説明

ロールペーパーホルダー

【課題】開口部を小さくしても開口部にペーパー端部の糊付けを一致させやすいとともに、引き出されたペーパーがそのまま残るので次回のペーパー引き出しの際にペーパー端部が摘みやすいロールペーパーホルダーを提供する。
【解決手段】複数のロールペーパー2をロールペーパー2の中心軸を横にした状態で並設して載置する載置部材と、載置部材に載置された複数のロールペーパー2を覆うカバー部材3を備え、カバー部材3は、前面側に使用中のロールペーパー2からペーパーを切断する切断部6を下端に有する第1の開口部11が形成され、側面側に第1の開口部11と連続して切欠かれる第2の開口部12が形成され、側面側の第2の開口部12の上下に側壁部15を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状に巻回されたロールペーパーを複数載置し、そのうちの一つのロールペーパーから引出されたペーパーを切断するロールペーパーホルダーに関するものであり、例えば、トイレ空間の壁面に取り付けてロールペーパーを保持・切断するのに利用可能なロールペーパーホルダーに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来のロールペーパーホルダーに、使用中のロールペーパーのロール芯を回転可能に支持しておき、スペアのロールペーパーを隣接して配置させるものがある。例えば、特許文献1のロールペーパーホルダーは、使用中のロールペーパーのロール芯を軸棒で支持し、スペアのロールペーパーも軸棒で隣接して配置させておき、使用中のロールペーパーが使い終わった時点でスペアのロールペーパーを所定の位置にスライドさせ、スペアのロールペーパーを使用可能とするものである。
【0003】
この特許文献1のロールペーパーホルダーは、使用中のロールペーパーが使い終わった時点でスペアのロールペーパーを所定の位置にスライドさせれば良いので、使用中のロールペーパーが使い終わる毎にロールペーパーを取り付ける必要がなくなる。また、公共の場に設置された場合に、スペアのロールペーパーが盗まれることがないようにロック手段が設けられているが、仮にロック手段でロックされていても、使用中のロールペーパーが使い終わって軸棒に残ったロール芯を側壁の開口部から取り出せるように工夫されているので、使用中のロールペーパーが使い終わった時点でスペアのロールペーパーを所定の位置にスムーズにスライドでき、使用者が困らなくてすむ。
【0004】
一方、近年様々なタイプのロールペーパーが販売されており、例えば、ロール芯がないタイプのロールペーパーがある。このロール芯がないタイプのロールペーパーを回転可能に支持して使用する場合、専用の軸棒を使用する必要がある。しかしながら、上述したように、上記の特許文献1のロールペーパーホルダーは、使用中のロールペーパーのロール芯を軸棒で支持し、スペアのロールペーパーも軸棒で隣接して配置させておく構成であるので、単純に専用の軸棒を使用することができない。
【0005】
そこで、この問題を解決するため、例えば、特許文献2の提案がなされている。以下、具体的に説明する。特許文献2のロールペーパーホルダーは、使用中のロールペーパーのロール芯を軸棒で支持せずに、使用中のロールペーパーを載置部で支持し、スペアのロールペーパーも載置部で隣接させて配置させておき、使用中のロールペーパーが使い終わるとスペアのロールペーパーを載置部にスライドし、スペアのロールペーパーを使用可能にするものである。
【0006】
この特許文献2のロールペーパーホルダーは、上記のロール芯がないタイプのロールペーパーを使用する場合であっても、専用の軸棒を使用せずにロールペーパーを使用することができ、通常のロール芯があるタイプのロールペーパーを使用する場合であっても、使用中のロールペーパーが使い終わって載置部に残ったロール芯を芯取り出し口から取り出せるように工夫されている。
【0007】
更に、この特許文献2のロールペーパーホルダーは、ロールペーパーの使い始めにあるペーパー端部の糊付けをペーパー取り出し口に一致させやすい構成になっている。ロールペーパーホルダーの側面に大きく芯取り出し口が形成されているので、使用者がその芯取り出し口からロールペーパーを回転させることにより、ペーパー端部の糊付けをペーパー取り出し口に一致させやすく、スペアのロールペーパーを載置部にスライドさせた後、ペーパー端部の糊付けをペーパー取り出し口に一致できずに使用者が困らなくてすむ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平01−0303113号公報
【特許文献2】登録実用新案3027838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この特許文献2のロールペーパーホルダーは、ペーパー端部の糊付けをペーパー取り出し口に一致させやすいものの、公共の場に設置された場合には、ロールペーパーホルダーの側面に大きく開口した芯取り出し口が形成されているので、ロールペーパーが盗まれやすいという問題がある。また、この特許文献2のロールペーパーホルダーは、使用中のロールペーパーの上側からペーパーを引出し、ペーパー取り出し口の上端又は下端の切断部でペーパーを切断するので、切断部でペーパーを切断した際にロールペーパーが転がってしまい、ペーパー端部が切断部よりも内側に入ってしまい、次回のペーパー引き出しの際にペーパー端部を摘むことが難しいという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、従来の技術の問題点を解決するために、開口部を小さくしても開口部にペーパー端部の糊付けを一致させやすいとともに、引き出されたペーパーがそのまま残るので次回のペーパー引き出しの際にペーパー端部が摘みやすいロールペーパーホルダーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1記載のロールペーパーホルダーでは、使用中のロールペーパーにスペアのロールペーパーを並設して複数のロールペーパーを載置し、前記使用中のロールペーパーの下側からペーパーを引出すように構成したロールペーパーホルダーにおいて、前記複数のロールペーパーをロールペーパーの中心軸を横にした状態で並設して載置する載置部材と、前記載置部材に載置された前記複数のロールペーパーを覆うカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前面側に前記使用中のロールペーパーからのペーパーを切断する切断部を下端に有する第1の開口部が形成され、側面側に前記第1の開口部と連続して切欠かれる第2の開口部が形成され、前記側面側の前記第2の開口部の上下に側壁部を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、側面側に第1の開口部と連続して切欠かれる第2の開口部が形成されているので、ロールペーパーが開口部から盗まれることがないように開口部を小さくしても第1の開口部及び第2の開口部からペーパーを回転させて第1の開口部にペーパー端部の糊付けを一致させやすい。また、使用中のロールペーパーの下側からペーパーを引出し、第1の開口部の下端の切断部でペーパーを切断するので、切断されたペーパーが切断部の上側にそのまま残りやすくなり、次回のペーパー引き出しの際にペーパー端部が摘みやすくすることができる。
【0013】
また、請求項2記載のロールペーパーホルダーでは、前記第2の開口部は、前記側面側の前後方向の中心よりも奥側まで前記第1の開口部と連続して切欠かれて形成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、第2の開口部を小さくしても第2の開口部からロールペーパーを回転させやすくなり、第1の開口部にペーパー端部の糊付けをより一致させやすい。
【0015】
また、請求項3記載のロールペーパーホルダーでは、前記第2の開口部の高さは、前記第1の開口部の高さよりも高く切欠かれて形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、第2の開口部を小さくしても第2の開口部からロールペーパーをより回転させやすくなり、第1の開口部にペーパー端部の糊付けをより簡単に一致させやすい。また、使用中のロールペーパーが使い終わって載置部に残ったロール芯を開口部からより簡単に取り出せるようになる。
【0017】
また、請求項4記載のロールペーパーホルダーでは、前記カバー部材は、前記第1の開口部及び前記第2の開口部よりも上側に前記載置部に載置されたロールペーパーをスライド可能な第3の開口部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、載置部に載置されたロールペーパーをスライド可能な第3の開口部が形成されているので、載置部に載置された複数のロールペーパーを簡単にスライドすることができる。
【0019】
また、請求項5記載のロールペーパーホルダーでは、前記載置部は、壁面に沿って固定される固定部から前方に下り傾斜となる下降部と、この下降部の前方からのぼり傾斜となる上昇部と、を備え、前記ロールペーパーが前記下降部と前記上昇部の間に載置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。
【0020】
本発明によれば記ロールペーパーが下降部と上昇部の間に載置されるので、ペーパー端部をカットした際にロールペーパーが転がりにくく、次回のペーパー引き出しの際にペーパー端部が摘みやすい。
【発明の効果】
【0021】
本発明のロールペーパーホルダーによれば、開口部を小さくしても開口部にペーパー端部の糊付けを一致させやすいとともに、引き出されたペーパーがそのまま残るので次回のペーパー引き出しの際にペーパー端部が摘みやすいロールペーパーホルダーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のロールペーパーホルダーの斜視図である。
【図2】図1においてロールペーパーを除いた状態を示す斜視図である。
【図3】図2の分解斜視図である。
【図4】図1におけるロールペーパーが大きい状態を表す主要拡大断面図である。
【図5】図1におけるロールペーパーが小さい状態を表す主要拡大断面図である。
【図6】本発明のロールペーパーホルダーをトイレ空間に設置した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明におけるロールペーパーホルダー1の実施形態について図を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態のロールペーパーホルダー1の斜視図である。図2は、図1においてロールペーパーを除いた状態を表す斜視図である。本発明のロールペーパーホルダー1は、ロールペーパー2の軸心を横にした状態で載置している。ロールペーパーホルダー1の右端に使用されるロールペーパー2が配置され、第1の開口部11からペーパーが取り出し可能となっている。また、その使用されるロールペーパー2の左側にはスペアのロールペーパー2が複数個収納可能となっている。
【0024】
本発明のロールペーパーホルダー1では、複数のロールペーパー2をロールペーパーの中心軸を横にした状態で並設して載置する載置部材5と、載置部5に載置された複数のロールペーパー2の覆うカバー部材と3、を備えている。カバー部材3は、前面側に使用中のロールペーパー2からのペーパーを切断する切断部6を下端に有する第1の開口部11が形成され、側面側に第1の開口部11と連続して切欠かれる第2の開口部12が形成され、側面側の第2の開口部12の上下に側壁部15を備えている。
【0025】
図1に示すように、カバー部材3の正面第1の開口部11の開口高さは、ロールペーパー2の空芯(38Φ)が飛び出さず操作しやすい高さ(20〜35mm程度)とし、側壁部15の一部を切欠いた第2の開口部12の開口高さは、ロールペーパー2の空芯が取り出せる高さかつ、盗難する意味の薄いなるべく小径に近い(50mm程度)とする。第2の開口部12は、新品の糊付けされたロールペーパー2の端部をはがす際に、ロールペーパー2を回転させて端部を探すために指でつかむためのものでもあり、50mm程度が適切と考えられる。尚、第2の開口部12は、使用中のロールペーパーの中心軸よりも奥側まで第1の開口部11と連続して切欠かれて形成されているので、第2の開口部12からロールペーパーを回転させて第1の開口部11にペーパー端部の糊付けをより一致させやすい。
【0026】
さらに、正面に設けた第3の開口部13は、スペアのロールペーパー2を指でスライド移動させるためのものであるが、ロールペーパー2の紙端部が内部に入り込んだ状態でも、図7に示すように便座14に座った状態から内部の状態を確認しやすくするために第1の開口部11上部まで開口され、確認用の窓を兼ねていることを特徴としている。
【0027】
図3は、図1の分解斜視図である。ロールペーパーホルダー1の構成は、ペーパーホルダー1のカバー部材3とロールペーパー2のストックを戴置するための戴置部4、使用されるロールペーパー2を載置し横ズレを防止するストッパー5、切断部6を備えている。ストッパー5は、ロールペーパー2が横方向おいて所定の位置からずれないように位置決めの機能を有しており、ロールペーパー2が載置部材5を転動する際に摺動抵抗が大きくならないPP(ポリプロピレン)等で形成されることが好ましい。載置部材5は、トイレ壁面Wに沿って固定される固定部8から前方に下り傾斜となる下降部9と、下降部9の前方から昇り傾斜となり、前方に切断部6が設けられる上昇部10と、下降部9と上昇部10との側方に形成された側壁部15から構成される。下降部9と上昇部10は、固定部8側から手前側に連続して下るように傾斜している。尚、切断部6の材質は、ゴム系やエラストマー樹脂他の摩擦力の大きい材料が考えられ、ペーパーカット時には、ペーパーが横滑りするのを防止してカット性を良くするため、無数の突起部をランダムに配置することで引っ掛かり作用を持たせ、先端に設けた凹凸の紙切歯によってスムーズなカットができる。
【0028】
図5は、図1におけるロールペーパー2が大きい状態を表す主要拡大断面図である。本発明のロールペーパーホルダー1は、ロールペーパー2の軸心を横にした状態で載置するストッパー5を備え、ロールペーパー2を載置部材5上で転動させてロールペーパー2のペーパーを引き出し可能としたロールペーパーホルダー1であって、載置部材5は、壁面に沿って固定される固定部8から前方に下り傾斜となる下降部9と、この下降部の前方からのぼり傾斜となる上昇部10と、を備える構成としている。それによって、ロールペーパー2が大きい状態でロールペーパーホルダー1に載置されている場合、載置部材5の前方からペーパーを引出す際に、ロールペーパー2の転動に対して大きな抵抗が発生することなく、ペーパーを滑らかに引出すことが可能となるとともにカット性が向上できる。
【0029】
図6は、図1におけるロールペーパー2が小さい状態を表す主要拡大断面図である。ロールペーパー2が小さい状態でロールペーパーホルダー1に載置されている場合、載置部材5の前方からペーパーを引出す際に、ロールペーパー2の転動に対して大きな抵抗が発生するため、ロールペーパー2が載置部材の後方に向かって勢いよく転動することがなくなり、載置部材5上のロールペーパーが安定な状態でペーパーを滑らかに引出すことが可能となる。
【0030】
以上、本発明について実施形態を通して説明してきたが、本発明は、ロールペーパーホルダー1の右端に使用されるロールペーパー2が配置され、第1の開口部11からペーパーが取り出し可能となっているものに限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない範囲で適宜設計変更をしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…ロールペーパーホルダー
2…ロールペーパー
3…カバー部材
4…戴置部材
5…ストッパー
6…切断部
8…固定部
9…下降部
10…上昇部
11…第1の開口部
12…第2の開口部
13…第3の開口部 14…便座
15…側壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用中のロールペーパーにスペアのロールペーパーを並設して複数のロールペーパーを載置し、前記使用中のロールペーパーの下側からペーパーを引出すように構成したロールペーパーホルダーにおいて、
前記複数のロールペーパーをロールペーパーの中心軸を横にした状態で並設して載置する載置部材と、前記載置部材に載置された前記複数のロールペーパーを覆うカバー部材と、を備え、
前記カバー部材は、前面側に前記使用中のロールペーパーからのペーパーを切断する切断部を下端に有する第1の開口部が形成され、側面側に前記第1の開口部と連続して切欠かれる第2の開口部が形成され、前記側面側の前記第2の開口部の上下に側壁部を備えていることを特徴とするロールペーパーホルダー。
【請求項2】
前記第2の開口部は、前記側面側の前後方向の中心よりも奥側まで前記第1の開口部と連続して切欠かれて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項3】
前記第2の開口部の高さは、前記第1の開口部の高さよりも高く切欠かれて形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記第1の開口部及び第2の開口部よりも上側に前記載置部に載置されたロールペーパーをスライド可能な第3の開口部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項5】
前記載置部は、壁面に沿って固定される固定部から前方に下り傾斜となる下降部と、この下降部の前方からのぼり傾斜となる上昇部と、を備え、前記ロールペーパーが前記下降部と前記上昇部の間に載置されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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