説明

ロボットおよびロボットシステム

【課題】アーム等の部位の位置ずれを防止すること。
【解決手段】実施形態に係るロボットは、減速機42aと、第1のシャフト61と、モータ41aと、第2のシャフト62と、外部ブレーキ44aとを備える。減速機42aは、入力部422へ入力される回転を減じて出力する。第1のシャフト61は、入力部422に対して接続される。モータ41aは、第1のシャフト61を回転させる。第2のシャフト62は、入力部422に対して接続される。外部ブレーキ44aは、第2のシャフト62の回転を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、ロボットおよびロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送用ロボットや溶接用ロボットあるいは塗装用ロボットといった各種のロボットが、生産現場において利用されている。
【0003】
この種のロボットは、たとえば電源が遮断された場合に、アーム等の部位が自重によって位置ずれを起こすことを防止するためのブレーキを備える場合がある。たとえば、特許文献1には、電源供給時には電磁力によって制動力が解除され、電源遮断時にはバネ等の機械的作用で制動力が作用する無励磁作動式電磁ブレーキを備えるロボットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−307618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来技術では、ブレーキを用いることでアーム等の部位の位置ずれを防止することとしている。しかしながら、従来技術には、アーム等の部位の位置ずれをより確実に防止するという点で更なる改善の余地がある。
【0006】
たとえば、一方のアームが他方のアームと減速機を介して接続される場合がある。このような場合に、モータの回転を減速機へ入力する入力軸に設けられた入力ギアが経年劣化等によって摩耗すると、アームは、入力ギアが摩耗した分だけ位置がずれた状態で姿勢保持されることとなる。このため、演算上でのアームの姿勢保持位置の確保が困難となる可能性がある。
【0007】
なお、従来では、たとえば入力ギアの交換等を定期的に実施することで、アームの位置ずれを未然に防いでいる。しかしながら、アーム等の部位の位置ずれは、より確実に防止することが望ましい。
【0008】
実施形態の一態様は、アーム等の部位の位置ずれを防止することができるロボットおよびロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一態様に係るロボットは、減速機と、第1のシャフトと、回転電機と、第2のシャフトと、ブレーキとを備える。減速機は、入力部へ入力される回転を減じて出力する。第1のシャフトは、入力部に対して接続される。回転電機は、第1のシャフトを回転させる。第2のシャフトは、入力部に対して接続される。ブレーキは、第2のシャフトの回転を規制する。
【0010】
また、実施形態の一態様に係るロボットシステムは、ロボットと、制御装置とを備える。ロボットは、減速機と、第1のシャフトと、回転電機と、第2のシャフトと、ブレーキとを備える。減速機は、入力部へ入力される回転を減じて出力する。第1のシャフトは、入力部に対して接続される。回転電機は、第1のシャフトを回転させる。第2のシャフトは、入力部に対して接続される。ブレーキは、第2のシャフトの回転を規制する。また、制御装置は、ロボットを制御する。
【発明の効果】
【0011】
実施形態の一態様によれば、アーム等の部位の位置ずれを防止することが可能なロボットおよびロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第1の実施形態に係るロボットの模式斜視図である。
【図2】図2は、ロボットの模式側面図である。
【図3】図3は、第1関節部周辺の一部透過図である。
【図4】図4は、入力部周辺の拡大図である。
【図5A】図5Aは、入力部、第1のシャフトおよび第2のシャフトの他の構成例を示す拡大図である。
【図5B】図5Bは、入力部、第1のシャフトおよび第2のシャフトの他の構成例を示す拡大図である。
【図6】図6は、制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図7】図7は、診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第3の実施形態に係るロボットの模式斜視図である。
【図9】図9は、第4の実施形態に係るロボットの一部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するロボットおよびロボットシステムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
(第1の実施形態)
[ロボットの全体構成]
まず、第1の実施形態に係るロボットの構成について図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係るロボットの模式斜視図である。以下では、説明の便宜上、ロボット1の旋回位置が図1に示す状態であるとしてロボット1における各部位の位置関係を説明する。また、以下では、Z軸方向を鉛直方向とする。
【0015】
図1に示すように、ロボット1は、旋回機構10と、昇降機構20と、水平アームユニット30とを備える。
【0016】
旋回機構10は、基台11と、旋回台12とを備える。基台11は、たとえば床面等に設置される。基台11の上部には、旋回台12が旋回軸Oを中心に旋回可能に取り付けられる。旋回台12は、鉛直軸である旋回軸Oを中心として旋回する。かかる旋回台12が旋回することにより、昇降機構20および水平アームユニット30は、旋回軸Oを中心として旋回する。
【0017】
昇降機構20は、支柱21と、脚部ユニット22とを備える。支柱21は、旋回台12の先端部から鉛直方向に立設される部材である。脚部ユニット22は、基端部が支柱21の先端部に支持され、先端部において水平アームユニット30を支持する部材である。昇降機構20は、脚部ユニット22の姿勢を変化させることで、水平アームユニット30を旋回軸Oと平行な軸に沿って上下方向に昇降させる。
【0018】
脚部ユニット22は、第1昇降用アーム24と、第2昇降用アーム26とを備える。第1昇降用アーム24は、基端部が支柱21の先端部と第1関節部23を介して連結される。これにより、第1昇降用アーム24は、水平軸である第1関節部23の関節軸を中心として、支柱21の先端部に回転可能に支持される。
【0019】
第2昇降用アーム26は、基端部が第1昇降用アーム24の先端部と第2関節部25を介して連結される。これにより、第2昇降用アーム26は、水平軸である第2関節部25の関節軸を中心として、第1昇降用アーム24の先端部に回転可能に支持される。
【0020】
水平アームユニット30は、第2昇降用アーム26の先端部と第3関節部27を介して連結される。これにより、水平アームユニット30は、水平軸である第3関節部27の関節軸を中心として、第2昇降用アーム26の先端部に回転可能に支持される。
【0021】
このように、第1の実施形態に係るロボット1は、1つの脚部ユニット22を用いて水平アームユニット30を支持する。このため、2以上の昇降アームユニットで水平アームユニット30を支持する場合に比べて、構成を簡素化することができる。
【0022】
水平アームユニット30は、下側アームユニット31aと、上側アームユニット31bとを備える。下側アームユニット31aは、ハンド部33aと、アーム部32aと、下側支持部材34aとを備える。ハンド部33aは、被搬送対象物である薄板状のワークWを載置する。アーム部32aは、基端部が下側支持部材34aに支持され、先端部においてハンド部33aを支持する。下側支持部材34aは、第2昇降用アーム26の先端部に、第3関節部27の関節軸を中心として回転可能に支持される。下側支持部材34aには、上側支持部材34bの基端部が固定され、アーム部32aの基端部が回転可能に支持される。
【0023】
上側アームユニット31bは、ハンド部33bと、アーム部32bと、上側支持部材34bとを備える。ハンド部33bは、被搬送対象物である薄板状のワークW(図示せず)を載置する。アーム部32bは、基端部が上側支持部材34bに回転可能に支持され、先端部においてハンド部33bを支持する。上側支持部材34bは、その基端部が下側支持部材34aの基端部に連結され、第3関節部27の関節軸を中心として回転可能に支持される。
【0024】
水平アームユニット30は、アーム部32a,32bを伸縮させることによって、ハンド部33a,33bを所定の方向へ移動させる。たとえば、ロボット1が図1に示す旋回位置にある場合、アーム部32a,32bはX方向の正方向または負方向にハンド部33a,33bを直線的に移動させる。
【0025】
[ロボットの動作]
第1の実施形態に係るロボット1は、たとえば、次のように図示しないストッカに保管されたワークWをストッカから取り出し、図示しない搬送位置へ搬送する。なお、ここでは、ハンド部33aでワークWをすくい上げて搬送する場合について説明するが、ハンド部33bによる搬送も同様である。
【0026】
まず、ロボット1は、昇降機構20によって水平アームユニット30を上昇又は下降させることによって、ストッカ内に保管されて取り出し対象となるワークWの高さよりも少し低い高さにハンド部33aを位置させる。なお、ストッカ内には、たとえば、ロボット1が設置される工場の天井近くの高さから床面近くの高さまでの間に、ワークWが一定の間隔を持って積み重ねられ保管される。
【0027】
つづいて、ロボット1は、アーム部32aを駆動してハンド部33aを水平方向に直線的に移動させて、ワークWを保管するストッカ内にハンド部33aを進入させ、その後、昇降機構20によって水平アームユニット30を上昇させる。これにより、ハンド部33a上にワークWが載置される。
【0028】
つづいて、ロボット1は、アーム部32aを縮ませることによってワークWを載置したハンド部33aをストッカ内から水平方向に直線的に退出させる。その後、ロボット1は、ハンド部33aの先端部がワークWの搬送位置の方向へ向くように水平アームユニット30および昇降機構20を旋回機構10によって旋回させる。
【0029】
つづいて、ロボット1は、アーム部32aを再び伸ばすことによって、ハンド部33aを水平方向に直線的に移動させ、ハンド部33aを搬送位置の上方に進入させる。そして、ロボット1は、昇降機構20によって水平アームユニット30を下降させる。これにより、ハンド部33aの位置が下降し、ワークWが搬送位置に載置される。
【0030】
このように、ロボット1は、アーム部32a,32bの伸縮によるハンド部33a,33bの移動、昇降機構20による水平アームユニット30の昇降および旋回機構10による水平アームユニット30の旋回によってワークWの搬送を行う。
【0031】
こうしたロボット1の動作は、通信ネットワークを介してロボット1と接続された制御装置5からの指示によって行われる。
【0032】
制御装置5は、ロボット1の駆動制御を行う制御装置である。具体的には、ロボット1の各関節部23,25,27には、モータが設けられており、制御装置5は、これらモータの駆動を指示する。ロボット1は、制御装置5からの指示に従って各モータを個別に任意の角度だけ回転させることで、旋回機構10、昇降機構20および水平アームユニット30を駆動させる。ロボット1と制御装置5とを接続する通信ネットワークとしては、たとえば有線LAN(Local Area Network)や無線LANといった一般的なネットワークを用いることができる。なお、ここでは図示を省略するが、旋回台12およびアーム部32a,32bにも同様のモータが設けられており、制御装置5は、これらモータの駆動指示も行う。
【0033】
また、各関節部23,25,27には、減速機および外部ブレーキがさらに設けられる。減速機は、モータの回転を減じて出力する伝達機構である。外部ブレーキは、減速機の入力軸の回転を規制することによって、減速機の出力軸の回転を規制するブレーキである。減速機の出力軸は、水平アームユニット30や第1昇降用アーム24、第2昇降用アーム26といったアームに連結される。したがって、外部ブレーキを作動させることにより、アームの自重による位置ずれを防止することができる。
【0034】
ここで、第1の実施形態に係るロボット1のように、一方のアームが他方のアームと減速機を介して接続される場合、減速機の入力軸に設けられた入力ギアが経年劣化等によって摩耗する可能性がある。この入力ギアが摩耗すると、磨耗分に相当する量の位置ずれが生じ、アームを姿勢保持する位置がずれることとなる可能性がある。
【0035】
そこで、第1の実施形態に係るロボット1では、減速機の入力軸と接続するシャフトをモータ側のシャフトおよび外部ブレーキ側のシャフトに分割し、それぞれのシャフトに対して入力ギアを設けることとした。
【0036】
これにより、第1の実施形態に係るロボット1は、モータ側の入力ギアが摩耗あるいは破損した場合であっても、外部ブレーキの制動力を減速機へ適切に伝達させることができる。したがって、アームの位置ずれを確実に防止することができる。
【0037】
以下では、各関節部23,25,27に設けられるモータ、減速機および外部ブレーキの構成について具体的に説明する。
【0038】
[モータ、減速機および外部ブレーキの構成]
図2は、ロボット1の模式側面図である。図2に示すように、ロボット1は、第1関節部23と、第2関節部25と、第3関節部27とを備える。第1関節部23は、第1昇降用アーム24の基端部と支柱21の先端部とを連結する関節部である。第2関節部25は、第2昇降用アーム26の基端部と第1昇降用アーム24の先端部とを連結する関節部である。第3関節部27は、水平アームユニット30と第2昇降用アーム26の先端部とを連結する関節部である。
【0039】
第1関節部23には、モータ41a、減速機42aおよび外部ブレーキ44aが設けられる。第2関節部25には、モータ41b、減速機42bおよび外部ブレーキ44bが設けられる。第3関節部27には、モータ41c、減速機42cおよび外部ブレーキ44cが設けられる。また、各モータ41a〜41cは、内部ブレーキ43a〜43cを内蔵する。モータ41a〜41cは、回転電機の一例である。
【0040】
内部ブレーキ43a〜43cおよび外部ブレーキ44a〜44cは、たとえば無励磁作動式電磁ブレーキである。無励磁作動式電磁ブレーキは、電源供給時には電磁力によってブレーキ保持が解除され、電源遮断時にはバネ等の機械的作用でブレーキがかかる仕組みを持ったブレーキである。なお、内部ブレーキおよび外部ブレーキは、無励磁作動式電磁ブレーキ以外のブレーキであってもよい。
【0041】
第1関節部23では、モータ41aの回転が減速機42aによって減速されて出力されることで、第1昇降用アーム24が回転し、支柱21に対する第1昇降用アーム24の姿勢が変化する。また、第1関節部23では、電源供給遮断時には、内部ブレーキ43aおよび外部ブレーキ44aが作動することによって、支柱21に対する第1昇降用アーム24の姿勢が保持される。
【0042】
第2関節部25では、モータ41bの回転が減速機42bによって減速されて出力されることで、第2昇降用アーム26が回転し、第1昇降用アーム24に対する第2昇降用アーム26の姿勢が変化する。また、第2関節部25では、電源供給遮断時には、内部ブレーキ43bおよび外部ブレーキ44bが作動することによって、第1昇降用アーム24に対する第2昇降用アーム26の姿勢が保持される。
【0043】
第3関節部27では、モータ41cの回転が減速機42cによって減速されて出力されることで、水平アームユニット30が回転し、第2昇降用アーム26に対する水平アームユニット30の姿勢が変化する。また、第3関節部27では、電源供給遮断時には、内部ブレーキ43cおよび外部ブレーキ44cが作動することによって、第2昇降用アーム26に対する水平アームユニット30の姿勢が保持される。
【0044】
次に、モータ41a〜41c、減速機42a〜42cおよび外部ブレーキ44a〜44cの具体的な構成について説明する。ここでは、一例として第1関節部23に設けられたモータ41a、減速機42aおよび外部ブレーキ44aの構成について図3を用いて説明する。図3は、第1関節部23周辺の一部透過図である。
【0045】
図3に示すように、第1関節部23では、モータ41aが支柱21に固定され、減速機42aが第1昇降用アーム24に固定される。また、外部ブレーキ44aは、減速機42aを介してモータ41aと対向配置され、減速機42aの減速機本体部421に対してケーシング450を介して固定される。
【0046】
減速機42aは、たとえばRV(Rotary Vector)型の減速機であり、減速機本体部421と、入力部422と、出力部423とを備える。減速機42aは、入力部422へ入力された回転を減じて出力部423へ出力する。
【0047】
具体的には、入力部422には、第1のシャフト61が接続される。また、第1のシャフト61は、モータ41aの出力軸411と接続される。これにより、モータ41aの回転力は、モータ41aの出力軸411および第1のシャフト61を介して減速機42aの入力部422へ入力される。そして、減速機42aは、モータ41aの回転力が入力部422へ入力されると、モータ41aの回転速度よりも遅い回転速度で出力部423を回転させる。
【0048】
減速機42aの出力部423は、支柱21に固定されている。このため、第1関節部23では、モータ41aの回転が入力部422へ入力されると、出力部423ではなく減速機本体部421が回転する。この結果、第1関節部23では、減速機本体部421を固定する第1昇降用アーム24が回転し、支柱21に対する第1昇降用アーム24の姿勢が変化することとなる。
【0049】
なお、減速機42aは、RV型の減速機に限ったものではなく、他のタイプの減速機であってもよい。
【0050】
減速機42aの入力部422には、第2のシャフト62がさらに接続される。第2のシャフト62は、基端部が第1のシャフト61の先端部近傍に設けられ、かつ、その中心軸を第1のシャフト61の中心軸と同一としている。
【0051】
すなわち、第1の実施形態では、減速機42aの入力部422に接続されるシャフトが2つに分割されている。
【0052】
外部ブレーキ44aは、ブレーキシャフト441と、ブレーキ本体部442とを備える。ブレーキシャフト441は、第2のシャフト62の先端部と連結され、かつ、その中心軸を第2のシャフト62の中心軸と同一としている。
【0053】
ブレーキ本体部442は、たとえばフィールドコア、コイル、サイドプレート、アーマチュア、バネ、ブレーキ板等を備える。フィールドコアは、軟磁性材料を用いて形成された筒状の部材である。コイルは、フィールドコア内部に設けられる。サイドプレートは、ボルト等を介してフィールドコアに固定される。アーマチュアは、フィールドコアとサイドプレートとの間に配設される。バネは、アーマチュアを軸方向に付勢する。ブレーキ板は、アーマチュアとサイドプレートとの間に配設され、ブレーキシャフト441の回転に伴って回転する。
【0054】
ブレーキ本体部442は、たとえば軟磁性材料を用いて形成された筒状のフィールドコア、フィールドコア内部に設けられたコイル、ボルト等を介してフィールドコアに固定されたサイドプレートを備える。また、ブレーキ本体部442は、フィールドコアとサイドプレートとの間に配設されたアーマチュア、アーマチュアを軸方向に付勢するバネ、アーマチュアとサイドプレートとの間に配設され、ブレーキシャフト441の回転に伴って回転するブレーキ板等を備える。
【0055】
コイルに通電すると、外部ブレーキ44aは励磁状態となり、アーマチュアがバネの弾性力に抗してフィールドコアに磁気吸引される。これにより、ブレーキ板に対する押し付け力が開放され、ブレーキシャフト441および第2のシャフト62が回転可能となる。
【0056】
一方、外部ブレーキ44aは、駆動電源が遮断されて無励磁状態となると、バネの弾性力によってアーマチュアがサイドプレート側へ押し付けられる。これにより、ブレーキ板の回転がアーマチュアおよびサイドプレート間の摩擦力によって規制され、これに伴い、ブレーキシャフト441および第2のシャフト62の回転が規制されることとなる。
【0057】
外部ブレーキ44aによって第2のシャフト62の回転が規制されると、減速機42aは、第2のシャフト62と接続する入力部422の回転が規制され、出力部423の回転が規制される。この結果、ロボット1は、支柱21に対する第1昇降用アーム24の姿勢が保持される。
【0058】
このように、減速機42aの入力部422には、第1のシャフト61および第2のシャフト62の2つのシャフトが接続される。
【0059】
以下では、これら第1のシャフト61、第2のシャフト62および入力部422の構成について図4を用いてより具体的に説明する。図4は、入力部422周辺の拡大図である。
【0060】
図4に示すように、入力部422は、たとえばスパーギアであり、第1の歯車部425を備える。第1のシャフト61および第2のシャフト62は、それぞれ入力ギア611,621を備える。入力ギア611,621は、それぞれ第2の歯車部および第3の歯車部の一例である。
【0061】
入力ギア611および入力ギア621は、それぞれ入力部422の第1の歯車部425と噛み合う。減速機42aでは、第1の歯車部425が入力ギア611と噛み合うことにより、モータ41aの回転が入力ギア611および第1の歯車部425を介して入力部422へ入力される。これにより、減速機42aでは、入力部422が回転するとともに、入力部422の回転に伴って出力部423が回転する。
【0062】
また、減速機42aでは、第1の歯車部425が入力ギア621と噛み合うことにより、外部ブレーキ44aの制動力が入力ギア621および第1の歯車部425を介して入力部422へ伝わる。これにより、減速機42aでは、入力部422の回転が規制される。
【0063】
ここで、ロボット1では、たとえば第1昇降用アーム24を停止した状態から旋回させたり、旋回中の第1昇降用アーム24を停止させたりといった動作が頻繁に行われる。このため、入力ギア611には、比較的大きな負荷がかかり易い。
【0064】
一方、入力ギア621は、外部ブレーキ44aが作動していない状態では、第1の歯車部425の回転に伴って回転しているだけであるため、入力ギア611と比較して大きな負荷を受ける可能性が低い。また、外部ブレーキ44aは、通常、第1昇降用アーム24が停止した状態もしくは速度が低減した状態で作動するため、入力ギア621は、外部ブレーキ44aを作動させた場合であっても、入力ギア611と比較して大きな負荷を受ける可能性が低い。
【0065】
このように、入力ギア611は、入力ギア621と比較して大きな負荷がかかり易いため、入力ギア621よりも早く劣化し易い。入力ギア611は、劣化することによって、第1の歯車部425との間でバックラッシュ(がた付き)を起こす場合がある。
【0066】
ここで、仮に、第1のシャフト61および第2のシャフト62が一体的に形成された1つのシャフトであり、入力ギア611および入力ギア621も一体的に形成された1つの入力ギアであるとする。すなわち、モータ41aの回転力および外部ブレーキ44aの制動力が1つの入力ギアを介して第1昇降用アーム24へ伝達されるとする。
【0067】
かかる場合、入力ギアと第1の歯車部425との間にバックラッシュが生じると、外部ブレーキ44aを動作させたとしても、外部ブレーキ44aの制動力が第1昇降用アーム24へ伝達されず、第1昇降用アーム24がバックラッシュ分ずれて姿勢保持される可能性がある。
【0068】
しかし、第1の実施形態に係るロボット1では、外部ブレーキ44aの制動力を伝達する入力ギア621が、モータ41aの回転力を伝達する入力ギア611とは別体に設けられる。このため、外部ブレーキ44aの制動力は、入力ギア611と第1の歯車部425との間にバックラッシュが生じたとしても、入力ギア621を介して第1昇降用アーム24へ適切に伝達される。したがって、第1の実施形態に係るロボット1によれば、第1昇降用アーム24等の部位の位置ずれを防止することができる。
【0069】
上述してきたように、第1の実施形態では、第1のシャフトおよび第2のシャフトが減速機の入力部へそれぞれ接続され、モータが第1のシャフトを回転させ、外部ブレーキが第2のシャフトの回転を規制することとした。したがって、第1の実施形態では、アーム等の部位の位置ずれを防止することができる。
【0070】
また、モータ41aは、内部ブレーキ43aを内蔵する(図2参照)。内部ブレーキ43aは、無励磁状態において、モータ41aの出力軸411の回転を規制する。すなわち、ロボット1は、内部ブレーキ43aを作動させることにより、外部ブレーキ44aを作動させた場合と同様に、支柱21に対する第1昇降用アーム24の姿勢を保持することができる。
【0071】
このように、ロボット1は、1つのモータ41aに対して内部ブレーキ43aおよび外部ブレーキ44aの2つのブレーキを設けることとした。このため、モータ41aの回転を内部ブレーキ43aのみで規制する場合と比較して制動力を高めることができる。
【0072】
また、何らかの原因で内部ブレーキ43aのブレーキトルクが低下し、内部ブレーキ43a単体ではアームを保持できなくなった場合であっても、外部ブレーキ44aが作用することによってアームを保持することができるため、アームが自由落下することがなく、安全性を高めることができる。同様に、入力ギア611が噛み合わなくなるほど摩滅した場合であっても、入力ギア621によって姿勢保持トルクを伝達するできるため、アームが自由落下するおそれがない。
【0073】
なお、ここでは、第1のシャフト61がモータ41aの出力軸411と別体である場合の例について説明したが、第1のシャフト61およびモータ41aの出力軸411は、あらかじめ一体的に形成されてもよい。同様に、ここでは、第2のシャフト62が外部ブレーキ44aのブレーキシャフト441と別体である場合の例について説明したが、第2のシャフト62および外部ブレーキ44aのブレーキシャフト441は、あらかじめ一体的に形成されてもよい。
【0074】
ところで、図4では、第1の歯車部425の軸方向において、入力ギア611と第1の歯車部425とが当接する長さと、入力ギア621と第1の歯車部425とが当接する長さとが、同一である場合の例について示した。しかし、第1の歯車部425と当接する長さは、入力ギア611,621間で異なってもよい。
【0075】
以下では、第1の歯車部425と当接する長さを入力ギア611,621間で異ならせる場合の例について図5Aを用いて説明する。図5Aは、入力部422、第1のシャフト61および第2のシャフト62の他の構成例を示す拡大図である。
【0076】
図5Aに示すように、第1のシャフト61aの入力ギア611aが第1の歯車部425と当接する長さは、第2のシャフト62aの入力ギア621aが第1の歯車部425と当接する長さよりも長い。具体的には、第1のシャフト61aは、図4に示す第1のシャフト61よりも長く形成される。また、第2のシャフト62aは、図4に示す第2のシャフト62よりも短く形成される。
【0077】
上述したように第1のシャフト61aの入力ギア611aは、第2のシャフト62aの入力ギア621aよりも負荷がかかり易い傾向がある。そこで、入力ギア611aが第1の歯車部425と当接する長さを図4に示す場合よりも長くすることで、入力ギア611aの耐久性を高めることができる。これにより、入力ギア611aのバックラッシュの発生を抑えることができる。
【0078】
なお、図5Aでは、入力ギア611aと第1の歯車部425とが当接する長さを、入力ギア621aと第1の歯車部425とが当接する長さよりも長くする場合の例を示した。しかし、逆に、入力ギア621aと第1の歯車部425とが当接する長さを、入力ギア611aと第1の歯車部425とが当接する長さよりも長くしてもよい。このようにした場合には、入力ギア621aの耐久性を高めることができ、入力ギア621aのバックラッシュの発生を抑えることができる。
【0079】
また、図4では、第1のシャフト61が備える入力ギア611の歯数と、第2のシャフト62が備える入力ギア621の歯数とを同一としたが、入力ギア611,621の歯数は、異なってもよい。以下では、入力ギア611,621の歯数を異ならせる場合の例について図5Bを用いて説明する。図5Bは、入力部422、第1のシャフト61および第2のシャフト62の他の構成例を示す拡大図である。
【0080】
図5Bに示すように、第2のシャフト62bが備える入力ギア621bの歯数は、第1のシャフト61bが備える入力ギア611bの歯数よりも多い。
【0081】
第1のシャフト61bは、図4に示す入力ギア611と同様の入力ギア611bを備える。一方、第2のシャフト62bは、入力ギア611bよりも大径の入力ギア621bを備える。入力ギア621bは、入力ギア611bと比較して歯数が多い。
【0082】
入力部422aは、たとえば2段歯車機構を備える。具体的には、入力部422aは、第1の歯車部として、大径歯車部425aと、小径歯車部425bとを備える。大径歯車部425aは、入力ギア611bと噛み合う。小径歯車部425bは、入力ギア621bと噛み合う。
【0083】
このように、図5Bでは、第2のシャフト62bが備える入力ギア621bの歯数を、第1のシャフト61bが備える入力ギア611bの歯数よりも多くした。具体的には、入力ギア621bの径を入力ギア611bの径よりも大きくした。これにより、入力ギア621bのバックラッシュを抑えることができる。
【0084】
なお、図5Bでは、入力ギア621bの歯数を入力ギア611bの歯数よりも多くする場合の例を示したが、逆に、入力ギア611bの歯数を入力ギア621bの歯数よりも多くしてもよい。このようにした場合には、入力ギア611bのバックラッシュを抑えることができる。また、図5Bでは、入力ギア611bと大径歯車部425aとが当接する長さと、入力ギア621bと小径歯車部425bとが当接する長さとを同一としたが、図5Aに示すように、入力ギア611b,621bが各歯車部と当接する長さを異ならせてもよい。
【0085】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、制御装置5によるロボット1の動作制御について説明する。制御装置5は、モータ41a〜41c等の駆動制御の他、第1のシャフト61の入力ギア611と第1の歯車部425との間にバックラッシュが生じていないか否かを診断する診断処理を実行する。
【0086】
なお、制御装置5から異常を通知された上位コントローラは、異常対応処置を行うことで安全性を確保することができる。また、ライン停止を回避するためにサブラインの生産に切り替えるプログラムを組み込むことで、異常時の生産量の低下を最小限にすることも可能である。
【0087】
まず、制御装置5の構成について図6を用いて説明する。図6は、制御装置5の構成の一例を示すブロック図である。なお、図6では、制御装置5の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示し、一般的な構成要素についての記載を省略する。
【0088】
また、以下では、外部ブレーキ44a〜44cのうちの任意の外部ブレーキ44a〜44cを「外部ブレーキ44」と記載する場合がある。同様に、以下では、内部ブレーキ43a〜43cのうちの任意の内部ブレーキ43a〜43cを「内部ブレーキ43」と記載する場合がある。また、図6では、内部ブレーキ43を「Br1」と記載し、外部ブレーキ44を「Br2」と記載する。
【0089】
図6に示すように、制御装置5は、コンバータ部51と、サーボアンプ52と、DC電源53と、スイッチ54a,54bと、制御部55とを備える。
【0090】
また、図6に示すように、ロボット1は、エンコーダ46をさらに備える。エンコーダ46は、モータ41の回転位置を検出する位置検出部であり、各モータ41に対応して設けられる。かかるエンコーダ46によって検出されたモータ41の回転位置(以下、「エンコーダ値」と記載する)は、制御部55へ出力される。
【0091】
なお、ここでは、エンコーダ46が絶対値エンコーダであるものとするが、これに限ったものではなく、エンコーダ46は、インクリメンタルエンコーダであってもよい。また、エンコーダ46に代えて、レゾルバ等を位置検出部として用いてもよい。
【0092】
コンバータ部51は、AC(Alternating Current)主電源2から供給される交流電力を用いてモータ41の駆動電力を生成する装置である。コンバータ部51によって生成された駆動電力は、サーボアンプ52へ入力される。サーボアンプ52は、制御部55からの指令に従ってPWM制御を行い、モータ41に対して駆動電力を供給する処理部である。
【0093】
DC電源53は、AC主電源2から供給される交流電力から直流電力を生成する。DC電源53によって生成された直流電力は、内部ブレーキ43および外部ブレーキ44へ供給される。なお、図示していないが、DC電源53によって生成された直流電力は、制御部55等にも供給される。
【0094】
スイッチ54aは、内部ブレーキ43の電源スイッチであり、内部ブレーキ43に対するDC電源53からの直流電力の供給および遮断を切り替える。また、スイッチ54bは、外部ブレーキ44の電源スイッチであり、外部ブレーキ44に対するDC電源53からの直流電力の供給および遮断を切り替える。
【0095】
これらスイッチ54a,54bの切り替えは、制御部55によって行われる。なお、内部ブレーキ43および外部ブレーキ44は、スイッチ54a,54bがオフされることによって、すなわち、電源供給が遮断されることによって作動してモータ41の回転を規制することとなる。
【0096】
制御部55は、ペンダント等の操作部あるいはPC(Personal Computer)等の上位コントローラからの指令データと、エンコーダ46から取得したエンコーダ値とに基づいてモータ41の制御に必要な演算処理を行い、PWM波形を生成してサーボアンプ52へ出力する。なお、サーボアンプ52では、かかるPWM波形に従ってPWM制御が行われることとなる。
【0097】
また、制御部55は、操作部あるいは上位コントローラからの指令に基づいて診断処理を実行する。ここで、診断処理とは、第1のシャフト61の入力ギア611と第1の歯車部425との間にバックラッシュが生じていないか否かを診断する処理である。
【0098】
ここで、診断処理の具体的な処理手順について、図7を用いて説明する。図7は、診断処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、診断処理は、スイッチ54a,54bが共にオンされた状態、すなわち、内部ブレーキ43および外部ブレーキ44が共に解除された状態で開始される。また、診断処理は、制御装置5が操作部または上位コントローラからの指令を受けた場合に開始されてもよいし、あらかじめ決められた周期で定期的に開始されてもよい。
【0099】
図7に示すように、制御装置5の制御部55は、診断処理を開始すると、外部ブレーキ44を作動させる(ステップS101)。つづいて、制御部55は、モータ41を右回転させ(ステップS102)、所定のモータトルク値におけるエンコーダ値を取得する(ステップS103)。ここでは、ステップS103において取得されるエンコーダ値を「右エンコーダ値」と呼ぶ。
【0100】
つづいて、制御部55は、モータ41を左回転させ(ステップS104)、所定のモータトルク値におけるエンコーダ値を取得する(ステップS105)。ここでは、ステップS105において取得されるエンコーダ値を「左エンコーダ値」と呼ぶ。
【0101】
つづいて、制御部55は、ステップS103において取得した右エンコーダ値およびステップS105において取得した左エンコーダ値に基づいてモータ41の回転角度を算出する(ステップS106)。具体的には、制御部55は、右エンコーダ値および左エンコーダ値の差分を算出し、算出した差分を回転角度へ換算する。制御部55は、算出した回転角度をRAM(Random Access Memory)等の図示しない記憶部に記憶する。
【0102】
つづいて、制御部55は、ステップS106において算出した回転角度(現在のバックラッシュ量)と、過去に算出した回転角度(基準バックラッシュ量)との差が所定以上であるか否かを判定する(ステップS107)。
【0103】
そして、制御部55は、過去に算出した回転角度との差が所定以上ではない場合には(ステップS107,No)、第1のシャフト61の入力ギア611および第1の歯車部425が正常であると判定して(ステップS108)、処理を終える。すなわち、制御部55は、現在のバックラッシュ量と基準バックラッシュ量との間に大幅な変化がない場合には、第1のシャフト61の入力ギア611と第1の歯車部425との間にバックラッシュが生じていないと判定する。
【0104】
一方、制御部55は、過去に算出した回転角度との差が所定以上であると判定した場合には(ステップS107,Yes)、第1のシャフト61の入力ギア611または第1の歯車部425に異常があると判定して(ステップS109)、処理を終える。すなわち、制御部55は、現在のバックラッシュ量が基準バックラッシュ量と比較して大幅に変化した場合には、第1のシャフト61の入力ギア611と第1の歯車部425との間にバックラッシュが生じたと判定する。
【0105】
なお、制御部55は、ステップS109において異常判定を行った場合には、モータ41を駆動させることによってロボット1に対して退避姿勢を取らせてもよい。退避姿勢とは、ロボット1の各アーム(第1昇降用アーム24や第2昇降用アーム26)を最下位置まで下降させた姿勢である。このように、ロボット1に対して退避姿勢を取らせることとすれば、ロボット1のアームが自重によって位置ずれを起こす可能性が高い状態であっても、かかる位置ずれに対する安全性を確保することができる。
【0106】
また、制御部55は、ロボット1に対して退避姿勢を取らせた後に、モータ41への電源供給を遮断する処理を行ってもよい。これにより、ロボット1のアーム等の位置ずれに対する安全性をさらに高めることができる。
【0107】
上述してきたように、第2の実施形態では、ロボット1が、第1のシャフト61の回転を検知するエンコーダ46をさらに備える。そして、第2の実施形態では、制御装置5が、外部ブレーキ44を作動させた状態でモータ41を駆動させた場合におけるエンコーダ46の検知結果に基づき、第1のシャフト61または入力部422の異常を検出することとした。したがって、たとえば第1のシャフト61の入力ギア611と第1の歯車部425との間にバックラッシュが生じたか否かを容易に診断することができる。
【0108】
なお、図7では、モータ41を右回転させ、右エンコーダ値を取得した後に、モータ41を左回転させ、左エンコーダ値を取得する場合の例を示したが(ステップS102〜ステップS105参照)、モータ41の回転方向は、逆であってもよい。すなわち、制御部55は、モータ41を左回転させ、左エンコーダ値を取得した後に、モータ41を右回転させ、右エンコーダ値を取得してもよい。
【0109】
(第3の実施形態)
ところで、上述してきた各実施形態では、ロボットが、1つの脚部ユニットで水平アームユニットを支持するタイプのロボットである場合の例について説明したが、ロボットのタイプは、これに限ったものではない。
【0110】
たとえば、ロボットは、2以上の脚部ユニットで水平アームユニットを支持するタイプのロボットであってもよい。そこで、以下では、第3の実施形態として、ロボットの他の例について図8を用いて説明する。図8は、第3の実施形態に係るロボットの模式斜視図である。
【0111】
図8に示すように、第3の実施形態に係るロボット1aは、基台310と、昇降機構320と、水平アームユニット330とを備える。昇降機構320は、基台310に対して回転可能に取り付けられた旋回部321と、旋回部321の両端にそれぞれ立設された支柱部322,323と、水平アームユニット330を回転可能に支持する支持ベース部324とを備える。また、昇降機構20は、基端部が支柱部322,323にそれぞれ支持され、先端部で支持ベース部324を支持する2つの脚部ユニット325,326とを備える。
【0112】
また、脚部ユニット325は、支柱部322に対して基端部が回転可能に支持された第1脚部325aと、第1脚部325aの先端部に回転可能に基端部が支持され、かつ支持ベース部324を先端部で支持する第2脚部325bとを備える。同様に、脚部ユニット326は、支柱部323に対して基端部が回転可能に支持された第1脚部326aと、第1脚部326aの先端部に回転可能に基端部が支持され、かつ支持ベース部324を先端部で支持する第2脚部326bとを備える。
【0113】
水平アームユニット330は、ワークWを載置するためのハンド部331a,331bと、ハンド部331a,331bをそれぞれ先端で支持するアーム部332a,332bとを備える。水平アームユニット330は、第1の実施形態に係る水平アームユニット30と同様、アーム部332a,332bの伸縮によってハンド部331a,331bを所定方向へ移動させる。
【0114】
かかる昇降機構320では、2つの脚部ユニット325,326の姿勢を変化させることによって水平アームユニット330を上下方向に移動させる。なお、昇降機構320は、2つの脚部ユニット325,326を用いて水平アームユニット330を支持するため、第1の実施形態に係る昇降機構20と比較して水平アームユニット330をより確実に保持することができる。
【0115】
そして、昇降機構320の各関節部には、内部ブレーキを内蔵したモータ、減速機および外部ブレーキがそれぞれ設けられる。これらモータ、減速機および外部ブレーキの構成は、上述した各実施形態において説明したモータ、減速機および外部ブレーキと同様である。
【0116】
このように、ロボットは、2つの脚部ユニットによって水平アームユニットを支持するタイプのロボットであってもよい。かかる場合であっても、上述した第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、図8では、2つの脚部ユニットを備えるロボットを示したが、脚部ユニットの数は2以上であってもよい。
【0117】
(第4の実施形態)
また、ロボットは、たとえば直動型の搬送ロボットであってもよい。そこで、以下では、第4の実施形態として、ロボットが直動型の搬送ロボットである場合の例について図9を用いて説明する。図9は、第4の実施形態に係るロボットの一部を拡大した図である。
【0118】
図9に示すように、第4の実施形態に係るロボット1bは、回転力を直線の動きに変換することによって上下方向への移動を行うラックアンドピニオン型のロボットである。具体的には、ロボット1bは、上下方向に延在するラック部510と、ラック部510に対して上下方向に移動可能に保持された直動体520と、直動体520上に搭載されたモータユニット部530とを備える。
【0119】
また、モータユニット部530は、直動体520に立設された支持部531と、支持部531に固定されたモータ532と、モータ532の回転を減速して出力する減速機533とを備える。また、モータユニット部530は、モータ532の回転を規制する外部ブレーキ534と、減速機533の出力軸533aの先端に取り付けられたピニオンギア535とを備える。なお、モータ532は、上述してきた各実施形態に係るモータと同様に内部ブレーキを内蔵する。
【0120】
かかるロボット1bでは、モータ532の駆動によってピニオンギア535がラック部510と噛み合いながら回転することで、直動体520が上下方向に移動することとなる。
【0121】
このように、ロボットは、図9に示すような直動型のロボットであってもよい。かかる場合であっても、上述した第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0122】
なお、上述してきた各実施形態では、第2のシャフトと減速機の入力部とが、歯車で噛み合うことによって互いに接続される場合の例について説明してきた。しかし、第2のシャフトと減速機の入力部とは、歯車以外の接続方法を用いて接続させてもよい。また、第2のシャフトと減速機の入力部とは、あらかじめ一体的に形成されてもよい。
【0123】
また、上述してきた各実施形態では、モータが内部ブレーキを備える場合の例について説明したが、モータは、必ずしも内部ブレーキを備えていなくてもよい。
【0124】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0125】
W ワーク
1 ロボット
10 旋回機構
11 基台
12 旋回台
20 昇降機構
21 支柱
22 脚部ユニット
23 第1関節部
24 第1昇降用アーム
25 第2関節部
26 第2昇降用アーム
27 第3関節部
30 水平アームユニット
32a,32b アーム部
33a,33b ハンド部
34a 下側支持部材
34b 上側支持部材
41a〜41c モータ
411 出力軸
42a〜42c 減速機
421 減速機本体部
422 入力部
423 出力部
425 第1の歯車部
425a 大径歯車部
425b 小径歯車部
43a〜43c 内部ブレーキ
44a〜44c 外部ブレーキ
441 ブレーキシャフト
442 ブレーキ本体部
450 ケーシング
46 エンコーダ
5 制御装置
51 コンバータ部
52 サーボアンプ
53 DC電源
54a,54b スイッチ
55 制御部
61 第1のシャフト
611,611a,611b 入力ギア
62 第2のシャフト
621,621a,621b 入力ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部へ入力される回転を減じて出力する減速機と、
前記入力部に対して接続される第1のシャフトと、
前記第1のシャフトを回転させる回転電機と、
前記入力部に対して接続される第2のシャフトと、
前記第2のシャフトの回転を規制するブレーキと
を備えることを特徴とするロボット。
【請求項2】
前記減速機は、前記入力部としての第1の歯車部を備え、
前記第1のシャフトは、前記第1の歯車部と噛み合う第2の歯車部を備え、
前記第2のシャフトは、前記第1の歯車部と噛み合う第3の歯車部を備えることを特徴とする請求項1に記載のロボット。
【請求項3】
前記第1の歯車部の軸方向において、前記第2の歯車部が前記第1の歯車部と当接する長さと、前記第3の歯車部が前記第1の歯車部と当接する長さとを異ならせることを特徴とする請求項2に記載のロボット。
【請求項4】
前記第2の歯車部の歯数と、前記第3の歯車部の歯数とを異ならせることを特徴とする請求項2または3に記載のロボット。
【請求項5】
ロボットと、前記ロボットを制御する制御装置とを備え、
前記ロボットは、
入力部へ入力される回転を減じて出力する減速機と、
前記入力部に対して接続される第1のシャフトと、
前記第1のシャフトを回転させる回転電機と、
前記入力部に対して接続される第2のシャフトと、
前記第2のシャフトの回転を規制するブレーキと
を備えることを特徴とするロボットシステム。
【請求項6】
前記ロボットは、
前記第1のシャフトの回転を検知する検知部
をさらに備え、
前記制御装置は、
前記ブレーキを作動させた状態で前記回転電機を駆動させた場合における前記検知部の検知結果に基づき、前記第1のシャフトまたは前記入力部の異常を検出することを特徴とする請求項5に記載のロボットシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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