説明

三相電源用放電灯点灯装置

【課題】 本発明の目的は三相電源の各相に独立に放電灯を接続する点灯装置において、いずれかの放電灯に不点状態が生じたとしても機器の損傷を生じることない三相電源用放電灯点灯装置を提供することにある。
【解決手段】 三相電源118の各相120,122,124に個別の放電灯126,128,130を接続し点灯させる三相電源用放電灯装置であって、各放電灯に対応した少なくとも3つの安定化手段112,114,116を備え、各安定化手段は放電灯と直列接続されたインダクタンス132と、前記インダクタンス132の電源側に前記放電灯と並列接続された力率改善用キャパシタンス134と、前記各相に接続された放電灯の不点状態を検出する不点検出手段150,152,154と、前記検出手段により放電灯が不点状態にあると検出された時に、前記力率改善用キャパシタンスの少なくとも一部を電気的に切り離す切離手段156,158,160と、を備えることを特徴とする三相電源用放電灯点灯装置110。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は三相電源用放電灯点灯装置、特に三相電源の各相にそれぞれ独立した放電灯を接続する機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、発電機から直接得られる三相電流は、それぞれ位相のずれた交流電流となっており、これを整流して直流ないし単相の交流電流に変換して用いる場合にはさしたる問題はない。しかし、三相電源のそれぞれの相について各独立した負荷を設置する場合、各相のバランスをとる必要を生じる。図3には一般的な三相電源用放電灯点灯装置10が示されている。すなわち、同図に示す放電灯点灯装置10は、同様な構成を有する3組の安定化手段12,14,16を備える。
【0003】そして、各安定化手段12,14,16の一端は三相電源18のU相20、V相22、W相24に接続され、他端は放電灯26,28,30に接続されている。前記安定化手段12,14,16は、三相電源18と放電灯26,28,30の間に直列接続されたチョークコイル32a,32b,32cと、並列接続された力率改善用コンデンサ34a,34b,34cを備えている。すなわち、前記三相電源18の各相20,22,24のそれぞれに、安定化手段12,14,16及び放電灯26,28,30が独立して接続されていることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記図3に示した装置によれば、各相20,22,24に接続されている負荷、すなわち安定化手段12,14,16及び放電灯26,28,30のバランスがとれている場合には問題がない。しかしながら、例えば前記放電灯26が不点状態となると、チョークコイル32a及び放電灯26には電流が実質的に流れなくなるが、力率改善用コンデンサ34には進相電流が流れ続ける。この結果、放電灯26に不点状態が生じると、安定化手段12に流れる電流に位相づれを生じ、V相22及びW相24に接続された安定化手段14,16及び放電灯28,30に流れる電流及び電圧に極めて大きな影響を与える。
【0005】さらに、三相電源18が発電機であると、該発電機18の安定な動作にも悪影響を与え、安定化手段14,16及び放電灯28,30のみならず、発電機18をも損傷する可能性がある。本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は三相電源の各相に独立に放電灯を接続する点灯装置において、いずれかの放電灯に不点状態が生じたとしても機器の損傷を生じることない三相電源用放電灯点灯装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために本発明にかかる三相電源用放電灯点灯装置は、各放電灯に対応した少なくとも3つの安定化手段を備え、各安定化手段は、放電灯と直列接続されたインダクタンスと、前記インダクタンスの電源側に前記放電灯と並列接続された力率改善用キャパシタンスと、前記各相に接続された放電灯の不点状態を検出する不点検出手段と、前記検出手段により放電灯が不点状態にあると検出された時に、前記力率改善用キャパシタンスの少なくとも一部を電気的に切り離す切離手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】また、本発明において各安定化手段の力率改善用キャパシタンスは並列接続された複数のコンデンサよりなり、前記切離手段はそのコンデンサの一部を回路より切り離すことが好適である。また、本発明において、三相電源は三相発電機であることが好適である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の好適な実施形態について説明する。図1には本発明の第一実施形態にかかる三相電源用放電灯点灯装置の概略構成が示されており、前記図3と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。図1において、三相電源用放電灯点灯装置110は安定化手段112,114,116を備えており、各安定化手段112,114,116はインダクタンスとしてのチョークコイル132及び力率改善用キャパシタンスとしてのコンデンサ134に加え、放電灯126,128,130の不点状態を検出する不点検出手段150,152,154と、該不点検出手段150,152,154が放電灯126,128,130の不点状態を検出した時に、前記力率改善用コンデンサ134を電気的に切り離す切離手段156,158,160を備える。
【0009】各切離手段156,158,160はリレースイッチよりなり、前記不点検出手段150,152,154からの指令に基づきリレー電磁コイル156a,158a,160aが作動し、リレースイッチ156b,158b,160bがオフ作動する。本実施形態にかかる三相電源用放電灯点灯装置110は概略以上のように構成され、次にその作用について説明する。本実施形態にかかる放電灯点灯装置110は、各安定化手段112,114,116が進相型安定器として作用しており、力率改善用コンデンサ134a,134b,134cはそれぞれ進相コンデンサとしてチョークコイル132とともに放電灯126,128,130の点灯安定化に寄与している。
【0010】そして、放電灯126,128,130が正常点灯中に、例えば放電灯126のみが何らかの原因により不点状態となった場合、U相120から供給される交流電流は、進相コンデンサ134aの容量に応じて流れるが、チョークコイル132aは回路より実質的に切り離されているため、進相コンデンサー134aによる進相電流のみが残存することとなる。この結果他の安定化手段114,116と位相差が異なり、三相電源118すなわち発電機に過大な負荷をかけることとなる。
【0011】そこで、本実施形態においては、放電灯126の不点状態を不点検出手段150により検出し、切離手段156は不点検出手段150の不点検出に基づきリレースイッチ156bをオフ作動させ、進相コンデンサ134aを回路から実質的に切り離す。この結果、安定化手段112には進相電流も実質的に流れなくなり、三相電源118に加わる異常負荷が減少する。
【0012】また、本実施形態においては、不点検出手段150及びリレー電磁コイル156a,コンデンサ134a及びリレースイッチ156bは放電灯126に対して並列接続されており、このためリレースイッチ156bがオフ作動しても前記不点検出手段150,リレー電磁コイル156aには駆動電流が供給されつづけ、コンデンサ134aの切離状態を維持することができる。そして、点灯装置110を一度停止し、放電灯126を交換することにより、不点検出手段150はリセットがかかり、切離手段156のスイッチ156bはオン作動し、安定化手段112は初期状態に戻る。
【0013】なお、不点検出回路150は、放電灯126の不点状態を検出するために例えば放電灯126に流れる電流値を検出し、電流が流れていない状態を不点状態と判断する構成とすることが可能であり、また放電灯126の両端にかかる電圧値を検出し、正常に放電灯126が点灯している状態では電圧値が低く、不点状態となると電圧が急上昇することを検出し、放電灯126が不点状態となったことを検出する構成とすることも可能である。図2には本発明の第2実施形態にかかる三相電源用放電灯点灯装置210が示されており、前記図1と対応する部分には符号100を加えて示し、説明を省略する。
【0014】本実施形態において特徴的なことは、力率改善用コンデンサ234a,234b,234cをそれぞれ並列接続された2個のコンデンサ262a,262b,264a,264b,266a,266bより構成し、切離手段256,258,260により切り離されるコンデンサをそのうちの一方、262b、264b、266bのみとしたことである。この結果、切離手段256,258,260のリレースイッチ256b,258b,260bの接点に加わる電圧が減少し、切離手段256,258,260による切り離し負荷が減少するとともに、接点における放電の発生等の誤動作を防止することが可能となる。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかる三相電源用放電灯点灯装置によれば、各相にそれぞれ独立した安定化手段及び放電灯を接続し、いずれかの放電灯が不点状態となった場合に、対応する安定化手段の力率改善用キャパシタンスを電気的に切り離すこととしたので、他の安定化手段及び放電灯に与える影響は少なくなる。また、それぞれの安定化手段に用いられている力率改善用コンデンサを複数並列接続し、放電灯が不点状態の時にその一部のコンデンサを回路より切り離すことにより、切離手段に加わる切り離し負荷を軽減させることができる。さらに、三相電源を発電機とすることにより、いずれかの放電灯が不点状態となった場合に、該発電機に加わる異常負荷を軽減し、発電機の損傷を未然に防止することが可能なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる三相電源用放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図2】本発明の第二実施形態にかかる三相電源用放電灯点灯装置の回路構成図である。
【図3】従来の一般的な三相電源用放電灯点灯装置の回路構成図である。
【符号の説明】
10,110,210 三相電源用放電灯点灯装置
12,14,16,112,114,116,212,214,216 安定化手段
18,118,218 三相電源
26,28,30,126,128,130,226,228,230 放電灯
32,132,232 チョークコイル(インダクタンス)
34,134,234 力率改善用コンデンサ(キャパシタンス)
150,152,154,250,252,254 不点検出手段
156,158,160,256,258,260 切離手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 三相電源の各相に個別の放電灯を接続し点灯させる三相電源用放電灯点灯装置であって、各放電灯に対応した少なくとも3つの安定化手段を備え、各安定化手段は放電灯と直列接続されたインダクタンスと、前記インダクタンスの電源側に前記放電灯と並列接続された力率改善用キャパシタンスと、前記各相に接続された放電灯の不点状態を検出する不点検出手段と、前記不点検出手段により放電灯が不点状態にあると検出された時に、前記力率改善用キャパシタンスの少なくとも一部を電気的に切り離す切離手段と、を備えることを特徴とする三相電源用放電灯点灯装置。
【請求項2】 請求項1記載の装置において、各安定化手段の力率改善用キャパシタンスは並列接続された複数のコンデンサよりなり、前記切離手段はそのコンデンサの一部を回路より切り離すことを特徴とする三相電源用放電灯点灯装置。
【請求項3】 請求項1又は2記載の装置において、三相電源は三相発電機であることを特徴とする三相電源用放電灯点灯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開平10−162970
【公開日】平成10年(1998)6月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−334982
【出願日】平成8年(1996)11月29日
【出願人】(000126274)株式会社アイ・ライティング・システム (56)