説明

ロータリー式真空包装機

【課題】グリッパーで袋口を袋幅方向に引っ張って袋口を緊張させた後、袋口をシールし、シール部にしわが発生するのを防止する。その場合に、グリッパー毎に緊張代の微調整が行えるようにする。
【解決手段】各グリッパー17は、袋の両側部を挟持する内側挟持部材18と外側挟持部材19を備える。内側挟持部材18は、内側第1挟持部24と袋の幅方向にスライド自在に設置された内側第2挟持部27を有する。外側挟持部材19は、外側第1挟持部37と袋の幅方向にスライド自在に設置された外側第2挟持部38を有する。各グリッパー17毎に設置されたエアシリンダ47が連結機構48を介して内側第2挟持部27に連結されている。エアシリンダ47が作動すると、袋の一方の側部を挟持した内側第2挟持部27と外側第2挟持部38が袋の幅方向外向きにスライドし、挟持した袋を緊張させる。エアシリンダ47のストロークはストッパー53で規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転テーブルの周囲にチャンバー本体と蓋からなる複数個の真空チャンバーが等間隔に設置され、回転テーブルが一回転する間に、被包装物が充填された袋を前記真空チャンバーに順次導入し、前記袋を真空チャンバー内で真空処理し、続いて袋口のシールを行って真空袋詰め包装製品を得るロータリー式真空包装機に関し、特に真空チャンバー内に導入した袋を真空チャンバー内に保持するグリッパーの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
上記ロータリー式真空包装機の各真空チャンバーには、袋の幅方向両側を挟持して該袋を真空チャンバー内に保持するグリッパーが設置されている。このグリッパーは、袋の一方の側部を挟持する挟持部と、他方の側部を挟持する挟持部を有し、両挟持部はシール前の所定のタイミングで左右に間隔を広げ、袋口を緊張させる(袋口を左右に引っ張る)。袋口を緊張させた状態で袋口をシールすることにより、シール後の袋口にしわが発生する(しわが発生したシールをしわシールという)のを防止することができる(特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−225553号公報
【特許文献2】特開2000−95208号公報
【特許文献3】特開平8−318911号公報
【特許文献4】特許第3338881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
品種変更(袋サイズ(袋幅)、被充填物の内容量あるいは袋の材質の変更等)に伴い、、袋口の緊張代(袋の両側部を挟持する左右の挟持部の間隔を広げたときの間隔の増分)の微調整が行えれば、より確実かつ安定してしわシールの発生を防止できる。しかし、従来のロータリー式真空包装機(例えば特許文献1)では、前記緊張代を調整するための駆動源としてカムを用いているため、この微調整が難しい。仮に前記カムを異なる形状のカムに交換したり、カムの設置高さを調整することにより、前記緊張代を調整することができるとしても、品種変更のたびにこのような作業を行うことは生産性を大きく阻害し、現実的ではない。
【0005】
また、前記従来のロータリー式真空包装機では、前記緊張代を調整するためのカムは全グリッパーに共通のものであり、理論上は全グリッパーで同じ緊張代が得られるはずである。しかし、各グリッパーにはそれぞれ加工精度のバラツキがあるため、現実的には、前記ロータリー式真空包装機に設置された全てのグリッパーにおいて同じ緊張代は得られない。仮に各グリッパー毎に緊張代の調整ができれば、各グリッパーに加工精度のバラツキがあっても、全てのグリッパーにおいて同じ緊張代を得ることができ、より確実かつ安定してしわシールの発生を防止できると考えられるが、従来のロータリー式真空包装機では不可能である。
【0006】
本発明は、ロータリー式真空包装機のグリッパーに関する上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、ロータリー式真空包装機の全てのグリッパーについて、緊張代の微調整を各グリッパー毎に容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るロータリー式真空包装機では、各真空チャンバーに設置されたグリッパーは、チャンバー本体に設置されて袋の両側部を挟持する内側挟持部材と外側挟持部材を備え、前記外側挟持部材は袋挟持位置と袋開放位置の間を所定のタイミングで移動し、前記内側挟持部材は、袋の一方の側部に対応する内側第1挟持部と、袋の他方の側部に対応し挟持した袋の幅方向にスライド自在に設置された内側第2挟持部を有し、前記外側挟持部材は、袋の一方の側部に対応する外側第1挟持部と、袋の他方の側部に対応し挟持した袋の幅方向にスライド自在に設置された外側第2挟持部を有し、外側挟持部材が袋挟持位置にきたとき、内側第1挟持部と外側第1挟持部が袋の一方の側部を、内側第2挟持部と外側第2挟持部が袋の他方の側部を挟持する。
【0008】
このロータリー式真空包装機には、各グリッパーに対応して前記回転テーブルにエアシリンダが設置され、このエアシリンダは連結機構を介して内側第2挟持部に連結され、袋口のシール前の所定のタイミングで内側第2挟持部を挟持した袋の幅方向外向き(内側第1挟持部との間隔を広げる方向)にスライドさせる。このとき、内側第2挟持部と共に袋の側部を挟持している外側第2挟持部が内側第2挟持部と共にスライドし、内側第1挟持部及び外側第1挟持部との間隔が広がり、袋口が緊張する。
さらに、このロータリー式真空包装機では、各エアシリンダ又は連結機構に、内側第2挟持部のスライド量を調整する調整用ストッパーが設置されている。
【0009】
上記ロータリー式真空包装機の望ましい形態として、内側第2挟持部と外側第2挟持部は互いに係合する係合部を有し、前記係合部は外側挟持部材が袋挟持位置にきたとき係合することが挙げられる。両係合部が係合することで、内側第2挟持部がスライドするとき外側第2挟持部がより確実に共にスライドする。また、上記ロータリー式真空包装機の別の望ましい形態として、外側第2挟持部がばねで袋の幅方向内向き(外側第1挟持部との間隔を狭める方向)に付勢されていることが挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るロータリー式真空包装機では、全てのグリッパーについて、内側第2挟持部と外側第2挟持部をそれぞれ挟持した袋の幅方向にスライド自在に設置し、グリッパー毎にエアシリンダ及び連結機構を設置して、両挟持部を袋の幅方向外向きにスライドさせるようにし、かつ各エアシリンダ又は連結機構に内側第2挟持部のスライド量を調整する調整用ストッパーを設けた。これにより、ロータリー式真空包装機の全てのグリッパーについて、前記調整用ストッパーの位置を調整するという簡単な操作で、袋口の緊張代の調整を各グリッパー毎に行うことができ、また緊張代の微調整も可能となる。その結果、より確実かつ安定してしわシールの発生を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るグリッパーの正面図(外側挟持部材が袋挟持位置)である。
【図2】図1のA−A平面断面図(ただし外側挟持部材が袋解放位置)である。
【図3】図1のA−A平面断面図(外側挟持部材が袋挟持位置)である。
【図4】図1のA−A平面断面図(外側挟持部材が袋挟持位置にあり、内側第2挟持部と外側第2挟持部が袋幅方向外向きにスライド)である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】図2のC−C断面図である。
【図7】本発明に係るロータリー式真空包装機の設置例(ロータリー式袋詰め包装機を併設した2ローター式)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1〜図7を参照して、本発明に係るロータリー式真空包装機について詳細に説明する。
まず、図7は、本発明に係るロータリー式真空包装機1(後述するエアシリンダ、第1連結機構等は図示省略)の設置例を示す。図7のように、ロータリー式真空包装機1とロータリー式袋詰め包装機2を併設した2ローター式の真空処理装置は、例えば特許第2538473号公報、特開平11−236009号公報等に記載されている。
【0013】
ロータリー式袋詰め包装機2は、間欠回転するテーブル3の周囲に、それぞれ袋の両側縁を把持する8組のグリッパー4が等間隔で設けられ、テーブル3が一回転する間に、例えば下記のように、停止位置(1)〜停止位置(8)において各種包装処理が行われる。
停止位置(1);グリッパー4に給袋装置5により袋(図示せず)が1個ずつ供給され、前記袋はグリッパー4により両側縁を把持される。
【0014】
停止位置(2);グリッパー4に把持された前記袋の袋面に、印字装置6により製造年月日等が印字される。
停止位置(3);前記袋の両面が袋口開口装置7の真空吸盤(図示せず)に吸着されて袋口が開口される。さらに、この停止位置(3)には、次の停止位置(4)との間を往復動する追従式開口ガイド装置8が設置されている。追従式開口ガイド装置8は先端部に一対のガイド爪(図示せず)を有し、前記一対のガイド爪が前記真空吸盤に吸着されて開いた袋口に挿入され、袋口を大きく広げる。追従式開口ガイド装置8はテーブル3が間欠回転するのに追従して次の停止位置(4)まで1工程分だけ回転する(例えば特開平11−236009号公報の図1参照)。
【0015】
停止位置(4);前記一対のガイド爪により広げられた袋口にホッパー9が挿入され、固形物が袋に充填される。一方、前記一対のガイド爪が袋口から引き出され、追従式開口ガイド装置8は逆回転して元の停止位置(3)に戻る。
停止位置(5);袋口に充填ノズル10が挿入され、液状物が袋に充填される。
停止位置(6);図示しない仮シール装置により、袋口の仮シール(袋内から袋外へのエア通路を残すシール)が行われる。
停止位置(7);図示しない受渡し装置により、ロータリー式袋詰め包装機2からロータリー式真空包装機1へ、図示しない充填済み袋(被包装物である固形物と液状物が充填された袋)の受渡しが行われる。
停止位置(8);空き工程。
【0016】
ロータリー式真空包装機1は、間欠回転するテーブル11の周囲に、真空チャンバー12が等間隔で設置されている。真空チャンバー12は、それぞれチャンバー本体13と所定のタイミングで開閉する蓋14からなり、チャンバー本体13はテーブル11上に設置された取付部15に固定され、蓋14はチャンバー本体13に開閉自在に取り付けられている。各チャンバー本体13に後述するグリッパー(図7には図示せず)が設置されている。ロータリー式真空包装機1では、テーブル11が一回転する間に、例えば下記のように、停止位置(1)〜(10)において各種真空包装処理が行われる。なお、図7において16は、テーブル11が間欠回転する間、前記グリッパーの作動や各種真空包装処理等を制御する制御盤である。
【0017】
停止位置(1);前記受渡し装置により、充填済み袋が蓋14が開いた真空チャンバー12内に導入され、グリッパーが閉じ、前記充填済み袋は前記グリッパーにより両側部を挟持され、袋口を上に向け縦方向に起立した姿勢で吊り下げられる。
停止位置(2);真空チャンバー12内で充填済み袋がプレスされ平らに整形される。
停止位置(3)〜(5);蓋14が閉じられ、真空チャンバー12内が、予備真空、一次真空、二次真空と順次高真空に真空引きされ、充填済みの袋の真空処理が継続して行われる。
【0018】
停止位置(6);真空チャンバー12内に設置したシール装置により袋の袋口がシールされる。
停止位置(7)〜(8);袋のシール部が真空チャンバー12内で自然冷却する。停止位置(8)で真空チャンバー12内が大気圧に戻される。
停止位置(9);蓋14が開けられ、グリッパーが開いて、真空処理及びシール済みの製品袋が真空チャンバー12から放出され、製品搬出コンベア20により搬出される。
停止位置(10);空き工程。
【0019】
次に、図1〜6を参照して、本発明に係るグリッパー17及びその駆動機構等について説明する。なお、図1〜6において、蓋14は図示が省略されている。
グリッパー17は、チャンバー本体13に設置された内側挟持部材18と外側挟持部材19からなる。
内側挟持部材18は、取付用脚部21を介してチャンバー本体13の背面壁13aに水平に固定された基体構造部22と、基体構造部22に沿って水平方向にスライド自在に設置されたスライド構造部23からなる。
基体構造部22の中央部を挟んで一方の側に、前面側に凹溝状の挟持面24aを有する内側第1挟持部24が形成され、他方の側に前記スライド構造部23が配置されている。
【0020】
スライド構造部23は、基体構造部22に形成された水平方向に長い長穴25にスライド自在に嵌るスライド部材26と、スライド部材26に固定され前面側に凹溝状の挟持面27aを有する内側第2挟持部27からなる。スライド部材26が長穴25に沿って水平方向にスライドすると、内側第2挟持部27は基体構造部22の前面側の支持面22aに沿って水平方向にスライドする。
内側第1挟持部24と内側第2挟持部27は、それぞれ水平方向に所定の長さを有し、両者の間には隙間28があり、水平に一直線上に一列に並んで配置されている。
内側第2挟持部27の端部(内側第1挟持部24とは反対側の端部)に前方に突出する凸部(係合部)29が形成されている。
【0021】
外側挟持部材19は、水平面内で所定角度範囲内で揺動する開閉アーム31の先端部に支持軸32を介して水平面内で揺動自在に支持された基体構造部33と、基体構造部33にスライド自在に支持されたスライド構造部34からなる。開閉アーム31の基部はチャンバー本体13に回動自在に設置された軸35に固定され、軸35がチャンバー本体13の外部の図示しない駆動源に連結されて回動することで、開閉アーム31が揺動する。なお、図1において36は軸35を回転自在に支持する支持部材であり、チャンバー本体13の背面壁13a及び側面壁13bに固定されている。基体構造部33の一方の側に丸棒形状の外側第1挟持部37が形成され、外側挟持部材19の中央部を挟んで外側第1挟持部37の反対側に前記スライド構造部34が配置されている。
【0022】
スライド構造部34は、円筒状の外側第2挟持部38と、外側第2挟持部38の基体構造部33側に形成された基部39からなる。基体構造部33の側面に固定された支持軸41が、外側第2挟持部38の中空部に嵌り、基体構造部33の側面に固定された回り止めピン43が基部39に形成された穴42に嵌っている。外側第2挟持部38及び基部39は、それぞれ支持軸41及び回り止めピン43の長さ方向に沿ってスライド自在である。また、圧縮ばね44が回り止めピン43のヘッド43aと基部39の間に配置されている。この圧縮ばね44は、スライド構造部34(外側第2挟持部38)を外側第1挟持部37の方向に付勢するもので、外側第2挟持部38を初期位置(基体構造部33の側面に当接する位置)に戻し、又は前記初期位置に保持する作用を有する。
なお、上記圧縮ばね44の作用は、例えば基体構造部33とスライド構造部34の間に掛け渡した引張ばねでも得られる。
【0023】
外側第1挟持部37と外側第2挟持部38は、それぞれ水平方向に所定の長さ(内側第1挟持部24と内側第2挟持部27と同等の長さ)を有し、水平に一直線上に一列に並んで配置されている。
外側第2挟持部38の端部(外側第1挟持部37とは反対側の端部)に、内側第2挟持部27の端部の凸部(係合部)29に係合する凹部(係合部)45が形成されている。
【0024】
外側挟持部材19は、開閉アーム31の揺動に伴い、袋開放位置(図2参照)と袋挟持位置(図3参照)の間を水平面内で移動する。外側挟持部材19が前記袋挟持位置にきたとき、外側第1挟持部37と内側第1挟持部24が閉じ、同時に外側第2挟持部38と内側第2挟持部27が閉じ、図5に示すように袋46(46aは充填された被包装物)の袋口よりやや下方位置の両側部を挟持する。袋46の幅方向中央部は前記挟持部に挟持されず、ここから袋内のエアが袋外へ抜けるようになっている。また、外側挟持部材19が前記袋挟持位置にきたとき、外側第2挟持部38に形成された凹部(係合部)45が、内側第2挟持部27に形成された凸部(係合部)29に係合する。なお、外側第2挟持部38は圧縮ばね44に付勢されて前記初期位置に保持され、内側第2挟持部27もこの時点で初期位置(図3の位置)に位置しているので、前記凹部(係合部)45と凸部(係合部)29の係合が確実に行われる。
【0025】
上記のように、外側第1挟持部37と内側第1挟持部24が閉じ、同時に外側第2挟持部38と内側第2挟持部27が閉じ、袋46の両側部を挟持した状態で、内側第2挟持部27が水平方向(内側第1挟持部24との間隔を広げる方向)、すなわち袋46の幅方向外向きにスライドすると、内側第2挟持部27と共に袋46の側部を挟持している外側第2挟持部38も、圧縮ばね44の付勢力に抗して共にスライドする(図4参照)。これにより、袋46の袋口近傍の一方の側部を挟持している内側第1挟持部24及び外側第1挟持部37と、他方の側部を挟持している内側第2挟持部27及び外側第2挟持部38の間隔が広がり、袋46の袋口は袋幅方向に引っ張られ緊張する(ピンと張った状態となる)。
なお、仮に係合部45,29がなくても、外側第2挟持部38は内側第2挟持部27と共にスライドするが、前記係合部45,29が互いに係合することで、外側第2挟持部38と内側第2挟持部27の間のすべりを確実に防止できる。
【0026】
内側挟持部材18のスライド構造部23をスライドさせる機構として、エアシリンダ47、及びエアシリンダ47とスライド構造部23(内側第2挟持部27)を連結する連結機構48が、グリッパー毎に設置されている。
エアシリンダ47は、取付用プレート49を介してテーブル11上に設置されている。図5,6に示すように、エアシリンダ47は両ロッドタイプ(ロッド51a,51b)で、上側のロッド51aの上端に調整用雄ねじ52が固定され、調整用雄ねじ52にストッパー53が螺合し、ストッパー53は同じく調整用雄ねじ52に螺合するロック用ナット54で所定位置に位置決めされている。ストッパー53はエアシリンダ47のストロークを規制(内側第2挟持部27のスライド距離を規制)するためのもので、ストッパー53の下端がエアシリンダ47の上端に当接したとき、ロッド51a,51bの下方への移動が停止する。
【0027】
連結機構48は、図2,5,6に示すように、チャンバー本体13外に設置された第1連結機構55、チャンバー本体13内に設置された第2連結機構56、及びチャンバー本体13の背面壁13aに形成された軸受け部57に回転自在に支持され、チャンバー本体13の内外に突出する軸58からなる。
第1連結機構55は、取付用プレート49に形成された穴49aを通る下側のロッド51bの下端に固定された連結部材59と、軸58が一端に固定され、軸58を中心に鉛直面内で上下に揺動する第1駆動レバー61と、連結部材59と第1駆動レバー61の間を連結ピン62,63を介して連結する連結リンク64からなる。第2連結機構56は、下端が軸58に固定され、軸58を中心に鉛直面内で左右に揺動する第2駆動レバー65と、第2駆動レバー65の上端とスライド部材26の間を連結ピン66,67を介して連結する連結リンク68からなる。
【0028】
エアシリンダ47が図5,6の状態から作動して、ロッド51a,51bが下降すると、連結部材59、連結リンク64、第1駆動レバー61、軸58、第2駆動レバー65、及び連結リンク68を介し、スライド部材26及び内側第2挟持部27が初期位置(図3に示す位置)から、袋46の幅方向外向き(内側第1挟持部24から離れる方向)にスライドし、エアシリンダ47のストロークがストッパー53で規定されるストロークに達したとき、図4に示す終点位置に達する。内側第2挟持部27と外側第2挟持部38が袋46の側部を挟持しているときは、内側第2挟持部27と共に外側第2挟持部38も袋46の幅方向外向き(外側第1挟持部37から離れる方向)にスライドする。
スライド部材26及び内側第2挟持部27のスライド距離は、エアシリンダ47のストロークにより、言い換えればストッパー53がどの位置に位置決めされるかにより一義的に決まる。
【0029】
一方、エアシリンダ47が逆に作動し、ロッド51a,51bが上昇して図5,6の状態に戻ると、スライド部材26及び内側第2挟持部27は、袋46の幅方向内向き(内側第1挟持部24に近づく方向)に同じスライド距離だけスライドし、前記初期位置に戻る。
なお、上記の例では、ストッパー53をエアシリンダ47のロッド51aに設置して、エアシリンダ47のストロークを直接規制したが、その代わりに、第1駆動レバー61又は第2駆動レバー65の揺動範囲を規制するストッパーを設け、エアシリンダ47のストロークを間接的に規制してもよい。
【0030】
そのほか、チャンバー本体13内には、図1,5に示すように、真空処理した袋46の袋口を袋幅の全幅にわたりシールするシール装置69が設置されている。このシール装置69はインパルスシール装置であり、チャンバー本体13の背面壁13aに水平に固定された断熱材からなるヒータ台71、ヒータ台71の前面に固定したヒータ線72、及び通電ブロック73からなり、袋46の袋口に対応して、グリッパー17の挟持部(内側第1挟持部24、内側第2挟持部27、外側第1挟持部37、外側第2挟持部38)よりやや上方位置に設置されている。なお、図示は省略したが、真空チャンバー12の蓋14の内側に、ヒータ線72に対向して、シール装置69の一部として受け部材が設置されている。前記受け部材は、蓋14の外側に設置されたエアシリンダ(図示せず)により、所定のタイミングで進退駆動され、前進したとき、袋46の袋口をヒータ線72との間で挟圧する。
【0031】
テーブル11が一回転する間の、グリッパー17、エアシリンダ47、連結機構48及びシール装置69の作動について簡単に説明する。
まず、停止位置(1)に停止した真空チャンバー12のグリッパー17は、始め図2に示すように開いて、外側挟持部材19は袋開放位置にある。次いで、図示しない受渡し装置により、被包装物を充填された袋46がグリッパー17に向けて供給され、図3,5に示すようにグリッパー17が閉じる(外側挟持部材19が袋挟持位置に移動する)。これにより、袋46の袋口よりやや下方位置の両側部が、内側第1挟持部24と外側第1挟持部37の間、及び内側第2挟持部27と外側第2挟持部38の間で挟持され、内側第2挟持部27の係合部29と外側第2挟持部38の係合部45が係合する。このとき、内側第2挟持部27と外側第2挟持部38は初期位置にある。
【0032】
続いて、真空チャンバー12が停止位置(1)から停止位置(6)まで移動する間、グリッパー17は閉じた状態のままであり、袋46は真空チャンバー12内に袋口を上に向けて保持され、真空処理を受ける。
真空チャンバー12が停止位置(6)に停止したとき、エアシリンダ47が作動してロッド51a,51bが下降し、その駆動力が連結機構48を介してスライド部材26に伝達され、内側第2挟持部27を所定のスライド距離だけ、袋46の幅方向外向き(内側第1挟持部24から離れる方向)にスライドさせる。このとき、内側第2挟持部27と共に袋46を挟持している外側第2挟持部38も、内側第2挟持部27と共に袋46の幅方向外向き(外側第1挟持部37から離れる方向)にスライドする。一方、内側第1挟持部24と外側第1挟持部37の位置は変化しないから、袋46の袋口は袋幅方向に引っ張られ緊張する。その直後にシール装置69の前記エアシリンダが作動し、前記受け部材が前進してヒータ線72との間で袋口を挟圧し、緊張状態の袋46に対し、袋口のシールが行われる。
なお、エアシリンダ47を作動させて袋口を緊張させるタイミングは、もっと早くてもよい。例えば予備真空引きの前に袋口を緊張させておけば、被包装物に液状物が含まれるような場合、真空チャンバー12内の減圧に伴い袋内の液状物が沸騰して袋口から飛び出すことが防止できる(特許文献1参照)。
【0033】
シール装置69の前記受け部材は、停止位置(8)においてシール部冷却後、真空チャンバー12内が大気圧に戻される前に後退する。続いて、エアシリンダ47が逆に作動し、内側第2挟持部27(及び外側第2挟持部38)が初期位置に戻され、袋46の袋口の緊張状態が解消される。なお、外側第2挟持部38は圧縮ばね44がなくても、内側第2挟持部27と共に前記初期位置に戻るが、圧縮ばね44があることで、外側挟持部材19が前記袋解放位置にあるとき、前記初期位置に確実に保持される。
真空チャンバー12が停止位置(9)に停止したとき、グリッパー17は開いて、外側挟持部材19は袋開放位置に移動する。これにより、真空処理及びシール済みの製品袋がグリッパー17から離れて落下し、真空チャンバー12から放出される。
【0034】
なお、上記の例では、グリッパー17が開いて外側挟持部材19が袋解放位置に移動する前に、内側第2挟持部27(及び外側第2挟持部38)を初期位置に戻したが、内側第2挟持部27(及び外側第2挟持部38)を予め初期位置に戻すことなく、外側挟持部材19を袋解放位置に移動させて袋46を開放するようにしてもよい。この場合、外側挟持部材19が袋開放位置に移動すると、それまで互いに係合していた内側第2挟持部27の係合部29と外側第2挟持部38の係合部45が外れ、外側第2挟持部38は圧縮ばね44の付勢力で前記初期位置に戻る。次いで、エアシリンダ47を逆方向に作動させると、その駆動力が連結機構48を介してスライド部材26に伝達され、内側第2挟持部27がスライドして同じく初期位置に戻る。
【0035】
以上説明したロータリー式真空包装機において、内側第2挟持部27(及び外側第2挟持部38)のスライド距離、すなわち袋46の袋口の緊張代の調整は次のように簡単に行うことができ、また緊張代の微調整も可能である。
まず、ロータリー式真空包装機の停止状態において、ロック用ナット54を緩める。続いて、ストッパー53を回して上下方向の位置を変更する。これによりエアシリンダ47のストロークが変更され、内側第2挟持部27(及び外側第2挟持部38)のスライド距離が変更される。最後にロックナット54を締める。このような調整は各グリッパー毎に行うことになる。
【0036】
上記ロータリー式真空包装機は間欠回転式であったが、本発明は連続回転式のロータリー式真空包装機にも適用できる。また、上記ロータリー式真空包装機は縦型(袋46がグリッパー17に吊されて起立姿勢となっている)であるが、袋が真空チャンバー内に袋口側が上方側になる傾斜姿勢で置かれる横型ロータリー式真空包装機(例えば特開2000−168726号公報参照)にも適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 ロータリー式真空包装機
2 ロータリー式袋詰め包装機
11 テーブル
12 真空チャンバー
13 チャンバー本体
14 蓋
17 グリッパー
18 内側挟持部材
19 外側挟持部材
22 内側挟持部材の基体構造部
23 内側挟持部材のスライド構造部
24 内側第1挟持部
27 内側第2挟持部
29 内側第2挟持部に形成された係合部
31 開閉アーム
33 外側挟持部材の基体構造部
34 外側挟持部材のスライド構造部
37 外側第1挟持部
38 外側第2挟持部
44 圧縮ばね
45 外側第2挟持部に形成された係合部
47 エアシリンダ
48 連結機構
53 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転テーブルの周囲にチャンバー本体と蓋からなる複数個の真空チャンバーが等間隔に設置され、被包装物が充填された袋を前記真空チャンバーに順次導入し、前記袋を真空チャンバー内で真空処理し、続いて袋口のシールを行って真空袋詰め包装製品を得るロータリー式真空包装機において、各真空チャンバー毎に袋のグリッパーが設置されていて、各グリッパーは、前記チャンバー本体に設置され袋の両側部を挟持する内側挟持部材と外側挟持部材を備え、前記外側挟持部材は袋挟持位置と袋開放位置の間を所定のタイミングで移動し、前記内側挟持部材は、袋の一方の側部に対応する内側第1挟持部と、袋の他方の側部に対応し挟持した袋の幅方向にスライド自在に設置された内側第2挟持部を有し、前記外側挟持部材は、袋の一方の側部に対応する外側第1挟持部と、袋の他方の側部に対応し挟持した袋の幅方向にスライド自在に設置された外側第2挟持部を有し、前記外側挟持部材が前記袋挟持位置にきたとき、前記内側第1挟持部と外側第1挟持部が袋の一方の側部を、前記内側第2挟持部と外側第2挟持部が袋の他方の側部を挟持し、さらに各グリッパーに対応して前記回転テーブルにエアシリンダが設置され、前記エアシリンダは連結機構を介して前記内側第2挟持部に連結され、袋口のシール前の所定のタイミングで前記内側第2挟持部を挟持した袋の幅方向外向きにスライドさせるものであり、前記エアシリンダ又は前記連結機構に前記内側第2挟持部のスライド量を調整する調整用ストッパーが設置されていることを特徴とするロータリー式真空包装機。
【請求項2】
前記内側第2挟持部と外側第2挟持部は互いに係合する係合部を有し、前記係合部は前記外側挟持部材が袋挟持位置にきたとき係合し、前記内側第2挟持部がスライドするとき前記外側第2挟持部も共にスライドすることを特徴とする請求項1に記載されたロータリー式真空包装機。
【請求項3】
前記外側第2挟持部がばねで袋の幅方向内向きに付勢されていることを特徴とする請求項1又は2に記載されたロータリー式真空包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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