説明

不揮発性メモリ

【課題】オンボードで複数回書換えが可能な、低価格な不揮発性メモリ1を提供する。
【解決手段】複数のワンタイムPROM(2−0、2−1)と、前記ワンタイムPROM(2−0、2−1)のいずれが書込済かの情報を保持する状態保持手段(5w、5r)と、前記状態保持手段(5w、5r)の情報に基づきいずれのワンタイムPROM(2−0、2−1)にアクセスするかを切替える切替手段6を備え、複数回書換え可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワンタイムのプログラマブルリードオンリーメモリ(以下、「PROM」という)を用いて複数回書込みを行うことができるようにした不揮発性メモリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
不揮発性メモリには、書き換えができないマスクROMと、書き換え可能なPROMとがあり、書き換え可能なPROMには、1回のみ書込みが可能なワンタイムPROM、紫外線等の照射より消去して複数回書き換え可能なEPROM、さらに、電気的に消去してオンボードでの書き換えが可能なEEPROMがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ワンタイムPROMは、EPROMやEEPROMと比較して安価であるという特長はあるが、オンボードでの書換えおよび複数回の書換えができず、多数回書換え可能な不揮発性メモリとしては利用することができなかった。
【0004】
また、EPROMは、所定回数書換えられるが、時間をかけて紫外線等を照射して消去しなければならずオンボードでの書換えができず、多数回書換えが可能な不揮発性メモリとしては利用することができなかった。このため、従来の書換え可能な不揮発性メモリでは、高価となるがEEPROMを用いるしかなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−74178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の不揮発性メモリでは、オンボードにて書き換える必要のある回数が数回程度で十分であるケースが多く、この書換えのために高価なEEPROMを使用するのは、非常に非経済的であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、複数のワンタイムPROMと、前記ワンタイムPROMのいずれが書込済かの情報を保持する状態保持手段と、前記状態保持手段の情報に基づき当該ワンタイムPROMのいずれにアクセスするかを切替える切替手段と、を設けた。
【発明の効果】
【0008】
本発明の不揮発性メモリによれば、複数のワンタイムPROMと、前記ワンタイムPROMのいずれが書込済かの情報を保持する状態保持手段と、前記状態保持手段の情報に基づき当該ワンタイムPROMのいずれにアクセスするかを切替える切替手段と、を設けたので、安価な書換え可能な不揮発性メモリを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の不揮発性メモリの構成図である。
【図2】実施例1の不揮発性メモリの動作説明図である。
【図3】実施例1の不揮発性メモリの制御テーブルの例示図である。
【図4】実施例1の不揮発性メモリの動作フローチャート図である。
【図5】実施例2の不揮発性メモリの構成図である。
【図6】実施例2の不揮発性メモリの制御テーブルの例示図である。
【図7】実施例2の不揮発性メモリの動作フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係わる実施の形態例を、図面を用いて説明する。図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0011】
(構成)
図1は、擬似EEPROMとして機能する実施例1の不揮発性メモリの構成図である。同図に示したように、不揮発性メモリ1は、データを記録するPROM0(2−0)とPROM1(2−1)と、いずれをアクセスするかを制御する制御部4とを有する。
【0012】
制御部4はそれぞれ1bitのライトフラグ5w、リードフラグ5rのレジスタを有しその出力が切替部6に入力され、ライトフラグ5w、リードフラグ5rの出力に応じて、マイコン7からのrd信号、wr信号を切換えてrd0、wr0、wr0、wr1信号として出力される構成となっている。なお、当該切替部6は、アナログスイッチ等により構成すればよい。
【0013】
そして、マイコン7と不揮発性メモリ1の間は、リード・ライトするPROMのアドレスが指定されるAddress信号線、リード・ライト時のデータがやり取りされるData信号線、リードの制御信号であるrd信号線、ライトの制御信号であるwr信号線、チップセレクトの制御信号であるcs信号線が接続されている。
【0014】
前記cs信号線は不揮発性メモリ1内でPROM0(2−0)、PROM1(2−1)にそれぞれ直接接続されている。
【0015】
なお、図示していないが、PROM0(2−0)、PROM1(2−1)には、電源Vccとしての5Vおよび書込みの際の書込電圧Vppとして12V或いは21Vが接続される。
【0016】
図2および図3は、実施例1の不揮発性メモリ1のPROMへのアクセスを行うための制御テーブルを示した図である。
【0017】
図2(a)はライトフラグ5wとwr0、wr1信号の関係を表し、図2(b)はリードフラグ5rとrd0、rd1信号の関係を示している。すなわち、図2(a)では、例えば、ライトフラグ5wが"0"の場合は、PROM0(2−0)のwr0信号はマイコン7からのwr信号をそのまま出力し、wr0信号は常にハイレベルとし、ライトフラグ5wが"1"の場合は、wr1信号はマイコン7からのwr信号をそのまま出力し、wr0信号は常にハイレベルとすることを示している。
【0018】
同様に、図2(b)では、例えば、リードフラグ5rが"0"の場合は、PROM0(2−0)のrd0信号はマイコン7からのrd信号をそのまま出力し、rd0信号は常にハイレベルとし、リードフラグ5rが"1"の場合は、rd1信号はマイコン7からのrd信号をそのまま出力し、rd0信号は常にハイレベルとすることを示している。
【0019】
図3は、ライトフラグ5w、リードフラグ5rの値によりアクセスされるPROMを示している。例えば、ライトフラグ5wが"0"でリードフラグ5rが"0"の場合でライトアクセスがあった場合はPROM0(2−0)にライトし、リードアクセスがあった場合は、まだいずれのPROMにもデータの書込みが行われていないのでリード先なしとする。ライトフラグ5wが"1"でリードフラグ5rが"0"の場合でライトアクセスがあった場合はPROM1(2−1)にライトし、リードアクセスがあった場合はPROM0(2−0)からリードすることを示している。
【0020】
なお、以上の切換制御は、アナログスイッチ等から構成される切替部6の制御により行われる。
(動作)
以上の構成により、実施例1の不揮発性メモリ1は、以下のように動作する。この動作を図4の動作フローチャート図を用いて以下説明する。
【0021】
図4の動作フローチャートにおいて、まず、初期状態では、まだ書込みがなされていないので、ライトフラグ5w、リードフラグ5rはいずれも初期値"0"に設定される(ステップS01)。
【0022】
そして、マイコン7から不揮発性メモリ1へアクセスがあり(ステップS02)、ライトアクセスであった場合は、ライトフラグ5wが"0"であるので、図3の制御テーブルによりデータのライト先はPROM0(2−0)となり、PROM0(2−0)へのライト処理が行われる(ステップS03)。ライト処理が完了するとライトフラグ5wを"1"に設定する(ステップS04)。
【0023】
一方、ステップS02にてマイコン7から不揮発性メモリ1へリードアクセスがあった場合は(ステップS02)、まだ、いずれのPROMにも書込みが行われていない状態でありデータのリード先は図3の制御テーブルより“該当なし”となり、PROM0へのリードは行わず、ステップS02に戻り、次のアクセスを待つ。
【0024】
次に、マイコン7から不揮発性メモリ1へライトアクセスがあった場合は(ステップS05)、ライトフラグ5wが"1"となっているので、図3の制御テーブルよりデータのライト先はPROM1(2−1)となり、PROM1(2−1)へのライト処理が行われる(ステップS07)。ライト処理が完了するとリードフラグ5rを"1"に設定する(ステップS08)。
【0025】
一方、ステップS05にてマイコン7から不揮発性メモリ1へリードアクセスがあった場合は、リードフラグ5rは"0"であることから図3の制御テーブルよりデータのリード先はPROM0(2−0)となり、PROM0(2−0)へのリード処理が行われ、ステップS05に戻り、次のアクセスを待つ。
【0026】
次に、リードフラグ5rが"1"に設定された状態で、マイコン7から不揮発性メモリ1へライトアクセスがあった場合は(ステップS09)、図3の制御テーブルによりライト先は"該当なし"となっており、PROMへのライトは行わず、本処理を終了し(ステップS11)、ライトエラー処理を行う。
【0027】
一方、ステップS09にて、マイコン7から不揮発性メモリ1へリードアクセスがあった場合は、リードフラグ5rが"1"であることから図3の制御テーブルによりリード先はPROM1(2−1)となり、PROM1(2−1)へのリード処理が行われ(ステップS10)、ステップS09に戻り、次のリードアクセスを同様に処理する。
【0028】
(実施例1の効果)
以上のように実施例1の不揮発性メモリによれば、複数のPROMと、それぞれライトするPROMを示すライトフラグおよびリードするPROMを示すリードフラグとを備え、当該ライトフラグおよびリードフラグの値に応じて複数のPROMへの書き込み、読み出しを行えるようにしたので、安価な書換え可能な不揮発性メモリを提供することができる。
【実施例2】
【0029】
(構成)
図5は、実施例2の不揮発性メモリの構成図である。同図に示したように、実施例2の不揮発性メモリは、実施例1のライトフラグ5w、リードフラグ5rの代わりにライトカウンタ15を備え、PROM0(2−0)〜PROMn(2−n)のPROMを備えた構成となっている。
【0030】
図6は、実施例2の不揮発性メモリ1のPROMへのアクセス制御を行うための制御テーブルの例示図であり、ライトカウンタ15の値Nxに応じて、どのPROMにマイコン7からのライト信号wr、リード信号rdを接続するかを表わしたものである。ライト信号wrおよびリード信号rdを、いずれかのPROMに接続するかは、実施例1と同様にアナログスイッチ等から構成される切替部6にて切換えればよい。
【0031】
例えば、ライトカウンタNxが"1"の場合でライトアクセスの場合はwr信号をPROM1(2−1)に、ライトカウンタNxが"2"の場合でリードアクセスの場合はrd信号をPROM1(2−1)に接続してアクセスするようにすることを示している。すなわち、ライトはライトカウンタ値Nxの番号のPROMに行い、リードはライトカウンタ値Nx−1の番号のPROMに行うようになっている。
【0032】
その他の構成は実施例1の不揮発性メモリの構成と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0033】
(動作)
以上の構成により、実施例2の不揮発性メモリ1は、以下のように動作する。この動作を図6の動作フローチャート図を用いて以下説明する。
【0034】
まず、初期状態では、まだ書込みがなされていないので、ライトカウンタNxは初期値"0"に設定される(ステップS21)。
【0035】
そして、マイコン7から不揮発性メモリ1へアクセスがあり(ステップS22)、ライトアクセスであった場合は、ライトカウンタが"0"であり、"n"以下であるので(ステップS23)、図6の制御テーブルによりライト先はPROM0(2−0)となり、PROM0(2−0)へのライト処理が行われる(ステップS24)。ライト処理が完了するとライトカウンタを+1し、ライトカウンタ値Nxを"1"とし(ステップS26)、ステップS22に戻り次のアクセスを待つ。
【0036】
一方、ステップS22にてマイコン7から不揮発性メモリ1へリードアクセスがあった場合は、データのリード先はNx−1、すなわち“−1番目”のPROMとなり、図6の制御テーブルは該当がないのでリード処理はスキップされ(S25)、ステップS22に戻り、次のアクセスを待つ。
【0037】
次に、ライトアクセスがあると(ステップS22)、ライトカウンタ値Nxが"1"となっているので、図6の制御テーブルによりデータのライト先はPROM1(2−1)となり、PROM1(2−1)へのライト処理が行われる(ステップS24)。ライト処理が完了するとライトカウンタを+1し、ライトカウンタ値Nxを"2"とする(ステップS26)。
【0038】
一方、ステップS22にてマイコン7から不揮発性メモリ1へリードアクセスがあった場合は、ライトカウンタ値Nxが"1"となっているので、図6の制御テーブルによりリード先はNx−1番目、すなわち“0番目”のPROM0(2−0)となり、PROM0(2−0)へのリード処理が行われ(S25)、ステップS22に戻り、次のアクセスを待つ。
【0039】
そして、n回ライトアクセスがあったときは、ステップS26によりライトカウンタNxは"n+1"となるので、その状態でライトアクセスがあったときは、ライトするPROMがなく、Nx>nとなるので、PROMへのライトは行わず、本処理を終了し(ステップS23)、ライトエラー処理を行う。
【0040】
一方、ライトカウンタNx=n+1のときに、マイコン7から不揮発性メモリ1へリードアクセスがあった場合は、図6の制御テーブルにより、Nx−1番目、すなわち“n番目”のPROMn(2−n)へのリード処理が行われ(ステップS25)、ステップS22に戻り、次のリードアクセスも同様に処理する。
【0041】
(実施例2の効果)
以上のように実施例2の不揮発性メモリによれば、複数のPROMと、PROMへの書込みごとにカウントアップするライトカウンタを備え、当該ライトカウンタ値に応じてライトまたはリードするPROMを選択できるようにしたので、実施例1の不揮発性メモリの効果に加え、簡単な制御で多数回の書換えを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上述べたように、本発明は、複数回書換え可能な不揮発性メモリに広く利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 不揮発性メモリ
2 PROM
4 制御部
5w ライトフラグ
5r リードフラグ
6 切替部
7 マイコン
15 ライトカウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のワンタイムPROMと、
前記ワンタイムPROMのいずれが書込済かの情報を保持する状態保持手段と、
前記状態保持手段の情報に基づき当該ワンタイムPROMのいずれにアクセスするかを切替える切替手段と、を設けたことを特徴とする不揮発性メモリ。
【請求項2】
前記状態保持手段は、前記ワンタイムPROMのいずれが書込済かの情報をフラグ情報として保持するようにしたことを特徴とする請求項1記載の不揮発性メモリ。
【請求項3】
複数のワンタイムPROMと、
書込んだ数をカウント情報として保持するカウント手段と、
前記カウント手段の値に基づき当該ワンタイムPROMのいずれにアクセスするかを切替える切替手段と、を設けたことを特徴とする不揮発性メモリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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