ワークの水流式姿勢制御方法および装置
【課題】連続的に搬送される浮遊部分を有するワークに対する作業を、画像認識処理を行うことなく、実施することを可能とする方法および装置の提供。
【解決手段】水が循環する水槽内に投入された浮遊部分を有するワークの姿勢制御方法であって、前記水槽は、前記ワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路を有し、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを設け、前記誘水路の上流で前記ワークを水中に投入し、捕捉位置に到達した前記ワークを前記保持部が保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置の押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御方法および該方法を実施するための装置。
【解決手段】水が循環する水槽内に投入された浮遊部分を有するワークの姿勢制御方法であって、前記水槽は、前記ワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路を有し、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを設け、前記誘水路の上流で前記ワークを水中に投入し、捕捉位置に到達した前記ワークを前記保持部が保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置の押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御方法および該方法を実施するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊部分有するワークの水流式姿勢制御方法および装置に関し、例えば、水中に投入された葉部を有する苗の姿勢を制御可能な方法および装置に関する。なお、浮遊部分とは、水面上に少なくとも一部が露出する部位を指し、好ましくは本体の先端に位置する本体より幅広の形状(浮き頭部)であって、例えば、竹とんぼ形状、キノコ形状、浮き具形状等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
近年園芸作物や樹木の苗の生産においてこれまで行われてきた実生苗や挿し木苗での生産以外にマイクロプロパゲーションで優秀個体のクローンを大量増殖し、発根させて苗製品にする手法が広く普及してきている。
一般的な手法としては、成長組織点を生育環境内で植物個体から切出してインビトロ(透明容器内)で培養環境を与え、多芽体に成長させ、さらに継体培養により大量増殖させ、そして大量増殖させたそれぞれの幼芽を最適な大きさまでインビトロで成長させた後に、再び幼芽を分離し、発根用の容器に移し替え、再びインビトロで培養し発根完了後にクローン苗製品とするものがある。
【0003】
しかしながら、幼芽の移植を自動的に行うための移植システムとして、実用的なものはなかった。そこで、出願人等は、前記ロボットハンドをXYZ方向に移動可能に連結したマニピュレータと、前記ロボットハンドから受け取った苗を植込工程に受け渡す受渡用ハンドとを備える苗の移植補助ステーションを提言した(特許文献1,2)。
【0004】
ロボットによる植え付け作業の自動化に関する研究としては、例えば、視覚部の把持位置検出アルゴリズムによって検出された挿し穂の主茎下部をロボットハンドが把持して整形装置に移動し、葉を離脱しものを植え付け装置に供給するシステムが発表されている(非特許文献1〜3)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−180862号公報
【特許文献2】特開2006−180863号公報
【非特許文献1】農業機械学会誌、VOL.60,NO.4,p.37-44
【非特許文献2】M.Takatsuji, Handbook of Plant Factory,Tokai University Press, pp. 123{159, 1997. 東海大学出版会編:「植物工場ハンドブック」, 東海大学出版会(1997), pp123-159
【非特許文献3】高山眞策シーエムシー出版 種苗生産システム (1992 初版2002 普及版pp180)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
連続的に搬送されるワークを把持する作業においては、画像認識処理とワークの姿勢補正が必要なため、作業の完全な機械化が実現されていなかった。
ワークが非定型物である場合においては、より問題は深刻である。非定型物であるワークとしては、代表的なものに植物の苗がある。苗の育成に伴うコストの大半は人件費であり、またウィルス混入による品質低下を防ぐことができるため、機械化により生産コストを大幅に削減することができる産業分野である。苗の培養工程については機械化が進んでいるが、植込工程については、苗の姿勢を揃えて受け渡しをする必要があるため、機械化が充分に進んでいなかった。
【0007】
本発明は、連続的に搬送される浮遊部分を有するワークに対する作業を、画像認識処理を行うことなく、実施することを可能とする方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、ワークを水に浮かべることで、ワークの姿勢制御を行うことの着想を得た。しかし、ワークを単純に水槽へ放り込むだけでは、壁等にワークが付着するなどして捕捉位置まで届かないなどの課題があった。
例えば、ワークが苗である場合には、次のような不具合がある。
ア)繊毛による水のはじきにより、苗が水面上で逆立つ。
イ)繊毛間に包含された空気により、苗が水面上に浮く。
ウ)苗自身からしみ出す油により、水をはじき水面上に浮く。
エ)水のなじみがよすぎることにより、葉が上方に位置してはいるが水面上にでていない。
オ)ア)〜エ)が複合することにより、水中の姿勢が安定せず横向き、半沈み等把持に適さない姿勢となる。
【0009】
そこで、発明者は、ワークを水中に投入することで、ワーク自身の浮力と水流の相乗効果から、浮遊部分が上方に位置する姿勢でワークを流下させることを可能とした。ワークの水中への投入手段としては、次のものが例示される。
1)直接投入
ピンセット等で把持し、直接苗を水中深くに投入する。
2)投入台(スライダー)の利用
投入部分に勾配を有する投入台を設け、投入台上に水を流す。これにより、苗がガイドへ付着することを防ぐとともに、投入時間の短縮化と位置誘導を行う。なお、苗の種類や状態によっては、水中深く苗を沈めるべく、投入台の終端部に水を噴射したり、投入台の終端部の手前に邪魔板を設けたりしてもよい。
3)漏斗の利用
投入部分に漏斗を設け、壁面に沿って水を流す。水流は、漏斗上から水中へ向かう渦流を起こし、苗が回転しながら水中へ深く入る。苗が回転することにより、包含した空気や油の放出を促進し水中姿勢を安定させることができる。
4)強制投入箱の利用
水槽へ任意投入した苗を金網(スクリーン含む)製の強制投入箱で水中に押しこみ、一定時間水になじませた後に、下流側へ苗を放流する。強制投入箱の作動は、手動で行うこともできるが、シリンダーやロボットなどにより自動で行うことが好ましい。
【0010】
すなわち、本発明は、次の(1)ないし(7)の水流式姿勢制御方法を要旨とする。
(1)水が循環する水槽内に投入された浮遊部分を有するワークの姿勢制御方法であって、前記水槽は、前記ワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路を有し、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを設け、前記誘水路の上流で前記ワークを水中に投入し、捕捉位置に到達した前記ワークを前記保持部が保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置の押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御方法。
(2)前記保持部は、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができ、前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を設け、第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする(1)のワークの水流式姿勢制御方法。
(3)前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることを特徴とする(2)または(3)のワークの水流式姿勢制御方法。
(4)前記捕捉上板の開口幅と前記ガイドの終端部のガイドの開口幅が同幅であり、前記捕捉下板の開口幅が前記捕捉上板の開口幅と比べ広いことを特徴とする(3)のワークの水流式姿勢制御方法。
(5)前記押部材による押し込みを、前記押部材と前記開口保持爪の開口の最奥部との距離が、ワークの幅より僅かに広くなるまで行い、前記ワークに付着した水の表面張力により前記ワークの姿勢を制御することを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかのワークの水流式制御方法。
(6)前記誘水路の上流に、投入具および噴水口を設け、該投入具に投入されたワークを噴水口からの噴水により、前記ワークを水中に流入させてから前記誘水路に供給することを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかのワークの水流式制御方法。
(7)前記ワークが、浮遊部分を有する植物の苗であることを特徴とする(1)ないし(6)のいずれかのワークの水流式制御方法。
【0011】
また、本発明は、次の(8)ないし(14)の水流式制御装置を要旨とする。
(8)浮遊部分を有するワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路、給水口および排水口を有する水槽と、水槽に水を循環させるポンプと、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを備え、前記誘水路の上流で水中に投入された前記ワークが、前記捕捉位置に到達すると、第1センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が前記ワークを保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置が、押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御装置。
(9)前記保持部は、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができ、前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を設け、第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする(8)のワークの水流式姿勢制御装置。
(10)前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることを特徴とする(8)または(9)のワークの水流式姿勢制御装置。
(11)前記捕捉上板の開口幅と前記ガイドの終端部のガイドの開口幅が同幅であり、前記捕捉下板の開口幅が前記捕捉上板の開口幅と比べ広いことを特徴とする(10)のワークの水流式姿勢制御装置。
(12)前記押部材による押し込みを、前記押部材と前記開口保持爪の開口の最奥部との距離が、調節可能であることを特徴とする(8)ないし(11)のいずれかのワークの水流式制御装置。
(13)前記誘水路の上流に、前記ワークを水中に流入させるための投入具および噴水口を備えることを特徴とする(8)ないし(12)のいずれかのワークの水流式制御装置。
(14)前記ワークが、浮遊部分を有する植物の苗であることを特徴とする(8)ないし(13)のいずれかのワークの水流式制御装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、連続的に搬送される浮遊部分を有するワークに対する作業を、画像認識処理を行うことなく、実施することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
最良の形態の水流式保持装置は、浮遊部分を有するワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路、給水口および排水口を有する水槽と、水槽に水を循環させるポンプと、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができる保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段と、前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を備え、前記誘水路の上流で水中に投入された前記ワークが、前記捕捉位置に到達すると、第1センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が前記ワークを保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置が、押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御し、第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする水流式姿勢制御装置である。
【0014】
前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることが好ましい。特に、ワークが形状調整済みの植物の苗である場合には、前記捕捉上板の開口保持爪はU字形状に構成され、前記捕捉下板の開口保持爪はY字形状に構成されていることが好ましい。浮遊部分に近い捕捉上板をU字形状に構成することで、ガイドから捕捉上板への受け渡し時における苗の動き・傾きの自由度を小さくすることができるからである。
【0015】
前記誘水路の上流に、投入具および噴水口を設け、該投入具に投入されたワークを噴水口からの噴水により、前記ワークを水中に流入させてから前記誘水路に供給することで、ワークの投入を自動化することが好ましい。
投入具としては、表面に水が流れる滑り台様の投入台、同じく表面に水が流れる漏斗、および金網等で構成され、水槽に投入されたワークを一定時間水中に止める強制投入箱などが例示される。
【0016】
ワークが軽量且つ脆弱である場合には、ワークの表面に付着した水滴の表面張力を利用してワークの姿勢制御を行っている。ワークとそれを囲む部材の隙間を狭くすることにより、水滴がワークを周囲へ表面張力で引っ張る力が作用する。
【0017】
なお、開口保持爪は、固定の構成を開示したが、ワークの形状が変化する場合等、開口保持爪の開き具合を調節した方がよい場合には、開口保持爪を可動に構成してもよい。
なおまた、ワークの種別によっては、捕捉上板の近傍で押部材による押し込みを行ってもよい。
【0018】
上記の水流式姿勢制御装置と他の産業用ロボットとを組み合わせてシステムを構成することで、連続的に搬送される浮遊部分を有するワークに対する作業が可能となる。例えば、ワークが苗である場合には、植込装置と組み合わせることで、植込作業を自動化することが可能である。
【0019】
上記の浮遊部分を有するワークは、自然物、人工物のいずれかに限定されるものではないが、特に細部の形状が非定型であり、且つ、棒状部分を有する自然物(加工が施されたものも含む)に好適である。
【0020】
以下では、本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
本実施例は、ユーカリ苗を自動で植え込むための植込システムに関し、図1に示すように、水流式保持装置10と、植え込み装置5と、搬送装置6とを主たる構成要素とする。
本実施例でワーク9として用いたユーカリの苗は、インビトロでの培養するために必要な下葉等の切断作業が施されたものであり、全長約20mm、重量0.1g未満のものである。
【0022】
《構成》
水流式保持装置10は、水槽2と、保持部3(ピックアップ装置)と、姿勢制御装置4とから構成される。水槽2には給水口7と排水口8が設けられており、これらは水源1に接続されている。水源1にはポンプが設けられており、給水口7から水を供給し、排水口8から水を吸引することで水槽2内に一定方向の水流を生じさせている。
【0023】
図2に示すように、水槽2にはガイド12と誘水路13が配設される。誘水路13は、緩やかな勾配が設けられており、水源1のポンプと協働して、誘水路13は上流方向(図2の左側)から下流方向(図2の右側)一定の水流が生じている。ここで、誘水路13に勾配を設けないとワーク9が進退動することがあり、また勾配が急すぎるとワーク9の姿勢が乱れることがあるので、ポンプの能力を加味しながら適切な範囲(例えば、3〜5度の範囲)で勾配を調整するのが好ましい。
【0024】
ガイド12は、誘水路13にV字状に設けられた2枚の薄い板であり、捕捉位置近傍の路は略平行に構成されている。すなわち、ガイド12の側壁は略Y字形状を構成している。そして、このガイド12により、浮遊部分を有するワーク9は、誘水路13の捕捉位置に誘導される。
誘水路13の捕捉位置には、保持部3と、姿勢制御装置4と図示しない光電センサが配設されている。光電センサがワーク9を検出すると、保持部3がワーク9を把持し、姿勢制御装置4により把持されたワーク9の姿勢が補正される。
【0025】
図3に示すように、保持部3は、U字形の開口保持爪を具備する捕捉上板31と、Y字形の開口保持爪を具備する捕捉下板32とを有する。捕捉下板32がY字形になっているのは、ワーク9が押し込まれた際に、開口保持爪の間隙が狭くなることで姿勢制御を行うことができるからである。捕捉下板32のみがY字形になっているのは、ワーク9が水流方向と直交する方向に傾いていても捕捉可能とするためである。ユーカリ苗の植え込み作業においては、下端部近傍を把持して植え込みを行わないと、苗の茎の部分が折れてしまうことがあるため、下端部近傍の姿勢を適切にすることが大切となる。
ワーク9をピックアップする際には、捕捉上板31はD1に位置し、ワーク9の姿勢制御を行う際には、捕捉上板31が上昇しD2に位置する。捕捉上板31の上昇時には、ストッパー37に当接部材36が当接し、捕捉下板32は上昇を阻まれ、捕捉上板31だけが上昇する。上昇中も、捕捉上板31と捕捉下板32の開口の位置関係は支持柱35と位置規定部材34により規定されるため、ずれることはない(図9参照)。ストッパー37と当接部材36が当接しない状態では、弾性部材33により捕捉上板31はD1に位置される。
【0026】
図4に示すように、ガイド12a、12bの終端部が捕捉位置であり、捕捉上板31のU字の開口が対向して配置される。本実施例では、捕捉上板31は、その上面が水面下2〜6mmの位置に配される。水面からの距離が小さ過ぎるとガイド12に葉がくっつくという問題が生じ、水面からの距離が大き過ぎると苗が倒れるという問題が生じるので、最適に調整する必要がある。ガイド12の始端部は、ワーク9が浮上中であり、姿勢が安定しないので、間口を広くとり、水位も深く設定している(ガイド12の始端部の上面が水面から10〜15mmの位置に配置される。)。捕捉上板31は、水流で葉を板に押し込むよう作用させるべく、水平に配置するのが好ましい。
また、ガイド12a、12bの終端部の幅と同幅である。捕捉上板31の開口の幅は、ガイド12a、12bの終端部の幅と異なると、水流により搬送されるワーク9が、捕捉上板31の開口先端に引っかかったり、捕捉上板31の開口の外に流されてしまうことが想定されるからである。本実施例では、ユーカリ苗の茎径が約1mmであることから、捕捉時のワーク9の自由度を考慮し、捕捉上板31の開口幅を約2mmとした。
ガイド12a、12bの終端部の幅は、誘水路の側面13a、13bがテーパー状であるため、ガイド12a、12bを前後することで、それらの終端部の幅を調整することができる。
また、傾いたワーク9を捕捉するためには、捕捉上板31の開口幅が、捕捉下板32の開口幅より狭いことが好ましい。ワーク9であるユーカリ苗は、浮遊部分を支点に傾いていることが通常であり、茎の長さが長ければ長いほど、ユーカリ苗の下端は、捕捉下板32の開口中心からずれた場所に位置するからである。本実施例では、捕捉下板32の開口幅を約7mmとした。
ワーク9が傾くことが多い作業条件下においては、捕捉上板31と捕捉下板32の距離および開口幅の最適化をはかる必要がある。種々のワークに対応できるように、これらの値を調節可能となるよう上下の捕捉板を構成してもよい。
【0027】
図5および図6に示すように、姿勢制御装置4は、保持部3と直交する押部材41を有する。押部材41は、捕捉上板31と捕捉下板32の間でワーク9を上下の捕捉板に押し込むよう作用する。押部材41が捕捉下板32の近傍でワーク9を押すのは、植込装置5がワーク9の下端部近傍を把持するからである。
押部材41によりワーク9を押し込む際には、ワーク9が開口保持爪の開口の最奥部に当接する直前で停止するのが好ましい。本実施例で用いるワーク9であるユーカリの苗は、脆弱物であり、上下の捕捉板の有する開口保持爪と押部材41とで挟まれると損傷が生じるおそれがあるからである。本実施例では、ワーク9の表面に付着した水滴による表面張力を積極的に利用していることが特徴的である。すなわち、ワーク9の表面に付着した水滴と捕捉下板32の開口保持爪とが接触すると、表面張力によりワーク9が捕捉下板32の開口保持爪と所定の距離に位置する力が作用し、一方では押部材41にも表面張力が作用するので苗が略垂直に起立するのである(図7参照)。ユーカリ苗に限らずワーク9が表面の水滴を保持する性質の軽量物である場合には、表面張力を利用することでワーク9の姿勢制御を効果的に行うことができる。
【0028】
植込装置5は、開閉自在な把持爪51を有し、X軸搬送手段21、Y軸搬送手段22および図示しないZ軸搬送手段により、XYZ方向に移動自在に構成されている。植込装置5は、保持部3が保持するワーク9を受け取り、植込用ケース11にワーク9を植え込むことができる。
【0029】
《作動》
本実施例の装置の作動は、図8aおよび図8bを参照しながら説明する。
水槽2に水道等から水を供給し、誘水路上が所定の水深となるように調節する。電源を投入すると、各装置が待機位置に移動する。植込用ケース11が所定の位置に無い場合には、搬送装置6が作動して植込用ケース11を所定の位置まで搬送する。
続いて、浮遊部分を有するワーク9が、水槽2に溜められた水の中に投入される。水中に投入するのは、ワーク9に付着した気泡により、ワークの姿勢が崩れるのを防ぐためである。ワーク9を一度水中に沈めることにより、ワーク9に付着した気泡が離脱し、ワーク9本来の姿勢を確保することができるからである。ここで、ワーク9本来の姿勢とは、浮遊部分の少なくとも一部が水面上に露出し、浮遊部分と反対に位置する部位が水中に沈んだ状態を指し、本実施例ではユーカリの葉が水面側に位置し、ユーカリの茎側が水中に位置する状態である。
【0030】
水中から浮上したワーク9は、ガイド12に導かれて、保持部3(ピックアップ装置)の待機位置まで流される。ワーク9が保持部3の捕捉板に到達すると、光電センサがワーク9の存在を検知し、保持部3を上昇させる。保持部3に保持されたワーク9が、水上の所定の位置に移動されると、姿勢制御装置4が前進する。この際、姿勢制御装置4の押部材41と保持部の有する開口保持爪の開口の最奥部との距離は、ワーク9であるユーカリ苗の茎径よりも僅かに大きい距離である。上述のとおり、ユーカリ苗のような脆弱物を押部材と開口保持爪で挟むと損傷させるおそれがあり、間隙が一定以下となれば表面張力によりユーカリ苗を起立させることができるからである。本実施例においては、押部材41と保持部3の有する開口保持爪の開口の最奥部との距離は、0.5〜1mmの範囲で適宜調節可能である。
ワーク9が略垂直に起立すると、ワーク9の受渡位置の調節が行われる。受渡位置の調節は、捕捉下板32から下方に延出するワーク9の長さを調節することにより行う。すなわち、捕捉下板32から下方に延出するワーク9の長さが植込み量となり、これが不適切であると、茎挿し時に苗が屈曲するおそれがある。図9に示すように、植込み量の調整は、光電センサが反応する間、捕捉上板31を上昇移動することで行われる。
【0031】
植込み量の調整が終了すると、植込装置5が前進し、保持部3が保持するワーク9を把持爪51(ピンセット)により把持する。続いて、姿勢制御装置4が待機位置まで後退し、植込装置5が保持部3と干渉しない位置まで横移動する。保持部3が待機位置まで下降し、並行して植込装置5が後退・横進して待機位置まで移動する。待機位置にてワーク9があること(脱落等していないこと)を植込装置5のセンサ(図示せず)が検知すると、植込装置5が前進・横進して植込位置まで移動し、植込位置で下降し、ワーク9の植え込みを行い、その後待機位置へ移動する。ワーク9がない場合には、把持爪51を開いた状態で次のワーク9が搬送されるまで待機する。
以上の工程が、所望の数の植込用ケース11への植込作業が終了するまで繰り返される。
【0032】
以上の構成および作動を有する本実施例の装置は、次の特徴を有する。
1)水を使うことにより苗の乾燥を抑制できるので、寿命が延びる。
2)苗を捕捉するにあたり苗の方向確認は不要となり、カメラ等の認識装置が不要となる。
3)苗投入部では、水による浮力・上昇流等が苗の姿勢制御の役目を果たしている。
4)誘水路に緩やかな勾配を設けることにより、水に重力が作用するので、複雑な乱流を排除し安定した流れを得ることができる。
5)ガイドとして薄い板を使用することにより、苗との接触面積を小さくし水の表面張力等の影響によるガイド12への苗の付着を防いでいる。
6)誘水路中のガイド12を、苗条件(形状・葉の数等)により水面下最適値(例えば、2mm)に設置することにより、葉と茎の両方をガイドして苗の倒れ防止と捕捉位置への誘導が可能である。
7)ガイド12の先端に直線部分を設けることにより、誘導した苗の流れを安定させピックアップ装置への移管をスムーズにしている。
8)保持部3の捕捉板を2枚の板で構成することにより、水中では2枚の上下間隔を狭くすることで苗に多少の傾きがあっても捕捉することを可能とし、植込装置5への受渡し位置では2枚の上下間隔が自動的に広がり苗の倒れを小さくしている。
9)苗の捕捉位置にバラツキがあっても、姿勢制御装置4が苗を一定位置まで押し込むため、植込装置5への受渡し位置を一定とすることができる。
10)姿勢制御装置4の押し板と保持部3の捕捉板の隙間に発生する水の表面張力により苗を起立させることで苗をほぼ垂直に起立させることを可能としているので、掴み替えによる姿勢制御が不要となる。
11)苗の植込み部近傍を垂直に立てて把持するため、曲った苗であっても植込み部分を垂直に植えることができる。
【実施例2】
【0033】
本実施例の植込システムは、実施例1の装置において、ワーク9の投入を自動化するために投入台等15の構成を設けたものである。
図10は、本実施例の植込システムの概要を示した構成図であり、実施例1と同一の要素については、符号を省略しており、また保持部3、姿勢制御装置4等も省略している。
本実施例においては、水槽2の上流に投入台15および邪魔板16を設け、噴水口18および19から水を噴射する構成である。かかる構成において、投入台15上に載置されたワーク9は、噴水口18からの水流により、水槽2内へ投入される。そして、水槽2の上方に配置された噴水口19により、ワーク9は水中に流入され、給水口7からの水流により、邪魔板16を越え、ガイド12の方へ誘導される。ガイド12に到達した後は、実施例1と同様の処理が行われる。
【実施例3】
【0034】
本実施例の植込システムは、実施例1の装置において、ワーク9の投入を自動化するために漏斗16等の構成を設けたものである。
図11は、本実施例の植込システムの概要を示した構成図であり、実施例1と同一の要素については、符号を省略しており、また保持部3、姿勢制御装置4等も省略している。
本実施例においては、水槽2の上流に漏斗17および噴水口18を設け、漏斗17内に水を噴射する構成である。かかる構成において、漏斗17に投入されたワーク9は、噴水口18からの水流により、水槽2に溜まった水の中へ流入される。そして、給水口7からの水流により、ガイド12の方へ誘導される。ガイド12に到達した後は、実施例1と同様の処理が行われる。
【実施例4】
【0035】
本実施例の植込システムは、実施例1の装置において、ワーク9の投入を自動化するために強制投入箱26等の構成を設けたものである。
図12は、本実施例の植込システムの概要を示した構成図であり、実施例1と同一の要素については、符号を省略しており、また保持部3、姿勢制御装置4等も省略している。
本実施例においては、水槽2の上流位置で上下に移動する強制投入箱26が配設されている。強制投入箱26は、シリンダー等の公知の駆動手段により上下に移動自在であり、開閉自在の扉27を有する。水槽2に投入されたワーク9は、金網製の強制投入箱で水中に押し込まれ、一定時間水になじませられる。その後、扉27が開き、下流側へワーク9を放流する。放流されたワーク9は、給水口7からの水流により、ガイド12の方へ誘導される。ガイド12に到達した後は、実施例1と同様の処理が行われる。
【実施例5】
【0036】
本実施例は、茎部が5mm程度にカットされた苗(短小茎の苗)に適した植込システムに関する。
短小茎の苗においては、ガイド12と水面の位置関係にも工夫が必要である。ガイド12の上面が水面下4mm以上に位置すると、苗の茎部を捉えることができず、ガイドの役割をなさず、一方で、ガイド12の上面が水面下1〜3mmの位置になるようにしても、ガイド12と葉が接触し、途中で止まってしまうという問題があるからである。発明者等は、種々の組み合わせを試した結果、ガイド12の高さ方向の中央位置と水面位置が同位となる場合には、苗が途中で止まることなく流れていくことを確認することができた。この場合、苗の誘導は、ガイド12と葉の接触において行うことになるため、ガイド12a、12bの間隔を狭くすることはできなくなる(図16参照)。
そこで、本実施例では、保持部3を網やスクリーン等で構成した捕捉板60を用いる態様とした。
なお、ガイド12a、12bの板厚が一定以上に厚い(例えば、5mm以上)と、板の側面に沿って表面張力が働き、そこに葉が触れるとくっついてしまうことがある。そのため、本実施例では、ガイド12a、12bの板厚を2mmに構成した。
【0037】
図13aは、L字形状の網61により、捕捉板60を構成する態様を開示するものである。図13aに開示される網61は、図14aの捕捉位置にてワーク9を捕捉する。図示しないセンサがワーク9の捕捉を検知すると、網61を上方に移動し、ピンセット等の把持爪によりワーク9を把持することを可能とする。
図13bは、垂直に設置された板状の縦格子62により、捕捉板60を構成する態様を開示するものである。図13bに開示される縦格子62は、図14bの捕捉位置にてワーク9を捕捉する。図示しないセンサがワーク9の捕捉を検知すると、縦格子62を90度回させ、ピンセット等の把持爪によりワーク9を把持することを可能とする。
図13cは、板状の縦格子62により、捕捉板60を構成する態様を開示するものである。図13cに開示される縦格子62は、図14bの捕捉位置にてワーク9を捕捉する。図示しないセンサがワーク9の捕捉を検知すると、ピンセット等の把持爪が縦格子62の格子の間隙に突入し、上昇移動することによりワーク9を把持することを可能とする。
【0038】
捕捉板60は、図13bや図13cに開示される縦格子62の態様に限定されず、図15aに開示されるように、網や横格子により構成してもよい。
また、網や格子の代わりに、メッシュ状のスクリーン63により捕捉板60を構成してもよい。この場合、図15bに開示されるように、スクリーン63にRを付けたり、勾配を設けて配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、観賞用植物、食用植物を問わず「茎挿し」の種類の作業に利用することができる。特に、種子を形成しない植物、種子繁殖が経済的・技術的理由で適さない植物(種子からより短サイクルで成長可能)、交配による品種特性の変化を嫌う植物において好適である。
他分野への技術転用も可能であり、主に工業分野で機械化が困難な作業に有効である。具体例としては、釣り用浮きの製造作業が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1に係る植込システムの概要構成図である。
【図2】実施例1に係る水槽の平面図および側面断面図である。
【図3】実施例1に係る保持部の平面図および側面図である。
【図4】実施例1に係るガイドと捕捉上板の接続箇所を示した平面図である。
【図5】実施例1に係る姿勢制御装置の平面図である。
【図6】実施例1に係る植込装置へのワークの受渡を説明するための側面図である。
【図7】実施例1に係る姿勢制御装置における姿勢制御を説明するための平面図である。
【図8a】実施例1に係る植込システムにおける作動を示した流れ図(1/2)である。
【図8b】実施例1に係る植込システムにおける作動を示した流れ図(2/2)である。
【図9】実施例1に係る保持部における植込み量の調整を説明するための側面図である。
【図10】実施例2に係る植込システムの平面図および側面断面図である。
【図11】実施例3に係る植込システムの平面図および側面断面図である。
【図12】実施例4に係る植込システムの平面図および側面断面図である。
【図13a】実施例5に係るワークの捕捉作業を説明するための図面(1/3)である。
【図13b】実施例5に係るワークの捕捉作業を説明するための図面(2/3)である。
【図13c】実施例5に係るワークの捕捉作業を説明するための図面(3/3)である。
【図14a】実施例5に係る水流式姿勢制御装置の捕捉位置を説明するための図面(1/2)である。
【図14b】実施例5に係る水流式姿勢制御装置の捕捉位置を説明するための図面(1/2)である。
【図15a】実施例5に係る捕捉板を説明するための図面(1/2)である。
【図15b】実施例5に係る捕捉板を説明するための図面(2/2)である。
【図16】実施例5に係るワークとガイドの関係を説明するための側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 水源
2 水槽
3 保持部(ピックアップ装置)
4 姿勢制御装置
5 植込装置
6 搬送装置
7 給水口
8 排水口
9 浮遊部分を有するワーク
10 水流式保持装置
11 植込用ケース
12 ガイド
13 誘水路
14 センサ
15 投入台
16 邪魔板
17 漏斗
18,19 噴水口
21 X軸搬送手段
22 Y軸搬送手段
25 仕切板
26 強制投入箱
27 扉
31 捕捉上板
32 捕捉下板
33 弾性部材(スプリング)
34 位置規定部材
35 支持柱
36 当接部材
37 ストッパー
41 押部材
51 把持爪(ピンセット)
61 網
62 縦格子
63 スクリーン
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊部分有するワークの水流式姿勢制御方法および装置に関し、例えば、水中に投入された葉部を有する苗の姿勢を制御可能な方法および装置に関する。なお、浮遊部分とは、水面上に少なくとも一部が露出する部位を指し、好ましくは本体の先端に位置する本体より幅広の形状(浮き頭部)であって、例えば、竹とんぼ形状、キノコ形状、浮き具形状等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
近年園芸作物や樹木の苗の生産においてこれまで行われてきた実生苗や挿し木苗での生産以外にマイクロプロパゲーションで優秀個体のクローンを大量増殖し、発根させて苗製品にする手法が広く普及してきている。
一般的な手法としては、成長組織点を生育環境内で植物個体から切出してインビトロ(透明容器内)で培養環境を与え、多芽体に成長させ、さらに継体培養により大量増殖させ、そして大量増殖させたそれぞれの幼芽を最適な大きさまでインビトロで成長させた後に、再び幼芽を分離し、発根用の容器に移し替え、再びインビトロで培養し発根完了後にクローン苗製品とするものがある。
【0003】
しかしながら、幼芽の移植を自動的に行うための移植システムとして、実用的なものはなかった。そこで、出願人等は、前記ロボットハンドをXYZ方向に移動可能に連結したマニピュレータと、前記ロボットハンドから受け取った苗を植込工程に受け渡す受渡用ハンドとを備える苗の移植補助ステーションを提言した(特許文献1,2)。
【0004】
ロボットによる植え付け作業の自動化に関する研究としては、例えば、視覚部の把持位置検出アルゴリズムによって検出された挿し穂の主茎下部をロボットハンドが把持して整形装置に移動し、葉を離脱しものを植え付け装置に供給するシステムが発表されている(非特許文献1〜3)。
【0005】
【特許文献1】特開2006−180862号公報
【特許文献2】特開2006−180863号公報
【非特許文献1】農業機械学会誌、VOL.60,NO.4,p.37-44
【非特許文献2】M.Takatsuji, Handbook of Plant Factory,Tokai University Press, pp. 123{159, 1997. 東海大学出版会編:「植物工場ハンドブック」, 東海大学出版会(1997), pp123-159
【非特許文献3】高山眞策シーエムシー出版 種苗生産システム (1992 初版2002 普及版pp180)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
連続的に搬送されるワークを把持する作業においては、画像認識処理とワークの姿勢補正が必要なため、作業の完全な機械化が実現されていなかった。
ワークが非定型物である場合においては、より問題は深刻である。非定型物であるワークとしては、代表的なものに植物の苗がある。苗の育成に伴うコストの大半は人件費であり、またウィルス混入による品質低下を防ぐことができるため、機械化により生産コストを大幅に削減することができる産業分野である。苗の培養工程については機械化が進んでいるが、植込工程については、苗の姿勢を揃えて受け渡しをする必要があるため、機械化が充分に進んでいなかった。
【0007】
本発明は、連続的に搬送される浮遊部分を有するワークに対する作業を、画像認識処理を行うことなく、実施することを可能とする方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者は、ワークを水に浮かべることで、ワークの姿勢制御を行うことの着想を得た。しかし、ワークを単純に水槽へ放り込むだけでは、壁等にワークが付着するなどして捕捉位置まで届かないなどの課題があった。
例えば、ワークが苗である場合には、次のような不具合がある。
ア)繊毛による水のはじきにより、苗が水面上で逆立つ。
イ)繊毛間に包含された空気により、苗が水面上に浮く。
ウ)苗自身からしみ出す油により、水をはじき水面上に浮く。
エ)水のなじみがよすぎることにより、葉が上方に位置してはいるが水面上にでていない。
オ)ア)〜エ)が複合することにより、水中の姿勢が安定せず横向き、半沈み等把持に適さない姿勢となる。
【0009】
そこで、発明者は、ワークを水中に投入することで、ワーク自身の浮力と水流の相乗効果から、浮遊部分が上方に位置する姿勢でワークを流下させることを可能とした。ワークの水中への投入手段としては、次のものが例示される。
1)直接投入
ピンセット等で把持し、直接苗を水中深くに投入する。
2)投入台(スライダー)の利用
投入部分に勾配を有する投入台を設け、投入台上に水を流す。これにより、苗がガイドへ付着することを防ぐとともに、投入時間の短縮化と位置誘導を行う。なお、苗の種類や状態によっては、水中深く苗を沈めるべく、投入台の終端部に水を噴射したり、投入台の終端部の手前に邪魔板を設けたりしてもよい。
3)漏斗の利用
投入部分に漏斗を設け、壁面に沿って水を流す。水流は、漏斗上から水中へ向かう渦流を起こし、苗が回転しながら水中へ深く入る。苗が回転することにより、包含した空気や油の放出を促進し水中姿勢を安定させることができる。
4)強制投入箱の利用
水槽へ任意投入した苗を金網(スクリーン含む)製の強制投入箱で水中に押しこみ、一定時間水になじませた後に、下流側へ苗を放流する。強制投入箱の作動は、手動で行うこともできるが、シリンダーやロボットなどにより自動で行うことが好ましい。
【0010】
すなわち、本発明は、次の(1)ないし(7)の水流式姿勢制御方法を要旨とする。
(1)水が循環する水槽内に投入された浮遊部分を有するワークの姿勢制御方法であって、前記水槽は、前記ワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路を有し、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを設け、前記誘水路の上流で前記ワークを水中に投入し、捕捉位置に到達した前記ワークを前記保持部が保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置の押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御方法。
(2)前記保持部は、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができ、前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を設け、第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする(1)のワークの水流式姿勢制御方法。
(3)前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることを特徴とする(2)または(3)のワークの水流式姿勢制御方法。
(4)前記捕捉上板の開口幅と前記ガイドの終端部のガイドの開口幅が同幅であり、前記捕捉下板の開口幅が前記捕捉上板の開口幅と比べ広いことを特徴とする(3)のワークの水流式姿勢制御方法。
(5)前記押部材による押し込みを、前記押部材と前記開口保持爪の開口の最奥部との距離が、ワークの幅より僅かに広くなるまで行い、前記ワークに付着した水の表面張力により前記ワークの姿勢を制御することを特徴とする(1)ないし(4)のいずれかのワークの水流式制御方法。
(6)前記誘水路の上流に、投入具および噴水口を設け、該投入具に投入されたワークを噴水口からの噴水により、前記ワークを水中に流入させてから前記誘水路に供給することを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかのワークの水流式制御方法。
(7)前記ワークが、浮遊部分を有する植物の苗であることを特徴とする(1)ないし(6)のいずれかのワークの水流式制御方法。
【0011】
また、本発明は、次の(8)ないし(14)の水流式制御装置を要旨とする。
(8)浮遊部分を有するワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路、給水口および排水口を有する水槽と、水槽に水を循環させるポンプと、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを備え、前記誘水路の上流で水中に投入された前記ワークが、前記捕捉位置に到達すると、第1センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が前記ワークを保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置が、押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御装置。
(9)前記保持部は、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができ、前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を設け、第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする(8)のワークの水流式姿勢制御装置。
(10)前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることを特徴とする(8)または(9)のワークの水流式姿勢制御装置。
(11)前記捕捉上板の開口幅と前記ガイドの終端部のガイドの開口幅が同幅であり、前記捕捉下板の開口幅が前記捕捉上板の開口幅と比べ広いことを特徴とする(10)のワークの水流式姿勢制御装置。
(12)前記押部材による押し込みを、前記押部材と前記開口保持爪の開口の最奥部との距離が、調節可能であることを特徴とする(8)ないし(11)のいずれかのワークの水流式制御装置。
(13)前記誘水路の上流に、前記ワークを水中に流入させるための投入具および噴水口を備えることを特徴とする(8)ないし(12)のいずれかのワークの水流式制御装置。
(14)前記ワークが、浮遊部分を有する植物の苗であることを特徴とする(8)ないし(13)のいずれかのワークの水流式制御装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、連続的に搬送される浮遊部分を有するワークに対する作業を、画像認識処理を行うことなく、実施することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
最良の形態の水流式保持装置は、浮遊部分を有するワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路、給水口および排水口を有する水槽と、水槽に水を循環させるポンプと、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができる保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段と、前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を備え、前記誘水路の上流で水中に投入された前記ワークが、前記捕捉位置に到達すると、第1センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が前記ワークを保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置が、押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御し、第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする水流式姿勢制御装置である。
【0014】
前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることが好ましい。特に、ワークが形状調整済みの植物の苗である場合には、前記捕捉上板の開口保持爪はU字形状に構成され、前記捕捉下板の開口保持爪はY字形状に構成されていることが好ましい。浮遊部分に近い捕捉上板をU字形状に構成することで、ガイドから捕捉上板への受け渡し時における苗の動き・傾きの自由度を小さくすることができるからである。
【0015】
前記誘水路の上流に、投入具および噴水口を設け、該投入具に投入されたワークを噴水口からの噴水により、前記ワークを水中に流入させてから前記誘水路に供給することで、ワークの投入を自動化することが好ましい。
投入具としては、表面に水が流れる滑り台様の投入台、同じく表面に水が流れる漏斗、および金網等で構成され、水槽に投入されたワークを一定時間水中に止める強制投入箱などが例示される。
【0016】
ワークが軽量且つ脆弱である場合には、ワークの表面に付着した水滴の表面張力を利用してワークの姿勢制御を行っている。ワークとそれを囲む部材の隙間を狭くすることにより、水滴がワークを周囲へ表面張力で引っ張る力が作用する。
【0017】
なお、開口保持爪は、固定の構成を開示したが、ワークの形状が変化する場合等、開口保持爪の開き具合を調節した方がよい場合には、開口保持爪を可動に構成してもよい。
なおまた、ワークの種別によっては、捕捉上板の近傍で押部材による押し込みを行ってもよい。
【0018】
上記の水流式姿勢制御装置と他の産業用ロボットとを組み合わせてシステムを構成することで、連続的に搬送される浮遊部分を有するワークに対する作業が可能となる。例えば、ワークが苗である場合には、植込装置と組み合わせることで、植込作業を自動化することが可能である。
【0019】
上記の浮遊部分を有するワークは、自然物、人工物のいずれかに限定されるものではないが、特に細部の形状が非定型であり、且つ、棒状部分を有する自然物(加工が施されたものも含む)に好適である。
【0020】
以下では、本発明の詳細を実施例により説明するが、本発明は何ら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
本実施例は、ユーカリ苗を自動で植え込むための植込システムに関し、図1に示すように、水流式保持装置10と、植え込み装置5と、搬送装置6とを主たる構成要素とする。
本実施例でワーク9として用いたユーカリの苗は、インビトロでの培養するために必要な下葉等の切断作業が施されたものであり、全長約20mm、重量0.1g未満のものである。
【0022】
《構成》
水流式保持装置10は、水槽2と、保持部3(ピックアップ装置)と、姿勢制御装置4とから構成される。水槽2には給水口7と排水口8が設けられており、これらは水源1に接続されている。水源1にはポンプが設けられており、給水口7から水を供給し、排水口8から水を吸引することで水槽2内に一定方向の水流を生じさせている。
【0023】
図2に示すように、水槽2にはガイド12と誘水路13が配設される。誘水路13は、緩やかな勾配が設けられており、水源1のポンプと協働して、誘水路13は上流方向(図2の左側)から下流方向(図2の右側)一定の水流が生じている。ここで、誘水路13に勾配を設けないとワーク9が進退動することがあり、また勾配が急すぎるとワーク9の姿勢が乱れることがあるので、ポンプの能力を加味しながら適切な範囲(例えば、3〜5度の範囲)で勾配を調整するのが好ましい。
【0024】
ガイド12は、誘水路13にV字状に設けられた2枚の薄い板であり、捕捉位置近傍の路は略平行に構成されている。すなわち、ガイド12の側壁は略Y字形状を構成している。そして、このガイド12により、浮遊部分を有するワーク9は、誘水路13の捕捉位置に誘導される。
誘水路13の捕捉位置には、保持部3と、姿勢制御装置4と図示しない光電センサが配設されている。光電センサがワーク9を検出すると、保持部3がワーク9を把持し、姿勢制御装置4により把持されたワーク9の姿勢が補正される。
【0025】
図3に示すように、保持部3は、U字形の開口保持爪を具備する捕捉上板31と、Y字形の開口保持爪を具備する捕捉下板32とを有する。捕捉下板32がY字形になっているのは、ワーク9が押し込まれた際に、開口保持爪の間隙が狭くなることで姿勢制御を行うことができるからである。捕捉下板32のみがY字形になっているのは、ワーク9が水流方向と直交する方向に傾いていても捕捉可能とするためである。ユーカリ苗の植え込み作業においては、下端部近傍を把持して植え込みを行わないと、苗の茎の部分が折れてしまうことがあるため、下端部近傍の姿勢を適切にすることが大切となる。
ワーク9をピックアップする際には、捕捉上板31はD1に位置し、ワーク9の姿勢制御を行う際には、捕捉上板31が上昇しD2に位置する。捕捉上板31の上昇時には、ストッパー37に当接部材36が当接し、捕捉下板32は上昇を阻まれ、捕捉上板31だけが上昇する。上昇中も、捕捉上板31と捕捉下板32の開口の位置関係は支持柱35と位置規定部材34により規定されるため、ずれることはない(図9参照)。ストッパー37と当接部材36が当接しない状態では、弾性部材33により捕捉上板31はD1に位置される。
【0026】
図4に示すように、ガイド12a、12bの終端部が捕捉位置であり、捕捉上板31のU字の開口が対向して配置される。本実施例では、捕捉上板31は、その上面が水面下2〜6mmの位置に配される。水面からの距離が小さ過ぎるとガイド12に葉がくっつくという問題が生じ、水面からの距離が大き過ぎると苗が倒れるという問題が生じるので、最適に調整する必要がある。ガイド12の始端部は、ワーク9が浮上中であり、姿勢が安定しないので、間口を広くとり、水位も深く設定している(ガイド12の始端部の上面が水面から10〜15mmの位置に配置される。)。捕捉上板31は、水流で葉を板に押し込むよう作用させるべく、水平に配置するのが好ましい。
また、ガイド12a、12bの終端部の幅と同幅である。捕捉上板31の開口の幅は、ガイド12a、12bの終端部の幅と異なると、水流により搬送されるワーク9が、捕捉上板31の開口先端に引っかかったり、捕捉上板31の開口の外に流されてしまうことが想定されるからである。本実施例では、ユーカリ苗の茎径が約1mmであることから、捕捉時のワーク9の自由度を考慮し、捕捉上板31の開口幅を約2mmとした。
ガイド12a、12bの終端部の幅は、誘水路の側面13a、13bがテーパー状であるため、ガイド12a、12bを前後することで、それらの終端部の幅を調整することができる。
また、傾いたワーク9を捕捉するためには、捕捉上板31の開口幅が、捕捉下板32の開口幅より狭いことが好ましい。ワーク9であるユーカリ苗は、浮遊部分を支点に傾いていることが通常であり、茎の長さが長ければ長いほど、ユーカリ苗の下端は、捕捉下板32の開口中心からずれた場所に位置するからである。本実施例では、捕捉下板32の開口幅を約7mmとした。
ワーク9が傾くことが多い作業条件下においては、捕捉上板31と捕捉下板32の距離および開口幅の最適化をはかる必要がある。種々のワークに対応できるように、これらの値を調節可能となるよう上下の捕捉板を構成してもよい。
【0027】
図5および図6に示すように、姿勢制御装置4は、保持部3と直交する押部材41を有する。押部材41は、捕捉上板31と捕捉下板32の間でワーク9を上下の捕捉板に押し込むよう作用する。押部材41が捕捉下板32の近傍でワーク9を押すのは、植込装置5がワーク9の下端部近傍を把持するからである。
押部材41によりワーク9を押し込む際には、ワーク9が開口保持爪の開口の最奥部に当接する直前で停止するのが好ましい。本実施例で用いるワーク9であるユーカリの苗は、脆弱物であり、上下の捕捉板の有する開口保持爪と押部材41とで挟まれると損傷が生じるおそれがあるからである。本実施例では、ワーク9の表面に付着した水滴による表面張力を積極的に利用していることが特徴的である。すなわち、ワーク9の表面に付着した水滴と捕捉下板32の開口保持爪とが接触すると、表面張力によりワーク9が捕捉下板32の開口保持爪と所定の距離に位置する力が作用し、一方では押部材41にも表面張力が作用するので苗が略垂直に起立するのである(図7参照)。ユーカリ苗に限らずワーク9が表面の水滴を保持する性質の軽量物である場合には、表面張力を利用することでワーク9の姿勢制御を効果的に行うことができる。
【0028】
植込装置5は、開閉自在な把持爪51を有し、X軸搬送手段21、Y軸搬送手段22および図示しないZ軸搬送手段により、XYZ方向に移動自在に構成されている。植込装置5は、保持部3が保持するワーク9を受け取り、植込用ケース11にワーク9を植え込むことができる。
【0029】
《作動》
本実施例の装置の作動は、図8aおよび図8bを参照しながら説明する。
水槽2に水道等から水を供給し、誘水路上が所定の水深となるように調節する。電源を投入すると、各装置が待機位置に移動する。植込用ケース11が所定の位置に無い場合には、搬送装置6が作動して植込用ケース11を所定の位置まで搬送する。
続いて、浮遊部分を有するワーク9が、水槽2に溜められた水の中に投入される。水中に投入するのは、ワーク9に付着した気泡により、ワークの姿勢が崩れるのを防ぐためである。ワーク9を一度水中に沈めることにより、ワーク9に付着した気泡が離脱し、ワーク9本来の姿勢を確保することができるからである。ここで、ワーク9本来の姿勢とは、浮遊部分の少なくとも一部が水面上に露出し、浮遊部分と反対に位置する部位が水中に沈んだ状態を指し、本実施例ではユーカリの葉が水面側に位置し、ユーカリの茎側が水中に位置する状態である。
【0030】
水中から浮上したワーク9は、ガイド12に導かれて、保持部3(ピックアップ装置)の待機位置まで流される。ワーク9が保持部3の捕捉板に到達すると、光電センサがワーク9の存在を検知し、保持部3を上昇させる。保持部3に保持されたワーク9が、水上の所定の位置に移動されると、姿勢制御装置4が前進する。この際、姿勢制御装置4の押部材41と保持部の有する開口保持爪の開口の最奥部との距離は、ワーク9であるユーカリ苗の茎径よりも僅かに大きい距離である。上述のとおり、ユーカリ苗のような脆弱物を押部材と開口保持爪で挟むと損傷させるおそれがあり、間隙が一定以下となれば表面張力によりユーカリ苗を起立させることができるからである。本実施例においては、押部材41と保持部3の有する開口保持爪の開口の最奥部との距離は、0.5〜1mmの範囲で適宜調節可能である。
ワーク9が略垂直に起立すると、ワーク9の受渡位置の調節が行われる。受渡位置の調節は、捕捉下板32から下方に延出するワーク9の長さを調節することにより行う。すなわち、捕捉下板32から下方に延出するワーク9の長さが植込み量となり、これが不適切であると、茎挿し時に苗が屈曲するおそれがある。図9に示すように、植込み量の調整は、光電センサが反応する間、捕捉上板31を上昇移動することで行われる。
【0031】
植込み量の調整が終了すると、植込装置5が前進し、保持部3が保持するワーク9を把持爪51(ピンセット)により把持する。続いて、姿勢制御装置4が待機位置まで後退し、植込装置5が保持部3と干渉しない位置まで横移動する。保持部3が待機位置まで下降し、並行して植込装置5が後退・横進して待機位置まで移動する。待機位置にてワーク9があること(脱落等していないこと)を植込装置5のセンサ(図示せず)が検知すると、植込装置5が前進・横進して植込位置まで移動し、植込位置で下降し、ワーク9の植え込みを行い、その後待機位置へ移動する。ワーク9がない場合には、把持爪51を開いた状態で次のワーク9が搬送されるまで待機する。
以上の工程が、所望の数の植込用ケース11への植込作業が終了するまで繰り返される。
【0032】
以上の構成および作動を有する本実施例の装置は、次の特徴を有する。
1)水を使うことにより苗の乾燥を抑制できるので、寿命が延びる。
2)苗を捕捉するにあたり苗の方向確認は不要となり、カメラ等の認識装置が不要となる。
3)苗投入部では、水による浮力・上昇流等が苗の姿勢制御の役目を果たしている。
4)誘水路に緩やかな勾配を設けることにより、水に重力が作用するので、複雑な乱流を排除し安定した流れを得ることができる。
5)ガイドとして薄い板を使用することにより、苗との接触面積を小さくし水の表面張力等の影響によるガイド12への苗の付着を防いでいる。
6)誘水路中のガイド12を、苗条件(形状・葉の数等)により水面下最適値(例えば、2mm)に設置することにより、葉と茎の両方をガイドして苗の倒れ防止と捕捉位置への誘導が可能である。
7)ガイド12の先端に直線部分を設けることにより、誘導した苗の流れを安定させピックアップ装置への移管をスムーズにしている。
8)保持部3の捕捉板を2枚の板で構成することにより、水中では2枚の上下間隔を狭くすることで苗に多少の傾きがあっても捕捉することを可能とし、植込装置5への受渡し位置では2枚の上下間隔が自動的に広がり苗の倒れを小さくしている。
9)苗の捕捉位置にバラツキがあっても、姿勢制御装置4が苗を一定位置まで押し込むため、植込装置5への受渡し位置を一定とすることができる。
10)姿勢制御装置4の押し板と保持部3の捕捉板の隙間に発生する水の表面張力により苗を起立させることで苗をほぼ垂直に起立させることを可能としているので、掴み替えによる姿勢制御が不要となる。
11)苗の植込み部近傍を垂直に立てて把持するため、曲った苗であっても植込み部分を垂直に植えることができる。
【実施例2】
【0033】
本実施例の植込システムは、実施例1の装置において、ワーク9の投入を自動化するために投入台等15の構成を設けたものである。
図10は、本実施例の植込システムの概要を示した構成図であり、実施例1と同一の要素については、符号を省略しており、また保持部3、姿勢制御装置4等も省略している。
本実施例においては、水槽2の上流に投入台15および邪魔板16を設け、噴水口18および19から水を噴射する構成である。かかる構成において、投入台15上に載置されたワーク9は、噴水口18からの水流により、水槽2内へ投入される。そして、水槽2の上方に配置された噴水口19により、ワーク9は水中に流入され、給水口7からの水流により、邪魔板16を越え、ガイド12の方へ誘導される。ガイド12に到達した後は、実施例1と同様の処理が行われる。
【実施例3】
【0034】
本実施例の植込システムは、実施例1の装置において、ワーク9の投入を自動化するために漏斗16等の構成を設けたものである。
図11は、本実施例の植込システムの概要を示した構成図であり、実施例1と同一の要素については、符号を省略しており、また保持部3、姿勢制御装置4等も省略している。
本実施例においては、水槽2の上流に漏斗17および噴水口18を設け、漏斗17内に水を噴射する構成である。かかる構成において、漏斗17に投入されたワーク9は、噴水口18からの水流により、水槽2に溜まった水の中へ流入される。そして、給水口7からの水流により、ガイド12の方へ誘導される。ガイド12に到達した後は、実施例1と同様の処理が行われる。
【実施例4】
【0035】
本実施例の植込システムは、実施例1の装置において、ワーク9の投入を自動化するために強制投入箱26等の構成を設けたものである。
図12は、本実施例の植込システムの概要を示した構成図であり、実施例1と同一の要素については、符号を省略しており、また保持部3、姿勢制御装置4等も省略している。
本実施例においては、水槽2の上流位置で上下に移動する強制投入箱26が配設されている。強制投入箱26は、シリンダー等の公知の駆動手段により上下に移動自在であり、開閉自在の扉27を有する。水槽2に投入されたワーク9は、金網製の強制投入箱で水中に押し込まれ、一定時間水になじませられる。その後、扉27が開き、下流側へワーク9を放流する。放流されたワーク9は、給水口7からの水流により、ガイド12の方へ誘導される。ガイド12に到達した後は、実施例1と同様の処理が行われる。
【実施例5】
【0036】
本実施例は、茎部が5mm程度にカットされた苗(短小茎の苗)に適した植込システムに関する。
短小茎の苗においては、ガイド12と水面の位置関係にも工夫が必要である。ガイド12の上面が水面下4mm以上に位置すると、苗の茎部を捉えることができず、ガイドの役割をなさず、一方で、ガイド12の上面が水面下1〜3mmの位置になるようにしても、ガイド12と葉が接触し、途中で止まってしまうという問題があるからである。発明者等は、種々の組み合わせを試した結果、ガイド12の高さ方向の中央位置と水面位置が同位となる場合には、苗が途中で止まることなく流れていくことを確認することができた。この場合、苗の誘導は、ガイド12と葉の接触において行うことになるため、ガイド12a、12bの間隔を狭くすることはできなくなる(図16参照)。
そこで、本実施例では、保持部3を網やスクリーン等で構成した捕捉板60を用いる態様とした。
なお、ガイド12a、12bの板厚が一定以上に厚い(例えば、5mm以上)と、板の側面に沿って表面張力が働き、そこに葉が触れるとくっついてしまうことがある。そのため、本実施例では、ガイド12a、12bの板厚を2mmに構成した。
【0037】
図13aは、L字形状の網61により、捕捉板60を構成する態様を開示するものである。図13aに開示される網61は、図14aの捕捉位置にてワーク9を捕捉する。図示しないセンサがワーク9の捕捉を検知すると、網61を上方に移動し、ピンセット等の把持爪によりワーク9を把持することを可能とする。
図13bは、垂直に設置された板状の縦格子62により、捕捉板60を構成する態様を開示するものである。図13bに開示される縦格子62は、図14bの捕捉位置にてワーク9を捕捉する。図示しないセンサがワーク9の捕捉を検知すると、縦格子62を90度回させ、ピンセット等の把持爪によりワーク9を把持することを可能とする。
図13cは、板状の縦格子62により、捕捉板60を構成する態様を開示するものである。図13cに開示される縦格子62は、図14bの捕捉位置にてワーク9を捕捉する。図示しないセンサがワーク9の捕捉を検知すると、ピンセット等の把持爪が縦格子62の格子の間隙に突入し、上昇移動することによりワーク9を把持することを可能とする。
【0038】
捕捉板60は、図13bや図13cに開示される縦格子62の態様に限定されず、図15aに開示されるように、網や横格子により構成してもよい。
また、網や格子の代わりに、メッシュ状のスクリーン63により捕捉板60を構成してもよい。この場合、図15bに開示されるように、スクリーン63にRを付けたり、勾配を設けて配置してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、観賞用植物、食用植物を問わず「茎挿し」の種類の作業に利用することができる。特に、種子を形成しない植物、種子繁殖が経済的・技術的理由で適さない植物(種子からより短サイクルで成長可能)、交配による品種特性の変化を嫌う植物において好適である。
他分野への技術転用も可能であり、主に工業分野で機械化が困難な作業に有効である。具体例としては、釣り用浮きの製造作業が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1に係る植込システムの概要構成図である。
【図2】実施例1に係る水槽の平面図および側面断面図である。
【図3】実施例1に係る保持部の平面図および側面図である。
【図4】実施例1に係るガイドと捕捉上板の接続箇所を示した平面図である。
【図5】実施例1に係る姿勢制御装置の平面図である。
【図6】実施例1に係る植込装置へのワークの受渡を説明するための側面図である。
【図7】実施例1に係る姿勢制御装置における姿勢制御を説明するための平面図である。
【図8a】実施例1に係る植込システムにおける作動を示した流れ図(1/2)である。
【図8b】実施例1に係る植込システムにおける作動を示した流れ図(2/2)である。
【図9】実施例1に係る保持部における植込み量の調整を説明するための側面図である。
【図10】実施例2に係る植込システムの平面図および側面断面図である。
【図11】実施例3に係る植込システムの平面図および側面断面図である。
【図12】実施例4に係る植込システムの平面図および側面断面図である。
【図13a】実施例5に係るワークの捕捉作業を説明するための図面(1/3)である。
【図13b】実施例5に係るワークの捕捉作業を説明するための図面(2/3)である。
【図13c】実施例5に係るワークの捕捉作業を説明するための図面(3/3)である。
【図14a】実施例5に係る水流式姿勢制御装置の捕捉位置を説明するための図面(1/2)である。
【図14b】実施例5に係る水流式姿勢制御装置の捕捉位置を説明するための図面(1/2)である。
【図15a】実施例5に係る捕捉板を説明するための図面(1/2)である。
【図15b】実施例5に係る捕捉板を説明するための図面(2/2)である。
【図16】実施例5に係るワークとガイドの関係を説明するための側面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 水源
2 水槽
3 保持部(ピックアップ装置)
4 姿勢制御装置
5 植込装置
6 搬送装置
7 給水口
8 排水口
9 浮遊部分を有するワーク
10 水流式保持装置
11 植込用ケース
12 ガイド
13 誘水路
14 センサ
15 投入台
16 邪魔板
17 漏斗
18,19 噴水口
21 X軸搬送手段
22 Y軸搬送手段
25 仕切板
26 強制投入箱
27 扉
31 捕捉上板
32 捕捉下板
33 弾性部材(スプリング)
34 位置規定部材
35 支持柱
36 当接部材
37 ストッパー
41 押部材
51 把持爪(ピンセット)
61 網
62 縦格子
63 スクリーン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が循環する水槽内に投入された浮遊部分を有するワークの姿勢制御方法であって、
前記水槽は、前記ワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路を有し、
開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを設け、
前記誘水路の上流で前記ワークを水中に投入し、捕捉位置に到達した前記ワークを前記保持部が保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置の押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御方法。
【請求項2】
前記保持部は、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができ、
前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を設け、
第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする請求項1のワークの水流式姿勢制御方法。
【請求項3】
前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることを特徴とする請求項2または3のワークの水流式姿勢制御方法。
【請求項4】
前記捕捉上板の開口幅と前記ガイドの終端部のガイドの開口幅が同幅であり、前記捕捉下板の開口幅が前記捕捉上板の開口幅と比べ広いことを特徴とする請求項3のワークの水流式姿勢制御方法。
【請求項5】
前記押部材による押し込みを、前記押部材と前記開口保持爪の開口の最奥部との距離が、ワークの幅より僅かに広くなるまで行い、前記ワークに付着した水の表面張力により前記ワークの姿勢を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかのワークの水流式制御方法。
【請求項6】
前記誘水路の上流に、投入具および噴水口を設け、
該投入具に投入されたワークを噴水口からの噴水により、前記ワークを水中に流入させてから前記誘水路に供給することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかのワークの水流式制御方法。
【請求項7】
前記ワークが、浮遊部分を有する植物の苗であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかのワークの水流式制御方法。
【請求項8】
浮遊部分を有するワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路、給水口および排水口を有する水槽と、水槽に水を循環させるポンプと、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを備え、
前記誘水路の上流で水中に投入された前記ワークが、前記捕捉位置に到達すると、第1センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が前記ワークを保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置が、押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御装置。
【請求項9】
前記保持部は、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができ、
前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を設け、
第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする請求項8のワークの水流式姿勢制御装置。
【請求項10】
前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることを特徴とする請求項8または9のワークの水流式姿勢制御装置。
【請求項11】
前記捕捉上板の開口幅と前記ガイドの終端部のガイドの開口幅が同幅であり、前記捕捉下板の開口幅が前記捕捉上板の開口幅と比べ広いことを特徴とする請求項10のワークの水流式姿勢制御装置。
【請求項12】
前記押部材による押し込みを、前記押部材と前記開口保持爪の開口の最奥部との距離が、調節可能であることを特徴とする請求項8ないし11のいずれかのワークの水流式制御装置。
【請求項13】
前記誘水路の上流に、前記ワークを水中に流入させるための投入具および噴水口を備えることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかのワークの水流式制御装置。
【請求項14】
前記ワークが、浮遊部分を有する植物の苗であることを特徴とする請求項8ないし13のいずれかのワークの水流式制御装置。
【請求項1】
水が循環する水槽内に投入された浮遊部分を有するワークの姿勢制御方法であって、
前記水槽は、前記ワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路を有し、
開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを設け、
前記誘水路の上流で前記ワークを水中に投入し、捕捉位置に到達した前記ワークを前記保持部が保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置の押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御方法。
【請求項2】
前記保持部は、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができ、
前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を設け、
第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする請求項1のワークの水流式姿勢制御方法。
【請求項3】
前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることを特徴とする請求項2または3のワークの水流式姿勢制御方法。
【請求項4】
前記捕捉上板の開口幅と前記ガイドの終端部のガイドの開口幅が同幅であり、前記捕捉下板の開口幅が前記捕捉上板の開口幅と比べ広いことを特徴とする請求項3のワークの水流式姿勢制御方法。
【請求項5】
前記押部材による押し込みを、前記押部材と前記開口保持爪の開口の最奥部との距離が、ワークの幅より僅かに広くなるまで行い、前記ワークに付着した水の表面張力により前記ワークの姿勢を制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかのワークの水流式制御方法。
【請求項6】
前記誘水路の上流に、投入具および噴水口を設け、
該投入具に投入されたワークを噴水口からの噴水により、前記ワークを水中に流入させてから前記誘水路に供給することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかのワークの水流式制御方法。
【請求項7】
前記ワークが、浮遊部分を有する植物の苗であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかのワークの水流式制御方法。
【請求項8】
浮遊部分を有するワークを捕捉位置に誘導するガイドが配設された勾配のある誘水路、給水口および排水口を有する水槽と、水槽に水を循環させるポンプと、開口保持爪を有する捕捉上板および開口保持爪を有する捕捉下板を具備し、ワークを捕捉位置で保持する保持部と、保持部と直交する押部材によりワークの姿勢を制御する姿勢制御装置と、捕捉位置におけるワークの存在を検出する第1センサ手段とを備え、
前記誘水路の上流で水中に投入された前記ワークが、前記捕捉位置に到達すると、第1センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が前記ワークを保持したまま上昇し、前記姿勢制御装置が、押部材による押し込みにより前記ワークの姿勢を制御することを特徴とするワークの水流式姿勢制御装置。
【請求項9】
前記保持部は、捕捉上板と捕捉下板を離間させることができ、
前記保持部の捕捉下板から下方に延出するワークの最下端を検出する第2センサ手段を設け、
第2センサ手段からの信号に基づき、前記保持部が捕捉上板および捕捉下板を離間して受渡位置を調節することを特徴とする請求項8のワークの水流式姿勢制御装置。
【請求項10】
前記捕捉上板および/または前記捕捉下板の開口保持爪が、Y字形状および/またはU字形状に構成されることを特徴とする請求項8または9のワークの水流式姿勢制御装置。
【請求項11】
前記捕捉上板の開口幅と前記ガイドの終端部のガイドの開口幅が同幅であり、前記捕捉下板の開口幅が前記捕捉上板の開口幅と比べ広いことを特徴とする請求項10のワークの水流式姿勢制御装置。
【請求項12】
前記押部材による押し込みを、前記押部材と前記開口保持爪の開口の最奥部との距離が、調節可能であることを特徴とする請求項8ないし11のいずれかのワークの水流式制御装置。
【請求項13】
前記誘水路の上流に、前記ワークを水中に流入させるための投入具および噴水口を備えることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかのワークの水流式制御装置。
【請求項14】
前記ワークが、浮遊部分を有する植物の苗であることを特徴とする請求項8ないし13のいずれかのワークの水流式制御装置。
【図4】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図7】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13a】
【図13b】
【図13c】
【図14a】
【図14b】
【図15a】
【図15b】
【図16】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【公開番号】特開2008−237111(P2008−237111A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82215(P2007−82215)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(396005014)宝田電産株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(396005014)宝田電産株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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