説明

下死点位置補正制御手段を備えたプレス機械

【課題】プレス速度の変化・安定状態に拘わらずに安定した位置補正制御を行なえるようにする。
【解決手段】実際のプレス速度状態を判別する速度状態判別手段と、制御用複数サイクル数設定手段と、プレス速度が変化状態である場合に単サイクル毎制御モードを選択しかつ安定状態である場合には設定複数サイクル毎制御モードを選択するモード選択制御手段とを設け、下死点位置補正制御手段が、単サイクル毎制御モードの場合はプレスサイクル毎に位置補正制御を実行可能でかつ設定複数サイクル数毎制御モードの場合には設定された制御用サイクル数毎に補正制御を実行可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下死点位置補正制御手段を用いて調節モータを回転制御しつつ、スライドの実際下死点位置を目標下死点位置に合せるように位置補正可能に形成されたプレス機械に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械では、スライド下面(上金型)とボルスタ上面(下金型)との相対距離(ダイハイト)の一定化が重要である。ダイハイトの変化は、製品精度の優劣に直結するからである。
【0003】
しかし、プレス構造、各機械的部品の摩擦熱による熱変形(伸縮)や、プレス速度の高低等に起因するスライド位置の変化が生じるので、一旦設定したダイハイトを常に一定に維持したまま継続してプレス運転することは難しい。
【0004】
そこで、下死点位置補正制御手段を設け、目標値(目標下死点位置データ)およびフィードバック値(プレス運転中に検出された下死点位置データ)のそれぞれに対応する両電気信号を利用して調節モータの回転制御を行ないつつ、スライドの実際の下死点位置(実際下死点位置)を目標とする下死点位置(目標下死点位置)に合せるように位置補正(ダイハイト一定化)する場合が多い。
【0005】
ところで、プレス速度が安定状態であるときは、特に、上記したプレス速度変化に起因するスライド位置の変化量は微小である。したがって、位置補正制御開始前においてダイハイトがほぼ一定に維持されていたとしても、位置補正制御開始後に積極的にプラス位置補正制御とマイナス位置補正制御とが繰り返される事態が起こり得る。すなわち、あたかも機械的な外乱によりダイハイトが変化した場合と同様な事態が生じる。かかる事態は、プレスサイクル毎に位置補正制御する方式では制御不安定となりがちで、プレス速度が高速になればなるほどハンチング現象や制御不能となる虞が強い。
【0006】
そこで、従来の下死点位置補正制御手段(例えば、特許文献1を参照)では、ハンチング現象の軽減を期するために、スライド下死点位置を比較的に幅広の所定範囲内に追い込む制御方式を採りつつ補正不要範囲(不感帯)を導入している。しかも、制御不調に備え、所定の範囲を外れた場合にはアラームを発し作業員の介入(手作業)を促すように形成されている。
【0007】
すなわち、従来の下死点位置補正制御手段は、プレス速度が設定速度(例えば、60SPM)に到達した後(プレス運転中)に、つまりプレス速度が安定状態(設定速度一定のプレス運転)であることを前提として、プレスサイクル毎に位置補正制御を実行するものとされている。換言すれば、停止状態から設定速度への加速中や設定速度から停止までの減速中は、プレス製品を生産しないので、位置補正制御は必要ないとする考え方である。
【0008】
なお、前回プレス停止時から今回プレス開始時までの停止期間中に発生するダイハイト変化分を調整する考え方がある。つまり、プレス運転中の位置補正制御は難しので、プレス運転開始前にその変化分を事前調整可能に形成された装置については多数提案(例えば、特許文献2、3、4)されている。
【特許文献1】特開昭60−141399号公報
【特許文献2】特開昭63−299899号公報
【特許文献3】特開平2−80200号公報
【特許文献4】特開平5−8098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、高速(例えば、200乃至800SPM以上)のプレス機械では、その導入主旨との整合性の点からも、低速スタート(例えば、200SPM)から設定速度(例えば、800SPM)に到達するまでの立上り期間中および設定速度から停止に至る立下り期間中においても、プレス製品を生産したいとの要請がある。長期間(例えば、各30秒以上)に亘りプレス速度が変化状態にある大型高速プレス機械の場合は、その要請が極めて強い。
【0010】
しかしながら、従来例(下死点位置補正制御手段)では想定外とされ、その要請に応えることはできない。つまり、従来例では、大型高速プレス機械に関してその様な発想がなく、機械的、電気的、制御的にプレス速度の変化状態において位置補正制御可能には構築されていないからである。
【0011】
また、プレス速度の安定状態において、従来プレス機械のプレス速度(例えば、60SPM)に比較して高速プレス機械のプレス速度は非常に高い。つまり、サイクル時間が非常に短い。よって、安定した位置補正制御を可能とするためには、従来に無い発想が必要と認識する。
【0012】
本発明の目的は、プレス速度の変化状態および安定状態に拘わらずに安定した位置補正制御を行なえかつ高精度プレス製品を円滑かつ能率よく生産することができる下死点位置補正制御手段を備えたプレス機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明は、プレス速度の変化状態には一方向変化(加速または減速)と双方向繰返し変化(プラス・マイナスの交互変化)とがあること、一方向変化に対してはサイクル毎の位置補正制御が極めて有効である実験則を得たこと、プレス速度の安定状態ではサイクル毎の位置補正制御を実行するとハンチング現象が一段と生じ易いこと、この現象はプレス速度が高速となればなる程に顕著であること、等の高速プレスの固有的な技術的事項に着目し、創生されたものである。
【0014】
すなわち、請求項1の発明に係るプレス機械は、目標下死点位置データとプレス運転中に検出された下死点位置データとを利用して調節モータを回転制御しつつスライドの実際下死点位置を目標下死点位置に合せるように位置補正する下死点位置補正制御手段を備えたプレス機械において、実際のプレス速度状態が変化状態および安定状態のいずれであるかを判別する速度状態判別手段と、制御用の複数のサイクル数を設定するための制御用サイクル数設定手段と、速度状態判別手段によってプレス速度が変化状態であると判別された場合に単サイクル毎制御モードを選択し、安定状態であると判別された場合には設定複数サイクル毎制御モードを選択するモード選択制御手段とを設け、下死点位置補正制御手段が、単サイクル毎制御モードが選択された場合にはプレスサイクル毎に位置補正制御を実行可能でかつ設定複数サイクル毎制御モードが選択された場合には制御用サイクル数設定手段を用いて設定された複数サイクル毎に位置補正制御を実行可能に形成されている、ことを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の場合と同様なプレス機械において、単サイクル毎制御モードにおける下死点位置データが前回単サイクル中に検出された下死点位置とされ、設定複数サイクル毎制御モードにおける検出下死点位置データが設定された複数サイクル分の検出下死点位置を用いて算出された平均値とされている。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項2の場合と同様なプレス機械において、平均値算出用サイクル数設定手段が、制御用サイクル数設定手段を兼用して構築されかつ平均値算出用サイクル数が制御用サイクル数と等しい値として設定可能に形成されている。
【0017】
さらに、請求項4の発明は、トルクセンサーで検出された調節モータのトルクが設定トルク以上である場合に、トルク制限制御手段が、下死点位置補正制御手段による位置補正制御に優先してトルク制限制御を実行可能に形成されている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、プレス速度の変化状態および安定状態に拘わらずに安定した位置補正制御を行なえかつプレス運転中の下死点変化を最小限に抑制できるとともに、高精度プレス製品を円滑かつ能率よく生産することができる。
【0019】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の場合と同様な効果を奏することができることに加え、さらにプレス速度の変化状態での制御応答性を担保できかつ安定状態での制御安定性を一段と向上できる。また、請求項3の発明によれば、請求項2の発明の場合と同様な効果を奏することができることに加え、さらに具体的運用に際し取り扱いが一段と簡単である。
【0020】
請求項4の発明によれば、請求項1〜3の各発明の場合と同様な効果を奏することができることに加え、さらにプレス荷重による機械的拘束を受けての過負荷を未然に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本プレス機械は、下死点位置補正制御手段(51,53)を具備しかつ図1〜図4に示す如く、速度状態判別手段(51,53)と制御用サイクル数設定手段(57)とモード選択制御手段(51,53)とを設け、下死点位置補正制御手段(51,53)が、モード選択制御手段によって単サイクル毎制御モードが選択された場合にはプレスサイクル毎に位置補正制御を実行可能でかつ設定複数サイクル毎制御モードが選択された場合には制御用サイクル数設定手段を用いて設定された複数サイクル(Ncc)毎に位置補正制御を実行可能に形成されている。
【0023】
確認的に、下死点位置補正制御手段は、プレス機械のスライドの目標下死点位置(データ)とプレス運転中に検出された下死点位置(データ)とを利用して調節モータを回転制御しつつスライドの実際下死点位置を目標下死点位置に合せるように位置補正制御する手段である。
【0024】
図1において、プレス機械10の本体は、上方のクラウン11、下方のベッド18およびこれらを一体的に連結する平面四隅に配設されたコラム12からなる。これらコラム12に上下動可能に案内されたスライド15は、スライド駆動機構20によって上下動(昇降)される。上型(図示省略)はスライド15に装着され、下型(図示省略)はベッド18上のボルスタ17に装着されている。上型と下型の上下方向の相対位置、つまりはスライド15の下面とボルスタ17の上面との距離がダイハイトと呼称される。ダイハイトを一定に維持することが、プレス製品の精度(品質)を保持するための必須条件である。
【0025】
スライド駆動機構20は、クラウン11内に配設されたクランク機構(クランク軸、コンロッドを含む。)21から構成されており、クランク軸22に直接または間接的(減速機を介する。)に連結された駆動モータ23の回転により1対の駆動軸(上部駆動軸27および下部駆動軸28)を同期して上下動させることで、スライド15を昇降駆動することができる。
【0026】
駆動モータ23は、ドライバ24からの駆動用信号により回転駆動される。この駆動用信号は、タッチパネル57を用いて設定されたプレス速度(SPM)に相応する信号、つまり制御部51から入出力部55を介してドライバ24に入力されたプレス速度指令信号に対応するものである。なお、ドライバ24に入力されるフィードバック信号に関しては図示省略した。
【0027】
スライド15の昇降範囲は、クランク機構21の上死点位置から下死点位置である(図5を参照)。駆動モータ23は、この実施の形態では、例えば上死点位置に停止された状態から設定プレス速度(例えば、800SPM)まで所定の加速時間(例えば、150秒)で立上げることができる。減速時間もほぼ同じ(150秒)である。
【0028】
クランク軸22の他端軸部22Aには、クランク軸22の回転角度を検出するエンコーダ25が設けられている。このエンコーダ25の検出回転角度を信号処理することで、プレス速度(SPM)やスライド15の現在の上下方向位置(下死点位置等)を検出することができる。
【0029】
なお、プレス機械10としては、構造・構成上、特に限定されない。また、スライド駆動機構としては、この実施の形態におけるクランク機構21に限らず、プレス速度が高速になる程にスライド15の下死点位置の変動量(突っ込み量)が大きくなる傾向にある他の構造・構成(例えば、偏心駆動機構、リンク駆動機構あるいはねじ駆動機構等)であっても、本発明はこの実施形態の場合と同様に実施することができる。
【0030】
かかる他の構造・構成を採用する場合、クランク機構21で言う上死点位置および下死点位置は、この特許請求の範囲および明細書等においてはスライド15の最上位置および最下位置と読み替えるものとする。
【0031】
次に、スライド位置調節機構30は、クラウン11内に配置された機構部(ウオームホイール,スプライン構造部等を含む。)31からなり、調節モータ33を駆動してウオームねじ軸32を回転させることで、上部駆動軸27と下部駆動軸28との上下方向相対位置(つまり、スライド15の下面)を調節することができる。
【0032】
すなわち、クランク機構21による駆動軸(上部駆動軸27と下部駆動軸28が一体として取り扱う。)の上下動中においても、スライド位置調節機構30によって上部駆動軸27に対する下部駆動軸28の上下方向の相対位置を変化させ、クランク機構21に依存するスライド位置に機構部31による調節量分を加減することができる。
【0033】
調節モータ33は、この実施の形態では三相交流サーボモータとされ、位置制御部34から出力される駆動制御用信号により回転制御される。この駆動制御用信号は、タッチパネル57を用いて設定されかつ入出力部55を介して入力された目標下死点位置データ(目標値)と、エンコーダ25で検出された下死点位置データ(フィードバック値)と、を利用して得た偏差信号に相応するものとして生成出力される。
【0034】
また、駆動制御用信号は、サーボモータ(33)の各相用駆動電流信号であり、実質的にはトルク指令信号である。位置制御部34に付帯されたトルクセンサー35は、このサーボモータ(33)の負荷(トルク)を検出するものである。検出方法は、光電方式、磁気方式等がある。
【0035】
位置検出部60は、スライド15に取付けられたスケール部材62と、このスケール部材62との上下方向の相対位置関係からスライド(下面)15の位置を検出可能な位置センサー61と、検出したスライド位置を読取る読取回路64と、エンコーダ25で検出されたクランク角度信号から読取用のタイミング信号を生成出力するタイミングスイッチ回路65とからなる。
【0036】
なお、スケール部材62、位置センサー61および読取回路64を各1対設け、スライド15の前後方向(図1で左右方向)の微妙な傾きが存在した場合でも、その平均値を求めることで精度、信頼性の一層の向上を期する。もっとも、スライド15とコラム12とのガイド構造や剛性等々によっては、必ずしも1対を設けなくても、片側や中央に1つ設けることでも実施することができる。
【0037】
タイミングスイッチ回路65において、例えば、クランク角度を180度に設定しておけば読取回路64でスライド15の下死点位置を読取る(検出する)ことができる(図3のST30でYES、ST31)。サイクル毎(毎回)の読取(検出)下死点位置は、メモリ部53に記憶(ST32)される。
【0038】
詳細後記の単サイクル毎制御モードMtが選択されている場合(ST33でNO)は、当該サイクルにおいて読取った下死点位置は、メモリ部53の制御用下死点位置記憶エリアに今回読取下死点位置として記憶(ST36)される。因みに、この今回読取下死点位置は、図2のST15では前回読取下死点位置(制御用下死点位置データ)として取り扱われる。
【0039】
また、詳細後記の設定複数サイクル毎制御モードMfが選択されている場合(図3のST33でYES)には、平均値算出制御手段(51,53)が、それまでに記憶(ST32)された設定サイクル数(Nac)分のサイクル毎読取下死点位置(今回読取下死点位置を含む。)の平均値を算出する(ST34)。このようにして算出された今回算出平均値は、メモリ部53の制御用下死点位置記憶エリアに記憶される(ST35)。因みに、今回算出平均値は、図2のST17では前回算出平均値(制御用下死点位置データ)として取り扱われる。
【0040】
図1において、駆動制御装置50は、CPU,クロック回路等を含む制御部51と、揮発性メモリ(RAM等)や不揮発性メモリ(ROM,HDD等)を含むメモリ部53と、各種信号用インターフェイス機能を持つ入出力部55と、設定入力部および表示出力部を形成するタッチパネル57からなる。設定入力部は、各種データの設定や入力を行なう。表示出力部は、各種データやグラフを表示出力する。
【0041】
さて、下死点位置補正制御手段は、プレス運転中に調節モータ33を回転制御しつつスライド15の実際下死点位置を目標下死点位置に合せるように位置補正制御する手段であり、この実施の形態では、下死点位置補正制御プログラムを格納させたメモリ部53とこれを実行するCPUを含む制御部51とから形成されている。
【0042】
次に、本願発明の技術的特徴に係る構成をまとめて説明する。
【0043】
速度状態判別手段(51,53)は、プレス運転中における実際のプレス速度の状態が変化状態および安定状態のいずれであるかを判別する手段であり、この実施の形態では算出された変化率(または、変化幅)と予め設定された基準値としての変化率(または、変化幅)とを比較して判別(図2のST13)する。
【0044】
算出変化率は、変化率算出制御手段(51,53)によって前回検出SPMと今回検出SPMとを用いて算出(ST12)される。なお、前回検出SPMと今回検出SPMとは、それぞれ1つの値であるとは限定されない。例えば、それぞれが複数の平均値あるいは複数の代表としての最大値乃至最小値を用いて変化率を算出するように形成してもよい。各検出SPMは、エンコーダ25で検出(ST10)されかつメモリ53に記憶(ST11)されている。
【0045】
変化率(変化幅としてもよい。)は、ST13の比較判別上は、絶対値として取扱う。ST13でYES判別された場合が変化状態(加速中または減速中)である。NO判断された場合が、安定状態である。この実施の形態では、設定されたプレス速度(200、800SPM)での連続プレス運転中が安定状態である。
【0046】
モード選択制御手段(51,53)は、速度状態判別手段(51,53)によってプレス速度が変化状態であると判別された場合(ST13でYES)に単サイクル毎制御モードMtを選択(ST14)し、安定状態であると判別された場合(ST13でNO)には設定複数サイクル毎制御モードMfを選択(ST16)する。
【0047】
単サイクル毎制御モードMtとは、図4(C)に示すように、プレスサイクル(スライド15が1ストロークする時間)毎に位置補正制御を実行させる制御モードである。設定複数サイクル毎制御モードMfは、複数(Ncc)のプレスサイクル毎に位置補正制御を実行させる制御モードである。
【0048】
一般的に、スライド15の下死点位置は、位置補正制御をしない場合は図4(F)に点線で示すように大きく変化(変動)する。つまり、加速中では下方側に変化(ダイハイトが小さくなる。)し、減速中は上方側に変化(ダイハイトが大きくなる。)する。
【0049】
すなわち、従来例では想定外とされていたが、プレス速度の変化状態(加速中または減速中)ではスライド15の下死点位置が一方向(下方または上方)に変化(変動)する。このことに着目すれば、プレス速度の変化状態(単サイクル毎制御モードMt)においてサイクル毎制御を実行しても、従来例における問題点(安定状態の場合における位置上昇補正制御と位置下降補正制御との交互繰返しによるハンチング現象)を一掃することができると理解できる。つまり、円滑かつ安定した位置補正制御を行なえる。
【0050】
一方において、プレス速度(例えば、200SPMあるいは800SPM)が安定状態(設定複数サイクル毎制御モードMf)でかつサイクル毎の下死点位置が一定に維持されている場合には、制御系(機械的・電気的事項を含む全系)の時間遅れ(応答性、追従性)等との関係から位置補正制御(サイクル毎制御)の実行はあたかも見掛け外乱要因となり、結果として下死点位置が激しくかつ繰り返して変化(変動)する事態が生じる。
【0051】
この実施の形態のように、高速(例えば、800SPM)のプレス機械10では、その変化・変動事態が顕著に発生する虞が強い。つまり、プレス速度の一方向の変化状態(加速中または減速中)に対して有効な単サイクル毎制御Mtでは、プレス速変が安定した状態(安定状態)において安定した位置補正制御をすることはできない。
【0052】
そこで、設定複数サイクル毎制御モードMfを採用する。このモードMfでは、複数のプレスサイクル毎に位置補正制御を実行する。この制御用のサイクル数(Ncc)は、制御用サイクル数設定手段(57)を用いて設定する。設定された制御用複数サイクル(Ncc)は、メモリ部53に記憶される。
【0053】
ここに、下死点位置補正制御手段(51,53)は、単サイクル毎制御モードMtが選択された場合(図2のST14)にはサイクル毎に位置補正制御を実行する(ST15)。設定複数サイクル毎制御モードMfが選択された場合(ST16)には、制御用サイクル数設定手段(57)を用いて設定された複数サイクル(Ncc)毎に位置補正制御を実行する(ST17)。
【0054】
いずれの制御モードの場合でも、今回位置補正制御におけるフィードバック量(下死点位置)は前回制御サイクルにおけるフィードバック量(下死点位置)を用いることになる。しかし、プレス速度(下死点位置)が安定している状態では、ある1つのサイクルにおいて検出(読取)した1つの下死点位置の値に誤差(例えば、ノイズによる誤差)があった場合、当該誤差が見掛け外乱となりかつその後の制御不安定化を招く虞も否定できない。
【0055】
かくして、図2、図4(A)、(B)に示すように、単サイクル毎制御モードMtにおける制御用の下死点位置データDpcは、前回単サイクル中に検出(読取・記憶)された下死点位置とする(ST15)とする。しかし、設定複数サイクル毎制御モードMfにおける制御用の下死点位置データDPaは、算出された平均値とする(ST17)。平均値算出制御手段は、平均値算出用サイクル数設定手段(57)を用いて設定された複数サイクル(Nac)分の検出下死点位置を用いて平均値を算出する(図3のST34)。算出された平均値は、今回算出平均値としてメモリ部53に記憶される(ST35)。
【0056】
平均値を算出するための設定複数サイクル(Nac)分の検出下死点位置(例えば、P1,P2,…,Pn)は、毎サイクルごとに同数(n)であるが1サイクルごとに後方にシフトさせた検出下死点位置(P2,P3,…,Pn+1)に更新して算出される。かくして、設定複数サイクル毎制御を一段と安定して行なえる。
【0057】
また、この実施の形態では、平均値算出用サイクル数設定手段(57)が、制御用サイクル数設定手段(57)を兼用して構築されかつ平均値算出用サイクル数(Nac)が制御用サイクル数(Ncc)と等しい値として設定可能に形成してある。設定内容の錯誤や設定値ミスを大幅に軽減でき、取り扱いが極めて簡単になる。
【0058】
さらに、トルク制限制御手段(51,53)を設け、トルクセンサー35を用いて検出された調節モータ33のトルク(モータ電流)の値が図5に示す設定トルク(トルク制限)の値以上である場合に、下死点位置補正制御手段(51,53)による位置補正制御に優先してトルク制限制御を実行するものと形成してある。かくすれば、プレスの作業荷重によってスライド位置調節機構30が機械的拘束を受けてサーボモータ33等が過負荷になることを未然防止することができる。この機械的拘束範囲はスライド15の下死点位置を中心とする。
【0059】
かかる構成の実施の形態では、タッチパネル57を用いて図4(F)の時刻t0においてプレス運転指令を発すると、駆動モータ23が回転しスライド駆動機構20が駆動軸(上部駆動軸27および下部駆動軸28)を同期上下動させつつ、スライド15を昇降駆動する。すると、図4(A)に示すようにプレスサイクル毎のスライド15の下死点位置(Dpc)が読込まれて記憶される(図3のST30〜32)。
【0060】
この実施の形態では、プレス機械10やスライド駆動機構20の構造・質量および駆動モータ23の容量等で決まるプレス起動(立上り)時間と作業員によるプレス運転指令を発するタイミングとの関係から、時刻t1において補正スタート釦(57)をONして位置補正制御指令を発した直後にプレス速度が安定状態になっている場合が想定される。
【0061】
そこで、図4(F)に示す如く、プレス運転指令時から平均値算出用サイクル数設定手段(57)を用いて予め設定されたサイクル数(Nac)が経過した後(時刻t2以降)に目標値(目標下死点位置データ)をセットして実際の位置補正制御を開始するように形成してある。つまり、設定複数サイクル毎制御モードMfが選択された場合(図2のST16)に備え、設定複数サイクル(Nac)分の検出下死点位置を用いた平均値算出に必要とする時間(時刻t1〜t2)を確保しておくわけである。
【0062】
以下では説明便宜のために、図4(D)に示すプレス速度(SPM)の第1段階(時刻t2〜t3)の設定値は200SPMとされ、第2段階(時刻t4〜t6)の設定値は800SPMであり、第3段階(時刻t7以降)の設定値が200SPMとされた場合を例示する。時刻t3〜t4は加速期間で、時刻t6〜t7は減速期間である。
【0063】
図2において、プレス速度(SPM)が検出・記憶される(ST10,11)。第1段階設定値(200SPM)での運転時間(時刻t2〜t3)は、図4(C)に示す設定複数サイクル(Ncc)相当時間よりも短いものとされている。この比較的に低速でかつ一定速度である領域(時刻t2〜t3)では、スライド15の下死点位置が目標下死点位置とほぼ等しいので、積極的な補正制御は行なわれない。
【0064】
プレス速度は、200SPMから800SPMに向かって時刻t3から加速され始める。ここに、変化率算出制御手段(51,53)は、前回検出SPM(200SPM)と今回検出SPM(例えば、220SPM)とを用いて変化率を算出(図2のST12)する。
【0065】
引続き、速度状態判別手段(51,53)が、実際プレス速度状態が変化状態であるか安定状態であるのかを判別する(ST13)。この段階では、変化状態と判別(ST13でYES)される。かくして、モード選択制御手段(51,53)は、単サイクル毎制御モードMtを選択(ST14)する。
【0066】
単サイクル毎制御モードMtが選択(図2のST14、図3のST33でNO)された場合、今回読取下死点位置がそのまま記憶(図3のST36)され、これが図4(A)に示す前回読取下死点位置つまり制御用下死点位置データDpcとして扱われる(図2のST15)。
【0067】
ここに、下死点位置補正制御手段(51,53)は、図4(A)、(C)に示すようにプレスサイクル毎に位置補正制御を実行する。つまり、目標下死点位置データとプレス運転中の検出下死点位置データとを利用して調節モータ33を回転制御しつつ、スライド15の実際下死点位置を目標下死点位置に合せるように位置補正する。
【0068】
時刻t3以降にプレス速度が高速化して行くと、図4(E)に示すスライド15を上昇させる方向の補正量は、図4(D)に示すプレス速度に比例的に大きくなる。下死点位置の変化量(突っ込み量)が増大するからである。例えば、現在のプレス速度が600SPMである場合を考えると、1サイクルは短時間(0.1秒)であるが、補正量が一方向(上昇用)であるから、安定した制御が担保される。
【0069】
すなわち、プレスサイクル毎にスライド位置を上昇させる位置補正制御をすれば、図4(F)に実線で示すようにスライド15の実際下死点位置を目標下死点位置に合せるように制御することができる。補正無しの場合(点線で示すように次第に下方への位置ずれ量が拡大する。)に比較すれば、その位置ずれ量(偏差)を大幅に抑制できること明白である。よって、速度変化中でも製品を生産できる。なお、第1段階速度(200SPM)中も生産することができる。
【0070】
時刻t4において、プレス速度が設定速度(800SPM)に到達すると、スライド15の下死点位置の変化(突っ込み量)が一定化するので、上昇方向の補正量は図4(E)に示すように一定値化する。
【0071】
速度状態判別手段(51,53)は、安定状態(800SPM)であると判別(図2のST13でNO)する。モード選択制御手段(51,53)によって、設定複数サイクル毎制御モードMfが選択(ST16、図3のST33でYES)される。
【0072】
平均値算出制御手段(51,53)は、それまでに記憶(ST32)された設定サイクル数(Nac)分のサイクル毎読取下死点位置(今回読取下死点位置を含む。)の平均値を算出する(ST34)。今回算出平均値は、メモリ部53の制御用下死点位置記憶エリアに記憶される(ST35)。この設定サイクル数(Nac)分の今回算出平均値は、図4(B)に示す前回算出平均値つまり制御用下死点位置データDpaとして扱われる(図2のST17)。
【0073】
ここに、下死点位置補正制御手段(51,53)は、設定された制御用複数サイクル(Ncc)毎に位置補正制御を実行する。この実施の形態では、設定複数サイクル(Ncc)は、平均値算出用に設定された複数サイクル(Nac)と同じである。
【0074】
プレス速度が800SPM(約13SPS)に設定されているので、設定サイクル数Ncc(=Nac)が80として設定しておいた場合は、80サイクル(約6秒=80/13)毎に位置補正制御を実行すればよい。したがって、約0.08秒(=1/13)ごとに位置補正制御する従来例における時間遅れ問題は心配なくなる。つまり、頻繁なハンチング現象の一掃を図れる。
【0075】
しかも、フィードバック量(Dpa)は、複数サイクル(Nac=80)の平均値であるから、1サイクル毎検出値の場合(外乱が入り易くかつサイクル毎誤差の内在する虞の強い。)に比較して、はるかに信頼性が高い。したがって、温度変化による下死点位置変化[図4(F)に示す下死点変位と同じ。]が極微小(ときには皆無)である場合は、その算出平均値は変動が少なく、目標下死点位置とほぼ等しくなることも多い。偏差は、実線で示すように大幅に小さくなる。つまり、プレス速度が安定状態では、位置補正制御も極めて安定する。
【0076】
今回検出SPM(800SPM)が設定SPMでプレス運転されている間(図2のST18でYES)は、安定状態であるから、前回算出平均値を用いて位置補正制御が継続される(ST17)。なお、図4(C)の場合は、800SPMでの最高速運転時間(時刻t4〜t6)内に、制御用複数サイクル(Ncc)相当時間(時刻t4〜t5)毎の位置補正制御が1回だけ実行されとされているが、実際プレス運転では多数回である。
【0077】
この最高SPM(設定800SPM)の運転時間が終わり、第3段階設定値(200SPM)に向けた減速工程(時刻t6〜t7)に移行すると、今回検出値は最高SPM値(設定800SPM)以下の値(例えば、750SPM)となる(ST18でNO)。算出変化率が設定変化率よりも高くなる(ST10〜12、ST13でYES)。すると、単サイクル毎制御モードMtが選択(ST14)され、図4(C)に示す単サイクル毎制御が実行される(ST15)。
【0078】
プレス速度が次第に低速化して行くと、下死点位置の変化量(突っ込み量)が速度に比例的に縮小する。つまり、スライド15を上昇させる方向の補正量は、図4(E)に示すように速度に比例的に小さくなる。したがって、この減速運転でもプレスサイクル毎にスライド位置を上昇させる方向の位置補正制御を継続すれば、図4(F)に実線で示すようにスライド15の実際下死点位置を目標下死点位置に合せるように位置補正できる。補正無しの場合(点線で示すように次第に下方への位置ずれ量が縮小しつつも未だ存在する。)に比較すれば、速度変化(減速)中でも製品を生産できると理解できる。
【0079】
やがて(時刻t7以降)、プレス速度が第3段階設定値(200SPM)まで低下すると、スライド15の下死点位置の変化(突っ込み量)は大幅に小さくなる。したがって、スライド15の位置は上昇方向に変化する傾向になる。かかる減速中では、図4(E)に示すように、スライド15を下降させる方向の補正量となる。
【0080】
すなわち、速度状態判別手段(51,53)が安定状態であると判別(図2のST13でNO)し、モード選択制御手段(51,53)によって再び設定複数サイクル毎制御モードMfが選択(図3のST33でYES)される。
【0081】
平均値算出制御手段(51,53)は、それまでに記憶(ST32)された設定サイクル数(Nac)分のサイクル毎読取下死点位置(今回読取下死点位置を含む。)の平均値を算出する(ST34)。今回算出平均値は、メモリ部53の制御用下死点位置記憶エリアに記憶される(ST35)。この今回算出平均値は、前回算出平均値つまり制御用下死点位置データとして扱われる(図2のST17)。
【0082】
ここに、下死点位置補正制御手段(51,53)は、設定された複数サイクル(Ncc)毎に位置補正制御を実行する。
【0083】
プレス速度が200SPM(約3SPS)に設定されているので、設定サイクル数Ncc(=Nac)が800SPM時に設定された値と同じ値(80)として設定されていた場合は、80サイクル(約27秒=80/3)毎に位置補正制御を実行すればよい。したがって、約0.08秒(=1/13)ごとに位置補正制御する従来例の時間遅れ問題は一掃される。
【0084】
しかも、フィードバック量(Dps)は、複数サイクル(Nac=80)の平均値であるから、一段と信頼性が高い。したがって、温度変化による下死点位置変化(図4の下死点変位と同じ。)が極微小(ときには皆無)である場合は、その算出平均値は変動が少なく、目標下死点位置とほぼ等しくなることも多い。偏差は図4に実線で示すように大幅に小さくなる。つまり、プレス速度が安定状態では、位置補正制御も極めて安定する。
【0085】
今回検出SPMが設定SPM(200SPM)でプレス運転されている間(図2のST18でYES)は、安定状態であるから、前回算出平均値を用いて位置補正制御が継続される(ST17)。なお、200SPMの運転時間が長い場合は、温度変化(低下)等の変化があると、下降用補正量は大きくなる場合もある。
【0086】
しかして、この実施の形態によれば、下死点位置補正制御手段(51,53)が、速度状態判別手段(51,53)とモード選択制御手段(51,53)の協働により単サイクル毎制御モードMtが選択されるとプレスサイクル毎に補正制御を実行可能でかつ設定複数サイクル毎制御モードMfが選択されると制御用サイクル数設定手段を用いて設定された複数サイクル(Ncc)毎に補正制御を実行可能に形成されているので、プレス速度の変化状態および安定状態に拘わらずに安定したスライド15の下死点位置補正制御を行なえる。よって、下死点変動を最小限に抑制できるとともに、高精度プレス製品を円滑かつ能率よく生産することができる。
【0087】
また、単サイクル毎制御モードMtにおける下死点位置データが前回単サイクル中の検出下死点位置とされ、設定複数サイクル毎制御モードMfにおける検出下死点位置データが設定複数サイクル(Nac)分の検出下死点位置を用いた算出平均値とされているので、プレス速度の変化状態での制御応答性を担保できかつ安定状態での制御安定性を一段と向上できる。
【0088】
また、平均値算出用サイクル数設定手段(57)が、制御用サイクル数設定手段(57)を兼用して構築されかつ平均値算出用サイクル数(Nac)が制御用サイクル数(Ncc)と等しい値として設定可能に形成されているので、具体的運用に際し取り扱いがより簡単である。
【0089】
トルク制限制御手段(51,53)の働きにより、プレス荷重による機械的拘束を受けての過負荷を未然に防止できる。
【0090】
さらに、スライド位置調節機構30が、クランク機構21による駆動軸(上部駆動軸27と下部駆動軸28が一体として取り扱う。)の上下動中に上部駆動軸27に対する下部駆動軸28の相対位置を変化させ、クランク機構21に依存するスライド位置に調節量分を加減することができる構造とされているので、プレス運転に何等の負担も与えずかつ円滑で高精度の下死点位置補正ができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、特に、高速運転可能なプレス機械で高品質製品を能率よく生産する場合に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態を説明するためのブロック図である。
【図2】同じく、速度状態判別動作、モード選択動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】同じく、複数サイクル分の読取下死点位置の平均値算出動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】同じく、補正制御動作等を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】同じく、トルク制限動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0093】
10 プレス機械
15 スライド
17 ボルスタ
20 スライド駆動機構
23 駆動モータ
30 スライド位置調節機構
33 調節モータ
50 駆動制御部
51 制御部(下死点位置補正制御手段、速度状態判別手段、モード選択制御手段、平均値算出制御手段)
53 メモリ部(下死点位置補正制御手段、速度状態判別手段、モード選択制御手段、平均値算出制御手段)
57 タッチパネル(制御用サイクル数設定手段、平均値算出用サイクル数設定手段)
60 位置検出部
Ncc 制御用の設定サイクル数
Nac 平均値算出用の設定サイクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標下死点位置データとプレス運転中に検出された下死点位置データとを利用して調節モータを回転制御しつつスライドの実際下死点位置を目標下死点位置に合せるように位置補正する下死点位置補正制御手段を備えたプレス機械において、
実際のプレス速度状態が変化状態および安定状態のいずれであるかを判別する速度状態判別手段と、
制御用の複数のサイクル数を設定するための制御用サイクル数設定手段と、
速度状態判別手段によってプレス速度が変化状態であると判別された場合に単サイクル毎制御モードを選択し、安定状態であると判別された場合には設定複数サイクル毎制御モードを選択するモード選択制御手段とを設け、
前記下死点位置補正制御手段が、単サイクル毎制御モードが選択された場合にはプレスサイクル毎に位置補正制御を実行可能でかつ設定複数サイクル毎制御モードが選択された場合には制御用サイクル数設定手段を用いて設定された複数サイクル毎に位置補正制御を実行可能に形成されている、下死点位置補正制御手段を具備するプレス機械。
【請求項2】
前記単サイクル毎制御モードにおける前記下死点位置データが前回単サイクル中に検出された下死点位置とされ、
平均値算出用の複数サイクルを設定する平均値算出用サイクル数設定手段を設け
前記設定複数サイクル毎制御モードにおける前記検出下死点位置データが設定された平均値算出用複数サイクル分の検出下死点位置について平均値算出制御手段を用いて算出された平均値とされている、請求項1記載の下死点位置補正制御手段を具備するプレス機械。
【請求項3】
前記平均値算出用サイクル数設定手段が、前記制御用サイクル数設定手段を兼用して構築されかつ平均値算出用サイクル数が制御用サイクル数と等しい値として設定可能に形成されている、請求項2記載の下死点位置補正制御手段を具備するプレス機械。
【請求項4】
前記調節モータのトルクを検出するトルクセンサーと、検出されたトルクが設定トルク以上である場合に前記下死点位置補正制御手段による位置補正制御に優先してトルク制限制御を実行可能なトルク制限制御手段とを設けた、請求項1〜3までのいずれかの1項に記載された下死点位置補正制御手段を具備するプレス機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−274080(P2009−274080A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124908(P2008−124908)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(000100861)アイダエンジニアリング株式会社 (153)
【Fターム(参考)】