説明

ロール状シート保持装置

【課題】芯管にフランジ固定補助部材を設けることなく、ロール状シート保持装置を簡単かつ確実にロール状シートに装着する。
【解決手段】ロール状シート保持装置は、軸方向に沿って断面が一定の中空部を有する芯管の外周面上にロール状に巻かれたロール状シートの保持装置である。保持装置は、芯管の中空部の端部にそれぞれ嵌められて、ロール状シートを回転可能かつ引き出し可能に保持する一対の回転軸118と、芯管に当接する各回転軸の外周面の溝から突き出て芯管と係合する突出位置と各回転軸の外周面より内方に退避した退避位置との間を移動可能な係合部材130と、係合部材を突出位置と退避位置との間で移動させる係合部材移動手段132と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロール状シート保持装置を備えたプリント装置及びシート処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリント装置に適用される、中空の芯管の外周面上にロール状に巻かれたロール状シートの保持装置が開示されている。ロール状シートの芯管の両端部に保持装置が嵌められ、保持装置がロール状シートを回転自在に保持する。保持装置は、回転駆動力が伝達される従動手段と、従動手段の回転力を伝達する伝達部材と、を有している。中空の芯管の内周面には、両端部近傍に、芯管に対して保持装置を着脱自在に保持するフランジ固定補助部材が設けられている。伝達部材がフランジ固定補助部材と係合することによって、保持装置がロール状シートに固定される。フランジ固定補助部材は、芯管の内周面から内側に突き出した段差部として構成され、この段差部は芯管と一体に形成されるか、または別部材を芯管に挿入することによって形成される。
【0003】
この構成によれば、ロール状シートの芯部に保持軸を挿通してロール状シートを固定する従来の方法と比較して、長尺の保持軸をロール状シートに嵌める必要がないため、ロール状シートの交換作業性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−175707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プリント装置において保持装置を芯管に固定する場合、フランジ固定補助部材を設けることによって、保持装置を確実に固定する方法の自由度が高くなる。しかし、フランジ固定補助部材を設けることで構成部材が増え、あるいは芯管自体が複雑化するため、フランジ固定補助部材を用いない、より簡易な構成が望まれている。
【0006】
フランジ固定補助部材の有無に関わらず、保持装置の固定方法としては、保持装置の先端部で芯管内周面あるいはフランジ固定補助部材を押圧する構成が広く用いられている。しかしこの構成では、保持装置を芯管に装着する際に保持装置の先端部の外径が芯管あるいはフランジ固定補助部材の内径より広がり、保持装置の芯管への挿入が妨げられることがある。これに伴い、保持装置がロール状シートの端部に正しく装着されない可能性もある。さらに、保持装置の挿入時あるいは先端部で芯管内周面あるいはフランジ固定補助部材を押圧する際に保持装置に衝撃が加わり、保持装置が破損してしまうことも考えられる。このため、保持装置を簡単かつ確実に装着可能な構成も望まれている。
【0007】
本発明は上記課題の認識に基づいてなされたものである。本発明は、軸方向に沿って断面が一定の中空部を有する芯管の外周面上にロール状に巻かれたロール状シートの保持装置に関し、芯管にフランジ固定補助部材を設けることなく、簡単かつ確実にロール状シートに装着可能な保持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のロール状シート保持装置は、軸方向に沿って断面が一定の中空部を有する芯管の外周面上にロール状に巻かれたロール状シートの保持装置である。保持装置は、芯管の中空部の端部にそれぞれ嵌められて、ロール状シートを回転可能かつ引き出し可能に保持する一対の回転軸と、芯管に当接する各回転軸の外周面の溝から突き出て芯管と係合する突出位置と各回転軸の外周面より内方に退避した退避位置との間を移動可能な係合部材と、係合部材を突出位置と退避位置との間で移動させる係合部材移動手段と、を有する。
【0009】
係合部材は、回転軸の外周面の溝から突き出て芯管と係合する突出位置と、外周面より内方に退避した退避位置と、の間を移動可能に構成されている。装着時に係合部材を退避位置にすることによって、係合部材は回転軸の外周面より内方に位置するため、外周面から係合部材が突き出すことがない。このため回転軸を簡単かつ確実にロール状シートに装着できる。保持装置をロール状シートに固定する場合は、係合部材を回転軸の外周面から突き出させて芯管と係合させればよいので、フランジ固定補助部材を設ける必要がない。従って、軸方向に沿って断面が一定の中空部を有する単純な構成の芯管であっても、保持装置をロール状シートに容易に固定することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば芯管にフランジ固定補助部材を設けることなく、簡単かつ確実にロール状シートに装着可能な保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】プリント装置の内部構成を示す概略図
【図2】制御部のブロック図
【図3】片面プリントモードでの動作を説明するための図
【図4】両面プリントモードでの動作を説明するための図
【図5】シート供給部の構成及び動作を説明するための図
【図6】保持装置の構成を説明するための図
【図7】フランジ部の外観を示す斜視図
【図8】フランジ部と操作部の構成を説明するための図
【図9】固定部材とこれを動かすカム部材の位置関係及び動作を示す図
【図10】固定部材とこれを動かすカム部材の位置関係及び動作を示す図
【図11】ロック機構を構成するカム部材とロック部材の位置関係及び動作を示す図
【図12】ロック機構を構成するカム部材とロック部材の位置関係及び動作を示す図
【図13】固定部材が係合位置にあるときの保持装置の状態を説明するための図
【図14】係合部材130により芯管51を回転軸118に固定した状態の図
【図15】固定部材が係合解除位置にあるときの保持装置の状態を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、インクジェット方式を用いたプリント装置の実施形態を説明する。本実施形態のプリント装置は、長尺連続シートの片面プリント及び両面プリントの両方に対応した高速ラインプリンタであり、例えば、プリントラボ等における大量の枚数のプリントに好適に用いられる。長尺連続シートとは、繰返しプリントの単位となる単位画像の長さよりも搬送方向に長くされた連続シートを意味する。単位画像とは、連続したシートに複数のページを順次プリントする場合の1つのプリント単位(1ページ)を意味し、1つのプリント単位に複数の小さな画像や文字や空白が混在していても、当該領域内に含まれるものをまとめて1つの単位画像という。単位画像の長さはプリントする画像サイズに応じて異なる。例えばL版サイズの写真ではシート搬送方向の長さは135mm、A4サイズではシート搬送方向の長さは297mmとなる。
【0013】
本発明はプリンタ、プリンタ複合機、複写機、ファクシミリ装置、各種デバイスの製造装置などのプリント装置に広く適用可能である。プリント処理はインクジェット方式、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式、液体現像方式など方式は問わない。本発明はプリント処理に限らずロールシートに種々の処理(記録、加工、塗布、照射、読取、検査など)を行うシート処理装置にも適用可能である。
【0014】
図1は、プリント装置の内部構成を示す断面の概略図である。本実施形態のプリント装置は、ロール状に巻かれたシートの第1面と、第1面の背面側の第2面と、に両面プリントすることが可能である。プリント装置はその内部に、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、プリント部4、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、反転部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出部12、加湿部20、制御部13の各ユニットを備えている。シートは、図中の実線で示したシート搬送経路に沿ってローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。シート搬送経路の任意の位置において、シート供給部1に近い側を「上流」、その逆側を「下流」という。
【0015】
シート供給部1は、ロール状に巻かれた連続シートを保持して供給するためのユニットである。シート供給部1は、2つのロールR1,R2を収納することが可能であり、2つのロールR1,R2から択一的にシートを引き出して供給する。収納可能なロールは2つに限定されず、シート供給部1は、1つあるいは3つ以上のロールを収納可能であってもよい。
【0016】
デカール部2は、シート供給部1から供給されたシートのカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2は、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを備えている。デカール部2は、カールと逆向きの反りを与える方向にシートを湾曲させるように、ピンチローラを通過させる。これによってデカール力が発生しカールが軽減される。デカール部2はデカール力を調整することが可能である。
【0017】
斜行矯正部3は、デカール部2を通過したシートの斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。基準となる側のシート端部をガイド部材に押し付けることにより、シートの斜行が矯正される。
【0018】
プリント部4は、搬送されるシートの上方からプリントヘッド14によってシート上にプリント処理を行い、画像を形成するユニットである。つまり、プリント部4はシートに所定の処理を行う処理部である。プリント部4は、シートを搬送する複数の搬送ローラをさらに備えている。プリントヘッド14は、使用が想定されるシートの最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型プリントヘッドである。プリントヘッド14は、搬送方向に沿って平行に並べられた複数のプリントヘッドを有している。本実施形態では、プリントヘッド14はC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、G(グレー)、K(ブラック)の7色に対応した7つのプリントヘッドを有している。色数及びプリントヘッドの数は7つに限定されない。インクジェット方式としては、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介してプリントヘッド14に供給される。後述するように、プリントヘッド14はプリント部4において、シートから退避する方向に移動可能である。これにより、シートに対するプリントヘッド14の間隔が調整される。
【0019】
検査部5は、プリント部4でシートにプリントされた検査パターンや画像をスキャナによって光学的に読み取り、プリントヘッドのノズルの状態、シート搬送状態、画像位置等を検査して画像が正しくプリントされたかを判定するためのユニットである。スキャナはCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサを有している。
【0020】
カッタ部6は、プリント後のシートを所定長さに切断する機械的なカッタを備えたユニットである。カッタ部6は、シートを次工程に送り出すための複数の搬送ローラも備えている。
【0021】
情報記録部7は、切断されたシートの非プリント領域にプリントのシリアル番号や日付などのプリント情報を記録するユニットである。プリント情報は、インクジェット方式、熱転写方式などで文字やコードをプリントすることによって記録される。情報記録部7の上流側且つカッタ部6の下流側には、切断されたシートの先端エッジを検知するセンサ23が設けられている。センサ23はカッタ部6と情報記録部7の記録位置との間でシートの端部を検知する。センサ23の検知タイミングに基づいて、情報記録部7における記録タイミングが制御される。
【0022】
乾燥部8は、プリント部4でプリントされたシートを加熱して、付与されたインクを短時間で乾燥させるためのユニットである。乾燥部8の内部では通過するシートに対して少なくとも下面側から熱風が供給されて、インク付与面が乾燥させられる。乾燥方式は熱風を供給する方式に限らず、電磁波(紫外線や赤外線など)をシート表面に照射する方式でもよい。
【0023】
以上のシート供給部1から乾燥部8までのシート搬送経路を第1経路と称する。第1経路はプリント部4から乾燥部8までの間にUターンする形状を有し、カッタ部6はUターンの形状の途中に位置している。
【0024】
反転部9は両面プリントを行う際に表面プリントが終了した連続シートを一時的に巻取って、表裏反転させるためのユニットである。反転部9は、乾燥部8を通過したシートを再びプリント部4に供給するための経路の途中に設けられている。この経路は乾燥部8からデカール部2を経てプリント部4に到るループパスであり、この経路を第2経路と称する。反転部9はシートを巻取るための回転する巻取回転体(ドラム)を備えている。表面のプリントが済んで切断されていない連続シートは巻取回転体に一時的に巻取られる。巻取りが終わると、巻取回転体が逆回転して巻取り済みシートはデカール部2に供給され、プリント部4に送られる。このシートは表裏反転しているのでプリント部4で裏面にプリントを行うことができる。両面プリントのより具体的な動作については後述する。
【0025】
排出搬送部10は、カッタ部6で切断され乾燥部8で乾燥させられたシートを搬送して、ソータ部11にシートを受け渡すためのユニットである。排出搬送部10は、反転部9が設けられた第2経路とは異なる経路(第3経路と称する)に設けられている。第1経路を搬送されてきたシートを第2経路と第3経路のいずれか一方に選択的に導くために、経路の分岐位置には可動フラッパを有する経路切替機構が設けられている。
【0026】
ソータ部11と排出部12は、シート供給部1の側部で且つ第3経路の末端に設けられている。ソータ部11は、プリント済みシートを必要に応じてグループ毎に仕分けるためのユニットである。仕分けられたシートは、複数のトレイからなる排出部12に排出される。このように、第3経路はシート供給部1の下方を通過して、シート供給部1を挟んでプリント部4や乾燥部8とは逆側にシートを排出する経路である。
【0027】
以上のように、第1経路にはシート供給部1から乾燥部8までのユニットが順に設けられている。乾燥部8の先で第1経路は第2経路と第3経路に分岐する。第2経路は途中に反転部9が設けられており、反転部9の先で第1経路に合流する。第3経路の末端には排出部12が設けられている。
【0028】
加湿部20は加湿気体(空気)を生成して、プリント部4のプリントヘッド14とシートの間に供給するためのユニットである。これにより、プリントヘッド14のノズル内のインク乾燥が抑制される。加湿部20の加湿方式としては、気化式、水噴霧式、蒸気式などの方式を採用することができる。気化式には、本実施形態の回転式の他に、透湿膜式、滴下浸透式、毛細管式などがある。水噴霧式には、超音波式、遠心式、高圧スプレー式、2流体噴霧式などがある。蒸気式には、蒸気配管式、電熱式、電極式などがある。加湿部20とプリント部4は第1ダクト21で接続され、更に加湿部20と乾燥部8は第2ダクト22で接続されている。乾燥部8ではシートを乾燥させる際に多湿且つ高温の気体が生成される。この気体は第2ダクト22を通して加湿部20に導入されて、加湿部20での加湿気体生成のための補助エネルギとして利用される。加湿部20で生成された加湿気体は第1ダクト21を通してプリント部に導入される。
【0029】
制御部13は、プリント装置の各部の制御を司るユニットである。制御部13は、CPU、記憶装置、各種制御部を備えたコントローラ、外部インターフェース、及びユーザが入出力を行う操作部15を有している。プリント装置の動作は、コントローラ、またはコントローラに外部インターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等のホスト装置16からの指令に基づいて制御される。
【0030】
図2は、制御部13の概念を示すブロック図である。制御部13に含まれるコントローラ(破線で囲んだ範囲)は、CPU(中央演算処理部)201、ROM202、RAM203、HDD(ハードディスク)204、画像処理部207、エンジン制御部208、個別ユニット制御部209から構成されている。CPU201はプリント装置の各ユニットの動作を統合的に制御する。ROM202はCPU201が実行するためのプログラムやプリント装置の各種動作に必要な固定データを格納する。RAM203はCPU201のワークエリアとして用いられたり、種々の受信データの一時格納領域として用いられたり、各種設定データを記憶したりする。HDD204はCPU201が実行するためのプログラム、プリントデータ、プリント装置の各種動作に必要な設定情報を記憶読出することが可能である。操作部15はユーザとの入出力インターフェースであり、ハードキーやタッチパネルの入力部、及び情報を提示するディスプレイや音声発生器などの出力部を含む。
【0031】
高速なデータ処理が要求されるユニットについては専用の処理部が設けられている。画像処理部207は、プリント装置で扱うプリントデータの画像処理を行う。入力された画像データの色空間(たとえばYCbCr)は、標準的なRGB色空間(たとえばsRGB)に変換される。画像データに対し解像度変換、画像解析、画像補正等、様々な画像処理が必要に応じて施される。これらの画像処理によって得られたプリントデータは、RAM203またはHDD204に格納される。エンジン制御部208は、CPU201等から受信した制御コマンドに基づいて、プリントデータに応じてプリント部4のプリントヘッド14の駆動制御を行う。エンジン制御部208は更にプリント装置内の各部の搬送機構の制御も行う。個別ユニット制御部209は、シート供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、反転部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出部12、加湿部20の各ユニットを個別に制御するためのサブコントローラである。CPU201による指令に基づき、個別ユニット制御部209によってそれぞれのユニットの動作が制御される。外部インターフェース205は、コントローラをホスト装置16に接続するためのインターフェース(I/F)であり、ローカルI/FまたはネットワークI/Fである。以上の構成要素はシステムバス210によって接続されている。
【0032】
ホスト装置16は、プリント装置にプリントを行わせるための画像データの供給源となる装置である。ホスト装置16は、汎用または専用のコンピュータであってもよいし、画像リーダ部を有する画像キャプチャ、デジタルカメラ、フォトストレージ等の専用の画像機器であってもよい。ホスト装置16がコンピュータの場合は、コンピュータに含まれる記憶装置にOS、画像データを生成するアプリケーションソフトウェア、プリント装置用のプリント装置ドライバがインストールされる。以上の処理の全てをソフトウェアで実現することは必須ではなく、一部または全部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。
【0033】
次に、プリント時の基本動作について説明する。プリントは、片面プリントモードと両面プリントモードとでは動作が異なるので、それぞれについて説明する。
【0034】
図3は、片面プリントモードでの動作を説明するための図である。シート供給部1から供給されたシートがプリントされて排出部12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。シート供給部1から供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理されたシートは、プリント部4において表面(第1面)のプリントがなされる。搬送方向に所定の長さを有する単位画像を長尺の連続シートに順次プリントして、複数の画像を並べて形成していく。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において単位画像ごとに切断される。切断されたシートの裏面には、必要に応じて、情報記録部7でシートプリント情報が記録される。そして、切断されたシートは1枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥される。シートはその後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11の排出部12に順次排出され積載されていく。一方、最後の単位画像の切断によってプリント部4の側に残されたシートはシート供給部1に送り戻されて、ロールR1またはR2に巻取られる。後述するように、この送り戻しの際には、デカール部2でのデカール力が小さくなるよう調整され、且つプリントヘッド14がシートから退避するようになっている。
【0035】
このように、片面プリントにおいては、シートは第1経路と第3経路を通過して処理され、第2経路は通過しない。以上をまとめると、片面プリントモードにおいては制御部13の制御により、以下(1)〜(6)のシーケンスが実行される。
【0036】
(1)シート供給部1からシートを送り出してプリント部4に供給する;
(2)供給されたシートの第1面に、プリント部4で単位画像のプリントを繰り返す;
(3)第1面にプリントした単位画像ごとにカッタ部6でシートの切断を繰り返す;
(4)単位画像ごとに切断されたシートを1枚ずつ乾燥部8を通過させる;
(5)1枚ずつ乾燥部8を通過したシートを、第3経路を通して排出部12に排出する;
(6)最後の単位画像を切断してプリント部4の側に残されたシートをシート供給部1に送り戻す。
【0037】
図4は、両面プリントモードでの動作を説明するための図である。両面プリントでは、表面(第1面)プリントシーケンスに次いで裏面(第2面)プリントシーケンスが実行される。最初の表面プリントシーケンスでは、シート供給部1から検査部5までの各ユニットでの動作は上述の片面プリントの動作と同じである。カッタ部6では切断動作は行わずに、連続シートのまま乾燥部8に搬送される。乾燥部8での表面のインク乾燥の後、排出搬送部10の側の経路(第3経路)ではなく、反転部9の側の経路(第2経路)にシートが導かれる。第2経路においてシートは、順方向(図面では反時計回り方向)に回転する反転部9の巻取回転体に巻取られていく。プリント部4において、予定された表面のプリントが全て終了すると、カッタ部6にて連続シートのプリント領域の後端が切断される。切断位置を基準に、搬送方向下流側(プリントされた側)の連続シートは乾燥部8を経て反転部9でシート後端(切断位置)まで全て巻取られる。一方、反転部9での巻取りと同時に、切断位置よりも搬送方向上流側(プリント部4の側)に残された連続シートは、シート先端(切断位置)がデカール部2に残らないように、シート供給部1に送り戻されて、ロールR1またはR2に巻取られる。この送り戻し(バックフィード)によって、以下の裏面プリントシーケンスで再び供給されるシートとの衝突が避けられる。後述するように、この送り戻しの際には、デカール部2でのデカール力が小さくなるよう調整され、且つプリントヘッド14がシートから退避するようになっている。
【0038】
上述の表面プリントシーケンスの後に、裏面プリントシーケンスに切り替わる。反転部9の巻取回転体が巻取り時とは逆方向(図面では時計回り方向)に回転する。巻取られたシートの端部(巻取り時のシート後端は、送り出し時にはシート先端になる)は、図の破線の経路に沿ってデカール部2に送り込まれる。デカール部2では巻取回転体で付与されたカールの矯正がなされる。つまり、デカール部2は第1経路においてシート供給部1とプリント部4の間、及び第2経路において反転部9とプリント部4の間に設けられており、いずれの経路においてもデカールの働きをする共通のユニットである。シートの表裏が反転したシートは、斜行矯正部3を経て、プリント部4に送られて、シートの裏面にプリントが行なわれる。プリントされたシートは検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎に切断される。切断されたシートは両面にプリントされているので、情報記録部7での記録はなされない。切断されたシートは1枚ずつ乾燥部8に搬送され、排出搬送部10を経由して、ソータ部11の排出部12に順次排出され積載されていく。
【0039】
このように、両面プリントにおいては、シートは第1経路、第2経路、第1経路、第3経路の順に通過して処理される。以上をまとめると、両面プリントモードにおいては制御部13の制御により、以下(1)〜(11)のシーケンスが実行される。
【0040】
(1)シート供給部1からシートを送り出してプリント部4に供給する;
(2)供給されたシートの第1面にプリント部4で単位画像のプリントを繰り返す;
(3)第1面にプリントされたシートを乾燥部8を通過させる;
(4)乾燥部8を通過したシートを第2経路に導いて、反転部9が有する巻取回転体に巻取っていく;
(5)第1面への繰返しのプリントが済んだら最後にプリントした単位画像の後ろでカッタ部6でシートを切断する;
(6)切断したシートの端部が乾燥部8を通過して巻取回転体に達するまで巻取回転体に巻取るとともに、切断してプリント部4の側に残されたシートはシート供給部1に送り戻す;
(7)巻取りが済んだら巻取回転体を逆回転させて、第2経路から再びプリント部4にシートを供給する;
(8)第2経路から供給されるシートの第2面にプリント部4で単位画像のプリントを繰り返す;
(9)第2面にプリントした単位画像ごとにカッタ部6でシートの切断を繰り返す;
(10)単位画像ごとに切断されたシートは1枚ずつ乾燥部8を通過される;
(11)1枚ずつ乾燥部8を通過したシートを、第3経路を通して排出部12に排出する。
【0041】
図5は、シート供給部1の構成及び動作を説明するための図である。シート供給部1はロール状シート保持装置(以下、保持装置110という)に保持されロール状に巻かれた連続シートを収容し、プリント部4に接続されたシート搬送路101にシートを供給する。図5(a)はシート供給部1の斜視図を示し、図5(b)はシート供給部1の断面図を示す。シート収容部102は、フランジ保持部材103、給紙ローラ対104、給紙ローラ対104に駆動を伝達する給紙ローラ駆動部105、シート種及びシート幅サイズを検知する機構部106、及びロールを回転させるためのロール駆動部107からなる。シートをプリント部4へ供給するときは、給紙ローラ駆動部105からの駆動力を伝達して給紙ローラ対104を回転させ、給紙ローラ対104に挟持されたシートをシート搬送路101へ送り込む。シートをシート収容部102へ巻き戻すときは、ロール駆動部107から駆動力を伝達してロールを回転させてシートを巻き戻す。このとき、給紙ローラ対104は、離間させるか搬送方向と逆方向に回転させてシートを搬送する。巻き戻し時の給紙ローラ駆動部105の速度とロール駆動部107の速度は、常にロール駆動部107の速度の方が早くなるように制御され、給紙ローラ対104とロールの間でシートにテンションがかかるようになっている。給紙ローラ駆動部105とロール駆動部107のシート搬送速度差は、ロール駆動部107内に設けられたクラッチ(不図示)をすべらせることで解消される。
【0042】
図6は、ロール状シートの保持装置110の構成を説明するための図である。図6(a)は保持装置110の内部の構成を示す分解斜視図であり、図6(b)は、フランジ回転部111を組み立てた状態での保持装置110の分解斜視図である。図6(c)は保持装置110の断面図を、図6(d)はベアリングの付近の部分詳細図を示している。保持装置110は各ロールR1,R2についてそれぞれ一対設けられている。各保持装置110は、フランジ回転部111と、フランジ回転部111を回転支持するとともにフランジ保持部材103に固定されるフランジ固定部112と、を有している。フランジ回転部111はロール駆動部107からの駆動力を伝達し、芯管51(図7参照)の外周面上にロール状に巻かれた連続シート(以下、ロールまたはロール状シートという場合もある)を回転させる。ロールの芯管51は軸方向に沿って断面が一定の中空部52を有しており、通常は内径、外径とも一定の円管である。しかし中空部の形状はこれに限定されず、後述するように保持部が装着可能でありかつ係合部材で固定可能である限り、変断面形状であってもかまわない。
【0043】
フランジ回転部111は複数のリング状のベアリング113と、フランジ部115と、ベアリングカバー116と、固定部材117と、を備えている。複数のベアリング113はフランジ部115の突起部に装着され、側面でフランジ固定部112と当接し、上面がベアリングカバー116で覆われている。シートが供給されるときは、ベアリング113がフランジ固定部112の摺動面114上を摺動し、これによってロールが円滑に回転する。ベアリング113は、ロールの重量をフランジ固定部112に伝達する機能も有しており、複数個設けることで、ロール重量の負荷が分散される。
【0044】
図7は、フランジ部115の構成を説明するための図である。図7(a)はロール駆動部107と係合している外側側面を、図7(b)はロールと当接する内側側面を示している。フランジ部115は概ね円盤状の形状を有しており、その一方の面に、ロールの芯管51に挿入される筒状の回転軸118がフランジ部115と一体に形成されている。フランジ部115の外側の部分119は主に、後述する操作部133によって形成されている。回転軸118はフランジ部115と別に作成し、適宜の方法でフランジ部115に固定してもよい。回転軸118は芯管51の中空部52の端部53にそれぞれ嵌められて、ロール状シートを回転可能かつ引き出し可能に保持する。フランジ部115のロール側には、ロールの端部をガイドするガイド面108が形成されている。
【0045】
図8は、フランジ部115と操作部133の斜視図を示す。図8(a)は分解斜視図であり、図8(b)はフランジ部と操作部の連結部の部分詳細図である。フランジ部115には、回転軸118を芯管51に固定するための固定部材117と、芯管51への固定部材117の固定操作及び芯管51からの固定部材117の固定解除操作を行う操作部133と、が取り付けられている。図9、図10は固定部材117とこれを動かすカム部材141の位置関係および動作を示している。図9(a)、図10(a)はカム部材141側から見た平面図、図9(b)、図10(b)は側面図、図9(c)、図10(c)は斜視図である。図9は芯管51を固定部材117によって固定した状態を示し、図10は固定を解除した状態を示している。
【0046】
固定部材117は、回転軸の先端壁118aの内面側に軸130aによって揺動可能に支持されている。固定部材117は、芯管51に係合する鋭利な先端部を備えた係合部材130を有している。係合部材130は板金によって製作された板状の金属部材である。回転軸118の外表面には溝121(図7(b)参照)が設けられており、係合部材130の先端部は後述する係合部材移動機構132の動作によって、溝121を通って回転軸118の外表面の外側へ突き出ることができる。すなわち、係合部材130は、芯管51に当接する回転軸118の外周面から溝121を通って突き出て芯管51と係合する突出位置と、回転軸118の外周面より内方に退避した退避位置との間を移動可能である。これによって、係合部材130は径方向に移動し、芯管51に対して係合と離間とを繰返すことができる。ここで、径方向は、回転軸118の中心軸と直交する面内で中心軸を基準として定義される。
【0047】
係合部材移動機構132は操作部133に設けられており、係合部材130を突出位置と退避位置との間で移動させる。係合部材移動機構132は、カム部材141と、回動部材144と、第1のバネ部材131と、を有している。
【0048】
カム部材141は、カム面141aを有する上半部141bと、上半部141bと一体形成された概ね円板状の下半部141cと、から構成されている。カム面141aには、外側に張り出し概ね等間隔で位置する3つの凸部141dが形成されている。カム部材141の下半部141cは、フランジ部115の2つの同心の案内壁で囲まれた領域に回転可能に保持されている。この結果カム部材141は、回転軸118と同軸に設けられ、かつ回転軸118に対して相対回転可能に構成される。
【0049】
回動部材144は、一端が回転軸118に対して固定された支点144a、本実施形態ではフランジ部115に設けられた突起部144aで支持され、支点144aを中心に回動可能に構成されている。第1のバネ部材131は例えばコイルバネからなり、一端が回動部材144の端部144bに、他端が固定部材117の先端部に連結されている。第1のバネ部材131は予め引張り力が与えられており、回動部材144を内側に引張り、カム部材141のカム面141aに押し付けている。
【0050】
カム部材141には把持部141hが設けられユーザーは把持部141hを操作してカム部材141を回転させることができる。カム部材141が回転すると、回動部材144の係合部材130に連結されている端部は、カム部材141のカム面141aの凸部141dに押されて径方向の外側に位置を変化させる。この結果、回動部材144はカム部材141の回転に伴って、支点144aを中心として回動する。この回動運動により、回動部材144は第1のバネ部材131を介して係合部材130を突出位置と退避位置との間で移動させる。
【0051】
操作部133はさらに、係合部材130が退避位置にあるときに係合部材移動機構132、特にカム部材141の回転をロックするロック機構を備えている。図11、図12はロック機構を構成するカム部材141とロック部材143の位置関係および動作を示している。図11(a)、図12(a)はカム部材141側から見た平面図、図11(b)、図12(b)は側面図、図11(c)、図12(c)は斜視図である。図11カム部材141がロックされた状態を示し、図12はロックを解除した状態を示している。ロック機構は、ロック部材143と、第2のバネ部材145と、を有している。ロック機構は複数個、本実施形態では回転軸118の軸中心に対して120度の間隔で3つ設けられている。
【0052】
ロック部材143は板状の部材で、その一端は、回転軸の先端壁118aの内面側に軸143aによって揺動可能に支持されている。ロック部材143の他端は、少なくともカム部材141の位置まで延びている。第2のバネ部材145は、一端がロック部材143に、他端がフランジ部115に連結されている。第2のバネ部材145は予め引張り力が与えられており、ロック部材143をカム部材141の内周面141eに押し付けている。カム部材141の内周面141eには凹部141fが設けられており、カム部材141が回転して凹部141fがロック部材143の位置に来ると、第2のバネ部材145の弾性力によってロック部材143の上端の一部が凹部141fに挿入される。規制手段としてのロック部材143は、このようにカム部材141の回転によって凹部141fに挿入可能とされており、凹部141fに挿入されることでカム部材141の移動は規制される。回転軸118の外周面にはスリットなどの貫通孔122(図7(b)参照)が設けられており、ロック部材143の一部が凹部141fに挿入されると、ロック部材143の下部の凸部143bが貫通孔122を通過し、外周面の外側に突き出る。
【0053】
次に保持装置110の動作について説明する。図9、図13は固定部材117が係合位置にある状態を示し、図13(a)は操作部側(図7(a)に対応)、図13(b)はロール紙端部当接側(図7(b)に対応)の状態を示している。
【0054】
固定部材117が係合位置にあるとき、カム部材141はカム面141aの凸部141dが回動部材144と当接する角度位置にある。回動部材144はカム面141aの凸部141dによって径方向外側に偏位させられており、これによって第1のバネ部材131が径方向外側に引張られる。第1のバネ部材131はこれと連結されている係合部材130を径方向外側に偏位させ、その結果、係合部材130は回転軸118の溝121から突き出して、芯管51に食い込む(係合する)。これによって、保持装置110が芯管51に強固に固定される。図12、図14に示すように、このとき、ロック部材143はカム部材141の内周面141eの凹部141fとは異なる角度位置にあり、カム部材141の凹部141fの設けられていない内周面141eに当接している。従って、ロック部材143は相対的に径方向内側の位置にあり、貫通孔122から突き出すことなく、回転軸118の外周面より内側に位置している。なお図14は係合部材130により芯管51を回転軸118に固定した状態のカム部材141とロック部材143と固定部材117の位置関係を示し、図14(a)はカム部材141側から見た平面図、図14(b)は斜視図である。
【0055】
次に、保持装置110を芯管51から引き抜くときの動作を、図10、図15を参照して説明する。図10、図15は、固定部材117が係合解除位置にある状態を示し、図15(a)は操作部側(図7(a)に対応)、図15(b)はロール紙端部当接側(図7(b)に対応)の状態を示している。保持装置110を芯管51から引き抜くためにはまず、ロールが装着された保持装置110をプリント装置から外し、把持部141hによって回動部材144がカム面141aの第1の凸部141dを外れる位置に来るまで、カム部材141を回転させる。回動部材144は第1のバネ部材131の弾性力によって径方向内側に向けて回動する。またカム部材141の内周側のカム面141eに形成された第2の凸部141gが固定部材117に当接し、固定部材117の上端が径方向内側に向かって回動する。この結果、係合部材130は回転軸118の外周面の溝121を通って回転軸118の内部に引き込まれ、芯管51との係合が解除される。この状態で、保持装置110を芯管51から取り外すことができる。さらにこのとき、図11に示すように、カム部材141の凹部141fがロック部材143の位置に来るために、ロック部材143は第2のバネ部材145の弾性力によって凹部141fに入り込む。これによって、カム部材141は回転しないようにロックされる。このときロック部材143の下部の凸部143bは、貫通孔122を通って回転軸118の外周面から突き出ている。
【0056】
次に、保持装置110をロールに装着するときの動作を図11、図13,図15を用いて説明する。まず、図11、図15(a)に示すように、ロック部材143は第2のバネ部材145の弾性力によって凹部141fに入り込んでいる。これによって、カム部材141の回転がロックされ、係合部材130を回転軸118の溝121から外側に突出させる動作が規制される。このときロック部材143の下部の凸部143bは、貫通孔122を通って回転軸118の外周面から突き出ている。
【0057】
この状態で、保持装置110の回転軸118をロール状シートの芯管51の中空部に嵌める。回転軸118の外周面から突き出したロック部材143の凸部143bにロール状シートの芯管51の内周面が当接することによって、凸部143bは貫通孔122から回転軸118の内側に戻され、芯管51の内径より中心側に移動する。これに伴いロック部材143は、カム部材141の凹部141fからも引き出され、カム部材141のロックが解除される。この状態で把持部141hを操作してカム部材141を回転させることが可能となる。カム部材141を時計回りに回動するとカム部材141の凸部141dが回動部材144を径の外方向に押し出す。回動部材144の移動により、固定部材117は第1のバネ部材131によって径方向の外側に引っ張られる。その結果、係合部材130が回転軸118の溝121から外側に突出し、係合部材130が芯管51に係合して、保持装置110を芯管51に固定することができる。
【0058】
芯管51の取付前にはカム部材141の回転がロックされているため、係合部材130は芯管51から離れた、回転軸118の内側の位置に保持される。従って、取付中にカム部材141が回転し、シートの位置決めが終わらないうちに係合部材130が芯管51と係合することが防止される。
【0059】
カム部材141のロックは、120度間隔で3ヶ所に設けられている。これら3ヶ所に設けられたロック部材143をすべてカム部材141の凹部141fから引き抜くことによって、初めて解除することができる。つまり、1つまたは2のロック部材143だけを凹部141fから引き抜いても、カム部材141の回転ロックを解除できない。全てのロック部材143を凹部141fから引き抜くためには、回転軸118がすべてのロック部材143に当接するように、保持装置110を芯管51の軸と平行に正しく挿入する必要がある。このことは保持装置110の正しい取付けを確保する上で有効である。
【符号の説明】
【0060】
130 係合部材
110 保持装置
118 回転軸
132 係合部材移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する芯管の外周面上にロール状に巻かれたロール状シートの保持装置であって、前記芯管の前記中空部の端部にそれぞれ嵌められて、前記ロール状シートを回転可能かつ引き出し可能に保持する一対の回転軸と、前記芯管に当接する前記各回転軸の外周面から突き出て前記芯管と係合する突出位置と前記各回転軸の前記外周面より内方に退避した退避位置との間を移動可能な係合部材と、前記係合部材を前記突出位置と前記退避位置との間で移動させる係合部材移動手段と、を有するロール状シート保持装置。
【請求項2】
前記係合部材移動手段は、前記回転軸と同軸かつ前記回転軸に対して相対回転可能に設けられたカム部材と、前記回転軸に対して固定された支点を中心に回動可能な回動部材と、一端が前記回動部材に、他端が前記係合部材に連結され、予め引張り力が与えられ、前記回動部材を前記カム部材のカム面に押し付ける第1のバネ部材と、を有し、前記カム部材は回転することによって前記回動部材を回動させ、前記回動部材は前記第1のバネ部材を介して前記係合部材を前記突出位置と前記退避位置との間で移動させる、請求項1に記載のロール状シート保持装置。
【請求項3】
前記係合部材が前記退避位置にあるときに前記係合部材移動手段をロックするロック手段を有する、請求項2に記載のロール状シート保持装置。
【請求項4】
前記カム部材は凹部の設けられた内周面を有し、前記ロック手段は前記凹部に挿入可能なロック部材と、一端が前記ロック部材に連結され、予め引張り力が与えられ、前記ロック部材を前記カム部材の前記内周面に押し付ける第2のバネ部材と、を有し、前記ロック部材は、前記カム部材の回転によって前記凹部に挿入されて前記カム部材の回転をロックする、請求項3に記載のロール状シート保持装置。
【請求項5】
前記各回転軸の前記外周面は貫通孔を有し、前記ロック部材は、前記凹部に挿入されると前記貫通孔を通って前記回転軸の前記外周面から突き出するようにされ、前記回転軸が前記芯管の前記中空部に嵌められると、前記回転軸の前記外周面から突き出た前記ロック部材に前記ロール状シートが当接することによって、前記貫通孔に押し込まれて、前記カム部材の回転のロックが解除される、請求項4に記載のロール状シート保持装置。
【請求項6】
前記ロック手段は複数個設けられている、請求項3から5のいずれか1項に記載のロール状シート保持装置。
【請求項7】
芯管の外周面上にロール状に巻かれたロール状シートの保持装置であって、前記芯管の端部に嵌められる回転軸と、前記芯管に嵌められた前記回転軸の外周面から突き出て前記芯管と係合する突出位置と前記回転軸の前記外周面より内方に退避した退避位置との間を移動可能な係合部材と、前記係合部材を前記突出位置と前記退避位置との間で移動させる係合部材移動手段と、を有するロール状シート保持装置。
【請求項8】
前記係合部材が前記退避位置にあるときに前記係合部材移動手段の動作を規制する規制手段を有する請求項7に記載のロール状シート保持装置。
【請求項9】
前記回転軸を前記芯管に嵌めたとき、前記規制手段による規制が解除される請求項8に記載のロール状シート保持装置。
【請求項10】
前記規制手段は前記係合部材移動手段の動作を規制しているときに前記回転軸の外周面から突き出る凸部を有し、前記回転軸を前記芯管に嵌めることによって前記芯管の内周面に押された前記凸部が前記回転軸の内方に移動したとき、前記規制手段による規制が解除される請求項8に記載のロール状シート保持装置。
【請求項11】
前記係合部材移動手段は前記係合部を前記突出位置に移動させるカムを有し、前記規制手段は前記係合部が前記退避位置にある状態で前記カムと係合して該カムの移動を規制し、前記回転軸を前記芯管に嵌めることによって前記芯管の内周面に押された前記凸部が前記回転軸の内方に移動したとき、前記規制手段は前記カムとの係合が解かれる請求項10に記載のロール状シート保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−180223(P2012−180223A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−24914(P2012−24914)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】