説明

ロック機構付き吐出装置

【課題】 ロック部材を吐出操作性向上のために利用することが可能なロック機構付き吐出装置を提供する。
【解決手段】 支持台40にロック部材60を前後方向へ回動自在に枢着させ、該ロック部材は操作レバー50へ係合して、該操作レバーによるステム20の押下げを阻止するロック位置と、該ロック位置から後方へ回動して操作レバーから係合離脱することで該操作レバーのステム押下げを許容するアンロック位置とをとることが可能に設けたロック機構付き吐出装置において、ロック部材60はアンロック位置で後方へ突出して、操作レバー操作時における手に上方から接触可能に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は操作レバーをロックするためのロック機構付き吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吐出用の操作レバーの不用意な押下げを防止すべく、ロック部材を設けた吐出装置が従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4079261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は操作レバーの回動を許容するロック部材のアンロック位置で、ロック部材は装置本体の側面に位置して装置本体の後方へ突出していないため、ロック部材を吐出操作時における手に当てることができず、このため吐出装置が小型で吐出操作しにくい場合でもロック部材を利用して操作容易にすることができないという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ロック部材を吐出操作性向上のために利用することが可能なロック機構付き吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体口頸部2への装着筒10の頂壁から基筒13を立設し、該基筒内から吐出用のステム20を上下動自在に起立させて、該ステムからノズル部材30を前方突設すると共に、前記装着筒の頂壁に支持台40を設け、該支持台に操作レバー50を前後方向へ回動自在に枢着させると共に、該操作レバーを前記ステムへ押下げ可能に係合させ、さらに前記支持台40にロック部材60を前後方向へ回動自在に枢着させ、該ロック部材は前記操作レバーへ係合して、該操作レバーによるステムの押下げを阻止するロック位置と、該ロック位置から後方へ回動して操作レバーから係合離脱することで該操作レバーのステム押下げを許容するアンロック位置とをとることが可能に設けたロック機構付き吐出装置において、
前記ロック部材60は前記アンロック位置で後方へ突出して、前記操作レバー操作時における手に上方から接触可能に設けたことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、前記支持台40を前記基筒13後部から後方へ突出する左右一対の支持板41で形成すると共に、該支持板上端に係合切欠部42を設け、
前記ロック部材60は、それぞれの支持板41に前後方向へ回動自在に軸支された一対のロック板61と、該ロック板に形成された係合突部64とを備え、
該ロック板61は前記ロック位置で前記基筒13上端へ載置係合可能に、かつ前記アンロック位置で前記係合突部64が前記係合切欠部42へ係合可能に設けたことを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明は、前記係合切欠部は、上方へ開口の入口部70aと、後方へ長く形成された長孔からなる突当り部70bとから形成され、かつ入口部70aと突当り部70bとの境界部70cは、前記ロック板61の係合突部64の径より小さい寸法で、かつ係合突部64により強制拡開可能に形成され、
また前記ロック板61を前記支持板41へ軸支するための軸棒62が挿入された軸孔63を後方へ長い長孔で形成し、
前記アンロック位置で、前記軸棒62は前記係合切欠部の入口部70aを介して前記突当り部70bへ嵌合可能に設け、さらに前記ロック部材を後方へ引くことで前記軸棒62と係合突部64とをそれぞれが嵌合された長孔の後端へ移動させることが可能に設けたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記ロック部材60は、ロック位置において、前記操作レバー50を跨架する下向きコ字状の操作部65を備え、該操作部を前記ロック板61へ連結させていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、アンロック位置でロック部材が後方へ突出して、操作レバー操作時における手に上方から接触可能に設けたので、吐出操作時における操作性が向上する。
また、本発明は、係合切欠部は、ロック板の係合突部の径より小さい寸法で、かつ強制拡開可能な境界部と、後方へ長く形成された長孔からなる突当り部とを備え、ロック板を支持板へ軸支するための軸棒が挿入された軸孔を後方へ長い長孔で形成したので、ロック部材が容易にアンロック位置から外れることがなく、したがって、ロック部材の操作性向上のための利用に支障が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る吐出装置のロック位置における側面図である。
【図2】図1の半断面正面図である。
【図3】図1の断面図である。
【図4】アンロック位置を示す図1相当図である。
【図5】作用説明図である。
【図6】他の実施形態を示す図1相当図である。
【図7】アンロック位置を示す図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1において、1は容器体で、肩部を介して口頸部2を起立する。
【0013】
10は装着筒で、周壁11を容器体口頸部2外面へ螺合させると共に、周壁11上面の内向きフランジ状頂壁12内周から上部が縮径された基筒13を起立させている。
【0014】
20は吐出用のステムで、容器体1内に設けた図示しないシリンダ内へ嵌挿されたピストンから基筒13を介して上方付勢状態で起立する。
【0015】
30はノズル部材で、ステム20上端へ後部を嵌合させて前方へ突設する。
【0016】
40は支持台で、基筒13の後部から互いにほぼ平行な左右一対の支持板41、41を後方へ突設して、これら支持板下端を基筒13頂壁へ一体に連結すると共に、両支持板後端間を後壁で閉塞し、さらに両支持板上端の前後方向中間部に係合切欠部42を形成している。
【0017】
係合切欠部42は上方へ開口する入口部42aと突当り部42bとから形成されていて、入口部と突当り部との境界部42cにおける前後方向の寸法は、後述の係合突部64の径よりもやや小さく形成されており、係合突部64が係合切欠部42に対し係合離脱する際に、係合突部がその境界部42cを強制的に拡開可能に設けている。
【0018】
50は操作レバーで、左右方向から見て下向きの略L字状に、かつ断面形状が下向きコ字状に、それぞれ形成されており、L字の一部を形成する斜め前方下へ垂下する把持用部分51の上部にノズル部材30を挿通させるための開口部52が形成され、またL字の他部を形成する水平部分後端を支持台40の後部上端へ軸着させている。さらにL字の水平部分の前後方向中間部分内面に後述のロック部材へ係合可能なロック用突条53を設けている。
【0019】
また、L字の水平部分内側面に図示しない下向きU字状の突部を備えていて、該突部は、操作レバー50の吐出操作時に、ステム20に形成された図示しない突部へ係合することでステム20を押下げ可能に設けている。
【0020】
60はロック部材で、左右一対のロック板61を支持台40の前部上端部へ回動自在に支持させている。一対のロック板61は、ロック位置において、それぞれの下縁前部が基筒13上端へ載置可能に、かつ上縁が上方へ凸の弯曲状に、それぞれ形成され、また下縁の前後中間部を下方へ延出して、この延出部下端内面に突設した軸棒62、62を支持板41、41の前部上端部に形成した軸孔63、63へ回動自在に嵌合させている。さらに一対のロック板61の後部内面に、係合切欠部42へ係合可能な係合突部64を突設している。
【0021】
ロック部材60は、またロック位置において、操作レバー50を跨架する下向きコ字状の操作部65を備え、該操作部下部の細幅部を一対のロック板外面へ一体に連結させている。
【0022】
図6および図7は他の実施形態を示すもので、第1の実施形態とは係合切欠部において相違する。ここでは係合切欠部を符号70で示す。係合切欠部70は上方へ開口する入口部70aと突当り部70bとから形成されていて、突当り部70bは前後へ長い長孔に形成されており、入口部と突当り部との境界部70cにおける前後方向の寸法は、係合突部64の径よりもやや小さく形成されており、係合突部64が係合切欠部42に対し係合離脱する際に、係合突部64がその境界部70cを強制的に拡開可能に設けている。なお、図6にも示すように突当り部70b下縁の前後方向中間部には係合突部64が強制乗越え可能な突起70dを設けるのが好ましい。さらにロック板61を支持板41へ軸支するための軸棒62が挿入された軸孔63を後方へ長い長孔で形成している。その他の構成は第1実施形態と同一であるから説明を省略する。
【0023】
次に作用について述べる。
図1ないし図3はロック時の状態を示すもので、ロック板61は基筒13上端へ載置されていて、操作レバー50のロック用突条53下端がロック板61の弯曲状の上縁へ上方から係合しており、したがって、操作レバー50の把持用部分51を後方へ引いても、操作レバーを回動させることはできず、このためステムを押下げることが不可能であり、吐出させることはできない。
【0024】
吐出するには、ロック部材60の操作部65を後方へ回動させればよく、こうすることでロック板61が後方へ回動して係合突部64が係合切欠部42へ係合する。この状態が操作レバー50のアンロック位置で、この位置では操作レバー50は図4に示すように支持台40よりも後方へ突出しており、したがって、吐出操作する場合に、図5に示すように手を操作レバー50に当てることができて吐出操作を容易にすることができる。
【0025】
図6および図7の場合には、ロック部材60を後方へ回動させて係合突部64を係合切欠部70の突当り部70bへ係合させた後、さらに操作レバー50を後方へ引くと、軸棒62が軸孔63後端へ移動すると共に、係合突部64が長孔からなる突当り部70bの後端へ移動するため、係合突部64が突当り部70bから外れにくくなる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、操作レバーをロックするための吐出装置の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 容器体
2 口頸部
10 装着筒
13 基筒
30 ノズル部材
40 支持台
41 支持板
42 係合切欠部
42a 入口部
42b 突当り部
42c 境界部
50 操作レバー
53 ロック用突条
60 ロック部材
61 ロック板
62軸棒62、62
軸孔 63
70 係合切欠部
70a 入口部
70b 突当り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体口頸部2への装着筒10の頂壁から基筒13を立設し、該基筒内から吐出用のステム20を上下動自在に起立させて、該ステムからノズル部材30を前方突設すると共に、前記装着筒の頂壁に支持台40を設け、該支持台に操作レバー50を前後方向へ回動自在に枢着させると共に、該操作レバーを前記ステムへ押下げ可能に係合させ、さらに前記支持台40にロック部材60を前後方向へ回動自在に枢着させ、該ロック部材は前記操作レバーへ係合して、該操作レバーによるステムの押下げを阻止するロック位置と、該ロック位置から後方へ回動して操作レバーから係合離脱することで該操作レバーのステム押下げを許容するアンロック位置とをとることが可能に設けたロック機構付き吐出装置において、
前記ロック部材60は前記アンロック位置で後方へ突出して、前記操作レバー操作時における手に上方から接触可能に設けたことを特徴とするロック機構付き吐出装置。
【請求項2】
前記支持台40を前記基筒13後部から後方へ突出する左右一対の支持板41で形成すると共に、該支持板上端に係合切欠部42を設け、
前記ロック部材60は、それぞれの支持板41に前後方向へ回動自在に軸支された一対のロック板61と、該ロック板に形成された係合突部64とを備え、
該ロック板61は前記ロック位置で前記基筒13上端へ載置係合可能に、かつ前記アンロック位置で前記係合突部64が前記係合切欠部42へ係合可能に設けたことを特徴とするロック機構付き吐出装置。
【請求項3】
前記係合切欠部は、上方へ開口の入口部70aと、後方へ長く形成された長孔からなる突当り部70bとから形成され、かつ入口部70aと突当り部70bとの境界部70cは、前記ロック板61の係合突部64の径より小さい寸法で、かつ係合突部64により強制拡開可能に形成され、
また前記ロック板61を前記支持板41へ軸支するための軸棒62が挿入された軸孔63を後方へ長い長孔で形成し、
前記アンロック位置で、前記軸棒62は前記係合切欠部の入口部70aを介して前記突当り部70bへ嵌合可能に設け、さらに前記ロック部材を後方へ引くことで前記軸棒62と係合突部64とをそれぞれが嵌合された長孔の後端へ移動させることが可能に設けたことを特徴とする請求項2記載のロック機構付き吐出装置。
【請求項4】
前記ロック部材60は、ロック位置において、前記操作レバー50を跨架する下向きコ字状の操作部65を備え、該操作部を前記ロック板61へ連結させていることを特徴とする請求項2記載のロック機構付き吐出装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−274228(P2010−274228A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131572(P2009−131572)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)