説明

三脚座及び鏡筒

【課題】ねじ座の配置の変換やねじ座の交換を容易に行える三脚座を提供する。
【解決手段】三脚座本体(1)と、三脚(図示せず)の固定ねじ(図示せず)がねじ込まれるねじ穴(2a,3a)を有し、前記三脚座本体(1)に形成された複数の孔(1b)に着脱可能に装着される複数のねじ座(2,3)と、前記三脚座本体(1)の反三脚側の面に着脱可能に装着される被覆部材(10)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は三脚座及び鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鏡筒を三脚に固定するために鏡筒に装着される三脚座が知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
三脚座が三脚から外されているとき、三脚座は鏡筒を持ち運ぶためのグリップとして利用されることがある。三脚座を持って鏡筒を運ぶとき、三脚座の三脚側の面は上を向き、鏡筒は三脚座の下方に位置する。
【0004】
一般に、三脚座は、金属製の三脚座本体と、三脚座本体の複数の孔に収容される複数のねじ座と、ねじ座を覆い隠すために三脚座本体の反三脚側の面に接着剤で貼り付けられるゴム部材とで構成されている。複数のねじ座はそれぞれ三脚の固定ねじがねじ込まれるねじ穴を有し、通常、ねじ穴の内径はねじ座ごとに異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−161187号公報(段落0009、図2等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の三脚座では、ねじ座の配置を変えたい場合や、ねじ座にねじ込んだ三脚座ねじが折れてねじ座を交換する必要が生じた場合、まず、ゴム部材を三脚座本体から剥がし、次に、ねじ座の配置の変換やねじ座の交換を行い、最後に、ゴム部材を三脚座本体の反三脚側の面に接着しなければならない。
【0007】
このように、従来の三脚座には、ねじ座の配置変換やねじ座の交換を容易に行えないといった問題があった。
【0008】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題はねじ座の配置の変換やねじ座の交換を容易に行える三脚座を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を解決するため請求項1の発明の三脚座は、三脚座本体と、三脚の固定ねじがねじ込まれるねじ穴を有し、前記三脚座本体に形成された複数の孔に着脱可能に装着される複数のねじ座と、前記三脚座本体の反三脚側の面に着脱可能に装着される被覆部材とを備えていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の三脚座において、前記複数のねじ座は穴径の異なる複数のねじ座であることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の三脚座において、前記被覆部材が、前記三脚座本体の反三脚側の面にねじ止めされていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3記載の三脚座において、前記被覆部材は、前記三脚座本体の反三脚側の面に取付ねじでねじ止めされる取付部材と、前記取付部材の反三脚側の面を覆うゴム部材とで構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4記載の三脚座において、前記取付部材は、金属製であり、前記取付ねじが螺合される取付部材側ねじ穴を有することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項4記載の三脚座において、前記取付部材は、樹脂製の取付部材本体と、前記取付部材本体に埋設され、前記取付ねじが螺合される取付部材側ねじ穴を有するねじ穴部材とで構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項5又は6記載の三脚座において、前記取付ねじが、前記三脚座本体の三脚側から前記取付部材側ねじ穴に螺合されることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明の鏡筒は、請求項1〜7のいずれか1項記載の三脚座を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、ねじ座の配置の変換やねじ座の交換を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1はこの発明の第1実施形態の三脚座の縦断面を示す概念図である。
【図2】図2は図1に示す三脚座の横断面を示す概念図である。
【図3】図3はこの発明の第2実施形態の三脚座の横断面を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1はこの発明の第1実施形態の三脚座の縦断面を示す概念図、図2は図1に示す三脚座の横断面を示す概念図である。
【0021】
三脚座11は三脚座本体1とねじ座2,3と被覆部材10とを備える。三脚座11は、図示しない鏡筒に装着され、鏡筒を図示しない三脚に固定するために用いられる。
【0022】
三脚座本体1は例えばマグネシウム合金製であり、ほぼL字形に形成されている。三脚座本体1の垂直部1hには凸状の取付部1aが形成されている。また、三脚座本体1の取付部1aに隣接する位置には板状の固定部1fが形成されている。
【0023】
三脚座本体1の水平部1gには3つの孔1bが形成されている。孔1bは座ぐり1cを有する。座ぐり1cは三脚座本体1の水平部1gの被覆部材10側に位置する。座ぐり1cには、ねじ座2,3を三脚座本体1の水平部1gに固定するためのねじ4がねじ込まれるねじ穴1iが形成されている。また、三脚座本体1の水平部1gには4つのねじ通し孔1dが形成されている。ねじ通し孔1dは座ぐり1eを有する。座ぐり1eは三脚座本体1の水平部1gの三脚側に位置する。
【0024】
ねじ座2,3は鉄製であり、ほぼハトメ状である。ねじ座2は1/4インチの三脚ねじ(三脚の固定ねじ)用のねじ穴2aを有する。ねじ座3は3/8インチの三脚ねじ(三脚の固定ねじ)用のねじ穴3aを有する。ねじ座2,3の頭部2b,3bには、ねじ4を通すためのねじ通し孔2c,3cが形成されている。
【0025】
ねじ座2とねじ座3とはねじ穴2a,3aの穴径の大きさを除き、同形状で同じ大きさである。
【0026】
ねじ座2は3つの孔1bのうちの両端に位置する孔1bにそれぞれ挿入される。
【0027】
ねじ座3は3つの孔1bのうちの中央に位置する孔1bに挿入される。ねじ4をねじ通し孔2c,3cに挿入し、三脚座本体1の水平部1gのねじ穴1iにねじ込む。その結果、ねじ座2,3は三脚座本体1に着脱可能に装着される。
【0028】
被覆部材10は取付部材6とゴム部材5とで構成されている。
【0029】
取付部材6はアルミ合金製であり、ほぼ板状である。取付部材6の三脚座本体1側の面の四隅にはねじ穴(取付部材側ねじ穴)6aが形成されている。ねじ穴6aには三脚座本体1の三脚側からねじ通し孔1dに挿入された取付ねじ7がねじ込まれる。これにより、取付部材6は三脚座本体1の反三脚側の面にねじ止めされ、孔1bに挿入されたねじ座2,3を覆う。
【0030】
ゴム部材5は取付部材6の反三脚側の面に接着される。
【0031】
三脚座11を鏡筒に装着するには、三脚座本体1の垂直部1hの取付部1aを鏡筒の凹部(図示せず)に挿入し、固定部1fを鏡筒にねじ止めすればよい。
【0032】
三脚座11を三脚に連結する場合、三脚の三脚ねじの太さが1/4インチであるとき、2つのねじ座2のうちのどちらかのねじ座2に三脚ねじをねじ込み、三脚の三脚ねじの太さが3/8インチであるとき、ねじ座3に三脚ねじをねじ込めばよい。
【0033】
ねじ座2,3の配置を変えたい場合や、ねじ座2,3にねじ込んだ三脚ねじが折れ、ねじ座2,3を交換したい場合、まず、取付ねじ7をねじ穴6aから外し、被覆部材10を三脚座本体1から外す。
【0034】
次に、ねじ4をねじ穴1iから外し、ねじ座2,3の配置の変換又はねじ座2,3の交換をする。
【0035】
その後、ねじ4をねじ穴1iにねじ込み、被覆部材10を三脚座本体1の反三脚側の面に被せる。
【0036】
最後に、取付ねじ7をねじ穴6aにねじ込み、被覆部材10を三脚座本体1に装着する。
【0037】
以上のように、取付ねじ7をねじ穴6aから外したり、ねじ穴6aにねじ込んだりすることによって、被覆部材10の三脚座本体1に対する着脱を容易にした。
【0038】
この実施形態によれば、ねじ座2,3の配置の変換やねじ座2,3の交換を簡単に行うことができる。
【0039】
また、被覆部材10はゴム部材5を有するので、三脚座11を持って鏡筒を運ぶとき、ゴム部材5が滑り止めになり、三脚座11が手から抜け落ちる事故を抑制できる。
【0040】
更に、被覆部材10を三脚座本体1の反三脚側の面に装着するために取付ねじ7を三脚座本体1の三脚側の面からねじ孔6aにねじ込むことができるようにし、取付ねじ7を通すためのねじ通し孔をゴム部材5に形成しなくてもよいようにしたので、三脚座11を三脚に連結したとき、三脚座11にねじ通し孔1dや取付ねじ7が外部から見えず、鏡筒の美観が損なわれない。
【0041】
また、被覆部材10がアルミ合金製の取付部材6を備えているので、樹脂製の取付部材(図示せず)に較べ、強度が高く、被覆部材10を三脚座本体1に強固に固定することができる。
【0042】
次に、この発明の第2実施形態のコネクタを図3に基づいて説明する。
【0043】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0044】
第1実施形態では、取付部材6はアルミ合金製の1つの部品であるが、第2実施形態では、取付部材6´は取付部材本体61とねじ穴部材8とで構成されている。
【0045】
取付部材本体61は樹脂製である。
【0046】
ねじ穴部材8は真鍮製であり、ねじ穴(取付部材側ねじ穴)8aを有する。ねじ穴8aには取付ねじ7がねじ込まれる。ねじ穴部材8はモールドイン成形法によって取付部材本体61の三脚側の面の四隅に埋め込まれている。
【0047】
ゴム部材5は取付部材本体61の反三脚側の面に接着されている。
【0048】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、三脚座11をより軽量化することができる。
【0049】
なお、上述の実施形態では、穴径の異なる2種類のねじ座2,3が三脚座本体1の孔1bに装着されているが、ねじ座の種類を1種類にしてもよいし、すべて異なる種類にしてもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、取付ねじ7で被覆部材10を三脚座本体1の反三脚側の面に装着したが、被覆部材10を三脚座本体1の反三脚側の面に着脱可能に装着する手段は取付ねじ7に限られず、例えば、鉤爪と孔との係合、凹部と凸部との係合等の装着手段を採用してもよい。
【0051】
なお、上述の実施形態では、被覆部材10は三脚座本体1の垂直部1hの高さ方向に沿って三脚座本体1に着脱されるが、着脱方向は三脚座本体1の高さ方向に限られず、被覆部材10を三脚座本体1の水平部1gの長手方向に沿ってスライドさせて三脚座本体1に着脱可能にするようにしてもよい。
【0052】
また、上述の実施形態では、被覆部材10は取付部材6,6´とゴム部材5とで構成されているが、被覆部材10を握ったときに、被覆部材10が滑りにくい材料で形成されているか、或いは滑りにくい形状に形成されていれば、被覆部材10を2つの部材で構成しなくともよい。すなわち、被覆部材10を1つの部材で構成してもよいし、3つ以上の部材で構成してもよい。
【0053】
なお、上述の実施形態では、ゴム部材5を取付部材6や取付部材本体61に接着してあるが、ゴム部材5を取付部材6や取付部材本体61に一体化する方法は接着に限られず、例えば、モールドイン成形法によってゴム部材5を取付部材6や取付部材本体61に一体化するようにしてもよい。
【0054】
また、上述の実施形態では、取付ねじ7を三脚座本体1の三脚側の面から三脚座本体1に挿入し、被覆部材10にねじ込むようにしたが、鏡筒の美観を考慮しなくともよいのであれば、取付ねじ7を被覆部材10の反三脚側の面から挿入し、三脚座本体1にねじ込む構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1:三脚座本体、1b:孔、2:ねじ座、2a:ねじ穴、3:ねじ座、3a:ねじ穴、5:ゴム部材、6,6´:取付部材、6a:ねじ穴(取付部材側ねじ穴)、61:取付部材本体、7:取付ねじ、8:ねじ穴部材、8a:ねじ穴(取付部材側ねじ穴)、10:被覆部材、11:三脚座。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三脚座本体と、
三脚の固定ねじがねじ込まれるねじ穴を有し、前記三脚座本体に形成された複数の孔に着脱可能に装着される複数のねじ座と、
前記三脚座本体の反三脚側の面に着脱可能に装着される被覆部材と
を備えていることを特徴とする三脚座。
【請求項2】
前記複数のねじ座は穴径の異なる複数のねじ座であることを特徴とする請求項1記載の三脚座。
【請求項3】
前記被覆部材が、前記三脚座本体の反三脚側の面にねじ止めされている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の三脚座。
【請求項4】
前記被覆部材は、
前記三脚座本体の反三脚側の面に取付ねじでねじ止めされる取付部材と、
前記取付部材の反三脚側の面を覆うゴム部材と
で構成されていることを特徴とする請求項3記載の三脚座。
【請求項5】
前記取付部材は、金属製であり、前記取付ねじが螺合される取付部材側ねじ穴を有することを特徴とする請求項4記載の三脚座。
【請求項6】
前記取付部材は、
樹脂製の取付部材本体と、
前記取付部材本体に埋設され、前記取付ねじが螺合される取付部材側ねじ穴を有するねじ穴部材と
で構成されていることを特徴とする請求項4記載の三脚座。
【請求項7】
前記取付ねじが、前記三脚座本体の三脚側から前記取付部材側ねじ穴に螺合されることを特徴とする請求項5又は6記載の三脚座。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項記載の三脚座を備えたことを特徴とする鏡筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−168311(P2012−168311A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28410(P2011−28410)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】