説明

ロール体用搬送車

【課題】挿入部のロール体への干渉を検出できるロール体用搬送車を安価に提供する。
【解決手段】ロール体用搬送車の台車本体に、ロール体の軸部の両端部を載置支持する一対の支持体と、一対の支持体を移動操作する移動操作手段と、設定停止位置に台車本体が停止した状態で、ロール体保持装置の挿入部及びロール体の軸部を撮像する撮像手段と、撮像手段の撮像情報に基づいて移動操作手段の作動を制御する制御手段とを設け、制御手段が、ロール体保持装置が一対の挿入部を小径化させた後、ロール体保持装置が一対の挿入部の夫々を互いに離間移動させる前において、撮像手段の撮像情報に基づいて軸部が抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、軸部を抜出許容範囲内に移動させるべく移動操作手段の作動を制御する位置修正処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の軸部にシート材が巻回されたロール体を保持するロール体保持装置との間で前記ロール体の受け取りを行うロール体用搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるロール体用搬送車は、ロール体保持装置が設置された設備の床面上等を走行して、ロール体保持装置の近傍まで走行して、ロール体保持装置からロール体を受け取るようにして、ロール体保持装置からロール体受け取るときに使用されるものである。
【0003】
このようなロール体用搬送車の従来例として、走行自在な台車本体に、軸部の両端部の外周面を載置支持する一対の支持体と、この一対の支持体を移動操作する移動操作手段と、ロール体保持装置の挿入部及び移載対象のロール体の軸部を撮像する撮像手段と、撮像手段の撮像情報に基づいて移動操作手段の作動を制御する制御手段とが設けられたものがあった。
そして、ロール体用搬送車は、ロール体をロール体保持装置から受け取るときは、台車本体を設定停止位置に停止させた状態で、保持状態のロール体保持装置にて保持されているロール体の軸部を一対の支持体にて支持するべく、撮像手段の撮像情報に基づいて移動操作手段の作動を制御する位置合わせ処理を実行している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ちなみに、ロール体用搬送車にロール体を受け渡すロール体保持装置は、ロール体用搬送車が位置合わせ処理を実行した後、一対の挿入部を小径化させた状態で一対の挿入部を挿入位置から抜出位置に離間移動させて保持状態から保持解除状態に切り換えて、一対の挿入部を軸部の両端部から抜出させてロール体に対する保持を解除することで、ロール体用搬送車にロール体を受け渡すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−159134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記した従来のロール体用搬送車では、ロール体用搬送車が位置合わせ処理を実行することで、ロール体保持装置にて保持されているロール体の軸部を一対の支持体にて支持するが、ロール体保持装置の挿入部が大径化している状態では、ロール体の荷重は主にロール体保持装置の挿入部にかかっており、ロール体保持装置が挿入部を小径化させることで、ロール体の荷重の全てが一対の支持体にかかることになる。
しかし、ロール体の荷重の全てが一対の支持体にかかることで、台車本体が沈んでロール体が一対の支持体とともに下方に移動し、挿入部を小径化しても挿入部が軸部の内周面に干渉している可能性がある。挿入部が軸部の内周面に干渉している状態でロール体保持装置が一対の挿入部を互いに離間移動させると、軸部から挿入部が抜出されずロール体が挿入部に引きずられて軸心方向に沿って移動して、ロール体の軸部を載置支持する一対の支持体に対して軸心方向に大きな負荷がかかり、支持部が破損する虞がある。
そこで、ロール体保持装置が一対の挿入部を小径化させた後に、一対の挿入部がロール体の軸部に干渉しない抜出許容範囲から外れているか否かを検出するために光電センサ等の検出手段を設け、この検出手段の検出情報に基づいてロール体保持装置の作動を停止させることで、支持体の破損を回避することが考えられるが、新たに検出手段を設けることでロール体用搬送車の製造コストが高くなってしまう。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、ロール体保持装置の挿入部が小径化している状態で挿入部がロール体に干渉していることを検出できるロール体用搬送車を安価に提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかるロール体用搬送車は、円筒状の軸部にシート材が巻回されたロール体を保持するロール体保持装置との間で前記ロール体の受け取りを行うものであって、その第1特徴構成は、
前記ロール体保持装置が、互いに遠近移動自在な一対の挿入部を、前記一対の挿入部を互いに接近移動させて前記一対の挿入部を前記軸部に対して両端側から挿入させた後に前記一対の挿入部を大径化させた保持状態と、前記一対の挿入部を小径化させた後に前記一対の挿入部を互いに離間移動させて前記一対の挿入部を前記軸部から抜出させた保持解除状態とに切り換え可能に構成され、ロール体用搬送車の台車本体に、前記ロール体の軸心方向において前記シート材から両側に突出する前記軸部の両端部の外周面を載置支持する一対の支持体と、前記一対の支持体を前記台車本体に対して前記軸心方向と交差する方向に移動操作する移動操作手段と、前記ロール体保持装置から前記ロール体を受け取る設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で、前記ロール体保持装置の前記挿入部、及び、前記支持手段に載置支持された前記ロール体の前記軸部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像情報に基づいて前記移動操作手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、前記制御手段が、前記設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で、前記保持状態の前記ロール体保持装置にて保持されている前記ロール体の前記軸部を前記一対の支持体にて支持するべく、前記撮像手段の撮像情報に基づいて前記移動操作手段の作動を制御する受け取り用位置合わせ処理を実行し、且つ、前記受け取り用位置合わせ処理を実行しかつ前記ロール体保持装置が前記一対の挿入部を小径化させた後、前記ロール体保持装置が前記一対の挿入部の夫々を互いに離間移動させる前において、前記設定停止位置に前記台車本体を停止させた状態で、前記撮像手段の撮像情報に基づいて前記軸部が前記一対の挿入部に干渉しない抜出許容範囲から外れているか否かを判別し、前記軸部が前記抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、前記軸部を前記抜出許容範囲内に移動させるべく前記移動操作手段の作動を制御する位置修正処理を実行するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、台車本体を設定停止位置に停止させた状態で、撮像手段にてロール体保持装置の挿入部及び移載対象のロール体の軸部を撮像し、制御手段が、撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて移動操作手段の作動を制御することにより、ロール体保持装置にて保持されているロール体の軸部を一対の支持部にて支持させることができる。
このように一対の支持部にて軸部を支持することで、ロール体保持装置が保持状態から保持解除状態に切り換えられてロール体保持装置によるロール体に対する保持が解除されると、ロール体用搬送車はロール体保持装置からロール体を受け取ることができる。
そして、撮像手段は、台車本体を受け渡し箇所に停止させた状態でロール体保持装置の挿入部を撮像できるように台車本体に備えればよく、撮像手段を設置する作業がロール体保持装置側には及ばないため、ロール体用搬送車をロール体保持装置が設置された設備に配備する作業の簡素化を図ることができる。
【0010】
撮像手段は、台車本体が設定停止位置に停止している状態では、移載対象のロール体の軸部とロール体保持装置の挿入部とを撮像しているため、制御手段は、撮像手段の撮像情報に基づいてロール体の軸部とロール体保持装置の挿入部との位置関係を判別することができる。
よって、設定停止位置に台車本体を停止させた状態で、受け取り用位置合わせ処理を実行しかつロール体保持装置が一対の挿入部を小径化させた後、ロール体保持装置が一対の挿入部の夫々を互いに離間移動させる前において、制御手段は、軸部と挿入部との位置関係を判別することができる。
【0011】
そして、制御手段は、軸部と挿入部との位置関係を判別することで、軸部が一対の挿入部に干渉しない抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、軸部を抜出許容範囲内に移動させるべく移動操作手段の作動を制御する位置修正処理が実行される。このように位置修正処理が実行されることで、一対の軸部が一対の挿入部と干渉しなくなり、ロール体保持装置が一対の挿入部を抜出位置から挿入位置に互いに離間移動させてロール体に対する保持を円滑に解除させることができるようになる。
【0012】
そして、ロール体保持装置の挿入部が小径化している状態での挿入部がロール体に干渉しているか否かの検出は、位置合わせ処理を実行する際に用いる撮像手段を利用しており、この検出するために新たな検出手段を設ける必要がないため、新たな検出手段を設ける場合に比べて、ロール体保持装置の挿入部が小径化している状態で挿入部がロール体に干渉していることを検出できるロール体用搬送車を安価に提供することができる。
【0013】
本発明にかかるロール体用搬送車の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記制御手段が、前記位置修正処理として、前記軸部が前記抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、前記ロール体保持装置が前記一対の挿入部を小径化させた後で且つ前記ロール体保持装置が前記一対の挿入部の夫々を互いに離間移動させる前に前記撮像手段にて撮像した撮像情報に基づいて、前記軸部を前記抜出許容範囲内に移動させるべく前記移動操作手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0014】
すなわち、ロール体保持装置が一対の挿入部を小径化させた後で且つロール体保持装置が一対の挿入部の夫々を互いに離間移動させる前に撮像手段にてロール体の軸部と挿入部とを撮像し、この撮像情報に基づいて位置修正処理を実行するため、一対の支持体を一定量移動させて軸部を抜出許容範囲内に移動させるべく移動操作手段の作動を制御する場合に比べて、一対の支持体にて支持している軸部を適確に抜出許容範囲内に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ロール体用搬送車及びロール体保持装置の側面図
【図2】ロール体用搬送車の正面図
【図3】ロール体用搬送車及びロール体保持装置の平面図
【図4】一対の挿入部の抜出位置と挿入位置とを示す図
【図5】挿入部の小径状態と大径状態とを示す図
【図6】一対の支持ピンが小径化した後の位置修正処理を示す作用図
【図7】制御ブロック図
【図8】フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、ロール体用搬送車1は、印刷原紙や各種フィルム原反の表面に印刷や塗布を行う生産機等に設けられたロール体保持装置2との間でロール体Aの受け取り及び受け渡しを行ってロール体Aを移載するべく、生産設備に配設されている。そして、ロール体用搬送車1は、床面上に敷設された誘導ライン(図示せず)に沿って設定停止位置まで自動走行し、設定停止位置に停止した状態でロール体保持装置2との間でロール体Aの移載を行うように構成されている。
ちなみに、図1は、ロール体用搬送車1が設定停止位置に停止している状態を示しており、設定停止位置は、ロール体用搬送車1がロール体保持装置2との間でロール体Aを移載する位置として設定された位置である。そして、ロール体用搬送車1は、図3に矢印で示すように走行移動するものであり、設定停止位置には横進により走行移動させるようになっている。ちなみに、図3においては、設定停止位置に停止しているロール体用搬送車1を仮想線で示している。
【0017】
そして、ロール体Aは、円筒状の軸部としてのコアaと、そのコアaに巻回された紙やフィルム等のシート材bとで構成されており、ロール体Aの中心に位置するコアaは、シート材bから軸心方向の両側に突出している。
【0018】
ロール体用搬送車1について説明する前に、まず、ロール体用搬送車1との間でロール体Aを授受する生産設備のロール体保持装置2について説明する。
図1及び図3に示すように、ロール体保持装置2には、互いに接近離間移動自在な一対の挿入部としての一対の支持ピン4が備えられており、ロール体保持装置2は、一対の支持ピン4を、互いに接近移動させて一対の支持ピン4をコアaに対して両側から挿入させる挿入位置(図3及び図4(b)参照)と、互いに離間移動させて一対の支持ピン4をコアaから抜出させる抜出位置(図1及び図4(a)参照)とに移動自在に備えて構成されている。ちなみに、図1及び図3に示すように、一対の支持ピン4は、設定停止位置に停止するロール体用搬送車1の車体前後方向の両側に位置するように備えられている。
【0019】
図1及び図3に示すように、ロール体保持装置2は、一対の支持ピン4のうちの一方の支持ピン4を移動操作する電動モータ7と、一対の支持ピン4のうちの他方の支持ピン4を移動操作するエアシリンダ8とを備えて構成されている。
そして、電動モータ7にて一方の支持ピン4を車体前後方向に沿って移動操作し、エアシリンダ8にて他方の支持ピン4を車体前後方向に沿って移動操作することで、一対の支持ピン4を同時に接近離間移動させて挿入位置と抜出位置とに移動操作するように構成されている。
【0020】
一対の支持ピン4の夫々について説明を加えると、一対の支持ピン4の夫々は、その先端にコアaの内径より小径の小径部5と、その小径部5より基部側に位置してコアaの内径より大径の大径部6とを備えて構成されている。つまり、一対の支持ピン4を挿入位置に位置させた状態では、図4(a)及び図5(b)に示すように、支持ピン4における小径部5がコアaに挿入され、支持ピン4における大径部6がコアaにおける軸心方向の端部に当接されるようになっている。
また、図5に示すように、一対の支持ピン4の夫々は、図外の空気供給装置による空気の給排により、小径部5をコアaの内径より小径に小径化させた小径状態(図5(a)参照)と、小径部5をコアaの内径と同径に大径化させた大径状態(図5(b)参照)とに切り換え可能に構成されている。
【0021】
つまり、ロール体保持装置2は、一対の支持ピン4を挿入位置に互いに接近移動させて一対の小径部5をコアaの両端部に挿入させた後に一対の小径部5の夫々を大径状態に大径化させた保持状態と、一対の小径部5の夫々を小径化させた後に一対の支持ピン4を離間位置に互いに離間移動させて一対の小径部5をコアaの両端部から抜出させた保持解除状態とに切り換え可能に構成されており、保持状態に切り換えた状態でロール体Aを保持し、保持解除状態に切り換えることでロール体Aに対する保持を解除するように構成されている。
【0022】
次に、ロール体用搬送車1について説明を加える。
図1〜図3に示すように、ロール体用搬送車1は、走行自在な台車本体11に、ロール体Aを載置支持する一対の支持体12と、一対の支持体12を台車本体11に対して車体前後方向、車体横幅方向及び上下方向に移動操作する移動操作手段13と、設定停止位置に台車本体11が停止した状態で、ロール体保持装置2の支持ピン4及び移載対象のロール体Aのコアaを撮像する撮像手段としての撮像装置14と、撮像装置14にて撮像された撮像情報に基づいて移動操作手段13の作動を制御する制御手段Hと、ロール体保持装置2との間で情報を送受信する通信装置15(図7参照)とを設けて構成されている。
【0023】
一対の支持体12は、車体前後方向に間隔を隔てた状態で設けられており、この一対の支持体12にて、ロール体Aにおけるシート材bから両側に突出するコアaの両端部の外周面を載置支持している。
そして、この一対の支持体12にて、軸心が車体前後方向に沿う姿勢でコアaが載置支持されるため、一対の支持体12に載置支持されているロール体A(コアa)の軸心方向と車体前後方向とが同じ方向となり、上下方向や車体左右方向が、軸心方向と交差する方向となっている。
【0024】
移動操作手段13は、一対の支持体12を支持する移動部としてのスライドテーブル16と、スライドテーブル16を台車本体11に対して車体前後方向及び車体左右方向に移動操作し且つ一対の支持体12をスライドテーブル16に対して上下方向に移動操作する駆動手段17とを備えて構成されている。
スライドテーブル16は、一対の支持体12を各別に支持するように車体前後方向に一対並設されており、一対のスライドテーブル16の夫々は、台車本体11に対して車体前後方向及び車体左右方向に移動自在に台車本体11に支持され且つ支持体12を上下方向に移動自在に支持している。
【0025】
撮像装置14は、台車本体11を設定停止位置に停止させた状態で、1つの撮像装置14にてロール体保持装置2の支持ピン4と移載対象のロール体Aのコアaとを同時に1つの撮像範囲内に収めて撮像するように台車本体11に備えられている。
撮像装置14にて撮像される移載対象のロール体Aとは、ロール体用搬送車1からロール体保持装置2にロール体Aを受け渡す場合では、ロール体用搬送車1の一対の支持体12にて載置支持されているロール体Aであり、ロール体用搬送車1がロール体保持装置2からロール体Aを受け取る場合は、ロール体保持装置2の一対の支持ピン4にて保持されているロール体Aである。
【0026】
そして、撮像装置14として、台車本体11を設定停止位置に停止させた状態で一対の支持ピン4の一方とコアaの一端部とを撮像する一対の撮像装置14と、台車本体11を設定停止位置に停止させた状態で一対の支持ピン4の他方とコアaの他端部とを撮像する一対の撮像装置14との計4台の撮像装置14が台車本体11に設けられている。一対の撮像装置14は、車両左右方向視において撮像方向が交差する状態に設けられている。
これら4台の撮像装置14は、台車本体11に立設された支持棒18の上端部に高さ調節可能で且つ向き調節可能に支持されている。
【0027】
制御手段Hは、台車本体11を設定停止位置に走行させる又は台車本体11を設定停止位置から走行させるべく台車本体11の作動を制御する走行制御処理と、設定停止位置に台車本体11が停止した状態で、撮像装置14の撮像情報に基づいて一対の支持ピン4がコアaに対して挿入又は抜出可能な位置にコアaが位置するように一対の支持体12を移動させるべく移動操作手段13の作動を制御する位置合わせ処理とを実行するように構成されている。そして、位置合わせ処理としては、ロール体用搬送車1からロール体保持装置2にロール体Aを受け渡すときに実行する受け渡し用位置合わせ処理と、ロール体用搬送車1がロール体保持装置2からロール体Aを受け取るときに実行する受け取り用位置合わせ処理とがある。
【0028】
また、制御手段Hは、受け取り用位置合わせ処理を実行しかつロール体保持装置2が一対の支持ピン4を小径化させた後、ロール体保持装置2が一対の支持ピン4の夫々を互いに離間移動させる前において、設定停止位置に台車本体11を停止させた状態で、撮像装置14の撮像情報に基づいてコアaが一対の支持ピン4に干渉しない抜出許容範囲から外れているか否かを判別し、コアaが抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、コアaを抜出許容範囲内に移動させるべく移動操作手段13の作動を制御する位置修正処理を実行するように構成されている。
ちなみに、図4(b)、図6(c)に示すコアaは、コアaの内周面が小径部5に干渉しておらず抜出許容範囲に位置しているが、図6(b)に示す支持ピン4は、コアaの内周面が小径部5に干渉しており抜出許容範囲から外れている。
【0029】
次に、ロール体用搬送車1からロール体保持装置2にロール体Aに受け渡す場合の制御手段Hの制御について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、制御手段Hは、走行制御処理を実行して、ロール体Aを支持するロール体用搬送車1を設定停止位置に移動させる(S1)。その後、制御手段Hは、受け渡し用位置合わせ処理を実行して、一対の支持ピン4がコアaに対して挿入可能な位置にコアaを移動させる(S2、S3)。
【0030】
この受け渡し用位置合わせ処理では、設定停止位置に台車本体11が停止した状態で、4台の撮像装置14にて撮像された撮像情報に基づいてロール体保持装置2の一対の支持ピン4と一対の支持体12にて載置支持されているロール体Aのコアaとの位置関係を判別し、ロール体Aのコアaの軸心が一対の支持ピン4の軸心と一直線上に並び且つ一対の支持ピン4との間隔が均等になるように一対の支持体12を移動させるべく駆動手段17の作動を制御する。
【0031】
このように受け渡し用位置合わせ処理を実行した後、通信装置15にて受け渡し準備完了の信号をロール体保持装置2に送信し、ロール体保持装置2からの保持完了の信号を通信装置15にて受信した場合は、ロール体Aの受け渡しが完了する(S4、S5)。
ちなみに、ロール体保持装置2は、受け渡し準備完了の信号を受信すると、一対の支持ピン4を抜出位置から挿入位置に接近移動させて一対の支持ピン4をコアaの両端部に挿入させた後、一対の支持ピン4の小径部5を大径状態に切り換えて、一対の支持ピン4にてロール体Aを保持する。このようにロール体Aの保持が完了すると、ロール体保持装置2は、図外の通信手段にて保持完了の信号をロール体用搬送車1に送信するように構成されている。
【0032】
次に、ロール体用搬送車1がロール体保持装置2からロール体Aを受け取る場合の制御手段Hの制御について、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、制御手段Hは、走行制御処理を実行して、ロール体Aを支持していないロール体用搬送車1を設定停止位置に移動させる(S1)。その後、制御手段Hは、受け取り用位置合わせ処理を実行して、一対の支持ピン4にて保持されているコアaの両端部を一対の支持体12にて支持させるべく移動操作手段13の作動を制御する(S2、S6)。
【0033】
この受け取り用位置合わせ処理では、設定停止位置に台車本体11が停止した状態で、4台の撮像装置14にて撮像された撮像情報に基づいて保持状態の一対の支持ピン4にて保持されているロール体Aのコアaと位置を判別し、その保持状態の一対の支持ピン4にて保持されているロール体Aのコアaを一対の支持体12にて支持するべく駆動手段17の作動を制御する。
【0034】
このように受け取り用位置合わせ処理を実行した後、通信装置15にて受け取り準備完了の信号をロール体保持装置2に送信するべく通信装置15の作動を制御する(S7)。
ちなみに、ロール体保持装置2は、受け取り準備完了の信号を受信すると、一対の支持ピン4の小径部5を小径状態に切り換え、この小径部5の小径状態への切り換えが完了した後、図外の通信手段にて小径化完了の信号をロール体用搬送車1に送信するように構成されている。
【0035】
そして、ロール体用搬送車1は、ロール体保持装置2からの小径化完了の信号を通信装置15にて受信する(S8)と、支持ピン4が挿入位置に位置し且つ支持ピン4が小径化させた状態で撮像した撮像装置14の撮像情報に基づいて、コアaが支持ピン4に対して抜出許容範囲に位置しているか否かを判別(S9、S10)し、コアaが支持ピン4に対して抜出許容範囲に位置していると判別すると、通信装置15にて適正位置信号をロール体保持装置2に送信するべく通信装置15の作動を制御(S11)し、ロール体保持装置2からの保持解除完了の信号を通信装置15にて受信した場合は、ロール体Aの受け取りが完了する(S12)。
ちなみに、ロール体保持装置2は、適正位置信号を受信すると、一対の支持ピン4を挿入位置から抜出位置に離間移動させて一対の支持ピン4をコアaから抜出させ、一対の支持ピン4によるロール体Aに対する保持を解除する。このようにロール体Aに対する保持の解除が完了すると、ロール体保持装置2は、図外の通信手段にて保持解除完了の信号をロール体用搬送車1に送信するように構成されている。
【0036】
また、コアaが支持ピン4に対して抜出許容範囲から外れていると判別すると、撮像情報に基づいて位置修正処理を実行する(S13〜S15)。
位置修正処理では、コアaが支持ピン4に対して抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、支持ピン4が挿入位置に位置し且つ支持ピン4が小径化させた状態で撮像した撮像装置14の撮像情報に基づいて、コアaの抜出許容範囲の中心(ロール体Aのコアaの軸心が一対の支持ピン4の軸心と一直線上に並ぶ位置)からのずれ量を計測し、そのずれ量に応じてコアaを撮像許容範囲の中心に移動させるべく移動操作手段13の作動を制御する。
【0037】
そして、このように移動操作手段13の作動させた後に撮像された撮像装置14の撮像情報に基づいて、コアaが抜出許容範囲まで移動したことが判別される(S14、S15)と、位置修正処理を終了して、通信装置15にて適正位置信号をロール体保持装置2に送信するべく通信装置15の作動を制御(S11)し、ロール体保持装置2からの保持解除完了の信号を通信装置15にて受信した場合は、ロール体Aの受け取りが完了する(S12)。
【0038】
つまり、ロール体保持装置2が一対の支持ピン4を小径化させた後、その一対の支持ピン4を挿入位置から抜出位置に離間移動させてロール体Aの保持を解除するときに、図6(b)に示すように、台車本体11が沈むことでコアaが抜出許容範囲から外れ、その内周面が支持ピン4に接触している場合では、離間移動する支持ピン4に引き摺られてロール体Aが台車本体11に対して移動してしまう場合がある。制御手段Hは、撮像装置14の撮像情報に基づいて、コアaが抜出許容範囲から外れているか否かを判別することができ、図6(b)に示すように、コアaが抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、図6(c)に示すように、位置修正処理を実行してコアaを抜出許容範囲に位置させることにより、一対の支持ピン4を挿入位置から抜出位置に円滑に移動できるようになっている。
【0039】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、コアaが抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、ロール体保持装置2が一対の支持ピン4を小径化させた後で且つロール体保持装置2が一対の支持ピン4の夫々を互いに離間移動させる前に撮像装置14にて撮像した撮像情報に基づいて、コアaを抜出許容範囲内に移動させるべく移動操作手段13の作動を制御したが、コアaが抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、予め設定された設定量だけコアaを上昇移動させるべく移動操作手段13の作動を制御するようにしてもよい。
【0040】
(2) 上記実施形態では、ロール体用搬送車1が、ロール体保持装置2に対してロール体Aの受け取りと受け渡しとの両方を行ったが、ロール体用搬送車1が、ロール体保持装置2に対してロール体Aの受け取りのみ行うようにしてもよい。
また、上記実施形態では、一対の挿入部4を同時に移動させて挿入位置及び抜出位置に移動させたが、一対の挿入部4を交互に移動させて挿入位置及び抜出位置に移動させてもよい。
【0041】
(3) 上記実施形態では、一対の撮像装置14として、水平方向に撮像する撮像置14と斜め下方から傾斜方向に撮像する撮像装置14とを備えて、車両前後方向視において撮像方向が交差する状態に設けたが、一対の撮像装置14として、斜め下方から傾斜方向に撮像する一対の撮像装置14を備えて、車両前後方向視において撮像方向が交差する状態に設けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ロール体用搬送車
2 ロール体保持装置
4 挿入部
11 台車本体
12 支持体
13 移動操作手段
14 撮像手段
A ロール体
a 軸部
b シート材
H 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の軸部にシート材が巻回されたロール体を保持するロール体保持装置との間で前記ロール体の受け取りを行うロール体用搬送車であって、
前記ロール体保持装置が、互いに遠近移動自在な一対の挿入部を、前記一対の挿入部を互いに接近移動させて前記一対の挿入部を前記軸部に対して両端側から挿入させた後に前記一対の挿入部を大径化させた保持状態と、前記一対の挿入部を小径化させた後に前記一対の挿入部を互いに離間移動させて前記一対の挿入部を前記軸部から抜出させた保持解除状態とに切り換え可能に構成され、
ロール体用搬送車の台車本体に、
前記ロール体の軸心方向において前記シート材から両側に突出する前記軸部の両端部の外周面を載置支持する一対の支持体と、
前記一対の支持体を前記台車本体に対して前記軸心方向と交差する方向に移動操作する移動操作手段と、
前記ロール体保持装置から前記ロール体を受け取る設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で、前記ロール体保持装置の前記挿入部、及び、前記支持手段に載置支持された前記ロール体の前記軸部を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像情報に基づいて前記移動操作手段の作動を制御する制御手段とが設けられ、
前記制御手段が、
前記設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で、前記保持状態の前記ロール体保持装置にて保持されている前記ロール体の前記軸部を前記一対の支持体にて支持するべく、前記撮像手段の撮像情報に基づいて前記移動操作手段の作動を制御する受け取り用位置合わせ処理を実行し、且つ、
前記受け取り用位置合わせ処理を実行しかつ前記ロール体保持装置が前記一対の挿入部を小径化させた後、前記ロール体保持装置が前記一対の挿入部の夫々を互いに離間移動させる前において、前記設定停止位置に前記台車本体を停止させた状態で、前記撮像手段の撮像情報に基づいて前記軸部に前記一対の挿入部が干渉しない抜出許容範囲から外れているか否かを判別し、前記軸部が前記抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、前記軸部を前記抜出許容範囲内に移動させるべく前記移動操作手段の作動を制御する位置修正処理を実行するように構成されているロール体用搬送車。
【請求項2】
前記制御手段が、
前記位置修正処理として、前記軸部が前記抜出許容範囲から外れていると判別した場合は、前記ロール体保持装置が前記一対の挿入部を小径化させた後で且つ前記ロール体保持装置が前記一対の挿入部の夫々を互いに離間移動させる前に前記撮像手段にて撮像した撮像情報に基づいて、前記軸部を前記抜出許容範囲内に移動させるべく前記移動操作手段の作動を制御するように構成されている請求項1記載のロール体用搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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