説明

レーザ加工装置

【課題】容易に収束レンズが対象面に対して平行となるように設置することのできるレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】レーザ加工装置は、第1可視光L1、及び第1可視光L1と異なる波長の第2可視光L2を出射する可視光出射ユニット21と、ガルバノスキャナの作動を制御することにより、収束レンズ14を介して載置面8a内の同一直線上に配置されない第1〜第4測定位置に向けて第1及び第2可視光L1,L2を照射する制御装置とを備えた。そして、第1及び第2可視光L1,L2を収束レンズ14の異なる位置に入射させることにより、第1〜第4測定位置へ照射された第1可視光L1と第2可視光L2とを収束レンズ14から該収束レンズ14の光軸に沿った所定距離で互いに交差させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光源から出射されるレーザ光を収束レンズによって収束させて加工対象物に照射することで、同加工対象物に文字等のマーキング、孔あけ、あるいは溶接等の加工を行うレーザ加工装置がある。このように収束レンズによって収束されるレーザ光のエネルギー密度は、収束レンズからの距離に応じて変化し、その焦点距離において最も高くなる。したがって、レーザ加工装置においては、加工に適したエネルギー密度のレーザ光を加工対象物に照射するために、加工対象物と収束レンズとの間の同収束レンズの光軸(中心軸)に沿った距離(ワークディスタンス)が重要な要素となってくる。
【0003】
そのため、レーザ加工装置を設置する際には、加工対象物の加工面や加工対象物が載置される載置テーブルの載置面等の対象面と収束レンズとの距離を所定距離(例えば、レーザ光の焦点距離)に調整して設置する必要があるが、加工用のレーザ光は、通常、不可視光帯域の波長を有しているため、同レーザ光によって上記距離を調整することは困難である。そこで、別途可視光を照射することにより対象面と収束レンズとの距離を調整可能としたレーザ加工装置が従来から提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、二方向から可視光を出射させ、これら可視光が収束レンズを通過したレーザ光の焦点距離で互いに交差するように構成されたレーザ加工装置が開示されている。この構成では、加工面で各可視光のスポットが重なるように同加工面と収束レンズとの距離を調整することで、容易に当該距離を焦点距離に設定することができる。また、例えば特許文献2には、基準目盛線を加工面に投射するとともに、収束レンズと加工面との距離に応じた基準目盛線の目盛りを可視光が照射するように構成されたレーザ加工装置が開示されている。この構成では、可視光が所定の目盛りを照射するように加工面と収束レンズとの距離を調整することで、容易に当該距離を焦点距離又は焦点距離以外の所望の距離にばらつきなく設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−114085号公報
【特許文献2】特許4194458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、対象面に対して収束レンズが傾斜した状態、すなわち収束レンズの光軸が対象面に対して直交しない状態でレーザ加工装置が設置されると、同対象面上における位置によってその光軸に沿った収束レンズとの距離が異なってしまい、例えば加工ムラ等を招く虞がある。そのため、レーザ加工装置を設置する際には、対象面と収束レンズとの距離を所定距離に調整するとともに、収束レンズ(主にレーザ出射面)が対象面に対して平行となる、すなわち収束レンズの光軸が対象面に対して直交するように調整する必要がある。
【0007】
しかし、上記各従来の構成では、いずれも可視光を特定箇所(特定領域)に照射するのみであるため、レーザ加工装置を設置する際に、対象面における可視光が照射された当該箇所と収束レンズとの距離は調整できるものの、収束レンズが対象面に対して平行となるように調整することができず、この点においてなお改善の余地があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、容易に収束レンズが対象面に対して平行となるように設置することのできるレーザ加工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、加工用のレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されるレーザ光を第1の方向に走査する第1走査ミラー及び該第1走査ミラーからのレーザ光を前記第1の方向と直交する第2の方向に走査する第2走査ミラーを有する光走査手段と、前記第2走査ミラーからのレーザ光を収束して加工対象物上に照射する収束レンズと、を備えたレーザ加工装置において、可視光帯域の波長を有する第1可視光、及び前記第1可視光と異なる可視光帯域の波長を有する第2可視光を出射する可視光出射手段と、前記光走査手段の作動を制御することにより、前記収束レンズを介して対象面内の同一直線上に配置されない少なくとも3箇所以上の測定位置に向けて前記第1及び第2可視光を照射する制御手段と、を備え、前記第1及び第2可視光を前記収束レンズの異なる位置に入射させることにより、前記各測定位置へ照射された前記第1可視光と前記第2可視光とを前記収束レンズから該収束レンズの光軸に沿った所定距離で互いに交差させることを要旨とする。
【0010】
上記構成によれば、対象面内の各測定位置で第1可視光と第2可視光とが重なるように対象面と収束レンズとの距離を調整することで、同一直線上にない少なくとも3箇所の測定位置と収束レンズとの間の同収束レンズの光軸に沿った距離をそれぞれ所定距離に設定することができる。ここで、同一直線上にない3点があれば面が構成されることから、対象面内における少なくとも3箇所での収束レンズまでの距離を一致させることで、収束レンズを対象面に対して平行に配置することができる。また、上記構成では、第1可視光の波長(色)と第2可視光の波長(色)とが異なるため、第1可視光と第2可視光とが重なったときに色が変化する。これにより、各測定位置で第1可視光と第2可視光とが重なっているか否かを精度良く判定することができる。さらに、上記構成では、光走査手段によって第1及び第2可視光を走査することで、これら第1及び第2可視光を各測定位置に照射するため、測定位置の数を増やしても、部品点数が増加することを抑制できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段は、前記各測定位置に前記第1及び第2可視光を照射する際に、前記可視光出射手段から前記第1及び第2可視光を同時に出射させるとともに、前記第1及び第2可視光を同時に走査するものであり、前記第1可視光と前記第2可視光とが互いに異なる光路を進行するように前記可視光出射手段を構成することにより、前記第1及び第2可視光の前記収束レンズへの入射位置を異ならせ、前記所定距離で前記第1可視光と前記第2可視光とを互いに交差させることを要旨とする。
【0012】
上記構成によれば、第1及び第2可視光を1箇所の測定位置に向けて照射している間に、第1及び第2走査ミラーの位置を固定できるため、対象面と収束レンズとの距離を調整する際の消費電力が増大することを抑制できる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のレーザ加工装置において、前記可視光出射手段を回転させる回転駆動手段を備え、前記制御手段は、前記回転駆動手段を作動させることにより、前記各測定位置に前記第1及び第2可視光を照射する際に、前記第1及び第2可視光のうち波長の短い方を波長の長い方よりも前記収束レンズの光軸から遠い位置に入射させることを要旨とする。
【0014】
通常、光は、その波長が短いほど屈折率が大きくなる一方、その波長が長いほど屈折率が小さくなる。そのため、波長の短い光が波長の長い光よりも収束レンズの光軸に近い位置に入射すると、これらの光は、収束レンズからどれだけ離れても交差しなくなる。したがって、例えば第1可視光の波長が第2可視光の波長よりも短い場合には、第1可視光を第2可視光よりも収束レンズの光軸から遠い位置に入射させる必要がある。一方、第1及び第2可視光を光走査手段によって同時に走査する場合、同光走査手段のみでは、第1可視光と第2可視光との相対的な位置関係を変更できない。そのため、第1可視光の入射位置が第2可視光の入射位置よりも収束レンズの光軸から遠い位置となる収束レンズの範囲はその略半分の範囲となり、各測定位置同士が互いに近接することになる。
【0015】
この点、上記構成によれば、回転駆動手段によって、各測定位置で常に波長の短い可視光が波長の長い可視光よりも収束レンズの光軸から遠い位置に入射されるように、可視光出射手段が回転して第1可視光と第2可視光との相対的な位置関係が変更される。これにより、波長の短い可視光の入射位置が波長の長い可視光の入射位置よりも収束レンズの光軸から遠い位置となる収束レンズの範囲を、同収束レンズの略全範囲とすることが可能となり、各測定位置同士を互いに大きく離間させ、より高精度に収束レンズを対象面に対して平行に配置することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のレーザ加工装置において、前記制御手段は、前記各測定位置に前記第1及び第2可視光を照射する際に、前記可視光出射手段から前記第1可視光と前記第2可視光とを交互に出射させるとともに、前記第1可視光と前記第2可視光とを異なる方向に走査することにより、前記第1及び第2可視光の前記収束レンズへの入射位置を異ならせ、前記所定距離で前記第1可視光と前記第2可視光とを互いに交差させることを要旨とする。
【0017】
上記構成では、第1可視光と第2可視光との出射の切り替えを素早く行うことで、作業者には、残像効果により第1可視光と第2可視光とが重なって見えるようになるため、同時に第1可視光と第2可視光とを出射せずとも、各測定位置で第1可視光と第2可視光とが重なるように対象面と収束レンズとの距離を調整することが可能になる。そして、制御手段は、第1可視光と第2可視光とを異なる方向に別々に走査するため、例えば第1走査ミラーに入射する前の第1可視光と第2可視光とが同軸上を進行するように可視光出射手段を構成してもよくなり、設計の自由度を高めることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前記所定距離での前記第1及び第2可視光のビーム径が互いに等しくなるように該第1及び第2可視光の少なくとも一方を成形する光成形手段を備えたことを要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、各測定位置で第1可視光と第2可視光とが重なっているか否かをより精度良く判定することができるようになる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前記可視光出射手段は、前記第1及び第2可視光の少なくとも一方の波長を変更可能に構成され、前記第1及び第2可視光の少なくとも一方の波長を選択する可視光色選択手段を備えたことを要旨とする。
【0020】
ここで、例えば対象面の色が第1可視光と第2可視光とが重なった状態の色と同じである場合には、測定位置で第1可視光と第2可視光とが重なっているか否かの判断が困難になる。この点、上記構成によれば、対象面の色に応じて第1及び第2可視光の少なくとも一方の波長(色)を変えることで、対象面の色によらず、各測定位置で第1可視光と第2可視光とが重なっているか否かを精度良く判定することができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、前記各測定位置を設定する測定位置設定手段を備えたことを要旨とする。
ここで、例えば対象面に凹凸がある場合、収束レンズが対象面に対して平行に配置されていても、測定位置が凹凸上に設定されていると、同測定位置では第1可視光と第2可視光とが重ならない。この点、上記構成によれば、測定位置を変更することができるため、少なくとも3箇所の測定位置を同一平面上に設定することができ、対象面に凹凸があっても、収束レンズを対象面に対して平行に配置することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、容易に収束レンズが対象面に対して平行となるように設置することのできるレーザ加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】レーザ加工装置の概略構成を示す模式図。
【図2】第1実施形態のレーザ加工装置のブロック図。
【図3】載置面上での各測定位置を示す説明図。
【図4】第1実施形態の可視光出射ユニットの概略構成を示す模式図。
【図5】第1実施形態の第1測定位置へ第1及び第2可視光を照射した状態を示す模式図。
【図6】第1実施形態の第3測定位置へ第1及び第2可視光を照射した状態を示す模式図。
【図7】第2実施形態の可視光出射ユニットの概略構成を示す模式図。
【図8】第2実施形態の第1測定位置へ第1可視光を照射した状態を示す模式図。
【図9】第2実施形態の第1測定位置へ第2可視光を照射した状態を示す模式図。
【図10】第2実施形態の第1測定位置へ第1及び第2可視光を交互に照射した状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、レーザ加工装置1は、コントローラ2と、コントローラ2にファイバケーブル3及び電気ケーブル4を介して接続された略直方体状のヘッド5と、コントローラ2に電気ケーブル6を介して接続されたコンソール7とを備えている。ヘッド5の下面には、レーザ光Lkを出射する窓部5aが設けられており、ヘッド5は、載置テーブル8の載置面8a上に載置された加工対象物Wの加工面Waと対向するように設置されている。そして、レーザ加工装置1は、ヘッド5からレーザ光Lkを出射することにより、加工面Waに所望の文字、図形、記号及びこれらの結合(以下、文字等という)をマーキング加工するように構成されている。
【0025】
詳述すると、図2に示すように、コントローラ2は、ファイバケーブル3を介して加工用のレーザ光をヘッド5に出射するレーザ光源(例えば、ファイバレーザ発振器)11を備えている。一方、ヘッド5は、ファイバケーブル3を介して入射されるレーザ光Lkのビーム径を拡大するビームエキスパンダ12を備えている。また、ヘッド5は、ビームエキスパンダ12で拡大されたレーザ光Lkを走査させる光走査手段としてのガルバノスキャナ13と、ガルバノスキャナ13からのレーザ光Lkを加工面Waにおいて所定のスポット径に収束させて加工に適したエネルギー密度まで高める収束レンズ(fθレンズ)14とを備えている。
【0026】
ガルバノスキャナ13は、ビームエキスパンダ12からのレーザ光Lkを反射して走査させる第1ガルバノミラー15X、第1ガルバノミラー15Xからのレーザ光Lkを反射して走査させる第2ガルバノミラー15Y、及びこれら第1及び第2ガルバノミラー15X,15Yをそれぞれ回動させる第1及び第2ガルバノモータ16X,16Yを有している。そして、第1及び第2ガルバノモータ16X,16Yは、第1及び第2ガルバノミラー15X,15Yを互いに略直交する軸を中心としてそれぞれ回動させることにより、レーザ光Lkを二次元的に走査させるようになっている。
【0027】
詳しくは、第1ガルバノミラー15Xは、第1ガルバノモータ16Xの駆動に応じて回動することで、加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lkを第1の方向(X方向、図1参照)に走査させる。また、第2ガルバノミラー15Yは、第2ガルバノモータ16Yの駆動により回動することで、加工対象物Wに向けて照射するレーザ光LkをX方向と直交する第2の方向(Y方向、図1参照)に走査させる。これにより、加工対象物Wに向けて照射するレーザ光Lkは、加工対象物Wの加工面Wa上でX方向及びY方向に走査されるようになっている。つまり、本実施形態では、第1ガルバノミラー15Xが第1走査ミラーに相当し、第2ガルバノミラー15Yが第2走査ミラーに相当する。
【0028】
コンソール7には、印字後のイメージや設定情報等が表示される表示部7aと、レーザ加工装置1の各種設定を行うためのボタンを有する操作部7bとが設けられている。そして、作業者は、操作部7bの操作を通じて各種設定を変更可能となっている。
【0029】
コントローラ2は、レーザ加工装置1を統括的に制御する制御手段としての制御装置17を備えている。制御装置17は不揮発性のメモリ18を備えており、メモリ18には、印字される文字等のマーキング情報が予め記憶されている。なお、このマーキング情報には、文字等を構成する各線分の始点及び終点の座標値、及びレーザ光Lkの照射により形成される線分の太さ等の情報が含まれる。
【0030】
制御装置17は、コンソール7の表示部7a及び操作部7bと電気ケーブル6を介して接続されており、同制御装置17には、操作部7bから作業者によって設定された各種情報が入力される。また、制御装置17は、レーザ光源11、及び第1及び第2ガルバノモータ16X,16Yと接続されている。そして、制御装置17は、設定された各種情報に基づいてレーザ光源11を駆動してレーザ光Lkを出射させるとともに、第1及び第2ガルバノモータ16X,16Yの駆動を制御することで収束レンズ14を通じて収束されたレーザ光Lkを加工対象物Wの加工面Wa上で二次元的に走査させる。これにより、レーザ光Lkの走査軌跡に沿う文字等が加工面Wa上にマーキング加工される構成となっている。
【0031】
ここで、上記レーザ加工装置1においては、加工に適したエネルギー密度のレーザ光Lkを加工対象物Wに照射するために、加工対象物Wと収束レンズ14との間の同収束レンズ14の光軸(中心軸)Aに沿った距離が重要な要素となる。そのため、レーザ加工装置1のヘッド5を設置する際には、対象面と収束レンズ14との距離を所定距離に調整するとともに、収束レンズ14(主にレーザ出射面)が対象面に対して平行となる、すなわち収束レンズ14の光軸が対象面に対して直交するように調整して設置する必要がある。
【0032】
なお、本実施形態では、載置テーブル8の載置面8aを対象面としてヘッド5を設置する。また、ヘッド5は、X方向及びY方向と平行な各軸を中心として回動可能であるとともに、X方向及びY方向と直交する方向(載置テーブル8に対して接離する方向)の位置を調整可能なブラケット(図示略)を介して載置テーブル8の上方に設置されており、その位置が調整可能となっている。さらに、載置テーブル8は、載置面8aをX方向及びY方向と平行な各軸を中心として傾斜可能であるとともに、X方向及びY方向と直交する方向に変位可能に構成されている。
【0033】
この点を踏まえ、ヘッド5には、可視光帯域の波長を有する第1可視光L1、及び第1可視光L1と異なる可視光帯域の波長を有する第2可視光L2を出射する可視光出射ユニット21と、第1及び第2可視光L1,L2をレーザ光Lkと合流させてガルバノスキャナ13に入射させる第1の合流手段としてのハーフミラー22とが設けられている。また、制御装置17は、ガルバノスキャナ13の作動を制御することにより、図3に示すように、収束レンズ14を介して載置面8a内における印字エリアの4隅の第1〜第4測定位置S1〜S4(同図において、破線で囲んだ部分)に向けて第1及び第2可視光L1,L2を照射する。なお、図3において、印字エリアの外縁を模式的に二点鎖線で示す。そして、レーザ加工装置1は、第1及び第2可視光L1,L2を収束レンズ14の異なる位置に入射させることにより、第1〜第4測定位置S1〜S4へ照射された第1可視光L1(の光軸)と第2可視光L2(の光軸)とが収束レンズ14からその光軸に沿った所定距離で互いに交差するように構成されている。なお、本実施形態では、所定距離は、収束レンズ14を通過したレーザ光Lkの焦点距離に設定されている。
【0034】
詳述すると、図4に示すように、可視光出射手段としての可視光出射ユニット21は、略直方体状のハウジング31と、第1可視光L1を出射する第1可視光源32と、第2可視光L2を出射する第2可視光源33とを備えている。第1可視光源32は、緑色の光を発するレーザダイオード32a、及び青色の光を出射するレーザダイオード32bを有しており、これらレーザダイオード32a,32bが発する光を第1可視光L1として出射する。また、第2可視光源33は、赤色の光を発するレーザダイオード33aを有しており、同レーザダイオード33aが発する光を第2可視光L2として出射する。したがって、第1可視光源32は、レーザダイオード32a,32bのいずれから光を出射させるかによって第1可視光L1の色(波長)を変更可能に構成されている。なお、第1可視光L1は、レーザダイオード32a,32bのいずれから出射されるかによって、厳密にはその光軸が若干異なるが、レーザダイオード32a,32bは極めて近接して配置されているため、同軸上を進行するものとみなせる。
【0035】
第1可視光源32は、ハウジング31の上面31aに設けられ、第2可視光源33は、ハウジング31の上面31aと直交する側面31bに設けられている。ハウジング31内には、第1可視光L1の進行方向と第2可視光L2の進行方向とを揃える第2の合流手段としてのダイクロイックミラー35が設けられている。ダイクロイックミラー35には、第1可視光L1を透過するとともに、第2可視光L2を反射するものが用いられている。
【0036】
また、ハウジング31内には、第1可視光源32とダイクロイックミラー35との間に配置されて第1可視光L1のビーム径を調整する第1光成形器36と、第2可視光源33とダイクロイックミラー35との間に配置されて第2可視光L2のビーム径を調整する第2光成形器37とが設けられている。第1及び第2光成形器36,37は、ビーム径を拡大する拡散レンズ及びビーム径を縮小させる収束レンズからそれぞれ構成されており、第1可視光L1及び第2可視光L2のビーム径を調整可能に構成されている。具体的には、第1及び第2光成形器36,37は、第1可視光L1の第2可視光L2と交差する位置でのビーム径と、第2可視光L2の第1可視光L1と交差する位置でのビーム径とが同一となるようにそれぞれ第1及び第2可視光L1,L2を成形するようになっている。つまり、本実施形態では、第1及び第2光成形器36,37により光成形手段が構成されている。
【0037】
したがって、第1可視光L1は第1光成形器36によりビーム径が調整されてからダイクロイックミラー35を透過してハーフミラー22に入射し、第2可視光L2は第2光成形器37によりビーム径が調整されてからダイクロイックミラー35で反射されてハーフミラー22に入射する。そして、これら第1及び第2可視光L1,L2は、ハーフミラー22で反射された後、ガルバノスキャナ13で走査されて収束レンズ14へ入射する。
【0038】
ここで、可視光出射ユニット21は、第1可視光L1と第2可視光L2とが互いに平行な異なる光路(光軸上)を進行するように構成されており、第1及び第2可視光L1,L2の収束レンズ14への入射位置が異なるようになっている。具体的には、第1及び第2可視光L1,L2の収束レンズ14への入射位置のズレが、収束レンズ14から所定距離で第1可視光L1と第2可視光L2とが互いに交差するようなズレとなるように、第2可視光源33がハウジング31の側面31bに設けられている。なお、本実施形態では、第1可視光源32は、ハーフミラー22において、第1可視光L1の光軸がレーザ光Lkの光軸と同軸となるようにハウジング31の上面31aに固定されている。また、第1及び第2可視光源32,33は、第1及び第2可視光L1,L2が上面31a及び側面31bと直交する同一の平面内に含まれるようにハウジング31に設置されている。
【0039】
また、可視光出射ユニット21は、ハウジング31を第1可視光L1の光軸を中心として回転させる回転駆動手段としてのモータ38と、ハウジング31の回転位置を検出する回転センサ39とを備えている。なお、本実施形態の回転センサ39は、図示しないフォトマイクロセンサと、ハウジング31に第1可視光L1の光軸を中心として90度間隔で設けられた突起とからなり、ハウジング31の回転により突起がフォトマイクロセンサと対向することでその出力信号が変化し、90度間隔でハウジング31の回転位置を検出可能に構成されている。
【0040】
図2に示すように、レーザ加工装置1は、コンソール7の操作部7bを操作することにより、マーキング加工を行う加工モードと、ヘッド5(収束レンズ14)と載置面8aとの距離を調整する調整モードとを変更可能になっている。調整モードでは、第1及び第2可視光L1,L2を第1〜第4測定位置S1〜S4のいずれに照射するかを切り換え可能に構成されている。また、調整モードでは、第1可視光源32から出射される第1可視光L1の色を緑色又は青色に選択可能に構成されている。さらに、調整モードでは、印字エリアにおける第1〜第4測定位置S1〜S4を設定可能に構成されている。つまり、本実施形態では、コンソール7が可視光色選択手段及び測定位置設定手段として機能する。
【0041】
そして、制御装置17は、第1〜第4測定位置S1〜S4に第1及び第2可視光L2を照射する際に、可視光出射ユニット21から第1及び第2可視光L2の双方を出射させるとともに、ガルバノスキャナ13の作動を制御することにより、第1及び第2可視光L2を同時に走査する。これにより、上記のように第1及び第2可視光L1,L2の収束レンズ14への入射位置が異なるため、図5に示すように、収束レンズ14から所定距離で第1及び第2可視光L1,L2が交差する。このとき、載置面8aにおける第1測定位置S1と収束レンズ14との距離が所定距離(レーザ光Lkの焦点距離)よりも短いと、第1可視光L1のスポットL1aが第2可視光L2のスポットL2aよりも光軸Aから遠い位置に照射される。一方、第1測定位置S1と収束レンズ14との距離が所定距離よりも長いと、第1可視光L1のスポットL1aが第2可視光L2のスポットL2aよりも光軸Aに近い位置に照射される。そして、第1測定位置S1と収束レンズ14との光軸に沿った距離が所定距離と一致すると、第1可視光L1のスポットL1aと第2可視光L2のスポットL2aとが重なって照射される。なお、載置面8aと収束レンズ14との距離と、スポットL1aとスポットL2aとの相対的な位置関係は、図6に示すように第3測定位置S3に第1及び第2可視光L1,L2を照射する場合にも同様となる。また、説明の便宜上、図示は省略するが、第2測定位置S2又は第4測定位置S4に第1及び第2可視光L1,L2を照射する場合にも同様となる。
【0042】
また、制御装置17は、第1〜第4測定位置S1〜S4に第1及び第2可視光L1,L2を照射する際に、波長の短い第1可視光L1の収束レンズ14への入射位置が、波長の長い第2可視光L2の収束レンズ14の入射位置よりもその光軸Aから遠い位置となるようにモータ38の作動を制御する。
【0043】
詳しくは、制御装置17は、測定位置を変更する際に、変更される前後の測定位置間の光軸Aを中心とした角度変化分だけ、第1可視光L1の光軸を中心として可視光出射ユニット21を回転させる。より具体的には、例えば図5に示す第1測定位置S1へ照射する状態から、同第1測定位置S1と対角線上にある第3測定位置S3へ照射方向を変更する際には、図6に示すように、可視光出射ユニット21を180度回転させる。同様に、例えば第1測定位置S1から第2測定位置S2へ変える場合には、90度回転させ、第1測定位置S1から第4測定位置S4へ変える場合には、270度回転させる。
【0044】
次に、ヘッドを設置する際の収束レンズと載置面との距離の調整について説明する。
ヘッド5を設置する際には、作業者がコンソール7を操作して調整モードとし、第1〜第4測定位置S1〜S4のいずれか1つを選択して、第1及び第2可視光L2を照射する。そして、作業者は、第1可視光L1のスポットL1aと第2可視光L2のスポットL2aとが重なるようにヘッド5の姿勢等を変える。続いて、第1可視光L1のスポットL1aと第2可視光L2のスポットL2aとが重なったら、別の測定位置に第1及び第2可視光L1,L2を照射させ、同様にして第1可視光L1のスポットL1aと第2可視光L2のスポットL2aとが重なるようにヘッド5の姿勢等を変える。そして、第1〜第4測定位置S1〜S4のすべてで、第1可視光L1のスポットL1aと第2可視光L2のスポットL2aとが重なるようにすることで、載置面8aと収束レンズ14との距離が所定距離になるとともに、収束レンズ14が載置面8aに対して平行となるようになっている。
【0045】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)レーザ加工装置1は、第1及び第2可視光L1,L2を出射する可視光出射ユニット21と、ガルバノスキャナ13の作動を制御することにより載置面8a内の同一直線上に配置されない第1〜第4測定位置S1〜S4に向けて第1及び第2可視光L1,L2を照射する制御装置17とを備えた。そして、可視光出射ユニット21から出射される第1及び第2可視光L1,L2を収束レンズ14の異なる位置に入射させることにより、第1〜第4測定位置S1〜S4へ照射された第1可視光L1と第2可視光L2とを収束レンズ14から該収束レンズ14の光軸Aに沿った所定距離で互いに交差させるようにした。
【0046】
上記構成によれば、載置面8a内の第1〜第4測定位置S1〜S4で第1可視光L1と第2可視光L2とが重なるように載置面8aと収束レンズ14との距離を調整することで、同一直線上にない第1〜第4測定位置S1〜S4と収束レンズ14との間の光軸Aに沿った距離をそれぞれ所定距離に設定することができる。ここで、同一直線上にない3点があれば面が構成されることから、載置面8a内における4箇所での収束レンズ14までの距離を一致させることで、収束レンズ14を載置面8aに対して平行に配置することができる。また、上記構成では、第1可視光L1の波長(色)と第2可視光L2の波長(色)とが異なるため、第1可視光L1と第2可視光L2とが重なったときに色が変化する。これにより、第1〜第4測定位置S1〜S4で第1可視光L1と第2可視光L2とが重なっているか否かを精度良く判定することができる。さらに、上記構成では、ガルバノスキャナ13によって第1及び第2可視光L1,L2を走査することで、これら第1及び第2可視光L1,L2を第1〜第4測定位置S1〜S4に照射するため、測定位置の数を増やしても、部品点数が増加することを抑制できる。
【0047】
(2)制御装置17は、第1〜第4測定位置S1〜S4に第1及び第2可視光L1,L2を照射する際に、可視光出射ユニット21から第1及び第2可視光L1,L2の双方を出射させるとともに、第1及び第2可視光L1,L2を同時に走査するようにした。そして、第1可視光L1と第2可視光L2とを互いに平行な異なる光路を進行するように可視光出射ユニット21を構成することにより、第1及び第2可視光L1,L2の収束レンズ14への入射位置を異ならせ、所定距離で第1可視光L1と第2可視光L2とを互いに交差させるようにした。
【0048】
上記構成によれば、第1及び第2可視光L1,L2を1箇所の測定位置に向けて照射している間に、第1及び第2ガルバノミラー15Yの位置を固定できるため、載置面8aと収束レンズ14との距離を調整する際の消費電力が増大することを抑制できる。
【0049】
(3)制御装置17は第1〜第4測定位置S1〜S4に第1及び第2可視光L1,L2を照射する際に、波長の短い第1可視光L1が波長の長い第2可視光L2よりも収束レンズ14の光軸Aから遠い位置に入射するようにモータ38の作動を制御するようにした。
【0050】
通常、光は、その波長が短いほど屈折率が大きくなる一方、その波長が長いほど屈折率が小さくなる。そのため、波長の短い光が波長の長い光よりも収束レンズ14の光軸Aに近い位置に入射すると、これらの光は、収束レンズ14からどれだけ離れても交差しなくなる。したがって、本実施形態では、第1可視光L1を第2可視光L2よりも収束レンズ14の光軸から遠い位置に入射させる必要がある。一方、本実施形態のように第1及び第2可視光L1,L2をガルバノスキャナ13によって同時に走査する場合、同ガルバノスキャナ13のみでは、第1可視光L1と第2可視光L2との相対的な位置関係を変更できない。この点、上記構成によれば、モータ38によって、第1〜第4測定位置S1〜S4で常に第1可視光L1が第2可視光L2よりも収束レンズ14の光軸Aから遠い位置に入射するように、可視光出射ユニット21が回転して第1可視光L1と第2可視光L2との相対的な位置関係が変更される。これにより、第1可視光L1の入射位置が第2可視光L2の入射位置よりも収束レンズ14の光軸Aから遠い位置となる収束レンズ14の範囲を、収束レンズ14の略全範囲とすることが可能となり、第1〜第4測定位置S1〜S4同士を互いに大きく離間させ、より高精度に収束レンズ14を載置面8aに対して平行に配置することができる。
【0051】
(4)所定距離での第1及び第2可視光L1,L2のビーム径が互いに等しくなるようにこれら第1及び第2可視光L1,L2を成形する第1及び第2光成形器36,37を備えたため、第1〜第4測定位置S1〜S4で第1可視光L1と第2可視光L2とが重なっているか否かをより精度良く判定することができるようになる。
【0052】
(5)可視光出射ユニット21は、第1可視光L1の色を変更可能に構成し、コンソール7によって同第1可視光L1の色を選択できるようにした。
ここで、例えば載置面8aの色が第1可視光L1と第2可視光L2とが重なった状態の色と同じである場合には、測定位置で第1可視光L1と第2可視光L2とが重なっているか否かの判断が困難になる。この点、上記構成によれば、載置面8aの色に応じて第1可視光L1の色を変えることで、載置面8aの色によらず、第1〜第4測定位置S1〜S4で第1可視光L1と第2可視光L2とが重なっているか否かを精度良く判定することができる。
【0053】
(6)コンソール7によって印字エリア内における第1〜第4測定位置S1〜S4を設定(変更)できるようにした。
ここで、例えば載置面8aに凹凸がある場合、収束レンズ14が載置面8aに対して平行に配置されていても、測定位置が凹凸上に設定されていると、同測定位置では第1可視光L1と第2可視光L2とが重ならない。この点、上記構成によれば、測定位置を変更することができるため、第1〜第4測定位置S1〜S4を同一平面上に設定することができ、載置面8aに凹凸があっても、収束レンズ14を載置面8aに対して平行に配置することができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。なお、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図7に示すように、可視光出射ユニット21は、第1可視光L1と第2可視光L2とが同軸上を進行するように構成されている。具体的には、第2可視光源33は、ハウジング31の側面31bにおいて、ダイクロイックミラー35で第2可視光L2が第1可視光L1と同軸となるように合流する位置に設置されている。なお、本実施形態の可視光出射ユニット21は、モータ38及び回転センサ39を有していない。
【0056】
制御装置17は、第1〜第4測定位置S1〜S4に第1及び第2可視光L1,L2を照射する際に、可視光出射ユニット21から第1可視光L1と第2可視光L2とを交互に出射させる。そして、制御装置17は、第1可視光L1と第2可視光L2とを異なる方向に走査することにより、所定距離で第1可視光L1の光路と第2可視光L2の光路とが互いに交差するように、第1及び第2可視光L1,L2の収束レンズ14への入射位置を異ならせる。なお、制御装置17は、残像効果により、載置面8a上に交互に照射された第1及び第2可視光L1,L2が同時に見える程度の速度で、第1可視光L1と第2可視光L2との出射を切り換える。
【0057】
詳しくは、ある瞬間には、図8に示すように、可視光出射ユニット21からは第1可視光L1のみが出射され、制御装置17は、第1可視光L1をガルバノスキャナ13により走査して収束レンズ14へ入射させる。また、別の瞬間には、図9に示すように、可視光出射ユニット21からは第2可視光L2のみが出射され、制御装置17は、第2可視光L2をガルバノスキャナ13により走査して収束レンズ14における第1可視光L1とは異なる位置へ入射させる。これにより、図10に示すように、交互に照射される第1及び第2可視光L1,L2が収束レンズ14から所定距離で交差するようになっている。
【0058】
なお、ヘッド5を設置する際の収束レンズ14と載置面8aとの距離の調整は、上記第1実施形態と同様の手順で行われる。
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1),(4)〜(6)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
【0059】
(7)制御装置17は、第1〜第4測定位置S1〜S4に第1及び第2可視光L1,L2を照射する際に、可視光出射ユニット21から第1可視光L1と第2可視光L2とを交互に出射させるようにした。そして、制御装置17は、第1可視光L1と第2可視光L2とを異なる方向に走査することにより、第1及び第2可視光L1,L2の収束レンズ14への入射位置を異ならせ、所定距離で第1可視光L1と第2可視光L2とを互いに交差させるようにした。
【0060】
上記構成では、残像効果により第1可視光L1と第2可視光L2とが重なって見えるようになるため、同時に第1可視光L1と第2可視光L2とを出射せずとも、第1〜第4測定位置S1〜S4で第1可視光L1と第2可視光L2とが重なるように載置面8aと収束レンズ14との距離を調整することが可能になる。そして、制御装置17は、第1可視光L1と第2可視光L2とを異なる方向に別々に走査するため、本実施形態のように第1ガルバノミラー15Xに入射する前の第1可視光L1と第2可視光L2とが同軸上を進行するように可視光出射ユニット21を構成してもよくなり、設計の自由度を高めることができる。
【0061】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
・上記第1実施形態では、可視光出射ユニット21を第1可視光L1と第2可視光L2とが互いに平行な異なる光路を進行するように構成したが、これに限らず、第1可視光L1と第2可視光L2とが異なる光路を進行すれば、これらの光路は互いに平行でなくてもよい。
【0062】
・上記第1実施形態では、制御装置17は、測定位置を変更する際に、変更される前後の測定位置間の光軸Aを中心とした角度変化分だけ、第1可視光L1の光軸を中心として可視光出射ユニット21を回転させるようにした。しかし、これに限らず、第2可視光L2の収束レンズ14への入射位置が、第1可視光L1の収束レンズ14の入射位置よりもその光軸Aから遠い位置となれば、どのように回転させてもよい。
【0063】
・上記第1実施形態では、モータ38が可視光出射ユニット21を第1可視光L1の光軸を中心として回転させるようにしたが、これに限らず、第1及び第2可視光L1,L2の光軸と平行な他の軸を中心として回転させるようにしてもよい。
【0064】
・上記第1実施形態では、フォトマイクロセンサを用いて回転センサ39を構成したが、これに限らず、例えばロータリーエンコーダやレゾルバ等により回転センサ39を構成してもよい。
【0065】
・上記第1実施形態では、可視光出射ユニット21を第1〜第4測定位置S1〜S4の切り換えに応じて回転させたが、これに限らず、可視光出射ユニット21が回転しない構成としてもよい。なお、この場合には、ガルバノスキャナ13のみでは、第1可視光L1と第2可視光L2との相対的な位置関係を変更できないため、第1可視光L1の入射位置が第2可視光L2の入射位置よりも収束レンズ14の光軸Aから遠い位置となる収束レンズ14範囲は、同収束レンズの略半分の範囲となる。
【0066】
・上記第2実施形態において、可視光出射ユニット21を回転させるモータを設けてもよい。
・上記第2実施形態では、第1可視光L1と第2可視光L2とが同軸上を進行するように可視光出射ユニット21を構成したが、これに限らず、第1可視光L1と第2可視光L2とが異なる光路を進行するように構成してもよい。
【0067】
・上記第2実施形態において、可視光出射ユニット21に第2可視光源33を設けず、第1可視光源32のレーザダイオード32aから第1可視光L1を出射させるとともに、レーザダイオード32bから第2可視光L2を出射させてもよい。
【0068】
・上記各実施形態では、第1可視光源32をハウジング31の上面31aに設け、第2可視光源33を側面31bに設けたが、これに限らず、例えばハウジング31の上面31aに第1及び第2可視光源32,33を設けてもよい。
【0069】
・上記各実施形態では、第1可視光L1を緑色又は青色とし、第2可視光L2を赤色としたが、これに限らず、第1可視光L1の色(波長)と第2可視光L2の色(波長)が異なれば、第1及び第2可視光L1,L2の色は、適宜設定可能である。
【0070】
・上記各実施形態では、第1可視光源32が異なる色を発するレーザダイオード32a,32bを有し、第1可視光L1の色のみを変更可能にしたが、これに限らず、第2可視光L2の色のみ、又は第1及び第2可視光L1,L2の双方を変更可能にしてもよい。また、第1及び第2可視光L1,L2の変更可能な色の数や種類は、適宜設定可能である。なお、第1及び第2可視光L1,L2の色を変更できない構成としてもよい。
【0071】
・上記各実施形態では、所定距離での第1及び第2可視光L1,L2のビーム径が互いに等しくなるようにこれら第1及び第2可視光L1,L2の双方を成形したが、これに限らず、第1及び第2可視光L1,L2のいずれか一方のみを成形してもよい。また、所定距離での第1及び第2可視光L1,L2のビーム径が互いに異なっていてもよい。
【0072】
・上記各実施形態では、第1及び第2光成形器36,37を拡散レンズ及び収束レンズにより構成としたが、これに限らず、例えば一対の収束レンズやコリメートレンズ等により第1及び第2光成形器36,37を構成してもよい。
【0073】
・上記各実施形態では、所定距離での第1及び第2可視光L1,L2のビーム径が互いに等しくなるようにこれら第1及び第2可視光L1,L2を成形する第1及び第2光成形器36,37を設けたが、これに限らず、これら第1及び第2光成形器36,37を設けなくともよい。
【0074】
・上記各実施形態では、第1の合流手段としてハーフミラー22を用いたが、これに限らず、ビームスプリッタやダイクロイックミラーを用いてもよい。同様に、第2の合流手段としてハーフミラーやビームスプリッタを用いてもよい。
【0075】
・上記各実施形態において、第1ガルバノミラー15X及び第2ガルバノミラー15Yのいずれか一方に代えて、例えば多角柱状のポリゴンミラー等を用いてもよい。
・上記各実施形態では、第1〜第4測定位置S1〜S4の位置を設定可能に構成したが、これに限らず、予め定められた測定位置にしか第1及び第2可視光L1,L2を照射できないようにしてもよい。
【0076】
・上記各実施形態では、作業者がコンソール7を操作することにより、第1及び第2可視光L1,L2を照射する測定位置が切り換わるようにしたが、これに限らず、例えば所定時間間隔で自動的に測定位置が切り替わるようにしてもよい。
【0077】
・上記各実施形態において、測定位置の数は、同一直線上に配置されない測定位置の数が3箇所以上あれば、いくつであってもよい。
・上記各実施形態では、載置面8a上に第1及び第2可視光L1,L2を照射して収束レンズ14と載置面8aとの距離の調整を行ったが、これに限らず、例えば加工対象物Wの加工面Waを対象面として調整を行ってもよい。
【0078】
・上記各実施形態では、本発明をマーキング加工を行うレーザ加工装置1に適用したが、これに限らず、孔あけや溶接等の加工を行うレーザ加工装置1に適用してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1…レーザ加工装置、2…コントローラ、5…ヘッド、7…コンソール、8…載置テーブル、8a…載置面、11…レーザ光源、ガルバノスキャナ、14…収束レンズ、15X…第1ガルバノミラー、15Y…第2ガルバノミラー、17…制御装置、21…可視光出射ユニット、22…ハーフミラー、32…第1可視光源、33…第2可視光源、35…ダイクロイックミラー、36…第1光成形器、37…第2光成形器、38…モータ、39…回転センサ、A…光軸、L1…第1可視光、L2…第2可視光、Lk…レーザ光、S1…第1測定位置、S2…第2測定位置、S3…第3測定位置、S4…第4測定位置、W…加工対象物、Wa…加工面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工用のレーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光源から出射されるレーザ光を第1の方向に走査する第1走査ミラー及び該第1走査ミラーからのレーザ光を前記第1の方向と直交する第2の方向に走査する第2走査ミラーを有する光走査手段と、前記第2走査ミラーからのレーザ光を収束して加工対象物上に照射する収束レンズと、を備えたレーザ加工装置において、
可視光帯域の波長を有する第1可視光、及び前記第1可視光と異なる可視光帯域の波長を有する第2可視光を出射する可視光出射手段と、
前記光走査手段の作動を制御することにより、前記収束レンズを介して対象面内の同一直線上に配置されない少なくとも3箇所以上の測定位置に向けて前記第1及び第2可視光を照射する制御手段と、を備え、
前記第1及び第2可視光を前記収束レンズの異なる位置に入射させることにより、前記各測定位置へ照射された前記第1可視光と前記第2可視光とを前記収束レンズから該収束レンズの光軸に沿った所定距離で互いに交差させることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記制御手段は、前記各測定位置に前記第1及び第2可視光を照射する際に、前記可視光出射手段から前記第1及び第2可視光を同時に出射させるとともに、前記第1及び第2可視光を同時に走査するものであり、
前記第1可視光と前記第2可視光とが互いに異なる光路を進行するように前記可視光出射手段を構成することにより、前記第1及び第2可視光の前記収束レンズへの入射位置を異ならせ、前記所定距離で前記第1可視光と前記第2可視光とを互いに交差させることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ加工装置において、
前記可視光出射手段を回転させる回転駆動手段を備え、
前記制御手段は、前記回転駆動手段を作動させることにより、前記各測定位置に前記第1及び第2可視光を照射する際に、前記第1及び第2可視光のうち波長の短い方を波長の長い方よりも前記収束レンズの光軸から遠い位置に入射させることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記制御手段は、前記各測定位置に前記第1及び第2可視光を照射する際に、前記可視光出射手段から前記第1可視光と前記第2可視光とを交互に出射させるとともに、前記第1可視光と前記第2可視光とを異なる方向に走査することにより、前記第1及び第2可視光の前記収束レンズへの入射位置を異ならせ、前記所定距離で前記第1可視光と前記第2可視光とを互いに交差させることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、
前記所定距離での前記第1及び第2可視光のビーム径が互いに等しくなるように該第1及び第2可視光の少なくとも一方を成形する光成形手段を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、
前記可視光出射手段は、前記第1及び第2可視光の少なくとも一方の波長を変更可能に構成され、
前記第1及び第2可視光の少なくとも一方の波長を選択する可視光色選択手段を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のレーザ加工装置において、
前記各測定位置を設定する測定位置設定手段を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−94794(P2013−94794A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237512(P2011−237512)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】