説明

ワーク保持装置の着脱支持機構及びワーク保持装置交換支持装置

【課題】 簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成でありながら、ワークを保持するワーク保持装置をクロスバーに対して着脱可能に支持させることができるワーク保持装置の着脱支持機構を提供する。
【解決手段】 本発明は、クロスバー10に着脱可能に支持されてワークを保持・解放するワーク保持装置20の着脱支持機構であって、ワーク保持装置20側のガイドピン32と、クロスバー10側のガイドピン穴51と、を係合させることにより、ワーク保持装置20とクロスバー10との間で位置決めを行う一方、ワーク保持装置20とクロスバー10との相対移動を利用して前記位置決め位置にてこれらを係止させるラッチ機構54を備え、ラッチ機構54により係止させることでワーク保持装置20をクロスバー10に支持させ、ラッチ機構54による係止を解除することでワーク保持装置20をクロスバー10から解放可能したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを保持して搬送するワーク搬送装置におけるワーク保持装置の着脱支持機構、及び当該着脱支持機構を備えたワーク保持装置を支持しておくのに適したワーク保持装置交換支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、プレスマシン間などにおけるワークの搬送装置として、種々のものが提案されている。
例えば、ワーク搬送方向に略直交する方向に延在されるクロスバーユニットを備えたワーク搬送装置があり、例えば、特許文献1に記載されているように、ワーク搬送方向を横断するように配設されると共にワーク搬送方向に往復移動されるクロスバー2に、真空吸着や磁気吸着などによってワークを保持・解放するワークグリッパーアタッチメント4(特許文献1における符号4を参照)(ワーク保持装置)が取り付けられて構成されている。
【0003】
なお、このようなワークグリッパーアタッチメントは、ワークのサイズや形状などに応じて複数種類が準備され、段取り中に、ワークに対応して、使用するワークグリッパーアタッチメントに交換するといった作業が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−238633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、このような段取り中におけるワークグリッパーアタッチメントの交換を手作業で行う場合を想定すると、例えば特許文献1に記載された装置では、1つのワークグリッパーアタッチメント4に対してロック機構20(特許文献1における符号20を参照)が2つ備えられ、これらロック機構20はそれぞれ2つのロックピン22(同符号22を参照)を有しており、ワークグリッパーアタッチメント4をクロスバー2(同符号2を参照)から着脱するときには、4つのロックピン22を同時にテーパ穴15(同符号15を参照)から外すことが必要な構成となっているため、2人以上での作業が必要となるおそれがある。
このため、特許文献1に記載された装置において手作業にてワークグリッパーアタッチメントの交換作業を行う場合には、作業効率が悪いといった実情がある。
【0006】
なお、ワークグリッパーアタッチメントの交換を自動で行わせるようにした場合、例えば特許文献1に記載された装置では、前述同様に、1つのワークグリッパーアタッチメント4に対してロック機構20が2つ備えられ、これらロック機構20はそれぞれ2つのロックピン22を有しており、ワークグリッパーアタッチメント4をクロスバー2から着脱するときには、4つのロックピン22を同時にテーパ穴15から外すことが必要な構成となっている。
【0007】
そのため、特許文献1に記載された装置では、使用しないワークグリッパーアタッチメント4を支持しておくための受け台26(同符号26を参照)に、ロックピン22をテーパ穴15から外すためのアンロックシリンダー30(アクチュエータ)を複数台備えることが必要な構成となっているが、かかるアンロックシリンダー30(アクチュエータ)を複数台備えた構成とした場合には、装置が複雑化し、重量やサイズが大きくなると共に、高コスト化するおそれがある。
【0008】
また、特許文献1に記載された装置は、ワークグリッパーアタッチメント4に備えられる一対のロック機構20にはそれぞれ2つのロックピン22が備えられているため、重量が嵩むおそれがある。
【0009】
なお、ワークの搬送速度の高速化延いてはプレス加工の高速化(生産効率の向上)の要請があり、ワークグリッパーアタッチメントが取り付けられたクロスバーにあってもプレス間を比較的高速で往復移動されることになるため、ワークグリッパーアタッチメントはできるだけ軽量化することが望まれる。ワークグリッパーアタッチメントの重量が嵩むと、ワークの搬送速度(クロスバーの往復移動速度)を上げようとすると、慣性力が大きいため振動等が大きくなるなど、所定レベル以上にワーク搬送速度を上げることができないといった実情がある。
【0010】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成でありながら、容易かつ円滑に、ワークを保持するワーク保持装置をクロスバーに対して着脱可能に支持させることができるワーク保持装置の着脱支持機構を提供することを目的とすると共に、更に、当該着脱支持機構を備えたワーク保持装置を支持しておくのに適したワーク保持装置交換支持装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、当該ワーク保持装置の着脱支持機構及びワーク保持装置交換支持装置を利用することで、簡単にワーク保持装置をクロスバーなどに対して交換可能として、段取り作業を容易かつ迅速で効率の良い正確なものとすること、延いては段取り作業時間の短縮により生産効率の向上等を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、本発明に係るワーク保持装置の着脱支持機構は、
プレスマシンのワーク搬送方向に略直交して延在するクロスバーに着脱可能に支持されてワークを保持・解放するワーク保持装置の着脱支持機構であって、
ワーク保持装置側に設けられる少なくとも1つのガイドピン若しくは該ガイドピンを嵌挿して係合するガイドピン穴の一方と、
該一方に対応してクロスバー側に設けられる少なくとも1つのガイドピン若しくはガイドピン穴の他方と、
が備えられ、
ガイドピンとガイドピン穴とを嵌挿して係合させることにより、ワーク保持装置とクロスバーとの間で、ガイドピンの挿入方向に略直交する方向への位置決めを行うと共に、
ワーク保持装置とクロスバーとのガイドピンの挿入方向における突き当てによりガイドピンの挿入方向における位置決めを行う一方で、
ガイドピンとガイドピン穴とを嵌挿して係合させる際のワーク保持装置とクロスバーとの相対移動を利用して、ガイドピンの挿入方向における位置決め位置にてこれらを係止させるラッチ機構を備え、
前記ラッチ機構によりガイドピンの挿入方向における位置決め位置にてワーク保持装置とクロスバーを係止させることでワーク保持装置をクロスバーに支持させ、前記ラッチ機構によるワーク保持装置とクロスバーとの係止を解除することでワーク保持装置をクロスバーから解放可能とすることにより、ワーク保持装置をクロスバーに着脱可能に支持可能に構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記ラッチ機構は、
ワーク保持装置若しくはクロスバーの一方に備えられ、ワーク保持装置とクロスバーとの相対移動による両者の接近に従い他方に当接して弾性付勢力に抗して退避される一方で、ガイドピンの挿入方向における位置決め位置まで両者が接近したときに弾性付勢力により係合位置へ移動されてワーク保持装置とクロスバーとを係止させる係合部
を含んで構成されたことを特徴とすることができる。
【0014】
本発明において、ガイドピンの挿入方向における位置決め位置にてワーク保持装置とクロスバーとを係止している前記係合部を係合位置から弾性付勢力に抗して退避させることで、前記ラッチ機構によるワーク保持装置とクロスバーとの係止を解除することを特徴とすることができる。
【0015】
また、本発明に係るワーク保持装置交換支持装置は、
本発明に係るワーク保持装置の着脱支持機構により着脱可能にクロスバーに支持されたワーク保持装置をクロスバーから受け取って支持するワーク保持装置交換支持装置であって、
ワーク保持装置の一部を収容する溝と、
溝内からワーク保持装置の一部に向けて弾性付勢されつつ突出する係合ピンと、
を備え、
クロスバーに支持されながら移送されるワーク保持装置の一部を前記溝に収容しつつ、係合ピンにより溝内の所定位置においてワーク保持装置を保持する一方、
該溝への収容動作に連動して解除ピンをラッチ機構の係合部に作用させて、当該係合部を係合位置から弾性付勢力に抗して退避させ、該ラッチ機構によるワーク保持装置とクロスバーとの係止を解除してワーク保持装置をクロスバーから解放することにより、
ワーク保持装置をワーク保持装置交換支持装置が支持し、クロスバーを他の位置へ移動可能な状態とすることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るワーク保持装置交換支持装置において、
ワーク保持装置交換支持装置が支持しているワーク保持装置を、クロスバーが受け取るために接近してきた場合に、そのクロスバーの接近動作に伴って、ガイドピンとガイドピン穴とによりワーク保持装置とクロスバーとの位置決めを行いながら、ラッチ機構の係合部がクロスバーとワーク保持装置とを係止させることで、クロスバーがワーク保持装置を支持する一方、
ワーク保持装置を支持したクロスバーが他の位置へ移動する際に、その移動動作に伴って、弾性付勢力に抗して前記係合ピンが退避され、前記溝内でのワーク保持装置の保持を解放することを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成でありながら、容易かつ円滑に、ワークを保持するワーク保持装置をクロスバーなどに対して着脱可能に支持させることができるワーク保持装置の着脱支持機構を提供することができると共に、当該着脱支持機構を備えたワーク保持装置を支持しておくのに適したワーク保持装置交換支持装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明によれば、本発明に係るワーク保持装置の着脱支持機構及びワーク保持装置交換支持装置を利用することで、簡単にワーク保持装置をクロスバーなどに対して交換可能として、段取り作業を容易かつ迅速で効率の良い正確なものとすること、延いては段取り作業時間の短縮により生産効率の向上等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る一実施の形態に係るプレス機械のワーク搬送装置の全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】同上実施の形態のプレス機械のワーク搬送装置を構成するクロスバー、ワーク保持装置、更にワーク保持装置交換台車に備えられたワーク保持装置交換支持台をワーク搬送方向上流側(若しくは下流側)から見た図である。
【図3】図2のクロスバー、ワーク保持装置、更にワーク保持装置交換台車に備えられたワーク保持装置交換支持台を図2の左側から見た側面図である。
【図4】(A)は、本実施の形態に係るクロスバーがワーク保持装置交換支持台に支持されているワーク保持装置を受け取りに行く場合の動作の様子を上方から見た図((B)のA−A断面図)であり、(B)は(A)の動作の様子を図3左方向(ワークの搬送方向)から見た図であり、(C)はクロスバーとワーク保持装置のラッチ機構による係止(ロック)動作の様子を説明するために上方から見た図((D)のB−B断面図)であり、(D)は(C)の動作の様子を図3左方向(ワークの搬送方向)から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係るプレス機械(プレスマシン)のワーク搬送装置に利用されるワーク保持装置の着脱支持機構の一例を示す実施の形態について、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0021】
本実施の形態に係るプレス機械のワーク搬送装置は、例えばプレスマシン間においてワークWを搬送するために利用される。
なお、このようなワーク搬送装置としては、例えば、プレスマシン間に設けられた柱等に設置されたアームを揺動させてワークを搬送するアーム方式のワーク搬送装置や、プレスマシン間に取り付けられたレール等に支持されたフィードバーを水平方向に移動させてワークを搬送するフィードバー方式のワーク搬送装置があり、本発明は何れの方式のワーク搬送装置においても適用可能である。
【0022】
ここでは、アーム方式のワーク搬送装置に適用した場合を例に説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るプレス機械のワーク搬送装置1は、クロスバー10に着脱可能に支持されているワーク保持装置20によってワークWを真空吸着等によって保持すると、その保持状態を維持して、ワーク搬送用駆動装置(図示省略)のスコットラッセル機構等にその基端側が連結される揺動アーム2を揺動させることで、この揺動アーム2の先端に連結されたクロスバー10を搬送方向下流側に略水平に移動させ、ワーク保持装置20延いてはワークWを搬送方向下流側へ搬送することができるように構成されている。
【0023】
そして、このようにして、揺動アーム2の揺動によりワークWを搬送方向下流側の所定位置まで搬送すると、ワーク保持装置20による真空吸着等を解放してワークWを解放する。
【0024】
その後、次のワークWの保持のために、ワーク搬送用駆動装置は揺動アーム2を逆方向(搬送方向上流側)に揺動させることで、この揺動アーム2の先端に連結されたクロスバー10を搬送方向上流側に略水平に移動させ、ワーク保持装置20を原位置(次のワークWの保持を開始する位置)へ復帰させるようになっている。
【0025】
なお、図1に示すように、ワークWを2枚同時に搬送するような場合には、その搬送途中にワーク保持装置20をクロスバー10の長手方向(ワークシフト方向)に沿って移動させて、ワークWのクロスバー10の長手方向位置(ワーク搬送方向横方向位置)を次工程のプレスマシンの金型位置に対応させることが可能な横方向移動機構(ワークシフト機構)を備えた構成を採用することも可能である。
【0026】
ところで、図1では、2つのワーク保持装置20がそれぞれ1枚のワークWを保持することで2枚のワークWを同時に搬送する例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2つのワーク保持装置20により1枚のワークWを保持して搬送する場合などにも適用可能である。
【0027】
ここにおいて、プレスマシンで成形するワークWを変更する場合、ワークWの形状やサイズなどの変更を伴うため、ワークWの形状やサイズに適合したワーク保持装置20に交換することが必要になる場合がある。
【0028】
このような場合、本実施の形態では、プレスマシン(図示せず)の外側にワーク保持装置交換台車90を配置し、クロスバー10に取り付けるワーク保持装置20を自動で交換することができるように構成されている。
【0029】
ワーク保持装置交換台車90は、例えば複数台準備されており、通常、図2右側(或いは左側若しくは下側など)のクロスバー10などの可動部と干渉しない位置に退避しているが、段取り作業において、クロスバー10に取り付けるワーク保持装置20を自動で交換する際には、以下のようにして交換作業が行われるようになっている。
【0030】
なお、図2では、クロスバー10のアタッチメントホルダー43が正面の位置へ持ち来されているが、ワーク搬送中は、図1に示すように、クロスバー10のアタッチメントホルダー43は下側を向く位置にセットされる。すなわち、クロスバー10はその長手方向軸周りに回動可能に構成されることができる。
【0031】
図2では、例えば左側のワーク保持装置交換支持台91Aがワーク保持装置20を保持しておらず、右側のワーク保持装置交換支持台91Bが、次に成形されるワークWに見合ったワーク保持装置20を保持した状態のワーク保持装置交換台車90の一例を示している。
【0032】
かかる状態のワーク保持装置交換台車90は、図2左側のワーク保持装置交換支持台91Aがクロスバー10の左側のアタッチメントホルダー43付近(X位置付近)に位置するようにプレスマシン左右方向に沿って移動し、クロスバー10のX位置付近のアタッチメントホルダー43から今まで使用していた交換されるべきワーク保持装置20を受け取る。
【0033】
次に、図2右側のワーク保持装置交換支持台91Bが、クロスバー10の左側のアタッチメントホルダー43付近(X位置付近)に位置するようにワーク保持装置交換台車90は移動して、右側のワーク保持装置交換支持台91Bが支持している次に使用予定のワーク保持装置20を、クロスバー10のX位置付近のアタッチメントホルダー43へ渡した後、元の退避位置へ戻る。
【0034】
このようなワーク保持装置20の受け渡しを、クロスバー10のそれぞれのアタッチメントホルダー43に対して行うことで、ワーク保持装置20の自動交換が完了される。
【0035】
なお、本実施の形態では、一台のワーク保持装置交換台車90に2つのワーク保持装置交換支持台91A、91Bを立設した場合を例示したが、これに限らず、各ワーク保持装置交換台車にワーク保持装置交換支持台を一つずつ設け、それぞれ独立して移動させてクロスバー10との間でワーク保持装置20を受け渡すような構成とすることができる。
【0036】
ワーク保持装置交換台車90に取り付けられているワーク保持装置交換支持台91A(91B)は、図2、図3に示すように、ワーク保持装置20のアタッチメント23をその内側に招き入れて支持する断面略コ字状の受け台92を有し、受け台92の断面略コ字状の両側に伸びる側部にはワーク保持装置20のアタッチメント23の両側部23A、23Bを嵌脱することができる溝93が設けられている。
【0037】
なお、溝93は、その挿入方向下流側末端部はアタッチメント23の両側部23A、23Bの形状に合わせた円弧状となっており、この円弧状部分93Aでアタッチメント23の両側部23A、23Bと当接することで、受け台92に対するアタッチメント23の挿入方向における位置決めがなされるように構成されている。
【0038】
また、溝93の底部には、溝93に挿入されたアタッチメント23を位置決め位置に保持するためのプランジャー94が設けられている。
更に、受け台92には、ワーク保持装置20をロックするために利用される後述するラッチ54を解除する解除ピン95が設けられている。
【0039】
前記プランジャー94は、図3、図4(B)に詳細に示すように、外周にネジ溝が形成されると共に一側が開口され内側に空間を有する有底の円筒状の本体94aと、その内側空間に移動自在に挿入される係合ピン94bと、当該係合ピン94bを開口方向に付勢するバネ94cと、を有して構成されている。
【0040】
係合ピン94bの先端は、溝93の底部に臨み、底部から突出するように構成されている。なお、係合ピン94bの先端の突出位置は、図3に示すように、溝93の円弧状部分93Aにアタッチメント23の両側部23A、23Bが当接したときに、その位置決め位置にアタッチメント23が保持されるように、アタッチメント23の両側部23A、23Bを挟んで円弧状部分93Aとは反対側の位置で、係合ピン94bの先端がアタッチメント23の両側部23A、23Bと当接するような位置に設定されている。
【0041】
このような構成により、一定の力で、ワーク保持装置20のアタッチメント23を図3右側に押し込むと、前記係合ピン94bの先端の突出を押し込める方向の力が前記係合ピン94bに作用し、この力がバネ94cの弾性力を上回ると前記係合ピン94bの先端が押し込まれ、アタッチメント23の両側部23A、23Bが受け台92の溝93へ収容される。
【0042】
更に、アタッチメント23の両側部23A、23Bが溝93の円弧状部分93Aに当接される状態まで押し込まれると、前記係合ピン94bの先端が底部から突出してアタッチメント23の両側部23A、23Bと係合するようになるので、ワーク保持装置交換支持台91A(91B)の受け台92は、係合ピン94bの先端と円弧状部分93Aとの間で、アタッチメント23の両側部23A、23Bを挟み込むようにして、アタッチメント23延いてはワーク保持装置20を所定位置に保持することができるようになっている。
【0043】
この一方、一定の力で、ワーク保持装置20のアタッチメント23を図3左側に引っ張ると、アタッチメント23の両側部23A、23Bが図3左側に移動しようとして、前記係合ピン94bの先端の突出を押し込める方向の力が前記係合ピン94bに作用し、この力がバネ94cの弾性力を上回ると前記係合ピン94bの先端が押し込まれ、前記係合ピン94bの先端と、アタッチメント23の両側部23A、23Bと、の間の係合が解けて、ワーク保持装置交換支持台91A(91B)の受け台92からアタッチメント23延いてはワーク保持装置20を取り外すことができるようなっている。
【0044】
なお、ワーク保持装置20は、図2、図3等に示すように、ワークWを保持・解放するバキュームカップ21と、アタッチメント23に支持されバキュームカップ21を支持するパイプ状要素22と、パイプ22を支持すると共にクロスバー10のホルダー13を着脱(嵌脱)可能なアタッチメント23と、を含んで構成されている。
【0045】
アタッチメント23は、図3に示したように、断面略コ字状に形成され、その両側部23A、23Bは外周側が略円弧状に形成されていると共に、その中心付近にはパイプ状要素22を嵌挿支持する支持穴31がそれぞれ備えられている。
【0046】
また、これら支持穴31(両側部23A,23B)の内側の、アタッチメント23の断面略コ字状の底部には、図2、図4(B)、図4(D)に示すように、横方向(クロスバー10側に取り付けられているホルダー13と連結される側)に突出した2つのガイドピン32が設けられている。
【0047】
これらガイドピン32の先端は、図4(B)、図4(D)等に示すように、先細のテーパー形状に形成され、クロスバー10のホルダー13に開口されているガイドピン穴51との係合を円滑なものとしている。
なお、2つのガイドピン32の略中央付近には空気通路32Aが形成されている。
【0048】
アタッチメント23には、アタッチメント23の断面略コ字状の底部には、図3、図4(A)〜図4(D)に示されるように、クロスバー10のアタッチメントホルダー43に取り付けられているラッチ54と係合するためのストッパーブロック部33が設けられている。
【0049】
ラッチ54は、図4(A)、図4(C)に示すように、アタッチメントホルダー43からアタッチメント23側に突出して設けられ、ストッパーブロック部33側の表面が先細のテーパー形状(テーパー面54C)を有しその背面が平坦形状に形成されると共に、表面側のテーパ−面54Cは先端から基端側へ所定長さで終了し、その後ろ側には背面側に向けて進行する係合面54Dを有して構成されている。
【0050】
また、ラッチ54は、図4(A)、図4(C)に示す方向に弾性変形可能に構成され、例えば、アタッチメントホルダー43に一端が固定された板状のバネ要素(板バネ)54Aに、楔部54Bを取り付けたような構成とすることができる。
【0051】
このようなラッチ54と係合するストッパーブロック部33は、図4(A)、図4(C)に示すように、ラッチ54のテーパ−形状に対応するように、アタッチメント23の断面略コ字状の底部の開口側に突出すると共に、ラッチ54側に向かって先細のテーパー面33Aを有し、そのテーパー面33Aは先端から所定長さで終了しその後ろ側にはアタッチメント23の断面略コ字状の底部側に向けて進行する係合面33Bを有して構成されている。
【0052】
なお、ホルダー13は、図3に示すように、クロスバー10上に備えられていると共に、図4に示すように、クロスバー10上に備えられ該クロスバー10の長手方向に沿ってアタッチメントホルダー43の移動をガイドするガイドレール41と、クロスバー10上に備えられ出力部42Aがアタッチメントホルダー43に連結されアタッチメントホルダー43をクロスバー10の長手方向に移動駆動するアクチュエータ42(例えば、エアシリンダ、油圧シリンダなどの流体圧式アクチュエータ、或いはボールネジやラックアンドピニオンなどを利用した往復直線移動駆動可能なアクチュエータなど)と、ガイドレール41と係合されアクチュエータ42によってクロスバー10の長手方向に直線移動しワーク保持装置20を着脱(連結・解放)するアタッチメントホルダー43と、を含んで構成されている。
【0053】
そして、アタッチメントホルダー43には、ワーク保持装置20のアタッチメント23に備えられる2つのガイドピン32がそれぞれ嵌脱可能に挿入される2つのガイドピン穴51が設けられている。
【0054】
なお、ガイドピン穴51の底部には、ゴム、シリコンなどの樹脂製の弾性要素等からなるクッション52が備えられている。
【0055】
そして、クッション52には、該ガイドピン穴51にガイドピン32が嵌合された際に、ガイドピン32の略中央に開口されている空気通路32Aと連通する空気通路52Aが設けられている。
【0056】
このクッション52により、空気通路32Aと、空気通路52Aと、の間で他への気密性を保った連通がなされる。
【0057】
なお、空気通路32Aと、空気通路52Aと、の間の他への気密性を保った連通は、例えば、アタッチメント23延いてはワーク保持装置20での空気圧利用装置(バキュームカップ21や移動機構など)への空気圧供給通路として機能させることができるため、別個に空気供給管などを設ける必要がないので、構成の簡略化、低コスト化、軽量化、小型化などに貢献するものとなる。
【0058】
更に、空気通路32Aの開口によりガイドピン32の軽量化等にも貢献することができる。
【0059】
なお、アタッチメントホルダー43には、アタッチメント23側に突出して設けられ、アタッチメント23とは反対側の一端が固定され、他端に楔部54Bが取り付けられた板バネ54Aが備えられ、これら板バネ54Aと楔部54Bとによりラッチ54が構成されている。
【0060】
ところで、ガイドレール41やアクチュエータ42を省略して、クロスバー10にアタッチメントホルダー43を直接取り付けた構成とすることもできる。
【0061】
なお、ホルダー13がクロスバー10上にワーク保持装置20を保持し、ワーク保持装置20がワークWを保持(又は解放)しているため、段取り作業中は勿論、例えばワークWの搬送途中においても、ホルダー13のアクチュエータ42によりワーク保持装置20をクロスバー10の長手方向(図1のワークシフト方向)に移動駆動することができ、これによりワーク保持装置20延いてはワークWのクロスバー10の長手方向位置を適宜変更することができる。
【0062】
以上のような構成を備えた本実施の形態に係るワーク搬送装置におけるワーク保持装置の着脱支持機構は、以下のようにして、クロスバー10に対するワーク保持装置20の着脱(交換)を行うようになっている。
【0063】
<自動交換の場合>
ここでは、ワーク保持装置20を自動でクロスバー10に対して着脱して交換する場合について説明する。
【0064】
先ず、ワーク保持装置20を自動でクロスバー10に対して取り着ける場合について説明するが、かかる場合は、図3に示すように、ワーク保持装置交換支持台91A(91B)にワーク保持装置20が保持されている状態で、ワーク保持装置20を保持していないクロスバー10を元の位置Yからワーク保持装置着脱位置Zへ移動させる。
【0065】
次に、アクチュエータ42を駆動して出力部42Aを、図4(A)、図4(B)の状態から、図4中右方向(アタッチメント23側)へ移動させて、アタッチメントホルダー43をアタッチメント23に接近させる。
【0066】
これにより、図4(C)、図4(D)に示すように、アタッチメントホルダー43のガイドピン穴51と、アタッチメント23のガイドピン32と、が嵌合して相対的に位置決めされつつ、ガイドピン32がクッション52を押して、ガイドピン32の空気通路32Aと、クッション52の空気通路52Aと、が気密性を持って連結されるようになる。
【0067】
また、アタッチメントホルダー43のアタッチメント23への接近に伴い、アタッチメントホルダー43のラッチ54の楔部54Bが、アタッチメント23のストッパーブロック部33と当接するようになる。
【0068】
更に、アタッチメントホルダー43をアタッチメント23に接近させると、楔部54Bのテーパー面54Cがストッパーブロック部33のテーパー面33Aに押されて板バネ54Aが図4(A)において上方に弾性変形し、楔部54Bのテーパー面54Cがストッパーブロック部33のテーパー面33Aから逃げる方向に移動しながら、アタッチメントホルダー43とアタッチメント23とは接近することになる。
【0069】
このように、楔部54Bのテーパー面54Cがストッパーブロック部33の表面(テーパー面33Aなど)に倣うように移動しながら、アタッチメントホルダー43とアタッチメント23とは接近するが、その接近により、楔部54Bの係合面54Dが、ストッパーブロック部33の係合面33Bへ到達すると、係合面54Dと係合面33Bとが面接触するように楔部54Bがストッパーブロック部33側へ落とし込まれて、ラッチ54と、ストッパーブロック部33と、が係合し、図4(C)、図4(D)において左右方向に相対移動できない状態となる。
【0070】
なお、図4(C)、図4(D)では、ラッチ54と、ストッパーブロック部33と、の係合が解かれた状態を示しており、楔部54Bがストッパーブロック部33側へ落とし込まれて両者が係合しないように、解除ピン95がラッチ54の楔部54Bを押し上げて、ストッパーブロック部33側へ移動させないようにした状態を示している。
【0071】
ここで、図4(C)、図4(D)のような解除ピン95がラッチ54の楔部54Bを押し上げた状態から、解除ピン95による押し上げを解放して、楔部54Bをストッパーブロック部33側へ落とし込ませて、ラッチ54と、ストッパーブロック部33と、を係合させて、図4(C)、図4(D)において左右方向に相対移動できないロック状態とした後、クロスバー10をワーク保持装置着脱位置Zから図4中左方向へ移動させると、これに伴い、プランジャー94の係合ピン94bによる係合が解かれて、アタッチメントホルダー43に係合されたアタッチメント23はワーク保持装置交換支持台91A(91B)の受け台92の溝93から引き抜かれ、以ってワーク保持装置20はクロスバー10と一体となって原位置(プレス作業開始位置など)に移動されることになる。
【0072】
なお、自動的にワーク保持装置20をクロスバー10から取り外して、ワーク保持装置交換支持台91A(91B)の受け台92へ置く場合は、前述と逆の手順によりなすことができる。
【0073】
すなわち、
先ず、ワーク保持装置20を保持しているクロスバー10をワーク保持装置着脱位置Zへ移動させる。このとき、ワーク保持装置交換支持台91A(91B)の受け台92にはワーク保持装置20は保持されていない。
【0074】
この移動に伴い、アタッチメントホルダー43に係合しているアタッチメント23の両側部23A、23Bが、プランジャー94の係合ピン94bを押し下げながらワーク保持装置交換支持台91A(91B)の受け台92の溝93に収容される。
【0075】
そして、アタッチメント23の両側部23A、23Bが通過した後、プランジャー94の係合ピン94bは再び突出してアタッチメント23の図3左側への逆行を規制すると共に、解除ピン95がラッチ54の楔部54Bを押し上げ、アタッチメントホルダー43とアタッチメント23との係合が解かれる。
【0076】
これに合わせて、アクチュエータ42を駆動して出力部42Aを、図4(C)、図4(D)の状態から、図4左方向へ移動させると、プランジャー94の係合ピン94bによって溝93内にアタッチメント23は保持されるため、アタッチメント23をワーク保持装置交換支持台91A(91B)に残して、アタッチメントホルダー43のみが図4中左方向へ移動されて、図4(A)、図4(B)の状態となる。
【0077】
その後、ワーク保持装置20を解放したクロスバー10は、ワーク保持装置着脱位置Zから、例えば図3の元の位置Yへ戻される、或いは別のワーク保持装置交換支持台91A(91B)に支持されている別のワーク保持装置20を取りに行くために移動される。
【0078】
このようにして、本実施の形態に係るワーク保持装置の着脱支持機構によれば、簡単かつ低コスト、小型・軽量な構成でありながら、ワーク保持装置20を自動的にクロスバー10やワーク保持装置交換支持台等に対して着脱可能であり、以ってワーク保持装置20を迅速かつ円滑に着脱して交換することができる。
【0079】
<手動交換の場合>
続いて、ワーク保持装置20を、作業者の手動(マニュアル)作業によりクロスバー10に対して着脱して交換する場合について説明する。
【0080】
先ず、ワーク保持装置20をクロスバー10に対して取り着ける場合について説明するが、かかる場合、作業者は、ワーク保持装置20を持ち、アタッチメントホルダー43のガイドピン穴51に、アタッチメント23のガイドピン32を挿入することで、アタッチメントホルダー43とアタッチメント23との間で位置決めがなされつつ、ガイドピン32ガイドピン32がクッション52を押し、ガイドピン32の空気通路32Aと、クッション52の空気通路52Aと、の間で他への気密性を保った連結がなされる。
【0081】
また、アタッチメントホルダー43のアタッチメント23への接近に伴い、アタッチメントホルダー43のラッチ54が、アタッチメント23のストッパーブロック部33と自動的に係合してロックされ、ワーク保持装置20はクロスバー10に装着され一体化される。
【0082】
ワーク保持装置20をクロスバー10から取り外す場合は、作業者は、手作業により、アタッチメントホルダー43のラッチ54の楔部54Bを押し下げてストッパーブロック部33との係合(ロック)を解きつつ、アタッチメントホルダー43とアタッチメント23とを離間させることで、ワーク保持装置20をクロスバー10から取り外すことができる。
【0083】
このように、簡単な操作により、ワーク保持装置20をクロスバー10に対して着脱することができるため、作業者は一人(単独)でワーク保持装置20のクロスバー10に対する着脱(交換)作業を行うことができる。
【0084】
以上のように、本実施の形態に係るワーク保持装置の着脱支持機構によれば、ワーク保持装置20(アタッチメント23)側に配設される少なくとも1つのガイドピン(位置決めピン)32と、該ガイドピン32に対応してクロスバー10(アタッチメントホルダー43)側に設けられるガイドピン穴51と、の係合により、ワーク保持装置20とクロスバー10との間で、ガイドピン32の挿入方向に略直交する方向への位置決めを行うと共に、ワーク保持装置20(アタッチメント23)とクロスバー10(アタッチメントホルダー43)とのガイドピン32の挿入方向における突き当てによりガイドピン32の挿入方向における位置決めを行う一方で、
ワーク保持装置20(アタッチメント23)とクロスバー10(アタッチメントホルダー43)との相対移動を利用して、ガイドピン32の挿入方向における位置決め位置にてこれらを係止させるラッチ機構を備えて構成したので、簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成でありながら、容易かつ円滑にワーク保持装置20をクロスバー10に対して着脱可能に支持させることができるため、自動であっても、作業者による手作業であっても、ワーク保持装置20の交換作業等を伴う段取り作業を、容易かつ迅速で効率の良い正確なものとすることができ、延いては段取り作業時間の短縮により生産効率の向上等を図ることができる。
【0085】
なお、本実施の形態では、外周円状のガイドピン32と、それに対応するガイドピン穴51と、をそれぞれ2つずつ設けることで、ワーク保持装置20とクロスバー10との間で、ガイドピン32の挿入方向に略直交する方向への位置決めを行うようにしたが、これに限定されるものではなく、2つ以上のガイドピン及びガイドピン穴を備えた構成を採用することができる。
【0086】
更に、例えば、ガイドピンを1つだけ備え、そのガイドピンの外周形状を三角形や四角形などの多角形形状の他、外周の一部に平面を持つ形状(例えば半月形などの円形の一部を平面で切り欠いたような形状)とし、これに対応するガイドピン穴と係合させることにより、外周の一部に設けた平面を利用して、ワーク保持装置20とクロスバー10との間でガイドピン32の挿入方向に略直交する方向への位置決めを行うといった構成を採用することも可能である。
【0087】
また、本実施の形態では、クロスバー10(アタッチメントホルダー43)から、使用しないワーク保持装置20を支持しておくワーク保持装置交換支持台車90(受け台92)へワーク保持装置20を渡す場合には、クロスバー10(アタッチメントホルダー43)に保持されているワーク保持装置20(アタッチメント23)の受け入れ動作に連動して、自動的にラッチ機構によるラッチ54の楔部54Bを移動させて係合部から退避させ、ワーク保持装置20(アタッチメント23)とクロスバー10(アタッチメントホルダー43)との係止を解放するようにしたので、簡単な構成でありながら、容易かつ確実に、ワーク保持装置20(アタッチメント23)をクロスバー10(アタッチメントホルダー43)から解放させることができる。
【0088】
この一方で、クロスバー10(アタッチメントホルダー43)に保持されているワーク保持装置20(アタッチメント23)の受け入れ動作に連動して、ワーク保持装置20(アタッチメント23)をワーク保持装置交換支持台車90(受け台92)の溝93内に受け入れつつプランジャ94により係止させるようにしたので、ワーク保持装置20(アタッチメント23)をクロスバー10(アタッチメントホルダー43)から解放させた後において、クロスバー10(アタッチメントホルダー43)を退避させても、ワーク保持装置20(アタッチメント23)を落下等させることなくワーク保持装置交換支持台車90(受け台92)に保持させることができる。
【0089】
そして、本実施の形態では、クロスバー10(アタッチメントホルダー43)が、使用するワーク保持装置20が支持されたワーク保持装置交換支持台車90(受け台92)からワーク保持装置20を受け取る際には、受け取り動作に連動して、クロスバー10(アタッチメントホルダー43)が自動的にラッチ機構によるラッチ54の楔部54Bを移動させてワーク保持装置20(アタッチメント23)の係合部へ係合させることができるので、簡単な構成でありながら、容易かつ確実に、クロスバー10(アタッチメントホルダー43)はワーク保持装置20(アタッチメント23)を保持することができる。
【0090】
更に、クロスバー10(アタッチメントホルダー43)が保持したワーク保持装置20(アタッチメント23)をワーク保持装置交換支持台車90(受け台92)の溝93から引き抜く際には、その引き抜き動作によりプランジャ94による係止が自動的に解除されるため、簡単な構成でありながら、容易かつ確実に、クロスバー10(アタッチメントホルダー43)はワーク保持装置20(アタッチメント23)をワーク保持装置交換支持台車90(受け台92)から引き抜くことができる。
【0091】
従って、本実施の形態によれば、簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成でありながら、容易かつ円滑にワーク保持装置20をワーク保持装置交換支持台車90(受け台92)に自動的に受け渡すことができるため、ワーク保持装置20の交換作業等を伴う段取り作業を、容易かつ迅速で効率の良い正確なものとすることができ、延いては段取り作業時間の短縮により生産効率の向上等を図ることができる。
【0092】
以上のように、本実施の形態によれば、簡単かつ低コストで、軽量コンパクトな構成でありながら、容易かつ円滑に、ワークを保持するワーク保持装置をクロスバーなどに対して着脱可能に支持させることができるワーク保持装置の着脱支持機構を提供することができる。
【0093】
また、本実施の形態に係るワーク保持装置の着脱支持機構を利用することで、簡単にワーク保持装置をクロスバーなどに対して交換可能として、段取り作業を容易かつ迅速で効率の良い正確なものとすること、延いては段取り作業時間の短縮により生産効率の向上等を図ることができる。
【0094】
なお、本実施の形態に係るワーク保持装置の着脱支持機構によれば、簡単かつ軽量な構成のラッチ機構と、ガイドピン32及びガイドピン穴51と、により、ワーク保持装置20(アタッチメント23)をクロスバー10(アタッチメントホルダー43)に対して所定に位置決めしながら着脱可能に支持させる構成としたので、ワーク搬送の際の可動部分であるクロスバーユニット(クロスバー10、ワーク保持装置20)の重量延いては慣性力を小さくすることができるため、従来に対してワーク搬送速度(クロスバーの往復移動速度)を上昇させることができ延いては生産効率を向上させることができる。
【0095】
更に、ガイドピン32及びガイドピン穴51を空気圧供給通路として機能させることができるようにしたので、別個に空気供給管などをクロスバー10上に設ける必要がないので、ワーク搬送の際の可動部分であるクロスバーユニット(クロスバー10、ワーク保持装置20)の一層の軽量化、延いてはワーク搬送速度(クロスバーの往復移動速度)の向上等に貢献することができる。
【0096】
以上で説明した実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0097】
1 ワーク搬送装置
2 揺動アーム(ワーク搬送用駆動装置)
10 クロスバー
20 ワーク保持装置
23 アタッチメント
23A,23B アタッチメント両側部
21 バキュームカップ
22 パイプ状要素
13 ホルダー
32 ガイドピン
32A 空気通路
33 ストッパーブロック部
41 ガイドレール
42 アクチュエータ
43 アタッチメントホルダー
51 ガイドピン穴
52 クッション
52A 空気通路
54 ラッチ(ラッチ機構)
54A バネ要素(板バネ)
54B 楔部
90 ワーク保持装置交換台車
91A ワーク保持装置交換支持台(図2左側)
91B ワーク保持装置交換支持台(図2右側)
92 受け台
93 溝
94 プランジャー
94b 係合ピン
94c バネ(例えばコイルスプリングなど)
95 解除ピン
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレスマシンのワーク搬送方向に略直交して延在するクロスバーに着脱可能に支持されてワークを保持・解放するワーク保持装置の着脱支持機構であって、
ワーク保持装置側に設けられる少なくとも1つのガイドピン若しくは該ガイドピンを嵌挿して係合するガイドピン穴の一方と、
該一方に対応してクロスバー側に設けられる少なくとも1つのガイドピン若しくはガイドピン穴の他方と、
が備えられ、
ガイドピンとガイドピン穴とを嵌挿して係合させることにより、ワーク保持装置とクロスバーとの間で、ガイドピンの挿入方向に略直交する方向への位置決めを行うと共に、
ワーク保持装置とクロスバーとのガイドピンの挿入方向における突き当てによりガイドピンの挿入方向における位置決めを行う一方で、
ガイドピンとガイドピン穴とを嵌挿して係合させる際のワーク保持装置とクロスバーとの相対移動を利用して、ガイドピンの挿入方向における位置決め位置にてこれらを係止させるラッチ機構を備え、
前記ラッチ機構によりガイドピンの挿入方向における位置決め位置にてワーク保持装置とクロスバーを係止させることでワーク保持装置をクロスバーに支持させ、前記ラッチ機構によるワーク保持装置とクロスバーとの係止を解除することでワーク保持装置をクロスバーから解放可能とすることにより、ワーク保持装置をクロスバーに着脱可能に支持可能に構成したことを特徴とするワーク保持装置の着脱支持機構。
【請求項2】
前記ラッチ機構は、
ワーク保持装置若しくはクロスバーの一方に備えられ、ワーク保持装置とクロスバーとの相対移動による両者の接近に従い他方に当接して弾性付勢力に抗して退避される一方で、ガイドピンの挿入方向における位置決め位置まで両者が接近したときに弾性付勢力により係合位置へ移動されてワーク保持装置とクロスバーとを係止させる係合部
を含んで構成されたことを特徴とする請求項1に記載のワーク保持装置の着脱支持機構。
【請求項3】
ガイドピンの挿入方向における位置決め位置にてワーク保持装置とクロスバーとを係止している前記係合部を係合位置から弾性付勢力に抗して退避させることで、前記ラッチ機構によるワーク保持装置とクロスバーとの係止を解除することを特徴とするワーク保持装置の着脱支持機構。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1つに記載のワーク保持装置の着脱支持機構により着脱可能にクロスバーに支持されたワーク保持装置をクロスバーから受け取って支持するワーク保持装置交換支持装置であって、
ワーク保持装置の一部を収容する溝と、
溝内からワーク保持装置の一部に向けて弾性付勢されつつ突出する係合ピンと、
を備え、
クロスバーに支持されながら移送されるワーク保持装置の一部を前記溝に収容しつつ、係合ピンにより溝内の所定位置においてワーク保持装置を保持する一方、
該溝への収容動作に連動して解除ピンをラッチ機構の係合部に作用させて、当該係合部を係合位置から弾性付勢力に抗して退避させ、該ラッチ機構によるワーク保持装置とクロスバーとの係止を解除してワーク保持装置をクロスバーから解放することにより、
ワーク保持装置をワーク保持装置交換支持装置が支持し、クロスバーを他の位置へ移動可能な状態とすることを特徴とするワーク保持装置交換支持装置。
【請求項5】
ワーク保持装置交換支持装置が支持しているワーク保持装置を、クロスバーが受け取るために接近してきた場合に、そのクロスバーの接近動作に伴って、ガイドピンとガイドピン穴とによりワーク保持装置とクロスバーとの位置決めを行いながら、ラッチ機構の係合部がクロスバーとワーク保持装置とを係止させることで、クロスバーがワーク保持装置を支持する一方、
ワーク保持装置を支持したクロスバーが他の位置へ移動する際に、その移動動作に伴って、弾性付勢力に抗して前記係合ピンが退避され、前記溝内でのワーク保持装置の保持を解放することを特徴とする請求項5に記載のワーク保持装置交換支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−6185(P2013−6185A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138796(P2011−138796)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000100861)アイダエンジニアリング株式会社 (153)