説明

ワンウェイクラッチ

【課題】軸方向寸法の短縮が可能であり、かつ低コストで噛み合いの信頼性のあるワンウェイクラッチを提供すること。
【解決手段】内周軌道面を有する外径側部材と、内周軌道面に径方向に対向する外周軌道面を有する内径側部材と、内周軌道面と外周軌道面との間に傾斜可能に介装された複数のトルク伝達部材と、複数のトルク伝達部材を内外周軌道面に係合する方向に付勢するリボンスプリングと、複数のトルク伝達部材を円周方向に所定間隔で保持する保持器と、外径側部材と内径側部材との間で保持器の軸方向で両側に配置され、外径側部材と内径側部材とを同心状に支持する一対のエンドベアリングとを備えたワンウェイクラッチにおいて、リボンスプリングは、保持器と内周軌道面との間に配置されていることを特徴とするワンウェイクラッチ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の自動変速機等に用いられるワンウェイクラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の変速機等には回転を一方向に伝達するワンウェイクラッチが用いられている。トルクコンバータにあっては、タービンランナとポンプインペラとの間にステータが設けられ、ステータはワンウェイクラッチを介して回転軸に取付けられている。
【0003】
図4(a)は従来のワンウェイクラッチの要部を、一部を切り欠いて軸方向から見た図であり、(b)は(a)のA−A線の断面図である。
【0004】
ワンウェイクラッチ100は、図示しない内輪と、図示しない外輪と、内輪の外周面(図示略)と外輪の内周面(図示略)とに係合して内外輪との間にトルクを伝達するスプラグ102と、スプラグ102を保持する外側保持器104および内側保持器105と、スプラグ102を係合方向に付勢するリボンスプリング107と、外側保持器104および内側保持器105の両側にエンドベアリング110とを備えている。
【0005】
トルクコンバータ用のワンウェイクラッチにおいては、軸方向の両端にブッシュを並列に配置して内外輪の軸受としていることが多いが、エンドベアリング110を備えたワンウェイクラッチ100は、このようなブッシュを並列に配置したタイプのものよりも軸方向の長さを短縮することが可能である。
【0006】
一方、ワンウェイクラッチ100は、外輪の加減速に対し、ワンウェイクラッチ100の慣性により外輪及び内輪に対してワンウェイクラッチ100が回転する。このため噛み合い性の不具合を解消するため、外輪に対して引き摺りトルクを与えている。引き摺りトルクを与えるために外側保持器104に切欠き加工を施してiバー112或いはTバー(図示なし)と呼ばれる部分を設け、このiバー112或いはTバーが外輪の内周軌道面に摺接することで必要な引き摺りトルクを得ている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−132526号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のワンウェイクラッチは、外側保持器にiバー或いはTバー加工を施すため、外側保持器は軸方向の長さが長くなり、ワンウェイクラッチの軸方向の短縮要求に対応できないという問題がある。本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、軸方向寸法の短縮が可能であり、かつ低コストで噛み合いの信頼性のあるワンウェイクラッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係るワンウェイクラッチは、内周軌道面を有する外径側部材と、該内周軌道面に径方向に対向する外周軌道面を有する内径側部材と、前記内周軌道面と前記外周軌道面との間に介装され、前記内外周軌道面に係合してトルクを伝達する位置と前記内外周軌道面に非係合になる位置とに傾斜可能に配置された複数のトルク伝達部材と、前記複数のトルク伝達部材を前記内外周軌道面に係合する方向に付勢するリボンスプリングと、前記複数のトルク伝達部材を円周方向に所定間隔で保持するとともに傾きを抑制する筒状の一つの保持器と、前記外径側部材と前記内径側部材との間で前記保持器の軸方向で両側に配置され、前記外径側部材と前記内径側部材とを同心状に支持する一対のエンドベアリングとを備えたワンウェイクラッチにおいて、前記リボンスプリングは、前記保持器と前記内周軌道面との間に配置されていることを特徴とする。
【0009】
好適には、前記保持器は、前記外周軌道面と前記内周軌道面との中間位置よりも内径側に設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、好適には、前記保持器の軸方向で一方の端部には、径方向で内側方向に延在するフランジ部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、好適には、前記保持器の軸方向で一方の端部と、該一方の端部と同じ側に配置された前記一対のエンドベアリングの一方とは軸方向に空間を介して対向し、前記保持器の軸方向で他方の端部と、該他方の端部と同じ側に配置された前記一対のエンドベアリングの他方とは軸方向に空間を介して対向し、前記一対のエンドベアリングが軸方向に相互に近づく方向に押圧されてもこれらの空間は介在し、前記保持器は前記一対のエンドベアリングに拘束されないことを特徴とする。
【0012】
更に好適には、前記リボンスプリングは、軸方向に対向する一対のサイドバーと、該一対のサイドバーを軸方向に連結する、周方向に所定間隔で設けられた複数のクロスバーとで構成され、隣り合う一対の前記クロスバーと、対向する一対の前記サイドバーの一部とによって形成され、前記スプラグが挿通される窓部が周方向に所定間隔で複数形成されており、前記窓部を構成している前記一対のクロスバーの一方には、軸方向の中央部から他方のクロスバーに向かって突出し、外径方向に凸の断面略U字状に形成された舌部が設けられ、前記窓部を構成している前記一対のサイドバーの一部には、前記舌部と軸方向に並ぶ位置に、外径方向に凸の断面略U字状に形成された湾曲部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、好適には、前記リボンスプリングは、両端部同士が連結固定されて環状をなしていることを特徴とする。
【0014】
また、好適には、前記外径側部材は、内径側の部分よりも軸方向の幅が狭く形成された部分を外径側に有し、該幅が狭く形成された部分の軸方向の両側には、前記内径側部材の軸方向への移動を規制する側板を介してスラストベアリングが配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るワンウェイクラッチは、トルクコンバータのステータに用いられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、軸方向寸法の短縮が可能であり、かつ低コストで噛み合いの信頼性のあるワンウェイクラッチを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るワンウェイクラッチを図示しないトルクコンバータのステータに組み付けた状態を径方向から見た断面図である。
【0019】
図2(a)は、本発明に係るワンウェイクラッチの要部を、一部を切り欠いて軸方向から見た図であり、(b)は(a)のB−B線の拡大断面図である。
【0020】
図示しないトルクコンバータのポンプインペラ(図示省略)とタービンランナ(図示省略)との間にステータ1が配置されている。ステータ1は、以下に詳細に説明するワンウェイクラッチ3を介してトルクコンバータの出力軸の外周側に配設されている。
【0021】
ワンウェイクラッチ1は、内周軌道面5aを有する外径側部材である外輪5と、内周軌道面5aに径方向に対向する外周軌道面7aを有する内径側部材である内輪7とを有している。外輪5の外周面はステータ1の内周面に係合してステータ1と一体に回転し、内輪は回転しない。
【0022】
外輪5の内周軌道面5aと内輪7の外周軌道面7aとの間には複数のスプラグ9が介装されている。スプラグ9は、内外周軌道面5a、7aに係合してトルクを伝達する位置と内外周軌道面5a、7aに非係合になる位置とに傾斜可能に配置されている。スプラグ9は筒状の保持器11によって円周方向に所定間隔で保持され、傾きを抑制されている。また、スプラグ9はリボンスプリング13によって内外周軌道面5a、7aに係合する方向に付勢されている。保持器11の両側には、内外周軌道面5a、7a間の間隔を保持する一対のエンドベアリング15、15が配置されている。
【0023】
ワンウェイクラッチ3のエンドベアリング15は断面コ字状の環状部材であり、外側の短円筒部15aと、内側の短円筒部15bと、これら両円筒部の一方側の端部間を接続している環状部15cとから構成されている。環状部15cには所定間隔で油孔15dが設けられている。エンドベアリング15の外径、すなわち外側の円筒部15aの外径は、外輪5の内周軌道面5aの内径よりも僅かに小さい。また、エンドベアリング15の内径、すなわち内側の円筒部15bの内径は、内輪7の外周軌道面7aの外径よりも僅かに大きい。このような構成のエンドベアリング15一対が、コ字状の内側空間部をスプラグ9側として、スプラグ9の両側に設けられている。こうして、エンドベアリング15によって、内周軌道面5aと外周軌道面7aとの間隔が適切に同心状に保持され、かつスプラグ9の軸方向の移動を規制している。
【0024】
外輪5は、内径側の幅広部17と、内径側に比べて軸方向の幅が狭く形成された外径側の幅狭部19とで構成されている。幅広部17は内径側に内周軌道面5aを有している。幅狭部19は、幅広部17の外周の軸方向で中央部から外方に延在しており、スプラグ9の軸方向の幅とほぼ同等の幅を有している。幅狭部19の軸方向で両側には、側板21を介してスラストベアリング23が設けられている。外輪5は側板21を介してスラストベアリング23に支持されている。側板21は幅狭部19と幅広部17との段差部に沿った段差を有し、幅狭部19から内輪7にかけて径方向に延在している。つまり、外輪5の幅狭部19と幅広部17、エンドベアリング15、および内輪7の軸方向側の端部に沿って、これらの部材の端部を覆うように径方向に延在している。このように側板21が内輪7の軸方向側の端部まで延在しているので、内輪7は側板21によって軸方向の移動が規制されている。
【0025】
本実施形態においては、1つの保持器11が内周軌道面5aと外周軌道面7aとの間で、内周軌道面5aと外周軌道面7aの中間位置よりも内径側に配置されている。保持器11は、組み付け状態においてワンウェイクラッチ3の軸方向に対向する2つの環状部11a、11aと、これらの環状部11aを軸方向に連結する、周方向に所定間隔で設けられた複数の柱部11bとから構成され、全体は筒状になっている。保持器11は、隣り合う柱部11b、11b、と両環状部11a、11aの一部とによって形成される窓部11cを周方向に所定間隔で複数有しており、これら窓部11cにスプラグ9が1対1に対応して傾動可能にはめ込まれている。
【0026】
保持器11の軸方向で一方側の端部には、径方向で内側に向かって内向フランジ11dが形成されている。内向きフランジ11dの内径縁はエンドベアリング15の内側円筒部15bの外周面に係合し、保持器11の位置決めがなされている。内向きフランジ11dにより、保持器11の位置が安定し、保持器11の同期化作用が安定する。
【0027】
保持器11の軸方向で両側には一対のエンドベアリング15、15が配置されている。保持器11の軸方向の両端部と一対のエンドベアリング15、15との間には充分な間隔が空いている。つまり組み付け状態において、保持器11の軸方向で一方側の端部と、該一方側の端部と同じ側に配置された一対のエンドベアリング15、15の一方とは軸方向に空間を介して対向し、保持器11の軸方向で他方側の端部と、該他方側の端部と同じ側に配置された一対のエンドベアリング15、15の他方とは軸方向に空間を介して対向している。これらの空間は一対のエンドベアリング15、15が両側より軸方向に相互に近づく方向に押圧された場合でも介在するようになっている。
【0028】
別言すれば、保持器11は、軸方向に対向して配置された一対のエンドベアリング15、15の対向する環状部15c、15c間に、エンドベアリング15、15が両側より軸方向に相互に近づく方向に押圧された場合でも、保持器11の端部とエンドベアリング15が接触せずに、保持器11の両端部がエンドベアリング15、15と空間を持って配置されるように軸方向の幅が設定されている。エンドベアリング15、15が両側より軸方向に相互に近づく方向に押圧された場合は、エンドベアリング15、15のそれぞれの短円筒部15a、15bの内側端部がスプラグ9の側面に接触する。これにより、保持器11の両端部がエンドベアリング15、15と接触することがなく、保持器11がエンドベアリング15、15に拘束されることがない。したがって、保持器11の動きが妨げられず、スプラグ9の動きを同期化する機能が損なわれることはない。
【0029】
図3は本実施形態に係るワンウェイクラッチ3に用いられているリボンスプリング13の一部を示す拡大図である。リボンスプリング13は、保持器11の外径側で、保持器11と内周軌道面5aとの間に配置されている。
【0030】
リボンスプリング13は、組み付け状態においてワンウェイクラッチ3の軸方向に対向する一対のサイドバー25、25が、所定間隔で複数設けられたクロスバー27によって連結された部材を、該一対のサイドバー25、25を環状に成形して、形成されている。一対のサイドバー25、25を環状に成形する際、それぞれのサイドバー25の端部同士は溶接部Dで溶接によって連結固定される。つまり、リボンスプリング13は、端部同士が溶接固定されて環状に形成されている。こうしてリボンスプリング13は、軸方向に対向する一対のサイドバー25、25と、該一対のサイドバー25、25を軸方向に連結する、周方向に所定間隔で設けられた複数のクロスバー27とで構成される。
【0031】
リボンスプリング13は、隣り合う一対のクロスバー27、27と、対向する一対のサイドバー25、25の一部とによって形成される窓部30が周方向に複数形成されている。これら窓部30は、保持器11の窓部11cと対応してスプラグ9が挿通される窓部30aと、スプラグ9が挿通される窓部30a、30a間に形成され、窓部30aよりも周方向幅が短く、スプラグ9が挿通されない窓部30bとが交互に並ぶ構成となっている。スプラグが挿通される窓部30aを構成している一対のクロスバー27、27の一方には、軸方向の中央部から他方のクロスバー27に向かって突出し、スプラグ9を付勢する舌部であるタブ32が設けられている。タブ32は外径方向に凸の断面略U字状の形状を有している。スプラグ9はタブ32を押し退けるように窓部30aに挿通され、組み付け状態においては、タブ32によって内周軌道面5aと外周軌道面7aとに係合する方向に付勢される。
【0032】
スプラグ9が挿通される窓部30aを構成している一対のサイドバー25、25の部分には、タブ32と軸方向に並ぶ位置に、外径方向に凸の断面略U字状に形成された湾曲部であるリンクル34、34が形成されている。リンクル34、34はリボンスプリング13に弾性力を持たせている。すなわち、リボンスプリング13は、組み付け状態において、リンクル34、34によって外径方向への弾性力が発生している。この弾性力により、スプラグ9は外輪5の内周軌道面5aに押し付けられる。リボンスプリング13は両端同士が連結固定されてリング状をなしているので、各スプラグ9に内周軌道面5aに対する均一の押圧力を加えることができる。その結果、内周軌道面5aとの間に引き摺りトルクを得ることができる。
【0033】
ステータ1は、上述した構成のワンウェイクラッチ3により一方向にのみ回転が可能となっている。
【0034】
上述したように本実施形態では1つの保持器11を設けており、従来の外側保持器に相当する保持器は設けていない。従来は、先にも述べた通り、外側保持器にiバー或いはTバーを設ける必要があったために外側保持器の軸方向の寸法を短くすることができず、ワンウェイクラッチの軸方向の寸法を短くすることが困難であった。本実施形態では外側保持器を用いない構成とすることにより、このような問題が解決され、ワンウェイクラッチ3の軸方向の寸法を短くすることが可能となる。また、外側保持器を用いない構成としたため、ワンウェイクラッチ3の慣性は小さくなる。その結果、外輪5の追従が可能となり、噛み合いの信頼性が向上する。更に、部品点数及びコストを削減することができる。
【0035】
また、保持器11は内周軌道面5aと外周軌道面7aとの間の中間位置よりも内径側に配置されている。外側保持器を設けずに、一つの保持器11をこの位置に配置することにより、保持器11の外径側は、外側保持器を設けていない分従来のものに比較してスペースが空いている。このスペースにより、リボンスプリング13の反発力によるスプラグ9の外輪5への押し付け、すなわちスプラグ9を内周軌道面5aへ押し付ける力を大きくすることが可能となる。この押し付け力によって、スプラグ9と外輪5の内周軌道面5aとの引き摺りトルクを確保している。また、保持器11がこの位置に配置されることにより、スプラグ9の動きの同期作用が増し、噛み合いの信頼性が向上する。
【0036】
また、本実施形態のワンウェイクラッチ3は、リボンスプリング13を保持器11の外径側に配置したことにより、従来のスプラグ形状においても外輪5の内周軌道面5aへの押圧力と、スプラグ9への噛み合い方向へのモーメントを与えることができる。また、リボンスプリング13の両端同士は溶接により固定されているので、各スプラグ9の内周軌道面5aへの押圧力を均一にすることができ、これにより内周軌道面5aに対する摩擦力を均一にすることができ、噛み合いの安定性が増す。
【0037】
また、リボンスプリング13のリンクル34を外径方向に凸形状としたことにより、保持器11とリボンスプリング13との干渉を防止でき、リボンスプリング13の摩耗折損や異常な力がリボンスプリング13に加わることを防止できる。
【0038】
また、本実施形態のワンウェイクラッチ3は、外輪5に幅狭部19を設け、幅狭部19の両側にスラストベアリング23を設けることで、ワンウェイクラッチ3の軸方向の寸法を短くしている。幅狭部19とスラストベアリング23との間には、径方向で内輪7の軸方向側の端部まで延在する側板21を設けているので、外輪7の剛性を維持しつつワンウェイクラッチ3の軸方向の寸法を短くすることができる。
【0039】
本発明に係るワンウェイクラッチ3を上記実施形態のようにトルクコンバータのステータ1に用いた場合、ワンウェイクラッチ3の内輪7は固定され、外輪5はステータ1に係合している。また、保持器11は金属で作られ、相応の慣性重量を有している。図示しないポンプインペラと図示しないタービンランナの回転差が小さくなった際、ワンウェイクラッチ3は噛み合い状態から空転状態に移行するが、この過程において保持器11の慣性重量は保持器11の静止状態を維持するように作用し、スプラグ9に対して空転状態に傾けるモーメントを与える。また、ポンプインペラとタービンランナの回転差が大きくなると、ワンウェイクラッチ3は空転状態から噛み合い状態に移行するが、この過程において保持器11の慣性重量は保持器11の回転を維持するように作用し、スプラグ9に対して噛み合い状態に傾けるモーメントを与える。これにより、ワンウェイクラッチ3の噛み合いと空転との移行がスムーズに行われる。
【0040】
このように、本発明によれば、軸方向寸法の短縮が可能であり、かつ低コストで信頼性のあるワンウェイクラッチを提供することができる。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、種々変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るワンウェイクラッチを図示しないトルクコンバータのステータに組み付けた状態を径方向から見た断面図である。
【図2】(a)は、本発明に係るワンウェイクラッチの要部を、一部を切り欠いて軸方向から見た図であり、(b)は(a)のB−B線の拡大断面図である。
【図3】本実施形態に係るワンウェイクラッチに用いられているリボンスプリングの一部を示す拡大図である。
【図4】(a)は従来のワンウェイクラッチの要部を、一部を切り欠いて軸方向から見た図であり、(b)は(a)のA−A線の断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ステータ
3 ワンウェイクラッチ
5 外輪
5a 内周軌道面
7 内輪
7a 外周軌道面
9 スプラグ
11 保持器
11a 環状部
11b 柱部
11c 窓部
11d 内向きフランジ
13 リボンスプリング
15 エンドベアリング
15a 外側円筒部
15b 内側円筒部
15c 環状部
15d 油孔
17 幅広部
19 幅狭部
21 側板
23 スラストベアリング
25 サイドバー
27 クロスバー
30a、30b 窓部
32 タブ
34 リンクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周軌道面を有する外径側部材と、
該内周軌道面に径方向に対向する外周軌道面を有する内径側部材と、
前記内周軌道面と前記外周軌道面との間に介装され、前記内外周軌道面に係合してトルクを伝達する位置と前記内外周軌道面に非係合になる位置とに傾斜可能に配置された複数のトルク伝達部材と、
前記複数のトルク伝達部材を前記内外周軌道面に係合する方向に付勢するリボンスプリングと、
前記複数のトルク伝達部材を円周方向に所定間隔で保持するとともに傾きを抑制する筒状の一つの保持器と、
前記外径側部材と前記内径側部材との間で前記保持器の軸方向で両側に配置され、前記外径側部材と前記内径側部材とを同心状に支持する一対のエンドベアリングとを備えたワンウェイクラッチにおいて、
前記リボンスプリングは、前記保持器と前記内周軌道面との間に配置されていることを特徴とするワンウェイクラッチ。
【請求項2】
前記保持器は、前記外周軌道面と前記内周軌道面との中間位置よりも内径側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のワンウェイクラッチ。
【請求項3】
前記保持器の軸方向で一方の端部には、径方向で内側方向に延在するフランジ部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のワンウェイクラッチ。
【請求項4】
前記保持器の軸方向で一方の端部と、該一方の端部と同じ側に配置された前記一対のエンドベアリングの一方とは軸方向に空間を介して対向し、前記保持器の軸方向で他方の端部と、該他方の端部と同じ側に配置された前記一対のエンドベアリングの他方とは軸方向に空間を介して対向し、前記一対のエンドベアリングが軸方向に相互に近づく方向に押圧されてもこれらの空間は介在し、前記保持器は前記一対のエンドベアリングに拘束されないことを特徴とする請求項3に記載のワンウェイクラッチ。
【請求項5】
前記リボンスプリングは、軸方向に対向する一対のサイドバーと、該一対のサイドバーを軸方向に連結する、周方向に所定間隔で設けられた複数のクロスバーとで構成され、隣り合う一対の前記クロスバーと、対向する一対の前記サイドバーの一部とによって形成され、前記スプラグが挿通される窓部が周方向に所定間隔で複数形成されており、
前記窓部を構成している前記一対のクロスバーの一方には、軸方向の中央部から他方のクロスバーに向かって突出し、外径方向に凸の断面略U字状に形成された舌部が設けられ、前記窓部を構成している前記一対のサイドバーの一部には、前記舌部と軸方向に並ぶ位置に、外径方向に凸の断面略U字状に形成された湾曲部が形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のワンウェイクラッチ。
【請求項6】
前記リボンスプリングは、両端部同士が連結固定されて環状をなしていることを特徴とする請求項5に記載のワンウェイクラッチ。
【請求項7】
前記外径側部材は、内径側の部分よりも軸方向の幅が狭く形成された部分を外径側に有し、該幅が狭く形成された部分の軸方向の両側には、前記内径側部材の軸方向への移動を規制する側板を介してスラストベアリングが配置されていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のワンウェイクラッチ。
【請求項8】
トルクコンバータのステータに用いられることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のワンウェイクラッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−7733(P2010−7733A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166176(P2008−166176)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000102784)NSKワーナー株式会社 (149)