説明

ワイヤ送給コンジット

【課題】 重量増加を招くことなく、安価に提供できる簡易な構造のワイヤ送給コンジットを提供する。
【解決手段】 可撓性のガイドチューブ100と、このガイドチューブ100の内部に設けられた複数のローラ150と、を備え、内部に挿通されて軸線方向に移動させられるワイヤBを上記複数のローラ150によって案内支持するワイヤ送給コンジットであって、上記軸線方向視において環をなすように線材210を折曲して形成され、上記軸線方向に並ぶ複数の支持部200と、上記複数の支持部200の上記軸線方向の間隔を規定する間隔規制手段300と、を備え、上記複数の支持部200の各々には、上記環の中心を取り囲むようにして、複数の上記ローラ150が上記線材210周りに回転可能に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤ送給コンジットに関し、たとえば、消耗電極ガスシールドアーク溶接を行う溶接装置において、ワイヤリールから溶接トーチまでの間のワイヤ送給通路を構成するのに適したワイヤ送給コンジットに関する。
【背景技術】
【0002】
消耗電極ガスシールドアーク溶接を行う溶接装置においては、定位置に設置されたワイヤリールから繰り出された溶接ワイヤを多関節ロボットなどに搭載されて位置や向きが変化させられる溶接トーチまで送給するために、コンジットと呼ばれる可撓性チューブを用いてワイヤ送給通路の一部または全部が形成される。このようなワイヤ送給コンジットは、たとえば、特許文献1の第4図に示されているように、樹脂製のチューブの内部に金属製のコイルライナを挿通させた構成のものが一般的である。
【0003】
しかしながら、上記従来のコンジットでは、溶接ワイヤがコイルライナの内部を摺動して案内されるため、送給抵抗が生じ、しかも、この送給抵抗は、ロボットの作動によってコンジットの撓曲の程度が変わると頻繁に変化する。そのため、スパッタの発生を極力抑制するために行う溶接ワイヤの送給の精密な制御が困難となる。
【0004】
また、溶接ワイヤがコイルライナの内部を摺動することから、溶接ワイヤのメッキが削れるなどして発生した削り粉が溶接トーチの先端まで運ばれて堆積し、これがワイヤ送給不良を引き起し、溶接欠陥につながることがある。
【0005】
さらに、コイルライナは、溶接ワイヤの摺動を受けて磨耗し、送給抵抗が次第に増大してゆくので、たとえば、一定期間ごとに溶接装置を停止させてコンジットを交換する必要がでてくる。このようなことは、溶接装置の作動効率の低下につながる。
【0006】
コイルライナによって溶接ワイヤを摺動案内する一般的なワイヤ送給コンジットを用いる場合の上記の問題は、たとえば、造船所等に溶接装置を配備する場合等、ワイヤ送給コンジットが長大化する場合に顕著となる。
【0007】
また、特許文献1の第1図〜第3図には、複数のローラで溶接ワイヤをガイドするように構成したコンジットが示されている。このようなコンジットにおいては、溶接ワイヤとローラとの間に生じる抵抗は転がり抵抗であるので、コイルライナによって溶接ワイヤを摺動案内する場合の上記した問題は軽減される。
【0008】
しかしながら、特許文献1には、コンジット全体としての可撓性を担保しつつ、複数のローラを回転可能に支持するための具体的構成までは示されていない。
【0009】
【特許文献1】特開平3−210971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ワイヤを複数のローラによって案内するワイヤ送給コンジットにおいて、重量増加を招くことなく、安価に提供できる簡易な構造を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0012】
本発明によって提供されるワイヤ送給コンジットは、可撓性のガイドチューブと、このガイドチューブの内部に設けられた複数のローラと、を備え、内部に挿通されて軸線方向に移動させられるワイヤを上記複数のローラによって案内支持するワイヤ送給コンジットであって、上記軸線方向視において環をなすように線材を折曲して形成され、上記軸線方向に並ぶ複数の支持部と、上記複数の支持部の上記軸線方向の間隔を規定する間隔規制手段と、を備え、上記複数の支持部の各々には、上記環の中心を取り囲むようにして、複数の上記ローラが上記線材周りに回転可能に支持されていることを特徴としている。
【0013】
好ましい実施の形態では、上記環は、多角形をなしており、上記複数のローラは、上記複数の支持部の各々における上記多角形の各辺において回転可能に支持されており、上記多角形の各頂点は、上記ガイドチューブに内接させられている。
【0014】
好ましい実施の形態ではまた、上記多角形は、三角形または四角形である。
【0015】
好ましい実施の形態ではさらに、上記複数の支持部および上記間隔規制手段は、連続する線材を折曲することにより形成されている。
【0016】
好ましい実施の形態ではまた、上記連続する線材は、全体として螺旋を形成している。
【0017】
好ましい実施の形態では、上記連続する線材に関し、上記軸線方向に延びる第1部分と、上記軸線方向と直交する方向に延びる第2部分とが交互に繰り返すつづらおり状となるように上記連続する線材が折曲され、上記各第2部分が上記多角形をなすように折曲されて上記複数の支持部が形成されており、上記各第1部分が上記間隔規制手段を形成している。
【0018】
他の好ましい実施の形態では、上記複数の支持部の各々は、閉じた多角形に形成されているとともに、上記各多角形の頂点において、上記軸線方向に延びる支持ワイヤに連結されており、この支持ワイヤが上記間隔規制手段を形成している。
【0019】
他の好ましい実施の形態ではさらに、上記複数の支持部の各々は、上記各多角形のすべての頂点において、複数の上記支持ワイヤに連結されている。
【0020】
さらに他の好ましい実施の形態では、上記ガイドチューブの内面に沿って上記軸線方向に延びる複数本の支持ワイヤと、上記軸線方向に間隔をあけて位置するとともに、上記複数の支持ワイヤを相互に拘束し、かつ上記ガイドチューブに内接する複数のリテーナと、を備え、上記複数の支持部の各々は独立しており、上記軸線方向に隣り合う上記リテーナ間において当該リテーナによって上記軸線方向の位置を規定され、かつ上記複数本の支持ワイヤのうちのいずれか1本に支持されている。
【0021】
さらに他の好ましい実施の形態ではまた、上記複数の支持部の各々は、円環をなしているとともに、この円環を形成する上記線材を延長して上記軸線方向に延びるコイル部が形成されており、このコイル部が上記複数の支持ワイヤのうちのいずれか1本に套嵌されることにより、当該支持ワイヤに揺動可能に支持されている。
【0022】
このような構成によれば、このワイヤ送給コンジット内を軸線方向に送給されるワイヤは、これに転がり接触する複数のローラによって案内支持されるので、ワイヤの送給抵抗を低減することができる。また、複数のローラの支持構造は、環をなすように折曲された線材にローラを回転可能に支持するという簡易な構造である。そのため、ワイヤ送給コンジットの軽量化および低廉化に寄与する。さらに、上記構成のローラの支持構造は、ガイドチューブの撓み変形にもしなやかに追従して変形することができ、したがって、ワイヤ送給コンジットの取り回し性を向上させることができる。
【0023】
本願発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1の実施形態に係るワイヤ送給コンジットの要部透視斜視図である。
【図2】図1のII-II線に沿う断面図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図であり、ローラの断面を示す。
【図4】第1の実施形態の変形例に係るワイヤ送給コンジットの要部透視斜視図である。
【図5】図4のV-V線に沿う断面図である。
【図6】第2の実施形態に係るワイヤ送給コンジットの要部透視斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係るワイヤ送給コンジットにおける線材の折曲方法の説明図である。
【図8】第3の実施形態に係るワイヤ送給コンジットの要部透視斜視図である。
【図9】図8のIX-IX線に沿う断面図である。
【図10】第4の実施形態に係るワイヤ送給コンジットを、ガイドチューブおよびローラを省略して示す斜視図である。
【図11】図10における支持部要素の拡大斜視図である。
【図12】図10のXII-XII線断面に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0026】
図1ないし図3は、本発明の第1の実施形態に係るワイヤ送給コンジットA1を示す。このワイヤ送給コンジットA1は、たとえば、合成樹脂や合成ゴムなどの弾性材料からなり、長手軸線をもって延びる可撓性のガイドチューブ100と、このガイドチューブ100の内部において回転可能に支持された複数のローラ150とを備え、複数のローラ150は、たとえばピアノ線などの弾性をもった線材210を折曲して形成される支持部200に支持されている。
【0027】
線材210は、一連に連続しており、全体として螺旋状となるように折曲されている。そして螺旋の1周分に相当する部分が本発明における支持部200に相当し、この支持部200は、図2に表れているように、ワイヤ送給コンジットA1の軸線方向視において、正三角形をなしている。複数のローラ150は、それぞれ、中心孔151を有する円筒状に形成されており、上記正三角形の各辺210a,210b,210cに相当する部分において、線材210に回転可能に套嵌支持されている。したがって、各支持部200において、上記軸線方向視において正三角形の中心を取り囲むようにして、3つのローラ150が上記正三角形の各辺210a,210b,210cを回転軸心として回転可能に支持されることになる。なお、上記ローラ150は、図3によく表れているように、たとえば、円筒の側面に、軸方向に延び、かつ、線材210の径より幅の小さいスリット152を入れた断面略C字状の形態に形成することにより、スリット152に線材210を側方から通すようにすることにより、容易に線材210に支持させることができる。なお、ローラ150の材質としては、溶接ワイヤBがアルミニウム製である場合には合成樹脂が用いられ、溶接ワイヤBが鉄製である場合には金属が用いられる。
【0028】
そして、螺旋のピッチを所定のように設定することにより、各支持部200において、上記軸線方向に隣接する辺(210a…,210b…,210c…)が、所定間隔に規定される。すなわち、この実施形態では、線材210の螺旋ピッチを所定のように設定することが、各支持部200の上記軸線方向の間隔を規定する間隔規制手段300に相当する。また、図2に示すように、線材210の各三角形の頂点に相当する部位をガイドチューブ100に内接させておくことが好ましく、このことによっても、各支持部200の上記軸線方向の間隔を規定する間隔規制手段300としての機能を一部実現することができる。
【0029】
溶接ワイヤBは、各支持部200において、正三角形の内部を通るようにしてワイヤ送給コンジットA1に通挿される。溶接ワイヤBは、各支持部200において、3つのローラ150のうちのいずれか1つ、または2つに接触して案内される。溶接ワイヤBが軸線方向に送給されると、各支持部200において、溶接ワイヤBが接触するローラ150が回転する。すなわち、溶接ワイヤBの送給抵抗は、各支持部200におけるローラ150の転がり抵抗の総和となる。各ローラ150における転がり抵抗はきわめて小さいため、ワイヤ送給コンジットA1全体としてのワイヤ送給抵抗は、このワイヤ送給コンジットA1をたとえば造船所における溶接装置に対応させて長大化したとしても、それほど上昇しない。
【0030】
この実施形態において、複数のローラ150を支持するための機構は、螺旋状に折曲した連続する線材210を用いているだけである。螺旋状に折曲した線材210は、全体として自由に撓曲できるため、ガイドチューブ100の撓みにしなやかに追従することができる。したがって、ワイヤ送給コンジットA1の撓曲性を高く維持して、その取り回し性を向上させることができる。また、複数のローラ150を支持するための機構は、上記したように、螺旋状に折曲した線材210と、軽量安価な樹脂などでできたローラ150により構成されるため、安価、かつ軽量であり、このことは、ワイヤ送給コンジットA1の軽量化および低廉化に寄与する。
【0031】
なお、本実施形態において、線材210を上記軸線方向視正三角形状に形成しているが、これに限定されず、たとえば、上記軸線方向視正方形状、正五角形状等の多角形状に形成してもよい。この場合においても、各支持部200において、多角形の辺に相当する部分の線材210にローラ150が回転可能に支持される。
【0032】
図4および図5は、上記第1の実施形態の変形例に係るワイヤ送給コンジットA1′を示す。
【0033】
このワイヤ送給コンジットA1′においては、各支持部200を形成する正三角形が、上記軸線方向と直交する平面内において閉じた正三角形をなすようにし、上記軸線方向に隣り合う正三角形の1つの頂点間を上記軸線方向に延びて結ぶ連結部210dが形成されるようにして、一連の線材210を全体として螺旋をなすように折曲している。各支持部200において、正三角形の辺210a,210b,210cに相当する部分の線材210にローラ150を回転可能に支持する点、およびローラ150の構成は、上記ワイヤ送給コンジットA1の場合と同様である。また、各支持部200において、三角形の頂点がガイドチューブ100に内接するようにすべき点も同様である。このワイヤ送給コンジットA1′においては、各支持部200をつなぐ連結部210dが、各支持部200の上記軸線方向の間隔を規定する間隔規制手段300として機能することになる。
【0034】
このワイヤ送給コンジットA1′においても、上記したワイヤ送給コンジットA1について説明したのと同様の利点を享受することができ、各支持部200は、正三角形以外の多角形としてもよい。
【0035】
図6および図7は、本発明の第2の実施形態に係るワイヤ送給コンジットA2を示す。
【0036】
このワイヤ送給コンジットA2は、図4のワイヤ送給コンジットA1′と同様、各支持部200を形成する正三角形がワイヤ送給コンジットA2の軸線方向と直交する平面内において閉じた正三角形をなすようにし、上記軸線方向に隣り合う正三角形の一つの頂点間を上記軸線方向に延びて結ぶ連結部210dが形成されるようにして、一連の線材210を折曲しているが、折曲方法が異なる。
【0037】
すなわち、この実施形態では、図7に示すように、上記軸線方向に延びる第1部分211と、上記軸線方向と直交する方向に延びる第2部分212とが交互に繰り返すつづら折り状となるように一連の線材210を折曲した後、図7のL1,L2で示すラインに沿って各第2部分212が閉じた正三角形をなすように折曲している。各支持部200を形成する正三角形の各辺に上記ローラ150を回転可能に支持させる点、およびローラ150の構成は、図1に示したワイヤ送給コンジットA1と同様であり、各支持部200において、三角形の頂点がガイドチューブ100に内接するようにすべき点も同様である。この実施形態では、各第1部分211が連結部210dとなり、間隔規制手段300を形成している。この構成においては、一連の線材210の折曲工程をより簡便に行いうる。このワイヤ送給コンジットA2においても、上記したワイヤ送給コンジットA1について説明したのと同様の利点を享受することができる。各支持部200は、正三角形以外の多角形に形成してももちろんよい。
【0038】
図8および図9は、本発明の第3の実施形態にかかるワイヤ送給コンジットA3を示す。
【0039】
このワイヤ送給コンジットA3では、各支持部200は、一定長さの独立した線材210を正三角形に形成するとともに、所定間隔で配置した複数の支持部200をそれらの三角形の頂点を上記軸線方向に延びる支持ワイヤ310にたとえば溶接によって連結している。各支持部200を形成する正三角形の各辺210a,210b,210cに上記ローラ150を回転可能に支持させる点、およびローラ150の構成は、上記した各ワイヤ送給コンジットA1,A1′,A2と同様である。各支持部200において、三角形の頂点(すなわち、3本の支持ワイヤ310)がガイドチューブ100に内接するようにすべき点も同様である。この実施形態に係るワイヤ送給コンジットA3では、軸線方向に一連に延びる支持ワイヤ310が間隔規制手段300として機能する。なお、この実施形態では、3本の支持ワイヤ310を各支持部200の三角形の3つの頂点に連結しているが、1本の支持ワイヤ310が各支持部200の三角形の一つの頂点を連結するようにしても、もちろんよい。このワイヤ送給コンジットA3においても、上記したワイヤ送給コンジットA1について説明したのと同様の利点を享受することができる。各支持部200は、正三角形以外の多角形に形成してももちろんよい。
【0040】
図10ないし図12は、本発明の第4の実施形態に係るワイヤ送給コンジットA4を示す。なお、図10においては、図の理解を容易にするため、ガイドチューブ100と各ローラ150を省略して示している。
【0041】
この実施形態に係るワイヤ送給コンジットA4では、独立した線材210を円環状に成形して支持部200を形成するとともに、環を形成する部分の両端から上記軸線方向に延びる一対の小径のコイル部220を同じ線材210により一体に形成した複数の支持部要素200a(図11参照)と、少なくとも3本の支持ワイヤ310と、複数のリテーナ400とを備える。支持部200を形成する線材210には、複数のローラ150が回転可能に支持される。リテーナ400は、上記3本の支持ワイヤ310を通挿保持する3つの孔410と、溶接ワイヤBが通るための孔420とを有する板状であり、3つの孔410は、正三角形の頂点位置に配置されている。各支持部要素200aは、隣り合うリテーナ400間において、上記一対の小径コイル部220,220をいずれかの支持ワイヤ310に套挿することによって、組み合わされる。各リテーナ400は、図10および図12に表れているように、たとえば略正三角形の外形をしており、頂点部分においてガイドチューブ100に内接させられる。なお、各支持部要素200aは、上記軸線方向に隣接する3つの支持部要素200aを繰り返し単位として、その3つの支持部要素200aのコイル部220は、互いに異なる支持ワイヤ310に套挿される。そして、各支持部要素200aは、コイル部220の移動がリテーナ400によって阻止されることから、隣り合う支持部200間の間隔が規定される。すなわち、この実施形態では、支持ワイヤ310に套挿されたコイル部220の移動がリテーナ400によって阻止される構成が間隔規制手段300として機能する。
【0042】
溶接ワイヤBは、各リテーナ400の孔420および各支持部要素200aの各支持部200の円環に通挿され、軸線方向に送給される際、各支持部200において、ローラ150に接触して案内される。このとき、溶接ワイヤBが受ける抵抗は、ローラ150の転がり抵抗であるため、送給抵抗を小さくできる。この点は上記した各実施形態と同様である。
【0043】
なお、この実施形態においては、各支持部要素200aは、そのコイル部220が套挿される支持ワイヤ310を中心として搖動可能であるが、軸線方向に隣り合う3つの支持部要素200aの搖動中心が三角形の頂点位置となるので、通挿される溶接ワイヤBを介して搖動範囲が規制され、特定の支持部要素200aがガイドチューブ100の内面に接触する程度まで搖動するということはない。
【0044】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施形態に限定されることはなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に包摂される。
【0045】
たとえば、実施形態において、ローラ150は、線材210に対する組み付け作業を容易にするため、側面にスリット152を設けたものが使用されているが、スリットを設けず、予め、線材に複数のローラ150を套挿しておき、その状態で線材210を折曲してもよい。
【符号の説明】
【0046】
A1,A2,A3,A4 ワイヤ送給コンジット
B ワイヤ(溶接ワイヤ)
100 ガイドチューブ
150 ローラ
200 支持部
200a 支持部要素
210 線材
210a,210b,210c 辺
210d 連結部
211 第1部分
212 第2部分
220 コイル部
300 間隔規制手段
310 支持ワイヤ
400 リテーナ
410 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性のガイドチューブと、このガイドチューブの内部に設けられた複数のローラと、を備え、内部に挿通されて軸線方向に移動させられるワイヤを上記複数のローラによって案内支持するワイヤ送給コンジットであって、
上記軸線方向視において環をなすように線材を折曲して形成され、上記軸線方向に並ぶ複数の支持部と、
上記複数の支持部の上記軸線方向の間隔を規定する間隔規制手段と、を備え、
上記複数の支持部の各々には、上記環の中心を取り囲むようにして、複数の上記ローラが上記線材周りに回転可能に支持されていることを特徴とする、ワイヤ送給コンジット。
【請求項2】
上記環は、多角形をなしており、上記複数のローラは、上記複数の支持部の各々における上記多角形の各辺において回転可能に支持されており、上記多角形の各頂点は、上記ガイドチューブに内接させられている、請求項1に記載のワイヤ送給コンジット。
【請求項3】
上記多角形は、三角形または四角形である、請求項2に記載のワイヤ送給コンジット。
【請求項4】
上記複数の支持部および上記間隔規制手段は、連続する線材を折曲することにより形成されている、請求項2または3に記載のワイヤ送給コンジット。
【請求項5】
上記連続する線材は、全体として螺旋を形成している、請求項4に記載のワイヤ送給コンジット。
【請求項6】
上記軸線方向に延びる第1部分と、上記軸線方向と直交する方向に延びる第2部分とが交互に繰り返すつづらおり状となるように上記連続する線材が折曲され、上記各第2部分が上記多角形をなすように折曲されて上記複数の支持部が形成されており、上記各第1部分が上記間隔規制手段を形成している、請求項4に記載のワイヤ送給コンジット。
【請求項7】
上記複数の支持部の各々は、閉じた多角形に形成されているとともに、上記各多角形の頂点において、上記軸線方向に延びる支持ワイヤに連結されており、この支持ワイヤが上記間隔規制手段を形成している、請求項2に記載のワイヤ送給コンジット。
【請求項8】
上記複数の支持部の各々は、上記各多角形のすべての頂点において、複数の上記支持ワイヤに連結されている、請求項7に記載のワイヤ送給コンジット。
【請求項9】
上記ガイドチューブの内面に沿って上記軸線方向に延びる複数本の支持ワイヤと、上記軸線方向に間隔をあけて位置するとともに、上記複数の支持ワイヤを相互に拘束し、かつ上記ガイドチューブに内接する複数のリテーナと、を備え、
上記複数の支持部の各々は独立しており、上記軸線方向に隣り合う上記リテーナ間において当該リテーナによって上記軸線方向の位置を規定され、かつ上記複数本の支持ワイヤのうちのいずれか1本に支持されている、請求項1に記載のワイヤ送給コンジット。
【請求項10】
上記複数の支持部の各々は、円環をなしているとともに、この円環を形成する上記線材を延長して上記軸線方向に延びるコイル部が形成されており、このコイル部が上記複数の支持ワイヤのうちのいずれか1本に套嵌されることにより、当該支持ワイヤに揺動可能に支持されている、請求項9に記載のワイヤ送給コンジット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−75319(P2013−75319A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216962(P2011−216962)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)