説明

ロール紙の残量検出装置及びプリンタ

【課題】プリンタをテーブル設置した場合と、壁掛け設置した場合とでロール紙収納部全体を回動させることなく、簡単な構成で、ロール紙の残量を検出できるようにする。
【解決手段】実施の形態は、ロール紙収納部の側壁外面に支軸によって揺動自在に支持され、支軸を中心にして自重により回動する取付フレームと、取付フレームに揺動自在に支持され、揺動端部側に側壁の円弧状の穴部内に挿入される凸部を有し、ロール紙が消費されてその残量が一定量以下になるのに基づいて凸部をロール紙の筒状巻芯内に挿入することにより動作するアームと、このアームの動作に基づいてロール紙の残量が一定量以下になったことを検知する検知手段と備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、例えば、POSプリンタで用いられるロール紙の残量を検出する残量検出装置及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のプリンタには、例えば、テーブル上に設置されたり、壁面に掛けて設置されるなど、その設置姿勢を選択できるものがある。
【0003】
このプリンタは、ロール紙を収納するホッパを有し、このホッパにはプリンタがテーブル設置された場合にロール紙を保持する第1の凹部、また、壁掛け設置された場合にロール紙を保持する第2の凹部が設けられている。
【0004】
第1或いは第2の凹部に保持されたロール紙は、消費により残量が低下するが、残量が所定量以下になると、残量検出手段により検出されて交換が促されるようになっている。
【0005】
しかしながら、従来においては、プリンタをテーブル設置した場合と、壁掛け設置した場合とで、残量検出手段の取付位置を変更する必要があり、手間取るものとなっていた。
【0006】
そこで、プリンタをテーブル設置した場合と、壁掛け設置した場合とで、残量検出手段の位置を自動的に変更してロール紙の残量を検出できるようにしたものが開発されている。
【0007】
しかしながら、従来においては、ロール紙を収納するホッパに残量検出手段を備え、ホッパ全体を回動させてその残量検出手段の位置を変更していたため、構成的に複雑化し、大型化してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3491435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、プリンタをテーブル設置した場合と、壁掛け設置した場合とでホッパ全体を回動させることなく、簡単な構成で、ロール紙の残量をそれぞれ検出できるようにしたロール紙の残量検出装置及びプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、実施の形態は、長尺紙を筒状巻芯に巻回してなるロール紙の外周面を設置姿勢に応じて支える載置部を有するロール紙収納部と、このロール紙収納部の前記載置部に連続的に形成され、前記ロール紙が消費されて所定の巻径になるのに基づいて自重で落下する前記ロール紙を収容する第1及び第2の凹部と、前記ロール紙収納部の側壁外面に支軸によって揺動自在に支持され、前記支軸を中心にして自重により回動する取付フレームと、前記ロール紙収納部の側壁に前記取付フレームの揺動端部側の揺動軌跡に沿って穿設された円弧状の穴部と、前記取付フレームに揺動自在に支持され、揺動端部側に前記円弧状の穴部内に挿入される凸部を有し、前記ロール紙が消費されてその残量が一定量以下になるのに基づいて前記凸部を前記ロール紙の前記筒状巻芯内に挿入することにより動作するアームと、このアームの動作に基づいて前記ロール紙の残量が一定量以下になったことを検知する検知手段とを具備する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態であるテーブル設置されたプリンタを示す側断面図。
【図2】図1のプリンタが壁掛け設置された状態を示す図。
【図3】図1のロール紙が消費されてホルダの第1の凹部内に収納された状態を示す図。
【図4】図2のロール紙が消費されてホルダの第2の凹部内に収納された状態を示す図。
【図5】図3、図4のロール紙の残量を検知する残量検知装置を示す斜視図。
【図6】図5の残量検知装置を示す側面図。
【図7】図6の残量検知装置を示す正面図。
【図8】図6の残量検知装置のアームの凸部がロール紙の端面に押圧されて検知センサがオフ状態になった状態を示す図。
【図9】図8のアームの凸部がロール紙の筒状巻芯内に挿入されて検知センサがオン状態になった状態を示す図。
【図10】プリンタが壁掛け設置された場合のアームの凸部の位置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、一実施の形態であるプリンタの内部構造を示す側断面図である。
【0014】
このプリンタは、ロール状に巻回された長尺紙に情報を印字するもので、横長又は縦長の設置姿勢の選択が可能なプリンタ本体1を備えている。プリンタ本体1はテーブル上に設置しても、壁面にかけて設置しても自由である。図1は横長の設置姿勢でテーブル上に設置した場合を示し、図2は縦長の設置姿勢で壁掛け設置した場合を示す。
【0015】
すなわち、プリンタ本体1の幅の広い一辺2はプリンタ本体1を横長の設置姿勢で机上に設置する場合、或いは壁掛け設置する場合の取付部3とされている。
【0016】
また、プリンタ本体1はヒンジ6を中心に開閉可能なカバー7を備え、その内部にはロール紙8を収納するロール紙収納部としてのホッパ9と、印字部10とが設けられている。ロール紙8は、巻芯8aに長尺紙である感熱紙8bをロール状に巻回してなるものである。なお、カバー7には、巻径が最大のときのロール紙8に余裕をもたせるために、円弧状の膨出面7aが形成されている。
【0017】
印字部10はプラテンモータで回転されるプラテン12と、このプラテン12にヘッドスプリング13の付勢力により圧接されるサーマルヘッド14とにより構成されている。
【0018】
印字部10の下流側には、カッタモータで駆動されるカッタ16とカッタ16のホームポジションを検出するカッタホームポジションセンサ17が設けられている。
【0019】
印字部10の上流側には、ホッパ9とプラテン12との間に位置して用紙有無を検出するペーパエンドセンサ19が設けられている。
【0020】
また、プラテン12の上部側には、カバー7の開閉を検出するカバーオープンセンサ20が設けられている。
【0021】
上記したホッパ9は、ロール紙8の外周面を支える載置部9aを備えている。
【0022】
この載置部9aは、図1に示すように、第1の取付部3を下にしてプリンタ本体1を横置きの設置姿勢でテーブル上に設置した場合、或いは第1の取付部3を垂直にして壁掛け設置した場合の何れにおいても、ロール紙8の外周面を鉛直方向に作用する自重に抗して支えることができるようになっている。
【0023】
そして、この載置部9aには第1の凹部22と第2の凹部23とが連続的に形成されている。これら第1及び第2の凹部22,23は、感熱紙8bの消費が進行してロール紙8の巻径が一定以下になったときに、そのロール紙8を自重により落下させて収納できるようになっている。
【0024】
上記した構成において、印刷時にはプラテン12の回転により感熱紙8bが送り出され、この感熱紙8bにサーマルヘッド14より印字情報が印字される。この印字された感熱紙8bは所定距離送り出されると、カッタ16によりカットされて排出される。
【0025】
この印字動作により感熱紙8bが消費されるとロール紙8の巻径が縮小し、プリンタ本体1を横置きの設置姿勢でテーブル上に設置した場合には、図3に示すように、ホッパ9の第1の凹部22内にロール紙8が収納され、プリンタ本体1を壁掛け設置した場合には、図4に示すように、ホッパ9の第2の凹部23内にロール紙8が収納される。
【0026】
ところで、上記したプリンタ本体1の内部には、図5に示すような、ロール紙8の残量を検出するための残量検出装置24が設けられている。
【0027】
この残量検出装置24は、図6に示すようにホッパ9の側壁としての端板9aの外面側に対向配置され、取付部材としての取付フレーム25を備えている。この取付フレーム25の上端部側は、ホッパ9の端板9bに支軸27を介して揺動自在に支持され、下端部には、錘28が設けられている。取付フレーム25は錘28の重さにより、支軸27を中心として下方に回動するようになっている。
【0028】
取付フレーム25の側面部には、支軸29を介してアーム26の上端部側が揺動自在に支持されている。アーム26の下端部側には凸部26aが突設され、この凸部26aの反対側の面には突起部26bが突設されている。アーム26は付勢部材としてのスプリング30によってホッパ9の端板9bの方向に向かって回動するように付勢され、ホッパ9の端板9bに穿設された穴部としての長孔9c内に挿入されるようになっている。
【0029】
さらに、取付フレーム25の側面部には、検知手段としての検知センサ31が設けられ、この検知センサ31はアーム26の突起部26bに対向されている。検知センサ31はアーム26の揺動により、その突起部26bにより押圧され、或いは押圧が解除されることにより、オン、オフされるようになっている。
【0030】
また、上記したホッパ9の端板9aに穿設された長孔9cは図7に示すように、アーム26の突起部26bの回動軌跡に沿って円弧状に形成されている。
【0031】
上記取付フレーム25は、プリンタの設置姿勢に応じて支軸27を中心にして揺動し、この揺動により、アーム26の突起部26bは、消費により残量が所定量以下になったロール紙8の筒状巻芯8aに対向する位置に、取付フレーム25の長孔9cに沿って移動するようになっている。
【0032】
次に、上記したロール紙8の残量検知動作について説明する。
【0033】
例えば、ロール紙8が装填されていない状態でテーブル設置された場合には、図6、図7に示すように、残量検出装置24の取付フレーム25が錘28の重さにより回動し、垂直状態になっている。この状態から図8に示すようにロール紙8が装填されると、その端面がアーム26の凸部26aに当接し、アーム26はスプリング30の付勢力に抗して矢印で示すようにロール紙8の端面から離れる方向に移動する。この移動により、アーム26の突起部26bにより検知センサ31が押圧されてオフ状態となる。
【0034】
この状態から、印字動作が行われてロール紙8が消費されてその巻径が縮小すると、ホッパ9の第1の凹部22内に収容される。この状態からロール紙8がさらに消費されてその残量が所定量以下になると、図9に示すように、アーム26の凸部26aがロール紙8の筒状巻芯8aに対向し、アーム26がスプリング30の付勢力により矢印方向に回動してその凸部26aがロール紙8の筒状巻芯8a内に挿入される。これにより、アーム26の突起部26bが検知センサ31から離間されて押圧が解除され、オン状態となる。この検知センサ31のオンにより、ロール紙8の残量が所定量以下になったことが検知され、図示しない表示部にロール紙8を交換すべき旨の表示が行なわれる。
【0035】
一方、壁掛け設置時には、プリンタが図2に示すように90度姿勢が変更されるが、ロール8の装填前においては、図10に示すように、残量検出装置24の取付フレーム25が錘28の重さにより、支軸27を中心して下方に回動する。この回動によりアーム26の凸部26aがホッパ9の端板9bの長孔9cに沿って移動し、所定量移動されると、長孔9bの一端側の内壁面に当接して停止される。
【0036】
この状態からロール紙8が装填されると、図8で説明したようにアーム26の凸部26aがロール紙8の端面に当接され、アーム26はスプリング30の付勢力に抗してロール紙8の端面から離れる方向に移動する。この移動により、検知センサ31がアーム26の突起部26bにより押圧されてオフ状態となる。
【0037】
この状態から、印字動作が行われてロール紙8が消費されてその巻径が縮小すると、ホッパ9の第2の凹部23内に収容される。この状態からロール紙8がさらに消費されてその残量が所定量以下になると、アーム26の凸部26aがロール紙8の筒状巻芯8aに対向する。これにより、図9で説明したようにアーム26がスプリング30の付勢力により矢印方向に回動し、アーム26の凸部26aがロール紙8の筒状の巻芯8a内に挿入される。これにより、アーム26の突起部26bが検知センサ31から離間されて押圧が解除されてオン状態となり、ロール紙8の残量が所定量以下になったことが検知され、図示しない表示部にロール紙8を交換すべき旨の表示が行なわれる。
【0038】
上記したように、この実施の形態によれば、ロール紙8を収納するホッパ9にロール紙8の残量検出装置24を揺動自在に設け、プリンタの設置状態に応じて残量検出装置24をその自重で回動させて検知位置を変更するため、ロール紙8を収納するホッパ9全体を回動させることなく、テーブル設置時、及び壁掛け設置時のいずれの設置時においても、ロール紙の残量を検出でき、構成的に簡略化できる。
【0039】
なお、この実施形態によれば、傾いたテーブル上に設置した場合でも、その傾きに応じて残量検出装置24を回動させて検知位置を可変してロール紙の残量を検出できる。
【0040】
また、上記した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1…プリンタ本体,3,5…取付部、10…印字部、8…ロール紙、8a…感熱紙(長尺紙)、9…ホッパ(ロール紙収納部)、9a…載置部、9b…端板(ロール紙収納部の側壁)、9c…円弧状の穴部、10…印字部、22…第1の凹部、23…第2の凹部、25…取付フレーム、26a…凸部、26…アーム、30…スプリング(付勢部材)、31…検知センサ(検知手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺紙を筒状巻芯に巻回してなるロール紙の外周面を設置姿勢に応じて支える載置部を有するロール紙収納部と、
このロール紙収納部の前記載置部に連続的に形成され、前記ロール紙が消費されて所定の巻径になるのに基づいて自重で落下する前記ロール紙を収容する第1及び第2の凹部と、
前記ロール紙収納部の側壁外面に支軸によって揺動自在に支持され、前記支軸を中心にして自重により回動する取付フレームと、
前記ロール紙収納部の側壁に前記取付フレームの揺動端部側の揺動軌跡に沿って穿設された円弧状の穴部と、
前記取付フレームに揺動自在に支持され、揺動端部側に前記円弧状の穴部内に挿入される凸部を有し、前記ロール紙が消費されてその残量が一定量以下になるのに基づいて前記凸部を前記ロール紙の前記筒状巻芯内に挿入することにより動作するアームと、
このアームの動作に基づいて前記ロール紙の残量が一定量以下になったことを検知する検知手段と
を具備することを特徴とするロール紙の残量検出装置。
【請求項2】
前記アームを前記ロール紙の端面に向かって回動するように弾性的に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1記載のロール紙の残量検出装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記アームがその凸部を前記ロール紙の端面に対して接離するのに基づいて開閉動作するセンサによって構成されることを特徴とする請求項2記載のロール紙の残量検出装置。
【請求項4】
テーブル上又は壁面に取り付けられる複数の取付部を有し、前記取付部の選択により設置姿勢が変更可能なプリンタ本体と、
このプリンタ本体内に設けられた印字部と、
長尺紙を筒状巻芯に巻回してなるロール紙の外周面を設置姿勢に応じて支える載置部を有するロール紙収納部と、
このロール紙収納部の前記載置部に連続的に形成され、前記ロール紙が消費されて所定の巻径になるのに基づいて自重で落下する前記ロール紙を収容する第1及び第2の凹部と、
前記ロール紙収納部の側壁外面に支軸によって揺動自在に支持され、前記支軸を中心にして自重により回動する取付フレームと、
前記ロール紙収納部の側壁に前記取付フレームの揺動端部側の揺動軌跡に沿って穿設された円弧状の穴部と、
前記取付フレームに揺動自在に支持され、揺動端部側に前記円弧状の穴部内に挿入される凸部を有し、前記ロール紙が消費されてその残量が一定量以下になるのに基づいて前記凸部を前記ロール紙の前記筒状巻芯内に挿入することにより動作するアームと、
このアームの動作に基づいて前記ロール紙の残量が一定量以下になったことを検知する検知手段と
を具備することを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
前記アームを前記ロール紙の端面に向かって回動するように弾性的に付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項4記載のプリンタ。
【請求項6】
前記検知手段は、前記アームがその凸部を前記ロール紙の端面に対して接離するのに基づいて開閉動作するセンサによって構成されることを特徴とする請求項5記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−184056(P2012−184056A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46915(P2011−46915)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】