説明

三次元周期構造体及びデバイス

【課題】本発明は、周期構造体の規則性を乱すことなく欠陥を導入し、欠陥ボリュームを制御した三次元周期構造体を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明では、第1の材質1からなる球状薄皮粒子が三次元的に規則配列されてなる三次元周期構造体において、任意の球状薄皮粒子内に第1の材質とは異なる第2の材質2−1,2−2が満たされていることを特徴としており、これにより、欠陥が導入された三次元周期構造体でも全体の構造を壊したり、乱したりすることがない。また、第2の材質は、少なくとも2つ以上の異なる材質2−1,2−2で構成されているため、三次元周期構造全体からみた第2の材質の箇所の実効的な屈折率を自在に制御することができることになり、導入する欠陥の欠陥ボリュームを実効的に変化・制御することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニック結晶等の微粒子が三次元的に規則配列されてなる三次元周期構造体と、それを用いたデバイスに関するものであり、特に、フォトニック結晶に限らず、微粒子が高度に規則配列した周期構造を有する構造体特有の特性を発現し、且つ、この構造体中に全体の周期構造を壊すことなく周期構造の欠陥(不規則性)を導入することにより新たな特性を発現する三次元周期構造体及び、それを用いたデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の対象としている微粒子の規則配列集積体を元型にして形成した三次元周期構造体に関する発明としては以下のようなものがある。
特許文献1(特開2003−2687号公報)には、焼成時に焼失可能な微粒子とこの微粒子よりも粒径の小さいナノサイズ粒子とが混じった懸濁溶液に浸漬して基板上に微粒子を配列させると同時に微粒子間にナノサイズ粒子を充填させて、基板上に微粒子とナノサイズ粒子との粒子膜を形成した後、この粒子膜を焼成することにより微粒子を焼失させてインバース構造を形成する方法が開示されている。
特許文献2(特開2004−46224号公報)には、特許文献1に記載の方法により形成したインバース構造に、光異性化を起こす化合物とネマチック液晶との混合物を充填することにより、所望波長の光の反射のON/OFFを光でスイッチングすることができるようにした光応答型液晶入りフォトニック結晶が開示されている。
特許文献3(特開2004−93461号公報)には、ポリスチレン・インバース・オパール構造体の各球状空間の表面に反応物を装飾して形成した屈折率センサが開示されている。
特許文献4(特開2004−98414号公報)には、インバース・オパール構造体の表面をフッ素コーティングすることにより得られる構造性発色特性と超撥水性特性との両方を兼ね備えた装飾材料が開示されている。
特許文献5(特表2004−511828号公報)には、加工が施された基板上の狙った領域に所望のオパール結晶を成長させることにより、結晶の厚み、構造、面積、トポロジー、配向及びレジストリの3次元方向制御に関する技術が開示されており、さらには、上記のオパール結晶を元型としたインバース・オパール構造についても開示されている。
【0003】
しかしながら、上記の特許文献には、本発明のように、結晶全体の構造を崩さずに、欠陥ボリュームを制御した欠陥が導入された薄皮粒子集合構造からなる三次元周期構造体及び薄皮粒子集合構造によるフォトニック結晶に関しては記載されていない。
【0004】
【特許文献1】特開2003−2687号公報
【特許文献2】特開2004−46224号公報
【特許文献3】特開2004−93461号公報
【特許文献4】特開2004−98414号公報
【特許文献5】特表2004−511828号公報
【特許文献6】特開2000−233999号公報
【非特許文献1】Nature 414, 289-293 (2001)
【非特許文献2】Appl. Phys. Lett. 80, 49(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
フォトニック結晶は、屈折率の異なった二つ以上の材料(一方は空気でも可)が、空間的な対称性・規則性を有して、配置された周期構造を有する材料である。フォトニック結晶は、この規則構造・周期構造を有することにより、従来の光学材料では得られなかった特性を発現するようになる。そのもっとも特徴的なものは、フォトニックバンドギャップ(PBG)の発現である。フォトニック結晶では、図18(フォトニック結晶の光透過スペクトル)に示すように、PBGに対応した波長λの光は完全に通さないが、その他の波長λの光は透過させる。
【0006】
こうしたフォトニック結晶の利用の仕方には色々とあるが、フォトニック結晶の特性を活かした最も重要な使用方法は、フォトニック結晶中に欠陥を導入することにより、図19に示すように、本来、光が存在しえないPBG中に局在化した準位(欠陥準位)を発生させて、欠陥が導入された領域にのみ光を局在させるというものである。こうした光の局在化の特性を利用して、導波路や光共振器などのデバイスを構成することが可能となる。
【0007】
こうした欠陥の導入がどのように行われているのかを、通常、行われているSOI(Silicon on Insulator)を利用したエアーブリッジ型の二次元フォトニック結晶を例にして説明する。図20(a)の平面図及び同図(b)の断面図に示すように、エアーブリッジ型の二次元フォトニック結晶は、シリコン基板101上に酸化シリコン102を積層形成し、その上に空隙103を介してシリコン104を積層形成した構造を有し、シリコン104には前記空隙103に連通する多数のエアーホール105が形成されている。このような構造の無欠陥のエアーブリッジ型二次元フォトニック結晶への欠陥導入は、周期構造の繰り返しを乱すことによって行われる。具体的には、図21(a)に示すように、シリコン104の欠陥となる箇所に、フォトニック結晶を構成しているエアーホール105を入れないというやり方(ドナー型)と、図21(b)に示すように、シリコン104の欠陥となる箇所に、フォトニック結晶を構成しているエアーホール105とは異なる大きさのエアーホール(欠陥)を入れてやる方法(アクセプタ型)がある。こうしたドナー型、アクセプタ型といった呼び方の由来は、通常の半導体材料への不純物ドーピングのアナロジーから来ている。
【0008】
また、特にアクセプタ型では、エアーホールの大きさを変えることにより、PBGに導入される準位のエネルギー(波長)を変えてやることができ、欠陥による波長チューニング性を付与させている。図22にアクセプタ型欠陥の大きさと形成される準位の周波数ωとの関係を示す。
このように、欠陥の大きさを変えることにより、波長チューニング性を付与させることを、本発明では、「欠陥ボリュームを制御する」という言葉を用いて、表現することにする。
【0009】
上記の例は、二次元フォトニック結晶の例であるが、光の局在化や閉じ込めが可能になるというフォトニック結晶の特性を考えるならば、フォトニック結晶は三次元結晶の形態で利用された方が好ましい。その理由は、二次元結晶の場合には、上下方向には、光の閉じ込め効果が働いていないため、どうしても上下方向には光が漏れてしまうからである。
しかしながら、上記で説明した技術は、フォトリソなどによる微細加工技術をベースにしているため、三次元フォトニック結晶へ適用させることは難しい。
【0010】
三次元フォトニック結晶の形成に有利な微粒子を用いた方法では、従来、フォトニック結晶に欠陥を導入したり、ドーピングしたりする場合には、フォトニック結晶の基本構造を構成する微粒子とは別の、大きさの異なる微粒子を結晶の一部に入れていた(例えば、非特許文献1(Nature 414, 289-293 (2001))参照)。しかしながら、この方法では、フォトニック結晶全体の周期構造を乱さずに導入できる欠陥は、基本構造を構成する微粒子間の間隙に丁度入り込める大きさの微粒子しか許されない。これよりも大きな微粒子を使用すると、フォトニック結晶全体の周期構造を乱してしまう。したがって、この方法では、導入した欠陥の欠陥ボリュームを制御することはできない。
以上のように、三次元フォトニック結晶に欠陥を導入し、且つ、結晶全体の周期構造を壊さずに自在にその欠陥ボリュームが制御する方法は、提示されていない。
【0011】
以上のような課題を鑑みて、本発明者らは、微粒子が規則配列した微粒子構造体において、微粒子構造体の全体の規則性を乱すことなく、欠陥ボリュームが制御された欠陥の導入された微粒子構造体に関する発明を既に提案している(先願:特願2003−26771号)。
【0012】
しかしながら、微粒子構造体は屈折率変調が弱いために、光閉じ込め効果が充分に得られるフォトニック結晶としては、必ずしも適してはいない。そこで、図23(a)に示すような微粒子構造体を型として用い、図23(b)に示すように、大きな屈折率材料の構造材で反転構造(インバース構造)を形成したり、また、図23(c)に示すように、薄皮粒子の集合構造体(hollow構造)を形成して、完全PBGを形成するのに有利な構造体に転換をすることが行われている(例えば、特許文献6(特開2000−233999号公報)参照)。
【0013】
ここで、微粒子構造体、インバース(反転)構造、薄皮粒子集合構造体(hollow構造)を比較すると、バンド計算上では、構造体が完全PBG化するのに要する屈折率の大きさは、微粒子構造体が一番大きく、薄皮粒子集合構造体が一番小さい。現実に存在する材料の面から考えると、微粒子構造体では、可視・赤外域で完全PBG化することは不可能である。また、インバース(反転)構造では、半導体材料により、赤外域において完全PBG化できるが、可視域では難しい。これに対して、薄皮粒子集合構造では、可視・赤外域で完全PBG化することが可能となる。この点が先願とは異なっている点であり、改善されている点である。
しかしながら、本発明者らが従来技術を調査した結果、薄皮粒子集合構造体において、導入された欠陥の欠陥ボリュームを自在に制御する技術は存在していなかった。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、薄皮粒子集合構造体において欠陥ボリュームが制御された欠陥が導入された構造の三次元周期構造体(例えば三次元フォトニック結晶)を提供することを目的としている。
より詳しく述べると、本発明の第1の目的は、周期構造体の規則性を乱すことなく欠陥を導入し、欠陥ボリュームを制御した三次元周期構造体を提供することである。
本発明の第2の目的は、欠陥ボリュームの異なる二つ以上の欠陥を全体の規則性を乱すことなく、同時に周期構造体中に導入した三次元周期構造体を提供することである。
本発明の第3の目的は、周期構造体に導入された欠陥の欠陥ボリュームが制御された構造の三次元周期構造体を導波路や共振器などのデバイスに利用することである。
本発明の第4の目的は、周期構造体の基本構造が有する周期長よりも長周期の周期構造を周期構造体に導入し、長周期構造により引き起こされる効果・特性を利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明では以下のような技術的手段を採っている。
本発明の第1の手段は、第1の材質からなる球状薄皮粒子が三次元的に規則配列されてなる三次元周期構造体において、任意の球状薄皮粒子内に第1の材質とは異なる第2の材質が満たされていることを特徴とする(請求項1)。
また、本発明の第2の手段は、第1の手段の三次元周期構造体において、前記第2の材質は、少なくとも2つ以上の異なる材質からなることを特徴とする(請求項2)。
さらに本発明の第3の手段は、第2の手段の三次元周期構造体において、前記第2の材質は、芯となる粒子を構成する第2の1の材質と、該芯粒子を皮状に包んでいる外殻を構成する第2の2の材質から構成されており、且つ、第2の1の材質の芯粒子は球形状であることを特徴とする(請求項3)。
【0016】
本発明の第4の手段は、第3の手段の三次元周期構造体において、三次元周期構造体中の球状空間に前記第2の材質が充填されている箇所が複数箇所あり、且つ、任意の第2の材質の箇所間における第2の1の材質の芯粒子の大きさが異なっていることを特徴とする(請求項4)。
また、本発明の第5の手段は、第3の手段の三次元周期構造体において、三次元周期構造体中の球状空間に前記第2の材質が充填されている箇所が複数箇所あり、且つ、任意の第2の材質の箇所間において芯粒子の材質が異なっているか、外殻の材質が異なっていることを特徴とする(請求項5)。
【0017】
本発明の第6の手段は、第1乃至第5のいずれか一つの手段の三次元周期構造体において、三次元周期構造体中の球状空間に第2の材質が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、二次元的もしくは三次元的な任意のパターンとなっていることを特徴とする(請求項6)。
また、本発明の第7の手段は、第6の手段の三次元周期構造体において、三次元周期構造体中の球状空間に第2の材質が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、空間的な対称構造を有していることを特徴とする(請求項7)。
さらに本発明の第8の手段は、デバイスであって、第1乃至第7のいずれか一つの手段の三次元周期構造体を用いたことを特徴とする(請求項8)。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の手段の三次元周期構造体は、第1の材質の薄皮粒子集合構造の任意の薄皮粒子内に第1の材質とは異なる第2の材質が満たされているので、欠陥が導入された三次元周期構造体でも全体の構造を壊したり、乱したりすることがない。
また、第2の手段の三次元周期構造体は、第1の手段の構成に加え、前記第2の材質は、少なくとも2つ以上の異なる材質から構成されているため、三次元周期構造全体からみた第2の材質の箇所の実効的な屈折率を自在に制御することができることになり、導入する欠陥の欠陥ボリュームを実効的に変化・制御することが可能となる。
さらに第3の手段の三次元周期構造体は、第2の手段の構成に加え、前記第2の材質は、芯となる粒子を構成する第2の1の材質と、該芯粒子を皮状に包んでいる外殻を構成する第2の2の材質から構成されており、且つ、第2の1の材質の芯粒子は球形状であることことにより、三次元周期構造の規則性を乱すことなく、導入する欠陥の欠陥ボリュームを実効的に変化・制御することが可能となる。
【0019】
第4の手段の三次元周期構造体は、第3の手段の構成に加え、三次元周期構造体中の球状空間に前記第2の材質が充填されている箇所が複数箇所あり、且つ、任意の第2の材質の箇所間における第2の1の材質の芯粒子の大きさが異なっていることにより、三次元周期構造体中に欠陥ボリュームの異なる複数の欠陥を導入することができる。以上のような三次元周期構造体は、フォトニック結晶として利用する場合に、異なった波長の利用が可能となり、欠陥が複数種あることを利用したデバイスへの利用が可能となる。
また、第5の手段の三次元周期構造体は、第3の手段の構成に加え、三次元周期構造体中の球状空間に前記第2の材質が充填されている箇所が複数箇所あり、且つ、任意の第2の材質の箇所間において芯粒子の材質が異なっているか、外殻の材質が異なっていることにより、三次元周期構造体中に欠陥ボリュームの異なる複数の欠陥を導入することができる。以上のような三次元周期構造体は、フォトニック結晶として利用する場合に、異なった波長の利用が可能となり、欠陥が複数種あることを利用したデバイスへの利用が可能となる。
【0020】
第6の手段の三次元周期構造体は、第1乃至第5のいずれか一つの手段の構成に加え、三次元周期構造体中の球状空間に第2の材質が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、二次元的もしくは三次元的な任意のパターンとなっていることにより、導入された欠陥を利用して、導波路や光共振器、光分配器などのデバイスを構成することができる。
また、第7の手段の三次元周期構造体は、第6の手段の構成に加え、三次元周期構造体中の球状空間に第2の材質が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、空間的な対称構造を有していることにより、対称構造による共鳴効果を利用したデバイスや光共振器のモード低減など、空間対称構造による効果を利用したデバイスの構成が可能となる。
さらに第8の手段のデバイスは、第1乃至第7のいずれか一つの手段の三次元周期構造体を用いたことにより、導波路や光共振器、光分配器などの種々のデバイスとして利用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の基本構成を説明する前に、前述の薄皮粒子集合構造についてもう少し詳しく説明する。図23(c)に示した薄皮粒子集合構造体の拡大図を図24に示す。本発明で述べている薄皮粒子構造とは、図24(a)に示すように、隣接する薄皮粒子の内部空隙が薄皮粒子の構成材により仕切られている構造を対象とするが、図24(b)に示すように、隣接する薄皮粒子の内部空隙が微小な窓により連結されている構造も対象としている。
【0022】
次に本発明の基本構成を図1を用いて説明する。図1に示すように、本発明の三次元周期構造体は、内部に空隙3を有する第1の材質1からなる球状薄皮粒子が三次元的に最密充填で規則配列しており(薄皮粒子集合構造体(hollow構造))、且つ、任意の薄皮粒子内には、第2の1の材質2−1の球状芯粒子と、第2の2の材質2−2の外殻とからなる第2の材質が充填されている。すなわち第2の材質の箇所は、多重構造の粒子となっている。
【0023】
第2の材質の箇所は、周囲の球状薄皮粒子内の内部空隙(球状空間)3と同一径、且つ、同一形状であるため、第2の材質が充填されていても、三次元周期構造体全体の周期性を乱すことはないが、フォトニック結晶のように特性の決定に誘電率が支配している場合を例にすると、第2の材質が充填されたことにより、三次元周期構造体中に球状空間とは異なる誘電率が部分的に導入されるため、フォトニック結晶としては、欠陥が導入されたことになる。その結果として、光学特性としては、局在化された準位が形成される。フォトニック結晶としては、第2の材質全体の平均化された誘電率が問題となるわけで、第2の1の材質2−1と第2の2の材質2−2に異なった材質を用いることにより、第2の材質の平均化された誘電率の値を制御することが可能になる。第2の材質の平均化された誘電率を制御する方法は、第2の1の材質2−1及び第2の2の材質2−2の選択と、第2の1の材質2−1の球状芯粒子の大きさを調整することにより行う。第2の材質を、第2の1の材質2−1と第2の2の材質2−2の多重構成にするのは、第2の材質の平均屈折率を制御するためなので、第2の1の材質2−1が第1の材質1と同一、あるいは、第2の2の材質2−2が第1の材質1と同一になる場合があっても差し支えない。
【0024】
本発明で用いている多重構造の粒子を形成する方法には既に色々な方法が開発されており、こうした多重構造の粒子を使ってフォトニック結晶に利用するという研究は開示されている(例えば、非特許文献2(Appl. Phys. Lett. 80, 49(2002))参照)。しかしながら、薄皮粒子集合構造(hollow構造)内部の球状空間と同一の大きさ・球状の多重粒子を用いることにより、結晶の乱れを防止しつつ、欠陥ボリュームを制御できることについては報告されていない。
【0025】
以上の説明で、材質の誘電率について述べているのは、フォトニック結晶が誘電率の空間的周期構造によって、その特性を発現するからである。本発明の主旨は、全体の周期構造が乱されることなく、制御された欠陥が導入されている三次元周期構造体である。したがって、誘電率ではない他の物性値の空間周期構造により特有の特性を発現させる周期構造体の場合には、特性を発現する元となっている物性値に着目して、その物性値が異なるように第1の材質1、第2の1の材質2−1、及び、第2の2の材質2−2を選択する。
【0026】
本発明では、導入する欠陥の箇所(第2の材質)が多重構造を有していることにより、その箇所の平均の物性値(フォトニック結晶の場合には、誘電率)を制御している。このようなやり方は、微細加工によるトップダウン的な形成方法では難しい。そこで本発明の三次元周期構造体では、ボトムアップ(自己組織化現象の利用)により、全体の周期構造を乱さずに、制御された欠陥を導入するものである。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
[実施例1]
第1の実施例では、本発明の第1〜第3の手段を実施した例について説明を行う。
まず、図2(a),(b)に示すように、第1の微粒子11として、粒径360nmの球形状単分散シリカ粒子を、第2の微粒子12として、粒径300nmの球形状単分散アルミナ粒子の表面にジルコニアをコートして粒径360nmとした球形状単分散粒子を用意する。
【0029】
次に、第1の微粒子11をエタノール分散媒中に4wt%で分散させた原料液27を調整し、図3に示すように原料液容器25に入れ、原料液容器からの分散媒蒸散防止のためのカバー26をする。次に、酸化膜付きシリコン(Si)ウェハにチタン(Ti)イオンを照射した第1の基板21と、酸化膜付きSiウェハの第2の基板22の間に、ギャップ材24を用いて、厚さ10μmの空間を作る。ここで、第1の基板21にTiイオンを照射した基板を用いる理由は、後の工程で、第1の基板21と第2の基板22の間に形成された微粒子構造体23を剥がし取る際に、第1の基板21の上に選択的に微粒子構造体23を残すためである。以上のような第1の基板21と第2の基板22による構成物の下端を、図3に示すがごとく、原料液27に浸ける。そして、原料液容器内での第1の微粒子11の沈殿を防止するためにスターラー28により原料液27を撹拌する。
【0030】
図3に示すように、第1の基板21と第2の基板22による構成物の上端からは、分散媒が蒸発するため、原料液27は、第1の基板21と第2の基板22により作られる間隙中を毛管現象により図3中の上方へ向かって供給され、第1の基板21と第2の基板22による構成物の上端に微粒子構造体23が集積される。集積後、分散媒を充分蒸発させた後、第2の基板22を剥がすことにより、第1の基板21上に第1の微粒子11の微粒子構造体23が得られる。この後、微粒子構造体23を500℃で1時間、炉中アニールを行った後、第2の微粒子12をマイクロピンセットにより、微粒子構造体表面の任意の位置に配置する。この後、再び、微粒子構造体を500℃で1時間炉中アニールを行う。
なお、ここで述べるマイクロピンセットとは、原子間力顕微鏡やトンネル顕微鏡などに用いられているマイクロプローブを微小物質のハンドリングに用いたもので、これを用いて、微粒子を1個ごと、あるいは、複数の微粒子からなるブロックを狙った位置に持っていき配置する。
【0031】
この後、上記のように基板上に微粒子構造体が形成された第1の基板21と、第2の基板22とで、厚さ20μmのギャップ材24を用いて厚さ20μmの空間を作り、第1の基板21と第2の基板22による構成物を再度作り、その構成物の下端を、図3に示すがごとく再度、第1の微粒子11による原料液27に浸けて、第1の微粒子11の微粒子構造体23を集積させる。微粒子構造体23を集積した後、第2の基板22を剥がし、500℃で1時間、炉中アニールを行う。以上までの工程により、第2の微粒子12による欠陥層が第1の微粒子11の微粒子構造体によりサンドイッチされた微粒子構造体が得られる。この微粒子構造体の欠陥層を上方から見ると、図4に示すように、欠陥層に第2の微粒子12が導入されている。
【0032】
この後、図5に示すように、第1の基板21上で形成された微粒子構造体に、チタニアゾル液(チタンアルコキシド3%エタノール溶液)の供給と、窒素雰囲気中での120℃、30分のドライ工程を、5回繰り返して施す。この後、酸素雰囲気にて、550℃で5時間の焼成を行うことにより、図6に示すように、図4の第1の微粒子11と第2の微粒子12の表面に第1の材質(チタニア)1の薄皮膜が形成された構造を得ることができる。図5に示した工程では、繰り返し工程中の各1回毎に表面に形成される膜厚は、粒子間に入ることができるチタニアゾル液の量により制限され、決まってしまうので、図6の第1の材質1の薄皮の厚みは、非常に再現性よく、制御して形成することが可能である。
【0033】
この後、構造体の端部を割るか、切断することにより、エッチング液の入り口を形成して、構造体を2%HF水溶液に浸ける。HFによりシリカの部分を溶解除去した後、水によりリンスを行い、乾燥させることにより、目的とする三次元周期構造体を得ることができる。この三次元周期構造体は、第1の材質1であるチタニアの薄皮粒子の集合構造体中に第2の微粒子12による欠陥層が導入されている。この三次元周期構造体を上方から見ると、図7に示すように、薄皮粒子集合構造体中の内部空隙(球状空間)3の一つに欠陥層となる第2の微粒子12(第2の1の材質2−1(アルミナ)と第2の2の材質2−2(ジルコニア))が導入されている。
【0034】
[実施例2]
第2の実施例では、本発明の第1〜第4の手段を実施した例について説明を行う。
まず、図8(a)〜(c)に示すように、第1の微粒子11として、粒径360nmの球形状単分散シリカ粒子を、第2の1の微粒子12−1として、芯となる粒径300nmの球形状単分散アルミナ粒子の表面に外殻となるジルコニアをコートして粒径360nmとした球形状単分散粒子を、第2の2の微粒子12−2として、芯となる粒径300nmの球形状単分散アルミナ粒子の表面に外殻となるチタニアをコートして粒径360nmとした球形状単分散粒子を、それぞれ用意する。
【0035】
次に、図3に示す装置を用い、実施例1と同様の方法にて、第1の微粒子11を酸化膜付きSiウェハにTiイオンを照射した第1の基板21上に集積させる。この後、微粒子構造体23を500℃で1時間、炉中アニールを行った後、マイクロピンセットにより、第2の1の微粒子12−1と、第2の2の微粒子12−2を、それぞれ微粒子構造体表面の任意の位置に配置する。第2の1の微粒子12−1と第2の2の微粒子12−2を配置した微粒子構造体は、厚さ20μmのギャップ材24を用いて、新たな酸化膜付きSiウェハからなる第2の基板22で挟み、図3に示すように、この下端を第1の微粒子11の原料液27に浸けて、第1の微粒子11の微粒子構造体23を集積させる。微粒子構造体23を集積した後、第2の基板22を剥がし、500℃で1時間、炉中アニールを行う。以上までの工程により、第2の1の微粒子12−1及び第2の2の微粒子12−2による欠陥層が第1の微粒子11の微粒子構造体によりサンドイッチされた微粒子構造体が得られる。この微粒子構造体の欠陥層を上方から見ると、図9に示すように、欠陥層の部分に第2の1の微粒子12−1及び第2の2の微粒子12−2が導入されている。
【0036】
この後、図5に示すように、第1の基板21上で形成された微粒子構造体に、チタニアゾル液(チタンアルコキシド3%エタノール溶液)の供給と、窒素雰囲気中での120℃、30分のドライ工程とを、5回繰り返して施した後、酸素雰囲気にて、550℃で5時間の焼成を行うことにより、第1の微粒子11と第2の1の微粒子12−1、第2の2の微粒子12−2の表面に第1の材質(チタニア)1の薄皮膜が形成された構造を得ることができる。
【0037】
この後、構造体の端部を割るか、切断することにより、エッチング液の入り口を形成して、構造体を2%HF水溶液に浸け、シリカの部分を溶解除去した後、水によりリンスを行い、乾燥させることにより、目的とする三次元周期構造体を得ることができる。この三次元周期構造体は、第1の材質(チタニア)1からなる薄皮粒子集合構造体中に、第2の1の微粒子12−1及び第2の2の微粒子12−2による欠陥層が導入されている。この三次元周期構造体を上方から見ると、図10に示すように、薄皮粒子集合構造体中の内部空隙(球状空間)3の任意の箇所に欠陥層となる第2の1の微粒子12−1(芯の材質:アルミナ、外殻の材質:ジルコニア)と第2の2の微粒子12−2(芯の材質:アルミナ、外殻の材質:チタニア)が導入されている。
【0038】
なお、本発明の目的は、三次元周期構造体の全体の規則性を乱すことなく、欠陥を導入することであるから、本実施例のように、薄皮の材質と二重構造になっている第2の微粒子の外殻の材質が同じになってしまう場合があってもよい。
【0039】
[実施例3]
第3の実施例では、本発明の第1〜3の手段及び第5の手段を実施した例について説明を行う。
図11(a)〜(c)に示すように、第1の微粒子11として、粒径360nmの球形状単分散シリカ粒子を、第2の1の微粒子12−1として、芯となる粒径280nmの球形状単分散アルミナ粒子の表面に外殻となるチタニアをコートして粒径360nmとした球形状単分散粒子を、第2の2の微粒子12−2として、芯となる粒径320nmの球形状単分散アルミナ粒子の表面に外殻となるチタニアをコートして粒径360nmとした球形状単分散粒子を、それぞれ用意する。
【0040】
本実施例では、第2の1の微粒子12−1と、第2の2の微粒子12−2の構成が実施例2とは異なるだけで、その後の微粒子構造体の形成方法や欠陥層の形成方法、薄皮粒子構造の形成方法等は実施例2と同様であるので説明を省略する。
本実施例の三次元周期構造体の欠陥層を上方から見ると、図12に示すように、薄皮粒子集合構造体中の内部空隙(球状空間)3の任意の箇所に欠陥層となる第2の1の微粒子12−1(芯の材質:アルミナ、外殻の材質:チタニア)と第2の2の微粒子12−2(芯の材質:アルミナ、外殻の材質:チタニア)が導入されている。
【0041】
[実施例4]
第4の実施例では、本発明の第1〜4の手段及び第6の手段を実施した例について説明を行う。
図13(a)〜(d)に示すように、第1の微粒子11として、粒径360nmの球形状単分散シリカ粒子を、第2の1の微粒子12−1として、芯となる粒径320nmの球形状単分散アルミナ粒子の表面に外殻となるチタニアをコートして粒径360nmとした球形状単分散粒子を、第2の2の微粒子12−2として、芯となる粒径280nmの球形状単分散アルミナ粒子の表面に外殻となるチタニアをコートして粒径360nmとした球形状単分散粒子を、第2の3の微粒子12−3として、芯となる粒径240nmの球形状単分散アルミナ粒子の表面に外殻となるチタニアをコートして粒径360nmとした球形状単分散粒子を、それぞれ用意する。
【0042】
本実施例では、第2の1の微粒子12−1と、第2の2の微粒子12−2と、第2の3の微粒子12−3の構成が実施例1〜3とは異なるが、微粒子構造体の基本的な形成方法は実施例1〜3と同様である。但し、第1の微粒子11の微粒子構造体に第2の1〜3の微粒子12−1〜12−3をマイクロピンセットで配列させる際に、図14に示すように、三次元周期構造体中の球状空間に第2の1〜3の微粒子12−1〜12−3が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、二次元的もしくは三次元的な任意のパターンとなるように配列させる。第2の1〜3の微粒子12−1〜12−3の配列の後、実施例3と同様に、第1の微粒子11を再び集積させ、熱処理、チタニアゾル液充填・乾燥の繰り返しと、焼成、及びシリカ除去を行うことにより、目的とする三次元周期構造体を得ることができる。この三次元周期構造体の欠陥層を上方から見ると、図15に示すように、薄皮粒子集合構造体中の任意の箇所にパターニングされた欠陥層となる第2の1の微粒子12−1(芯の材質:アルミナ、外殻の材質:チタニア)と第2の2の微粒子12−2(芯の材質:アルミナ、外殻の材質:チタニア)と第2の3の微粒子12−3(芯の材質:アルミナ、外殻の材質:チタニア)が導入されている。
【0043】
図15のようにパターニングされた欠陥が導入された三次元周期構造体は、第2の2の微粒子12−2による波長λの局所準位を形成する欠陥と、第2の3の微粒子12−3による波長λの局所準位を形成する欠陥が、同時に、周期構造を乱すことなく導入されているため、波長λと波長λが混合された光を図15の矢印Aの方向から入れると、矢印Bの方向へ波長λの光を取り出すことができ、矢印Cの方向へは波長λの光を取り出すことができ、導波路及び光分配器の機能を有するデバイスとして利用することができる。
【0044】
このように、本実施例では、第1の材質1(チタニア)の薄皮粒子構造からなる三次元周期構造体中の内部空隙(球状空間)3に第2の材質(第2の1の材質(芯:アルミナ)と第2の2の材質(外殻:チタニア))からなる第2の1〜3の微粒子12−1〜12−3が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、二次元的もしくは三次元的な任意のパターンとなっていることにより、導入された欠陥を利用して、導波路や光共振器、光分配器などのデバイスを構成することが可能となる。
【0045】
[実施例5]
第5の実施例では、本発明の第1〜3の手段及び第7の手段を実施した例について説明を行う。
本実施例では、実施例1と同様の微粒子を用いており、図2(a),(b)に示すように、第1の微粒子11として、粒径360nmの球形状単分散シリカ粒子を、第2の微粒子12として、粒径300nmの球形状単分散アルミナ粒子の表面にジルコニアをコートして粒径360nmとした球形状単分散粒子を用意する。
【0046】
次に、第1の微粒子11による微粒子構造体の形成方法は実施例1と同様であるが、第2の微粒子12をマイクロピンセットで配列させる際に、図16に示すように、第2の微粒子12を空間的な対称構造となるようなパターン(例えば網目状)で配列させる。この第2の微粒子12の配列の後、実施例1〜3と同様に、第1の微粒子11を再び集積させ、熱処理、チタニアゾル液充填・乾燥の繰り返し、焼成、及びシリカ除去を行うことにより、目的とする三次元周期構造体を得ることができる。この三次元周期構造体の欠陥層を上方から見ると、図17に示すように、三次元周期構造体中の内部空隙(球状空間)3に第2の微粒子12(芯の材質:アルミナ、外殻の材質:ジルコニア)が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、空間的な対称構造を有している。
【0047】
図17に示すとおり、本実施例は、六回対称と平進対称による繰り返し構造の場合の例である。また、本実施例では、中間工程での微粒子構造体の形成の際に、第1の微粒子11と第2の微粒子12の形状・大きさが同一であるため、微粒子構造体全体の規則性を壊すことがない。その結果、最終的に得られる三次元周期構造体の規則性も乱されることなく、空間的対称構造を有した欠陥の導入が可能となっている。そして、本実施例では、三次元周期構造体中の球状空間に第2の微粒子(第2の材質)が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、空間的な対称構造を有していることにより、対称構造による共鳴効果を利用したデバイスや光共振器のモード低減など、空間対称構造による効果を利用したデバイスの構成が可能となる。
【0048】
なお、以上の実施例1〜5で用いた材料は、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニアであるが、本発明は、この材料に限定するものではなく、シリカやチタニアなどの金属酸化物、その他の無機誘電体材料、金属、半導体、有機物でもかまわない。周期構造効果を利用する物性値が、第2の微粒子12の芯(第2の1の材質)と外殻(第2の2の材質)で異なっている点が重要である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上説明したように、本発明によれば、薄皮粒子と微粒子が高度に規則配列した周期構造を有する構造体特有の特性を発現し、且つ、この構造体中に全体の周期構造を壊すことなく周期構造の欠陥(不規則性)を導入することにより新たな特性を発現する三次元周期構造体を提供することができる。そして、この三次元周期構造体は、導波路デバイスや、光共振器、光分配器などの光回路用デバイス等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の三次元周期構造体の基本構成を示す図である。
【図2】第1の実施例で使用する微粒子の構成例を示す図である。
【図3】微粒子構造体の集積に用いる装置の説明図である。
【図4】第1の実施例のプロセス中に形成される微粒子構造体と欠陥層の一例を示す図である。
【図5】微粒子構造体にチタニア・ゾル液を充填する方法の説明図である。
【図6】微粒子表面にチタニア薄皮が形成された微粒子構造体を示す図である。
【図7】第1の実施例で形成した三次元周期構造体を示す図である。
【図8】第2の実施例で使用する微粒子の構成例を示す図である。
【図9】第2の実施例のプロセス中に形成される微粒子構造体と欠陥層の一例を示す図である。
【図10】第2の実施例で形成した三次元周期構造体を示す図である。
【図11】第3の実施例で使用する微粒子の構成例を示す図である。
【図12】第3の実施例で形成した三次元周期構造体を示す図である。
【図13】第4の実施例で使用する微粒子の構成例を示す図である。
【図14】第4の実施例のプロセス中に形成される微粒子構造体と欠陥層の一例を示す図である。
【図15】第4の実施例で形成した三次元周期構造体を示す図である。
【図16】第5の実施例のプロセス中に形成される微粒子構造体と欠陥層の一例を示す図である。
【図17】第5の実施例で形成した三次元周期構造体を示す図である。
【図18】フォトニック結晶の光透過スペクトルを示す図である。
【図19】フォトニック結晶の光透過スペクトルに欠陥により局在化した準位が発生した状態を示す図である。
【図20】エアーブリッジ型二次元フォトニック結晶の構成例を示す図である。
【図21】二次元フォトニック結晶へ欠陥を導入した例を示す図である。
【図22】二次元フォトニック結晶へアクセプタ型欠陥を導入した場合のアクセプタ型欠陥の大きさと、形成される準位の周波数の関係を示す図である。
【図23】微粒子構造体と、インバース構造及び薄皮粒子集合構造を示す図である。
【図24】薄皮粒子集合構造の例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1:第1の材質
2−1:第2の1の材質
2−2:第2の2の材質
3:内部空隙(球状空間)
11:第1の微粒子
12:第2の微粒子
12−1:第2の1の微粒子
12−2:第2の2の微粒子
12−3:第2の3の微粒子
21:第1の基板
22:第2の基板
23:微粒子構造体
24:ギャップ材
25:原料液容器
26:カバー
27:原料液
28:スターラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の材質からなる球状薄皮粒子が三次元的に規則配列されてなる三次元周期構造体において、
任意の球状薄皮粒子内に第1の材質とは異なる第2の材質が満たされていることを特徴とする三次元周期構造体。
【請求項2】
請求項1記載の三次元周期構造体において、
前記第2の材質は、少なくとも2つ以上の異なる材質からなることを特徴とする三次元周期構造体。
【請求項3】
請求項2記載の三次元周期構造体において、
前記第2の材質は、芯となる粒子を構成する第2の1の材質と、該芯粒子を皮状に包んでいる外殻を構成する第2の2の材質から構成されており、且つ、第2の1の材質の芯粒子は球形状であることを特徴とする三次元周期構造体。
【請求項4】
請求項3記載の三次元周期構造体において、
三次元周期構造体中の球状空間に前記第2の材質が充填されている箇所が複数箇所あり、且つ、任意の第2の材質の箇所間における第2の1の材質の芯粒子の大きさが異なっていることを特徴とする三次元周期構造体。
【請求項5】
請求項3記載の三次元周期構造体において、
三次元周期構造体中の球状空間に前記第2の材質が充填されている箇所が複数箇所あり、且つ、任意の第2の材質の箇所間において芯粒子の材質が異なっているか、外殻の材質が異なっていることを特徴とする三次元周期構造体。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の三次元周期構造体において、
三次元周期構造体中の球状空間に第2の材質が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、二次元的もしくは三次元的な任意のパターンとなっていることを特徴とする三次元周期構造体。
【請求項7】
請求項6記載の三次元周期構造体において、
三次元周期構造体中の球状空間に第2の材質が充填されている箇所の配置パターンが、該三次元周期構造体中で、空間的な対称構造を有していることを特徴とする三次元周期構造体。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一つに記載の三次元周期構造体を用いたことを特徴とするデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−171533(P2006−171533A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365990(P2004−365990)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】