説明

ロール状印刷媒体保持構造及びプリンター

【課題】幅が狭いロール状印刷媒体を用いた場合に、印刷媒体の繰り出し方向や印刷媒体を挿入する挿入口の位置を明確に指示でき、また、紙送り経路上で印刷媒体から外れる領域の保護ができ、塵埃の進入を抑制できるロール状印刷媒体保持構造及びプリンターを提供する。
【解決手段】ロール状印刷媒体保持構造は、ロール状記録紙7Aの動作を幅方向で規制する第1側面51及び第2側面52を有し、ロール状記録紙7Aを繰り出し方向に回転可能に収納して保持する収納部5Aと、収納部5A内に設置され、ロール状記録紙7Aの幅より狭い幅を有するロール状記録紙7を収納部5A内で規制して新たな収納部5を構成する仕切り部材6と、を備え、仕切り部材6は、収納部5Aに固定する固定部61と、ロール状記録紙7の幅方向を第2側面52と協働して規制する第3側面63と、収納部5Aから繰り出し方向に延びて形成される延出部65と、を有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール状印刷媒体保持構造、及びこのロール状印刷媒体保持構造を備えたプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状印刷媒体(ロール状に巻回された印刷媒体)を収納し、印刷媒体としての記録紙等に、例えば、ドットインパクト方式、インクジェット方式、熱転写方式等を用いて印刷を行うプリンターが知られている。この種のプリンターは、ロール状印刷媒体を収納する略箱状に形成される収納部を含むロール状印刷媒体保持構造を備え、また、紙送り機構部を備え、所定の紙送り経路に沿って記録紙を繰り出すように構成されている。
【0003】
なお、このようなプリンターでは、収納部は、一定の規格幅を有するロール状印刷媒体を収納できる大きさに形成されている。しかし、この収納部を利用して、一定の規格幅より狭い幅を有するロール状印刷媒体を収納して使用できるようにしたプリンターがある(例えば特許文献1)。
【0004】
特許文献1では、ロール紙ホルダーと仕切り部材とを備えている。そして、仕切り部材は、ロール紙ホルダーの一対の当接側部の1つと、仕切り部材の有する当接側部とが所定の間隔をおいて、連結機構により略平行となるように配置可能とすることが開示されている。この構成により、狭い幅を有するロール紙は、ロール紙ホルダーの一対の当接側部の1つと、仕切り部材の当接側部との間に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−3022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したプリンターには、ユーザーが収納部から繰り出した印刷媒体としての例えば記録紙を挿入口にある程度挿入することで、記録紙を排出口までローディングする、いわゆるセミオートローディングタイプのプリンターがある。このようなプリンターに、特許文献1の仕切り部材を適用した場合、挿入口は一定の規格幅の記録紙(幅広の記録紙)に対応させて構成されているため、仕切り部材に仕切られた収納部から幅の狭い記録紙を繰り出して前記挿入口に挿入する際に、幅の狭い記録紙の幅に対応する挿入口の領域に挿入できずに、対応する挿入口以外の挿入口領域にズレて挿入する場合がある。その場合、適切な印刷が行えず、印字が曲がることや、記録紙がよじれて排出される等の不具合の発生が考えられる。
【0007】
また、幅の狭い記録紙を挿入する挿入口の領域以外の挿入口の領域は露出しているため、この挿入口から塵埃等が入り易くなり、印字品質に影響を与えることが考えられる。また、挿入口を含め、収納部から挿入口に至るまでの紙送り経路上に構成される構成部は、幅の狭い記録紙に覆われる領域以外の領域が露出することになるため、記録紙を挿入する際にユーザーに押圧されること等により、構成部を損傷させてしまうことが考えられる。
【0008】
従って、幅が狭いロール状印刷媒体を用いた場合に、印刷媒体の繰り出し方向や印刷媒体を挿入する挿入口の位置を明確に指示でき、また、紙送り経路上で印刷媒体から外れる領域の保護ができ、塵埃の進入を抑制できるロール状印刷媒体保持構造及びプリンターが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
(適用例1)本適用例に係るロール状印刷媒体保持構造は、第1ロール状印刷媒体の動作を幅方向で規制する第1側面及び第2側面を有し、第1ロール状印刷媒体を繰り出し方向に回転可能に収納して保持する収納部と、収納部内に設置され、第1ロール状印刷媒体の幅より狭い幅を有する第2ロール状印刷媒体を収納部内で規制する仕切り部材と、を備え、仕切り部材は、収納部に固定する固定部と、第2ロール状印刷媒体の幅方向を第1側面または第2側面と協働して規制する第3側面と、収納部から繰り出し方向に延びて形成される延出部と、を有して構成されることを特徴とする。
【0011】
このようなロール状印刷媒体保持構造によれば、第2ロール状印刷媒体の印刷媒体を収納部から繰り出す場合、延出部が収納部から繰り出し方向に延びて形成されているため、ユーザーに対して、印刷媒体の繰り出し方向を明確に指示することができる。
【0012】
(適用例2)上記適用例に係るロール状印刷媒体保持構造において、延出部は、第2ロール状印刷媒体の印刷媒体を挿入する挿入口を含む、収納部から挿入口に至る繰り出し方向に構成される構成部に対し、印刷媒体の幅に対応する領域以外の領域を覆うことが好ましい。
【0013】
このようなロール状印刷媒体保持構造によれば、延出部が、印刷媒体の幅に対応する領域以外の挿入口を含む構成部の領域を覆うことにより、延出部で覆われる挿入口を含む構成部に対して、衝撃に対する保護ができると共に塵埃の進入を抑制することができる。また、ユーザーに対して、印刷媒体の繰り出し方向を明確に指示すると共に、印刷媒体を挿入する挿入口の位置を明確に指示することができる。
【0014】
(適用例3)上記適用例に係るロール状印刷媒体保持構造において、仕切り部材は、第2ロール状印刷媒体の幅方向を規制しない第1側面または第2側面に当接する当接部を備えていることが好ましい。
【0015】
このようなロール状印刷媒体保持構造によれば、当接部により、第2ロール状印刷媒体の幅方向を規制しない第1側面または第2側面に当接することで、第2ロール状印刷媒体の収納部内での移動等による衝撃に対して、仕切り部材が損傷することを防止することができる。
【0016】
(適用例4)上記適用例に係るロール状印刷媒体保持構造において、仕切り部材は、第2ロール状印刷媒体の幅方向を規制しない第1側面または第2側面の側面高さより低く形成され、第2ロール状印刷媒体の挿入または取り外しを補助する挿脱補助部を備えていることが好ましい。
【0017】
このようなロール状印刷媒体保持構造によれば、挿脱補助部により、指先を収納部に深く挿入させることができる。従って、収納部に第2ロール状印刷媒体を挿入することや、取り外すことが容易となる。また、ロール状印刷媒体は、紙巻を芯としてその外周に印刷媒体が巻回される構造であり、この印刷媒体が使用済みとなった場合、収納部の底面に紙巻が残る。この紙巻を収納部から取り出す場合、挿脱補助部により、紙巻の取り出しが容易となる。
【0018】
(適用例5)上記適用例に係るロール状印刷媒体保持構造において、仕切り部材は、第2ロール状印刷媒体の回転を受ける回転受部を備えていることが好ましい。
【0019】
このようなロール状印刷媒体保持構造によれば、仕切り部材は回転受部を備えることにより、第2ロール状印刷媒体を収納部内で円滑に回転させることができ、印刷媒体を円滑に繰り出させることができる。
【0020】
(適用例6)本適用例に係るプリンターは、上述したいずれかのロール状印刷媒体保持構造と、第2ロール状印刷媒体の印刷媒体に印刷を行う印刷部と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
このようなプリンターによれば、ロール状印刷媒体保持構造により、第2ロール状印刷媒体を収納部に確実に保持し、印刷媒体を挿入口に適切に挿入させるための明確な指示を行い、印刷部で、挿入した印刷媒体に印刷を行う。従って、幅が狭い第2ロール状印刷媒体に対して、安定した印字品質を維持できるプリンターが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係るプリンターの外観斜視図。
【図2】プリンターの開閉蓋を開けた状態での斜視図。
【図3】プリンターの縦方向の断面図。
【図4】仕切り部材を設置する前の収納部を示す斜視図。
【図5】仕切り部材を示す斜視図。
【図6】仕切り部材を設置した収納部を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
【0024】
図1は、実施形態に係るプリンター1の外観斜視図である。図2は、プリンター1の開閉蓋3を開けた状態での斜視図である。図3は、プリンター1の縦方向の断面図である。
【0025】
本実施形態のプリンター1は、ドットインパクト方式により第2ロール状印刷媒体としてのロール状印刷媒体(ロール状に巻回された印刷媒体)に印刷を行うプリンターである。詳細には、ロール状印刷媒体(以降、ロール状記録紙7と称す)から印刷媒体(以降、記録紙71と称す)を繰り出して、繰り出した記録紙71に印刷を行う。
【0026】
また、本実施形態のプリンター1は、一定の規格幅(例えば76mm幅)を有する第1ロール状印刷媒体としてのロール状記録紙7A(図4参照)の大きさに対応させて構成されたプリンター1A(図4参照)に対して、収納部5A(図4参照)に仕切り部材6を用いることで、新たな収納部5を構成している。そして、この収納部5に、一定の規格幅よりも狭い幅(例えば58mm幅)を有するロール状記録紙7を収納可能とするプリンター1として構成されている。なお、プリンター1は、仕切り部材6を用いたロール状印刷媒体保持構造を備えて構成されている。ロール状印刷媒体保持構造に関しては後述する。
【0027】
プリンター1の構成及び動作を簡潔に説明する。
プリンター1は、図1に示すように、4つの側面と底面を構成する略矩形状のケース本体2と、プリンター1の上面を覆う開閉蓋3とを備えて、プリンター1の外装ケースが構成されている。開閉蓋3の略中央部には開口部31が形成され、記録紙71を排出する排出口46及びカッター47が露出する。また、ケース本体2の前側側面に備える凹部21に指先を重ねて、上部に位置する開閉蓋3を上方に持ち上げることにより、ロック部(図示省略)が解除されて開閉蓋3を開くことができる。
【0028】
図2に示すように、開閉蓋3は、後側に設置される支軸32(図6参照)を中心に開閉される。開閉蓋3を開いた場合、プリンター1内部の上部が露出する状態となる。詳細には、開閉蓋3を開いた場合、後側には、ロール状記録紙7の収納部5が露出し、前側には、プリンターユニット4(ヘッドユニット451やリボンカセット452等)が露出する。この状態で、ロール状記録紙7の交換や、インクリボン452aを収納するリボンカセット452の交換等を行うことができる。
【0029】
図2、図3に示すように、プリンター1内部において、後側に設置される収納部5は、仕切り部材6が設置されることで、ロール状記録紙7の幅方向を規制している。また、収納部5は、縦断面方向において、上方を開口し、大略円弧状の底面56を備えて形成され、ロール状記録紙7を回転可能に収納し保持している。なお、収納部5及び仕切り部材6の詳細は後述する。
【0030】
プリンターユニット4の構成及び動作を簡潔に説明する。
図2、図3に示すように、収納部5の前側端部に繋がるプリンターユニット4は、内部に、記録紙71を収納部5から排出口46まで送る紙送り経路41が構成されている。この紙送り経路41上には、順に、ガイドローラー42、挿入口43、紙送り機構部44、印刷機構部45、排出口46、及びカッター47等が備わっている。
【0031】
収納部5に収納されたロール状記録紙7から繰り出されたテープ状の記録紙71は、収納部5の前側端部近傍に設置されるガイドローラー42を経由して、挿入口43に挿入される。挿入口43に挿入された記録紙71は、紙送り経路部分411に沿って送られ、紙送り機構部44に達する。紙送り機構部44は、駆動モーター(図示省略)と、駆動モーターに噛み合う減速ギヤ列(図示省略)と、減速ギヤ列に噛み合う紙送りローラー441と、紙送りローラー441に従動して回転する従動ローラー442等で構成されている。記録紙71は、この紙送りローラー441と従動ローラー442に挟持されて、印刷機構部45に自動で送られる。
【0032】
印刷機構部45は、ヘッドユニット451、リボンカセット452、プラテン453等で構成されている。印刷機構部45に送られた記録紙71は、プラテン453の前側に挿入される。また記録紙71は、その前側にリボンカセット452から繰り出されたインクリボン452aと、その前側にヘッドユニット451の印字ヘッド451aが位置する状態となる。そして、記録紙71は、排出口46に送られることにより、プリンターユニット4に装填された状態となる。
【0033】
なお、本実施形態のプリンター1は、収納部5に収納したロール状記録紙7に対して、ユーザーが記録紙71を繰り出して、ガイドローラー42を経由させた後、挿入口43に挿入する。なお、ユーザーが記録紙71を挿入口43に挿入し、記録紙71が紙送りローラー441部分に達した場合、センサー(図示省略)によりその位置が検出され、紙送り機構部44が動作を開始する。そして、紙送り機構部44の動作により、紙送りローラー441が回転し、記録紙71は印刷が行える所定の位置まで送られる。本実施形態のプリンター1は、いわゆるセミオートローディングとなっている。なお、この状態となった後、開閉蓋3を閉じる。
【0034】
なお、印字ヘッド451aは、ヘッドキャリッジ451bに搭載されており、ヘッドキャリッジ451bは、キャリッジガイド軸451cに沿って幅方向に往復移動する。印字ヘッド451aが動作することにより、インクリボン452aのインクを記録紙71に転写することで印字が行われる。印字された記録紙71は、印刷機構部45の動作に同期する紙送り機構部44の動作により、排出口46から順次排出される。なお、記録紙71が排出口46から順次排出されることに伴い、ロール状記録紙7から記録紙71が順次繰り出される。
【0035】
カッター47は、先端に刃先471aを有するカッター刃471で構成されている。ユーザーは、排出口46から排出された記録紙71を把持して、このカッター刃471の刃先471aにこじるように押し当てて切断する。このように、ユーザーは、手動により印刷済みの記録紙71を切断する。
【0036】
図4は、仕切り部材6を設置する前の収納部5Aを示す斜視図である。また、図4は、一定の規格幅(例えば76mm幅)を有するロール状記録紙7Aの大きさに対応させて構成されたプリンター1Aを示している。なお、本実施形態では、上述したように、このプリンター1Aの収納部5Aに仕切り部材6を設置して、一定の規格幅よりも狭い幅(例えば58mm幅)を有するロール状記録紙7を使用可能としている。図4を参照して、仕切り部材6を設置する前の収納部となる収納部5Aに関して説明する。
【0037】
収納部5Aは、ロール状記録紙7Aの一方の幅方向端部の位置を規制する第1側面51と、他方の幅方向端部の位置を規制する第2側面52とを備えている。収納部5Aは、この第1側面51と第2側面52とで、ロール状記録紙7Aの幅方向の動きを規制する。また、収納部5Aは、縦断面方向において、上方を開口し、大略円弧状の底面56を備えて形成され、ロール状記録紙7Aを回転可能に収納し保持している。なお、底面56には、ロール状記録紙7Aを幅方向の端部側で、それぞれ相対する2点で支えることにより、ロール状記録紙7Aの回転を円滑に行わせる面部56a,56b,56c(図6参照),56dが形成されている。
【0038】
なお、この収納部5Aを有するプリンター1Aのガイドローラー42及び挿入口43の幅方向の長さは、ロール状記録紙7Aの記録紙71Aの幅方向の長さに対応して構成されている。従って、この収納部5Aに一定の規格幅のロール状記録紙7Aを収納し、ロール状記録紙7Aの記録紙71Aを繰り出して、挿入口43に挿入した場合には、若干の隙間を有してガイドローラー42及び挿入口43は記録紙71Aに覆われる状態となる。
【0039】
図5は、仕切り部材6を示す斜視図であり、図5(a)は、仕切り部材6を収納部5の右側上方から後側を見た斜視図であり、図5(b)は、仕切り部材6を収納部5の左側下方から前側を見た斜視図である。図6は、仕切り部材6を設置した収納部5を示す斜視図である。なお、図6は、前述した図2と同様の状態を示しており、見る方向を変えた図である。図2〜図6を参照して、本実施形態のロール状印刷媒体保持構造に関して説明する。
【0040】
ロール状印刷媒体保持構造は、第1ロール状印刷媒体としてのロール状記録紙7Aに対応して形成される収納部5Aに対して、仕切り部材6を用いることで、新たな収納部5を形成させた構造となる。そして、ロール状印刷媒体保持構造は、この収納部5に、第1ロール状印刷媒体の幅より狭い幅を有する第2ロール状印刷媒体としてのロール状記録紙7を収納して保持するようにした構造である。以降で、ロール状印刷媒体保持構造を構成する仕切り部材6及び収納部5に関して説明する。
【0041】
仕切り部材6は、一定の規格幅(例えば76mm幅)を有するロール状記録紙7Aよりも狭い幅(例えば58mm幅)を有するロール状記録紙7を使用可能とするために、収納部5A内に設置することで新たな収納部5を構成するものである。仕切り部材6は、収納部5Aの第1側面51と第2側面52との間に設置される。
【0042】
仕切り部材6は、本実施形態では、収納部5Aの第1側面51側に設置され、大略板状で、ロール状記録紙7Aとロール状記録紙7との幅の差による収納部5Aの空間を補完するスペーサーとしての機能を有する。仕切り部材6は、固定部61、当接部62、第3側面63、面部64、延出部65、挿脱補助部66、紙巻規制面部67を有して構成されている。
【0043】
第3側面63は、仕切り部材6が収納部5Aに設置された場合、第2側面52に略平行となるように形成されており、第2側面52と協働してロール状記録紙7の動作を幅方向で規制する。なお、収納部5は、この第3側面63と第2側面52と底面56とにより囲まれて構成される。
【0044】
当接部62は、第3側面63の逆側の面から第1側面51方向に突出して形成されている。当接部62は、第3側面63に対して、ロール状記録紙7が当たること等の衝撃が加わった場合に、第1側面51に当接していることで、仕切り部材6の破損等を防止する。なお、本実施形態では、第1側面51が、ロール状記録紙7の幅方向を規制しない側面となる。
【0045】
固定部61は、図5に示すように、第3側面63の下側端部で第1側面51側に突出して形成される片部631と、その片部631に形成されるネジ636用の切り欠き部632と、片部631で下方向に突出して形成される突出部633を有している。また、固定部61は、第3側面63の前側に突出する突出部634を有している。なお、収納部5Aの底面56には、図4に示すように、切り欠き部632に対応してネジ孔561が形成され、突出部633に対応して受け溝562が形成されている。また、収納部5Aには、突出部634を挿通する孔部(図示省略)が形成されている。
【0046】
仕切り部材6を底面56に固定する場合、一方の突出部634を孔部に挿通し、他方の突出部633を受け溝562に挿入して底面56に設置する。次に、図6に示すように、仕切り部材6の上方からネジ636を切り欠き部632に挿通して、ネジ孔561にネジ636を締め付けることにより、仕切り部材6を底面56に固定する。なお、ネジ636を用いて仕切り部材6を底面56に固定することにより、外力に対する仕切り部材6の取り付け強度を向上させている。
【0047】
面部64は、仕切り部材6の下側端部で、第2側面52側に突出して円弧状に形成されている。この面部64は、図4に示す面部56aに対応して形成されており、ロール状記録紙7の回転を受ける回転受部として動作する。詳細には、面部64は、収納部5において、他の面部56b,56c,56dと協働してロール状記録紙7の回転を円滑に行わせる。
【0048】
紙巻規制面部67は、仕切り部材6の下側端部の後側で、第2側面52側に突出して傾斜面を有して形成されている。この紙巻規制面部67は、紙巻規制面部56e(図4参照)に対応して形成されており、第2側面52側に設置される紙巻規制面部56f(図6参照)と共に、ロール状記録紙7の記録紙71を巻回する芯となる紙巻72が後方向に移動することを規制する。
【0049】
延出部65は、仕切り部材6の前側端部から延びて形成されている。詳細には、図2、図3、図6に示すように、延出部65は、仕切り部材6を収納部5に設置した場合、収納部5から記録紙71の繰り出し方向(前側)に延び出た状態となるように形成されている。また、延出部65は、図2、図3、図6に示すように、収納部5から挿入口43に至る繰り出し方向に構成される構成部としてのガイドローラー42及び挿入口43に対し、ロール状記録紙7(記録紙71)の幅に対応する領域以外の領域の上部を覆うように形成されている。
【0050】
言い換えると、第1ロール状印刷媒体(ロール状記録紙7A)の幅に対応させて設置したガイドローラー42及び挿入口43に対して、ロール状記録紙7Aより幅が狭い第2ロール状印刷媒体(ロール状記録紙7)を用いた場合、幅の差に対応するガイドローラー42及び挿入口43の部分が露出する。この露出部分を延出部65が覆う形態となる。
【0051】
挿脱補助部66は、図2、図3に示すように、第3側面63の上側端部に形成され、仕切り部材6を収納部5に設置した場合、第1側面51の側面高さに対し、第3側面63の側面高さが低くなるように形成されている。詳細には、挿脱補助部66は、第3側面63の上側端部に、後側に傾斜して下がる傾斜部661として形成されている。そして、この傾斜部661は、後側において、第1側面51の上側端面511よりも低い位置となるように形成されている。
【0052】
挿脱補助部66(傾斜部661)により、第1側面51の上側端面511よりも深く収納部5に指先を挿入させることができるため、ロール状記録紙7を収納部5に収納する場合や収納部5から取り外す場合、ユーザーは、ロール状記録紙7の挿脱を容易に行うことができる。また、第1側面51の上側端面511よりも深く指先を進入させることができるため、ロール状記録紙7を使い切った場合に収納部5の底面56に残る紙巻72を収納部5から取り出し易くなる。
【0053】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態のロール状印刷媒体保持構造によれば、ロール状記録紙7の記録紙71を収納部5から繰り出す場合、仕切り部材6に備える延出部65が収納部5から繰り出し方向に延びて形成されているため、ユーザーに対して、記録紙71の繰り出し方向を明確に指示することができる。
【0054】
本実施形態のロール状印刷媒体保持構造によれば、延出部65は、収納部5から挿入口43に至る繰り出し方向(または紙送り径路上)に構成される構成部(ガイドローラー42、挿入口43)に対し、ロール状記録紙7の幅に対応する領域以外の領域(露出する領域)を覆うことにより、ガイドローラー42及び挿入口43に対して上方からの衝撃などに対する保護ができると共に、塵埃の進入を抑制できる。また、ユーザーに対して、印刷媒体の繰り出し方向を明確に指示することができる。
【0055】
本実施形態のロール状印刷媒体保持構造によれば、延出部65が、特に挿入口43に対し、ロール状記録紙7の幅に対応する領域以外の挿入口43の領域を覆うことにより、ユーザーに対して、ロール状記録紙7の記録紙71を挿入する挿入口43の位置を明確に指示することができる。また、延出部65により覆われる挿入口43の領域への塵埃の進入を抑制できる。
【0056】
本実施形態のロール状印刷媒体保持構造によれば、仕切り部材6は当接部62を備えることにより、第1側面51に当接することにより、ロール状記録紙7の収納部5内での移動等による衝撃に対して、仕切り部材6が損傷することを防止することができる。
【0057】
本実施形態のロール状印刷媒体保持構造によれば、仕切り部材6が挿脱補助部66(傾斜部661)を備え、第1側面51の上側端面511より側面高さが低く形成されている。これにより、指先を収納部5に深く挿入させることができる。従って、収納部5に対してロール状記録紙7の挿脱が容易となる。また、挿脱補助部66により、収納部5の底面56に残る紙巻72を取り出し易くなる。
【0058】
本実施形態のロール状印刷媒体保持構造によれば、仕切り部材6は回転受部としての面部64を備えることにより、ロール状記録紙7を収納部5内で円滑に回転させることができ、記録紙71を円滑に繰り出させることができる。
【0059】
本実施形態のプリンター1によれば、ロール状印刷媒体保持構造により、ロール状記録紙7を収納部5に確実に保持し、記録紙71を挿入口43に適切に挿入させるための明確な指示を行い、印刷部としての印刷機構部45で、挿入した記録紙71に印刷を行う。従って、幅が狭いロール状記録紙7に対して、安定した印字品質を維持できるプリンター1が実現できる。
【0060】
本実施形態のプリンター1によれば、第1ロール状印刷媒体(ロール状記録紙7A)に対応して構成されたプリンター1Aに対して、本実施形態のロール状印刷媒体保持構造を用いることで、幅の狭い第2ロール状印刷媒体(ロール状記録紙7)に対応するプリンター1として構成できる。従って、幅の狭いロール状記録紙7に対応して、ガイドローラー及び挿入口等を含めたプリンターユニットや収納部を新たに設計及び製造する必要がないため、設計及び製造コストを低減することが可能となる。
【0061】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0062】
前記実施形態では、収納部5Aの第2側面52と、仕切り部材6の第3側面63とでロール状記録紙7の幅方向を規制すると共に収納部5を構成している。しかし、これに限られず、収納部5Aの第1側面51と、仕切り部材6の第3側面63とでロール状記録紙7の幅方向を規制すると共に収納部5を構成してもよい。この場合、仕切り部材6の構成を第1側面51に対応する向きとなるように変更することで対応可能である。
【0063】
前記実施形態では、仕切り部材6の延出部65は、繰り出し方向に構成される構成部として、ガイドローラー42及び挿入口43の露出する部分を覆う構成としている。しかし、これに限られず、ガイドローラー42を有しない構成の場合には、露出する挿入口43のみを覆う構成としてもよい。また、繰り出し方向に構成される構成部を他に有している場合等は、その構成部の露出する部分を覆う構成としてもよい。
【0064】
前記実施形態では、セミオートローディングタイプのプリンター1を例に説明したが、オートローディングタイプのプリンターにも適用可能である。
【0065】
前記実施形態では、印刷部としての印刷機構部45にドットインパクト方式を用いるプリンター1を例に説明したが、インクジェット方式、熱転写方式等を用いるプリンターにも適用可能である。
【0066】
前記実施形態では、ロール状記録紙7の記録紙71に印刷を行っているが、記録紙71は、一枚の記録紙で構成されていてもよいし、複写用等、複数枚の記録紙で構成されていてもよい。また、記録紙71は、剥離紙に粘着剤付きのラベルを貼付した記録紙で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1A…プリンター、4…プリンターユニット、5,5A…収納部、6…仕切り部材、7,7A…ロール状記録紙、42…ガイドローラー、43…挿入口、45…印刷機構部、51…第1側面、52…第2側面、56…底面、61…固定部、62…当接部、63…第3側面、64…面部、65…延出部、66…挿脱補助部、71,71A…記録紙、72…紙巻。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロール状印刷媒体の動作を幅方向で規制する第1側面及び第2側面を有し、前記第1ロール状印刷媒体を繰り出し方向に回転可能に収納して保持する収納部と、
前記収納部内に設置され、前記第1ロール状印刷媒体の幅より狭い幅を有する第2ロール状印刷媒体を前記収納部内で規制する仕切り部材と、を備え、
前記仕切り部材は、
前記収納部に固定する固定部と、
前記第2ロール状印刷媒体の幅方向を前記第1側面または前記第2側面と協働して規制する第3側面と、
前記収納部から繰り出し方向に延びて形成される延出部と、を有して構成されることを特徴とするロール状印刷媒体保持構造。
【請求項2】
請求項1に記載のロール状印刷媒体保持構造であって、
前記延出部は、前記第2ロール状印刷媒体の印刷媒体を挿入する挿入口を含む、前記収納部から前記挿入口に至る前記繰り出し方向に構成される構成部に対し、前記印刷媒体の幅に対応する領域以外の領域を覆うことを特徴とするロール状印刷媒体保持構造。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のロール状印刷媒体保持構造であって、
前記仕切り部材は、前記第2ロール状印刷媒体の幅方向を規制しない前記第1側面または前記第2側面に当接する当接部を備えていることを特徴とするロール状印刷媒体保持構造。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のロール状印刷媒体保持構造であって、
前記仕切り部材は、前記第2ロール状印刷媒体の幅方向を規制しない前記第1側面または前記第2側面の側面高さより低く形成され、前記第2ロール状印刷媒体の挿入または取り外しを補助する挿脱補助部を備えていることを特徴とするロール状印刷媒体保持構造。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のロール状印刷媒体保持構造であって、
前記仕切り部材は、前記第2ロール状印刷媒体の回転を受ける回転受部を備えていることを特徴とするロール状印刷媒体保持構造。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のロール状印刷媒体保持構造と、
前記第2ロール状印刷媒体の前記印刷媒体に印刷を行う印刷部と、を備えていることを特徴とするプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−116586(P2012−116586A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266224(P2010−266224)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】