説明

ワックス剥離用ワイパー

【課題】 剥離剤で膨潤させた状態のワックスを簡単かつ効率良く剥離して除去することができる、作業性に勝れたワイパーを提供する。
【解決手段】 ワイパーが、柄5の先端にワイパーヘッド4を有するワイパー本体1と、上記ワイパーヘッド4に着脱自在のワックス剥離用払拭体2とからなっていて、上記払拭体2が、摩擦力のある粗い表面を有するワックス剥離のためのシート状部材2Aと、剥離したワックスを掻き集めるために該シート状部材2Aの端部に取り付けられたヘラ部材2Bとで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面等にワックスを塗り直す際に、今まで塗布してあった古いワックスを剥離するためのワイパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フローリングなどの床面のワックスを塗り直す場合、今まで塗布してあった古いワックスを剥離し、そのあと新たなワックスを塗布するのが通常の手順である。
また、このように古いワックスを剥離する場合、通常は剥離剤を使用し、この剥離剤でワックスを膨潤させたあと剥離するが、従来は、このように剥離剤で膨潤したワックスを剥離する場合、雑巾を直接手に持って拭き取るようにしていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記剥離剤で膨潤したワックスはゲル化していて、雑巾への付着によって該雑巾をすぐにどろどろの状態にするため、該雑巾を頻繁に洗いながら作業を行わなければならず、非常に手間がかかる上に手が汚れ易いなど、非常に効率が悪かった。
そこで本発明は、剥離剤で膨潤させた状態のワックスを簡単かつ効率良く剥離して除去することができる、作業性に勝れたワイパーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明によれば、柄の先端にワイパーヘッドを取り付けたワイパー本体と、上記ワイパーヘッドに着脱自在のワックス剥離用払拭体とからなり、上記払拭体が、摩擦力のある粗い表面を有するワックス剥離のためのシート状部材と、剥離したワックスを掻き集めるために該シート状部材に取り付けられたヘラ部材とで形成されていることを特徴とするワックス剥離用ワイパーが提供される。
【0005】
本発明において好ましくは、上記シート状部材が矩形形状をなし、また、上記ヘラ部材が、該シート状部材より幅狭の矩形形状をなしていて、相対する第1長辺と第2長辺とを有し、一方の第1長辺側に偏寄した位置で上記シート状部材の一端に連結されると共に、この第1長辺にワックスを掻き集めるためのエッジが形成されていることである。
【0006】
また、本発明においては、上記ヘラ部材における第1長辺側の端部が折り曲げられることにより、上記エッジがシート状部材から離反する方向に立ち上がっていることが望ましい。
【0007】
更に、本発明において好ましくは、上記ワイパーヘッドが矩形の台板状をしていて、平らな下面を有し、この下面を覆うように上記シート状部材が装着されており、また、上記ヘラ部材は、該ワイパーヘッドの幅方向一端側において該ワイパーヘッドの上面側に位置し、上記エッジが該ワイパーヘッドの端部に沿って延びると共に、該ワイパーヘッドの幅方向外側に向けて突出していることである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、剥離剤で膨潤させた状態のワックスを摩擦力のある粗い表面を有するシート状部材で剥離し、そのあと、剥離したワックスをヘラ部材で掻き集めて除去することにより、雑巾を使用する従来の手作業に比べ、ワックスを簡単かつ効率良く剥離して除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜3は本発明に係るワックス剥離用ワイパーの好ましい一実施形態を示すもので、図中1はワイパー本体、2はこのワイパー本体1に着脱自在に装着されたワックス剥離用払拭体である。
【0010】
上記ワイパー本体1は、横方向に細長い矩形の台板状をしたワイパーヘッド4と、このワイパーヘッド4の上面中央位置に前後及び左右の両方向に起倒自在なるように取り付けられた柄5とからなっている。
このうち上記ワイパーヘッド4は、硬質又は半硬質の合成樹脂素材により形成されていて、平らな下面4aを有し、この下面4aを覆うように上記払拭体2のシート状部材2Aが装着される。また、このワイパーヘッド4の上面は浅い皿状又は容器状に窪んでいて、その窪み7の底部に、適当な間隔をおいてワイパーヘッド4の下面4aまで貫通する複数の孔8が設けられている。従ってこのワイパーヘッド4は、矩形の浅皿状又は浅い容器状に形成されていることになる。
【0011】
上記ワイパーヘッド4の上面の長手方向両端部寄りの位置には、上記払拭体2を装着状態に固定するための固定部材10がそれぞれ取り付けられている。これらの固定部材10は、合成樹脂やゴムなどの軟質又は半硬質の素材で細長い帯状に形成したもので、ワイパーヘッド4の幅方向に向けて配置され、その中間部分10aが該ワイパーヘッド4にフックなどの適宜結合手段で取り外し自在に連結され、図3に鎖線で示すように、両端部が柔軟に変形させることによって起倒できるようになっている。これらの固定部材10の長さはワイパーヘッド4の前後幅よりも少し短い。
【0012】
図3から分かるように、上記各固定部材10の長さ方向の両端部には、下向きに突出する円形の突起11がそれぞれ形成され、これに対してワイパーヘッド4の上面のこの突起11と対応する位置には、この突起11が着脱自在に嵌合、係止する係止孔12が設けられている。そして、これらの固定部材10とワイパーヘッド4との間に上記払拭体2を介在させた状態で上記突起11を係止孔12に挿入、係止させることにより、この払拭体2をワイパーヘッド4に装着した状態に挟持し固定することができる。また、各固定部材10の長さ方向の両端部の上記突起11が形成されている部分の内側側面には、該突起11を係止孔12に挿入したり取り外したりするための操作用の摘み13が形成されている。この摘み13は、固定部材10の一部を側面外側に向けて突出させることにより形成されている。
【0013】
上記柄5は、柄取付部15を介して上記ワイパーヘッド4に取り付けられている。この柄取付部15は、ワイパーヘッド4側の第1取付部15aと柄5側の第2取付部15bとに分かれている。上記第1取付部15aは、略T字形をした部材からなっていて、上記ワイパーヘッド4の上面に、該ワイパーヘッド4の長手方向を向く第1連結軸16aによって前後方向即ち該ワイパーヘッド4の幅方向に回動自在に連結されており、この第1取付部15aに上記第2取付部15bが、上記第1連結軸16aと直交する別の第2連結軸16bによって左右方向即ちワイパーヘッド4の長手方向に回動自在に連結されている。
【0014】
一方、上記払拭体2は、図5からも明らかなように、床面に塗布されているワックスを剥離するための上記シート状部材2Aと、剥離したワックスを掻き集めるためのヘラ部材2Bとで形成されている。
【0015】
上記シート状部材2Aは、矩形の平面形状を有するもので、相対する一対の第1縦辺18a及び第2縦辺18bと他の相対する一対の第1横辺19a及び第2横辺19bとを有しており、該シート状部材2Aの大きさは、図1〜図3に示すようにそれをワイパーヘッド4の下面4a全体を覆うように装着したとき、両横辺19a,19b側の端部が該ワイパーヘッド4の上面側にまで達する程度である。このシート状部材2Aは、このようにワイパーヘッド4に装着した状態で、剥離剤で膨潤させたワックスを擦って掻き落とすものであり、このため、摩擦力のある粗い表面を有する柔軟性素材で形成されている。このように粗い表面を有ししかも床面を傷付けにくい柔軟性ある素材としては、合成樹脂を発泡させて形成したスポンジシートや、必要な剛性を備えた多数の繊維をランダムかつ低密度に積層して形成した不織布などの繊維シート、基材の表面に短繊維を植設してなるブラシ状シート、表面に凹凸を有する合成樹脂フィルムや不織布などからなる粗面シート等が挙げられるが、図示した例ではスポンジシートが用いられている。
【0016】
上記スポンジシートとしては、図6に例示するように、気泡間の膜をなくして骨格だけを残した骨格構造のスポンジシートが適しており、このようなスポンジシートとしては、例えば密度が20〜40Kg/m2 、セルの大きさが5〜15セル/インチ程度のものが最適である。しかし、これ以外の数値のものであってもよいことはもちろんである。
【0017】
上記ヘラ部材2Bは、ゴムや合成樹脂などの硬質又は半硬質の素材からなるもので、上記シート状部材2Aより幅狭で細長い矩形の板状をなしている。具体的には、相対する第1長辺20a及び第2長辺20bと、他の相対する第1短辺21a及び第2短辺21bとを有していて、上記長辺20a,20bは上記シート状部材2Aの横辺19a,19bとほぼ同じ長さに形成され、短辺21a,21bはシート状部材2Aの縦辺18a,18bの約1/5〜1/6程度の長さに形成されている。そして、上記長辺20a,20bをシート状部材2Aの横辺19a,19bと平行に向けた状態で、一方の第1長辺20a側の端部をシート状部材2Aの第2横辺19bと部分的に重ね合わせ、結合ライン23に沿ってそれらを縫着あるいは接着等の適宜方法で結合することにより、これらのシート状部材2Aとヘラ部材2Bを互いに一体化している。
【0018】
従って、上記ヘラ部材2Bの第2長辺20b側の端部は、シート状部材2Aの第2横辺19bよりも外部に延出している。そして、上記ヘラ部材2Bの上記シート状部材2Aと重なり合う第1長辺20aの端縁には、ワックスを掻き集めるためのエッジ24が形成されている。また、上記ヘラ部材2Bは、上記結合ライン23に沿った位置でくの字形に折曲されることにより、第1長辺20a即ちエッジ24がシート状部材2Aから離反する方向に向けて若干立ち上がっている。
【0019】
上記払拭体2をワイパーヘッド4に取り付けられるようにするため、上記ヘラ部材2Bの第2長辺20b側の端部とシート状部材2Aの第1横辺19a側の端部とには、それぞれ2つの取付孔26が形成されている。そして、ワイパーヘッド4の一端側において、上記ヘラ部材2Bをワイパーヘッド4の上面とこの固定部材10の一端との間に介在させ、取付孔26を通じて各固定部材10の端部の突起11をワイパーヘッド4の係止孔12にそれぞれ挿入、係止させることによりこのヘラ部材2Bを挟持、固定したあと、上記シート状部材2Aをワイパーヘッド4の下面4aから反対側の端部上面に達するように巻き付けて、その第1横辺19a側の端部を各固定部材10の他端との間に位置させ、取付孔26を通じて各固定部材10の突起11をワイパーヘッド4の係止孔12に挿入、係止させることにより、このシート状部材2Aの第1横辺19a側の端部を固定する。これにより上記払拭体2がワイパーヘッド4に装着状態に固定される。
【0020】
このとき、上記ワイパーヘッド4の下面4a全体が上記シート状部材2Aで覆われ、上記ヘラ部材2Bは、該ワイパーヘッド4の幅方向の一端側において該ワイパーヘッド4の上面側に位置し、上記エッジ24が該ワイパーヘッド4の端部に沿って延びると共に、該ワイパーヘッド4の幅方向外側に向けて突出している。
なお、上記シート状部材2Aの第1横辺19a側の端部には必ずしも取付孔26を形成しておく必要はなく、上記突起11で該シート状部材2Aの一部を係止孔12内に押し込んで固定するようにしても良い。
【0021】
上記構成を有するワイパーを使用して床面に塗布されているワックスを剥離する場合には、このワックスを剥離剤で膨潤させたあと、図1及び図2に示すように、ワイパーヘッド4の下面4aで払拭体2のシート状部材2Aを床面に押し付けて前後動させることにより、該シート状部材2Aの摩擦力でワックスを剥離させる。このとき、該シート状部材2Aは、粗い表面を有しているため効率よくワックスを剥離させることができ、しかも、柔軟性素材で形成されているから床面を傷付けることもない。
ワックスの剥離作業が終わると、図4に示すように、上記ワイパーヘッド4を上下反転させ、上記ヘラ部材2Bのエッジ24を床面に押し付けてワックスを掻き集める。掻き集められたワックスは容器等に入れられ、廃棄される。
【0022】
かくして、ワックスの剥離からそれを掻き集めるまでの作業を、ワイパーを使用して簡単かつ効率良く行うことができ、直接手でワックスに触れる必要がないため、衛生的で作業性に勝れる。
【0023】
また、上記のようにして古いワックスを剥離した床面に新たなワックスを塗布する場合にも、このワイパーは使用することができる。即ち、ワイパーヘッド4から上記払拭体2を取り外し、そのあとに、図7に示すように、不織布や連続気泡のスポンジ体等からなるワックス塗布用シート28を上記払拭体2と同様の方法で装着し、ワイパーヘッド4の上面の窪み7内に液状のワックスWを適量入れて該ワイパーヘッド4を床面に沿って摺動させる。これにより、窪み7の底部の複数の孔8からワックスが流出して塗布用シート28に浸透し、床面に塗布されることになる。従って、上記ワイパー本体1は、ワックス剥離用とワックス塗布用の両方の作業に兼用できるものである。
【0024】
しかし、ワックスの塗布には他の塗布用ワイパーを使用しても良い。この場合に、上記ワイパー本体1においては、ワイパーヘッド4が図示のような皿状をしてワックス流出用の孔8を有している必要はなく、通常の台板形やその他の形状をしていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るワックス剥離用ワイパーの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A線での拡大断面図である。
【図3】図1のB−B線での拡大断面図である。
【図4】剥離したワックスを掻き集める状態を示す要部断面図である。
【図5】払拭布の展開図である。
【図6】払拭布の要部拡大図である。
【図7】ワックスを塗布する場合の要部断面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 ワイパー本体
2 払拭体
2A シート状部材
2B ヘラ部材
4 ワイパーヘッド
4A 下面
5 柄
20a 第1長辺
20b 第2長辺
24 エッジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄の先端にワイパーヘッドを取り付けたワイパー本体と、上記ワイパーヘッドに着脱自在のワックス剥離用払拭体とからなり、
上記払拭体が、摩擦力のある粗い表面を有するワックス剥離のためのシート状部材と、剥離したワックスを掻き集めるために該シート状部材に取り付けられたヘラ部材とで形成されていることを特徴とするワックス剥離用ワイパー。
【請求項2】
上記シート状部材が矩形形状をなしており、また、上記ヘラ部材が、該シート状部材より幅狭の矩形形状をなしていて、相対する第1長辺と第2長辺とを有し、一方の第1長辺側に偏寄した位置で上記シート状部材の一端に連結されると共に、この第1長辺にワックスを掻き集めるためのエッジが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のワイパー。
【請求項3】
上記ヘラ部材における第1長辺側の端部が折り曲げられることにより、上記エッジがシート状部材から離反する方向に立ち上がっていることを特徴とする請求項2に記載のワイパー。
【請求項4】
上記ワイパーヘッドが矩形の台板状をしていて、平らな下面を有し、この下面を覆うように上記シート状部材が装着されており、また、上記ヘラ部材は、該ワイパーヘッドの幅方向一端側において該ワイパーヘッドの上面側に位置し、上記エッジが該ワイパーヘッドの端部に沿って延びると共に、該ワイパーヘッドの幅方向外側に向けて突出していることを特徴とする請求項2又は3に記載のワイパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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