三輪型自転車
【課題】車体シェルを備えた三輪型自転車において,車体シェルの横幅を小さく設定しつゝ,停車時には,乗り手が両足を左右に充分広く開いて接地させ得るようにする。
【解決手段】車体フレームFに,キャビン30を画成する車体シェルSを取り付け,この車体シェルSの左右両側部に乗降口63を設けると共に,この乗降口63を開閉するドア64を車体シェルSに取り付け,キャビン30では,停車時,乗り手Rが両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,ドア64の下部に,乗り手Rが接地させる足で乗降口63の外方へ撓ませ得る可撓部68aを設けた。
【解決手段】車体フレームFに,キャビン30を画成する車体シェルSを取り付け,この車体シェルSの左右両側部に乗降口63を設けると共に,この乗降口63を開閉するドア64を車体シェルSに取り付け,キャビン30では,停車時,乗り手Rが両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,ドア64の下部に,乗り手Rが接地させる足で乗降口63の外方へ撓ませ得る可撓部68aを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,前輪,後輪及びそれらの間に配置されるサドルを支持する車体フレームに,乗り手を収容するキャビンを画成する車体シェルを取り付け,この車体シェルの左右両側部に乗降口を設けると共に,この乗降口を開閉するドアを車体シェルに取り付け,キャビンでは,停車時,乗り手が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる三輪型自転車は,下記特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【特許文献1】特開2004−82745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の三輪型自転車では,車体シェルの横幅を広く設定すると,停車時,キャビン内で乗り手が両足を左右に充分広く開いて接地させ,車体を安定させ得る利点がある反面,走行時には,車体シェルが受ける空気抵抗が大きくなって,乗り手の負担が増大する。これとは反対に車体シェルの横幅を狭く設定すると,走行時の空気抵抗は減少するものゝ,乗り手が両足を接地させるとき,その両足を開くことが,車体シェル又はドアに干渉されて,充分にはできない不都合が生じる。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルの横幅を小さく設定しつゝ,停車時には,乗り手が両足を左右に充分広く開いて接地させ得るようにした,前記三輪型自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明は,前輪,後輪及びそれらの間に配置されるサドルを支持する車体フレームに,乗り手を収容するキャビンを画成する車体シェルを取り付け,この車体シェルの左右両側部に乗降口を設けると共に,この乗降口を開閉するドアを車体シェルに取り付け,キャビンでは,停車時,乗り手が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,前記ドアの下部に,乗り手が接地させる足で乗降口の外方へ撓ませ得る可撓部を設けたことを第1の特徴とする。
【0006】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記ドアを,下側を開放した逆U字状をなして前記車体シェルに軸支されるドアフレームと,前記可撓部を下部に有してこのドアフレームに取り付けられる合成樹脂製のドアパネルとで構成し,そのドアパネルの上下方向中間部外面に,前記可撓部の外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部を形成したことを第2の特徴とする。
【0007】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記ドアフレーム及び前記可撓部間に,可撓部をドアフレーム側にばね付勢する戻し装置を設けたことを第3の特徴とする。
【0008】
さらにまた本発明は,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,後輪の前方且つ後輪の上面より下方に背当て付きのサドルを配置し,このサドルの前方にペダル付きクランク軸を配置したことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば,停車時,乗り手が接地させる両足を車体シェルの横幅よりも広く広げようとして,その両足でドアの可撓部を内側から押圧すると,その可撓部は外側方に撓んで,その両足の広がりを許容する。したがって,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルの横幅を小さく設定しても,乗り手は両足を車体シェルの横幅以上に広げて接地させ,車体を容易に安定させることができる。
【0010】
また本発明の第2の特徴によれば,合成樹脂製のドアパネルの外面を滑らにして,その空気抵抗を極力少なくしながら,可撓部の良好な可撓性を確保することができる。
【0011】
さらに本発明の第3の特徴によれば,通常は戻し装置により可撓部をドアフレームとの当接位置に確実に保持することができるので,走行中,この可撓部の振動を抑え,騒音の発生を防ぐことができる。
【0012】
さらにまた本発明の第4の特徴によれば,乗り手の乗車姿勢を効果的に下げさせることができ,これに伴い車体シェルの全高を低く抑えことができるので,車体シェルの横幅を小さく設定することゝ相俟って,車体シェルの前後方向投影面積を小さくすることができ,空気抵抗の一層の減少を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を,図面に示す本発明の好適な実施例に基づき以下に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例に係る三輪型自転車の側面図,図2は同自転車の正面図,図3は同自転車の背面図,図4は同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す側面図,図5は同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す平面図,図6は図1の6−6線断面図,図7は図6の7−7線拡大断面図,図8は同自転車の伝動装置を示す平面図,図9は前記車体シェルに取り付けられるドアの分解斜視図,図10は図1の10−10線拡大断面図,図11は図10の11−11線断面図,図12は図10に対応する作用説明図,図13はドアロック装置の変形例を示す,図10との対応図,図14は図1の14−14線拡大断面図,図15は図14の15−15線断面図,図16は図1の16−16線断面図,図17は図2の17−17線拡大断面図,図18は図1の18−18線拡大断面図,図19は図3の19−19線拡大断面図である。
【0015】
先ず,図4及び図5において,三輪型自転車Bの車体フレームFは,前部ヘッドパイプ1と,この前部ヘッドパイプ1から斜め下向きに延び,そして後方へ水平に延びるメインフレーム2と,前部ヘッドパイプ1からメインフレーム2の上方へ斜め後方に突出するハンドル支持パイプ3と,このハンドル支持パイプ3及びメインフレーム2間を連結する第1ステー4と,ハンドル支持パイプ3の後端部に固設される後部ヘッドパイプ5と,第1ステー4及びメインフレーム2間を連結する第2ステー6と,メインフレーム2の後端に直交して連結して水平に延びるクロスメンバ7と,このクロスメンバ7の左右両側部から立ち上がった後,後方へ水平に延びて後端で閉じるU字状のリアフレーム9とで構成される。
【0016】
前部ヘッドパイプ1では,前輪10fを支持するフロントフォーク11の上端に一体に突設されたフォークステム11aが回転自在に支承され,後部ヘッドパイプ5では,操向ハンドル12に結合されたハンドルステム12aが回転自在に支承される。そしてフォークステム11aの上端部と,ハンドルステム12aの下端部とは平行リンク機構13を介して連結され,操向ハンドル12の回動をフロントフォーク11に同期して伝達し得るようになっている。
【0017】
またクロスメンバ7には,リアフレーム9の下方において左右一対の後輪10r,10rが図示しないダンパ付き懸架装置を介して上下動可能に取り付けられる。
【0018】
メインフレーム2には,背当て15a付きのサドル15が左右の後輪10r,10rの前方且つそれらの上面より低い位置を占めるように取り付けられる。このサドル15の前方において,左右一対のペダル16,16を備えたクランク軸17がメインフレーム2に回転自在に支承される。車体フレームFには,前輪10f,後輪10r,10r及びサドル15等を上方から覆う車体シェルSが取り付けられる。その構造については後述する。
【0019】
クランク17と左右何れか一方の後輪10rとは伝動装置Mを介して連結される。その伝動装置Mについて,図8を参照しながら説明する。
【0020】
伝動装置Mは,クランク軸17側から第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,フリーホイール付きの多段変速機45,第3チェーン伝動装置43,発電・電動機59,クラッチ46及び,後輪10rのハブに連結した駆動車軸47を順次連ねて構成される。
【0021】
第1チェーン伝動装置41は,クランク軸17に固設した第1駆動スプロケット50と,メインフレーム2に回転自在に軸支される第1被動スプロケット50′とに第1チェーン51を巻き掛けて構成される。メインフレーム2には,第1チェーン51の緊張度合いから,クランク軸17に作用する負荷,即ちペダル負荷を検知するペダル負荷センサ58が取り付けられる。
【0022】
第2チェーン伝動装置42は,第1被動スプロケット50′に隣接して前記伝動軸59に固設した第2駆動スプロケット52と,リアフレーム9に取り付けられる変速機45の入力軸に固設した第2被動スプロケット52′とに第2チェーン53を巻き掛けて構成される。
【0023】
変速機45は,その入力軸から出力軸側への一方向へのみ伝動を可能にするフリーホイールとを内蔵している。そのフリーホイールはクランク軸17への逆負荷を遮断するものであるから,第1チェーン伝動装置41又は第2チェーン伝動装置42に設けることもできる。
【0024】
第3チェーン伝動装置43は,変速機45の出力軸に固設した第3駆動スプロケット55と,リアフレーム9に取り付けられる発電・電動機59のロータ軸に連なる駆動軸48に固設した第3被動スプロケット55′とに第3チェーン56を巻き掛けて構成される。その第3被動スプロケット55′の出力側で,駆動軸48及び駆動車軸47間に前記クラッチ46が介装される。このクラッチ46は,通常,オン状態を保持していて駆動軸48及び駆動車軸47間を連結している。このクラッチ46のレリーズレバーには,操向ハンドル12又はその近傍の車体フレームFに軸支されるクラッチレバー87がクラッチワイヤ87aを介して接続され,このクラッチレバー87を操作することによりクラッチ46をオフ状態にして,駆動軸48及び駆動車軸47間を遮断することができる。
【0025】
同じく図8により,三輪型自転車Bのブレーキ装置について説明する。
【0026】
前輪10fには,これを制動するキャリパ式のフロントブレーキ80が,また従動側の後輪10rには,これを制動するドラム式のリアブレーキ81がそれぞれ設けられる。フロントブレーキ80の作動部には,操向ハンドル12に右グリップに隣接して取り付けられたフロントブレーキレバー82と,メインフレーム2の前部に取り付けられたパーキングレバー83とが,フロントブレーキワイヤ84及びパーキングワイヤ85をそれぞれ介して接続される。したがって,フロントブレーキレバー82及びパーキングレバー83の何れか一方を操作することにより,フロントブレーキ80を作動することができる。
【0027】
またリアブレーキ81の作動部には,操向ハンドル12に左グリップに隣接して取り付けられたリアブレーキレバー86にリアブレーキワイヤ88を介して接続される。したがって,リアブレーキレバー86を操作することによりリアブレーキ81を作動することができる。
【0028】
尚,図8中,符号89は変速機45の切り換えのためのシフトレバーである。
【0029】
図5において,リアフレーム9には,発電・電動機59に給電したり,発電・電動機59から給電されたりするバッテリ60と,発電・電動機59及びバッテリ60間の通電を制御する制御回路ユニット61とが取り付けられる。
【0030】
この三輪型自転車Bは,次のようなモードで使用される。
[電動アシスト走行]
先ずクラッチレバー72をオン位置にセットしてクラッチ46をオン状態にし,制御回路ユニット61をアシスト側に切り換えた状態で,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45,第3チェーン伝動装置43,クラッチ46及び駆動車軸47を順次経て後輪10rに伝達し,同時に発電・電動機59がペダル負荷に応じてバッテリ60から給電され,ペダル負荷に応じた動力を駆動車軸47に与えるので,乗り手Rの負担を軽減するアシスト走行状態となる。
[体力増進走行トレーニング]
クラッチレバー72は,上記の場合と同様にオン位置にセットしてクラッチ46をオン状態にしておき,制御回路ユニット61を充電側に切り換えると,発電・電動機59は,逆負荷を受けると発電してバッテリ60に充電し得るようになる。そこで,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45,第3チェーン伝動装置43,クラッチ46及び駆動車軸47を順次経て後輪10rに伝達し,それを駆動すると同時に,上記駆動軸48の回転により発電・電動機59は発電状態となって,バッテリ60に充電する。その発電に伴い発生する負荷が乗り手Rのペダル負荷に加えられることで,乗り手Rは,自転車Bを走行させながら体力増進トレーニングを行い,同時にバッテリ60への充電を果たすことができる。この場合,図示しないペダル負荷調節ダイヤルを操作することにより,発電・電動機59からバッテリ60への充電量が増減制御することができ,それによってペダル負荷の強弱を自由に調節することができるので,乗り手Rの体力や疲労度などに応じてペダル負荷を自由に調節し,トレーニングを無理なく快適に行うことができる。
[体力増進定置トレーニング]
先ず,パーキングレバー83を作動してフロントブレーキ80を作動状態にすると共に,クラッチレバー72をオフ位置に操作してクラッチ46をオフ状態にし,また制御回路ユニット61を充電側に切り換えと,[体力増進走行トレーニング]の場合と同様に,発電・電動機59は,逆負荷を受けると発電してバッテリ60に充電し得るようになる。そこで,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45及び第3チェーン伝動装置43を経て発電・電動機59に伝達されるが,クラッチ46のオフ状態により,駆動車軸47への伝達は行われない。したがって後輪10rを停止したまゝで,クランク軸17の駆動により発電・電動機59に逆負荷を加えることになるから,発電・電動機59は発電状態となって,バッテリ60に充電する。その発電に伴い発生する負荷が乗り手Rのペダル負荷に加えられることで,乗り手Rは体力増進トレーニングを行い,同時にバッテリ60への充電を果たすことができる。この場合も図示しないペダル負荷調節ダイヤルを操作することにより,発電・電動機59からバッテリ60への充電量を増減制御することができ,それによってペダル負荷の強弱を自由に調節することができるので,この場合も乗り手Rの体力や疲労度などに応じてペダル負荷を自由に調節し,トレーニングを無理なく快適に行うことができる。
【0031】
この場合,自転車Bは,パーキングレバー83の作動より定置状態に保持され,しかも前輪10fを一輪,後輪10rを二輪とした三輪車であって,特別なスタンド装置を用いることなく自立が可能であるから,自宅の車庫や庭先など設置場所を選ばず,体力増進のための定置型トレーニング装置として安全に使用することができ,しかも乗り手Rの運動エネルギはバッテリに充電される電力に変換されることになるから,エネルギの無駄がない。しかも,この三輪型自転車Bは乗り手Rを収容する車体シェルSを備えているから,天候の如何に拘らず,走行及びトレーリングを快適に行うことができる。
【0032】
尚,クラッチワイヤ87a及びパーキングワイヤ85を共通1本の操作レバーにより操作し得るようにすれば,クラッチ46をオフ状態にする定置トレーニングの際には,自動的にフロントブレーキ80が作動状態となり,操作の簡素化を図ることができる。
【0033】
図1〜図4において,車体シェルSについて説明する。車体フレームFには,前輪10f,後輪10r,10r及びサドル15等を上方から覆う合成樹脂(例えばFRP,ABS)製の車体シェルSが取り付けられ,その内部は,乗り手Rを収容するキャビン30となる。この車体シェルS内において,前輪10fを覆うフロントフェンダ31と,左右の後輪10r,10r及びリアフレーム9を覆うリアフェンダ32が車体フレームFに取り付けられる(図4及び図6参照)。またルーフには,前記バッテリ60に充電し得るソーラパネル49が取り付けられる。
【0034】
車体シェルSは,下面を開放した流線型をなしている。この車体シェルSの前部及び後部には,フロントガラス33及びリアガラス34がそれぞれ嵌め込まれるフロントウインド35及びリアウインド36が設けられ,フロントガラス33の外面を払拭するためのワイパ37がフロントガラス33の下部に取り付けられる。さらに車体シェルSの前部の左右にはヘッドライト38,38及びウインカランプ39,39が,後部の左右にはウインカランプ40,40がそれぞれ装備される。
【0035】
図5〜図7に示すように,車体フレームFへの車体シェルSの取り付けのために,前部ヘッドパイプ1には,その左右外側方に突出した支持杆20が固設され,この支持杆20は,その両端に前部連結部材21,21を備えている。また前記クロスメンバ7の左右両端には後部連結部材25,25が設けられる。そして前部連結部材21,21には,車体シェルS前部の左右内壁固設された前部連結部材22,22が中間部材23を挟んでボルト結合され,また後部連結部材25,25には,車体シェルS後部の左右内壁固設された後部連結部材26,26が中間部材27を挟んでボルト28により結合され,こうして車体シェルSは車体フレームFに取り付けられる。尚,前記中間部材23,17を弾性部材で構成すれば,車体フレームF及び車体シェルS間の振動を吸収することもできる。
【0036】
また図1,図9及び図10において,車体シェルSの両側壁には,下側を開放した切欠き状の乗降口63,63が設けられると共に,これら乗降口63,63を開閉するドア64,64の前端部がヒンジ65を介して車体シェルSに連結され,各64の後端部と車体シェルSとの間には,ドア64の閉鎖状態をロックし得るドアロック装置66が設けられる。
【0037】
図9から明らかなように,各ドア64は,下側を開放した逆U字状をなしていて,中間部にクロスメンバ67aを備えるドアフレーム67と,このドアフレーム67の下半部の外側面に接合されるドアパネル68とからなっており,ドアフレーム67の前端部が前記ヒンジ65に連結される。
【0038】
上記ドアロック装置66について,図10〜図12により説明する。ドアパネル68の内側でドアフレーム67に固着されるブラケット70には,同軸に並ぶ上下一対のピボット軸71,71を介してロック解除レバー72の基端部が取り付けられ,このロック解除レバー72は,ピボット軸71,71周りにロック位置L(図10参照)及びアンロック位置U(図12参照)間を回動し得るようになっている。このロック解除レバー72の中間部には,ドアパネル68を貫通する押しボタン73が,ロック解除レバー72を挟むように配置された一対の弾性リング74,74(例えばOリング,ゴムブッシュ)を介して揺動可能に連結される。この押しボタン73は,ドアパネル68及びブラケット70を挟んでナット75で固着された案内筒76に摺動可能に嵌合されると共に,案内筒76に縮設された戻しばね77の反発力によってロック解除レバー72のロック位置L側に付勢される。
【0039】
ロック解除レバー72の基端部には,ピボット軸71,71と反対側の内側面において永久磁石78が接着されており,ドア64の閉鎖時,この永久磁石78と面同士で当接し,吸着する板状の磁性部材79が車体シェルSの,乗降口63周縁部に接着される。これら永久磁石78及び磁性部材79の吸着によりドア64の閉鎖状態がロックされ,走行中,ドア64の自然開放を防ぐことができる。
【0040】
ドア64の端縁部には,その開閉時に撮む撮み部90が押しボタン73に近接して設けられ,この撮み部90への指の挿入を許容する凹部92が車体シェルSに形成される。
【0041】
ドアロック装置66は上記のように構成されるので,乗り手Rがキャビン30でロック解除レバー72をアンロック位置Uへ回動し,又は車外で押しボタン73を押して,ロック解除レバー72をアンロック位置Uへ回動すれば,ロック解除レバー72に固設された永久磁石78が磁性部材79に対して傾動することにより,両者78,79間を,それらの吸着力に抗して容易に引き離すことができ,即ちロック状態を解除することができ,ドア64の開放が可能となる。
【0042】
運転中の転倒時など,車外への緊急脱出を要する場合には,乗り手Rがドア64に内側から衝撃力を加えれば,永久磁石78及び磁性部材79の吸着力に抗してドア64を強制的に開放することができる。このように,ロック解除レバー72を操作することなく,ドア64の強制開放が可能であるから,車外への緊急脱出を迅速に行うことができる。
【0043】
図13には,上記ドアロック装置66の変形例を示す。この変形例では,ロック解除レバー72に板状の磁性部材79を接着し,車体シェルSに永久磁石78及びそれを収容する磁性ヨーク91をねじ止めし,ヨーク91と磁性部材79との面同士の当接,吸着により,ドア64の閉鎖状態を保持するようになっている。その他の構成は前実施例と同様であるので,図13中,前実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。この変形例においても,前実施例と同様の作用効果を発揮することができる。
【0044】
図1,図6,図9及び図14において,前記ドアパネル68は合成樹脂製であって,その上下方向中間部外面には前後方に延びる溝部93が形成され,この溝部93の下方部分で可撓部68aが構成される。この可撓部68aは,溝部93での弾力的な折れ曲がりによって外側方へ撓み易くなっている。ドアパネル68は,溝部93の上方部分で複数のビス94,94…によりドアフレーム67に固着される。
【0045】
可撓部68aの少なくとも乗り手Rの足に近い前部は,ドアフレーム67に固着されないが,戻し装置95によってドアフレーム67との当接位置に向かって付勢される。その可撓部68aには,ドアフレーム67との当接を緩衝する弾性部材96が設けられる。
【0046】
上記戻し装置95は,車体シェルSの内壁に固着されるリールケース97と,このリールケース97内で回転自在に軸支されると共に巻き取り方向にばね付勢されるリール98と,前記可撓部68aの前端部に接続されると共にリール98に巻き取られる紐99とで構成され,紐99に対するリール98の巻き取り力により,可撓部68aをドアフレーム67との当接位置に付勢するようになっている。
【0047】
図15に示すように,可撓部68aの内面には,その下縁に沿って,乗り手Rの足の脛との接触を和らげるクッション部材100が接着される。
【0048】
左右のドア64,64は上記のように構成されるので,停車時,乗り手Rが接地させる両足を車体シェルSの横幅よりも広く広げようとして,その両足の脛をドア64,64の可撓部68aのクッション部材100当てゝ,可撓部68aを外方へ押圧すると,その可撓部68aの特に前端部側が,リール98から紐99を引き出しながら外側方に撓んで(図6及び図14の鎖線示状態参照),その両足の広がりを許容する。したがって,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルSの横幅を小さく設定しても,乗り手Rは両足を車体シェルSの横幅以上に広げて接地させ,車体を容易に安定させることができる。
【0049】
特に,ドアパネル68は合成樹脂製とし,このドアパネル68の上下方向中間部外面には,可撓部68aの外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部93が形成されるので,ドアパネル68の外面を滑らかにして,その空気抵抗を極力少なくしながら,可撓部68aの良好な可撓性を確保することができる。
【0050】
乗り手Rが広げた足を,自転車Bの発進等に伴ない内側に戻せば,可撓部68aは,それ自体の復元力とリール98の紐99に対する巻き取り力とによりドアフレーム67との当接位置に復帰し,保持されるので,走行中,この可撓部68aの振動を抑え,騒音の発生を防ぐことができる。
【0051】
また背当て15a付きのサドル15を,前輪10f及び後輪10r,10r間で,後輪10r,10rの上面よりも低い位置に配置することにより,乗り手Rの乗車姿勢を効果的に低くすることができ,これに伴い車体シェルSの全高を低く抑え得るので,車体シェルSの横幅を小さく設定することゝ相俟って,車体シェルSの前後方向投影面積を小さくすることができ,空気抵抗の一層の減少を図ることができる。
【0052】
図9及び図16において,ドアフレーム67の上半部及びクロスメンバ67aの外側面には磁性体の窓枠67bが接合され,上記クロスメンバ67aにドアガラス69の下端部がヒンジ102を介して連結され,ドアガラス69は,これを起立させて窓枠67b内を閉じ,ドア64の内側に倒すことにより窓枠67b内を開放するようになっている。このドアガラス69の周縁には,テープ状の永久磁石103が接着されており,ドアガラス69を起立させて閉じたとき,永久磁石103が窓枠67bに吸着することにより,ドアガラス69の閉じ状態を保持することができる。ドアガラス69の上部内面には,その開閉時に撮むノブ69aが設けられる。
【0053】
図1〜図3にに示すように,前記車体シェルSの前端部及び後端部には,前輪10f及び後輪10r,10rをそれぞれ露出させる前方開口部105及び後方開口部106がそれぞれ設けられ,前方開口部105は下縁を開放した切欠き状をなし,後方開口部106は,左右の乗降口63,63まで達している。これら前方開口部105及び後方開口部106は,着脱自在の前部カバー107及び後部カバー108によって閉鎖される。
【0054】
図2及び図17に示すように,前部カバー107は合成樹脂製であって,その内面には,その周縁に沿って複数の擬宝珠状の連結突起109が形成され,これら連結突起109を抜き差し可能に弾力的に嵌合し得る複数のゴム製グロメット110が車体シェルSに付設される。また前部カバー107の内面には,前方開口部105の周縁で車体シェルSの外面に密接し得るシール部材111が取り付けられる。
【0055】
而して,グロメット110に連結突起109を弾性的に嵌合することにより,前部カバー107は車体シェルSに連結され,前方開口部105を簡単に閉鎖することができ,また前部カバー107の取り外しも簡単である。しかもグロメット110及びシール部材111の弾性により前部カバー107の振動騒音の発生を防ぐことができる。
【0056】
また図3,図19及び図20に示すように,後部カバー108も合成樹脂製であって,その左右両端部は,複数のビス112,112…により前記リアフェンダ32に着脱可能に締結される。またこの後部カバー108の上縁部内面には,複数の擬宝珠状の連結突起113が形成され,これら連結突起113を抜き差し可能に弾力的に嵌合し得る複数のゴム製グロメット114が後方開口部106に臨む車体フレームFに付設される。
【0057】
したがって,これらグロメット114に連結突起113を弾性的に嵌合することにより,後部カバー108は車体フレームFに連結され,後方開口部106を簡単に閉鎖することができ,また後部カバー108の取り外しも簡単である。この後部カバー108においても,グロメット114の弾性により振動騒音の発生を防ぐことができる。
【0058】
而して,前部カバー107及び後部カバー108において,それぞれの連結突起106,113を,対応するグロメット110,114から引き抜き,またビス112を緩めて,前部カバー107及び後部カバー108を車体シェルS又は車体フレームFから取り外せば,前方開口部105及び後方開口部106を開放し,前輪10f及び後輪10r,10rを露出させることができるから,前輪10f及び後輪10r,10rのパンク修理やフロントブレーキ80及びリアブレーキ81の調整など,前輪10f及び後輪10r,10r周りのメンテナンス作業を,車体シェルSに邪魔されることなく容易に行うことができ,メンテナンス性が良好となる。その上,前部カバー107及び後部カバー108は,車体の前端及び後端に位置していて,他物との接触により損傷し易いものであるが,損傷時には,前部カバー107又は後部カバー108のみの新規部品との交換で補修し得るから,補修作業が容易であり,補修コストを低く抑えることができる。
【0059】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,三輪型電動アシスト自転車Bは,前輪10fを二輪,後輪10rを一輪とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例に係る三輪型自転車の側面図。
【図2】同自転車の正面図。
【図3】同自転車の背面図。
【図4】同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す側面図。
【図5】同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す平面図。
【図6】図1の6−6線断面図。
【図7】図6の7−7線拡大断面図。
【図8】同自転車の伝動装置を示す平面図。
【図9】前記車体シェルに取り付けられるドアの分解斜視図。
【図10】図1の10−10線拡大断面図。
【図11】図10の11−11線断面図。
【図12】図10に対応する作用説明図。
【図13】ドアロック装置の変形例を示す,図10との対応図。
【図14】図1の14−14線拡大断面図。
【図15】図14の15−15線断面図。
【図16】図1の16−16線断面図。
【図17】図2の17−17線拡大断面図。
【図18】図1の18−18線拡大断面図。
【図19】図3の19−19線拡大断面図。
【符号の説明】
【0061】
B・・・・・三輪型自転車
F・・・・・車体フレーム
R・・・・・乗り手
S・・・・・車体シェル
10f・・・前輪
10r・・・後輪
15・・・・サドル
15a・・・背当て
16・・・・ペダル
17・・・・クランク軸
30・・・・キャビン
63・・・・乗降口
64・・・・ドア
67・・・・ドアフレーム
68・・・・ドアパネル
68a・・・可撓部
93・・・・溝部
95・・・・戻し装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,前輪,後輪及びそれらの間に配置されるサドルを支持する車体フレームに,乗り手を収容するキャビンを画成する車体シェルを取り付け,この車体シェルの左右両側部に乗降口を設けると共に,この乗降口を開閉するドアを車体シェルに取り付け,キャビンでは,停車時,乗り手が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる三輪型自転車は,下記特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【特許文献1】特開2004−82745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の三輪型自転車では,車体シェルの横幅を広く設定すると,停車時,キャビン内で乗り手が両足を左右に充分広く開いて接地させ,車体を安定させ得る利点がある反面,走行時には,車体シェルが受ける空気抵抗が大きくなって,乗り手の負担が増大する。これとは反対に車体シェルの横幅を狭く設定すると,走行時の空気抵抗は減少するものゝ,乗り手が両足を接地させるとき,その両足を開くことが,車体シェル又はドアに干渉されて,充分にはできない不都合が生じる。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルの横幅を小さく設定しつゝ,停車時には,乗り手が両足を左右に充分広く開いて接地させ得るようにした,前記三輪型自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明は,前輪,後輪及びそれらの間に配置されるサドルを支持する車体フレームに,乗り手を収容するキャビンを画成する車体シェルを取り付け,この車体シェルの左右両側部に乗降口を設けると共に,この乗降口を開閉するドアを車体シェルに取り付け,キャビンでは,停車時,乗り手が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,前記ドアを,下側を開放した逆U字状をなして前記車体シェルに軸支されるドアフレームと,このドアフレームに取り付けられる合成樹脂製のドアパネルとで構成し,そのドアパネルの下部に,乗り手が接地させる足で乗降口の外方へ撓ませ得る可撓部を設け,また同ドアパネルの上下方向中間部外面に,前記可撓部の外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部を形成したことを第1の特徴とする。
【0006】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記ドアフレーム及び前記可撓部間に,可撓部をドアフレーム側にばね付勢する戻し装置を設けたことを第2の特徴とする。
【0007】
さらに本発明は,第1又は2の特徴の何れかに加えて,後輪の前方且つ後輪の上面より下方に背当て付きのサドルを配置し,このサドルの前方にペダル付きクランク軸を配置したことを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば,停車時,乗り手が接地させる両足を車体シェルの横幅よりも広く広げようとして,その両足で合成樹脂製のドアの可撓部を内側から押圧すると,その可撓部は外側方に撓んで,その両足の広がりを許容する。したがって,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルの横幅を小さく設定しても,乗り手は両足を車体シェルの横幅以上に広げて接地させ,車体を容易に安定させることができる。
【0009】
しかも合成樹脂製のドアパネルは,その外面を滑らにして空気抵抗を極力少なくしながら,可撓部の良好な可撓性を確保することができる。
【0010】
また本発明の第2の特徴によれば,通常は戻し装置により可撓部をドアフレームとの当接位置に確実に保持することができるので,走行中,この可撓部の振動を抑え,騒音の発生を防ぐことができる。
【0011】
さらに本発明の第3の特徴によれば,乗り手の乗車姿勢を効果的に下げさせることができ,これに伴い車体シェルの全高を低く抑えことができるので,車体シェルの横幅を小さく設定することゝ相俟って,車体シェルの前後方向投影面積を小さくすることができ,空気抵抗の一層の減少を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を,図面に示す本発明の好適な実施例に基づき以下に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施例に係る三輪型自転車の側面図,図2は同自転車の正面図,図3は同自転車の背面図,図4は同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す側面図,図5は同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す平面図,図6は図1の6−6線断面図,図7は図6の7−7線拡大断面図,図8は同自転車の伝動装置を示す平面図,図9は前記車体シェルに取り付けられるドアの分解斜視図,図10は図1の10−10線拡大断面図,図11は図10の11−11線断面図,図12は図10に対応する作用説明図,図13はドアロック装置の変形例を示す,図10との対応図,図14は図1の14−14線拡大断面図,図15は図14の15−15線断面図,図16は図1の16−16線断面図,図17は図2の17−17線拡大断面図,図18は図1の18−18線拡大断面図,図19は図3の19−19線拡大断面図である。
【0014】
先ず,図4及び図5において,三輪型自転車Bの車体フレームFは,前部ヘッドパイプ1と,この前部ヘッドパイプ1から斜め下向きに延び,そして後方へ水平に延びるメインフレーム2と,前部ヘッドパイプ1からメインフレーム2の上方へ斜め後方に突出するハンドル支持パイプ3と,このハンドル支持パイプ3及びメインフレーム2間を連結する第1ステー4と,ハンドル支持パイプ3の後端部に固設される後部ヘッドパイプ5と,第1ステー4及びメインフレーム2間を連結する第2ステー6と,メインフレーム2の後端に直交して連結して水平に延びるクロスメンバ7と,このクロスメンバ7の左右両側部から立ち上がった後,後方へ水平に延びて後端で閉じるU字状のリアフレーム9とで構成される。
【0015】
前部ヘッドパイプ1では,前輪10fを支持するフロントフォーク11の上端に一体に突設されたフォークステム11aが回転自在に支承され,後部ヘッドパイプ5では,操向ハンドル12に結合されたハンドルステム12aが回転自在に支承される。そしてフォークステム11aの上端部と,ハンドルステム12aの下端部とは平行リンク機構13を介して連結され,操向ハンドル12の回動をフロントフォーク11に同期して伝達し得るようになっている。
【0016】
またクロスメンバ7には,リアフレーム9の下方において左右一対の後輪10r,10rが図示しないダンパ付き懸架装置を介して上下動可能に取り付けられる。
【0017】
メインフレーム2には,背当て15a付きのサドル15が左右の後輪10r,10rの前方且つそれらの上面より低い位置を占めるように取り付けられる。このサドル15の前方において,左右一対のペダル16,16を備えたクランク軸17がメインフレーム2に回転自在に支承される。車体フレームFには,前輪10f,後輪10r,10r及びサドル15等を上方から覆う車体シェルSが取り付けられる。その構造については後述する。
【0018】
クランク軸17と左右何れか一方の後輪10rとは伝動装置Mを介して連結される。その伝動装置Mについて,図8を参照しながら説明する。
【0019】
伝動装置Mは,クランク軸17側から第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,フリーホイール付きの多段変速機45,第3チェーン伝動装置43,発電・電動機59,クラッチ46及び,後輪10rのハブに連結した駆動車軸47を順次連ねて構成される。
【0020】
第1チェーン伝動装置41は,クランク軸17に固設した第1駆動スプロケット50と,メインフレーム2に回転自在に軸支される第1被動スプロケット50′とに第1チェーン51を巻き掛けて構成される。メインフレーム2には,第1チェーン51の緊張度合いから,クランク軸17に作用する負荷,即ちペダル負荷を検知するペダル負荷センサ58が取り付けられる。
【0021】
第2チェーン伝動装置42は,第1被動スプロケット50′に隣接して前記伝動軸59に固設した第2駆動スプロケット52と,リアフレーム9に取り付けられる変速機45の入力軸に固設した第2被動スプロケット52′とに第2チェーン53を巻き掛けて構成される。
【0022】
変速機45は,その入力軸から出力軸側への一方向へのみ伝動を可能にするフリーホイールとを内蔵している。そのフリーホイールはクランク軸17への逆負荷を遮断するものであるから,第1チェーン伝動装置41又は第2チェーン伝動装置42に設けることもできる。
【0023】
第3チェーン伝動装置43は,変速機45の出力軸に固設した第3駆動スプロケット55と,リアフレーム9に取り付けられる発電・電動機59のロータ軸に連なる駆動軸48に固設した第3被動スプロケット55′とに第3チェーン56を巻き掛けて構成される。その第3被動スプロケット55′の出力側で,駆動軸48及び駆動車軸47間に前記クラッチ46が介装される。このクラッチ46は,通常,オン状態を保持していて駆動軸48及び駆動車軸47間を連結している。このクラッチ46のレリーズレバーには,操向ハンドル12又はその近傍の車体フレームFに軸支されるクラッチレバー87がクラッチワイヤ87aを介して接続され,このクラッチレバー87を操作することによりクラッチ46をオフ状態にして,駆動軸48及び駆動車軸47間を遮断することができる。
【0024】
同じく図8により,三輪型自転車Bのブレーキ装置について説明する。
【0025】
前輪10fには,これを制動するキャリパ式のフロントブレーキ80が,また従動側の後輪10rには,これを制動するドラム式のリアブレーキ81がそれぞれ設けられる。フロントブレーキ80の作動部には,操向ハンドル12に右グリップに隣接して取り付けられたフロントブレーキレバー82と,メインフレーム2の前部に取り付けられたパーキングレバー83とが,フロントブレーキワイヤ84及びパーキングワイヤ85をそれぞれ介して接続される。したがって,フロントブレーキレバー82及びパーキングレバー83の何れか一方を操作することにより,フロントブレーキ80を作動することができる。
【0026】
またリアブレーキ81の作動部には,操向ハンドル12に左グリップに隣接して取り付けられたリアブレーキレバー86にリアブレーキワイヤ88を介して接続される。したがって,リアブレーキレバー86を操作することによりリアブレーキ81を作動することができる。
【0027】
尚,図8中,符号89は変速機45の切り換えのためのシフトレバーである。
【0028】
図5において,リアフレーム9には,発電・電動機59に給電したり,発電・電動機59から給電されたりするバッテリ60と,発電・電動機59及びバッテリ60間の通電を制御する制御回路ユニット61とが取り付けられる。
【0029】
この三輪型自転車Bは,次のようなモードで使用される。
[電動アシスト走行]
先ずクラッチレバー87をオン位置にセットしてクラッチ46をオン状態にし,制御回路ユニット61をアシスト側に切り換えた状態で,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45,第3チェーン伝動装置43,クラッチ46及び駆動車軸47を順次経て後輪10rに伝達し,同時に発電・電動機59がペダル負荷に応じてバッテリ60から給電され,ペダル負荷に応じた動力を駆動車軸47に与えるので,乗り手Rの負担を軽減するアシスト走行状態となる。
[体力増進走行トレーニング]
クラッチレバー87は,上記の場合と同様にオン位置にセットしてクラッチ46をオン状態にしておき,制御回路ユニット61を充電側に切り換えると,発電・電動機59は,逆負荷を受けると発電してバッテリ60に充電し得るようになる。そこで,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45,第3チェーン伝動装置43,クラッチ46及び駆動車軸47を順次経て後輪10rに伝達し,それを駆動すると同時に,上記駆動軸48の回転により発電・電動機59は発電状態となって,バッテリ60に充電する。その発電に伴い発生する負荷が乗り手Rのペダル負荷に加えられることで,乗り手Rは,自転車Bを走行させながら体力増進トレーニングを行い,同時にバッテリ60への充電を果たすことができる。この場合,図示しないペダル負荷調節ダイヤルを操作することにより,発電・電動機59からバッテリ60への充電量が増減制御することができ,それによってペダル負荷の強弱を自由に調節することができるので,乗り手Rの体力や疲労度などに応じてペダル負荷を自由に調節し,トレーニングを無理なく快適に行うことができる。
[体力増進定置トレーニング]
先ず,パーキングレバー83を作動してフロントブレーキ80を作動状態にすると共に,クラッチレバー87をオフ位置に操作してクラッチ46をオフ状態にし,また制御回路ユニット61を充電側に切り換えると,[体力増進走行トレーニング]の場合と同様に,発電・電動機59は,逆負荷を受けると発電してバッテリ60に充電し得るようになる。そこで,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45及び第3チェーン伝動装置43を経て発電・電動機59に伝達されるが,クラッチ46のオフ状態により,駆動車軸47への伝達は行われない。したがって後輪10rを停止したまゝで,クランク軸17の駆動により発電・電動機59に逆負荷を加えることになるから,発電・電動機59は発電状態となって,バッテリ60に充電する。その発電に伴い発生する負荷が乗り手Rのペダル負荷に加えられることで,乗り手Rは体力増進トレーニングを行い,同時にバッテリ60への充電を果たすことができる。この場合も図示しないペダル負荷調節ダイヤルを操作することにより,発電・電動機59からバッテリ60への充電量を増減制御することができ,それによってペダル負荷の強弱を自由に調節することができるので,この場合も乗り手Rの体力や疲労度などに応じてペダル負荷を自由に調節し,トレーニングを無理なく快適に行うことができる。
【0030】
この場合,自転車Bは,パーキングレバー83の作動より定置状態に保持され,しかも前輪10fを一輪,後輪10rを二輪とした三輪車であって,特別なスタンド装置を用いることなく自立が可能であるから,自宅の車庫や庭先など設置場所を選ばず,体力増進のための定置型トレーニング装置として安全に使用することができ,しかも乗り手Rの運動エネルギはバッテリに充電される電力に変換されることになるから,エネルギの無駄がない。しかも,この三輪型自転車Bは乗り手Rを収容する車体シェルSを備えているから,天候の如何に拘らず,走行及びトレーニングを快適に行うことができる。
【0031】
尚,クラッチワイヤ87a及びパーキングワイヤ85を共通1本の操作レバーにより操作し得るようにすれば,クラッチ46をオフ状態にする定置トレーニングの際には,自動的にフロントブレーキ80が作動状態となり,操作の簡素化を図ることができる。
【0032】
図1〜図4において,車体シェルSについて説明する。車体フレームFには,前輪10f,後輪10r,10r及びサドル15等を上方から覆う合成樹脂(例えばFRP,ABS)製の車体シェルSが取り付けられ,その内部は,乗り手Rを収容するキャビン30となる。この車体シェルS内において,前輪10fを覆うフロントフェンダ31と,左右の後輪10r,10r及びリアフレーム9を覆うリアフェンダ32が車体フレームFに取り付けられる(図4及び図6参照)。またルーフには,前記バッテリ60に充電し得るソーラパネル49が取り付けられる。
【0033】
車体シェルSは,下面を開放した流線型をなしている。この車体シェルSの前部及び後部には,フロントガラス33及びリアガラス34がそれぞれ嵌め込まれるフロントウインド35及びリアウインド36が設けられ,フロントガラス33の外面を払拭するためのワイパ37がフロントガラス33の下部に取り付けられる。さらに車体シェルSの前部の左右にはヘッドライト38,38及びウインカランプ39,39が,後部の左右にはウインカランプ40,40がそれぞれ装備される。
【0034】
図5〜図7に示すように,車体フレームFへの車体シェルSの取り付けのために,前部ヘッドパイプ1には,その左右外側方に突出した支持杆20が固設され,この支持杆20は,その両端に前部連結部材21,21を備えている。また前記クロスメンバ7の左右両端には後部連結部材25,25が設けられる。そして前部連結部材21,21には,車体シェルS前部の左右内壁固設された前部連結部材22,22が中間部材23を挟んでボルト結合され,また後部連結部材25,25には,車体シェルS後部の左右内壁固設された後部連結部材26,26が中間部材27を挟んでボルト28により結合され,こうして車体シェルSは車体フレームFに取り付けられる。尚,前記中間部材23,27を弾性部材で構成すれば,車体フレームF及び車体シェルS間の振動を吸収することもできる。
【0035】
また図1,図9及び図10において,車体シェルSの両側壁には,下側を開放した切欠き状の乗降口63,63が設けられると共に,これら乗降口63,63を開閉するドア64,64の前端部がヒンジ65を介して車体シェルSに連結され,各64の後端部と車体シェルSとの間には,ドア64の閉鎖状態をロックし得るドアロック装置66が設けられる。
【0036】
図9から明らかなように,各ドア64は,下側を開放した逆U字状をなしていて,中間部にクロスメンバ67aを備えるドアフレーム67と,このドアフレーム67の下半部の外側面に接合されるドアパネル68とからなっており,ドアフレーム67の前端部が前記ヒンジ65に連結される。
【0037】
上記ドアロック装置66について,図10〜図12により説明する。ドアパネル68の内側でドアフレーム67に固着されるブラケット70には,同軸に並ぶ上下一対のピボット軸71,71を介してロック解除レバー72の基端部が取り付けられ,このロック解除レバー72は,ピボット軸71,71周りにロック位置L(図10参照)及びアンロック位置U(図12参照)間を回動し得るようになっている。このロック解除レバー72の中間部には,ドアパネル68を貫通する押しボタン73が,ロック解除レバー72を挟むように配置された一対の弾性リング74,74(例えばOリング,ゴムブッシュ)を介して揺動可能に連結される。この押しボタン73は,ドアパネル68及びブラケット70を挟んでナット75で固着された案内筒76に摺動可能に嵌合されると共に,案内筒76に縮設された戻しばね77の反発力によってロック解除レバー72のロック位置L側に付勢される。
【0038】
ロック解除レバー72の基端部には,ピボット軸71,71と反対側の内側面において永久磁石78が接着されており,ドア64の閉鎖時,この永久磁石78と面同士で当接し,吸着する板状の磁性部材79が車体シェルSの,乗降口63周縁部に接着される。これら永久磁石78及び磁性部材79の吸着によりドア64の閉鎖状態がロックされ,走行中,ドア64の自然開放を防ぐことができる。
【0039】
ドア64の端縁部には,その開閉時に撮む撮み部90が押しボタン73に近接して設けられ,この撮み部90への指の挿入を許容する凹部92が車体シェルSに形成される。
【0040】
ドアロック装置66は上記のように構成されるので,乗り手Rがキャビン30でロック解除レバー72をアンロック位置Uへ回動し,又は車外で押しボタン73を押して,ロック解除レバー72をアンロック位置Uへ回動すれば,ロック解除レバー72に固設された永久磁石78が磁性部材79に対して傾動することにより,両者78,79間を,それらの吸着力に抗して容易に引き離すことができ,即ちロック状態を解除することができ,ドア64の開放が可能となる。
【0041】
運転中の転倒時など,車外への緊急脱出を要する場合には,乗り手Rがドア64に内側から衝撃力を加えれば,永久磁石78及び磁性部材79の吸着力に抗してドア64を強制的に開放することができる。このように,ロック解除レバー72を操作することなく,ドア64の強制開放が可能であるから,車外への緊急脱出を迅速に行うことができる。
【0042】
図13には,上記ドアロック装置66の変形例を示す。この変形例では,ロック解除レバー72に板状の磁性部材79を接着し,車体シェルSに永久磁石78及びそれを収容する磁性ヨーク91をねじ止めし,ヨーク91と磁性部材79との面同士の当接,吸着により,ドア64の閉鎖状態を保持するようになっている。その他の構成は前実施例と同様であるので,図13中,前実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。この変形例においても,前実施例と同様の作用効果を発揮することができる。
【0043】
図1,図6,図9及び図14において,前記ドアパネル68は合成樹脂製であって,その上下方向中間部外面には前後方向に延びる溝部93が形成され,この溝部93の下方部分で可撓部68aが構成される。この可撓部68aは,溝部93での弾力的な折れ曲がりによって外側方へ撓み易くなっている。ドアパネル68は,溝部93の上方部分で複数のビス94,94…によりドアフレーム67に固着される。
【0044】
可撓部68aの少なくとも乗り手Rの足に近い前部は,ドアフレーム67に固着されないが,戻し装置95によってドアフレーム67との当接位置に向かって付勢される。その可撓部68aには,ドアフレーム67との当接を緩衝する弾性部材96が設けられる。
【0045】
上記戻し装置95は,車体シェルSの内壁に固着されるリールケース97と,このリールケース97内で回転自在に軸支されると共に巻き取り方向にばね付勢されるリール98と,前記可撓部68aの前端部に接続されると共にリール98に巻き取られる紐99とで構成され,紐99に対するリール98の巻き取り力により,可撓部68aをドアフレーム67との当接位置に付勢するようになっている。
【0046】
図15に示すように,可撓部68aの内面には,その下縁に沿って,乗り手Rの足の脛との接触を和らげるクッション部材100が接着される。
【0047】
左右のドア64,64は上記のように構成されるので,停車時,乗り手Rが接地させる両足を車体シェルSの横幅よりも広く広げようとして,その両足の脛をドア64,64の可撓部68aのクッション部材100に当てゝ,可撓部68aを外方へ押圧すると,その可撓部68aの特に前端部側が,リール98から紐99を引き出しながら外側方に撓んで(図6及び図14の鎖線示状態参照),その両足の広がりを許容する。したがって,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルSの横幅を小さく設定しても,乗り手Rは両足を車体シェルSの横幅以上に広げて接地させ,車体を容易に安定させることができる。
【0048】
特に,ドアパネル68は合成樹脂製とし,このドアパネル68の上下方向中間部外面には,可撓部68aの外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部93が形成されるので,ドアパネル68の外面を滑らかにして,その空気抵抗を極力少なくしながら,可撓部68aの良好な可撓性を確保することができる。
【0049】
乗り手Rが広げた足を,自転車Bの発進等に伴ない内側に戻せば,可撓部68aは,それ自体の復元力とリール98の紐99に対する巻き取り力とによりドアフレーム67との当接位置に復帰し,保持されるので,走行中,この可撓部68aの振動を抑え,騒音の発生を防ぐことができる。
【0050】
また背当て15a付きのサドル15を,前輪10f及び後輪10r,10r間で,後輪10r,10rの上面よりも低い位置に配置することにより,乗り手Rの乗車姿勢を効果的に低くすることができ,これに伴い車体シェルSの全高を低く抑え得るので,車体シェルSの横幅を小さく設定することゝ相俟って,車体シェルSの前後方向投影面積を小さくすることができ,空気抵抗の一層の減少を図ることができる。
【0051】
図9及び図16において,ドアフレーム67の上半部及びクロスメンバ67aの外側面には磁性体の窓枠67bが接合され,上記クロスメンバ67aにドアガラス69の下端部がヒンジ102を介して連結され,ドアガラス69は,これを起立させて窓枠67b内を閉じ,ドア64の内側に倒すことにより窓枠67b内を開放するようになっている。このドアガラス69の周縁には,テープ状の永久磁石103が接着されており,ドアガラス69を起立させて閉じたとき,永久磁石103が窓枠67bに吸着することにより,ドアガラス69の閉じ状態を保持することができる。ドアガラス69の上部内面には,その開閉時に撮むノブ69aが設けられる。
【0052】
図1〜図3に示すように,前記車体シェルSの前端部及び後端部には,前輪10f及び後輪10r,10rをそれぞれ露出させる前方開口部105及び後方開口部106がそれぞれ設けられ,前方開口部105は下縁を開放した切欠き状をなし,後方開口部106は,左右の乗降口63,63まで達している。これら前方開口部105及び後方開口部106は,着脱自在の前部カバー107及び後部カバー108によって閉鎖される。
【0053】
図2及び図17に示すように,前部カバー107は合成樹脂製であって,その内面には,その周縁に沿って複数の擬宝珠状の連結突起109が形成され,これら連結突起109を抜き差し可能に弾力的に嵌合し得る複数のゴム製グロメット110が車体シェルSに付設される。また前部カバー107の内面には,前方開口部105の周縁で車体シェルSの外面に密接し得るシール部材111が取り付けられる。
【0054】
而して,グロメット110に連結突起109を弾性的に嵌合することにより,前部カバー107は車体シェルSに連結され,前方開口部105を簡単に閉鎖することができ,また前部カバー107の取り外しも簡単である。しかもグロメット110及びシール部材111の弾性により前部カバー107の振動騒音の発生を防ぐことができる。
【0055】
また図3,図19及び図20に示すように,後部カバー108も合成樹脂製であって,その左右両端部は,複数のビス112,112…により前記リアフェンダ32に着脱可能に締結される。またこの後部カバー108の上縁部内面には,複数の擬宝珠状の連結突起113が形成され,これら連結突起113を抜き差し可能に弾力的に嵌合し得る複数のゴム製グロメット114が後方開口部106に臨む車体フレームFに付設される。
【0056】
したがって,これらグロメット114に連結突起113を弾性的に嵌合することにより,後部カバー108は車体フレームFに連結され,後方開口部106を簡単に閉鎖することができ,また後部カバー108の取り外しも簡単である。この後部カバー108においても,グロメット114の弾性により振動騒音の発生を防ぐことができる。
【0057】
而して,前部カバー107及び後部カバー108において,それぞれの連結突起109,113を,対応するグロメット110,114から引き抜き,またビス112を緩めて,前部カバー107及び後部カバー108を車体シェルS又は車体フレームFから取り外せば,前方開口部105及び後方開口部106を開放し,前輪10f及び後輪10r,10rを露出させることができるから,前輪10f及び後輪10r,10rのパンク修理やフロントブレーキ80及びリアブレーキ81の調整など,前輪10f及び後輪10r,10r周りのメンテナンス作業を,車体シェルSに邪魔されることなく容易に行うことができ,メンテナンス性が良好となる。その上,前部カバー107及び後部カバー108は,車体の前端及び後端に位置していて,他物との接触により損傷し易いものであるが,損傷時には,前部カバー107又は後部カバー108のみの新規部品との交換で補修し得るから,補修作業が容易であり,補修コストを低く抑えることができる。
【0058】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,三輪型電動アシスト自転車Bは,前輪10fを二輪,後輪10rを一輪とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例に係る三輪型自転車の側面図。
【図2】同自転車の正面図。
【図3】同自転車の背面図。
【図4】同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す側面図。
【図5】同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す平面図。
【図6】図1の6−6線断面図。
【図7】図6の7−7線拡大断面図。
【図8】同自転車の伝動装置を示す平面図。
【図9】前記車体シェルに取り付けられるドアの分解斜視図。
【図10】図1の10−10線拡大断面図。
【図11】図10の11−11線断面図。
【図12】図10に対応する作用説明図。
【図13】ドアロック装置の変形例を示す,図10との対応図。
【図14】図1の14−14線拡大断面図。
【図15】図14の15−15線断面図。
【図16】図1の16−16線断面図。
【図17】図2の17−17線拡大断面図。
【図18】図1の18−18線拡大断面図。
【図19】図3の19−19線拡大断面図。
【符号の説明】
【0060】
B・・・・・三輪型自転車
F・・・・・車体フレーム
R・・・・・乗り手
S・・・・・車体シェル
10f・・・前輪
10r・・・後輪
15・・・・サドル
15a・・・背当て
16・・・・ペダル
17・・・・クランク軸
30・・・・キャビン
63・・・・乗降口
64・・・・ドア
67・・・・ドアフレーム
68・・・・ドアパネル
68a・・・可撓部
93・・・・溝部
95・・・・戻し装置
【技術分野】
【0001】
本発明は,前輪,後輪及びそれらの間に配置されるサドルを支持する車体フレームに,乗り手を収容するキャビンを画成する車体シェルを取り付け,この車体シェルの左右両側部に乗降口を設けると共に,この乗降口を開閉するドアを車体シェルに取り付け,キャビンでは,停車時,乗り手が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる三輪型自転車は,下記特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【特許文献1】特開2004−82745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の三輪型自転車では,車体シェルの横幅を広く設定すると,停車時,キャビン内で乗り手が両足を左右に充分広く開いて接地させ,車体を安定させ得る利点がある反面,走行時には,車体シェルが受ける空気抵抗が大きくなって,乗り手の負担が増大する。これとは反対に車体シェルの横幅を狭く設定すると,走行時の空気抵抗は減少するものゝ,乗り手が両足を接地させるとき,その両足を開くことが,車体シェル又はドアに干渉されて,充分にはできない不都合が生じる。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルの横幅を小さく設定しつゝ,停車時には,乗り手が両足を左右に充分広く開いて接地させ得るようにした,前記三輪型自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明は,前輪,後輪及びそれらの間に配置されるサドルを支持する車体フレームに,乗り手を収容するキャビンを画成する車体シェルを取り付け,この車体シェルの左右両側部に乗降口を設けると共に,この乗降口を開閉するドアを車体シェルに取り付け,キャビンでは,停車時,乗り手が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,前記ドアの下部に,乗り手が接地させる足で乗降口の外方へ撓ませ得る可撓部を設けたことを第1の特徴とする。
【0006】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記ドアを,下側を開放した逆U字状をなして前記車体シェルに軸支されるドアフレームと,前記可撓部を下部に有してこのドアフレームに取り付けられる合成樹脂製のドアパネルとで構成し,そのドアパネルの上下方向中間部外面に,前記可撓部の外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部を形成したことを第2の特徴とする。
【0007】
さらに本発明は,第2の特徴に加えて,前記ドアフレーム及び前記可撓部間に,可撓部をドアフレーム側にばね付勢する戻し装置を設けたことを第3の特徴とする。
【0008】
さらにまた本発明は,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,後輪の前方且つ後輪の上面より下方に背当て付きのサドルを配置し,このサドルの前方にペダル付きクランク軸を配置したことを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば,停車時,乗り手が接地させる両足を車体シェルの横幅よりも広く広げようとして,その両足でドアの可撓部を内側から押圧すると,その可撓部は外側方に撓んで,その両足の広がりを許容する。したがって,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルの横幅を小さく設定しても,乗り手は両足を車体シェルの横幅以上に広げて接地させ,車体を容易に安定させることができる。
【0010】
また本発明の第2の特徴によれば,合成樹脂製のドアパネルの外面を滑らにして,その空気抵抗を極力少なくしながら,可撓部の良好な可撓性を確保することができる。
【0011】
さらに本発明の第3の特徴によれば,通常は戻し装置により可撓部をドアフレームとの当接位置に確実に保持することができるので,走行中,この可撓部の振動を抑え,騒音の発生を防ぐことができる。
【0012】
さらにまた本発明の第4の特徴によれば,乗り手の乗車姿勢を効果的に下げさせることができ,これに伴い車体シェルの全高を低く抑えことができるので,車体シェルの横幅を小さく設定することゝ相俟って,車体シェルの前後方向投影面積を小さくすることができ,空気抵抗の一層の減少を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を,図面に示す本発明の好適な実施例に基づき以下に説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例に係る三輪型自転車の側面図,図2は同自転車の正面図,図3は同自転車の背面図,図4は同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す側面図,図5は同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す平面図,図6は図1の6−6線断面図,図7は図6の7−7線拡大断面図,図8は同自転車の伝動装置を示す平面図,図9は前記車体シェルに取り付けられるドアの分解斜視図,図10は図1の10−10線拡大断面図,図11は図10の11−11線断面図,図12は図10に対応する作用説明図,図13はドアロック装置の変形例を示す,図10との対応図,図14は図1の14−14線拡大断面図,図15は図14の15−15線断面図,図16は図1の16−16線断面図,図17は図2の17−17線拡大断面図,図18は図1の18−18線拡大断面図,図19は図3の19−19線拡大断面図である。
【0015】
先ず,図4及び図5において,三輪型自転車Bの車体フレームFは,前部ヘッドパイプ1と,この前部ヘッドパイプ1から斜め下向きに延び,そして後方へ水平に延びるメインフレーム2と,前部ヘッドパイプ1からメインフレーム2の上方へ斜め後方に突出するハンドル支持パイプ3と,このハンドル支持パイプ3及びメインフレーム2間を連結する第1ステー4と,ハンドル支持パイプ3の後端部に固設される後部ヘッドパイプ5と,第1ステー4及びメインフレーム2間を連結する第2ステー6と,メインフレーム2の後端に直交して連結して水平に延びるクロスメンバ7と,このクロスメンバ7の左右両側部から立ち上がった後,後方へ水平に延びて後端で閉じるU字状のリアフレーム9とで構成される。
【0016】
前部ヘッドパイプ1では,前輪10fを支持するフロントフォーク11の上端に一体に突設されたフォークステム11aが回転自在に支承され,後部ヘッドパイプ5では,操向ハンドル12に結合されたハンドルステム12aが回転自在に支承される。そしてフォークステム11aの上端部と,ハンドルステム12aの下端部とは平行リンク機構13を介して連結され,操向ハンドル12の回動をフロントフォーク11に同期して伝達し得るようになっている。
【0017】
またクロスメンバ7には,リアフレーム9の下方において左右一対の後輪10r,10rが図示しないダンパ付き懸架装置を介して上下動可能に取り付けられる。
【0018】
メインフレーム2には,背当て15a付きのサドル15が左右の後輪10r,10rの前方且つそれらの上面より低い位置を占めるように取り付けられる。このサドル15の前方において,左右一対のペダル16,16を備えたクランク軸17がメインフレーム2に回転自在に支承される。車体フレームFには,前輪10f,後輪10r,10r及びサドル15等を上方から覆う車体シェルSが取り付けられる。その構造については後述する。
【0019】
クランク17と左右何れか一方の後輪10rとは伝動装置Mを介して連結される。その伝動装置Mについて,図8を参照しながら説明する。
【0020】
伝動装置Mは,クランク軸17側から第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,フリーホイール付きの多段変速機45,第3チェーン伝動装置43,発電・電動機59,クラッチ46及び,後輪10rのハブに連結した駆動車軸47を順次連ねて構成される。
【0021】
第1チェーン伝動装置41は,クランク軸17に固設した第1駆動スプロケット50と,メインフレーム2に回転自在に軸支される第1被動スプロケット50′とに第1チェーン51を巻き掛けて構成される。メインフレーム2には,第1チェーン51の緊張度合いから,クランク軸17に作用する負荷,即ちペダル負荷を検知するペダル負荷センサ58が取り付けられる。
【0022】
第2チェーン伝動装置42は,第1被動スプロケット50′に隣接して前記伝動軸59に固設した第2駆動スプロケット52と,リアフレーム9に取り付けられる変速機45の入力軸に固設した第2被動スプロケット52′とに第2チェーン53を巻き掛けて構成される。
【0023】
変速機45は,その入力軸から出力軸側への一方向へのみ伝動を可能にするフリーホイールとを内蔵している。そのフリーホイールはクランク軸17への逆負荷を遮断するものであるから,第1チェーン伝動装置41又は第2チェーン伝動装置42に設けることもできる。
【0024】
第3チェーン伝動装置43は,変速機45の出力軸に固設した第3駆動スプロケット55と,リアフレーム9に取り付けられる発電・電動機59のロータ軸に連なる駆動軸48に固設した第3被動スプロケット55′とに第3チェーン56を巻き掛けて構成される。その第3被動スプロケット55′の出力側で,駆動軸48及び駆動車軸47間に前記クラッチ46が介装される。このクラッチ46は,通常,オン状態を保持していて駆動軸48及び駆動車軸47間を連結している。このクラッチ46のレリーズレバーには,操向ハンドル12又はその近傍の車体フレームFに軸支されるクラッチレバー87がクラッチワイヤ87aを介して接続され,このクラッチレバー87を操作することによりクラッチ46をオフ状態にして,駆動軸48及び駆動車軸47間を遮断することができる。
【0025】
同じく図8により,三輪型自転車Bのブレーキ装置について説明する。
【0026】
前輪10fには,これを制動するキャリパ式のフロントブレーキ80が,また従動側の後輪10rには,これを制動するドラム式のリアブレーキ81がそれぞれ設けられる。フロントブレーキ80の作動部には,操向ハンドル12に右グリップに隣接して取り付けられたフロントブレーキレバー82と,メインフレーム2の前部に取り付けられたパーキングレバー83とが,フロントブレーキワイヤ84及びパーキングワイヤ85をそれぞれ介して接続される。したがって,フロントブレーキレバー82及びパーキングレバー83の何れか一方を操作することにより,フロントブレーキ80を作動することができる。
【0027】
またリアブレーキ81の作動部には,操向ハンドル12に左グリップに隣接して取り付けられたリアブレーキレバー86にリアブレーキワイヤ88を介して接続される。したがって,リアブレーキレバー86を操作することによりリアブレーキ81を作動することができる。
【0028】
尚,図8中,符号89は変速機45の切り換えのためのシフトレバーである。
【0029】
図5において,リアフレーム9には,発電・電動機59に給電したり,発電・電動機59から給電されたりするバッテリ60と,発電・電動機59及びバッテリ60間の通電を制御する制御回路ユニット61とが取り付けられる。
【0030】
この三輪型自転車Bは,次のようなモードで使用される。
[電動アシスト走行]
先ずクラッチレバー72をオン位置にセットしてクラッチ46をオン状態にし,制御回路ユニット61をアシスト側に切り換えた状態で,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45,第3チェーン伝動装置43,クラッチ46及び駆動車軸47を順次経て後輪10rに伝達し,同時に発電・電動機59がペダル負荷に応じてバッテリ60から給電され,ペダル負荷に応じた動力を駆動車軸47に与えるので,乗り手Rの負担を軽減するアシスト走行状態となる。
[体力増進走行トレーニング]
クラッチレバー72は,上記の場合と同様にオン位置にセットしてクラッチ46をオン状態にしておき,制御回路ユニット61を充電側に切り換えると,発電・電動機59は,逆負荷を受けると発電してバッテリ60に充電し得るようになる。そこで,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45,第3チェーン伝動装置43,クラッチ46及び駆動車軸47を順次経て後輪10rに伝達し,それを駆動すると同時に,上記駆動軸48の回転により発電・電動機59は発電状態となって,バッテリ60に充電する。その発電に伴い発生する負荷が乗り手Rのペダル負荷に加えられることで,乗り手Rは,自転車Bを走行させながら体力増進トレーニングを行い,同時にバッテリ60への充電を果たすことができる。この場合,図示しないペダル負荷調節ダイヤルを操作することにより,発電・電動機59からバッテリ60への充電量が増減制御することができ,それによってペダル負荷の強弱を自由に調節することができるので,乗り手Rの体力や疲労度などに応じてペダル負荷を自由に調節し,トレーニングを無理なく快適に行うことができる。
[体力増進定置トレーニング]
先ず,パーキングレバー83を作動してフロントブレーキ80を作動状態にすると共に,クラッチレバー72をオフ位置に操作してクラッチ46をオフ状態にし,また制御回路ユニット61を充電側に切り換えと,[体力増進走行トレーニング]の場合と同様に,発電・電動機59は,逆負荷を受けると発電してバッテリ60に充電し得るようになる。そこで,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45及び第3チェーン伝動装置43を経て発電・電動機59に伝達されるが,クラッチ46のオフ状態により,駆動車軸47への伝達は行われない。したがって後輪10rを停止したまゝで,クランク軸17の駆動により発電・電動機59に逆負荷を加えることになるから,発電・電動機59は発電状態となって,バッテリ60に充電する。その発電に伴い発生する負荷が乗り手Rのペダル負荷に加えられることで,乗り手Rは体力増進トレーニングを行い,同時にバッテリ60への充電を果たすことができる。この場合も図示しないペダル負荷調節ダイヤルを操作することにより,発電・電動機59からバッテリ60への充電量を増減制御することができ,それによってペダル負荷の強弱を自由に調節することができるので,この場合も乗り手Rの体力や疲労度などに応じてペダル負荷を自由に調節し,トレーニングを無理なく快適に行うことができる。
【0031】
この場合,自転車Bは,パーキングレバー83の作動より定置状態に保持され,しかも前輪10fを一輪,後輪10rを二輪とした三輪車であって,特別なスタンド装置を用いることなく自立が可能であるから,自宅の車庫や庭先など設置場所を選ばず,体力増進のための定置型トレーニング装置として安全に使用することができ,しかも乗り手Rの運動エネルギはバッテリに充電される電力に変換されることになるから,エネルギの無駄がない。しかも,この三輪型自転車Bは乗り手Rを収容する車体シェルSを備えているから,天候の如何に拘らず,走行及びトレーリングを快適に行うことができる。
【0032】
尚,クラッチワイヤ87a及びパーキングワイヤ85を共通1本の操作レバーにより操作し得るようにすれば,クラッチ46をオフ状態にする定置トレーニングの際には,自動的にフロントブレーキ80が作動状態となり,操作の簡素化を図ることができる。
【0033】
図1〜図4において,車体シェルSについて説明する。車体フレームFには,前輪10f,後輪10r,10r及びサドル15等を上方から覆う合成樹脂(例えばFRP,ABS)製の車体シェルSが取り付けられ,その内部は,乗り手Rを収容するキャビン30となる。この車体シェルS内において,前輪10fを覆うフロントフェンダ31と,左右の後輪10r,10r及びリアフレーム9を覆うリアフェンダ32が車体フレームFに取り付けられる(図4及び図6参照)。またルーフには,前記バッテリ60に充電し得るソーラパネル49が取り付けられる。
【0034】
車体シェルSは,下面を開放した流線型をなしている。この車体シェルSの前部及び後部には,フロントガラス33及びリアガラス34がそれぞれ嵌め込まれるフロントウインド35及びリアウインド36が設けられ,フロントガラス33の外面を払拭するためのワイパ37がフロントガラス33の下部に取り付けられる。さらに車体シェルSの前部の左右にはヘッドライト38,38及びウインカランプ39,39が,後部の左右にはウインカランプ40,40がそれぞれ装備される。
【0035】
図5〜図7に示すように,車体フレームFへの車体シェルSの取り付けのために,前部ヘッドパイプ1には,その左右外側方に突出した支持杆20が固設され,この支持杆20は,その両端に前部連結部材21,21を備えている。また前記クロスメンバ7の左右両端には後部連結部材25,25が設けられる。そして前部連結部材21,21には,車体シェルS前部の左右内壁固設された前部連結部材22,22が中間部材23を挟んでボルト結合され,また後部連結部材25,25には,車体シェルS後部の左右内壁固設された後部連結部材26,26が中間部材27を挟んでボルト28により結合され,こうして車体シェルSは車体フレームFに取り付けられる。尚,前記中間部材23,17を弾性部材で構成すれば,車体フレームF及び車体シェルS間の振動を吸収することもできる。
【0036】
また図1,図9及び図10において,車体シェルSの両側壁には,下側を開放した切欠き状の乗降口63,63が設けられると共に,これら乗降口63,63を開閉するドア64,64の前端部がヒンジ65を介して車体シェルSに連結され,各64の後端部と車体シェルSとの間には,ドア64の閉鎖状態をロックし得るドアロック装置66が設けられる。
【0037】
図9から明らかなように,各ドア64は,下側を開放した逆U字状をなしていて,中間部にクロスメンバ67aを備えるドアフレーム67と,このドアフレーム67の下半部の外側面に接合されるドアパネル68とからなっており,ドアフレーム67の前端部が前記ヒンジ65に連結される。
【0038】
上記ドアロック装置66について,図10〜図12により説明する。ドアパネル68の内側でドアフレーム67に固着されるブラケット70には,同軸に並ぶ上下一対のピボット軸71,71を介してロック解除レバー72の基端部が取り付けられ,このロック解除レバー72は,ピボット軸71,71周りにロック位置L(図10参照)及びアンロック位置U(図12参照)間を回動し得るようになっている。このロック解除レバー72の中間部には,ドアパネル68を貫通する押しボタン73が,ロック解除レバー72を挟むように配置された一対の弾性リング74,74(例えばOリング,ゴムブッシュ)を介して揺動可能に連結される。この押しボタン73は,ドアパネル68及びブラケット70を挟んでナット75で固着された案内筒76に摺動可能に嵌合されると共に,案内筒76に縮設された戻しばね77の反発力によってロック解除レバー72のロック位置L側に付勢される。
【0039】
ロック解除レバー72の基端部には,ピボット軸71,71と反対側の内側面において永久磁石78が接着されており,ドア64の閉鎖時,この永久磁石78と面同士で当接し,吸着する板状の磁性部材79が車体シェルSの,乗降口63周縁部に接着される。これら永久磁石78及び磁性部材79の吸着によりドア64の閉鎖状態がロックされ,走行中,ドア64の自然開放を防ぐことができる。
【0040】
ドア64の端縁部には,その開閉時に撮む撮み部90が押しボタン73に近接して設けられ,この撮み部90への指の挿入を許容する凹部92が車体シェルSに形成される。
【0041】
ドアロック装置66は上記のように構成されるので,乗り手Rがキャビン30でロック解除レバー72をアンロック位置Uへ回動し,又は車外で押しボタン73を押して,ロック解除レバー72をアンロック位置Uへ回動すれば,ロック解除レバー72に固設された永久磁石78が磁性部材79に対して傾動することにより,両者78,79間を,それらの吸着力に抗して容易に引き離すことができ,即ちロック状態を解除することができ,ドア64の開放が可能となる。
【0042】
運転中の転倒時など,車外への緊急脱出を要する場合には,乗り手Rがドア64に内側から衝撃力を加えれば,永久磁石78及び磁性部材79の吸着力に抗してドア64を強制的に開放することができる。このように,ロック解除レバー72を操作することなく,ドア64の強制開放が可能であるから,車外への緊急脱出を迅速に行うことができる。
【0043】
図13には,上記ドアロック装置66の変形例を示す。この変形例では,ロック解除レバー72に板状の磁性部材79を接着し,車体シェルSに永久磁石78及びそれを収容する磁性ヨーク91をねじ止めし,ヨーク91と磁性部材79との面同士の当接,吸着により,ドア64の閉鎖状態を保持するようになっている。その他の構成は前実施例と同様であるので,図13中,前実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。この変形例においても,前実施例と同様の作用効果を発揮することができる。
【0044】
図1,図6,図9及び図14において,前記ドアパネル68は合成樹脂製であって,その上下方向中間部外面には前後方に延びる溝部93が形成され,この溝部93の下方部分で可撓部68aが構成される。この可撓部68aは,溝部93での弾力的な折れ曲がりによって外側方へ撓み易くなっている。ドアパネル68は,溝部93の上方部分で複数のビス94,94…によりドアフレーム67に固着される。
【0045】
可撓部68aの少なくとも乗り手Rの足に近い前部は,ドアフレーム67に固着されないが,戻し装置95によってドアフレーム67との当接位置に向かって付勢される。その可撓部68aには,ドアフレーム67との当接を緩衝する弾性部材96が設けられる。
【0046】
上記戻し装置95は,車体シェルSの内壁に固着されるリールケース97と,このリールケース97内で回転自在に軸支されると共に巻き取り方向にばね付勢されるリール98と,前記可撓部68aの前端部に接続されると共にリール98に巻き取られる紐99とで構成され,紐99に対するリール98の巻き取り力により,可撓部68aをドアフレーム67との当接位置に付勢するようになっている。
【0047】
図15に示すように,可撓部68aの内面には,その下縁に沿って,乗り手Rの足の脛との接触を和らげるクッション部材100が接着される。
【0048】
左右のドア64,64は上記のように構成されるので,停車時,乗り手Rが接地させる両足を車体シェルSの横幅よりも広く広げようとして,その両足の脛をドア64,64の可撓部68aのクッション部材100当てゝ,可撓部68aを外方へ押圧すると,その可撓部68aの特に前端部側が,リール98から紐99を引き出しながら外側方に撓んで(図6及び図14の鎖線示状態参照),その両足の広がりを許容する。したがって,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルSの横幅を小さく設定しても,乗り手Rは両足を車体シェルSの横幅以上に広げて接地させ,車体を容易に安定させることができる。
【0049】
特に,ドアパネル68は合成樹脂製とし,このドアパネル68の上下方向中間部外面には,可撓部68aの外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部93が形成されるので,ドアパネル68の外面を滑らかにして,その空気抵抗を極力少なくしながら,可撓部68aの良好な可撓性を確保することができる。
【0050】
乗り手Rが広げた足を,自転車Bの発進等に伴ない内側に戻せば,可撓部68aは,それ自体の復元力とリール98の紐99に対する巻き取り力とによりドアフレーム67との当接位置に復帰し,保持されるので,走行中,この可撓部68aの振動を抑え,騒音の発生を防ぐことができる。
【0051】
また背当て15a付きのサドル15を,前輪10f及び後輪10r,10r間で,後輪10r,10rの上面よりも低い位置に配置することにより,乗り手Rの乗車姿勢を効果的に低くすることができ,これに伴い車体シェルSの全高を低く抑え得るので,車体シェルSの横幅を小さく設定することゝ相俟って,車体シェルSの前後方向投影面積を小さくすることができ,空気抵抗の一層の減少を図ることができる。
【0052】
図9及び図16において,ドアフレーム67の上半部及びクロスメンバ67aの外側面には磁性体の窓枠67bが接合され,上記クロスメンバ67aにドアガラス69の下端部がヒンジ102を介して連結され,ドアガラス69は,これを起立させて窓枠67b内を閉じ,ドア64の内側に倒すことにより窓枠67b内を開放するようになっている。このドアガラス69の周縁には,テープ状の永久磁石103が接着されており,ドアガラス69を起立させて閉じたとき,永久磁石103が窓枠67bに吸着することにより,ドアガラス69の閉じ状態を保持することができる。ドアガラス69の上部内面には,その開閉時に撮むノブ69aが設けられる。
【0053】
図1〜図3にに示すように,前記車体シェルSの前端部及び後端部には,前輪10f及び後輪10r,10rをそれぞれ露出させる前方開口部105及び後方開口部106がそれぞれ設けられ,前方開口部105は下縁を開放した切欠き状をなし,後方開口部106は,左右の乗降口63,63まで達している。これら前方開口部105及び後方開口部106は,着脱自在の前部カバー107及び後部カバー108によって閉鎖される。
【0054】
図2及び図17に示すように,前部カバー107は合成樹脂製であって,その内面には,その周縁に沿って複数の擬宝珠状の連結突起109が形成され,これら連結突起109を抜き差し可能に弾力的に嵌合し得る複数のゴム製グロメット110が車体シェルSに付設される。また前部カバー107の内面には,前方開口部105の周縁で車体シェルSの外面に密接し得るシール部材111が取り付けられる。
【0055】
而して,グロメット110に連結突起109を弾性的に嵌合することにより,前部カバー107は車体シェルSに連結され,前方開口部105を簡単に閉鎖することができ,また前部カバー107の取り外しも簡単である。しかもグロメット110及びシール部材111の弾性により前部カバー107の振動騒音の発生を防ぐことができる。
【0056】
また図3,図19及び図20に示すように,後部カバー108も合成樹脂製であって,その左右両端部は,複数のビス112,112…により前記リアフェンダ32に着脱可能に締結される。またこの後部カバー108の上縁部内面には,複数の擬宝珠状の連結突起113が形成され,これら連結突起113を抜き差し可能に弾力的に嵌合し得る複数のゴム製グロメット114が後方開口部106に臨む車体フレームFに付設される。
【0057】
したがって,これらグロメット114に連結突起113を弾性的に嵌合することにより,後部カバー108は車体フレームFに連結され,後方開口部106を簡単に閉鎖することができ,また後部カバー108の取り外しも簡単である。この後部カバー108においても,グロメット114の弾性により振動騒音の発生を防ぐことができる。
【0058】
而して,前部カバー107及び後部カバー108において,それぞれの連結突起106,113を,対応するグロメット110,114から引き抜き,またビス112を緩めて,前部カバー107及び後部カバー108を車体シェルS又は車体フレームFから取り外せば,前方開口部105及び後方開口部106を開放し,前輪10f及び後輪10r,10rを露出させることができるから,前輪10f及び後輪10r,10rのパンク修理やフロントブレーキ80及びリアブレーキ81の調整など,前輪10f及び後輪10r,10r周りのメンテナンス作業を,車体シェルSに邪魔されることなく容易に行うことができ,メンテナンス性が良好となる。その上,前部カバー107及び後部カバー108は,車体の前端及び後端に位置していて,他物との接触により損傷し易いものであるが,損傷時には,前部カバー107又は後部カバー108のみの新規部品との交換で補修し得るから,補修作業が容易であり,補修コストを低く抑えることができる。
【0059】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,三輪型電動アシスト自転車Bは,前輪10fを二輪,後輪10rを一輪とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例に係る三輪型自転車の側面図。
【図2】同自転車の正面図。
【図3】同自転車の背面図。
【図4】同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す側面図。
【図5】同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す平面図。
【図6】図1の6−6線断面図。
【図7】図6の7−7線拡大断面図。
【図8】同自転車の伝動装置を示す平面図。
【図9】前記車体シェルに取り付けられるドアの分解斜視図。
【図10】図1の10−10線拡大断面図。
【図11】図10の11−11線断面図。
【図12】図10に対応する作用説明図。
【図13】ドアロック装置の変形例を示す,図10との対応図。
【図14】図1の14−14線拡大断面図。
【図15】図14の15−15線断面図。
【図16】図1の16−16線断面図。
【図17】図2の17−17線拡大断面図。
【図18】図1の18−18線拡大断面図。
【図19】図3の19−19線拡大断面図。
【符号の説明】
【0061】
B・・・・・三輪型自転車
F・・・・・車体フレーム
R・・・・・乗り手
S・・・・・車体シェル
10f・・・前輪
10r・・・後輪
15・・・・サドル
15a・・・背当て
16・・・・ペダル
17・・・・クランク軸
30・・・・キャビン
63・・・・乗降口
64・・・・ドア
67・・・・ドアフレーム
68・・・・ドアパネル
68a・・・可撓部
93・・・・溝部
95・・・・戻し装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,前輪,後輪及びそれらの間に配置されるサドルを支持する車体フレームに,乗り手を収容するキャビンを画成する車体シェルを取り付け,この車体シェルの左右両側部に乗降口を設けると共に,この乗降口を開閉するドアを車体シェルに取り付け,キャビンでは,停車時,乗り手が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる三輪型自転車は,下記特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【特許文献1】特開2004−82745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この種の三輪型自転車では,車体シェルの横幅を広く設定すると,停車時,キャビン内で乗り手が両足を左右に充分広く開いて接地させ,車体を安定させ得る利点がある反面,走行時には,車体シェルが受ける空気抵抗が大きくなって,乗り手の負担が増大する。これとは反対に車体シェルの横幅を狭く設定すると,走行時の空気抵抗は減少するものゝ,乗り手が両足を接地させるとき,その両足を開くことが,車体シェル又はドアに干渉されて,充分にはできない不都合が生じる。
【0004】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルの横幅を小さく設定しつゝ,停車時には,乗り手が両足を左右に充分広く開いて接地させ得るようにした,前記三輪型自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために,本発明は,前輪,後輪及びそれらの間に配置されるサドルを支持する車体フレームに,乗り手を収容するキャビンを画成する車体シェルを取り付け,この車体シェルの左右両側部に乗降口を設けると共に,この乗降口を開閉するドアを車体シェルに取り付け,キャビンでは,停車時,乗り手が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,前記ドアを,下側を開放した逆U字状をなして前記車体シェルに軸支されるドアフレームと,このドアフレームに取り付けられる合成樹脂製のドアパネルとで構成し,そのドアパネルの下部に,乗り手が接地させる足で乗降口の外方へ撓ませ得る可撓部を設け,また同ドアパネルの上下方向中間部外面に,前記可撓部の外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部を形成したことを第1の特徴とする。
【0006】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記ドアフレーム及び前記可撓部間に,可撓部をドアフレーム側にばね付勢する戻し装置を設けたことを第2の特徴とする。
【0007】
さらに本発明は,第1又は2の特徴の何れかに加えて,後輪の前方且つ後輪の上面より下方に背当て付きのサドルを配置し,このサドルの前方にペダル付きクランク軸を配置したことを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1の特徴によれば,停車時,乗り手が接地させる両足を車体シェルの横幅よりも広く広げようとして,その両足で合成樹脂製のドアの可撓部を内側から押圧すると,その可撓部は外側方に撓んで,その両足の広がりを許容する。したがって,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルの横幅を小さく設定しても,乗り手は両足を車体シェルの横幅以上に広げて接地させ,車体を容易に安定させることができる。
【0009】
しかも合成樹脂製のドアパネルは,その外面を滑らにして空気抵抗を極力少なくしながら,可撓部の良好な可撓性を確保することができる。
【0010】
また本発明の第2の特徴によれば,通常は戻し装置により可撓部をドアフレームとの当接位置に確実に保持することができるので,走行中,この可撓部の振動を抑え,騒音の発生を防ぐことができる。
【0011】
さらに本発明の第3の特徴によれば,乗り手の乗車姿勢を効果的に下げさせることができ,これに伴い車体シェルの全高を低く抑えことができるので,車体シェルの横幅を小さく設定することゝ相俟って,車体シェルの前後方向投影面積を小さくすることができ,空気抵抗の一層の減少を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態を,図面に示す本発明の好適な実施例に基づき以下に説明する。
【0013】
図1は本発明の実施例に係る三輪型自転車の側面図,図2は同自転車の正面図,図3は同自転車の背面図,図4は同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す側面図,図5は同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す平面図,図6は図1の6−6線断面図,図7は図6の7−7線拡大断面図,図8は同自転車の伝動装置を示す平面図,図9は前記車体シェルに取り付けられるドアの分解斜視図,図10は図1の10−10線拡大断面図,図11は図10の11−11線断面図,図12は図10に対応する作用説明図,図13はドアロック装置の変形例を示す,図10との対応図,図14は図1の14−14線拡大断面図,図15は図14の15−15線断面図,図16は図1の16−16線断面図,図17は図2の17−17線拡大断面図,図18は図1の18−18線拡大断面図,図19は図3の19−19線拡大断面図である。
【0014】
先ず,図4及び図5において,三輪型自転車Bの車体フレームFは,前部ヘッドパイプ1と,この前部ヘッドパイプ1から斜め下向きに延び,そして後方へ水平に延びるメインフレーム2と,前部ヘッドパイプ1からメインフレーム2の上方へ斜め後方に突出するハンドル支持パイプ3と,このハンドル支持パイプ3及びメインフレーム2間を連結する第1ステー4と,ハンドル支持パイプ3の後端部に固設される後部ヘッドパイプ5と,第1ステー4及びメインフレーム2間を連結する第2ステー6と,メインフレーム2の後端に直交して連結して水平に延びるクロスメンバ7と,このクロスメンバ7の左右両側部から立ち上がった後,後方へ水平に延びて後端で閉じるU字状のリアフレーム9とで構成される。
【0015】
前部ヘッドパイプ1では,前輪10fを支持するフロントフォーク11の上端に一体に突設されたフォークステム11aが回転自在に支承され,後部ヘッドパイプ5では,操向ハンドル12に結合されたハンドルステム12aが回転自在に支承される。そしてフォークステム11aの上端部と,ハンドルステム12aの下端部とは平行リンク機構13を介して連結され,操向ハンドル12の回動をフロントフォーク11に同期して伝達し得るようになっている。
【0016】
またクロスメンバ7には,リアフレーム9の下方において左右一対の後輪10r,10rが図示しないダンパ付き懸架装置を介して上下動可能に取り付けられる。
【0017】
メインフレーム2には,背当て15a付きのサドル15が左右の後輪10r,10rの前方且つそれらの上面より低い位置を占めるように取り付けられる。このサドル15の前方において,左右一対のペダル16,16を備えたクランク軸17がメインフレーム2に回転自在に支承される。車体フレームFには,前輪10f,後輪10r,10r及びサドル15等を上方から覆う車体シェルSが取り付けられる。その構造については後述する。
【0018】
クランク軸17と左右何れか一方の後輪10rとは伝動装置Mを介して連結される。その伝動装置Mについて,図8を参照しながら説明する。
【0019】
伝動装置Mは,クランク軸17側から第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,フリーホイール付きの多段変速機45,第3チェーン伝動装置43,発電・電動機59,クラッチ46及び,後輪10rのハブに連結した駆動車軸47を順次連ねて構成される。
【0020】
第1チェーン伝動装置41は,クランク軸17に固設した第1駆動スプロケット50と,メインフレーム2に回転自在に軸支される第1被動スプロケット50′とに第1チェーン51を巻き掛けて構成される。メインフレーム2には,第1チェーン51の緊張度合いから,クランク軸17に作用する負荷,即ちペダル負荷を検知するペダル負荷センサ58が取り付けられる。
【0021】
第2チェーン伝動装置42は,第1被動スプロケット50′に隣接して前記伝動軸59に固設した第2駆動スプロケット52と,リアフレーム9に取り付けられる変速機45の入力軸に固設した第2被動スプロケット52′とに第2チェーン53を巻き掛けて構成される。
【0022】
変速機45は,その入力軸から出力軸側への一方向へのみ伝動を可能にするフリーホイールとを内蔵している。そのフリーホイールはクランク軸17への逆負荷を遮断するものであるから,第1チェーン伝動装置41又は第2チェーン伝動装置42に設けることもできる。
【0023】
第3チェーン伝動装置43は,変速機45の出力軸に固設した第3駆動スプロケット55と,リアフレーム9に取り付けられる発電・電動機59のロータ軸に連なる駆動軸48に固設した第3被動スプロケット55′とに第3チェーン56を巻き掛けて構成される。その第3被動スプロケット55′の出力側で,駆動軸48及び駆動車軸47間に前記クラッチ46が介装される。このクラッチ46は,通常,オン状態を保持していて駆動軸48及び駆動車軸47間を連結している。このクラッチ46のレリーズレバーには,操向ハンドル12又はその近傍の車体フレームFに軸支されるクラッチレバー87がクラッチワイヤ87aを介して接続され,このクラッチレバー87を操作することによりクラッチ46をオフ状態にして,駆動軸48及び駆動車軸47間を遮断することができる。
【0024】
同じく図8により,三輪型自転車Bのブレーキ装置について説明する。
【0025】
前輪10fには,これを制動するキャリパ式のフロントブレーキ80が,また従動側の後輪10rには,これを制動するドラム式のリアブレーキ81がそれぞれ設けられる。フロントブレーキ80の作動部には,操向ハンドル12に右グリップに隣接して取り付けられたフロントブレーキレバー82と,メインフレーム2の前部に取り付けられたパーキングレバー83とが,フロントブレーキワイヤ84及びパーキングワイヤ85をそれぞれ介して接続される。したがって,フロントブレーキレバー82及びパーキングレバー83の何れか一方を操作することにより,フロントブレーキ80を作動することができる。
【0026】
またリアブレーキ81の作動部には,操向ハンドル12に左グリップに隣接して取り付けられたリアブレーキレバー86にリアブレーキワイヤ88を介して接続される。したがって,リアブレーキレバー86を操作することによりリアブレーキ81を作動することができる。
【0027】
尚,図8中,符号89は変速機45の切り換えのためのシフトレバーである。
【0028】
図5において,リアフレーム9には,発電・電動機59に給電したり,発電・電動機59から給電されたりするバッテリ60と,発電・電動機59及びバッテリ60間の通電を制御する制御回路ユニット61とが取り付けられる。
【0029】
この三輪型自転車Bは,次のようなモードで使用される。
[電動アシスト走行]
先ずクラッチレバー87をオン位置にセットしてクラッチ46をオン状態にし,制御回路ユニット61をアシスト側に切り換えた状態で,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45,第3チェーン伝動装置43,クラッチ46及び駆動車軸47を順次経て後輪10rに伝達し,同時に発電・電動機59がペダル負荷に応じてバッテリ60から給電され,ペダル負荷に応じた動力を駆動車軸47に与えるので,乗り手Rの負担を軽減するアシスト走行状態となる。
[体力増進走行トレーニング]
クラッチレバー87は,上記の場合と同様にオン位置にセットしてクラッチ46をオン状態にしておき,制御回路ユニット61を充電側に切り換えると,発電・電動機59は,逆負荷を受けると発電してバッテリ60に充電し得るようになる。そこで,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45,第3チェーン伝動装置43,クラッチ46及び駆動車軸47を順次経て後輪10rに伝達し,それを駆動すると同時に,上記駆動軸48の回転により発電・電動機59は発電状態となって,バッテリ60に充電する。その発電に伴い発生する負荷が乗り手Rのペダル負荷に加えられることで,乗り手Rは,自転車Bを走行させながら体力増進トレーニングを行い,同時にバッテリ60への充電を果たすことができる。この場合,図示しないペダル負荷調節ダイヤルを操作することにより,発電・電動機59からバッテリ60への充電量が増減制御することができ,それによってペダル負荷の強弱を自由に調節することができるので,乗り手Rの体力や疲労度などに応じてペダル負荷を自由に調節し,トレーニングを無理なく快適に行うことができる。
[体力増進定置トレーニング]
先ず,パーキングレバー83を作動してフロントブレーキ80を作動状態にすると共に,クラッチレバー87をオフ位置に操作してクラッチ46をオフ状態にし,また制御回路ユニット61を充電側に切り換えると,[体力増進走行トレーニング]の場合と同様に,発電・電動機59は,逆負荷を受けると発電してバッテリ60に充電し得るようになる。そこで,乗り手Rがペダル16,16を漕いでクランク軸17を駆動すれば,その駆動力は,第1チェーン伝動装置41,第2チェーン伝動装置42,変速機45及び第3チェーン伝動装置43を経て発電・電動機59に伝達されるが,クラッチ46のオフ状態により,駆動車軸47への伝達は行われない。したがって後輪10rを停止したまゝで,クランク軸17の駆動により発電・電動機59に逆負荷を加えることになるから,発電・電動機59は発電状態となって,バッテリ60に充電する。その発電に伴い発生する負荷が乗り手Rのペダル負荷に加えられることで,乗り手Rは体力増進トレーニングを行い,同時にバッテリ60への充電を果たすことができる。この場合も図示しないペダル負荷調節ダイヤルを操作することにより,発電・電動機59からバッテリ60への充電量を増減制御することができ,それによってペダル負荷の強弱を自由に調節することができるので,この場合も乗り手Rの体力や疲労度などに応じてペダル負荷を自由に調節し,トレーニングを無理なく快適に行うことができる。
【0030】
この場合,自転車Bは,パーキングレバー83の作動より定置状態に保持され,しかも前輪10fを一輪,後輪10rを二輪とした三輪車であって,特別なスタンド装置を用いることなく自立が可能であるから,自宅の車庫や庭先など設置場所を選ばず,体力増進のための定置型トレーニング装置として安全に使用することができ,しかも乗り手Rの運動エネルギはバッテリに充電される電力に変換されることになるから,エネルギの無駄がない。しかも,この三輪型自転車Bは乗り手Rを収容する車体シェルSを備えているから,天候の如何に拘らず,走行及びトレーニングを快適に行うことができる。
【0031】
尚,クラッチワイヤ87a及びパーキングワイヤ85を共通1本の操作レバーにより操作し得るようにすれば,クラッチ46をオフ状態にする定置トレーニングの際には,自動的にフロントブレーキ80が作動状態となり,操作の簡素化を図ることができる。
【0032】
図1〜図4において,車体シェルSについて説明する。車体フレームFには,前輪10f,後輪10r,10r及びサドル15等を上方から覆う合成樹脂(例えばFRP,ABS)製の車体シェルSが取り付けられ,その内部は,乗り手Rを収容するキャビン30となる。この車体シェルS内において,前輪10fを覆うフロントフェンダ31と,左右の後輪10r,10r及びリアフレーム9を覆うリアフェンダ32が車体フレームFに取り付けられる(図4及び図6参照)。またルーフには,前記バッテリ60に充電し得るソーラパネル49が取り付けられる。
【0033】
車体シェルSは,下面を開放した流線型をなしている。この車体シェルSの前部及び後部には,フロントガラス33及びリアガラス34がそれぞれ嵌め込まれるフロントウインド35及びリアウインド36が設けられ,フロントガラス33の外面を払拭するためのワイパ37がフロントガラス33の下部に取り付けられる。さらに車体シェルSの前部の左右にはヘッドライト38,38及びウインカランプ39,39が,後部の左右にはウインカランプ40,40がそれぞれ装備される。
【0034】
図5〜図7に示すように,車体フレームFへの車体シェルSの取り付けのために,前部ヘッドパイプ1には,その左右外側方に突出した支持杆20が固設され,この支持杆20は,その両端に前部連結部材21,21を備えている。また前記クロスメンバ7の左右両端には後部連結部材25,25が設けられる。そして前部連結部材21,21には,車体シェルS前部の左右内壁固設された前部連結部材22,22が中間部材23を挟んでボルト結合され,また後部連結部材25,25には,車体シェルS後部の左右内壁固設された後部連結部材26,26が中間部材27を挟んでボルト28により結合され,こうして車体シェルSは車体フレームFに取り付けられる。尚,前記中間部材23,27を弾性部材で構成すれば,車体フレームF及び車体シェルS間の振動を吸収することもできる。
【0035】
また図1,図9及び図10において,車体シェルSの両側壁には,下側を開放した切欠き状の乗降口63,63が設けられると共に,これら乗降口63,63を開閉するドア64,64の前端部がヒンジ65を介して車体シェルSに連結され,各64の後端部と車体シェルSとの間には,ドア64の閉鎖状態をロックし得るドアロック装置66が設けられる。
【0036】
図9から明らかなように,各ドア64は,下側を開放した逆U字状をなしていて,中間部にクロスメンバ67aを備えるドアフレーム67と,このドアフレーム67の下半部の外側面に接合されるドアパネル68とからなっており,ドアフレーム67の前端部が前記ヒンジ65に連結される。
【0037】
上記ドアロック装置66について,図10〜図12により説明する。ドアパネル68の内側でドアフレーム67に固着されるブラケット70には,同軸に並ぶ上下一対のピボット軸71,71を介してロック解除レバー72の基端部が取り付けられ,このロック解除レバー72は,ピボット軸71,71周りにロック位置L(図10参照)及びアンロック位置U(図12参照)間を回動し得るようになっている。このロック解除レバー72の中間部には,ドアパネル68を貫通する押しボタン73が,ロック解除レバー72を挟むように配置された一対の弾性リング74,74(例えばOリング,ゴムブッシュ)を介して揺動可能に連結される。この押しボタン73は,ドアパネル68及びブラケット70を挟んでナット75で固着された案内筒76に摺動可能に嵌合されると共に,案内筒76に縮設された戻しばね77の反発力によってロック解除レバー72のロック位置L側に付勢される。
【0038】
ロック解除レバー72の基端部には,ピボット軸71,71と反対側の内側面において永久磁石78が接着されており,ドア64の閉鎖時,この永久磁石78と面同士で当接し,吸着する板状の磁性部材79が車体シェルSの,乗降口63周縁部に接着される。これら永久磁石78及び磁性部材79の吸着によりドア64の閉鎖状態がロックされ,走行中,ドア64の自然開放を防ぐことができる。
【0039】
ドア64の端縁部には,その開閉時に撮む撮み部90が押しボタン73に近接して設けられ,この撮み部90への指の挿入を許容する凹部92が車体シェルSに形成される。
【0040】
ドアロック装置66は上記のように構成されるので,乗り手Rがキャビン30でロック解除レバー72をアンロック位置Uへ回動し,又は車外で押しボタン73を押して,ロック解除レバー72をアンロック位置Uへ回動すれば,ロック解除レバー72に固設された永久磁石78が磁性部材79に対して傾動することにより,両者78,79間を,それらの吸着力に抗して容易に引き離すことができ,即ちロック状態を解除することができ,ドア64の開放が可能となる。
【0041】
運転中の転倒時など,車外への緊急脱出を要する場合には,乗り手Rがドア64に内側から衝撃力を加えれば,永久磁石78及び磁性部材79の吸着力に抗してドア64を強制的に開放することができる。このように,ロック解除レバー72を操作することなく,ドア64の強制開放が可能であるから,車外への緊急脱出を迅速に行うことができる。
【0042】
図13には,上記ドアロック装置66の変形例を示す。この変形例では,ロック解除レバー72に板状の磁性部材79を接着し,車体シェルSに永久磁石78及びそれを収容する磁性ヨーク91をねじ止めし,ヨーク91と磁性部材79との面同士の当接,吸着により,ドア64の閉鎖状態を保持するようになっている。その他の構成は前実施例と同様であるので,図13中,前実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。この変形例においても,前実施例と同様の作用効果を発揮することができる。
【0043】
図1,図6,図9及び図14において,前記ドアパネル68は合成樹脂製であって,その上下方向中間部外面には前後方向に延びる溝部93が形成され,この溝部93の下方部分で可撓部68aが構成される。この可撓部68aは,溝部93での弾力的な折れ曲がりによって外側方へ撓み易くなっている。ドアパネル68は,溝部93の上方部分で複数のビス94,94…によりドアフレーム67に固着される。
【0044】
可撓部68aの少なくとも乗り手Rの足に近い前部は,ドアフレーム67に固着されないが,戻し装置95によってドアフレーム67との当接位置に向かって付勢される。その可撓部68aには,ドアフレーム67との当接を緩衝する弾性部材96が設けられる。
【0045】
上記戻し装置95は,車体シェルSの内壁に固着されるリールケース97と,このリールケース97内で回転自在に軸支されると共に巻き取り方向にばね付勢されるリール98と,前記可撓部68aの前端部に接続されると共にリール98に巻き取られる紐99とで構成され,紐99に対するリール98の巻き取り力により,可撓部68aをドアフレーム67との当接位置に付勢するようになっている。
【0046】
図15に示すように,可撓部68aの内面には,その下縁に沿って,乗り手Rの足の脛との接触を和らげるクッション部材100が接着される。
【0047】
左右のドア64,64は上記のように構成されるので,停車時,乗り手Rが接地させる両足を車体シェルSの横幅よりも広く広げようとして,その両足の脛をドア64,64の可撓部68aのクッション部材100に当てゝ,可撓部68aを外方へ押圧すると,その可撓部68aの特に前端部側が,リール98から紐99を引き出しながら外側方に撓んで(図6及び図14の鎖線示状態参照),その両足の広がりを許容する。したがって,走行時の空気抵抗を極力小さくすべく車体シェルSの横幅を小さく設定しても,乗り手Rは両足を車体シェルSの横幅以上に広げて接地させ,車体を容易に安定させることができる。
【0048】
特に,ドアパネル68は合成樹脂製とし,このドアパネル68の上下方向中間部外面には,可撓部68aの外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部93が形成されるので,ドアパネル68の外面を滑らかにして,その空気抵抗を極力少なくしながら,可撓部68aの良好な可撓性を確保することができる。
【0049】
乗り手Rが広げた足を,自転車Bの発進等に伴ない内側に戻せば,可撓部68aは,それ自体の復元力とリール98の紐99に対する巻き取り力とによりドアフレーム67との当接位置に復帰し,保持されるので,走行中,この可撓部68aの振動を抑え,騒音の発生を防ぐことができる。
【0050】
また背当て15a付きのサドル15を,前輪10f及び後輪10r,10r間で,後輪10r,10rの上面よりも低い位置に配置することにより,乗り手Rの乗車姿勢を効果的に低くすることができ,これに伴い車体シェルSの全高を低く抑え得るので,車体シェルSの横幅を小さく設定することゝ相俟って,車体シェルSの前後方向投影面積を小さくすることができ,空気抵抗の一層の減少を図ることができる。
【0051】
図9及び図16において,ドアフレーム67の上半部及びクロスメンバ67aの外側面には磁性体の窓枠67bが接合され,上記クロスメンバ67aにドアガラス69の下端部がヒンジ102を介して連結され,ドアガラス69は,これを起立させて窓枠67b内を閉じ,ドア64の内側に倒すことにより窓枠67b内を開放するようになっている。このドアガラス69の周縁には,テープ状の永久磁石103が接着されており,ドアガラス69を起立させて閉じたとき,永久磁石103が窓枠67bに吸着することにより,ドアガラス69の閉じ状態を保持することができる。ドアガラス69の上部内面には,その開閉時に撮むノブ69aが設けられる。
【0052】
図1〜図3に示すように,前記車体シェルSの前端部及び後端部には,前輪10f及び後輪10r,10rをそれぞれ露出させる前方開口部105及び後方開口部106がそれぞれ設けられ,前方開口部105は下縁を開放した切欠き状をなし,後方開口部106は,左右の乗降口63,63まで達している。これら前方開口部105及び後方開口部106は,着脱自在の前部カバー107及び後部カバー108によって閉鎖される。
【0053】
図2及び図17に示すように,前部カバー107は合成樹脂製であって,その内面には,その周縁に沿って複数の擬宝珠状の連結突起109が形成され,これら連結突起109を抜き差し可能に弾力的に嵌合し得る複数のゴム製グロメット110が車体シェルSに付設される。また前部カバー107の内面には,前方開口部105の周縁で車体シェルSの外面に密接し得るシール部材111が取り付けられる。
【0054】
而して,グロメット110に連結突起109を弾性的に嵌合することにより,前部カバー107は車体シェルSに連結され,前方開口部105を簡単に閉鎖することができ,また前部カバー107の取り外しも簡単である。しかもグロメット110及びシール部材111の弾性により前部カバー107の振動騒音の発生を防ぐことができる。
【0055】
また図3,図19及び図20に示すように,後部カバー108も合成樹脂製であって,その左右両端部は,複数のビス112,112…により前記リアフェンダ32に着脱可能に締結される。またこの後部カバー108の上縁部内面には,複数の擬宝珠状の連結突起113が形成され,これら連結突起113を抜き差し可能に弾力的に嵌合し得る複数のゴム製グロメット114が後方開口部106に臨む車体フレームFに付設される。
【0056】
したがって,これらグロメット114に連結突起113を弾性的に嵌合することにより,後部カバー108は車体フレームFに連結され,後方開口部106を簡単に閉鎖することができ,また後部カバー108の取り外しも簡単である。この後部カバー108においても,グロメット114の弾性により振動騒音の発生を防ぐことができる。
【0057】
而して,前部カバー107及び後部カバー108において,それぞれの連結突起109,113を,対応するグロメット110,114から引き抜き,またビス112を緩めて,前部カバー107及び後部カバー108を車体シェルS又は車体フレームFから取り外せば,前方開口部105及び後方開口部106を開放し,前輪10f及び後輪10r,10rを露出させることができるから,前輪10f及び後輪10r,10rのパンク修理やフロントブレーキ80及びリアブレーキ81の調整など,前輪10f及び後輪10r,10r周りのメンテナンス作業を,車体シェルSに邪魔されることなく容易に行うことができ,メンテナンス性が良好となる。その上,前部カバー107及び後部カバー108は,車体の前端及び後端に位置していて,他物との接触により損傷し易いものであるが,損傷時には,前部カバー107又は後部カバー108のみの新規部品との交換で補修し得るから,補修作業が容易であり,補修コストを低く抑えることができる。
【0058】
本発明は,上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,三輪型電動アシスト自転車Bは,前輪10fを二輪,後輪10rを一輪とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例に係る三輪型自転車の側面図。
【図2】同自転車の正面図。
【図3】同自転車の背面図。
【図4】同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す側面図。
【図5】同自転車を,車体シェルを取り外した状態で示す平面図。
【図6】図1の6−6線断面図。
【図7】図6の7−7線拡大断面図。
【図8】同自転車の伝動装置を示す平面図。
【図9】前記車体シェルに取り付けられるドアの分解斜視図。
【図10】図1の10−10線拡大断面図。
【図11】図10の11−11線断面図。
【図12】図10に対応する作用説明図。
【図13】ドアロック装置の変形例を示す,図10との対応図。
【図14】図1の14−14線拡大断面図。
【図15】図14の15−15線断面図。
【図16】図1の16−16線断面図。
【図17】図2の17−17線拡大断面図。
【図18】図1の18−18線拡大断面図。
【図19】図3の19−19線拡大断面図。
【符号の説明】
【0060】
B・・・・・三輪型自転車
F・・・・・車体フレーム
R・・・・・乗り手
S・・・・・車体シェル
10f・・・前輪
10r・・・後輪
15・・・・サドル
15a・・・背当て
16・・・・ペダル
17・・・・クランク軸
30・・・・キャビン
63・・・・乗降口
64・・・・ドア
67・・・・ドアフレーム
68・・・・ドアパネル
68a・・・可撓部
93・・・・溝部
95・・・・戻し装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(10f),後輪(10r)及びそれらの間に配置されるサドル(15)を支持する車体フレーム(F)に,乗り手(R)を収容するキャビン(30)を画成する車体シェル(S)を取り付け,この車体シェル(S)の左右両側部に乗降口(63)を設けると共に,この乗降口(63)を開閉するドア(64)を車体シェル(S)に取り付け,キャビン(30)では,停車時,乗り手(R)が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,
前記ドア(64)の下部に,乗り手(R)が接地させる足で乗降口(63)の外方へ撓ませ得る可撓部(68a)を設けたことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項2】
請求項1記載の三輪型自転車において,
前記ドア(64)を,下側を開放した逆U字状をなして前記車体シェル(S)に軸支されるドアフレーム(67)と,前記可撓部(68a)を下部に有してこのドアフレーム(67)に取り付けられる合成樹脂製のドアパネル(68)とで構成し,そのドアパネル(68)の上下方向中間部外面に,前記可撓部(68a)の外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部(95)を形成したことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項3】
請求項2記載の三輪型自転車において,
前記ドアフレーム(67)及び前記可撓部(68a)間に,可撓部(68a)をドアフレーム(67)との当接方向にばね付勢する戻し装置(95)を設けたことことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の三輪型自転車において,
後輪(10r)の前方且つ後輪(10r)の上面より下方に背当て(15a)付きのサドル(15)を配置し,このサドル(15)の前方にペダル(16)付きクランク軸(17)を配置したことを特徴とする三輪型自転車。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(10f),後輪(10r)及びそれらの間に配置されるサドル(15)を支持する車体フレーム(F)に,乗り手(R)を収容するキャビン(30)を画成する車体シェル(S)を取り付け,この車体シェル(S)の左右両側部に乗降口(63)を設けると共に,この乗降口(63)を開閉するドア(64)を車体シェル(S)に取り付け,キャビン(30)では,停車時,乗り手(R)が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,
前記ドア(64)を,下側を開放した逆U字状をなして前記車体シェル(S)に軸支されるドアフレーム(67)と,このドアフレーム(67)に取り付けられる合成樹脂製のドアパネル(68)とで構成し,そのドアパネル(68)の下部に,乗り手(R)が接地させる足で乗降口(63)の外方へ撓ませ得る可撓部(68a)を設け,また同ドアパネル(68)の上下方向中間部外面に,前記可撓部(68a)の外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部(93)を形成したことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項2】
請求項1記載の三輪型自転車において,
前記ドアフレーム(67)及び前記可撓部(68a)間に,可撓部(68a)をドアフレーム(67)との当接方向にばね付勢する戻し装置(95)を設けたことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項3】
請求項1又は2記載の三輪型自転車において,
後輪(10r)の前方且つ後輪(10r)の上面より下方に背当て(15a)付きのサドル(15)を配置し,このサドル(15)の前方にペダル(16)付きクランク軸(17)を配置したことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項1】
前輪(10f),後輪(10r)及びそれらの間に配置されるサドル(15)を支持する車体フレーム(F)に,乗り手(R)を収容するキャビン(30)を画成する車体シェル(S)を取り付け,この車体シェル(S)の左右両側部に乗降口(63)を設けると共に,この乗降口(63)を開閉するドア(64)を車体シェル(S)に取り付け,キャビン(30)では,停車時,乗り手(R)が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,
前記ドア(64)の下部に,乗り手(R)が接地させる足で乗降口(63)の外方へ撓ませ得る可撓部(68a)を設けたことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項2】
請求項1記載の三輪型自転車において,
前記ドア(64)を,下側を開放した逆U字状をなして前記車体シェル(S)に軸支されるドアフレーム(67)と,前記可撓部(68a)を下部に有してこのドアフレーム(67)に取り付けられる合成樹脂製のドアパネル(68)とで構成し,そのドアパネル(68)の上下方向中間部外面に,前記可撓部(68a)の外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部(95)を形成したことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項3】
請求項2記載の三輪型自転車において,
前記ドアフレーム(67)及び前記可撓部(68a)間に,可撓部(68a)をドアフレーム(67)との当接方向にばね付勢する戻し装置(95)を設けたことことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の三輪型自転車において,
後輪(10r)の前方且つ後輪(10r)の上面より下方に背当て(15a)付きのサドル(15)を配置し,このサドル(15)の前方にペダル(16)付きクランク軸(17)を配置したことを特徴とする三輪型自転車。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪(10f),後輪(10r)及びそれらの間に配置されるサドル(15)を支持する車体フレーム(F)に,乗り手(R)を収容するキャビン(30)を画成する車体シェル(S)を取り付け,この車体シェル(S)の左右両側部に乗降口(63)を設けると共に,この乗降口(63)を開閉するドア(64)を車体シェル(S)に取り付け,キャビン(30)では,停車時,乗り手(R)が両足を接地させ得るようにした三輪型自転車において,
前記ドア(64)を,下側を開放した逆U字状をなして前記車体シェル(S)に軸支されるドアフレーム(67)と,このドアフレーム(67)に取り付けられる合成樹脂製のドアパネル(68)とで構成し,そのドアパネル(68)の下部に,乗り手(R)が接地させる足で乗降口(63)の外方へ撓ませ得る可撓部(68a)を設け,また同ドアパネル(68)の上下方向中間部外面に,前記可撓部(68a)の外側方への撓みを容易にする前後方向の溝部(93)を形成したことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項2】
請求項1記載の三輪型自転車において,
前記ドアフレーム(67)及び前記可撓部(68a)間に,可撓部(68a)をドアフレーム(67)との当接方向にばね付勢する戻し装置(95)を設けたことを特徴とする三輪型自転車。
【請求項3】
請求項1又は2記載の三輪型自転車において,
後輪(10r)の前方且つ後輪(10r)の上面より下方に背当て(15a)付きのサドル(15)を配置し,このサドル(15)の前方にペダル(16)付きクランク軸(17)を配置したことを特徴とする三輪型自転車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−131155(P2006−131155A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324165(P2004−324165)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000234627)シロウマサイエンス株式会社 (40)
【Fターム(参考)】
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