説明

両親媒性化合物の製造方法

【課題】レジスト性能に悪影響を与える酸性成分、塩基性成分などの不純物を容易に0.5ppm以下に制御し、かつ、両親媒性化合物、特に、部分的に保護された水酸基を有する重合体を安価に提供すること。
【解決手段】低級アルコール以外の有機溶媒中、両親媒性化合物を製造する方法において、両親媒性化合物の有機溶媒溶液に極性溶媒を混合した後、該混合液をイオン交換樹脂と接触させることによって両親媒性化合物を精製する。両親媒性化合物としては、分子内に親水性部と疎水性部を有する共重合体が好適であり、分子内に水酸基を1個以上有するモノマーユニットを50モル%以上含む共重合体、又は少なくとも1種のエーテル鎖を有するモノマーユニットを50重量%以上含む共重合体が特に好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子中に水酸基やエーテル鎖等の親水性部を含む両親媒性化合物の製造方法に係り、さらに詳しくは、イオン交換樹脂を用いた該両親媒性化合物の精製方法に特徴を有する製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大規模集積回路(LSI)の高集積化の必要性が高まるにつれて、フォトリソグラフィ技術に対し、超微細加工技術が求められている。この要求に対して、従来のg線(波長436nm)やi線(波長365nm)よりも短波長である遠紫外線(例えば、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)、ArFエキシマレーザー光(波長193nm))を露光装置の光源として利用することが試みられている。この遠紫外線を光源とした場合は、光の強度が弱いため露光時間が長くかかるということから化学増幅型レジストが検討されている。
【0003】
化学増幅型レジストとは、例えばポジ型の場合、アルカリ現像液に可溶な樹脂に酸の作用により脱保護するような置換基を導入して溶解抑制効果をもたせた樹脂と光または電子線などの放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」と言うことがある)を含有する感放射線組成物である。この組成物に光や電子線を照射すると、光酸発生剤から酸が生じ、露光後の加熱(PEB)により、酸が溶解抑制効果を与えていた置換基を脱保護する。その結果、露光部分がアルカリ可溶性となり、アルカリ現像液で処理することにより、ポジ型のレジストパターンが得られる。この時、酸は触媒として作用し、微量で効果を発揮する。また、PEBにより酸の動きが活発になり、連鎖反応的に化学反応が促進され、感度が向上する。
【0004】
このような化学増幅型レジストに用いられる上述の樹脂の例としては、フェノール性樹脂の水酸基の一部または全部がアセタール基またはケタール基等の保護基により保護されたものが挙げられる。フェノール性樹脂の水酸基をアセタール化する方法としては、非特許文献1に記載された方法がある。これは、酢酸エチルを溶媒とし、酸触媒の存在下でフェノール性樹脂とエノールエーテルを反応させるものである。このような反応を利用した例が特許文献1に記載されている。さらに、フェノール性樹脂の水酸基の一部または全部をtert−ブトキシカルボニルオキシ基で保護する方法が、特許文献2に記載されている。これは、アセトンを溶媒とし、塩基性触媒の存在下で水酸基を有する化合物とジtert−ブチルジカーボネートを反応させたものである。
【0005】
これらの反応で保護された水酸基を有する化合物を製造した場合は、酸触媒や塩基性触媒や副生成物が不純物として水酸基を有する化合物中に残存しやすく、これをレジストとして用いた場合、レジスト性能に悪影響を与えるという問題があった。また、この不純物により、保護された水酸基を有する化合物の保存中などに保護基がはずれてしまい、このような水酸基を有する化合物をレジストとして使用すると性能的に不十分であるという問題もあった。
【0006】
この問題を解決するため従来、特許文献1では反応液をリグロインに滴下することにより沈殿物を生成させて精製している。また特許文献2、3、4、5では、水溶性のある溶媒を用いて反応させ、その反応液を水に投じて生成物を沈殿させて精製している。さらに特許文献6では反応物を水と水溶性アルコールとの混合溶媒で懸洗、又は反応液をアルコールで希釈して水に投入して生成物を沈殿させて精製している。しかしながら、これら生成物を沈殿させて精製する方法では、残留する酸性成分や塩基成分の濃度を低下させるには限界があり、保護基の脱離をより安定的に防止するにはさらなる改善が望まれていた。
【0007】
一方で、残留する酸性成分や塩基成分などを除去するにはイオン交換樹脂の利用が良く知られている。しかし、イオン交換樹脂を用いた除去法においては、水系であれば特に問題なく利用できるが、有機溶媒を用いる非水系の場合にはイオン交換樹脂の交換能が著しく低下してしまうなどの問題があった。
【0008】
有機溶媒を用いる非水系の場合のイオン交換樹脂の交換能を改善するために、特許文献7では、溶媒抽出に用いた極性溶媒に累積するカルボン酸などの腐食性汚染物質を除去することを目的として、腐食性汚染物質を含有する極性溶媒に水を添加して塩基性イオン交換樹脂と接触させることが記載され、新鮮な樹脂の能力が約30%増加することも記載されている。特許文献8では原子移動ラジカル重合法によって得られた重合体溶液から触媒である金属錯体を除去するために、重合体溶液にメタノールを添加した後、陽イオン交換樹脂と接触させることにより、金属錯体濃度を4〜6ppmまで下げることが可能であることが記載されている。
しかし、十分な性能を有したレジストを製造するには、不純物である触媒を0.5ppmレベル以下にする必要があり、かつそのようなレジストを安価に製造するにはこれらの知見からでは困難であった。しかも保護された水酸基に水やメタノールなど反応性水酸基を有した極性溶媒を接触させると直ちに脱保護してしまうという事実からも、これらの方法を応用することも困難であった。
【0009】
また、一般的に、両親媒性化合物の製造過程において、本発明と同様にイオン交換樹脂で精製することが記載されたものとして、例えば特許文献9があるが、ここでは疎水性重合体の状態でイオン交換樹脂により精製を行った後、脱保護して両親媒性重合体を製造するというものであり、両親媒性重合体をイオン交換樹脂により精製するというものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平2−19847号公報
【特許文献2】特開平9−222732号公報
【特許文献3】特開平5−249682号公報
【特許文献4】特開2000−7600号公報
【特許文献5】特開2000−26348号公報
【特許文献6】特開2001−98009号公報
【特許文献7】特表2003−512145号公報
【特許文献8】特開2004−211079号公報
【特許文献9】特開2004−277300号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】H.N.Grant et al., Helv.Chim.Acta, 46, 415(1963)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、レジスト性能に悪影響を与える酸性成分、塩基性成分などの不純物を容易に0.5ppm以下に制御し、かつ、両親媒性化合物、特に、部分的に保護された水酸基を有する重合体を安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記問題を解決すべく鋭意研究した結果、水酸基を有する化合物の保護化反応に関与する触媒の機能を停止させた後であれば、部分的に保護された水酸基を有する化合物は極性溶媒存在下でも、直ちに脱保護化しないこと、またこれら極性溶媒を含む混合液をイオン交換樹脂に接触させると、イオン交換基と塩類との親和力が向上することに着目し、レジスト性能に悪影響を与える酸性成分、塩基性成分などの不純物を0.5ppm以下の低濃度に容易に制御でき、かつ一定イオン交換樹脂量当たりのイオン交換処理液量が顕著に増大することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1)低級アルコール以外の有機溶媒中、両親媒性化合物を製造する方法において、両親媒性化合物の有機溶媒溶液に極性溶媒を混合した後、該混合液をイオン交換樹脂と接触させることによって両親媒性化合物を精製することを特徴とする両親媒性化合物の製造方法、
(2)両親媒性化合物が分子内に親水性部と疎水性部を有する共重合体であることを特徴とする上記(1)に記載の両親媒性化合物の製造方法、
(3)共重合体が、分子内に水酸基を1個以上有するモノマーユニットを50モル%以上含む共重合体、又は少なくとも1種のエーテル鎖を有するモノマーユニットを50重量%以上含む共重合体であることを特徴とする上記(2)に記載の両親媒性化合物の製造方法、
(4)極性溶媒が水及びアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む溶媒であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の両親媒性化合物の製造方法、及び、
(5)極性溶媒の混合量が、両親媒性化合物が析出しない量であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の両親媒性化合物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
低級アルコール以外の有機溶媒に極性溶媒を混合することにより、極性溶媒を混合しない場合に比べて多量の両親媒性化合物含有溶液を、酸触媒の残存量が0.5ppm以下となるように除去処理できる。即ち、実施例に示すとおり、有機溶媒に極性溶媒を添加しない場合(比較例1)には0.4Lの処理能力も無いのに対して、本発明のように極性溶媒を混合する場合には、7Lも処理でき、かつ酸触媒の残存量も0.5ppm以下となる。
本発明によれば、当該化合物が純度良くかつ、安価に製造でき、これを用いた半導体集積回路製造用のレジスト材料は極めて高感度であり、工業的に極めて有用である。
しかも、本発明はレジスト用材料の製造の場合だけでなく、水酸基を保護化する反応に使用される触媒により、極性溶媒存在下で直ちに脱保護化してしまう保護された水酸基を有する化合物を精製する必要のある場合すべてに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(両親媒性化合物)
本発明において、両親媒性化合物とは、分子内に親水性部分と疎水性部分を有する化合物を意味する。
両親媒性化合物としては、例えば、分子内に水酸基を1個以上有する脂肪族又は芳香族アルコール系化合物又はそれらの重合体であって両親媒性を有するもの;糖類、リン脂質、界面活性剤、親水性部及び疎水性部の双方を含んでいる共重合体等が挙げられる。
なお、分子内に水酸基を1個以上有する脂肪族又は芳香族アルコール系化合物の重合体であって両親媒性を有するものは、親水性部及び疎水性部の双方を含んでいる共重合体にも包含される。
分子内に水酸基を1個以上有する脂肪族又は芳香族アルコール系化合物又はそれらの重合体であって、両親媒性を有するものとしては、たとえば、分子内に水酸基を1個以上有する脂肪族又は芳香族アルコール系化合物又はそれらの重合体を水酸基の保護化剤と反応させて、水酸基の一部を保護化したものが挙げられる。また、すべての水酸基を保護化した脂肪族又は芳香族アルコール系化合物又はそれらの重合体を一部脱保護したものでもよい。
【0017】
分子内に水酸基を1個以上有する脂肪族アルコール系重合体としては、ポリビニルアルコール系重合体等が挙げられる。例えば、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸重合体や、α−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸とエチレン性不飽和カルボン酸及びエチレン性不飽和カルボン酸エステルの中から選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体などが挙げられる。
【0018】
分子内に水酸基を1個以上有する芳香族アルコール系重合体としては、水酸基を有するスチレン系重合体が挙げられる。例えば、アルケニルフェノール系重合体、またはアルケニルフェノール系重合体と他のビニル系モノマーとの共重合体やノボラック樹脂等が挙げられる。具体的には、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−(o−ヒドロキシフェニル)プロペン、2−(m−ヒドロキシフェニル)プロペン、2−(p−ヒドロキシフェニル)プロペンなどのヒドロキシスチレン類の単独または2種以上をラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、またはカチオン重合開始剤の存在下で重合した樹脂が用いられる。重合後、樹脂の吸光度を下げるために水素添加を行ったものを用いてもよい。また、アルケニルフェノール系重合体と他のビニル系モノマーとの共重合体としては、上述のアルケニルフェノール系重合体とアクリル酸、ビニルアルコール、またはこれらの誘導体等のビニル系モノマーとの共重合体が挙げられる。ノボラック樹脂としては、具体的には、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3−エチルフェノール、2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、フェニルフェノール等のアルキル基またはアリール基で置換されていてもよいフェノール類;2−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、4−フェノキシフェノール等のアルコキシまたはアリールオキシフェノール類;α−ナフトール、β−ナフトール、3−メチル−α−ナフトール等のアルキル基で置換されていてもよいナフトール類;1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシベンゼン、1,2,3−トリヒドロキシ−5−メチルベンゼン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等のアルキル基で置換されていてもよいポリヒドロキシベンゼン類等のヒドロキシ芳香族化合物とホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の脂肪族アルデヒド類、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド類、アセトン等のアルキルケトン類等のカルボニル化合物とを、例えば、塩酸、硫酸、しゅう酸等の酸触媒の存在下、加熱し、重縮合させることにより製造されたものが挙げられる。なお、上記ヒドロキシ芳香族化合物は本発明に悪影響を与えない限りハロゲン原子、ニトロ基、エステル基等の置換基を有していてもよい。また、これらの樹脂は必要に応じ、さらに、水素等により還元し、短波長領域の吸光度を低くしたものを用いてもよい。本発明では、芳香族アルコール系重合体としてのアルケニルフェノール系重合体であるポリヒドロキシスチレン類が好ましく、特にポリ(p−ヒドロキシスチレン)が好ましい。
【0019】
水酸基を有する化合物の水酸基に導入される保護基としては、メトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−イソプロポキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−tert−ブトキシエチル基、1−n−ペンチルオキシエチル基、1−n−ヘキシルオキシエチル基、1−シクロペンチルオキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、2−オキシラニル基、2−オキセタニル基、2−オキセパニル基、2−オキソカニル基、2−オキソナニル基、2−オキセカニル基、ベンジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。これらの中でも特に、1−エトキシエチル基、テトラヒドロピラニル基が好ましい。
【0020】
水酸基を有する化合物に保護基を導入するために使用される保護化剤としては、エノールエーテル類、ハロゲン化物などが挙げられる。
エノールエーテルとしては、具体的には、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル等のモノビニルエーテル類、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等のジビニルエーテル類、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のトリビニルエーテル類、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等の環状エノールエーテル類、1−メトキシプロペン、1−エトキシプロペン、2−メトキシプロペン、2−エトキシプロペン等の1−アルキル置換または2−アルキル置換のエノールエーテル類等が挙げられる。本発明では、エノールエーテルとしてはモノビニルエーテル類か、環状エノールエーテル類が好ましく、特にエチルビニルエーテル、3,4−ジヒドロ−2H−ピランが好ましい。
【0021】
ハロゲン化物としては、メトキシメチルクロライド、トリフェニルメチルクロライド、ベンジルブロマイド、トリメチルシリルクロライド、トリエチルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリルクロライド、t−ブチルジフェニルシリルクロライドなどが挙げられる。
保護化剤の添加量は、所望とする水酸基を有する化合物の保護率によって異なるが、水酸基を有する化合物の全水酸基に対して、好ましくは5〜50モル%である。
【0022】
水酸基の保護化において触媒を使用する場合、酸触媒又は塩基触媒としては以下のものが挙げられる。
酸触媒としては、具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、しゅう酸等の有機酸、硫酸ピリジン塩、メタンスルホン酸ピリジン塩、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩等の強酸弱塩基の塩、オキシ塩化リン等のルイス酸、アンバーリスト15等の酸性イオン交換樹脂、ポリリン酸、固体酸を生じるゼオライト、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート等の光照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)等が挙げられる。本発明では、無機酸、有機酸、及び強酸弱塩基の塩が好ましく、特に塩酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸ピリジン塩、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩が好ましい。また、反応液中における酸触媒の濃度は、本発明の効果を達成しうるものであれば特に限定されないが、通常、水酸基を有する化合物1モルに対して0.00001〜0.01モルが好ましい。
【0023】
塩基性触媒としては、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のリン化合物が挙げられる。
【0024】
酸触媒を用いた場合に、反応を停止するために用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第1級アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2級アミン類、トリエチルアミン、N,N−ジエチルメチルアミン等の第3級アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等が挙げられる。本発明では、トリエチルアミン等の第3級アミンが好ましく、添加量は酸触媒に対して、1〜20倍当量が好ましい。
【0025】
塩基性触媒を用いた場合に、反応を停止するために用いる酸としては、塩酸、硫酸、燐酸、ホウ酸などの無機酸類、しゅう酸、酢酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸類が挙げられる。
【0026】
親水性部及び疎水性部の双方を含んでいる共重合体としては、分子内に水酸基を一個以上有するモノマーユニットを10〜90モル%、好ましくは50〜90モル%有している共重合体や、少なくとも一種のエーテル鎖を有するモノマーユニットを10〜90重量%、好ましくは50〜90重量%有している共重合体等が挙げられる。
なお、ここでいう共重合体には、ランダム、交互、ブロック等の共重合体が包含される。
上記のような共重合体としては、親水性を示すエチレン性不飽和カルボン酸塩由来のモノマーユニットと、疎水性を示すエチレン性不飽和カルボン酸エステル由来のモノマーユニットを各々少なくとも1種含む共重合体や、水酸基を1個以上有する脂肪族又は芳香族アルコール由来のモノマーユニットと保護された水酸基を1個以上有する脂肪族又は芳香族アルコール由来のモノマーユニットとを各々少なくとも1種含む共重合体等が挙げられる。エチレン性不飽和カルボン酸塩由来のモノマーユニットとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸の塩由来のモノマーユニットが好ましい。一方、エチレン性不飽和カルボン酸エステル由来のモノマーユニットとしては、低Tgで且つ疎水性を示すモノマー由来のユニットが好ましく、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル由来のモノマーユニットが好ましい。ポリマーを構成するエチレン性不飽和カルボン酸又はその塩由来のモノマーユニットとエチレン性不飽和カルボン酸エステル由来のモノマーユニットとの組成比は、前者が10〜90モル% 、後者が90〜10モル% であるのが好ましく、より好ましくは前者が50〜80モル% 、後者が50〜20モル% であり、エチレン性不飽和カルボン酸又はその塩由来のモノマーユニットの割合が10モル% より少ないと、共重合体が水に対して不溶性になる傾向があり、エチレン性不飽和カルボン酸エステル由来のモノマーユニットの割合が10モル% より少ないと皮膜形成性が悪くなる傾向があり、樹脂のゴム状弾性が著しく低下する。なお、本明細書において「化合物由来のモノマーユニット」とは、該化合物をモノマーとして重合を行った結果形成された繰り返し単位のみならず、前述した様に、加水分解等の後処理を施した結果生成した、構造上該化合物に由来する繰り返し単位も含まれる。
【0027】
上記アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルとしては、以下のものが挙げられる。なお、以下の例示のうち、エステル部にエーテル鎖を有するものは親水性部となるものである。
シクロヘキシルアクリル酸、ラウリルアクリル酸、セチルアクリル酸、ステアリルアクリル酸、n−ブチルメタクリル酸、イソブチルメタクリル酸、シクロヘキシルメタクリル酸、2−エチルヘキシルメタクリル酸、tert−ブチルシクロヘキシルメタクリル酸、C10−24アルキルメタクリル酸、ラウリルメタクリル酸、セチルメタクリル酸、ステアリルメタクリル酸、ベヘニルメタクリル酸、分岐アルキル(メタ)アクリル酸、グリシジルメタクリル酸、グリセリンモノメタクリル酸、グリセリンジメタクリル酸、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリル酸、各種脂肪酸変性グリシジルメタクリル酸、N,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチロールプロパントリメタクリル酸、トリメチロールプロパントリアクリル酸、ジンクモノメタクリル酸、ジンクジアクリル酸、2−ヒドロキシエチルメタクリル酸、ヒドロキシプロピルメタクリル酸;
ポリエチレングリコールモノメタクリル酸、ポリエチレングリコールモノアクリル酸、ポリプロピレングリコールモノメタクリル酸、ポリプロピレングリコールモノアクリル酸、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリル酸、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリル酸、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリル酸、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノアクリル酸、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノメタクリル酸、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノアクリル酸、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸、メトキシポリエチレングリコールモノアクリル酸、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリル酸、オクトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリル酸、ラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸、ラウロキシポリエチレングリコールモノアクリル酸、ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリル酸、ステアロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリル酸、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリル酸、アリロキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノアクリル酸、ノニルブェノキシポリエチレングリコールモノアクリル酸、ノニルフェノキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールモノメタクリル酸、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール−ポリエチレングリコールモノメタクリル酸、ノニルフェノキシ(エチレングリコール−ポリプロピレングリコール)モノアクリル酸、ポリエチレングリコールジメタクリル酸、ポリエチレングリコールジアクリル酸、ポリプロピレングリコールジメタクリル酸、ポリプロピレングリコールジアクリル酸、ポリテトラメチレングリコールジメタクリル酸、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリル酸、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチングリコールジメタクリル酸、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−ポリエチングリコールジアクリル酸等。
少なくとも1種のエーテル鎖を有する繰り返し単位としては、上記アクリル酸エステルに限られず、それ以外に由来するものであってもよい。
【0028】
(有機溶媒)
本発明で用いられる有機溶媒は低級アルコール類以外の有機溶媒であり、両親媒性化合物を容易に溶解することができるものであれば特に限定されない。具体的には、エーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒、カーボネート系有機溶媒、ケト系有機溶媒、芳香族炭化水素系有機溶媒、酸無水物系溶媒、脂肪族炭化水素系有機溶媒、ハロゲン系有機溶媒、非プロトン性極性溶媒などが挙げられる。上記各溶媒は、以下のものを例示することができる。
エーテル系:ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等。
エステル系:酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ブタン酸プロピル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ペンタン酸プロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル等。
酸無水物系溶媒:無水酢酸、無水プロピオン酸、無水ブタン酸等。
カーボネート系:炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル等。
ケト系:シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン等。
脂肪族炭化水素系:ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロへキサン等。
芳香族炭化水素系:トルエン、キシレン等。
ハロゲン系:クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン等。
非プロトン性極性溶媒:N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等。
これ等の中でも、高い反応性を示すエーテル系有機溶媒、エステル系有機溶媒、カーボネート系有機溶媒、非プロトン性極性溶媒が好ましく、これらを単独あるいは混合して使用することができる。
【0029】
(極性溶媒)
本発明で用いられる極性溶媒としては水、アルコール類が挙げられる。水としては、イオン交換水、蒸留水などの純水又は水道水を使用できる。レジストなど電子材料製造の場合には純水がより好ましい。
アルコール類としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−プロポキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等の一価アルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の二価アルコール、1,2,4−ブタントリオール、グリセリン等の三価アルコールあるいはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。本発明では、アルコール類として炭素数C1〜C3のアルコールが好ましく、特に炭素数C1〜C2のメタノール、エタノールがより好ましい。本発明においてアルコール類の添加量は、化合物が析出しない量が好ましく、より好ましくは溶液全体の1〜50重量%である。
【0030】
前記極性溶媒としてアルコール類を使用する場合には、上記有機溶媒に制限はないが、水を使用する場合には、有機溶媒としては、1重量%以上の水溶解性を有するテトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶媒、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル系有機溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系有機溶媒、メチルエチルケトン等のケト系有機溶媒が含まれている有機溶媒系を使用することが好ましい。さらに好ましくは、エステル系有機溶媒の単独又は混合溶媒が使用される。
極性溶媒と有機溶媒との混合比は、有機溶媒が極性溶媒に対して過剰であることが好ましい。具体的には、有機溶媒が50重量%以上の混合比であることが好ましく、70重量%以上がより好ましく、90重量%以上がさらに好ましい。極性溶媒として水を使用する場合には、少なくとも水が1重量%以上混合していることが好ましい。
【0031】
(イオン交換樹脂)
本発明で用いられるイオン交換樹脂としては、陰イオン交換能を有する官能基が導入された陰イオン交換樹脂、陽イオン交換能を有する官能基が導入された陽イオン交換樹脂、さらには両性イオン交換樹脂が挙げられる。陰イオン交換樹脂や陽イオン交換樹脂は、それぞれ官能基の酸性、塩基性の強さによって、四級アミン等を官能基として持つ強塩基性陰イオン交換樹脂、三級アミン等を官能基として持つ弱塩基性陰イオン交換樹脂、スルホン酸基等を官能基として持つ強酸性陽イオン交換樹脂、カルボキシル基等を官能基として持つ弱酸性陽イオン交換樹脂に分けられる。両性イオン交換樹脂はイオン交換能を有する官能基としてアミノ基、イミノ基、アンモニウム基などの塩基性基と、フェノール性ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基などの酸性基の双方を有するものである。イオン交換樹脂の樹脂母体の構造にはスチレン系、アクリル系、メタクリル系等が挙げられる。また、イオン交換樹脂は、架橋度や多孔性等、高分子基体構造の違いによって、ゲル型またはマクロポーラス型の分類を持つ。本発明において用いることができるイオン交換樹脂は特に限定されるものではなく、一般的なイオン交換樹脂に用いられているイオン交換樹脂の種類、イオン交換能を有する官能基、樹脂母体、高分子基体構造のものを使用できる。
【0032】
本発明でのイオン交換樹脂の使用方法は、陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、両性イオン交換樹脂のそれぞれ単独での使用、あるいはこれら2種以上を組み合わせる使用が挙げられる。陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、両性イオン交換樹脂の2種以上を組み合わせて使用する場合には、それら2種以上の混合物を同時に使用する方法、またはそれらを別々に使用する方法が挙げられる。陰イオン交換樹脂、陽イオン交換樹脂、両性イオン交換樹脂の2種以上を別々に使用する方法には、例えば、水酸基を有する化合物を酸触媒で水酸基を保護化させて、その反応を塩基性化合物で停止させる場合、極性溶媒の存在下、最初に陰イオン交換樹脂で酸成分を除去した後、陽イオン交換樹脂で塩基性イオン交換樹脂除去する方法が挙げられる。
【0033】
本発明において好適に用いられるイオン交換樹脂およびその使用方法は、弱酸性陽イオン交換樹脂および強塩基性陰イオン交換樹脂の混合物であり、混合重量比は弱酸性陽イオン交換樹脂1に対して強塩基性陰イオン交換樹脂0.5〜10が好ましい。
【0034】
(イオン交換樹脂による精製)
両親媒性化合物を含有する溶液を精製するために、イオン交換樹脂と接触させる方法として、代表的なものではバッチ法とカラム法が挙げられる。バッチ法とは、両親媒性化合物溶液中に直接イオン交換樹脂を投入し、攪拌機で攪拌しながらイオン交換樹脂を接触させる方法である。カラム法とは、所定のサイズを持つカラムにイオン交換樹脂を充填し、両親媒性化合物溶液をカラム中に通液または循環させることによりイオン交換樹脂と接触させる方法である。
本発明では、バッチ法またはカラム法とも好適に用いられる。なお、両親媒性化合物溶液をイオン交換樹脂と接触させるイオン交換樹脂処理の液温は10℃〜60℃が好ましい。より好ましくは20℃〜50℃である。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
【0036】
[実施例1]
1)両親媒性重合体溶液の調製
反応層に35重量%濃度のポリ−p−t−ブトキシスチレン・テトラヒドロフラン溶液33.66gを仕込んだ。この溶液にメタンスルホン酸1.36gを加えて9時間還流した。室温に降温させた後、トリエチルアミンを0.01g加え、35重量%濃度の両親媒性ポリ−p−ヒドロキシスチレン重合体溶液を得た。
2)イオン交換樹脂によるイオン性不純物の除去
強塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)社製 商品名:オルライトDS−5:スチレン系、マクロポーラス型)24.0gおよび弱酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)社製 商品名:アンバーライトIRC76:アクリル系、マクロポーラス型)6.0gを混合して液温40℃に保持したイオン交換樹脂カラムにテトラヒドロフラン/水混合溶液を通液させ、安定状態とした。上記両親媒性重合体溶液に水を3.3g加えて通液し、サンプル分取を行った。メタンスルホン酸、トリエチルアミンの濃度をイオンクロマト法により測定したところ、0.5ppm以下であった。
【0037】
[実施例2]
1)両親媒性重合体溶液の調製
ナス型フラスコにポリスチレン末端がブロモイソ酪酸で置換された誘導体2.50gを入れ、トルエン45g加えた。これにメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートを22.50g、トルエン30g加えて脱気を行い、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムを0.087g、トリ−n−ブチルアミン0.07g加えて80℃の浴温で加温した。室温に降温させ、ポリエチレングリコール鎖を含む両親媒性重合体溶液を得た。
2)イオン交換樹脂によるイオン性不純物の除去
強塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)社製 商品名:オルライトDS−5:スチレン系、マクロポーラス型)24.0gおよび弱酸性陽イオン交換樹脂(オルガノ(株)社製 商品名:アンバーライトIRC76:アクリル系、マクロポーラス型)6.0gを混合して液温40℃に保持したイオン交換樹脂カラムにトルエン/水混合溶液を通液させ、安定状態とした。上記両親媒性重合体溶液に水を10g加えて通液し、サンプル分取を行った。トリ−n−ブチルアミンの濃度をイオンクロマト法により測定したところ、0.5ppm以下であった。
【0038】
[比較例1]
実施例1と同様の方法で合成した両親媒性ポリp−ヒドロキシスチレン溶液を水洗したところ白濁し、界面が認められなかった。
【0039】
[比較例2]
実施例1と同様の方法で合成した両親媒性ポリp−ヒドロキシスチレンをエチルビニルエーテル存在下、エトキシエチル化し有機溶媒に可溶なものへ誘導した。これを水洗したところ、エトキシエチル化したポリp−ヒドロキシスチレン溶液中のメタンスルホン酸の濃度はイオンクロマト法の測定結果、1ppm以上であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低級アルコール以外の有機溶媒中、両親媒性化合物を製造する方法において、両親媒性化合物の有機溶媒溶液に極性溶媒を混合した後、該混合液をイオン交換樹脂と接触させることによって両親媒性化合物を精製することを特徴とする両親媒性化合物の製造方法。
【請求項2】
両親媒性化合物が分子内に親水性部と疎水性部を有する共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の両親媒性化合物の製造方法。
【請求項3】
共重合体が、分子内に水酸基を1個以上有するモノマーユニットを50モル%以上含む共重合体、又は少なくとも1種のエーテル鎖を有するモノマーユニットを50重量%以上含む共重合体であることを特徴とする請求項2に記載の両親媒性化合物の製造方法。
【請求項4】
極性溶媒が水及びアルコール類からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む溶媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の両親媒性化合物の製造方法。
【請求項5】
極性溶媒の混合量が、両親媒性化合物が析出しない量であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の両親媒性化合物の製造方法。

【公開番号】特開2011−178959(P2011−178959A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46888(P2010−46888)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】