説明

不良認識マーク付与装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体装置の製造工程の中で実施される半導体ウエハ段階での検査で不良と判定された半導体チップに不良認識マークを付与する不良認識マーク付与装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の製造工程において、半導体集積回路の電気的検査を検査装置(以下ICテスタと称する)を用いて半導体ウエハの段階で行ない、所定の機能が損なわれている半導体チップ(以下ICチップと記す)に不良認識マークを付与することが行なわれている。
【0003】以下に従来の不良認識マーク付与装置について説明する。図2は従来の不良認識マーク付与装置の構成図である。図2に示すように、ICチップ11の電極(図示せず)にプローブ12を接触させてICテスタ(図示せず)とICチップ11との間の電気接続を行ない、検査の結果ICチップ11が不良の場合にはインク壷13の中に配置した針14を電磁コイル15への通電により下降させ、インク壷13の中のインク16をICチップ11の表面に不良認識マーク17として付与することが行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記の従来の構成では、不良のICチップ11に安定な状態で不良認識マーク17を付与するためにインク16の粘土調整が必要不可欠であるという課題を有していた。すなわち、仮にインク16の粘度が最適な粘度よりも高いと、針14を上昇させる際にインク16の糸引き現象が生じて隣接するICチップ11にまでインク16が付着することになる。このようなインク16の粘土調整あるいは針14の高さ調整には熟練を要し、しかも非常に手間がかかり、さらには、針14を下降させてインク16をICチップ11の上に付着させる際に針14がICチップ11を傷つけることが多く、不良のICチップ11の解析が不可能になるなどの問題を有していた。
【0005】本発明は上記の従来の課題を解決するもので、インクの粘度調整および針の高さ調整を不要とする不良認識マーク付与装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明の不良認識マーク付与装置は、インク壷と、そのインク壷に連結した管状針と、管状針の一部に設けた加熱手段とからなり、この加熱手段は検査装置からの信号によって管状針の内部のインクを加熱して気泡を発生させ、この気泡の圧力によって管状針の先端からインクを射出させ、不良と判定された半導体チップの表面にインクを付着させる構成を有している。
【0007】
【作用】この構成によって、内部にインクを含む管状針を半導体チップ表面と離した状態で不良認識マークを付与できるためインクの糸引きが防止でき、さらには管状針が半導体チップの表面を衝撃することがなくなる。
【0008】
【実施例】以下本発明の一実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0009】図1は本発明の一実施例における不良認識マーク付与装置の構成図である。図1において、1はICチップ、2はプローブ、3はインク、4は内部にインク3を含む管状針、5は管状針4の一部を加熱するためのヒータ、6はヒータ5により加熱されて発生した気泡、7は不良認識マーク、8はインク3を溜めておくインク壷である。
【0010】以上のように構成された不良認識マーク付与装置について、以下その動作を説明する。ICチップ1の電極(図示せず)とICテスタ(図示せず)との間をプローブ2で電気的に接続してその機能検査を行なう。この機能検査により不良と認定されたICチップ1に対して不良認識マーク7を付与するにあたり、内部にインク3を含む管状針4の一部に設置したヒータ5に通電してインク3の内部に気泡6を発生させ、この気泡6により管状針4の先端部のインク3を押し出す。押し出されたインク3は管状針4の先端より飛び出してICチップ1の表面に不良認識マーク7を形成する。
【0011】本実施例では、ICチップ1へ不良認識マーク7を付与する例について説明したが、ICチップ1の代わりにトランジスタチップなど他の半導体チップであっても同様の効果は得られる。
【0012】
【発明の効果】以上のように本発明は、管状針の一部を加熱してインクに気泡を発生させ、この気泡の圧力によりインクを射出して半導体チップの表面に不良認識マークを付与するものであり、管状針が半導体チップの表面から離れているためインクの糸引き現象がなく、また半導体チップを損傷しない優れた不良認識マーク付与装置を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における不良認識マーク付与装置の構成図
【図2】従来の不良認識マーク付与装置の構成図
【符号の説明】
1 ICチップ(半導体チップ)
3 インク
4 管状針
5 ヒータ(加熱手段)
6 気泡
7 不良認識マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】インク壷と、そのインク壷に連結した管状針と、前記管状針の一部に設けた加熱手段とからなり、前記加熱手段は検査装置からの信号によって管状針の内部のインクを加熱して気泡を発生させ、この気泡の圧力によって前記管状針の先端からインクを射出させ、不良と判定された半導体チップの表面にインクを付着させる不良認識マーク付与装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【特許番号】第2836647号
【登録日】平成10年(1998)10月9日
【発行日】平成10年(1998)12月14日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−58522
【出願日】平成3年(1991)3月22日
【公開番号】特開平4−293246
【公開日】平成4年(1992)10月16日
【審査請求日】平成8年(1996)12月12日
【出願人】(000005843)松下電子工業株式会社 (43)
【参考文献】
【文献】特開 昭63−133641(JP,A)
【文献】実開 平3−12436(JP,U)