定に保つようにすると良い。本発明によれば、レーザ加工ヘッド3の移動位置にかかわらずレーザ光発生手段2からレーザ加工ヘッド3までのレーザ光の光路長を略一定に保つことができ、加工品質を一定に保つことができる。
【0037】
なお、光路長調整用の第1反射手段40を第1導光部4にではなくて第2導光部5に配置することも考えられるが、その場合には、第1反射手段40を駆動する手段46も該導光部5に配置しなければならないため、それらを支持する第2導光部5は堅固なものとしなければならず、それに伴い、第2導光部5の重量が増えて、第2導光部5を移動駆動する上で障害になってしまうという問題がある。例えば、
・ 第2導光部5の駆動手段として高出力のものを使用しなければならないという問題や、
・ 第2導光部5の移動時や停止時に大きな慣性力が作用してレーザ加工ヘッド3の位置が微妙にずれてしまい、加工精度が悪くなってしまうなどの問題や、
・ 更に、図に示すレーザ加工機では、第2導光部5が、ワークWを支持するワーク支持部9(及び、符号Tで示すテーブル)を跨ぐ形で略門形に設けられているので、該長尺状の第2導光部5には、自重による撓み変形が生じてしまうおそれが高く、そのような撓み変形が生じた場合には、レーザ加工ヘッド3の位置がずれ、レーザ加工精度が悪くなってしまうなどの問題、
がある。これに対し、本発明のように、第1反射手段40を第1導光部4(テーブルTの側方に設けられた第1導光部4)に配置した場合には第2導光部5を小型化・軽量化でき、第2導光部5の移動駆動をスムーズにすることができる。
【0038】
次に、光路長調整方法について説明する。
【0039】
いま、第2導光部5が基準位置から第1方向XにΔXだけ移動し、レーザ加工ヘッド3が基準位置から第2方向YにΔYだけ移動した場合を考える。第1反射手段40を移動駆動しなければ、レーザ光発生手段2からレーザ加工ヘッド3までの光路長はその移動によって(ΔX+ΔY)だけ長くなってしまうが、第1反射手段40を(ΔX+ΔY)/2だけ第2導光部5に近付く方向(すなわち、−X方向)に移動するとレーザ光L1及びL3の光路長がいずれも(ΔX+ΔY)/2だけ短くなり、全光路長(つまり、レーザ光発生手段2からレーザ加工ヘッド3までの光路長)は略一定に維持されることとなる。
【0040】
ところで、本発明に係るレーザ加工機1は、図7に示すように、主制御部100を有しており、主制御部100にはバス線101を介して、入力部102や軸制御部103や加工プログラムメモリ104やデータベース105やシステムメモリ106などが接続されている。
【0041】
なお、入力部102は、キーボードなどでワークWの形状情報やレーザ加工ヘッド3の位置情報等を入力するためのものであり、加工プログラムメモリ104は、作成された加工プログラムを格納しておくためのものである。また、軸制御部103は、駆動手段8a,8b等を制御してレーザ加工ヘッド3を移動駆動するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明に係るレーザ加工機の概略構造を説明するための模式図である。
【図2】図2は、本発明に係るレーザ加工機の全体構造の一例を示す外観斜視図である。
【図3】図3は、第1導光部から第2導光部への光取り込み部の詳細構造を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3のE−E断面図である。
【図5】図5は、図4のF−F断面図である。
【図6】図6は、図5のシール部分の詳細断面図である。
【図7】図7は、本発明に係るレーザ加工機の制御ブロック図である。
【図8】図8は、従来のレーザ加工機の構造の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0043】
1 レーザ加工機
2 レーザ光発生手段
3 レーザ加工ヘッド
4 第1導光部
4a 第1開口部
5 第2導光部
5a 第2開口部
41 第2反射手段(反射手段)
51 第3反射手段(別の反射手段)
B1 第1ベルト部材
B2 第2ベルト部材
X 第1の方向
Y 第2の方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生させるレーザ光発生手段と、該レーザ光発生手段からのレーザ光を第1の方向に導く第1導光部と、該第1導光部からのレーザ光を第2の方向に導く第2導光部と、該第2導光部に近接して配置されると共に移動駆動されながら前記第1導光部及び前記第2導光部を通過してきたレーザ光をワークに照射するレーザ加工ヘッドと、を備えたレーザ加工機において、
前記第2導光部に支持されて、第1導光部内を前記第1の方向に通過して来たレーザ光を前記第2導光部に導き入れる反射手段を有し、
前記第2導光部は、少なくとも一部分が前記第1導光部に近接した状態で前記第1の方向に沿って移動駆動され、
前記反射手段は、前記第2導光部の側であって前記第1導光部に近接する部分に支持されていて、該第2導光部と連動的に移動駆動され、
前記第1導光部には、前記第2導光部が近接する側に前記第1の方向に沿って第1開口部が形成され、
該第1開口部に沿うように第1ベルト部材が配置され、
前記第2導光部に、前記第1ベルト部材による前記第1開口部の閉塞を部分的に解除してレーザ光の取り込みを可能とする第1移動ユニットを設け、
該第1ベルト部材は、前記第2導光部が近接する部分以外では前記第1開口部を閉塞するように配置され、前記第2導光部が近接する部分では、前記第1移動ユニットにより、前記第1開口部を閉塞しないように、前記第1導光部から離間した位置に配置されて前記第2導光部へのレーザ光の導入を許容し、
前記反射手段は、前記第1移動ユニットに支持されて、前記第1導光部の内部に突出する形で設けられており、
前記第1移動ユニットには、反射ミラーを、前記第1導光部から離間した位置に配置された状態の第1ベルト部材の前記第1開口部側に、前記反射手段から反射されたレーザ光を前記第2の方向に反射し得るように設け、
て構成したレーザ加工機。
【請求項2】
前記レーザ加工ヘッドは、前記第2導光部に近接した状態で前記第2の方向に沿って移動駆動され、
前記第2導光部から前記レーザ加工ヘッドへのレーザ光の導入は、前記レーザ加工ヘッドと共に移動する別の反射手段により行われる、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工機。
【請求項3】
前記第2導光部には、前記第2の方向に沿って第2開口部が形成され、
該第2開口部に沿うように第2ベルト部材が配置され、
該第2ベルト部材は、前記レーザ加工ヘッドが近接する部分以外では前記第2開口部を閉塞するように配置され、前記レーザ加工ヘッドが近接する部分では前記第2開口部を閉塞しないように配置されて前記レーザ加工ヘッドへのレーザ光の導入を許容するようにした、
ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−188424(P2010−188424A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103080(P2010−103080)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【分割の表示】特願2004−41240(P2004−41240)の分割
【原出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【出願人】(000114787)ヤマザキマザック株式会社 (80)
【Fターム(参考)】