説明

三角測距方式の距離検出回路

【課題】三角測距によって遠距離から近距離までの広範囲な距離測定を行う場合に、特に高精度な部品を使用することなく簡単な構成でS/N比を上げるためのダイナミックレンジを確保しつつ、特性ばらつきの影響も受けにくくして距離測定精度の向上を可能とした三角測距方式の距離検出回路を提供する。
【解決手段】スポット光の入射位置に応じたN側信号およびF側信号がそれぞれ出力される光位置センサ(1次元PSD11)と、N側信号またはF側信号のいずれか一方を増幅する第1増幅器(増幅器12)と、N側信号およびF側信号を差動増幅する第2増幅器(差動増幅器20)と、第1増幅器および第2増幅器の各出力に基づいて距離を算出する距離算出部(CPU21)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア用センサなどに用いられる、いわゆる三角測距方式の距離検出回路に関し、特に、距離測定精度の向上を図る距離検出回路に関する。
【背景技術】
【0002】
距離測定による自動ドア用センサでは、非常に広範囲な距離測定(センサ直近〜3m)が求められており、距離検出精度に至っては数cm程度の精度が必要となる。加えて非常に速い応答速度(100ms以下)が求められている。
【0003】
このような自動ドア用センサなどに好適な従来技術としては、PSDなどの光位置センサを用いていわゆる三角測距方式で距離検出を行う技術、例えば、特許文献1に記載の「距離測定センサ」や特許文献2に記載の「測距装置」などが知られている。具体的には、例えば次のような手法があった。
【0004】
(A)近距離側および遠距離側それぞれに信号増幅回路を設ける
図5は、近距離側信号(N側信号)および遠距離側信号(F側信号)それぞれに個別の増幅回路を設けた距離検出回路100の主要部の概略構成図である。
【0005】
この図5に示すように、距離検出回路100は、スポット光が入射される受光面(不図示)を有し、この受光面の両側からスポット光入射位置に応じたN側信号およびF側信号がそれぞれ出力される1次元PSD11と、N側信号を増幅する増幅器12(以下では区別が必要なときに「増幅器12N」と記す)と、この増幅器12Nの出力をさらに増幅する増幅器13(以下では区別が必要なときに「増幅器13N」と記す)と、F側信号を増幅する増幅器12(以下では区別が必要なときに「増幅器12F」と記す)と、この増幅器12Fの出力をさらに増幅する増幅器13(以下では区別が必要なときに「増幅器13F」と記す)とを備えている。
【0006】
増幅器13Nおよび増幅器13Fの各出力は、例えば、CPU(不図示)のA/D入力端子にそれぞれ接続される。これらのA/D入力端子に入力されている信号をCPUがA/D変換によって取り込むとともに、そうして取り込んだデジタル値に基づく演算を行うことによって距離を算出することができる。
【0007】
(B)対数増幅器を用いた信号処理回路を設ける
図6は、対数増幅器(ログアンプ)を用いた信号処理回路を設けた距離検出回路200の主要部の概略構成図である。
【0008】
この図6に示すように、距離検出回路200は、距離検出回路と同様の1次元PSD11と、N側信号およびF側信号を対数差動増幅する対数差動増幅器14と、N側信号およびF側信号の和信号を対数増幅する対数増幅器15と、対数差動増幅器14および対数増幅器15からの各出力信号を処理する信号処理回路16とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−140773号公報
【特許文献2】特開昭58−144707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したような三角測距による測距用デバイスを用いた距離測定では、N側信号とF側信号のバランスにより測定距離を算出するが、遠距離での距離測定の場合、受光信号量自体が少なくなりやすいため測定距離が安定しにくく、測定距離を安定させるためにはS/N比を確保する必要がある。
【0011】
反面、受光量が大きく、且つ重心がF側にある場合、N側信号に比べF側信号が大きいため信号が飽和しやすくなる。信号が飽和してしまうと正確な測定距離ができないため、アンプゲイン等の調整で飽和を回避する必要がある。しかし、アンプゲインが小さくなると受光量が減少するため、距離精度を確保しにくくなるという現象に陥る。
【0012】
上述した(A)のような構成では、N側信号とF側信号の信号増幅回路特性は同一特性であることが望ましく、アンプゲインを調整することで飽和は回避できるようになるが、別系統の増幅回路の特性を同一にすることが難しくなり、ゲイン調整の状態によっては測距デバイスのリニアリティーが保てなくなったり、温度特性等によっても距離精度が変動する恐れがある。両側の信号増幅回路を高精度な部品で構成すれば正確な距離測定が可能になるものの、極めて高価なものとなってしまう。
【0013】
また、CPUへの信号取り込み(A/D)に関してN側信号とF側信号のバランスを崩さないように同時に取り込むことが望ましいが、汎用的なCPUでは同時に信号を取り込むことが難しい。
【0014】
信号を同時に取り込めない場合には、さらに次のような解決案も考えられる。
【0015】
(A1)別途サンプルホールド回路等を追加し、N側信号とF側信号についての信号保持を行い、順次取り込む。
【0016】
(A2)投光動作を2回行うことにより、例えば「1回目はN側信号/2回目はF側信号を処理する」というようにN側信号およびF側信号について別処理を行う。
【0017】
しかし、(A1)の場合には、サンプルホールド回路等のコストや、サンプルホールド用の制御信号を追加する必要がある。
【0018】
(A2)の場合には、コストや制御信号の追加はなく、N側/F側の処理回路に同一回路を使用することにより回路特性の差異を無くすことは可能である。しかし、2回の投光によりN側信号とF側信号の信号取得タイミングにズレが発生してしまう。時間的なズレが測定距離に及ぼす影響は大きく、場合によっては実際とは全く異なる測定結果となることもあり距離精度を確保することが難しい。(例えば、物体の移動等々で刻々と変化する状況が発生する場合等、N側信号取得時とF側信号取得時で検知対象物の位置が異なると、正確な距離測定は行えない)
また、1距離測定を行うために2周期の時間は必要となるため、検知と判断するまでに2倍の時間が掛かり応答性能も悪くなる。
【0019】
一方、上述した(B)のような構成では、非常に広いダイナミックレンジを確保できたり、ハードウェアで重心位置換算したデータを処理できたり、演算時間を短縮できたりするなどのメリットがある。
【0020】
しかし、部品や回路のばらつき、環境温度の影響が非常に大きいため、測定距離の安定性や精度を確保することが難しく、実使用には向かないなどの問題点がある。
【0021】
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、三角測距によって遠距離から近距離までの広範囲な距離測定を行う場合に、特に高精度な部品を使用することなく簡単な構成でS/N比を上げるためのダイナミックレンジを確保しつつ、特性ばらつきの影響も受けにくくして距離測定精度の向上を可能とした三角測距方式の距離検出回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するため、本発明の三角測距方式の距離検出回路は、スポット光の入射位置に応じた第1信号および第2信号が出力される光位置センサと、前記第1信号または前記第2信号のいずれか一方を増幅する第1増幅器と、前記第1信号および前記第2信号を差動増幅する第2増幅器と、前記第1増幅器および前記第2増幅器の各出力に基づいて距離を算出する距離算出部とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明の三角測距方式の距離検出回路において、前記光位置センサは、スポット光が入射される受光面を有し、この受光面の両側から前記スポット光の入射位置に応じて三角測距における近距離側に対応する前記第1信号および遠距離側に対応する前記第2信号をそれぞれ出力し、前記第1増幅器は、増幅される信号が入力される入力端子を有し、この入力端子に入力される前記第1信号または前記第2信号のいずれか一方を増幅し、前記第2増幅器は、差動増幅される信号がそれぞれ入力される反転入力端子および非反転入力端子を有し、これらの一方に入力される前記第1信号および他方に入力される前記第2信号を差動増幅することを特徴としてもよい。
【0024】
ここで、前記第1増幅器の前記入力端子には前記第1信号が入力されるようになっていてもよい。あるいは、前記第1増幅器の前記入力端子には前記第2信号が入力されるようになっていてもよい。前記光位置センサとしては、例えば、1次元PSDが挙げられるが、これに限られるわけではない。
【0025】
このような構成の三角測距方式の距離検出回路によれば、特に高精度な部品を使用することなく簡単な構成でS/N比を上げるためのダイナミックレンジを確保しつつ、特性ばらつきの影響も受けにくくできるので、距離測定精度の向上が可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の三角測距方式の距離検出回路によれば、特に高精度な部品を使用することなく簡単な構成でS/N比を上げるためのダイナミックレンジを確保しつつ、特性ばらつきの影響も受けにくくできるので、距離測定精度の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る距離検出回路10の概観構成図である。
【図2】三角測距方式の距離検出回路において、距離測定対象までの距離と、PSDからスポット光入射位置に応じて出力されるN側信号(近距離側)、F側信号(遠距離側)およびこれらの差動信号との関係を示すグラフである。
【図3】従来技術として上述した(A)を高精度部品で構成したものと、第1実施形態の距離検出回路10とをそれぞれによって求めた重心位置で比較するグラフである。
【図4】本発明の第1実施形態の変形例に係る距離検出回路10Aの概観構成図である。
【図5】近距離側信号(N側信号)および遠距離側信号(F側信号)それぞれに個別の増幅回路を設けた距離検出回路100の主要部の概略構成図である。
【図6】対数増幅器(ログアンプ)を用いた信号処理回路を設けた距離検出回路200の主要部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る距離検出回路10の概観構成図である。
【0030】
この図1に示すように、距離検出回路10は、
スポット光が入射される受光面(不図示)を有し、この受光面の両側からスポット光入射位置に応じたN側信号SN(近距離側)およびF側信号SF(遠距離側)がそれぞれ出力される1次元PSD11と、
増幅される信号が入力される入力端子を有し、この入力端子にN側信号SNが入力される増幅器12(以下では区別が必要なときに「増幅器12N」と記す)と、
この増幅器12Nの出力をさらに増幅する増幅器13(以下では区別が必要なときに「増幅器13N」と記す)と、
差動増幅される信号がそれぞれ入力される反転入力端子および非反転入力端子を有し、これらの一方(図1では反転入力端子)にN側信号SNが入力されるとともに他方(図1では非反転入力端子)にF側信号SFが入力される差動増幅器20と、
この差動増幅器20の出力をさらに増幅する増幅器13(以下では区別が必要なときに「増幅器13D」と記す)と、
少なくとも2系統のA/D入力端子を有し、これらにそれぞれ入力される増幅器13Nおよび増幅器13Dからの各信号をA/D変換するとともに、それらのA/D変換値に基づいて距離を算出する演算を行うCPU21とを備えている。
【0031】
ここで、増幅器12Nおよび差動増幅器20の各アンプゲインは同等でよい。増幅器13Nおよび増幅器13Dについても各アンプゲインは同等でよく、CPU21によるA/D変換によって必要な精度が十分得られるように定めればよい。増幅器13Nおよび増幅器13Dは、増幅器12Nおよび差動増幅器20からの出力信号レベルが十分高ければ省くことも可能であるから、不可欠というわけではない。
【0032】
図2は、三角測距方式の距離検出回路において、距離測定対象までの距離と、PSDからスポット光入射位置に応じて出力されるN側信号(近距離側)、F側信号(遠距離側)およびこれらの差動信号との関係を示すグラフである。なお、このグラフでは各信号は10bitのA/D変換値(0〜1,023)である。
【0033】
自動ドア用センサとしては、特におおよそ1.5〜3.0mの距離範囲内でできるだけ高精度の測定ができることが望ましい。その距離範囲内では、図2のグラフにも示すように、N側信号に比べF側信号が大きいため信号が飽和しやすかった。アンプゲインを下げれば飽和を回避できるが、それによって信号レベルが低下すると距離精度を確保しにくくなっていた。しかし、差動信号では上記の距離範囲内で信号が飽和することがないので、そのような問題点は生じない。
【0034】
図3は、従来技術として上述した(A)を高精度部品で構成したものと、第1実施形態の距離検出回路10とをそれぞれによって求めた重心位置で比較するグラフである。
【0035】
この図3のグラフに示すように、例えば0.5〜1.0mの範囲では距離検出回路10の測定誤差が大きくなるものの、自動ドア用センサとして特に重要な1.5〜3.0mの距離範囲内では両者はほぼ一致しており、距離検出回路10によっても十分な測定精度が得られていることがわかる。
【0036】
このような第1実施形態の構成によれば、N側信号SNおよびF側信号SFの差動増幅器20によって、遠距離測定時に大きくなるF側信号SFを後段で用いる必要はなくなる。N側が飽和しない程度までアンプゲインを大きくすることが可能となり、S/N比を改善させることができるので、アンプゲインの切替などを行わずに飽和を回避しつつ必要なS/N比を確保し易くなる。
【0037】
また、後段処理で必要な情報(N側信号SN−F側信号SF)をハードウェアで得ることができるため、増幅回路の特性や部品ばらつき等の変動要因を低減させることができる。
【0038】
CPU21への信号取り込みに関しては、差動増幅器20の出力は総受光量を求めるために必要な補助的情報となり、後段で必要な情報(N側とF側の差分情報)も含んでいる。よって、N側とF側の受光信号を直接演算で用いる上記の手法(A)と比較しても、取り込み誤差による測定距離への影響は小さくなる。よって、信号取り込みの時間的なズレを多少許容することが可能となってくる。
【0039】
そこで、1回の投光で2回のA/D(N側信号SNと差動側信号の取り込み)を行うようにすれば、追加回路を不要としながら応答速度の遅延を回避できるから、上記の(A2)のような問題も解決できる。
【0040】
なお、1回の投光で、1距離情報を得ることができれば応答速度の遅延は回避できる。ただし、1回の投光で2系統の受光信号を取り込む場合は、取り込み誤差による測定距離への影響は避けられない。しかし、上述した通り、差動信号の取り込み誤差については距離に与える影響が比較的小さい。ただし、全ての状態において重心位置への影響が小さいわけではなく、差動信号が大きくなるほど重心位置への影響は大きくなる。特に、スポット位置がかなり近距離側となった場合には影響が大きくなるが、三角測距の原理上、近距離側での分解能は荒くなるため、測定距離とした場合の影響は少ないのである。
【0041】
また、この第1実施形態にすることによる部品追加などは必要なく、背景技術として上述した距離検出回路100とほぼ同等のコストで実現することが可能である。
【0042】
<第1実施形態の変形例>
図4は、本発明の第1実施形態の変形例に係る距離検出回路10Aの概観構成図である。なお、次に述べる点を除いては第1実施形態と同一であるので、同じ構成部材には同じ参照符号を付すこととし、主として相違点について説明する。
【0043】
この図2に示すように、距離検出回路10Aでは、増幅器12の入力端子にN側信号SNの代わりにF側信号SFが入力される(この増幅器12を以下で区別が必要なときには「増幅器12F」と記す)。
【0044】
このような第1実施形態の変形例の構成によっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0045】
<その他の実施形態>
本発明は1次元PSDに限らず、例えば、2次元PSDや2フォトダイオード、その他の光位置センサなどにも適用可能である。また、他の測距デバイスにおいても、応答速度の遅延を回避することや、回路ばらつきによる影響を低減させることに応用することが可能である。
【0046】
なお、本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0047】
10 距離検出回路
10A 距離検出回路
11 1次元PSD
12 増幅器
13 増幅器
14 対数差動増幅器
15 対数増幅器
16 信号処理回路
20 差動増幅器
21 CPU
100 距離検出回路
200 距離検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角測距方式の距離検出回路であって、
スポット光の入射位置に応じた第1信号および第2信号が出力される光位置センサと、
前記第1信号または前記第2信号のいずれか一方を増幅する第1増幅器と、
前記第1信号および前記第2信号を差動増幅する第2増幅器と、
前記第1増幅器および前記第2増幅器の各出力に基づいて距離を算出する距離算出部とを備えることを特徴とする距離検出回路。
【請求項2】
請求項1に記載の距離検出回路において、
前記光位置センサは、スポット光が入射される受光面を有し、この受光面の両側から前記スポット光の入射位置に応じて三角測距における近距離側に対応する前記第1信号および遠距離側に対応する前記第2信号をそれぞれ出力し、
前記第1増幅器は、増幅される信号が入力される入力端子を有し、この入力端子に入力される前記第1信号または前記第2信号のいずれか一方を増幅し、
前記第2増幅器は、差動増幅される信号がそれぞれ入力される反転入力端子および非反転入力端子を有し、これらの一方に入力される前記第1信号および他方に入力される前記第2信号を差動増幅することを特徴とする距離検出回路。
【請求項3】
請求項2に記載の距離検出回路において、
前記第1増幅器の前記入力端子には前記第1信号が入力されることを特徴とする距離検出回路。
【請求項4】
請求項2に記載の距離検出回路において、
前記第1増幅器の前記入力端子には前記第2信号が入力されることを特徴とする距離検出回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の距離検出回路において、
前記光位置センサは1次元PSDまたは2フォトダイオードであることを特徴とする距離検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−98094(P2012−98094A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244732(P2010−244732)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】