ロックナットチゼル、ロックナットチゼルの支持台構造およびその支持台の保持部構造
【課題】ボルトにかしめられたロックナットのカシメ部を確実に取外すことが可能なロックナットチゼルを提供する。
【解決手段】ロックナットチゼル1Aは、ロックナットのカシメ部を取外すためのものであり、カシメ部と接触するロックナットチゼル1Aの外周部には、外側に向かって凸形状の第一曲面部11が設けられている。
【解決手段】ロックナットチゼル1Aは、ロックナットのカシメ部を取外すためのものであり、カシメ部と接触するロックナットチゼル1Aの外周部には、外側に向かって凸形状の第一曲面部11が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロックナットチゼルおよびその支持台に関し、より特定的には、車輪のロックナットを取外すロックナットチゼルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロックナットに関する構成は、たとえば特開平7−151128号公報(特許文献1)、特開2000−97812号公報(特許文献2)および特開2003−214837号公報(特許文献3)に開示されている。
【特許文献1】特開平7−151128号公報
【特許文献2】特開2000−97812号公報
【特許文献3】特開2003−214837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、ロックナットのカシメ工具が開示されている。
特許文献2および3では、ハブボルトに固定する取付ベースを備える測定装置用固定軸が開示されている。
【0004】
従来のロックナットチゼルでは、ロックナットを外したときにスムーズにロックナットを外すことができない場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、この発明は上述のような問題点を解決するためになされたものであり、ロックナットを確実に取外すことが可能なロックナットチゼル、およびその支持台構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従ったロックナットチゼルは、ボルトにかしめられたロックナットのカシメ部を取外すためのロックナットチゼルであって、カシメ部と接触するロックナットチゼルの外周部には、外側に向かって凸形状の第一曲面部が設けられている。
【0007】
このように構成されたロックナットチゼルでは、カシメ部と接触するロックナットチゼルの外周部には、外側に向かって凸形状の第一曲面部が設けられているため、ロックナットのカシメ部はこの曲面部に従って変形する。その結果、カシメ部は外側に凸形状に押上げられるため、カシメ部の破損を防止し、確実にロックナットを外すことができる。
【0008】
好ましくは、ロックナットの半径方向に直交し、ロックナットの周方向に沿うロックナットチゼルの中心面よりも外周側に第一曲面部が設けられて内周側には別の凸形状の第二曲面部が設けられている。この場合、第二曲面部が設けられることで、ボルト側に位置する第二曲面部がボルトに沿ってスムーズに移動することができ、より確実にロックナットを取外すことができる。
【0009】
この発明に従ったロックナットチゼルの支持台構造は、上記ロックナットチゼルをドライブシャフト軸方向(ボルト軸方向)に沿って固定する固定部と、固定部に固定されたロックナットチゼルをドライブシャフト軸に沿った方向に付勢する付勢部とを備える。
【0010】
このように構成されたロックナットチゼルの支持台構造では、ロックナットチゼルをドライブシャフト軸と平行な方向に付勢する付勢部材が設けられているため、ロックナットチゼルは常に付勢されてドライブシャフトおよびカシメ部と接触する。その結果、確実にカシメ部を外すことができる。
【0011】
この発明に従ったロックナットチゼルの支持台の保持部構造では、上記固定部はロックナットチゼル先端がドライブシャフト軸に対して角度をなすように保持することが可能である。
【0012】
このように構成されたロックナットチゼルの支持台の保持部構造では、適切な角度を付与してロックナットチゼル先端とロックナットのカシメ部とを接触させることができ、確実にカシメ部を取外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では同一部分または相当する部分については同一の参照符号を付し、その説明については繰返さない。また、各実施の形態を組合せることも可能である。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に従ったロックナットチゼルの支持台構造の側面図である。図1を参照して、ロックナットチゼルの支持台構造30は、支持台1を含み、支持台1は、ブレーキロータ2に取付けられて、ドライブシャフトねじ部4にかしめられたロックナット3を取外すためのロックナットチゼル1Aを取外すものである。支持台1にはガイド3Aが取付けられ、ガイド3AにはSSTハンドル5が軸方向に移動可能に保持されている。SSTハンドル5の先端部にスプリング留め2Aが設けられ、スプリング留め2Aはスプリング4Aによりドライブシャフトねじ部4側へ付勢されている。ロックナットチゼル1Aの角度を変えるためのガイド固定ホルダ6Aが設けられてガイド固定ホルダ6Aはガイド3Aを支持台1に対して固定する。
【0015】
支持台1は支持台固定ナット5Aによりハブボルト9に固定されている。支持台1の害主表面方向に延びるフランジ部6がハブボルト9に嵌め合わされて支持台固定ナット5Aで固定される。ドライブシャフト8の先端部がブレーキロータ2を貫通し、その先端がドライブシャフトねじ部4である。
【0016】
図2はロックナットチゼルとロックナットカシメ部との接触部分を拡大して示す図である。図2を参照して、ロックナットチゼル1Aの先端部がロックナットカシメ部21と折衝し、ロックナットカシメ部21を外周方向へ押圧している。ロックナットカシメ部21は、ドライブシャフトねじ部4に設けられた溝4Uに嵌り合っている。すなわち、ロックナットカシメ部21は、ロックナット3が回転することを防止している。しかしながら、ドライブシャフトの取外し等の場合には、ロックナット3を回転させる必要があり、この場合にロックナットカシメ部21を溝4Uから外す。このときにロックナットチゼル1Aを用いてロックナットカシメ部21を外す。
【0017】
図3は、ロックナットチゼルを拡大して示す側面図である。図3を参照して、ロックナットチゼル1Aの10tでは、中心軸10a上側の第一曲面部11と、中心軸10a下の第二曲面部12とが設けられている。第一曲面部11がロックナットカシメ部21と接触してロックナットカシメ部21を押上げる働きをする。これに対し、第二曲面部12は溝4Uと接触して溝4Uとの摩擦抵抗を小さくしている。
【0018】
ロックナットチゼル1Aの外周面19は円筒形状であり、その一部が切欠かれて平坦面10fが構成されている。平坦面10fは他の部材により保持される。
【0019】
図4は、図3中の矢印IVで示す方向から見たロックナットチゼルの正面図である。図4を参照して、ロックナットチゼル1Aの中心面10bは、矢印rで示す方向のドライブシャフトの半径方向に対して直交し、外周面19の中心を通る平面である。中心面10bの上側に第一曲面部11が設けられ、下側に第二曲面部12が設けられる。
【0020】
図5は、図3中の矢印Vで示す方向から見たロックナットチゼルの背面図である。図5を参照して、中心面10bの上側に平坦面10fが設けられている。なお、複数の平坦面10fが外周面上に設けられていてもよい。
【0021】
図6は、図3中の矢印VIで示す方向から見たロックナットチゼルの平面図である。図6を参照して、上側からロックナットチゼル1Aを見ると、先端部10t側で細くなっており、平坦面10f側で幅が広い。歯先13は円弧形状であり、カシメ部と溝との間に入りやすい形状とされている。中心軸10aを中心としてロックナットチゼル1Aは左右対称形状とされている。
【0022】
図7は、図6中のVII−VII線に沿った断面図である。図7を参照して、外周円である外周面19の内側に切断面が現れており、この切断面を中心面10bが通過する。
【0023】
図8は、比較例に従ったロックナットチゼルにおけるカシメ部を起こす動作を説明するための図である。図9は、図8中のIX−IX線に沿った断面図である。図8および図9を参照して、比較例に従ったロックナットチゼル1Aでは、上面が平坦面101である。この平坦面101がロックナットカシメ部21を押上げる。これにより、図9で示すように、ロックナットカシメ部21周辺にバリ22が生じる。バリ22は溝4Uに嵌り込む。なお、このバリ22が生じる理由は、せん断応力が集中するためである。具体的には、平坦面101によって矢印11Aで示す方向にロックナットカシメ部21に力が加えられる。このとき、隣接するように矢印22aで示す方向にせん断応力が加えられ、これによりバリ22が発生してバリ22が溝4Uに噛み込む。その結果、十分なカシメ部の解除をすることが困難であるという問題があった。
【0024】
これに対し、本願発明では、ロックナットチゼル1Aの上面を第一曲面部11としている。その結果、図8および9で示すような応力集中の発生を防止する。これにより、バリの発生を抑制でき、確実にロックナットカシメ部21を外すことができる。すなわち、ロックナットカシメ部21と接触するロックナットチゼル1Aの外周面には、外側に向かって凸形状の第一曲面部11が設けられている。さらに、第一曲面部11はロックナット3の半径方向rに直交し、ロックナット3の周方向に沿うロックナットチゼル1Aの中心面10bよりも外側に設けられ、中心面10bよりも内側には第二曲面部12が設けられる。第二曲面部12は、図4で示すように、半径方向の高さが第一曲面部11よりも小さい。
【0025】
図10は、この発明に従った支持台の使用方法を説明するための図である。図10を参照して、支持台1を使用する際には、SSTハンドル5にロックナットチゼル1Aを取付け、SSTハンドル5の後の端をハンマー200で叩く。これにより、SSTハンドル5はロックナットチゼル1Aとともにロックナット3に近づく方向に動く。このときロックナットチゼル1Aの先端がロックナットカシメ部21を起こす。このようにしてロックナットカシメ部21を外側方向へ組成変形させることでロックナットカシメ部21を取外す。このとき、スプリング4Aにより、ロックナットチゼル1Aは常にロックナットカシメ部21と当接するように付勢されている。
【0026】
スプリング4Aの弾性作用により、ロックナットチゼル1A先端部とロックナットカシメ部21との間で反発力を吸収しつつ、ロックナットチゼル1A先端部を常時ロックナットカシメ部21に当接させることが可能である。
【0027】
図11は、図10の矢印XIで示す方向から見たフランジ部の平面図である。図11を参照して、フランジ部6には、ボルトを通すための長穴61が設けられる。なお、長穴61の形状に関しては、フランジ部6を取付けるハブボルトの径によって適宜その寸法を変更することが可能である。
【0028】
(実施の形態2)
図12は、この発明の実施の形態2に従ったロックナットチゼルの保持構造の一部分を拡大して示す図である。図12を参照して、ロックナットチゼル1Aの角度を変更するための調整用のボルト50が設けられてもよい。ドライブシャフト8と平行な基準線40に対して、ロックナットチゼル1Aの中心軸10aとのなす角度θを適宜変更することが可能なように調整用のボルト50を設けている。さらに、ボルト50周囲においてロックナットチゼル1Aは弾性体51に埋め込まれている。弾性体51はゴムまたは樹脂などで採用することができる。
【0029】
ロックナットチゼル1Aの先端入射角を任意に調整可能なように弾性体51およびボルト50を設けている。弾性体51でロックナットチゼル1Aを支持することにより角度θを適宜変更することができる。これにより、ドライブシャフトねじ部4の溝の曲面形状を傷つけることなく容易に作用させることが可能である。
【0030】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態1に従ったロックナットチゼルの支持台構造の側面図である。
【図2】ロックナットチゼルとロックナットカシメ部との接触部分を拡大して示す図である。
【図3】ロックナットチゼルを拡大して示す側面図である。
【図4】図3中の矢印IVで示す方向から見たロックナットチゼルの正面図である。
【図5】図3中の矢印Vで示す方向から見たロックナットチゼルの背面図である。
【図6】図3中の矢印VIで示す方向から見たロックナットチゼルの平面図である。
【図7】図6中のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】比較例に従ったロックナットチゼルにおけるカシメ部を起こす動作を説明するための図である。
【図9】図8中のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】この発明に従った支持台の使用方法を説明するための図である。
【図11】図10の矢印XIで示す方向から見たフランジ部の平面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に従ったロックナットチゼルの保持構造の一部分を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 支持台、1A ロックナットチゼル、2 ブレーキロータ、3 ロックナット、3A ガイド、4 ドライブシャフトねじ部、4A スプリング、4U 溝、5 ハンドル、5A 支持台固定ナット、6A ガイド固定ホルダ、6 フランジ部、8 ドライブシャフト、9 ハブボルト、10a 中心軸、10b 中心面、10t 先端部、10f 平坦面、11 第一曲面部、12 第二曲面部、13 歯先、19 外周面、21 ロックナットカシメ部、22 バリ、30 支持台構造、40 基準線、50 ボルト、51 弾性体、61 長穴、101 平坦面、200 ハンマー。
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロックナットチゼルおよびその支持台に関し、より特定的には、車輪のロックナットを取外すロックナットチゼルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロックナットに関する構成は、たとえば特開平7−151128号公報(特許文献1)、特開2000−97812号公報(特許文献2)および特開2003−214837号公報(特許文献3)に開示されている。
【特許文献1】特開平7−151128号公報
【特許文献2】特開2000−97812号公報
【特許文献3】特開2003−214837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1では、ロックナットのカシメ工具が開示されている。
特許文献2および3では、ハブボルトに固定する取付ベースを備える測定装置用固定軸が開示されている。
【0004】
従来のロックナットチゼルでは、ロックナットを外したときにスムーズにロックナットを外すことができない場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、この発明は上述のような問題点を解決するためになされたものであり、ロックナットを確実に取外すことが可能なロックナットチゼル、およびその支持台構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従ったロックナットチゼルは、ボルトにかしめられたロックナットのカシメ部を取外すためのロックナットチゼルであって、カシメ部と接触するロックナットチゼルの外周部には、外側に向かって凸形状の第一曲面部が設けられている。
【0007】
このように構成されたロックナットチゼルでは、カシメ部と接触するロックナットチゼルの外周部には、外側に向かって凸形状の第一曲面部が設けられているため、ロックナットのカシメ部はこの曲面部に従って変形する。その結果、カシメ部は外側に凸形状に押上げられるため、カシメ部の破損を防止し、確実にロックナットを外すことができる。
【0008】
好ましくは、ロックナットの半径方向に直交し、ロックナットの周方向に沿うロックナットチゼルの中心面よりも外周側に第一曲面部が設けられて内周側には別の凸形状の第二曲面部が設けられている。この場合、第二曲面部が設けられることで、ボルト側に位置する第二曲面部がボルトに沿ってスムーズに移動することができ、より確実にロックナットを取外すことができる。
【0009】
この発明に従ったロックナットチゼルの支持台構造は、上記ロックナットチゼルをドライブシャフト軸方向(ボルト軸方向)に沿って固定する固定部と、固定部に固定されたロックナットチゼルをドライブシャフト軸に沿った方向に付勢する付勢部とを備える。
【0010】
このように構成されたロックナットチゼルの支持台構造では、ロックナットチゼルをドライブシャフト軸と平行な方向に付勢する付勢部材が設けられているため、ロックナットチゼルは常に付勢されてドライブシャフトおよびカシメ部と接触する。その結果、確実にカシメ部を外すことができる。
【0011】
この発明に従ったロックナットチゼルの支持台の保持部構造では、上記固定部はロックナットチゼル先端がドライブシャフト軸に対して角度をなすように保持することが可能である。
【0012】
このように構成されたロックナットチゼルの支持台の保持部構造では、適切な角度を付与してロックナットチゼル先端とロックナットのカシメ部とを接触させることができ、確実にカシメ部を取外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では同一部分または相当する部分については同一の参照符号を付し、その説明については繰返さない。また、各実施の形態を組合せることも可能である。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に従ったロックナットチゼルの支持台構造の側面図である。図1を参照して、ロックナットチゼルの支持台構造30は、支持台1を含み、支持台1は、ブレーキロータ2に取付けられて、ドライブシャフトねじ部4にかしめられたロックナット3を取外すためのロックナットチゼル1Aを取外すものである。支持台1にはガイド3Aが取付けられ、ガイド3AにはSSTハンドル5が軸方向に移動可能に保持されている。SSTハンドル5の先端部にスプリング留め2Aが設けられ、スプリング留め2Aはスプリング4Aによりドライブシャフトねじ部4側へ付勢されている。ロックナットチゼル1Aの角度を変えるためのガイド固定ホルダ6Aが設けられてガイド固定ホルダ6Aはガイド3Aを支持台1に対して固定する。
【0015】
支持台1は支持台固定ナット5Aによりハブボルト9に固定されている。支持台1の害主表面方向に延びるフランジ部6がハブボルト9に嵌め合わされて支持台固定ナット5Aで固定される。ドライブシャフト8の先端部がブレーキロータ2を貫通し、その先端がドライブシャフトねじ部4である。
【0016】
図2はロックナットチゼルとロックナットカシメ部との接触部分を拡大して示す図である。図2を参照して、ロックナットチゼル1Aの先端部がロックナットカシメ部21と折衝し、ロックナットカシメ部21を外周方向へ押圧している。ロックナットカシメ部21は、ドライブシャフトねじ部4に設けられた溝4Uに嵌り合っている。すなわち、ロックナットカシメ部21は、ロックナット3が回転することを防止している。しかしながら、ドライブシャフトの取外し等の場合には、ロックナット3を回転させる必要があり、この場合にロックナットカシメ部21を溝4Uから外す。このときにロックナットチゼル1Aを用いてロックナットカシメ部21を外す。
【0017】
図3は、ロックナットチゼルを拡大して示す側面図である。図3を参照して、ロックナットチゼル1Aの10tでは、中心軸10a上側の第一曲面部11と、中心軸10a下の第二曲面部12とが設けられている。第一曲面部11がロックナットカシメ部21と接触してロックナットカシメ部21を押上げる働きをする。これに対し、第二曲面部12は溝4Uと接触して溝4Uとの摩擦抵抗を小さくしている。
【0018】
ロックナットチゼル1Aの外周面19は円筒形状であり、その一部が切欠かれて平坦面10fが構成されている。平坦面10fは他の部材により保持される。
【0019】
図4は、図3中の矢印IVで示す方向から見たロックナットチゼルの正面図である。図4を参照して、ロックナットチゼル1Aの中心面10bは、矢印rで示す方向のドライブシャフトの半径方向に対して直交し、外周面19の中心を通る平面である。中心面10bの上側に第一曲面部11が設けられ、下側に第二曲面部12が設けられる。
【0020】
図5は、図3中の矢印Vで示す方向から見たロックナットチゼルの背面図である。図5を参照して、中心面10bの上側に平坦面10fが設けられている。なお、複数の平坦面10fが外周面上に設けられていてもよい。
【0021】
図6は、図3中の矢印VIで示す方向から見たロックナットチゼルの平面図である。図6を参照して、上側からロックナットチゼル1Aを見ると、先端部10t側で細くなっており、平坦面10f側で幅が広い。歯先13は円弧形状であり、カシメ部と溝との間に入りやすい形状とされている。中心軸10aを中心としてロックナットチゼル1Aは左右対称形状とされている。
【0022】
図7は、図6中のVII−VII線に沿った断面図である。図7を参照して、外周円である外周面19の内側に切断面が現れており、この切断面を中心面10bが通過する。
【0023】
図8は、比較例に従ったロックナットチゼルにおけるカシメ部を起こす動作を説明するための図である。図9は、図8中のIX−IX線に沿った断面図である。図8および図9を参照して、比較例に従ったロックナットチゼル1Aでは、上面が平坦面101である。この平坦面101がロックナットカシメ部21を押上げる。これにより、図9で示すように、ロックナットカシメ部21周辺にバリ22が生じる。バリ22は溝4Uに嵌り込む。なお、このバリ22が生じる理由は、せん断応力が集中するためである。具体的には、平坦面101によって矢印11Aで示す方向にロックナットカシメ部21に力が加えられる。このとき、隣接するように矢印22aで示す方向にせん断応力が加えられ、これによりバリ22が発生してバリ22が溝4Uに噛み込む。その結果、十分なカシメ部の解除をすることが困難であるという問題があった。
【0024】
これに対し、本願発明では、ロックナットチゼル1Aの上面を第一曲面部11としている。その結果、図8および9で示すような応力集中の発生を防止する。これにより、バリの発生を抑制でき、確実にロックナットカシメ部21を外すことができる。すなわち、ロックナットカシメ部21と接触するロックナットチゼル1Aの外周面には、外側に向かって凸形状の第一曲面部11が設けられている。さらに、第一曲面部11はロックナット3の半径方向rに直交し、ロックナット3の周方向に沿うロックナットチゼル1Aの中心面10bよりも外側に設けられ、中心面10bよりも内側には第二曲面部12が設けられる。第二曲面部12は、図4で示すように、半径方向の高さが第一曲面部11よりも小さい。
【0025】
図10は、この発明に従った支持台の使用方法を説明するための図である。図10を参照して、支持台1を使用する際には、SSTハンドル5にロックナットチゼル1Aを取付け、SSTハンドル5の後の端をハンマー200で叩く。これにより、SSTハンドル5はロックナットチゼル1Aとともにロックナット3に近づく方向に動く。このときロックナットチゼル1Aの先端がロックナットカシメ部21を起こす。このようにしてロックナットカシメ部21を外側方向へ組成変形させることでロックナットカシメ部21を取外す。このとき、スプリング4Aにより、ロックナットチゼル1Aは常にロックナットカシメ部21と当接するように付勢されている。
【0026】
スプリング4Aの弾性作用により、ロックナットチゼル1A先端部とロックナットカシメ部21との間で反発力を吸収しつつ、ロックナットチゼル1A先端部を常時ロックナットカシメ部21に当接させることが可能である。
【0027】
図11は、図10の矢印XIで示す方向から見たフランジ部の平面図である。図11を参照して、フランジ部6には、ボルトを通すための長穴61が設けられる。なお、長穴61の形状に関しては、フランジ部6を取付けるハブボルトの径によって適宜その寸法を変更することが可能である。
【0028】
(実施の形態2)
図12は、この発明の実施の形態2に従ったロックナットチゼルの保持構造の一部分を拡大して示す図である。図12を参照して、ロックナットチゼル1Aの角度を変更するための調整用のボルト50が設けられてもよい。ドライブシャフト8と平行な基準線40に対して、ロックナットチゼル1Aの中心軸10aとのなす角度θを適宜変更することが可能なように調整用のボルト50を設けている。さらに、ボルト50周囲においてロックナットチゼル1Aは弾性体51に埋め込まれている。弾性体51はゴムまたは樹脂などで採用することができる。
【0029】
ロックナットチゼル1Aの先端入射角を任意に調整可能なように弾性体51およびボルト50を設けている。弾性体51でロックナットチゼル1Aを支持することにより角度θを適宜変更することができる。これにより、ドライブシャフトねじ部4の溝の曲面形状を傷つけることなく容易に作用させることが可能である。
【0030】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の実施の形態1に従ったロックナットチゼルの支持台構造の側面図である。
【図2】ロックナットチゼルとロックナットカシメ部との接触部分を拡大して示す図である。
【図3】ロックナットチゼルを拡大して示す側面図である。
【図4】図3中の矢印IVで示す方向から見たロックナットチゼルの正面図である。
【図5】図3中の矢印Vで示す方向から見たロックナットチゼルの背面図である。
【図6】図3中の矢印VIで示す方向から見たロックナットチゼルの平面図である。
【図7】図6中のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】比較例に従ったロックナットチゼルにおけるカシメ部を起こす動作を説明するための図である。
【図9】図8中のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】この発明に従った支持台の使用方法を説明するための図である。
【図11】図10の矢印XIで示す方向から見たフランジ部の平面図である。
【図12】この発明の実施の形態2に従ったロックナットチゼルの保持構造の一部分を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 支持台、1A ロックナットチゼル、2 ブレーキロータ、3 ロックナット、3A ガイド、4 ドライブシャフトねじ部、4A スプリング、4U 溝、5 ハンドル、5A 支持台固定ナット、6A ガイド固定ホルダ、6 フランジ部、8 ドライブシャフト、9 ハブボルト、10a 中心軸、10b 中心面、10t 先端部、10f 平坦面、11 第一曲面部、12 第二曲面部、13 歯先、19 外周面、21 ロックナットカシメ部、22 バリ、30 支持台構造、40 基準線、50 ボルト、51 弾性体、61 長穴、101 平坦面、200 ハンマー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボルトにかしめられたロックナットのカシメ部を取外すためのロックナットチゼルであって、
カシメ部と接触するロックナットチゼルの外周部には、外側に向かって凸形状の第一曲面部が設けられている、ロックナットチゼル。
【請求項2】
ロックナットの半径方向に直交し、ロックナットの円周方向に沿うロックナットチゼルの中心面よりも外周側に前記第一曲面部が設けられ、内周側に凸形状の第二曲面部が設けられている、請求項1に記載のロックナットチゼル。
【請求項3】
請求項1に記載のロックナットチゼルをボルト軸方向に沿って固定する固定部と、固定部に固定されたロックナットチゼルをボルト軸に沿った方向に付勢する付勢部とを備えた、ロックナットチゼルの支持台構造。
【請求項4】
請求項3に記載のロックナットチゼルの支持台構造の一部分を構成する支持台の保持部構造であって、前記固定部は、ロックナットチゼル先端がボルト軸に対して角度をなすように保持することが可能である、支持台の保持部構造。
【請求項1】
ボルトにかしめられたロックナットのカシメ部を取外すためのロックナットチゼルであって、
カシメ部と接触するロックナットチゼルの外周部には、外側に向かって凸形状の第一曲面部が設けられている、ロックナットチゼル。
【請求項2】
ロックナットの半径方向に直交し、ロックナットの円周方向に沿うロックナットチゼルの中心面よりも外周側に前記第一曲面部が設けられ、内周側に凸形状の第二曲面部が設けられている、請求項1に記載のロックナットチゼル。
【請求項3】
請求項1に記載のロックナットチゼルをボルト軸方向に沿って固定する固定部と、固定部に固定されたロックナットチゼルをボルト軸に沿った方向に付勢する付勢部とを備えた、ロックナットチゼルの支持台構造。
【請求項4】
請求項3に記載のロックナットチゼルの支持台構造の一部分を構成する支持台の保持部構造であって、前記固定部は、ロックナットチゼル先端がボルト軸に対して角度をなすように保持することが可能である、支持台の保持部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−214198(P2009−214198A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58150(P2008−58150)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]