説明

下半身部用衣類

【課題】バンドの部分が確実且つ容易に人体の所望の位置に配置可能な下半身部用衣類を提供する。
【解決手段】下半身部用衣類2の右足把持バンド部30、左足把持バンド部40は、該着用者の下半身部に密着する下半身部用衣類本体2に対して移動不能である。該右足把持バンド部30は、該下結合点2Cから、右太股の前側、右脚の外側、右脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、右脚の内側、右脚のふくらはぎ、及び右脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は下半身部用衣類に関し、特に日常生活において着用されることにより姿勢の改善を行う下半身部用衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、姿勢の矯正を行う姿勢矯正バンドが知られている。この姿勢矯正バンドは、装着している状態であることが一見して他人から分からないように、シャツ等の内側等に装着されて用いられる。この姿勢矯正バンドは、バンド本体とバンド本体から延出する複数本からなる本体支持ベルトとを有しており、上半身に装着される。バンド本体は人体の背中に対向する。本体支持ベルトは、人体の腹部及び肩等を巻回することによりバンド本体を所定の位置に支持すると共に、人体の腹部及び肩等をバンド本体の位置する背中の方向に引っ張る。このことにより、2つの肩胛骨が互い引寄せられ、上半身が胸を張ったような状態となり姿勢の矯正が行われる。
【0003】
しかし、従来の姿勢矯正バンドでは、上述のように肩胛骨を互いに引寄せて、見た目が美しい上半身の姿勢を強制的に形づくっていた。従って、従来の姿勢矯正バンドで矯正されるのは、上半身といった体の一部だけであり、人体のアラインメント、即ち、体全体の筋骨格系のならびについては考慮されておらず、結果的に、体全体としては不自然な姿勢が強要されていた。具体的には、骨盤の向きが不適切な状態のまま上体のみが矯正されるため、脊椎や骨盤の関節に負担がかかるといった具合である。
【0004】
このため、体に疲労が生じてしまい、長時間に渡り姿勢矯正バンドを装着することはできなかった。また、不自然な姿勢が強要されるため、却って上半身を丸めて猫背にしようとしてしまい、姿勢矯正バンドを装着していないときの姿勢が余計に悪くなってしまうという問題が生じていた。より具体的には、老人は一般に骨盤が後傾し、重心が後方に位置している。このため、従来の姿勢矯正バンドにより上半身の姿勢を矯正すると、上半身が後方に反り返る傾向となるために上半身も後傾し、立った姿勢での重心は一層後位となり安定性を欠く。姿勢を安定させるためには矯正された上半身を前傾しなければならず、老人にとっては姿勢矯正バンドの着用が却って逆効果となることもある。
【0005】
また、猫背のひどい人や高齢者等で前かがみの姿勢になっている人は、姿勢が良く背筋の伸びている人と比較して骨盤が後方に位置していることが多いが、従来の姿勢矯正バンドでは、上半身の姿勢を矯正することはできたとしても、骨盤まで適正な位置に矯正することはできなかった。
【0006】
特許第3663168号公報には、上述の課題を解決する姿勢改善バンドが記載されている。姿勢改善バンドは、伸縮可能なバンドからなり一端が右肩に掛けられる右肩把持バンドと、伸縮可能なバンドからなり一端が左肩に掛けられる左肩把持バンドと、伸縮可能なバンドからなり一端が右足の一部に掛けられる右足把持バンドと、伸縮可能なバンドからなり一端が左足の一部に掛けられる左足把持バンドとをそなえている。右肩把持バンドの他端、左肩把持バンドの他端、右足把持バンドの他端、及び左足把持バンドの他端は、人体の前方であって略へそに対向する場所において一点収束して互いに結合され中央結合点をなす。
【0007】
右足把持バンドは、中央結合点から、右太股の前側、右脚の外側、右脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、右脚の内側、右脚のふくらはぎ、及び右脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回され、右足把持バンドの一端は、足首に最も近い位置で足の甲から足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられる。左足把持バンドは、中央結合点から、左太股の前側、左脚の外側、左脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、左脚の内側、左脚のふくらはぎ、及び左脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回され、左足把持バンドの一端は、足首に最も近い位置で足の甲から足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられる。右肩把持バンド、左肩把持バンド、右足把持バンド、及び、左足把持バンドのそれぞれの収縮力により右肩、左肩、右足、及び左足を中央結合点へ引寄せるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3663168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記公報記載の姿勢改善バンドは、人体への装着が簡単ではなく、帯状をした右肩把持バンド、左肩把持バンド、右足把持バンド、左足把持バンドが途中でねじれて裏返ってしまったり、装着者が装着方法を正確に把握していないために全体が裏返しになった状態で装着されたりと言ったように、更なる装着の容易性が要求されていた。
【0010】
また、姿勢改善バンドを装着しているときに、上述した所定の装着位置からずれてしまい、当該所定の装着位置では発揮できる姿勢改善バンドの効果を十分に発揮できないといったことが生ずる恐れもある。
【0011】
そこで、本発明は、バンドの部分が確実且つ容易に人体の所望の位置に配置可能な下半身部用衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
また、本発明は、着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部に着用可能であり該着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部に密着するように構成された下半身部用衣類本体部を有し、該下半身部用衣類本体部には、伸縮可能なバンド部からなり該下半身部用衣類本体部を着用したときに一端が右足又は右脚に配置される右足把持バンド部と、伸縮可能なバンド部からなり該下半身部用衣類本体部を着用したときに一端が左足又は左脚に配置される左足把持バンド部とが、それぞれ該下半身部用衣類本体部に対して移動不能に設けられ、該右足把持バンド部の他端及び該左足把持バンド部の他端は人体の前方であって丹田に対向する場所において一点収束して互いに結合され下結合点をなし、該右足把持バンド部は、該下結合点から、右太股の前側、右脚の外側にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、該左足把持バンド部は、該下結合点から、左太股の前側、左脚の外側にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、該右足把持バンド部及び、該左足把持バンド部のそれぞれの収縮力により右脚及び左脚を該下結合点へ引寄せる下半身部用衣類を提供している。
【0013】
着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部に密着するように構成された下半身部用衣類本体部を有し、下半身部用衣類本体部には、伸縮可能なバンド部からなる右足把持バンド部と、伸縮可能なバンド部からなる左足把持バンド部とが、それぞれ下半身部用衣類本体部に対して移動不能に設けられているため、一般的な下半身用の衣類、例えばスパッツ等を着用するようにして下半身部用衣類本体部を着用することで、下半身部用衣類の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、右足把持バンド部を、下結合点から、右太股の前側、右脚の外側にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように確実に配置することができる。
【0014】
同様に、一般的な下半身用の衣類、例えばスパッツ等を着用するようにして下半身部用衣類本体部を着用することで、下半身部用衣類の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、左足把持バンド部を、下結合点から、左太股の前側、左脚の外側にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように確実に配置することができる。
【0015】
このため、下半身部用衣類の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、右足把持バンド部、左足把持バンド部のそれぞれの収縮力により右脚、左脚を中央結合点へ引寄せる力を生じさせることができ、このことから大腿部が内旋される力を生じさせることができる。すると、この内旋される力に抗して着用者は自ら大腿部を外旋させようとするため、この外旋に伴い骨盤を適正な前傾した角度にするとともに骨盤の位置を適正な位置に移動し、上体を起こして背筋を伸ばす。この結果、身体のアラインメント、即ち、筋骨格系の重力方向への働きが適正な状態となり、体全体として良い姿勢をユーザ自らが形づくり、自らの身体をもってこの適正なアラインメントを習得することができる。このことにより、骨盤の向きが不適切であることに起因して膝に過度に負担がかかることを極力防止することができる。
【0016】
ここで、該右足把持バンド部は、該下結合点から、右太股の前側、右脚の外側、右脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、右脚の内側、右脚のふくらはぎ、及び右脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、該左足把持バンド部は、該下結合点から、左太股の前側、左脚の外側、左脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、左脚の内側、左脚のふくらはぎ、及び左脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置されていることが好ましい。
【0017】
着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部に密着するように構成された下半身部用衣類本体部を有し、下半身部用衣類本体部には、伸縮可能なバンド部からなる右足把持バンド部と、伸縮可能なバンド部からなる左足把持バンド部とが、それぞれ下半身部用衣類本体部に対して移動不能に設けられているため、一般的な下半身用の衣類、例えばジャージ等を着用するようにして下半身部用衣類本体部を着用することで、下半身部用衣類の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、右足把持バンド部を、下結合点から、右太股の前側、右脚の外側、右脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、右脚の内側、右脚のふくらはぎ、及び右脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように確実に配置することができる。
【0018】
同様に、一般的な下半身用の衣類、例えばジャージ等を着用するようにして下半身部用衣類本体部を着用することで、下半身部用衣類の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、左足把持バンド部を、下結合点から、左太股の前側、左脚の外側、左脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、左脚の内側、左脚のふくらはぎ、及び左脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように確実に配置することができる。
【0019】
このため、下半身部用衣類の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、右足把持バンド部、左足把持バンド部のそれぞれの収縮力により右脚、左脚を中央結合点へ引寄せる力を生じさせることができ、このことから大腿部が内旋される力を生じさせることができる。すると、この内旋される力に抗して着用者は自ら大腿部を外旋させようとするため、この外旋に伴い骨盤を適正な前傾した角度にするとともに骨盤の位置を適正な位置に移動し、上体を起こして背筋を伸ばす。この結果、身体のアラインメント、即ち、筋骨格系の重力方向への働きが適正な状態となり、体全体として良い姿勢をユーザ自らが形づくり、自らの身体をもってこの適正なアラインメントを習得することができる。このことにより、骨盤の向きが不適切であることに起因して膝に過度に負担がかかることを極力防止することができる。
【0020】
更に、該下半身部用衣類本体部には、伸縮可能なバンド部からなる右外旋誘導補助バンド部と、伸縮可能なバンド部からなる左外旋誘導補助バンド部とが、それぞれ該下半身部用衣類本体部に対して移動不能に設けられ、該右外旋誘導補助バンド部は、その一端が該下結合点において該右足把持バンド部に重ねられ、右大腿部前部、右大腿部とお尻との接続位置、右大腿部の内側にこの順で対向するように螺旋状に配置され、更に右大腿部の周方向へ右大腿部を1周巻回するように、右大腿部の内側から右大腿部の前部を通り右大腿部の外側へ延出し右大腿部の後部を通り当該右大腿部の内側において該右外旋誘導補助バンド部の中間の部分に該右外旋誘導補助バンド部の他端が重ねられ、該左外旋誘導補助バンド部は、その一端が該下結合点において該左足把持バンド部に重ねられ、左大腿部前部、左大腿部とお尻との接続位置、左大腿部の内側にこの順で対向するように螺旋状に配置され、更に左大腿部の周方向へ左大腿部を1周巻回するように、左大腿部の内側から左大腿部の前部を通り左大腿部の外側へ延出し左大腿部の後部を通り当該左大腿部の内側において該左外旋誘導補助バンド部の中間の部分に該左外旋誘導補助バンド部の他端が重ねられていることが好ましい。
【0021】
右外旋誘導補助バンド部は、その一端が下結合点において右足把持バンド部に重ねられ、右大腿部前部、右大腿部とお尻との接続位置、右大腿部の内側にこの順で対向するように螺旋状に配置され、更に右大腿部の周方向へ右大腿部を1周巻回するように、当該右大腿部の内側から右大腿部の前部を通り右大腿部の外側へ延出し右大腿部の後部を通り当該右大腿部の内側において右外旋誘導補助バンド部の一部に右外旋誘導補助バンド部の他端が重ねられ、左外旋誘導補助バンド部は、その一端が下結合点において左足把持バンド部に重ねられ、左大腿部前部、左大腿部とお尻との接続位置、左大腿部の内側にこの順で対向するように螺旋状に配置され、更に左大腿部の周方向へ左大腿部を1周巻回するように、当該左大腿部の内側から左大腿部の前部を通り左大腿部の外側へ延出し左大腿部の後部を通り当該左大腿部の内側において左外旋誘導補助バンド部の一部に左外旋誘導補助バンド部の他端が重ねられているため、お尻の下部を上方へ引き上げるように支持することができ、股関節の外旋の誘導促進作用をより強くすることができる。
【0022】
このため、例えば、右足把持バンド部の一端を、右足首に最も近い位置で右足の甲から右足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように配置せず、また、左足把持バンド部の一端を、左足首に最も近い位置で左足の甲から左足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように配置しなくても、外旋の誘導促進作用を十分に発揮することができる。
【0023】
また、該右足把持バンド部の一端は、右足首に最も近い位置で右足の甲から右足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように配置され、該左足把持バンド部の一端は、左足首に最も近い位置で左足の甲から左足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように配置され、該右足把持バンド部及び、該左足把持バンド部のそれぞれの収縮力により右足及び左足を該下結合点へ引寄せることが好ましい。
【0024】
着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部に密着するように構成された下半身部用衣類本体部を有し、下半身部用衣類本体部には、伸縮可能なバンド部からなる右足把持バンド部と、伸縮可能なバンド部からなる左足把持バンド部とが、それぞれ下半身部用衣類本体部に対して移動不能に設けられているため、一般的な下半身用の衣類、例えばタイツ等を着用するようにして下半身部用衣類本体部を着用することで、下半身部用衣類の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、右足把持バンド部の一端を、右足首に最も近い位置で右足の甲から右足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように確実に配置することができる。
【0025】
同様に、一般的な下半身用の衣類、例えばタイツ等を着用するようにして下半身部用衣類本体部を着用することで、下半身部用衣類の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、左足把持バンド部の一端を、左足首に最も近い位置で左足の甲から左足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように確実に配置することができる。
【0026】
このため、下半身部用衣類の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、右足把持バンド部、左足把持バンド部のそれぞれの収縮力により右足、左足を中央結合点へ引寄せる力を生じさせることができ、このことから大腿部が内旋される力を生じさせることができる。すると、この内旋される力に抗して着用者は自ら大腿部を外旋させようとするため、この外旋に伴い骨盤を適正な前傾した角度にするとともに骨盤の位置を適正な位置に移動し、上体を起こして背筋を伸ばす。この結果、身体のアラインメント、即ち、筋骨格系の重力方向への働きが適正な状態となり、体全体として良い姿勢をユーザ自らが形づくり、自らの身体をもってこの適正なアラインメントを習得することができる。このことにより、骨盤の向きが不適切であることに起因して膝に過度に負担がかかることを極力防止することができる。
【0027】
また、右足把持バンド部、左足把持バンド部のそれぞれの収縮力による右足、左足を中央結合点へ引寄せる力により、左右の足の親指の骨が床から浮き上がるような力が左右の足の親指の骨に作用する。すると、この浮き上がるような力に抗して着用者は自ら足の親指の骨を床に押し付けて踏込みをしっかりしようとする。このため、歩行しているとき又は走っているときに踏み込んでいる方の足とは反対の足を安定させることができ、歩いているときの姿勢や走っているときの姿勢を安定させることができる。更に、前述のように左右の足の親指の骨が床から浮き上がるような力が左右の足の親指の骨に作用すると、足の運動連鎖によって、膝よりも上の大腿部には当該大腿部が内旋させられるような力を作用させることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上より本発明は、バンドの部分が確実且つ容易に人体の所望の位置に配置可能な下半身部用衣類を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態による上半身部用衣類及び下半身部用衣類を示す正面図。
【図2】本発明の実施の形態による上半身部用衣類及び下半身部用衣類を示す背面図。
【図3】本実施の形態によるつなぎ型衣類を示す背面図。
【図4】本実施の形態によるつなぎ型衣類を示す正面図。
【図5】本発明の実施の形態による下半身部用衣類の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図。
【図6】本発明の実施の形態による下半身部用衣類の他の変形例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は背面図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態による上半身部用衣類及び下半身部用衣類について図1乃至図2に基づき説明する。上半身部用衣類1は、図1、図2に示されるように、上半身部用衣類本体部1Aと、右肩把持バンド部10と、左肩把持バンド部20と、第1連結バンド部15と(図2)、第2連結バンド部25(図2)とを備えている。上半身部用衣類本体部1Aは、袖なしの略ランニングシャツ形状をしており、図1に示されるように、上半身部用衣類本体部1Aを着用する着用者の丹田下方の丹田近傍部よりも上方の上半身部たる上半身の胴体部に着用可能である。上半身部用衣類本体部1Aを着用した着用者の丹田下方の丹田近傍部よりも上方の上半身部に対して、締付けない程度に密着するように構成されている。
【0031】
右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20、第1連結バンド部15、及び第2連結バンド部25は、それぞれ細長い帯状の、伸縮可能なバンドからなる。これらのバンドは、一方の面が全面で上半身部用衣類本体部1Aの外側の面に対向するようにして縫付けられており、それぞれ上半身部用衣類本体部1Aに対して移動不能とされている。
【0032】
右肩把持バンド部10の一端には、右肩把持バンド部10を構成するバンドの一部が大きなリング状とされて構成された右肩掛け部10Aが設けられている。より詳細には、右肩掛け部10Aは、右肩把持バンド部10を構成するバンドの一部が折り返され、その端部が右肩把持バンド部10を構成するバンドの他の部分に重ねられて構成されている。この重ねられた部分は後述のように着用者が上半身部用衣類1を着用したときに右わき腹に対向する位置に配置されるのであるが、この部分から丹田に近づくに従い、図1に示されるように、右肩把持バンド部10の幅が徐々に広くなっている右拡幅部10Bをなしている。右肩掛け部10Aは、後述のように着用者が上半身部用衣類1を着用したときに、そのリング状の部分に右腕が通されて、右肩を巻回し右肩に掛けられたように配置される。
【0033】
左肩把持バンド部20の一端には、左肩把持バンド部20を構成するバンドの一部が大きなリング状とされて構成された左肩掛け部20Aが設けられている。より詳細には、左肩掛け部20Aは、左肩把持バンド部20を構成するバンドの一部が折り返され、その端部が左肩把持バンド部20を構成するバンドの他の部分に重ねられて構成されている。この重ねられた部分は後述のように着用者が上半身部用衣類1を着用したときに左わき腹に対向する位置に配置されるのであるが、この部分から丹田に近づくに従い、図1に示されるように、左肩把持バンド部20の幅が徐々に広くなっている左拡幅部20Bをなしている。右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20の他端たる図1に示される右拡幅部10B、左拡幅部20Bの下端は、丹田に対向する位置に配置されて重ねられており、この位置で右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20は一点収束して互いに結合され上結合点1Cをなす。左肩掛け部20Aは、後述のように着用者が上半身部用衣類1を着用したときに、そのリング状の部分に左腕が通されて、左肩を巻回し右肩に掛けられたように配置される。
【0034】
右肩掛け部10Aと左肩掛け部20Aとの間には、図2に示されるように、両者の間を渡すようにして設けられた第1連結バンド部15と第2連結バンド部25とが設けられている。第1連結バンド部15、第2連結バンド部25も、伸縮可能なバンドにより構成されている。第1連結バンド部15の一端は、後述のように着用者が上半身部用衣類1を着用したときに、右肩胛骨下部から左肩胛骨下部へ向かった右肩胛骨下部近傍に位置し、この位置において右肩把持バンド部10に重ねられている。また、第1連結バンド部15の他端は、後述のように着用者が上半身部用衣類1を着用したときに、左肩胛骨下部から右肩胛骨下部へ向かった左肩胛骨下部近傍に位置し、この位置において左肩把持バンド部20に重ねられている。即ち、第1連結バンド部15は、右肩掛け部10Aの一端部を構成するリング状の右肩掛け部10Aの部分と、左肩掛け部20Aの一端部を構成するリング状の左肩掛け部20Aの部分とを連結している。
【0035】
第2連結バンド部25の一端は、後述のように着用者が上半身部用衣類1を着用したときに右下後鋸筋に対向配置されており、この位置において右肩把持バンド部10に重ねられている。また、第2連結バンド部25の他端は、後述のように着用者が上半身部用衣類1を着用したときに、左下後鋸筋に対向配置されており、この位置において左肩把持バンド部20に重ねられている。即ち、第2連結バンド部25は、第1連結バンド部15と同様に、右肩掛け部10Aの一端部を構成するリング状の右肩掛け部10Aの部分と、左肩掛け部20Aの一端部を構成するリング状の左肩掛け部20Aの部分とを連結している。
【0036】
下半身部用衣類2は、下半身部用衣類本体部2Aと、右足把持バンド部30と、左足把持バンド部40とを備えている。これらは細長い帯状の、伸縮可能なバンドからなる。これらのバンドは、一方の面が全面で上半身部用衣類本体部1Aの外側の面に対向するようにして縫付けられており、それぞれ下半身部用衣類本体部2Aに対して移動不能とされている。
【0037】
下半身部用衣類本体部2Aは略タイツ形状をしており、図1に示されるように、下半身部用衣類本体部2Aを着用する着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部に着用可能である。下半身部用衣類本体部2Aは両足裏の長手方向において、かかとからつま先寄りの所定の部分と、つま先からかかと寄りの所定の部分とがそれぞれカットされた形状になっており、かかとと、前足部のつま先寄りの部分たる前足部の前部は下半身部用衣類本体部2Aに覆われずに露出するように構成されている。下半身部用衣類本体部2Aは、下半身部用衣類本体部2Aを着用した着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部、すなわち、胴体下部、脚、及び足に対して、締付けない程度に密着するように構成されている。
【0038】
右足把持バンド部30の一端には、右足把持バンド部30を構成するバンドの一部がリング状とされて構成された右足掛け部30Aが設けられている。より詳細には、右足掛け部30Aは、右足把持バンド部30を構成するバンドの一部が折り返され、その端部が右足把持バンド部30を構成するバンドの他の部分に重ねられて構成されている。右足掛け部30Aは、着用者が下半身部用衣類2を着用することで、そのリング状の部分に右足先が通されて、右足首に最も近い位置で右足の甲から右足の裏にかけて巻回して掛けられたように配置される。
【0039】
左足把持バンド部40の一端には、左足把持バンド部40を構成するバンドの一部がリング状とされて構成された左足掛け部40Aが設けられている。より詳細には、左足掛け部40Aは、左足把持バンド部40を構成するバンドの一部が折り返され、その端部が左足把持バンド部40を構成するバンドの他の部分に重ねられて構成されている。左足掛け部40Aは、着用者が下半身部用衣類2を着用することで、そのリング状の部分に左足先が通されて、左足首に最も近い位置で左足の甲から左足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられる。
【0040】
右足把持バンド部30、左足把持バンド部40の他端たる図1に示される上端は、後述のように着用者が下半身部用衣類2を着用したときに、丹田に対向する位置に配置されて重ねられており、この位置で右足把持バンド部30、左足把持バンド部40は一点収束して互いに結合され下結合点2Cをなす。後述のように着用者が上半身部用衣類1及び下半身部用衣類2を着用したときに、上半身部用衣類1の下端部と下半身部用衣類2の上端部とは、図1、図2に示されるように着用者の上下方向において略10cm程度重なるように構成されており、このとき、上結合点1C及び下結合点2Cは一致して丹田に対向し、これらは中央結合点をなす。
【0041】
上半身部用衣類1の着用は、あたかもランニングシャツを着用するかのようにして行う。このことにより、右肩把持バンド部10の右肩掛け部10Aのリング状の部分に右腕が通されて、当該リング状の部分が右肩を巻回し右肩に掛けられたように配置される。このとき、右肩把持バンド部10の一端部たる右肩掛け部10Aのリング状の部分の一部が右前鋸筋、右下後鋸筋に対向すると共にリング状の部分と右肩把持バンド部10の他端部との間の中間部が右外腹斜筋に対向するように配置される。
【0042】
また、左肩把持バンド部20の左肩掛け部20Aのリング状の部分に左腕が通されて、当該リング状の部分が左肩を巻回し左肩に掛けられたように配置される。このとき、左肩把持バンド部20の一端部たる左肩掛け部20Aのリング状の部分の一部が左前鋸筋、左下後鋸筋に対向すると共にリング状の部分と左肩把持バンド部20の他端部との間の中間部が左外腹斜筋に対向するように配置される。
【0043】
また、第1連結バンド部15、第2連結バンド部25により、図2に示されるように背後に配置された右肩掛け部10A、左肩掛け部20Aの部分は互いに近接するように引き寄せられた位置関係とされ、左右の肩胛骨間の位置に配置される。このため、背後に配置された右肩掛け部10A、左肩掛け部20Aの部分が右肩胛骨、左肩胛骨に対向する位置に配置されることを避けることができ、上半身部用衣類1をより快適に着用することができる。
【0044】
また、着用者の丹田下方の丹田近傍部よりも上方の上半身部に密着するように構成された上半身部用衣類本体部1Aを有し、上半身部用衣類本体部1Aには、伸縮可能なバンドからなる右肩把持バンド部10と、伸縮可能なバンドからなる左肩把持バンド部20と、伸縮可能なバンドからなる第1連結バンド部15と、伸縮可能なバンドからなる第2連結バンド部25とが、それぞれ上半身部用衣類本体部1Aに対して移動不能に設けられているため、あたかも一般的なランニングシャツ等を着用するようにして上半身部用衣類本体部1Aを着用することで、上半身部用衣類1の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、前述のように右肩把持バンド部10を、一端部が右前鋸筋、右下後鋸筋に対向し且つ右肩に掛けられるように確実に配置すると共に一端部と他端部との間の中間部が右外腹斜筋に対向するように確実に配置することができ、また、前述のように左肩把持バンド部20を、一端部が左前鋸筋、左下後鋸筋に対向し且つ左肩に掛けられるように確実に配置すると共に一端部と他端部との間の中間部が左外腹斜筋に対向するように確実に配置することができる。
【0045】
同様に、前述のように第1連結バンド部15を、右肩胛骨下部近傍に位置する右肩把持バンド部10の一端の部分と左肩胛骨下部近傍に位置する左肩把持バンド部20の一端の部分とを連結するように確実に配置することができ、前述のように第2連結バンド部25を、右下後鋸筋に対向配置される右肩把持バンド部10の一端の部分と左下後鋸筋に対向配置される左肩把持バンド部20の一端の部分とを連結するように確実に配置することができる。
【0046】
このため、上半身部用衣類1の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、快適な着用感で、前鋸筋と外腹斜筋とを補助することができ、この結果着用者は上体を起こして上体を前に出すことができる。このことで体重を前方へ移動させることができ、着用者が立っている姿勢のときには、床を足でしっかり踏みしめることができる。
【0047】
また一般に、右前鋸筋と左前鋸筋とはアンバランスになっていることが多く、同様に右外腹斜筋と左外腹斜筋とはアンバランスになっていることが多いのであるが、右肩把持バンド部10及び左肩把持バンド部20のそれぞれの収縮力を等しくして右肩及び左肩を上結合点1Cへ均等に引寄せるようにすることにより、これらアンバランスになっている筋肉を左右均等にすることができる。
【0048】
また、右肩把持バンド部10及び左肩把持バンド部20のそれぞれの収縮力により右肩及び左肩を上結合点1Cへ引寄せるため、着用者は、この引寄せる力に抗して胸を広げようとする。これらのことから、身体の運動システムをより正常化へ導くことが可能となるため、胸郭、腹部の呼吸運動の向上を図ることができ、ヒトの基本的な運動である呼吸運動を適切に行えるよう変化させることができる。
【0049】
下半身部用衣類2の着用は、あたかもタイツを着用するかのようにして行う。このことにより、右足把持バンド部30の右足掛け部30Aの一端部たるリング状の部分に右足先が通されて、当該リング状の部分が右足首に最も近い位置で右足の甲から右足の裏にかけて巻回して掛けられたように配置される。このとき、右足把持バンド部30は、下結合点2Cから、右太股の前側、右脚の外側、右脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、右脚の内側、右脚のふくらはぎ、及び右脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置される。
【0050】
また、左足把持バンド部40の左足掛け部40Aの一端部たるリング状の部分に左足先が通されて、当該リング状の部分が左足首に最も近い位置で左足の甲から左足の裏にかけて巻回して掛けられたように配置される。このとき、左足把持バンド部40は、下結合点2Cから、左太股の前側、左足の外側、左足の膝の裏側にある大腿三頭筋、左脚の内側、左脚のふくらはぎ、及び左脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置される。
【0051】
即ち、着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部に密着するように構成された下半身部用衣類本体部2Aを有し、下半身部用衣類本体部2Aには、伸縮可能なバンドからなる右足把持バンド部30と、伸縮可能なバンドからなる左足把持バンド部40とが、それぞれ下半身部用衣類本体部2Aに対して移動不能に設けられているため、一般的なタイツ等を着用するようにして下半身部用衣類本体部2Aを着用することで、下半身部用衣類2の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、右足把持バンド部30を、下結合点2Cから、右太股の前側、右脚の外側、右脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、右脚の内側、右脚のふくらはぎ、及び右脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように確実に配置し、右足把持バンド部30の一端は、足首に最も近い位置で足の甲から足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように確実に配置することができる。
【0052】
同様に、一般的なタイツ等を着用するようにして下半身部用衣類本体部2Aを着用することで、下半身部用衣類2の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、下半身部用衣類本体部2Aを着用しているときに左足把持バンド部40を、下結合点2Cから、左太股の前側、左脚の外側、左脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、左脚の内側、左脚のふくらはぎ、及び左脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように確実に配置することができ、左足把持バンド部40の一端は、足首に最も近い位置で足の甲から足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように確実に配置することができる。
【0053】
このため、下半身部用衣類2の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、右足把持バンド部30、左足把持バンド部40のそれぞれの収縮力により右足、左足を中央結合点へ引寄せる力を生じさせることができ、このことから大腿部が内旋される力を生じさせることができる。すると、この内旋される力に抗して着用者は自ら大腿部を外旋させようとするため、この外旋に伴い骨盤を適正な前傾した角度にするとともに骨盤の位置を適正な位置に移動し、上体を起こして背筋を伸ばす。この結果、身体のアラインメント、即ち、筋骨格系の重力方向への働きが適正な状態となり、体全体として良い姿勢をユーザ自らが形づくり、自らの身体をもってこの適正なアラインメントを習得することができる。このことにより、骨盤の向きが不適切であることに起因して膝に過度に負担がかかることを極力防止することができる。ここで、外旋とは右大腿部がその軸心を中心として時計回り方向へ回転させられると同時に左大腿部がその軸心を中心として反時計回り方向へ回転させられ更に右大腿部と左大腿部とが互いに離間することをいう。逆に内旋とは、右大腿部がその軸心を中心として反時計回り方向へ回転させられると同時に左大腿部がその軸心を中心として時計回り方向へ回転させられ更に右大腿部と左大腿部とが互いに接近することをいう。
【0054】
また、右足把持バンド部30、左足把持バンド部40のそれぞれの収縮力による右足、左足を中央結合点へ引寄せる力により、左右の足の親指の骨が床から浮き上がるような力が左右の足の親指の骨に作用する。すると、この浮き上がるような力に抗して着用者は自ら足の親指の骨を床に押し付けて踏込みをしっかりしようとする。このため、歩行しているとき又は走っているときに踏み込んでいる方の足とは反対の足を安定させることができ、歩いているときの姿勢や走っているときの姿勢を安定させることができる。
【0055】
次に、本実施の形態によるつなぎ型衣類3について図3に基づき説明する。つなぎ型衣類3は、より具体的には、前述の上半身部用衣類1と下半身部用衣類2とを一体に繋ぎ合わせてつなぎ型としたものであり、上半身部用衣類1の右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20、第1連結バンド部15、第2連結バンド部25、及び、下半身部用衣類2の右足把持バンド部30、左足把持バンド部40と同一の右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20、第1連結バンド部15、第2連結バンド部25、下半身部用衣類2の右足把持バンド部30、左足把持バンド部40を有している。これらのバンド部は一方の面が全面で、上半身部用衣類本体部1Aと下半身部用衣類本体部2Aとが一体に繋ぎ合わせて構成されたつなぎ型衣類本体部3Aの内側の面に対向するようにして縫付けられており、それぞれつなぎ型衣類本体部3Aに対して移動不能とされている。
【0056】
右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20の一点収束されて互いに結合された上結合点1C(図1)の部分と、右足把持バンド部30、左足把持バンド部40の一点収束されて互いに結合された下結合点2C(図1)の部分とは、丹田に対向する位置において重ね合わされて中央結合点をなす。
【0057】
また、胸に対向するつなぎ型衣類3の部分には、図4に示されるように、つなぎ型衣類本体部3Aの首の付け根に対向する位置から略剣状突起に対向する位置に渡ってファスナー3Bが設けられている。ファスナー3Bを開いた状態としてつなぎ型衣類3を容易に着用したり脱いだりすることができるように構成されている。
【0058】
つなぎ型衣類3を着用することで、つなぎ型衣類3の着用者が体を動かしているときであっても動かしていないときであっても常に位置ずれすることなく、右肩把持バンド部10を、一端部が右前鋸筋、右下後鋸筋に対向し且つ右肩に掛けられるように確実に配置すると共に一端部と他端部との間の中間部が右外腹斜筋に対向するように確実に配置することができ、また、左肩把持バンド部20を、一端部が左前鋸筋、左下後鋸筋に対向し且つ左肩に掛けられるように確実に配置すると共に一端部と他端部との間の中間部が左外腹斜筋に対向するように確実に配置することができ、第1連結バンド部15を、右肩胛骨下部近傍に位置する右肩把持バンド部10の一端の部分と左肩胛骨下部近傍に位置する左肩把持バンド部20の一端の部分とを連結するように確実に配置することができ、第2連結バンド部25を、右下後鋸筋に対向配置される右肩把持バンド部10の一端の部分と左下後鋸筋に対向配置される左肩把持バンド部20の一端の部分とを連結するように確実に配置することができる。
【0059】
またこれと同時に、右足把持バンド部30を、下結合点2Cから、右太股の前側、右脚の外側、右脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、右脚の内側、右脚のふくらはぎ、及び右脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように確実に配置し、右足把持バンド部30の一端は、足首に最も近い位置で足の甲から足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように確実に配置することができ、同様に、左足把持バンド部40を、下結合点2Cから、左太股の前側、左脚の外側、左脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、左脚の内側、左脚のふくらはぎ、及び左脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように確実に配置し、左足把持バンド部40の一端は、足首に最も近い位置で足の甲から足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように確実に配置することができる。
【0060】
このため、前述した上半身部用衣類1、下半身部用衣類2と同様の効果を発揮することができる。即ち、右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20、右足把持バンド部30、左足把持バンド部40のそれぞれの収縮力により右肩、左肩、右足、左足を中央結合点へ引寄せる力が生じるため、ユーザは、この力に抗して背筋を伸ばそうとして骨盤を適正な前傾した角度にするとともに骨盤の位置を適正な位置に移動し、上体を起こして背筋を伸ばす。この結果、身体のアラインメント、即ち、筋骨格系の重力方向への働きが適正な状態となり、体全体として良い姿勢をユーザ自らが形づくり、自らの身体をもってこの適正なアラインメントを習得することができる。このことにより、前述のように骨盤の向きが不適切であることに起因して膝に過度に負担がかかることを極力防止することができる。
【0061】
また、右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20、第1連結バンド部15、及び第2連結バンド部25が腹筋群をサポートすることにより脊柱起立筋群の余計な収縮活動を抑制することが可能になり、脊柱の可動性を向上させ、脊柱の本来持っている能力を引き出すことができる。また、膝関節の負担を減らすことができ、腰痛、膝関節痛、肩関節痛等の四肢体幹の関節痛の軽減及び予防をすることができる。また、立ちしゃがみ動作や階段昇降などの動作を理想的な筋肉の使用状態で行うことができる。
【0062】
また、身体の運動システムをより正常化へ導くことが可能となるため、前述のように、胸郭、腹部の呼吸運動の向上を図ることができ、ヒトの基本的な運動である呼吸運動を適切に行えるよう変化させることができる。このため、適正な姿勢でより持続的な歩行が可能となる。
【0063】
上半身部用衣類、下半身部用衣類、及びつなぎ型衣類は上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20部、第1連結バンド部15、第2連結バンド部25、右足把持バンド部30、左足把持バンド部40は、上半身部用衣類本体部1A、又は下半身部用衣類本体部2A、又はつなぎ型衣類本体部3Aの外側の面に対向するようにして縫付けられていたが、外側の面ではなく内側の面に縫付けられていてもよい。また、縫付けに限定されず、これらのバンド部を上半身部用衣類本体部、又は下半身部用衣類本体部、又はつなぎ型衣類本体部に対して移動不能に固定できればよい。
【0064】
また、これらバンド部を構成するバンドを上半身部用衣類本体部1A、又は下半身部用衣類本体部2A、又はつなぎ型衣類本体部3Aに固定する構成に限定されない。例えば、上半身部用衣類本体部、又は下半身部用衣類本体部、又はつなぎ型衣類本体部の一部を伸縮可能な素材としてバンド部として構成し、当該バンド部と、上半身部用衣類本体部、又は下半身部用衣類本体部、又はつなぎ型衣類本体部とを一体で構成してもよい。
【0065】
また、上半身部用衣類本体部1Aは袖なしの略ランニングシャツ形状をしていたが、これに限定されず、例えば、半袖シャツ形状や長袖シャツ形状等であってもよい。同様に、下半身部用衣類本体部2Aは略タイツ形状をしていたが、これに限定されず、また、つなぎ型衣類本体部3Aの形状は本実施の形態の形状に限定されない。
【0066】
また、右足把持バンド部30、左足把持バンド部40の一端は、右足把持バンド部30、左足把持バンド部40を構成するバンドの一部がリング状とされて構成された右足掛け部30A、左足掛け部40Aが設けられていたが、右足掛け部30A、左足掛け部40Aの構成は本実施のものに限定されない。
【0067】
即ち、右足掛け部30Aは、右足把持バンド部30を構成するバンドの一部が折り返され、右足把持バンド部30を構成するバンドの他の部分に重ねられて構成されていたが、このような構成とせずに、例えば、足の裏側のバンドの部分と、足の甲よりも体の上方に位置する右足掛け部30Aの一部を構成するバンドの部分とを別体として、これらを互いに接続した状態としてリング状とし、そして、下半身部用衣類本体部又はつなぎ型衣類本体部に移動不能に固定してもよい。
【0068】
また、上半身部用衣類1の上結合点1Cと下半身部用衣類2の下結合点2Cとを常に高い精度で一致させておくために、上半身部用衣類1の上結合点1Cの部分に例えばホックを設け、下半身部用衣類2の下結合点2Cの部分に例えば当該ホックが係合可能なホック係合部を設けて、上半身部用衣類1と下半身部用衣類2とを着用したときに、ホックをホック係合部に係合させるようにしてもよい。
【0069】
また、下半身部用衣類本体部2Aは、両足裏の長手方向において、かかとからつま先寄りの所定の部分と、つま先からかかと寄りの所定の部分はカットされた形状になっており、かかとと、前即部前方から足の指にかけての部分は露出するように構成されていたが、この形状に限定されない。
【0070】
また、右足把持バンド部30、左足把持バンド部40の長さを、本実施の形態のものよりもずっと短くして、右足掛け部30A、左足掛け部40Aを右脚、左足の太股の付け根に掛かるように配置するようにしてもよい。この場合でも、中央結合点が体の重心の位置である丹田に対向する場所に位置するようにする必要がある。この場合には、右足把持バンド部30、左足把持バンド部40を構成するバンドに、右肩把持バンド部10、左肩把持バンド部20を構成するバンドよりも遙かにテンションの高いものを用いればよい。
【0071】
また、遙かにテンションの高いものを用いない場合には、右外旋誘導補助バンド部及び左外旋誘導補助バンド部、を設ければよい。より具体的には、図5に示されるように、下半身部用衣類本体部50の形状はスパッツ形状をなして膝上までの構成となっており、右足把持バンド部31の後述する一端に対する他端は下結合点2Cに配置される。そして右足把持バンド部31は、下結合点2Cから、右太股の前側、右膝よりも少し上の右脚の外側にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、その一端が右膝よりも少し上の右脚の外側に位置する。左足把持バンド部41の後述する一端に対する他端は下結合点2Cに配置される。そして左足把持バンド部41は、下結合点2Cから、左太股の前側、左膝よりも少し上の左脚の外側にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、その一端が左膝よりも少し上の右脚の外側に位置する。
【0072】
右外旋誘導補助バンド部51、左外旋誘導補助バンド部52は、右足把持バンド部31、左足把持バンド部41と同様にそれぞれ細長い帯状をなし、伸縮可能なバンドからなり、一方の面が全面で下半身部用衣類本体部50の外側の面に対向するようにして縫付けられており、それぞれ上半身部用衣類本体部50に対して移動不能とされている。
【0073】
右外旋誘導補助バンド部51は、その一端が下結合点2Cにおいて右足把持バンド部31に重ねられ、右大腿部前部、右大腿部とお尻との接続位置、右大腿部の内側にこの順で対向するように螺旋状に配置され、更に右大腿部の周方向へ右大腿部を1周巻回するように、当該右大腿部の内側から右大腿部の前部を通り右大腿部の外側へ延出し右大腿部の後部を通り当該右大腿部の内側において右外旋誘導補助バンド部51の中間の部分に右外旋誘導補助バンド51部の他端が重ねられている。
【0074】
左外旋誘導補助バンド部52は、その一端が下結合点2Cにおいて左足把持バンド部41に重ねられ、左大腿部前部、左大腿部とお尻との接続位置、左大腿部の内側にこの順で対向するように螺旋状に配置され、更に左大腿部の周方向へ左大腿部を1周巻回するように、当該左大腿部の内側から左大腿部の前部を通り左大腿部の外側へ延出し左大腿部の後部を通り当該左大腿部の内側において左外旋誘導補助バンド部52の中間の部分に左外旋誘導補助バンド部52の他端が重ねられている。
【0075】
この構成により、お尻の下部を上方へ引き上げるように支持することができ、股関節の外旋の誘導促進作用をより強くすることができる。このため、本実施の形態のように右足把持バンド部31の一端を、足首に最も近い位置で足の甲から足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように配置せず、また、左足把持バンド部41の一端を、足首に最も近い位置で足の甲から足の裏にかけて巻回したような状態で掛けられるように配置しなくても、外旋の誘導促進作用を十分に発揮することができる。
【0076】
さらに、下半身部用衣類本体部の形状はスパッツ形状ではなく、図6に示されるように、下半身部用衣類本体部60は本実施の形態における下半身部用衣類本体部2Aの足首よりも下の部分を除去した形状としてもよい。この場合には、図6に示されるように、右足把持バンド部32の一端に対する他端は下結合点2Cに位置し、右足把持バンド部32は、下結合点2Cから、右太股の前側、右脚の外側、右脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、右脚の内側、右脚のふくらはぎ、及び右脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、その一端が右脚の内側のくるぶしのすぐ上に配置される。また、左足把持バンド部42の一端に対する他端は下結合点2Cに位置し、左足把持バンド部42は、下結合点2Cから、左太股の前側、左脚の外側、左脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、左脚の内側、左脚のふくらはぎ、及び左脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、その一端は左脚の内側のくるぶしのすぐ上に配置される。また、右外旋誘導補助バンド部51、左外旋誘導補助バンド部52が設けられていることについては、スパッツ形状の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、人の姿勢の改善を行う分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 上半身部用衣類本体部
1A 上半身部用衣類本体部
1C 上結合点
2 下半身部用衣類本体部
2A 下半身部用衣類本体部
2C 下結合点
3 つなぎ型衣類
3A つなぎ型衣類本体部
10 右肩把持バンド部
15 第1連結バンド部
20 左肩把持バンド部
25 第2連結バンド部
30 足把持バンド部
40 左足把持バンド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部に着用可能であり該着用者の丹田上方の丹田近傍部よりも下方の下半身部に密着するように構成された下半身部用衣類本体部を有し、
該下半身部用衣類本体部には、伸縮可能なバンド部からなり該下半身部用衣類本体部を着用したときに一端が右足又は右脚に配置される右足把持バンド部と、伸縮可能なバンド部からなり該下半身部用衣類本体部を着用したときに一端が左足又は左脚に配置される左足把持バンド部とが、それぞれ該下半身部用衣類本体部に対して移動不能に設けられ、
該右足把持バンド部の他端及び該左足把持バンド部の他端は人体の前方であって丹田に対向する場所において一点収束して互いに結合され下結合点をなし、
該右足把持バンド部は、該下結合点から、右太股の前側、右脚の外側にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、
該左足把持バンド部は、該下結合点から、左太股の前側、左脚の外側にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、
該下半身部用衣類本体部には、伸縮可能なバンド部からなる右外旋誘導補助バンド部と、伸縮可能なバンド部からなる左外旋誘導補助バンド部とが、それぞれ該下半身部用衣類本体部に対して移動不能に設けられ、
該右外旋誘導補助バンド部は、その一端が該下結合点において該右足把持バンド部に重ねられ、右大腿部前部、右大腿部とお尻との接続位置、右大腿部の内側にこの順で対向するように螺旋状に配置され、更に右大腿部の周方向へ右大腿部を1周巻回するように、当該右大腿部の内側から右大腿部の前部を通り右大腿部の外側へ延出し右大腿部の後部を通り当該右大腿部の内側において該右外旋誘導補助バンド部の中間の部分に該右外旋誘導補助バンド部の他端が重ねられ、
該左外旋誘導補助バンド部は、その一端が該下結合点において該左足把持バンド部に重ねられ、左大腿部前部、左大腿部とお尻との接続位置、左大腿部の内側にこの順で対向するように螺旋状に配置され、更に左大腿部の周方向へ左大腿部を1周巻回するように、当該左大腿部の内側から左大腿部の前部を通り左大腿部の外側へ延出し左大腿部の後部を通り当該左大腿部の内側において該左外旋誘導補助バンド部の一部に該左外旋誘導補助バンド部の他端が重ねられ、
該右足把持バンド部及び、該左足把持バンド部のそれぞれの収縮力により右脚及び左脚を該下結合点へ引寄せることを特徴とする下半身部用衣類。
【請求項2】
該右足把持バンド部は、該下結合点から、右太股の前側、右脚の外側、右脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、右脚の内側、右脚のふくらはぎ、及び右脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置され、
該左足把持バンド部は、該下結合点から、左太股の前側、左脚の外側、左脚の膝の裏側にある大腿三頭筋、左脚の内側、左脚のふくらはぎ、及び左脚の内側のくるぶしのすぐ上にこの順で対向するように螺旋状に巻回されるように配置されていることを特徴とする請求項1記載の下半身部用衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−101107(P2012−101107A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1985(P2012−1985)
【出願日】平成24年1月10日(2012.1.10)
【分割の表示】特願2009−536498(P2009−536498)の分割
【原出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(500262898)インターリハ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】