レーザ印字用ラベル
【課題】印字された情報を長期にわたって保護することが可能なレーザ印字用ラベルを提供する。
【解決手段】透明樹脂からなる基材フィルムと、この基材フィルムの一面側に位置して基材フィルムを透過したレーザによってその照射部分が除去されるアルミニウム層と、レーザの照射によるアルミニウム層の除去部分において透明樹脂を通して視認可能となる不透明インク層と、レーザ反射層と、粘着層と、剥離可能な剥離シートとを順に積層させたレーザ印字用ラベル。
【解決手段】透明樹脂からなる基材フィルムと、この基材フィルムの一面側に位置して基材フィルムを透過したレーザによってその照射部分が除去されるアルミニウム層と、レーザの照射によるアルミニウム層の除去部分において透明樹脂を通して視認可能となる不透明インク層と、レーザ反射層と、粘着層と、剥離可能な剥離シートとを順に積層させたレーザ印字用ラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザにより印字可能なレーザ印字用ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電機製品では、個々の製品を識別・管理するために個別の製品情報が付与されている。この製品情報を製品自体に付与するには、製品番号やロットナンバー等を粘着ラベルに印刷し、これを製品の一部に貼り付けるという方法が採用されている。
【0003】
しかしながら、カメラや携帯電話等、利用者が携帯して使用する小型の電化製品については、ラベルが鞄の中で他の物と擦れあって擦り減ったり、印刷用インクが化粧品やアルコール等に触れて溶ける等の理由で、個別情報が判別不可能となる不具合が生じていた。また、例えば太陽光発電パネル等の屋外で使用する製品に貼り付ける場合には、紫外線や風雨の影響を受けるため、耐光性や耐候性に優れるものが求められている。
【0004】
一方、この種ラベルの印刷では、各個別の製品に対応する情報を印刷する必要上、平版印刷等の大量生産型の印刷物に適した通常の印刷手法ではなく、ラベルの一枚一枚に異なる情報を印刷できる印刷手法が必要で、レーザを直接にラベルに照射して一枚一枚必要な情報を印字する手法が検討されている。
【0005】
例えば特許文献1には、熱溶融点の異なる2つの合成樹脂層を積層させ、熱溶融温度の低い合成樹脂層の側からレーザ光線を照射して照射部分を溶融させることにより、文字を印字する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2587500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような方法で印字が行われた場合には、ラベルの表面に凹凸が生じて見栄えがよくない上、表面の摩耗により情報が読み取れなく虞がある。
【0008】
このような問題を解決するためには、ラベルの表面を保護シートで覆うことが考えられるが、保護シートは個別情報を印字した後にしか貼り付けることができないから、ラベルの印字後に一枚一枚に保護シートを貼り付けなければならず、かつ、保護シートの位置合わせ作業に手間がかかり、生産性に問題があった。
【0009】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、レーザによって印字可能で、かつ、印字された情報を長期にわたって保護することが可能なレーザ印字用ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のレーザ印字用ラベルは、透明樹脂からなる基材フィルムと、この基材フィルムの一面側に位置して前記基材フィルムを透過したレーザによってその照射部分が除去される金属層と、この金属層の前記基材フィルムとは反対側に位置し前記レーザの照射による金属層の除去部分において前記透明樹脂を通して視認可能となる不透明インク層と、この不透明インク層の前記基材フィルムとは反対側に位置する粘着層と、この粘着層に重ねて設けられた剥離可能な剥離シートとを備える。
【0011】
この構成によれば、レーザの照射前には、印字用ラベルの透明な基材フィルム側から観察しても、不透明インク層は金属層によって覆われているから不透明インク層は金属層に隠されて見えず、全面に金属層の金属色が観察されるだけである。ここに、基材フィルム側からレーザを照射すると、レーザが基材フィルムを透過して金属層に到達し、これを瞬間的に高温に加熱する。このため、金属層のうちレーザの照射を受けた部分だけが溶融ないし蒸発するようにして除去されて孔が開くようになるから、不透明インク層が基材フィルム側から見えるようになる。従って、必要な部分にレーザを点や線を描くように照射すれば、それに応じて金属色の背景の上に不透明インク層が浮き上がって見えるようになるから、所望の文字や図形を描くことができる。
【0012】
文字や図形を発現させるための金属層や不透明インク層は基材フィルムの下層にあり、ラベルの表面は透明樹脂からなる基材フィルムによって覆われた状態にあるから、印字後のラベル表面を強く擦っても、印字状態に影響を与えることもなく耐摩耗性や耐薬品性にも優れる。また、ラベルが屋外等で日光や紫外線に晒される箇所で使用されるとしても、金属層は通常の有機材料のインクに比べて耐光性・耐紫外線性に優れるから、耐候性・耐久性にも優れる。
【0013】
なお、上述した不透明インク層には、粘着層との間に位置して、前記金属層を除去して透過したレーザを反射するレーザ反射層を設けておくとより好ましい。このようにすると、仮にレーザの出力が過剰に大きく、その結果、レーザが金属層を貫通して不透明インク層に到達し、さらにここを貫通するようになったとしても、レーザ反射層によってレーザが反射されるから、粘着層ひいてはラベル全体を貫通してしまうことを防止できる。なお、このようにレーザが不透明インク層を貫通してレーザ反射層に到達したとしても、レーザ照射によって不透明インク層は完全に除去されることはなく、一部の残渣がラベル内に留まるから、孔が開けられた金属層を貫通して不透明インク層の残渣を見ることができ、文字・図形の表示機能が全く失われることはない。
【0014】
また、基材フィルムのうち金属層とは反対側の面に他の印刷手法によって印刷層を形成し、その印刷層を覆うように保護層を設ける構成としてもよい。このような構成とすると、一括的に印刷可能な情報を基材シート上に印刷してその印刷層を保護層により保護した後、個別の情報のみをレーザにより印字することができるため、多様な印刷が可能であると共に印刷の効率が高まる。
【0015】
基材フィルム上に剥離性インクにより所定模様の剥離層を形成し、剥離層形成部分において金属層の基材フィルムに対する密着性を局部的に低下させる構成とした場合には、ラベルによって未開封確認を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明のレーザ印字用ラベルによれば、レーザによって印字可能で、かつ、印字された情報を長期にわたって保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1のレーザ印字用ラベルの断面図
【図2】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【図3】同じくレーザ印字用ラベルの平面図
【図4】同じく印字後の平面図
【図5】本発明の実施形態2のレーザ印字用ラベルの断面図
【図6】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【図7】同じくレーザが不透明インク層を溶融している状態を示す断面図
【図8】同じくレーザがレーザ反射層に達した状態を示す断面図
【図9】本発明の実施形態3のレーザ印字用ラベルの断面図
【図10】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【図11】同じくレーザ印字用ラベルの平面図
【図12】同じく印字後の平面図
【図13】本発明の実施形態4のレーザ印字用ラベルの断面図
【図14】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【図15】同じく基材シートを剥がした状態を示す断面図
【図16】同じくレーザ印字用ラベルの平面図
【図17】同じく印字後の平面図
【図18】本発明の実施形態5のレーザ印字用ラベルの断面図
【図19】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
図1は本実施形態のレーザ印字用ラベル19を構成するレーザ印字用シート10の拡大断面図である。このレーザ印字用シート10は、一方の面にアルミニウム層12(本発明の金属層に相当)を積層した透明樹脂からなる基材フィルム11を備える。基材フィルム11は、例えば厚さ35μmのPET樹脂製であり、アルミニウム層12は、蒸着法により例えば2μm程度の厚さで形成されている。アルミニウム層12の基材フィルム11とは反対側の面には、黒色インクが例えば厚さ10μmの厚さで全面に印刷されて不透明インク層13が形成され、さらのこの不透明インク層13に重ねて粘着層14が全面に印刷されている。この粘着層14には、剥離可能な剥離シート15が貼り付けてある。
【0019】
なお、このレーザ印字用シート10には、図3の平面図に示すように、多数のループ状の切れ目18が並んで形成されており、これらの切れ目18の内側がレーザ印字用ラベル19とされている。これらの切れ目18は、基材フィルム10から粘着層14にわたって切り込まれている。
【0020】
このような本実施形態のレーザ印字用シート10では、レーザ印字前の状態では、印字用ラベル19の透明な基材フィルム11側から観察しても、不透明インク層13はアルミニウム層12によって覆われているから黒色の不透明インク層13はアルミニウム層12に隠されて見えず、一面にアルミニウムの銀白色が観察されるだけである。
【0021】
この印字用ラベル19にレーザ印刷を行う際には、基材フィルム11側の面(図1の上面側)から、図示しないレーザラベル印刷機にてレーザLを照射する。レーザとしては、例えばYAGレーザ等によって発振される波長のレーザが好ましく、その強度はアルミニウム層12の厚さに応じてこれを除去できる程度に設定すればよく、例えば汎用のレーザマーカーにおいて使用されている一般的な強度で足りる。
【0022】
レーザ印字用ラベル19に照射されたレーザLは、図2に示すように、透明な基材フィルム11を透過してアルミニウム層12に到達し、アルミニウム層12のレーザ照射部分を局部的に高温に加熱する。このため、薄いアルミニウム層12が蒸発するように除去され、そのアルミニウム層12が除去された部分(孔部H)から不透明インク層13が露出する。この不透明インク層13は黒色インクからなり、周囲のアルミニウム層12とは充分に異なる色を呈しているため、基材フィルム11を通してレーザ照射部分を点として視認することができる。このため、レーザを必要な文字・図形を描くように走査すれば、走査された軌跡部分が黒色の点の集合として視認することができるから、所望の文字・図形(バーコード等)を描くことができる(図4参照)。
【0023】
レーザLによる情報の印字が済んだら、ラベル19を切れ目18に沿って剥離シート15から引き剥がし、ラベル19の裏面に露出された粘着層14により所望の位置に貼り付ける。
【0024】
このような本実施形態のレーザ印字用シート10によれば、ラベル19に印字された情報はその表面が透明樹脂からなる基材フィルム10により覆われて保護された状態となっているので、摩耗や薬品、紫外線による劣化等が原因で読み取り不可となることがない。また、アルミニウム層12の色に対して充分に濃い黒色の不透明インク層13がアルミニウム層12の下面に設けられているので、印字された情報をはっきりと読み取ることができる。
【0025】
<実施形態2>
本実施形態のレーザ印字用ラベル29を構成するレーザ印字用シート20を図5ないし図8により説明する。
【0026】
レーザ印字用シート20は、無色透明の基材フィルム21と、アルミニウム層22と、不透明インク層23と、粘着層24と、剥離シート25とを備える点は上記実施形態1と同様であるが、不透明インク層23と粘着層24との間に、レーザ反射層26を新たに設けた点が相違する。
【0027】
レーザ反射層26は、白色インク等のレーザを反射し易い物質を、図5の不透明インク層23の下面全面に印刷することにより形成されており、その厚みは不透明インク層23と概ね同様(10μm)とされている。
【0028】
レーザ印字用シート20にレーザ印刷を行う際、例えば照射するレーザLの強度が強すぎたり、基材フィルム21やアルミニウム層22の厚みのばらつき等の原因により、アルミニウム層22を貫通して不透明インク層23にまでレーザLがおよび、不透明インク層23の一部が高温によって除去される場合がある(図7参照)。また場合によっては、レーザLが不透明インク層23をも貫通することも考えられる。しかしこのような場合でも、本実施形態のレーザ印字用シート20によれば、図8に示すように、不透明インク層23を貫通したレーザLはレーザ反射層26によって反射されるから、レーザ照射による除去部分が粘着層24、ひいてはラベル全体を貫通してしまうことを確実に防止できる。なお、このようにレーザLがレーザ反射層26に到達した場合でも、不透明インク層23は完全に除去されることはなく、黒色インクの一部の残渣がその除去部分(レーザ反射層26の露出された表面)に残るため、基材フィルムおよび孔Hが開けられたアルミニウム層22を貫通してその黒色インクの残渣を(印字された情報)をはっきりと読み取ることが可能である。
【0029】
<実施形態3>
本実施形態のレーザ印字用ラベル39を構成するレーザ印字用シート30を図9ないし図12により説明する。
レーザ印字用シート30は、上記実施形態2で示したレーザ印字用シートの基材フィルム側の表面に、一般的な印刷方法で共通情報の印刷を一括的に行い、その後その印刷された印刷層Pの表面に、例えば無色透明のPVC樹脂等からなる保護層37を積層させた構成である。その他の構成は上記実施形態2と同様であるので、説明を省略する。
【0030】
本実施形態のレーザ印字用シート30では、まず、例えばラベルを貼り着けたい商品の商品名や会社名、仕様等の各ラベルに共通する情報を、保護層37を積層させる前の基材フィルム31の表面に、例えば平版印刷等の一般的な大量生産型の印刷手法によって各ラベルに一括的に印刷する。そしてその後、シート全体に保護層37を接着剤(図示せず)を用いてラミネート法により積層させる。そして、保護層37から粘着層34にわたるループ状の切れ目38を入れ、複数のレーザ印字用ラベル39を形成する(図11参照)。なお本実施形態においては、基材フィルム31から保護層37までの透明層の厚みは、約75μmとされている。
【0031】
次に、各ラベル39に、ロットナンバー等の製品(ラベル)毎に特有の個別情報を印字する。すなわち、レーザ印字用シート39の保護層37側の面(図9の上面側)から、個別情報を書き込みたい領域にレーザLを照射して所定パターンで走査する。すると、図10に示すように、レーザLは保護層37および基材フィルム31を透過するとともに、基材フィルム31の下面に積層されたアルミニウム層32の一部を溶融・蒸発させるように除去し、孔部Hから不透明インク層33を露出させる(図12参照)。
【0032】
このような本実施形態のレーザ印字用シート30によれば、一枚のシートに複数のラベル39を形成し、共通の情報は大量生産型の印刷物に適した従来の印刷方法で一括的に印刷を行うことができながら、個々に異なる個別の情報はレーザにより印字することが可能であるので、印刷の効率に優れる。また、基材フィルム31に印刷された共通情報(印刷層P)も、レーザにより印字された個別情報(孔部H)も、ともにその表面が保護された状態にあるので、摩耗や薬品等により読み取り不可となることもない。
【0033】
<実施形態4>
本実施形態のレーザ印字用シート40を図13ないし図17により説明する。
レーザ印字用シート40は、上記実施形態3のレーザ印字用シートのうち、基材フィルム41とアルミニウム層42との間に、部分的に剥離層48を設けた構成である。その他の構成は上記実施形態3と同様であるので、説明を省略する。
【0034】
剥離層48は、基材フィルム41の一面側(図13の下面側)にシリコン樹脂を含んだ剥離性インクを所定の模様に印刷することにより形成されており、この剥離性インクの印刷後、剥離層48を含む基材フィルム41の一面側(図13の下面側)に蒸着法によってアルミニウム層42を積層する。この剥離層48は、図13に示すように、アルミニウム層42によって覆われた状態となる。この剥離層48により、アルミニウム層42の基材フィルム41に対する密着性が、剥離層48の形成部分において局部的に低下する。なお本実施形態では、図16の平面図に示すように、VOIDの文字の部分に剥離層48が形成されている。
【0035】
このような構成のレーザ印字用シート40は、必要なら上記実施形態3と同様に、保護層47を積層させる前の基材フィルム41の表面に共通の情報を一括的に印刷して印刷層Pを形成し、その後、シート全体に保護層47をラミネート法により積層させる。そして、保護層47から粘着層44にわたるループ状の切れ目49を入れ、複数のラベルを形成する(図16参照)。
【0036】
次に、各ラベルに個別の情報を印字する。すなわち、保護層47側(図14の上面側)から、個別情報を印字したい位置に所定のレーザLを照射し、保護層47および基材フィルム41を透過させてアルミニウム層42の一部を溶融・蒸発させて除去し、不透明インク層43を露出させる(図17参照)。
【0037】
この状態においては、共通情報(印刷層P)はその表面が保護層47により保護されているとともに、個別情報(孔部H)はその表面が保護層47および基材フィルム41により保護されているから、情報が摩耗や薬品等により読み取り不可となることがない。また、黒色の不透明インク層42が孔部Hから露出されることにより、書き込まれた情報をはっきりと読み取ることが可能である。
【0038】
共通情報の印刷および個別情報の印字が済んだら、ラベルを剥離シート45から剥がして粘着層44を露出させ、例えば医薬品や食品等の未開封確認が必要な商品の包装や蓋等の被着体Wに貼り付ける。このとき、粘着層44の剥離シート45に対する剥離性は、剥離層48の基材シート41に対する剥離性よりも大きくなるように予め設定されているので、剥離層48の部分で剥離が起きることはない。
【0039】
商品の開封時、すなわち、貼り付けられたラベルを引き剥がすと、図15に示すように、アルミニウム層42のうち基材フィルム41に対する密着性を局部的に低下させた剥離層48の形成部分が基材フィルム41から剥離され、剥離層48が形成されていない部分は基材フィルム41側に残る。したがって、ラベルを一度被着体Wから剥がすと、剥離された形跡が確実に残るから、ラベルの状態を確認することにより、その商品が未開封であるかどうかを確認することができる。
【0040】
このように、本発明のレーザ印字用シートを、従来使用されている未開封確認ラベルに適用することも可能である。
【0041】
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を図18および図19によって説明する。
本実施形態のレーザ印字用シート50は、上記実施形態2とほぼ同様の構成であり、基材フィルム51とアルミニウム層52との間に共通情報の印刷を施したところが相違するものである。その他の構成は実施形態2と同様であるので、説明を省略する。
【0042】
本実施形態のレーザ印字用シート50は、図18に示すように、まず基材フィルム51の一面側(図18中下面側)に予め一般的な従来のプリンタによって共通の情報を一括的に印刷して印刷層Pを形成した後、その印刷層Pを覆うようにアルミニウム層52を蒸着法により積層させる。これにより、印刷層Pはアルミニウム層52に埋め込まれた状態とされる。その後、アルミニウム層52に不透明インク層53、レーザ反射層56、粘着層54、および剥離シート55を順に積層させる。
【0043】
このようなレーザ印字用シート50に個別の情報を印字する場合には、図19に示すように、基材フィルム51側から所定のレーザLを照射し、アルミニウム層52を部分的に除去させることにより、印字を行う。
【0044】
このような本実施形態のレーザ印字用シート50によれば、上記実施形態と同様の効果に加え、上記実施形態3ないし5に示したような保護層を設ける必要がなく、本来的に必要な基材フィルム51を利用して印刷された共通情報(印刷層P)の保護を行うことができるという効果を奏する。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0046】
(1)上記実施形態においてはいずれも、ラベルはシートの一部にループ状の切れ目を形成することにより形成される構成としたが、これに限らず、例えばテープ状のものに並べて形成したり、一枚ずつバラバラの形態としてもよい。
【0047】
(2)上記実施形態2ないし5においては、レーザ反射層を設ける構成としたが、レーザ反射層は必ずしも必要ではなく、金属層や不透明インク層の形成厚さ或いはレーザ出力を適切に調整することにより、レーザが不透明インク層を貫通することを未然に抑えることもでき、その場合にはレーザ反射層を設けなくてもよい。
【0048】
(3)上記実施形態では、金属層としてアルミニウム層を使用したが、他の金属を使用することもできる。また、その金属層の厚さは、レーザによる加熱によって容易に溶融・蒸発して除去される厚さとすればよいのであって、必ずしも本実施形態に示した厚さ寸法に限定されるものではない。さらに、金属層の形成方法としては、蒸着法に限るものではなく、薄膜を重ね合わせたりその他の方法により形成してもよい。
【0049】
(4)共通情報の印刷は、インクジェット式プリンタを使用したり、スクリーン印刷やロールコーター法等、様々な方法により行うことができる。
【0050】
(5)また、剥離層も任意の方法により形成することが可能である。
【0051】
(6)上記実施形態では、保護層をラミネート法により積層させる構成としたが、これに限るものではない。
【0052】
(7)上記実施形態では、基材フィルムを構成する透明樹脂としてPET樹脂を使用する形態を示したが、その他の樹脂を使用することもできる。また、基材フィルムの厚みも上記実施形態に限るものではない。
【0053】
(8)また、その他不透明インク層に使用する黒色インク、レーザ反射層に使用する白色インク、粘着層、剥離シート等も、その材料や厚み、色等が上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
10,20,30,40,50…レーザ印字用シート
11,21,31,41,51…基材フィルム
12,22,32,42,52…アルミニウム層(金属層)
13,23,33,43,53…不透明インク層
14,24,34,44,54…粘着層
15,25,35,45,55…剥離シート
26,36,46,56…レーザ反射層
37,47…保護層
18,28,38,49…切れ目
19,29,39…ラベル(レーザ印字用ラベル)
48…剥離層
L…レーザ
H…孔部
P…印刷層
W…被着体
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザにより印字可能なレーザ印字用ラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電機製品では、個々の製品を識別・管理するために個別の製品情報が付与されている。この製品情報を製品自体に付与するには、製品番号やロットナンバー等を粘着ラベルに印刷し、これを製品の一部に貼り付けるという方法が採用されている。
【0003】
しかしながら、カメラや携帯電話等、利用者が携帯して使用する小型の電化製品については、ラベルが鞄の中で他の物と擦れあって擦り減ったり、印刷用インクが化粧品やアルコール等に触れて溶ける等の理由で、個別情報が判別不可能となる不具合が生じていた。また、例えば太陽光発電パネル等の屋外で使用する製品に貼り付ける場合には、紫外線や風雨の影響を受けるため、耐光性や耐候性に優れるものが求められている。
【0004】
一方、この種ラベルの印刷では、各個別の製品に対応する情報を印刷する必要上、平版印刷等の大量生産型の印刷物に適した通常の印刷手法ではなく、ラベルの一枚一枚に異なる情報を印刷できる印刷手法が必要で、レーザを直接にラベルに照射して一枚一枚必要な情報を印字する手法が検討されている。
【0005】
例えば特許文献1には、熱溶融点の異なる2つの合成樹脂層を積層させ、熱溶融温度の低い合成樹脂層の側からレーザ光線を照射して照射部分を溶融させることにより、文字を印字する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2587500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような方法で印字が行われた場合には、ラベルの表面に凹凸が生じて見栄えがよくない上、表面の摩耗により情報が読み取れなく虞がある。
【0008】
このような問題を解決するためには、ラベルの表面を保護シートで覆うことが考えられるが、保護シートは個別情報を印字した後にしか貼り付けることができないから、ラベルの印字後に一枚一枚に保護シートを貼り付けなければならず、かつ、保護シートの位置合わせ作業に手間がかかり、生産性に問題があった。
【0009】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、レーザによって印字可能で、かつ、印字された情報を長期にわたって保護することが可能なレーザ印字用ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のレーザ印字用ラベルは、透明樹脂からなる基材フィルムと、この基材フィルムの一面側に位置して前記基材フィルムを透過したレーザによってその照射部分が除去される金属層と、この金属層の前記基材フィルムとは反対側に位置し前記レーザの照射による金属層の除去部分において前記透明樹脂を通して視認可能となる不透明インク層と、この不透明インク層の前記基材フィルムとは反対側に位置する粘着層と、この粘着層に重ねて設けられた剥離可能な剥離シートとを備える。
【0011】
この構成によれば、レーザの照射前には、印字用ラベルの透明な基材フィルム側から観察しても、不透明インク層は金属層によって覆われているから不透明インク層は金属層に隠されて見えず、全面に金属層の金属色が観察されるだけである。ここに、基材フィルム側からレーザを照射すると、レーザが基材フィルムを透過して金属層に到達し、これを瞬間的に高温に加熱する。このため、金属層のうちレーザの照射を受けた部分だけが溶融ないし蒸発するようにして除去されて孔が開くようになるから、不透明インク層が基材フィルム側から見えるようになる。従って、必要な部分にレーザを点や線を描くように照射すれば、それに応じて金属色の背景の上に不透明インク層が浮き上がって見えるようになるから、所望の文字や図形を描くことができる。
【0012】
文字や図形を発現させるための金属層や不透明インク層は基材フィルムの下層にあり、ラベルの表面は透明樹脂からなる基材フィルムによって覆われた状態にあるから、印字後のラベル表面を強く擦っても、印字状態に影響を与えることもなく耐摩耗性や耐薬品性にも優れる。また、ラベルが屋外等で日光や紫外線に晒される箇所で使用されるとしても、金属層は通常の有機材料のインクに比べて耐光性・耐紫外線性に優れるから、耐候性・耐久性にも優れる。
【0013】
なお、上述した不透明インク層には、粘着層との間に位置して、前記金属層を除去して透過したレーザを反射するレーザ反射層を設けておくとより好ましい。このようにすると、仮にレーザの出力が過剰に大きく、その結果、レーザが金属層を貫通して不透明インク層に到達し、さらにここを貫通するようになったとしても、レーザ反射層によってレーザが反射されるから、粘着層ひいてはラベル全体を貫通してしまうことを防止できる。なお、このようにレーザが不透明インク層を貫通してレーザ反射層に到達したとしても、レーザ照射によって不透明インク層は完全に除去されることはなく、一部の残渣がラベル内に留まるから、孔が開けられた金属層を貫通して不透明インク層の残渣を見ることができ、文字・図形の表示機能が全く失われることはない。
【0014】
また、基材フィルムのうち金属層とは反対側の面に他の印刷手法によって印刷層を形成し、その印刷層を覆うように保護層を設ける構成としてもよい。このような構成とすると、一括的に印刷可能な情報を基材シート上に印刷してその印刷層を保護層により保護した後、個別の情報のみをレーザにより印字することができるため、多様な印刷が可能であると共に印刷の効率が高まる。
【0015】
基材フィルム上に剥離性インクにより所定模様の剥離層を形成し、剥離層形成部分において金属層の基材フィルムに対する密着性を局部的に低下させる構成とした場合には、ラベルによって未開封確認を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
このように本発明のレーザ印字用ラベルによれば、レーザによって印字可能で、かつ、印字された情報を長期にわたって保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1のレーザ印字用ラベルの断面図
【図2】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【図3】同じくレーザ印字用ラベルの平面図
【図4】同じく印字後の平面図
【図5】本発明の実施形態2のレーザ印字用ラベルの断面図
【図6】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【図7】同じくレーザが不透明インク層を溶融している状態を示す断面図
【図8】同じくレーザがレーザ反射層に達した状態を示す断面図
【図9】本発明の実施形態3のレーザ印字用ラベルの断面図
【図10】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【図11】同じくレーザ印字用ラベルの平面図
【図12】同じく印字後の平面図
【図13】本発明の実施形態4のレーザ印字用ラベルの断面図
【図14】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【図15】同じく基材シートを剥がした状態を示す断面図
【図16】同じくレーザ印字用ラベルの平面図
【図17】同じく印字後の平面図
【図18】本発明の実施形態5のレーザ印字用ラベルの断面図
【図19】同じくレーザにより印字を行っている状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。
図1は本実施形態のレーザ印字用ラベル19を構成するレーザ印字用シート10の拡大断面図である。このレーザ印字用シート10は、一方の面にアルミニウム層12(本発明の金属層に相当)を積層した透明樹脂からなる基材フィルム11を備える。基材フィルム11は、例えば厚さ35μmのPET樹脂製であり、アルミニウム層12は、蒸着法により例えば2μm程度の厚さで形成されている。アルミニウム層12の基材フィルム11とは反対側の面には、黒色インクが例えば厚さ10μmの厚さで全面に印刷されて不透明インク層13が形成され、さらのこの不透明インク層13に重ねて粘着層14が全面に印刷されている。この粘着層14には、剥離可能な剥離シート15が貼り付けてある。
【0019】
なお、このレーザ印字用シート10には、図3の平面図に示すように、多数のループ状の切れ目18が並んで形成されており、これらの切れ目18の内側がレーザ印字用ラベル19とされている。これらの切れ目18は、基材フィルム10から粘着層14にわたって切り込まれている。
【0020】
このような本実施形態のレーザ印字用シート10では、レーザ印字前の状態では、印字用ラベル19の透明な基材フィルム11側から観察しても、不透明インク層13はアルミニウム層12によって覆われているから黒色の不透明インク層13はアルミニウム層12に隠されて見えず、一面にアルミニウムの銀白色が観察されるだけである。
【0021】
この印字用ラベル19にレーザ印刷を行う際には、基材フィルム11側の面(図1の上面側)から、図示しないレーザラベル印刷機にてレーザLを照射する。レーザとしては、例えばYAGレーザ等によって発振される波長のレーザが好ましく、その強度はアルミニウム層12の厚さに応じてこれを除去できる程度に設定すればよく、例えば汎用のレーザマーカーにおいて使用されている一般的な強度で足りる。
【0022】
レーザ印字用ラベル19に照射されたレーザLは、図2に示すように、透明な基材フィルム11を透過してアルミニウム層12に到達し、アルミニウム層12のレーザ照射部分を局部的に高温に加熱する。このため、薄いアルミニウム層12が蒸発するように除去され、そのアルミニウム層12が除去された部分(孔部H)から不透明インク層13が露出する。この不透明インク層13は黒色インクからなり、周囲のアルミニウム層12とは充分に異なる色を呈しているため、基材フィルム11を通してレーザ照射部分を点として視認することができる。このため、レーザを必要な文字・図形を描くように走査すれば、走査された軌跡部分が黒色の点の集合として視認することができるから、所望の文字・図形(バーコード等)を描くことができる(図4参照)。
【0023】
レーザLによる情報の印字が済んだら、ラベル19を切れ目18に沿って剥離シート15から引き剥がし、ラベル19の裏面に露出された粘着層14により所望の位置に貼り付ける。
【0024】
このような本実施形態のレーザ印字用シート10によれば、ラベル19に印字された情報はその表面が透明樹脂からなる基材フィルム10により覆われて保護された状態となっているので、摩耗や薬品、紫外線による劣化等が原因で読み取り不可となることがない。また、アルミニウム層12の色に対して充分に濃い黒色の不透明インク層13がアルミニウム層12の下面に設けられているので、印字された情報をはっきりと読み取ることができる。
【0025】
<実施形態2>
本実施形態のレーザ印字用ラベル29を構成するレーザ印字用シート20を図5ないし図8により説明する。
【0026】
レーザ印字用シート20は、無色透明の基材フィルム21と、アルミニウム層22と、不透明インク層23と、粘着層24と、剥離シート25とを備える点は上記実施形態1と同様であるが、不透明インク層23と粘着層24との間に、レーザ反射層26を新たに設けた点が相違する。
【0027】
レーザ反射層26は、白色インク等のレーザを反射し易い物質を、図5の不透明インク層23の下面全面に印刷することにより形成されており、その厚みは不透明インク層23と概ね同様(10μm)とされている。
【0028】
レーザ印字用シート20にレーザ印刷を行う際、例えば照射するレーザLの強度が強すぎたり、基材フィルム21やアルミニウム層22の厚みのばらつき等の原因により、アルミニウム層22を貫通して不透明インク層23にまでレーザLがおよび、不透明インク層23の一部が高温によって除去される場合がある(図7参照)。また場合によっては、レーザLが不透明インク層23をも貫通することも考えられる。しかしこのような場合でも、本実施形態のレーザ印字用シート20によれば、図8に示すように、不透明インク層23を貫通したレーザLはレーザ反射層26によって反射されるから、レーザ照射による除去部分が粘着層24、ひいてはラベル全体を貫通してしまうことを確実に防止できる。なお、このようにレーザLがレーザ反射層26に到達した場合でも、不透明インク層23は完全に除去されることはなく、黒色インクの一部の残渣がその除去部分(レーザ反射層26の露出された表面)に残るため、基材フィルムおよび孔Hが開けられたアルミニウム層22を貫通してその黒色インクの残渣を(印字された情報)をはっきりと読み取ることが可能である。
【0029】
<実施形態3>
本実施形態のレーザ印字用ラベル39を構成するレーザ印字用シート30を図9ないし図12により説明する。
レーザ印字用シート30は、上記実施形態2で示したレーザ印字用シートの基材フィルム側の表面に、一般的な印刷方法で共通情報の印刷を一括的に行い、その後その印刷された印刷層Pの表面に、例えば無色透明のPVC樹脂等からなる保護層37を積層させた構成である。その他の構成は上記実施形態2と同様であるので、説明を省略する。
【0030】
本実施形態のレーザ印字用シート30では、まず、例えばラベルを貼り着けたい商品の商品名や会社名、仕様等の各ラベルに共通する情報を、保護層37を積層させる前の基材フィルム31の表面に、例えば平版印刷等の一般的な大量生産型の印刷手法によって各ラベルに一括的に印刷する。そしてその後、シート全体に保護層37を接着剤(図示せず)を用いてラミネート法により積層させる。そして、保護層37から粘着層34にわたるループ状の切れ目38を入れ、複数のレーザ印字用ラベル39を形成する(図11参照)。なお本実施形態においては、基材フィルム31から保護層37までの透明層の厚みは、約75μmとされている。
【0031】
次に、各ラベル39に、ロットナンバー等の製品(ラベル)毎に特有の個別情報を印字する。すなわち、レーザ印字用シート39の保護層37側の面(図9の上面側)から、個別情報を書き込みたい領域にレーザLを照射して所定パターンで走査する。すると、図10に示すように、レーザLは保護層37および基材フィルム31を透過するとともに、基材フィルム31の下面に積層されたアルミニウム層32の一部を溶融・蒸発させるように除去し、孔部Hから不透明インク層33を露出させる(図12参照)。
【0032】
このような本実施形態のレーザ印字用シート30によれば、一枚のシートに複数のラベル39を形成し、共通の情報は大量生産型の印刷物に適した従来の印刷方法で一括的に印刷を行うことができながら、個々に異なる個別の情報はレーザにより印字することが可能であるので、印刷の効率に優れる。また、基材フィルム31に印刷された共通情報(印刷層P)も、レーザにより印字された個別情報(孔部H)も、ともにその表面が保護された状態にあるので、摩耗や薬品等により読み取り不可となることもない。
【0033】
<実施形態4>
本実施形態のレーザ印字用シート40を図13ないし図17により説明する。
レーザ印字用シート40は、上記実施形態3のレーザ印字用シートのうち、基材フィルム41とアルミニウム層42との間に、部分的に剥離層48を設けた構成である。その他の構成は上記実施形態3と同様であるので、説明を省略する。
【0034】
剥離層48は、基材フィルム41の一面側(図13の下面側)にシリコン樹脂を含んだ剥離性インクを所定の模様に印刷することにより形成されており、この剥離性インクの印刷後、剥離層48を含む基材フィルム41の一面側(図13の下面側)に蒸着法によってアルミニウム層42を積層する。この剥離層48は、図13に示すように、アルミニウム層42によって覆われた状態となる。この剥離層48により、アルミニウム層42の基材フィルム41に対する密着性が、剥離層48の形成部分において局部的に低下する。なお本実施形態では、図16の平面図に示すように、VOIDの文字の部分に剥離層48が形成されている。
【0035】
このような構成のレーザ印字用シート40は、必要なら上記実施形態3と同様に、保護層47を積層させる前の基材フィルム41の表面に共通の情報を一括的に印刷して印刷層Pを形成し、その後、シート全体に保護層47をラミネート法により積層させる。そして、保護層47から粘着層44にわたるループ状の切れ目49を入れ、複数のラベルを形成する(図16参照)。
【0036】
次に、各ラベルに個別の情報を印字する。すなわち、保護層47側(図14の上面側)から、個別情報を印字したい位置に所定のレーザLを照射し、保護層47および基材フィルム41を透過させてアルミニウム層42の一部を溶融・蒸発させて除去し、不透明インク層43を露出させる(図17参照)。
【0037】
この状態においては、共通情報(印刷層P)はその表面が保護層47により保護されているとともに、個別情報(孔部H)はその表面が保護層47および基材フィルム41により保護されているから、情報が摩耗や薬品等により読み取り不可となることがない。また、黒色の不透明インク層42が孔部Hから露出されることにより、書き込まれた情報をはっきりと読み取ることが可能である。
【0038】
共通情報の印刷および個別情報の印字が済んだら、ラベルを剥離シート45から剥がして粘着層44を露出させ、例えば医薬品や食品等の未開封確認が必要な商品の包装や蓋等の被着体Wに貼り付ける。このとき、粘着層44の剥離シート45に対する剥離性は、剥離層48の基材シート41に対する剥離性よりも大きくなるように予め設定されているので、剥離層48の部分で剥離が起きることはない。
【0039】
商品の開封時、すなわち、貼り付けられたラベルを引き剥がすと、図15に示すように、アルミニウム層42のうち基材フィルム41に対する密着性を局部的に低下させた剥離層48の形成部分が基材フィルム41から剥離され、剥離層48が形成されていない部分は基材フィルム41側に残る。したがって、ラベルを一度被着体Wから剥がすと、剥離された形跡が確実に残るから、ラベルの状態を確認することにより、その商品が未開封であるかどうかを確認することができる。
【0040】
このように、本発明のレーザ印字用シートを、従来使用されている未開封確認ラベルに適用することも可能である。
【0041】
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を図18および図19によって説明する。
本実施形態のレーザ印字用シート50は、上記実施形態2とほぼ同様の構成であり、基材フィルム51とアルミニウム層52との間に共通情報の印刷を施したところが相違するものである。その他の構成は実施形態2と同様であるので、説明を省略する。
【0042】
本実施形態のレーザ印字用シート50は、図18に示すように、まず基材フィルム51の一面側(図18中下面側)に予め一般的な従来のプリンタによって共通の情報を一括的に印刷して印刷層Pを形成した後、その印刷層Pを覆うようにアルミニウム層52を蒸着法により積層させる。これにより、印刷層Pはアルミニウム層52に埋め込まれた状態とされる。その後、アルミニウム層52に不透明インク層53、レーザ反射層56、粘着層54、および剥離シート55を順に積層させる。
【0043】
このようなレーザ印字用シート50に個別の情報を印字する場合には、図19に示すように、基材フィルム51側から所定のレーザLを照射し、アルミニウム層52を部分的に除去させることにより、印字を行う。
【0044】
このような本実施形態のレーザ印字用シート50によれば、上記実施形態と同様の効果に加え、上記実施形態3ないし5に示したような保護層を設ける必要がなく、本来的に必要な基材フィルム51を利用して印刷された共通情報(印刷層P)の保護を行うことができるという効果を奏する。
【0045】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0046】
(1)上記実施形態においてはいずれも、ラベルはシートの一部にループ状の切れ目を形成することにより形成される構成としたが、これに限らず、例えばテープ状のものに並べて形成したり、一枚ずつバラバラの形態としてもよい。
【0047】
(2)上記実施形態2ないし5においては、レーザ反射層を設ける構成としたが、レーザ反射層は必ずしも必要ではなく、金属層や不透明インク層の形成厚さ或いはレーザ出力を適切に調整することにより、レーザが不透明インク層を貫通することを未然に抑えることもでき、その場合にはレーザ反射層を設けなくてもよい。
【0048】
(3)上記実施形態では、金属層としてアルミニウム層を使用したが、他の金属を使用することもできる。また、その金属層の厚さは、レーザによる加熱によって容易に溶融・蒸発して除去される厚さとすればよいのであって、必ずしも本実施形態に示した厚さ寸法に限定されるものではない。さらに、金属層の形成方法としては、蒸着法に限るものではなく、薄膜を重ね合わせたりその他の方法により形成してもよい。
【0049】
(4)共通情報の印刷は、インクジェット式プリンタを使用したり、スクリーン印刷やロールコーター法等、様々な方法により行うことができる。
【0050】
(5)また、剥離層も任意の方法により形成することが可能である。
【0051】
(6)上記実施形態では、保護層をラミネート法により積層させる構成としたが、これに限るものではない。
【0052】
(7)上記実施形態では、基材フィルムを構成する透明樹脂としてPET樹脂を使用する形態を示したが、その他の樹脂を使用することもできる。また、基材フィルムの厚みも上記実施形態に限るものではない。
【0053】
(8)また、その他不透明インク層に使用する黒色インク、レーザ反射層に使用する白色インク、粘着層、剥離シート等も、その材料や厚み、色等が上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0054】
10,20,30,40,50…レーザ印字用シート
11,21,31,41,51…基材フィルム
12,22,32,42,52…アルミニウム層(金属層)
13,23,33,43,53…不透明インク層
14,24,34,44,54…粘着層
15,25,35,45,55…剥離シート
26,36,46,56…レーザ反射層
37,47…保護層
18,28,38,49…切れ目
19,29,39…ラベル(レーザ印字用ラベル)
48…剥離層
L…レーザ
H…孔部
P…印刷層
W…被着体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂からなる基材フィルムと、この基材フィルムの一面側に位置して前記基材フィルムを透過したレーザによってその照射部分が除去される金属層と、この金属層の前記基材フィルムとは反対側に位置し前記レーザの照射による金属層の除去部分において前記透明樹脂を通して視認可能となる不透明インク層と、この不透明インク層の前記基材フィルムとは反対側に位置する粘着層と、この粘着層に重ねて設けられた剥離可能な剥離シートとを備えるレーザ印字用ラベル。
【請求項2】
前記不透明インク層には、前記粘着層との間に位置して、前記金属層を除去して透過したレーザを反射するレーザ反射層が積層されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ印字用ラベル。
【請求項3】
前記基材フィルムの前記金属層とは反対側の他面側には、インクを重ねた印刷層が設けられ、その印刷層を覆って透明樹脂からなる保護層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザ印字用ラベル。
【請求項4】
前記基材フィルムには、剥離性インクによって所定の模様の剥離層が形成され、その剥離層上を含めて前記基材フィルム上に前記金属層が積層され、前記金属層の前記基材フィルムに対する密着性が、前記剥離層部分において局部的に低下するように設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のレーザ印字用ラベル。
【請求項5】
前記金属層を構成する金属はアルミニウムであって、前記基材フィルムに対して蒸着法により形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のレーザ印字用ラベル。
【請求項1】
透明樹脂からなる基材フィルムと、この基材フィルムの一面側に位置して前記基材フィルムを透過したレーザによってその照射部分が除去される金属層と、この金属層の前記基材フィルムとは反対側に位置し前記レーザの照射による金属層の除去部分において前記透明樹脂を通して視認可能となる不透明インク層と、この不透明インク層の前記基材フィルムとは反対側に位置する粘着層と、この粘着層に重ねて設けられた剥離可能な剥離シートとを備えるレーザ印字用ラベル。
【請求項2】
前記不透明インク層には、前記粘着層との間に位置して、前記金属層を除去して透過したレーザを反射するレーザ反射層が積層されていることを特徴とする請求項1に記載のレーザ印字用ラベル。
【請求項3】
前記基材フィルムの前記金属層とは反対側の他面側には、インクを重ねた印刷層が設けられ、その印刷層を覆って透明樹脂からなる保護層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザ印字用ラベル。
【請求項4】
前記基材フィルムには、剥離性インクによって所定の模様の剥離層が形成され、その剥離層上を含めて前記基材フィルム上に前記金属層が積層され、前記金属層の前記基材フィルムに対する密着性が、前記剥離層部分において局部的に低下するように設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のレーザ印字用ラベル。
【請求項5】
前記金属層を構成する金属はアルミニウムであって、前記基材フィルムに対して蒸着法により形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のレーザ印字用ラベル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−208283(P2012−208283A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73281(P2011−73281)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(511080650)
【出願人】(501244200)株式会社KALBAS (48)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(511080650)
【出願人】(501244200)株式会社KALBAS (48)
【Fターム(参考)】
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