説明

一眼レフレックスカメラ

【課題】暗い場所でのカメラ上面の操作部材の操作に必要な照明を確保するために、照明手段をカメラ上面の操作部材に組み込むと、操作部材の構成が複雑化する。
【解決手段】照明手段20がカメラ上面中央の突部10aの左右の側面にそれぞれ配置されて、突部10aを挟んでカメラ上面の領域10bで左右に分断された操作部材10U1〜10U6のいずれにも照明手段の照明光が照射されている。また、ライトボタン20aをプッシュして照明手段20をオンにするとタイマーが起動して所定時間の照明を行い、所定時間内にカメラ上面の操作部材10U1〜10U6のいずれかが操作されるとタイマーがリセットされて照明手段による所定時間の照明が繰り返される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフレックスカメラ、特に、一眼レフレックスカメラにおける上面の操作部材の照明に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、一眼レフレックスカメラにおいては、カメラの背面および上面の平坦部にモードダイヤルやシャッターボタンなどの操作部材や、液晶ディスプレー(LCD)などの表示部が配置されている。そして、操作部材に隣接してバックライト付のLCDがあれば、暗い場所でも操作部材を操作することができる。
【0003】
しかし、最近の一眼レフレックスカメラではカメラ背面にバックライト付のLCDを設ける反面、カメラ上面に設けたダイヤルやボタンは暗い場所では正確に操作できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラ上面の操作部材を暗い場所でも正確に操作できるように、カメラ上面のモードダイヤルやシャッターボタンなどの操作部材にLEDなどの照明部材を組み込んだ一眼レフレックスカメラが提案されている(たとえば、特開2001−005076号公報)。しかし、操作部材に照明部材を組み込んだ構成では、操作部材の構成の複雑化が避けられない。
本発明は、操作部材の構成を複雑化することなく暗い場所でもカメラ上面の操作部材の操作に必要な照明を確保できる一眼レフレックスカメラの提供を目的としている。
【特許文献1】特開2001−005076号公報
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の本発明によれば、ペンタプリズムを覆い、カメラ上面中央が凸状形状である突部を有した一眼レフレックスカメラにおいて、カメラ上面の上記突部以外の領域に配置された操作部材と、上記突部に配置されて、上記操作部材を照明する照明手段とを具備して構成されている。
また、請求項2記載の本発明によれば、照明手段は突部側面に配置されている。
さらに、請求項3記載の本発明によれば、操作部材は複数あり、照明手段は複数の操作部材のそれぞれに照明光を当てる照明配光手段を有している。
請求項4記載の本発明によれば、照明手段をオンにするとタイマーが起動して所定時間の照明を行い、所定時間内に操作部材が操作されるとタイマーがリセットされて照明手段による所定時間の照明が繰り返されている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の本発明では、照明手段を操作部材に組み込んでいないため、操作部材の構成が複雑化しない。そして、凸状形状の突部に配置された照明手段は、突部以外の領域に配置された操作部材を見下ろして照明するため、暗い場所でも操作部材の操作に必要な照明光が得られる。
請求項2記載の本発明では、突部側面に設けられた照明手段からの照明光が操作部材に効果的に照射されるため、暗い場所でも操作部材の操作に必要な照明光が容易に得られる。
請求項3記載の本発明では、照明手段の照明光が操作部材のいずれにも照射されるため、いずれの操作部材においても暗い場所での操作に必要な照明光が確保される。
請求項4記載の本発明では、照明手段をオンにしてから所定時間内に操作部材を操作すれば、所定時間の照明が繰り返され、無駄のない効率的な照明がなされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、照明手段がカメラ上面中央の凸状形状の突部の左右の側面にそれぞれ配置されて、突部で左右に分断された突部以外のカメラ上面の領域に設けられた操作部材のいずれもが照明手段によって照明されている。また、ライトボタンを操作して照明手段をオンにするとタイマーが起動して所定時間の照明を行い、所定時間内に操作部材が操作されるとタイマーがリセットされて照明手段による所定時間の照明が繰り返されている。
【実施例】
【0008】
以下図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。図1、図2、図3は本発明の一実施例に係る一眼レフレックスカメラの背面上方からの斜視図、正面図、平面図をそれぞれ示す。
【0009】
実施例においては、一眼レフレックスカメラ(カメラ)の使用状態を考慮して使用時に被写体に対向する側の面をカメラの前面、撮影者が対向する側の面を側のカメラの背面とし、被写体方向を前方、撮影者方向を後方とする。撮影動作の際に操作される操作部材、たとえば、シャッターボタンなどの配置されている上側の面をカメラの上面とし、これと対向する側の面(下側の面)をカメラの底面とする。このカメラの底面には、三脚の取り付けねじの螺着されるねじ穴が設けられている。また、撮影画面の長辺が水平方向となるように一眼レフレックスカメラを構えたカメラの通常の使用時に左右に位置する側の面を側面とし、撮影者から見て、左側面のある方向を左(左方)、右側面のある方向を右(右方)とする。
【0010】
図1〜図3に示すように、一眼レフレックスカメラ(カメラ)10は、その上面(カメラ上面)10Uの中央に凸状形状の突部10aを有しており、この突部にはペンタプリズム(図示しない)が収納されている。そして、突部頂面の後方に外付け閃光装置などの取付け座であるアクセサリーシュー10a1が設けられ、アクセサリーシュー10a1を囲んで突部頂面の前方にかけて内蔵フラッシュ10a2が跳ね上げ可能に配置されて、突部10aの一部を構成している。
【0011】
図3に示すように、カメラの上面10Uの突部10a以外の領域10bは、突部を挟んで右半部、左半部に分断され、その右半部には、たとえば、ISOボタン10U1、露出補正ボタン10U2、ホワイトバランスボタン10U3などの一連の操作部材が横並びに配置されている。また、領域10bの一部は前方に延出した斜面10b’となり、この斜面にはシャッターボタン(操作部材)10U4が配置されている。また、突部10a以外の領域10bの左半部には、フラッシュボタン10U5、モードボタン10U6が横並びに配置されている。さらに、操作部材ではないがコントロールパネル10U7が、ISOボタン10U1〜ホワイトバランスボタン10U3の後方で領域10bの右半部に配置されており、コントロールパネルには測光モード、AFモード、画質モード、シャッタースピード、絞り、電池残量、撮影可能枚数などの撮影情報が表示される。コントロールパネル10U7はバックライトのない液晶ディスプレー(LCD)から構成されている。
【0012】
図1に示すように、操作部材はカメラの背面(カメラ背面)10Rにも配置されており、たとえば、スルー画像や再生画像などの表示されるバックライト付の液晶ディスプレー(LCD、液晶モニター)10R1がカメラ背面の左半部の大半を占めて配置され、操作部材がカメラ背面の左半部で液晶ディスプレーの下方や、カメラ背面の右半部に配置されている。すなわち、消去ボタン10R2、情報表示ボタン10R3、メニューボタン10R4、ライブビューボタン10R5がカメラ背面の左半部で液晶ディスプレーの下方に横に並んで配置されている。そして、カメラ背面の右半部には、AEL/AFLボタン10R6、Fnボタン10R7、AFターゲットボタン10R8という3つの操作部材がほぼ横に並んで配置されるとともに、それから下方にかけて、メインダイヤル10R9、再生ボタン10R10、十字キー10R11、OKボタン(決定ボタン) 10R12、手振れ補正ボタン10R13、パワースイッチ(レバースイッチ)10R14などが順次配置されている。
【0013】
カメラ上面10U、カメラ背面10Rに設けられた操作部材の機能、構造などは、本発明と直接関係ないのでその詳細は省略する。
【0014】
パワースイッチ10R14をオンにすると、カメラ上面10Uのコントロールパネル10U7、カメラ背面10Rの液晶ディスプレー(液晶モニター)10R1の双方に通電される。ここで、カメラ背面の液晶ディスプレー10R1はバックライト付であるため、パワースイッチ10R14のオンによって、液晶ディスプレーが点灯すると、背面に配置された一連の操作部材(消去ボタン10R2〜手振れ補正ボタン10R13)は、暗い場所でも液晶ディスプレーの照明のもとで操作できる。
しかし、カメラ上面のコントロールパネル10U7はバックライトなしであるため、コントロールパネルがオンとなっても、暗い場所ではコントロールパネル自体の画面が認識されないとともに、カメラ上面に配置された一連の操作部材(ISOボタン10U1〜モードボタン10U6)の位置が容易に確認できず、ISOボタンなどの操作も容易でない。
【0015】
そのため、本発明では、カメラ上面の操作部材(ISOボタン10U1〜モードボタン10U6)を暗い場所でも操作できるように、カメラ上面10Uの突部10aに照明手段20を設けている。ここで、カメラ上面の操作部材(ISOボタン10U1〜モードボタン10U6)が配置されている領域が突部10aを挟んで左右に分断されているため、照明手段20は、突部10aの両側面(右側面、左側面)にそれぞれ設けられている。すなわち、突部10a以外の領域10bの右半部の操作部材(ISOボタン10U1〜シャッターボタン10U4)のための照明部材(照明配光手段)20−1が突部10aの右側面に、左半部の操作部材(フラッシュボタン10U5、モードボタン10U6)のための照明部材(照明配光手段)20−2が突部10aの左側面にそれぞれ設けられている。
【0016】
このように突部10aの両側面に照明部材20−1、20−2をそれぞれ配置すれば、突部10aを挟んでカメラ上面の領域10bに設けられて左右に分断された領域の操作部材10U1〜10U6のいずれにも、照明手段の照明光が照射され、暗い場所での操作に必要な照明光がいずれの操作部材においても得られる。
【0017】
照明手段20は、できるだけ広い範囲を照明できるように突部10aの高い位置に設けることが好ましく、たとえば、突部10aの頂部を構成する内蔵フラッシュ10a2の側面に設けるとよい。照明手段20の発光体は、たとえば、LED(発光ダイオード)とされ、図1に示すように、たとえば、発光体を突部10aの側面に埋め込み、複数の光学系が並んだ板状の投光レンズ板20b、20cを介して光が外部に照射されるように形成される。
【0018】
そして、照明手段20を点灯させるためのライトスイッチ(ライトボタン)20aが設けられている。ライトスイッチ20aは、パワースイッチ10R14が兼用しても、パワースイッチとは別に設けてもよく、実施例では、パワースイッチとは別に専用のライトスイッチが、たとえば、カメラ上面10Uの突部以外の領域10bに設けられている。すなわち、カメラ上面10Uの領域10bで突部10aの右半部に横並びに設けられた3つの操作部材(ISOボタン10U1〜ホワイトバランスボタン10U3)のうちで突部に最も近いホワイトバランスボタン10U3と突部との間に、ライトスイッチ20aが設けられている。
【0019】
このように突部10aの右斜面の照明手段20に最も隣接する操作部材をライトスイッチ20aとすれば、暗い場所でもライトスイッチを比較的容易に操作することができる。もちろん、ライトスイッチ20aを設ける位置はこれに限定されず、他の位置に設けてもよい。
【0020】
たとえば、ライトスイッチ20aがオンに操作されると、タイマー(図示しない)に設定された所定時間(たとえば、20秒)だけ照明手段20を照明させ、カメラ上面の操作部材10U1〜10U6のいずれかが所定時間内に操作されると、タイマーがリセットされて所定時間での照明手段の照明を繰り返すようになっている。
【0021】
また、ライトスイッチ20aはさらにプッシュするとオン、オフが切り換えられて左右の照明部材20−1、20−2を同時に点灯する機能を有するプッシュスイッチとなっていてもよい。さらに、(1)左の照明部材20−2だけ、(2)右の照明部材20−1だけ、(3)左右の照明部材を同時に、それぞれ点灯するプッシュスイッチまたはスライドスイッチとしてもよい。
【0022】
操作部材に照明手段を組み込むことなく、カメラ上面の操作部材10U1〜10U6を照明する照明手段20をカメラ上面の突部10aに配置しているため、操作部材の構成を複雑化することなく暗い場所でもカメラ上面の操作部材の操作に必要な照明が得られ、暗い場所での撮影が容易に行なえる。
【0023】
図4はカメラ上面に設けられた操作部材の概略回路図を示し、カメラ上面の操作部材の操作は中央制御装置(CPU)12によって制御されている。すなわち、ISOボタン10U1、露出補正ボタン10U2、ホワイトバランスボタン10U3、シャッターボタン10U4、フラッシュボタン10U5、モードボタン10U6がオンされると、その出力信号は中央制御装置(CPU)12に出力され、CPUによって所定の動作がなされている。なお、シャッターボタン10U4は、1stレリーズボタン、2ndレリーズボタンの二段スイッチとなっている。
【0024】
図5(A)(B)は照明、消灯でのサブルーチンのフローチャートを示す。図5(A)に示すように、ライトスイッチ20aがプッシュされてオンになれば、S1でタイマーがリセット(起動)され、S2でタイマーによる計時が開始されて、S3で照明手段20がタイマーに設定された所定時間(たとえば、20秒)点灯されて、メインルーチンに復帰する。
【0025】
消灯時においては図5(B)に示すように、タイマーに設定された所定時間がS11で経過したか否かが判断され、所定時間内にカメラ上面の操作部材10U1〜10U6が操作されたか否かがS12で判断される。
【0026】
S12で所定時間内にカメラ上面の操作部材10U1〜10U6のいずれかが操作されれば(Yesであれば)、照明手段20を消灯することなくメインルーチンに戻され、照明手段は点灯したままとなる。S12においてカメラ上面の操作部材10U1〜10U6のいずれかもが操作されずに所定時間が経過してNoと判断されれば、S11に戻され、所定時間が経過してS11でYesと判断されれば、S13で照明手段20が消灯(照明オフ)されてメインルーチンに戻される。
【0027】
このように、ライトスイッチ20aをオンに操作すれば、タイマーによる計時が開始されて照明手段20が点灯され、タイマーの設定時間(所定時間)内にカメラ上面の操作部材10U1〜10U6が操作されれば、タイマーがリセットされて照明手段は所定時間の照明を繰り返す。したがって、カメラ上面の操作部材10U1〜10U6を所定時間内に操作し続ければ、照明手段が消灯することなく照明し続けて、暗い場所での撮影が継続して行える。逆に、カメラ上面のいずれの操作部材10U1〜10U6を操作することなく所定時間が経過すれば、撮影継続の意思なしと判断して照明手段が自動的に消灯するため、照明手段の消し忘れによる無駄な電力消費が防止される。したがって、無駄のない効率的な照明が可能となる。
【0028】
上記のように、カメラ上面の突部にカメラ上面の操作部材を照明する照明手段を設けているため、操作部材の構成が複雑化することなく暗い場所でもカメラ上面の操作部材の操作に必要な照明が得られる。
【0029】
上述した実施例は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
たとえば、実施例では、照明手段は突部の側面に埋め込んで配置されているが、部分的に突出して配置してもよい。また、右半部の照明部材20−1のためのライトスイッチと、左半分の照明部材20−2のためのライトスイッチとをそれぞれ個別に設けてもよい。
【0030】
また、照明手段20は、実施例においてはカメラ上面中央の突部10aの側面に配置したがカメラ上面10Uに設けた操作部材10U1〜10U6に対して投光できる場所にあればよい。たとえば、カメラ上面中央の突部10aから連続して伸びる接眼枠の側面に照明手段20を配置してもよい。
【0031】
さらに、照明手段20の発光体としてLEDをあげたが、LEDに限定されず白色ランプやキセノン管などからの発光でもよい。要するに、照明手段20は光エネルギーを発生して照明を行うものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は普通の一眼レフレックスカメラ、電子機器などの他、防水仕様の一眼レフレックスカメラ、電子機器などにも広範囲に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施例に係る一眼レフレックスカメラの背面上方からの斜視図を示す。
【図2】本発明の一実施例に係る一眼レフレックスカメラの正面図を示す。
【図3】本発明の一実施例に係る一眼レフレックスカメラの平面図を示す。
【図4】カメラ上面に設けられた操作部材の概略回路図を示す。
【図5】(A)(B)は照明、消灯でのサブルーチンのフローチャートを示す。
【符号の説明】
【0034】
10 一眼レフレックスカメラ(カメラ)
10U カメラの上面(カメラ上面)
10R カメラの背面(カメラ背面)
10a カメラ上面の突部
10b カメラ上面の突部以外の領域
10U1〜10U6 カメラ上面の操作部材
10U7 カメラ上面のコントロールパネル(液晶ディスプレー)
10R1 カメラ背面の液晶ディスプレー
10R2〜10R14 カメラ背面の操作部材
20 照明手段
20−1、20−2 照明部材(照明配光手段)
20a ライトスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンタプリズムを覆い、カメラ上面中央が凸状形状である突部を有した一眼レフレックスカメラにおいて、
カメラ上面の上記突部以外の領域に配置された操作部材と、
上記突部に配置されて、上記操作部材を照明する照明手段と、
を具備することを特徴とする一眼レフレックスカメラ。
【請求項2】
上記照明手段は、上記突部側面に配置されている請求項1記載の一眼レフレックスカメラ。
【請求項3】
上記操作部材は複数あり、上記照明手段は複数の上記操作部材のそれぞれに照明光を当てるように配置されている請求項1または2記載の一眼レフレックスカメラ。
【請求項4】
上記照明手段をオンにするとタイマーが起動して所定時間の照明を行い、所定時間内に上記操作部材が操作されると該タイマーがリセットされて照明手段による所定時間の照明が繰り返される請求項1〜3のいずれかに記載の一眼レフレックスカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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