説明

ロールの巻足し装置

【課題】シートの両端をきれいにそろえて巻き取ることができるロールの巻足し装置を提供する。
【解決手段】第1のロールシート100に巻かれているシートを第2のロールシート110に巻加えるための巻足し装置は、水平方向に対して傾斜した回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸を第2のロールシート110の巻取り中心に一致させるように前記第2のロールシートを支持する巻取り本体部と、巻取り本体部の下端に前記回転軸に対して直交するように連結され前記巻取り本体部と一体に回転する平板状の巻取り基準部を備える巻取り部と、前記巻取り部の回転軸に平行に設けられた支持本体部と、前記支持本体部に連結され前記巻取り基準部の表面と同一平面位置に設けられた支持基準部とを備える支持部を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一のロールに巻かれているシートを他のロール上に巻足すためのロールの巻足し装置に関するものであり、特に、残量が少なくなった一のトイレットロールを他のトイレットロール上に巻足し、再生するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルやショッピング施設では、施設内のトイレに置かれているトイレットロールに関して、常に十分な使用残量を維持し使用残量が少なくなったトイレットロールは、新しいものに取り替えられるように管理されている場合がある。この回収された使用途中のトイレットロールは、ほとんど廃棄処分されている。
【0003】
これらの残量が少なくなったトイレットロールを廃棄することは経済的ではないことから、これらの残量が少ない複数のトイレットロールのトイレットペーパーを1つのロールに巻足すための巻足し器が、例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されている巻足し器は、一のロールシートを回転可能に支持する一方、他のロールシートを巻取り方向に回転させることによって、一のトイレットロールのトイレットペーパーを他のトイレットロールに巻き取るものであり、トイレットペーパーを継ぎ足す際にトイレットペーパーの端部を仮保持する仮保持部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3149978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の巻足し器は、回転する巻き取り部へのシートの巻き取り位置がぶれ、両端がきれいにそろった状態で巻き取ることができないという問題があった。
【0007】
すなわち、特許文献1の巻足し器の巻き取り部は、水平あるいは傾斜して設けられており、互いに平行に構成された支持部及び巻き取り部を備える。そして、支持部から巻出されるシートをそのまままっすぐに送って巻き取り部へ巻き取ることによって、シートをきれいに巻き取ることを可能とするものである。しかし、支持部から巻取り部へ送られるシート、特に、巻き取り部での巻き取り位置におけるシートについては、その位置規制がされておらず、巻き取り部の巻き取り速度が変化したりシートのシワなどによる表面の凹凸によりシートの巻き取り位置がずれるなどの原因で、シートの両端がそろったきれいな巻き取りが困難であるという問題があった。
【0008】
このため、特許文献1の巻足し器では、トイレットペーパーを他のトイレットロールに巻き取る際にトイレットペーパーの両端にずれが発生して、十分にきれいに巻き取ることが困難であり、使用者の衛生的観点から好ましいものであるとはいえないものであった。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、ロールシートの巻き取り速度の変化や表面の凹凸などの原因があっても、シートの両端をきれいにそろえて巻き取ることができるロールの巻足し装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成のロールの巻足し装置を提供する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、第1のロールシートを回転可能に支持する支持部と第2のロールシートを支持すると共に巻取り方向に回転させる巻取り部とを備え、前記第1のロールシートに巻かれているシートを前記第2のロールシートに巻加えるための巻足し装置であって、
前記巻取り部は水平方向に対して傾斜した回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸を第2のロールシートの巻取り中心に一致させるように前記第2のロールシートを支持する巻取り本体部と、巻取り本体部の下端に前記回転軸に対して直交するように連結され前記巻取り本体部と一体に回転する平板状の巻取り基準部を備え、
前記支持部は、前記巻取り部の回転軸に平行に設けられた支持本体部と、前記支持本体部に連結され前記巻取り基準部の表面と同一平面位置に設けられた支持基準部とを備える、ことを特徴とするロールシートの巻足し装置を提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記支持部と巻取り部は、ケーシングの前面に設けられた傾斜面に設けられていることを特徴とする、第1態様のロールシートの巻足し装置を提供する。
【0013】
本発明の第3態様によれば、前記ケーシングの傾斜面は、水平面に対して30から60度の角度で傾斜していることを特徴とする、第2態様のロールシートの巻足し装置を提供する。
【0014】
本発明の第4態様によれば、前記巻取り本体部及び支持本体部は、それぞれ前記第1のロールシート及び第2のロールシートの巻き取り中心に挿入可能な棒状部材であり、
前記巻取り基準部及び支持基準部は、それぞれ、棒状部材の下端に設けられた円板であることを特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つのロールシートの巻足し装置を提供する。
【0015】
本発明の第5態様によれば、巻取り基準部の表面に、前記第2のロールシートの巻取り径の目安となる目盛りが設けられていることを特徴とする、第4態様のロールシートの巻足し装置を提供する。
【0016】
本発明の第6態様によれば、前記巻取り本体部は、棒状の軸芯と、前記軸芯の周囲に装着される可撓性の被覆部材と、前記被覆部材の外径寸法を拡大させることで挿入された前記第2のロールシートを固定する固定部材を備えることを特徴とする、第4又は第5態様のロールシートの巻足し装置を提供する。
【0017】
本発明の第7態様によれば、前記軸芯は、前記被覆部材よりも短く構成された雌ネジで構成され、
前記固定部材は、前記軸芯に螺合し、前記被覆部材の上端を押圧する押さえ部材で構成されていることを特徴とする、第6態様のロールシートの巻足し装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、支持部と巻取り部が水平方向に対して傾斜して設けられているため、支持部から繰り出されたシートが巻取り本体部の下端に設けられた巻取り基準部に当接した状態で第2のロールシートへ巻足される。すなわち、巻取り基準部が巻取り本体部へのロールシートの巻取り時にガイドとして機能するため、ロールシートの下端の位置がそろった状態で巻き取られる。さらに、巻取り基準部と支持基準部とが同一平面上に設けられているため、第1のロールから繰り出されたシートがそのまままっすぐに第2のロールシートに供給されることになり、巻取り基準部に当接したシートが撚れることなく、下端の位置を維持することができる。したがって、シートの両端をきれいにそろえて巻き取ることができる。
【0019】
本発明の第2態様によれば、ケーシングの前面を傾斜させることにより支持部及び巻取り部の取り付けを容易にすることができる。また、傾斜面の角度を30から60度、さらに好ましくは45度にすることにより、巻取り基準部に当接するシートを撚れることなく巻足すことができる。30度より小さいと支持部が立ち上がり、シートが巻取り基準部に当接する方向の力の成分が大きくなりシートが撚れやすく、また、60度より大きいと、シートが巻取り基準部に当接する方向の力の成分が小さくなりシートが巻取り基準部から浮き上がりやすくなる。したがって、シートの両端をそろえてきれいに巻足すことができる。
【0020】
本発明の第4態様によれば、簡単な構成で第1のロールシート及び第2のロールシートを支持することができ、また、ロールシートの巻取り中心と巻取り部の回転軸とを一致した状態に保持することができる。
【0021】
本発明の第5態様によれば、第2のロールシートの巻取り量を目視で判断することができ、所望の量が巻き取られたことを容易に判断することができる。
【0022】
また、本発明の第6態様によれば、被覆部材を拡大させることで、第2のロールシートと巻取り本体部との間に滑りを起こさせることなくロールシートを固定することができる。
【0023】
また、本発明の第7態様によれば、被覆部材を長さ方向に圧縮することで、幅方向に拡径させることができ、固定部材を簡単な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態にかかるロールシートの巻足し装置の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1のロールシートの巻足し装置の内部構造を示す側面図である。
【図3A】図1のロールシートの巻足し装置の使用例を示す斜視図である。
【図3B】図1のロールシートの巻足し装置の使用例を示す斜視図であり、図3Aの次の工程を示す図である。
【図4】図1のロールシートの巻足し装置の支持部の構成を示す断面図である。
【図5】図1のロールシートの巻足し装置の巻取り部の構成を示す断面図である。
【図6】図1のロールシートの巻足し装置の巻取り部の被覆部材が拡径している状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るロールシートの巻足し装置について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態にかかるロールシートの巻足し装置の外観構成を示す斜視図である。図2は、図1のロールシートの巻足し装置の内部構造を示す側面図である。本実施形態にかかる巻足し装置1は、第1のロールシートに巻かれているシートを第2のロールシートに巻加えるための装置である。
【0027】
さらに具体的には、本実施形態の巻足し装置1は、巻き取られる側の第1のロールシートに巻かれているシートを、巻き取る側の第2のロールシートに巻足すことによりその使用残量を増加させるための装置である。また、二つのロールシートを巻足すだけでは必要な使用残量を確保できない場合にあっては、更に別のロールシートに巻かれているシートを追加して巻足してもよい。
【0028】
なお、本発明において「ロールシート」とは、例えば、トイレットペーパーのような幅方向に比べて長さ方向が長い帯状のシートを長さ方向に向かって平行に巻き取った状態のもののことを意味する。したがって、トイレットロールに限らず、プラスチックフィルム等をロール状に巻き取ったものも含まれる。また、シートを巻き取るための芯材の有無も問わない。該ロールシートの具体例としては、トイレットペーパーの他、キッチンペーパー、食品用ラップフィルム、アルミホイル及び各種テープ等のロールが例示できる。以下、トイレットペーパーを巻芯に巻いたトイレットロールを例として実施形態の説明を進める。
【0029】
本実施形態の巻足し装置1は、ケーシング2に、第1のトイレットロール100を回転可能に支持する支持部3と第2のトイレットロール110を支持すると共に巻取り方向に回転させる巻取り部4とを備える。
【0030】
ケーシング2は、図2に示すように、前面が傾斜面21なるような台形形状の側面を有する箱状の部材である。ケーシング2の前面の傾斜面21は、水平方向に対して傾斜角θを持つように設けられている。傾斜角θは、30から60度の範囲で設けられることが好ましく、本実施形態では、45度に構成されている。
【0031】
傾斜角θは、後述するように、支持軸32及び巻取り軸42が有する傾斜角度を持つように設けられる。当該支持軸32及び巻取り軸42が傾斜を有することでトイレットロールのペーパーが撚れることなく、第2のトイレットロールにきれいに巻足すことができる。
【0032】
また、ケーシング2の上面22には、グリップ23が設けられており、持ち運び時の取ってとして使用するほか、トイレットロールの巻取り時に巻足し装置ががたつかないように押さえ部材として用いられる。
【0033】
また、ケーシング2の背面24には、後述する巻取り部4のハンドル48が設けられる(図2参照)。
【0034】
支持部3は、ケーシング2の傾斜面21から突出するように固定された部材である。支持部3は、支持基準部の一例として機能する円板で構成されたフランジ31と、フランジ31の中心部分にフランジ31に対して直交するように設けられた支持本体部の一例としての支持軸32と、支持軸32が嵌入することによって支持軸32に固定されるチューブ状の被覆部材33とを備える。
【0035】
支持軸32は棒形状の部材であり、第1のトイレットロール100の巻芯に挿入されることによって第1のトイレットロール100を支持する。支持軸32の長さ寸法は、装着される第1のトイレットロール100の幅寸法より若干短く構成されている。第1のトイレットロール100の巻芯の内径が支持軸32に対して大きい場合は、被覆部材33を支持軸に装着させ、支持軸32を第1のトイレットロール100の巻芯の内径と同じ径寸法とする。これにより、第1のトイレットロール100の回転中心は支持軸32の中心軸C1とほぼ一致するように支持され、巻足し時においてロールのガタツキを防止することができる。
【0036】
支持軸32に取り付けられたトイレットロール100は、支持軸32の下端に設けられたフランジ31に当接するように配置される。
【0037】
被覆部材33は、支持部3に支持されたトイレットロール100が支持軸32の中心軸C1を中心として回転可能とするために、表面が比較的硬質で平滑に構成されていることが好ましい。被覆部材33としては、例えば硬質ウレタン素材などを用いることができる。
【0038】
支持部3は、図2に示すようにフランジ31の裏側に突出した取り付けネジ34とナット35によって、ケーシング2の傾斜面21に固定される。このとき、支持軸32がケーシング2の傾斜面21に直交するような向きに固定される。したがって、フランジ31は、ケーシング2の傾斜面21に対して平行になり、傾斜面21の表面から離間した状態となっている。また、支持部3の取り付け位置は、後述する巻取り部4の巻取り軸よりも若干上になるように構成されている。これは、巻取り部4は、トイレットロールを新品時程度の大きさになるまで巻取ることで大径のものとなる一方、支持部は、使用途中の小径のトイレットロールを使用するためである。
【0039】
前述のように、ケーシング2の傾斜面21は、水平方向に対して傾斜角θを有するように設けられているため、支持部3の支持軸32は、水平方向に対して角度θだけ傾斜するように配置される。
【0040】
支持部3は、第1のトイレットロール100の下端が平板状の部材の表面に密着するように配置され、かつ、第1のトイレットロール100を円滑に回転可能に支持するものであれば、特にその構成が限定されるものではない。例えば、一本の支持軸で構成されず、トイレットロール100の両端を上下方向から狭持する部材や、第1のトイレットロール100を嵌装する筒状のホルダなどを例示することができる。
【0041】
巻取り部4は、ケーシング2の傾斜面21から突出するように固定された部材と当該突出部材を回転させるための駆動機構を備えた部材である。
【0042】
巻取り部4は、巻取り基準部の一例として機能する円板で構成されたフランジ41と、フランジ41の中心部分にフランジ41に対して直交するように設けられた巻取り本体部の一例としての巻取り軸42と、巻取り軸42が嵌入することによって巻取り軸42に固定されるチューブ状の被覆部材43とを有している。
【0043】
フランジ41の表面には、巻取り側である第2のトイレットロール110の巻取り径の目安となる目盛り41aが設けられている。目盛り41aの位置としては、例えば、新品時のトイレットロールと同程度の径とすることができる。
【0044】
巻取り軸42は、棒形状の部材であり、トイレットロール110の巻芯に挿入されることによって第2のトイレットロール110を支持する。巻取り軸42に取り付けられた第2のトイレットロール110は、巻取り軸42の下端に設けられたフランジ41に当接するように配置される。
【0045】
巻取り軸42は、第2のトイレットロール110の巻芯の内径よりも小径に構成されており、第2のトイレットロール110のがたつきを防止するための被覆部材43が巻取り軸42に装着されている。
【0046】
被覆部材43は巻取り軸42よりも若干長く構成され、また、トイレットロールの巻芯の内径よりもわずかに細く構成されている。また、被覆部材43は、巻取り部4に支持されたトイレットロール110が巻取り軸42に対して回転しないように保持するために、比較的軟質な部材で構成されていることが好ましい。被覆部材43としては、例えば被覆部材33より軟質なウレタン素材などを用いることができる。
【0047】
巻取り軸42は、上方に雌ネジがねじ切りされており、当該ねじ切り部分42aに螺号可能な固定部材の一例としての固定ネジ44が設けられている。固定ネジ44は、巻取り軸42から上方に突出した被覆部材43の上端を押圧し、被覆部材43を径方向に拡径させてトイレットロール110が巻取り軸に対して回転しないように固定する。なお、被覆部材を径方向に均一に拡径させることで、巻取り軸の中心軸C2と第2のトイレットロール110の回転中心とを略一致させることができる。固定ネジ44による第2のトイレットロール110の固定動作について詳細は後述する。
【0048】
巻取り部4は、図2に示すようにフランジ41の裏側に突出した取り付け部材49によって、ケーシング2内に設けられた駆動機構に連結される。
【0049】
巻取り部4の取り付け部材49は、ケーシング2の傾斜面21に設けられたベアリングユニット45を介して中心軸C2を中心として回転可能に支持される。このとき、巻取り軸42がケーシング2の傾斜面21に直交するような向きに固定される。したがって、フランジ41は、ケーシング2の傾斜面21に対して平行になり、傾斜面21の表面から離間した状態となっている。
【0050】
また、ケーシング2の傾斜面21は水平方向に対して傾斜角θを有するように設けられているため、巻取り部4の巻取り軸42は、水平方向に対して角度θだけ傾斜するように配置される。
【0051】
巻取り部4のフランジ41及び支持部3のフランジ31は、ケーシング2の傾斜面21に対して同じ間隔をおいて配置される。すなわち、両フランジ31,41の表面は同一平面上に配置されている。
【0052】
ケーシング2内に設けられた駆動機構としては、電動であっても手動であってもよいが、本実施形態では、手動式の駆動機構を備えている。具体的には、取り付け部材49に連結するユニバーサルジョイント46と当該ユニバーサルジョイント46の他端側に連結する駆動軸47と、当該駆動軸47の他端側に連結するハンドル48を備えている。
【0053】
ハンドル48は、ケーシング2の背面24に設けられており、使用者がつまみ48aを持って回転させる。ハンドルが回転すると、駆動軸47、ユニバーサルジョイント46が回転し、ユニバーサルジョイント46に連結されている取り付け部材49が回転する。
【0054】
なお、ユニバーサルジョイント46は、ハンドル48の位置が低くなって装置が大型化しないように、かつ傾斜角θを有するケーシングの傾斜面21に対して背面24が鉛直方向に設けられているために駆動機構を屈曲させる必要から設けられたものである。したがって、ユニバーサルジョイント46の代わりに、駆動機構を屈曲させることができる機構であればよく、例えば、傘歯車などを用いてもよい。
【0055】
次に、本実施形態の巻足し装置を用いてトイレットロールに巻かれたペーパーを他のトイレットロールに巻足すに作業について説明する。図3Aは図1のロールシートの巻足し装置の使用例を示す斜視図である。図3Bは、図1のロールシートの巻足し装置の使用例を示す斜視図であり、図3Aの次の工程を示す図である。
【0056】
本実施形態にかかる巻足し装置の使用時には、第1のトイレットロール100を支持部3に第2のトイレットロール110を巻取り部3に取り付ける。この際、それぞれのトイレットロールが右周りに回転するように、端部101,111をケーシング上面22側となるように取り付けることが好ましい。
【0057】
なお、上記のように支持部3の支持軸32は、第1のトイレットロール100よりも短く構成されているため、図4に示すように、第1のトイレットロール100の装着時には、支持軸32の上方に隙間が形成される。
【0058】
次いで、第2のトイレットロール110を巻取り部4へ装着する場合は、巻取り軸42と第2のトイレットロール110の空回りを防止するために、固定ネジ44の締め付けを行なう。図5に示すように、通常時の被覆部材43の外径寸法R1は、第2のトイレットロール110の巻芯の内径よりもわずかに小さくなるように構成されている。また、被覆部材43の上方部分は、巻取り軸42よりも上方に突出して取り付けられている。
【0059】
この状態で第2のトイレットロール110を巻取り軸42に差し込む。被覆部材43は、上記のように軟質な材質で構成されているが、巻取り軸42が支持していることから、被覆部材43を撓ませることなく、第2のトイレットロール110の下端がフランジ41に当接するまで差し込むことができる。
【0060】
次いで、固定ネジ44のネジ部44aを巻取り軸42のねじ切り部分42aにねじ込む。この際、固定ネジ44の頭を上方から支えながら、ハンドル48を回転させることで、巻取り軸42が回転し、短時間で螺合させることができる。
【0061】
固定ネジ44がねじ込まれることにより、ネジの頭部下面44bが被覆部材43の上面43aに当接する。さらに固定ネジがねじ込まれると、ネジの頭部下面44bが被覆部材43を下方へ押圧し、フランジ41と狭持することによって、被覆部材43が径方向へ変形する。その結果、被覆部材43の外径寸法R2が大きくなり、被覆部材43が第2のトイレットロール110の巻芯の内壁面へ押しつけられ、第2のトイレットロール110を巻取り軸42に固定する。また、被覆部材43を径方向に均一に拡径させることができるので、巻取り軸の中心軸C2と第2のトイレットロール110の回転中心とを略一致させることができる。
【0062】
次に、図3Aに示すように、第1のトイレットロール100の端部101をロールから引出し、第2のトイレットロール110の端部111とロール部分112との間に挟み込む。この際、第1のトイレットロール100の端部101の下端が、支持部3のフランジ31及び巻取り部4のフランジ41の表面に沿うように、端部101の幅方向両端を第2のトイレットロール110の幅に合わせることが好ましい。
【0063】
次に、第2のトイレットロール110の端部111を第1のトイレットロール100の端部101の上側に戻し、図3Bの矢印90に示すように、第2のトイレットロール110を回転させて第1のトイレットロール100を第2のトイレットロール110の最外層のペーパーの上に巻き付ける。この作業により、第1のトイレットロール100が第2のトイレットロール110から抜け落ちることが防止される。
【0064】
次に、ハンドル48を回転させ、巻取り軸42を回転させることで、第1のトイレットロール100のペーパーが第2のトイレットロール110に巻き取られる。このとき、第1のトイレットロール100のペーパーは、支持部3のフランジ31及び巻取り部4のフランジ41の表面に沿って送られ、ペーパーの下端位置が決められているため、第2のトイレットロール110の両端に合わせてきれいに巻き取ることができる。すなわち、フランジ41が第2のトイレットロール110の巻取り時にガイドとして機能するため、ペーパーの下端の位置がそろった状態で巻き取られる。さらに、支持部3のフランジ31及び巻取り部4のフランジ41が同一平面上に設けられているため、第1のトイレットロール100から繰り出されたペーパーがそのまままっすぐに第2のトイレットロール110に送られることになり、巻取り部4のフランジ41に当接したペーパーが撓むことなく、下端の位置を維持することができる。
【0065】
このとき、支持軸32と第1のトイレットロール100の間の摩擦が、支持軸32と巻取り軸42との間のペーパーに対して適度な張力を発揮させ、巻取り時のペーパーのずれを少なくすることができる。
【0066】
また、傾斜角θを有するケーシング2の傾斜面21に設けられている支持軸32及び巻取り軸42は、水平方向に対して傾斜しているため、ペーパーが撓むことなく巻足される。傾斜角θを45度とすることで、ペーパーが巻取り部4のフランジ41に当接する方向の力の成分が適切なものとなり、ペーパーが幅方向に撓んだり、ペーパーが巻取り部4のフランジ41から浮き上がったりすることを防止することができる。
【0067】
第1のトイレットロール100のペーパーがすべて第2のトイレットロール110に巻き取られると、支持軸32には、第1のトイレットロールの巻芯102が残る。巻芯102を取り除く場合は、支持軸32の上方に位置する形成される隙間103(図4参照)を利用して、巻芯102をつまんで上方へ引き抜くことで、支持軸32から容易に取り除くことができる。
【0068】
なお、巻取り部4のフランジ41の表面に付された目盛り41aを参考にして新品程度のトイレットロールの径を目視で確認してもよい。すなわち、第1のトイレットロール100の巻取り途中で、第2のトイレットロール110が新品程度の大きさまで巻き取られた場合は、巻取りを中断するようにしてもよい。
【0069】
本実施形態のロールシートの巻足し装置によれば、支持部と巻取り部が水平方向に対して傾斜して設けられているため、支持部から繰り出されたシートが巻取り本体部の下端に設けられた巻取り基準部に当接した状態で第2のロールシートへ巻足される。すなわち、巻取り基準部が巻取り本体部へのロールシートの巻取り時にガイドとして機能するため、ロールシートの下端の位置がそろった状態で巻き取られる。さらに、巻取り基準部と支持基準部とが同一平面上に設けられているため、第1のロールから繰り出されたシートがそのまままっすぐに第2のロールシートに供給されることになり、巻取り基準部に当接したシートが撚れることなく、下端の位置を維持することができる。したがって、シートの両端をきれいにそろえて巻き取ることができる。
【0070】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。
【0071】
例えば、巻取り部4の駆動機構としては、ケーシングの背面24に設けたハンドルを回転させる構成としているが、ハンドルをケーシング2の傾斜面21に設け、歯車などを利用して巻取り軸42を回転させるようにしてもよい。このように構成することにより、ケーシングのサイズが大きくなるが、駆動軸の屈曲をなくして装置を容易に構成することができる。
【0072】
また、第2のロールシートを巻取り本体部に固定する固定部材の例としては、本実施形態のようにネジ式に限られるものではなく、回転中心C2に対称に均一に被覆部材の外径を拡大させることができるものであれば、その構成は問われない。例えば、圧縮気体をバックに送り込むことによって被覆部材の拡径させたり、回転軸に対して均等角度に設けられた機構により被覆部材を拡径させたりするようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のロールシートの巻足し装置は、使用途中で廃棄処分されているのが現状のロールシートを再生し、資源の有効利用を図ることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 ロールシートの巻足し装置
2 ケーシング
3 支持部
4 巻取り部
21 傾斜面
22 上面
23 グリップ
24 背面
31 フランジ
32 支持軸
33 被覆部材
34 取り付けネジ
35 ナット
41 フランジ
42 巻取り軸
43 被覆部材
44 固定ネジ
45 ベアリングユニット
46 ユニバーサルジョイント
47 駆動軸
48 ハンドル
49 取り付け部材
100 第1のトイレットロール
101 第1のトイレットロール端部
110 第2のトイレットロール
111 第2のトイレットロール端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のロールシートを回転可能に支持する支持部と第2のロールシートを支持すると共に巻取り方向に回転させる巻取り部とを備え、前記第1のロールシートに巻かれているシートを前記第2のロールシートに巻加えるための巻足し装置であって、
前記巻取り部は水平方向に対して傾斜した回転軸を中心に回転可能に設けられ、前記回転軸を第2のロールシートの巻取り中心に一致させるように前記第2のロールシートを支持する巻取り本体部と、巻取り本体部の下端に前記回転軸に対して直交するように連結され前記巻取り本体部と一体に回転する平板状の巻取り基準部を備え、
前記支持部は、前記巻取り部の回転軸に平行に設けられた支持本体部と、前記支持本体部に連結され前記巻取り基準部の表面と同一平面位置に設けられた支持基準部とを備える、ことを特徴とするロールシートの巻足し装置。
【請求項2】
前記支持部と巻取り部は、ケーシングの前面に設けられた傾斜面に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のロールシートの巻足し装置。
【請求項3】
前記ケーシングの傾斜面は、水平面に対して30から60度の角度で傾斜していることを特徴とする、請求項2に記載のロールシートの巻足し装置。
【請求項4】
前記巻取り本体部及び支持本体部は、それぞれ前記第1のロールシート及び第2のロールシートの巻き取り中心に挿入可能な棒状部材であり、
前記巻取り基準部及び支持基準部は、それぞれ、棒状部材の下端に設けられた円板であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載のロールシートの巻足し装置。
【請求項5】
前記巻取り基準部の表面に、前記第2のロールシートの巻取り径の目安となる目盛りが設けられていることを特徴とする、請求項4に記載のロールシートの巻足し装置。
【請求項6】
前記巻取り本体部は、棒状の軸芯と、前記軸芯の周囲に装着される可撓性の被覆部材と、前記被覆部材の外径寸法を拡大させることで挿入された前記第2のロールシートを固定する固定部材を備えることを特徴とする、請求項4又は5に記載のロールシートの巻足し装置。
【請求項7】
前記軸芯は、前記被覆部材よりも短く構成された雌ネジで構成され、
前記固定部材は、前記軸芯に螺合し、前記被覆部材の上端を押圧する押さえ部材で構成されていることを特徴とする、請求項6に記載のロールシートの巻足し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−136787(P2011−136787A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297451(P2009−297451)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(510003184)
【Fターム(参考)】