説明

両面テープ・スタンパ

【課題】被貼付面に対して両面粘着剤層をスポット状あるいはライン状のいずれにも選択して貼付できるようにすること。
【解決手段】スライダ40を被貼付面に当接してコイルスプリング50の弾性力に抗して被貼付面から後退して、スライダを剥離紙排出部30と係合し、剥離紙排出部を回転して、両面テープ1の剥離紙2をケース外部に排出する。この動作に伴ってクラッチ機構60を介して転移ローラ20が回転して、両面テープから両面粘着剤層を分離し、分離された両面粘着剤層を転移ローラによって被貼付面に押圧する。この押圧を解除することにより、両面テープから分離され、切り込みによって切断された両面粘着剤層を被貼付面にスポット状に貼付する。また、転移ローラ及び両面粘着剤層を被貼付面に押圧した状態で、被貼付面上を移動させ、その後、押圧を解除することにより、両面粘着剤層を被貼付面にライン状に貼付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は両面テープ・スタンパに関するもので、更に詳細には、被貼付面に両面粘着剤層をスポット状あるいは所定の長さのライン状に貼付可能にした両面テープ・スタンパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばポスターや写真等の貼付や封筒の糊付け等に両面テープが使用されている。この両面テープには、心材の両面に粘着剤層を形成した両面粘着剤層と剥離紙を積層したロール状のものが使用されている。
【0003】
上記両面テープを貼付するスタンパとして、両面テープを支持するテープ保持体と、剥離紙を支持する剥離紙保持体と、テープ保持体及び剥離紙保持体にそれぞれ設けられて互いに噛合するギアと、テープ保持体から引き出された両面テープから分離された両面粘着剤層を切断する切断刃ホルダと、を具備するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、別のスタンパとして、ケース内に内蔵されている両面テープと、両面テープが巻き掛けられており、両面テープ本体を被貼付面に貼付するとき当該部分で両面テープ本体と剥離テープとが分離される転移部と、転移部で分離された剥離紙をケース外に排出する剥離紙排出部と、ケース外に排出された剥離紙を切断する切断手段と、を具備するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、更に別のスタンパとして、両面接着テープ部位を担持している裏打ち材ウエブ(剥離紙)を、ロールから位置決め補助具を経て案内ローラに移動し、駆動ローラの回りを巻き、圧力ローラへ案内して、両面接着テープ部位を裏打ち材ウエブから分離して、被貼付面に貼付する構造のものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平7−252010号公報(段落番号0016〜0020、図4,図5)
【特許文献2】特開2000−302316号公報(特許請求の範囲、図1,図5)
【特許文献3】特開2004−175572号公報(特許請求の範囲、段落番号0099、図2,図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開平7−252010号公報に記載のものは、テープ保持体から引き出された両面テープの両面粘着剤層を剥離紙から分離して被貼付面に貼付した後、切断刃ホルダの切断刃で切断する構造であるため、構造が複雑な上、貼付作業が面倒であった。特に、両面粘着剤層をスポット状に貼付する場合において長さのコントロールが難しいという問題があった。
【0007】
また、特開2000−302316号公報に記載のものは両面テープを支持する保持体を具備し、両面テープから分離された剥離紙を外部に排出する構造であるため、特開平7−252010号公報に記載のものに比べて構造を簡単にすることができる。しかし、特開2000−302316号公報に記載のものにおいても、両面粘着剤層を必要な長さまで貼付した後、指でケースの両側面のほぼ中央を押圧してテープロール体の回転を停止させた状態で、排出口から排出された剥離紙を切断刃によって切断するため、貼付作業が面倒であった。また、特に、両面粘着剤層をスポット状に貼付する場合において長さのコントロールが難しいという問題があった。
【0008】
また、特開2004−175572号公報に記載のものは、両面接着テープ部位(両面粘着剤層)をスポット状に貼付することができるが、ライン状に貼付することができないという問題がある。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で、被貼付面に対して両面粘着剤層をスポット状あるいはライン状のいずれにも選択して貼付できるようにした両面テープ・スタンパを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、剥離紙に両面粘着剤層が積層されたロール状の両面テープから両面粘着剤層を被貼付面にスポット状又はライン状に貼付する両面テープ・スタンパであって、 上記両面粘着剤層に、上記両面テープの長手方向に沿って所定のピッチをおいて切り込みを形成した両面テープと、 上記両面テープを回転可能に保持するテープ保持部を有するケースと、 上記テープ保持部から引き出された両面テープを巻き掛け反転し、両面テープから分離された上記両面粘着剤層を上記被貼付面に転移する回転可能な転移ローラと、 上記両面粘着剤層が分離された剥離紙を上記ケース外へ排出する回転可能な剥離紙排出部と、 上記ケースに摺動自在に装着されると共に、弾性力を付勢して上記被貼付面に対して進退可能に形成され、かつ、上記剥離紙排出部を所定角度回転すべく剥離紙排出部と間欠的に係合する、被貼付面に摺接可能なスライダと、 上記弾性力に抗して上記スライダを被貼付面から後退して上記転移ローラを被貼付面に押圧する際に、上記両面テープから両面粘着剤層を上記切り込みのピッチに対応して移動すべく転移ローラを所定角度回転し、逆移動を阻止するクラッチ機構と、を具備してなり、 上記弾性力に抗して上記スライダを被貼付面から後退して、上記転移ローラの回転により上記両面テープから分離した両面粘着剤層を伴って上記転移ローラを被貼付面に押圧した後、この押圧を解除して、上記両面テープから分離され、上記切り込みによって切断された両面粘着剤層の被貼付面へのスポット状の貼付、又は、上記転移ローラ及び両面粘着剤層を押圧した状態で、被貼付面上を移動させて両面粘着剤層の被貼付面へのライン状の貼付のいずれかを選択的に行えるように形成してなる、ことを特徴とする。
【0011】
このように構成することにより、スライダを被貼付面に当接して弾性力に抗してスライダを被貼付面から後退すると、スライダが剥離紙排出部と係合し、剥離紙排出部を所定角度回転して、両面テープの剥離紙をケース外部に排出する。この動作に伴ってクラッチ機構を介して転移ローラが所定角度回転して、テープ保持部から引き出された両面テープを転移ローラに巻き掛け移動する動作が同時に進行して、両面粘着剤層が転移ローラによって被貼付面に押圧される。この押圧を解除することにより、両面テープから分離され、切り込みによって切断された両面粘着剤層を被貼付面にスポット状に貼付することができる。また、転移ローラ及び両面粘着剤層を被貼付面に押圧した状態で、被貼付面上を移動させることにより、両面粘着剤層を被貼付面にライン状に貼付することができる。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、剥離紙に両面粘着剤層が積層されたロール状の両面テープから両面粘着剤層を被貼付面にスポット状又はライン状に貼付する両面テープ・スタンパであって、 上記両面粘着剤層に、上記両面テープの長手方向に沿って所定のピッチをおいて切り込みを形成した両面テープと、 上記両面テープを回転可能に保持するテープ保持部を有するケースと、 上記テープ保持部から引き出された両面テープを上記剥離紙と両面粘着剤層とに分離する分離部と、 上記分離部で分離された両面粘着剤層を上記被貼付面に転移する回転可能な転移ローラと、 上記分離部で分離された剥離紙を上記ケース外へ排出する回転可能な剥離紙排出部と、 上記ケースに摺動自在に装着されると共に、弾性力を付勢して上記被貼付面に対して進退可能に形成され、かつ、上記剥離紙排出部を所定角度回転すべく剥離紙排出部と間欠的に係合する、被貼付面に摺接可能なスライダと、 上記弾性力に抗して上記スライダを被貼付面から後退して上記転移ローラを被貼付面に押圧する際に、上記両面テープから両面粘着剤層を上記切り込みのピッチに対応して移動すべく転移ローラを所定角度回転し、逆移動を阻止するクラッチ機構と、を具備してなり、 上記弾性力に抗して上記スライダを被貼付面から後退して、上記両面テープから分離した両面粘着剤層を伴って上記転移ローラを被貼付面に押圧した後、この押圧を解除して上記切り込みによって切断された両面粘着剤層の被貼付面へのスポット状の貼付、又は、上記転移ローラ及び両面粘着剤層を押圧した状態で、被貼付面上を移動させて両面粘着剤層の被貼付面へのライン状の貼付のいずれかを選択的に行えるように形成してなる、ことを特徴とする。
【0013】
このように構成することにより、スライダを被貼付面に当接して弾性力に抗してスライダを被貼付面から後退すると、スライダが剥離紙排出部と係合し、剥離紙排出部を所定角度回転して、両面テープの剥離紙をケース外部に排出する。この動作に伴ってクラッチ機構を介して転移ローラが所定角度回転する動作と、テープ保持部から引き出された両面テープが分離部で両面粘着剤層が剥離紙から分離される動作と、が同時に進行して、分離部で分離された両面粘着剤層が転移ローラによって被貼付面に押圧される。この押圧を解除することにより、切り込みによって切断された両面粘着剤層を被貼付面にスポット状に貼付することができる。また、転移ローラ及び両面粘着剤層を被貼付面に押圧した状態で、被貼付面上を移動させることにより、両面粘着剤層を被貼付面にライン状に貼付することができる。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の両面テープ・スタンパにおいて、上記分離部を、転移ローラの近傍位置に配設され、テープ保持部から引き出された両面テープを巻き掛け、剥離紙排出部側へ反転させる反転ローラにて形成してなる、ことを特徴とする。
【0015】
このように構成することにより、テープ保持部から引き出された両面テープを反転ローラによって反転することで、両面テープに積層されている両面粘着剤層が切り込み部を始点として剥離紙から分離される。
【0016】
また、請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の両面テープ・スタンパにおいて、上記剥離紙排出部は、外周に両面粘着剤層の切り込みピッチに対応するピッチを有する送り用突起を突設したカムホィールを具備し、上記両面テープは、上記送り用突起に係合可能な送り孔を穿設してなる、ことを特徴とする。
【0017】
このように構成することにより、剥離紙排出部を構成するカムホィールの外周に突設された送り用突起と、両面テープに穿設された送り孔とが係合した状態で、剥離紙をケース外部へ排出することができる。
【0018】
また、請求項5記載の発明は、請求項4記載の両面テープ・スタンパにおいて、上記送り孔が、両面粘着剤層の幅方向に渡って形成される切り込みの中間部に跨って設けられている、ことを特徴とする。
【0019】
このように構成することにより、送り孔を、両面粘着剤層の幅方向に渡って形成される切り込みの中間部に跨って設けることで、両面テープに送り孔を穿設することによる両面テープの強度の低下を抑制することができる。また、分離部における両面テープからの両面粘着剤層の分離を送り孔が助長することができる。
【0020】
また、請求項6記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の両面テープ・スタンパにおいて、 上記剥離紙排出部は、周方向に両面粘着剤層の切り込みピッチに対応するピッチを有する従動突起を突設した排出用ギアを具備し、 上記スライダは、このスライダの摺動に伴って上記従動突起に間欠的に係合する駆動突起と、摺動方向に沿う長孔部のスライダ先端部側に膨隆孔部を有するガイド孔を具備し、 上記クラッチ機構は、上記ケースに揺動自在に枢着されると共に、上記ガイド孔内に係合可能に挿入されるガイドピンを有するスウィングレバーと、このスウィングレバーに回転自在に枢着されると共に互いに噛合され、一方は上記排出用ギアに接離可能に噛合し、他方は上記転移ローラと同軸上に装着された転移ローラ回転用ギアに接離可能に噛合する遊星ギアを具備する、ことを特徴とする。
【0021】
このように構成することにより、スライダの直線運動を剥離紙排出部の所定角度の間欠回転運動に変換すると共に、転移ローラの所定角度の回転運動を連動して行うことができろ。また、転移ローラが所定角度回転した後に、転移ローラが逆回転すると、遊星ギアと排出用ギア及び転移ローラ回転用ギアとの噛合が解かれて、両面テープの引き出しは行われない。また、このとき、転移ローラの回転は規制されずフリーとなるので、点ローラを逆回転しても故障が生じない。
【0022】
また、請求項7記載の発明は、請求項1,2,3,4又は6に記載の両面テープ・スタンパにおいて、上記剥離紙排出部の逆転防止機構を更に具備する、ことを特徴とする。
【0023】
このように構成することにより、剥離紙排出部の逆転を防止して、両面テープの引き出し側の弛みを防止することができる。
【0024】
加えて、請求項8記載の発明は、請求項1,2,3,4,6又は7に記載の両面テープ・スタンパにおいて、上記剥離紙排出部に、この剥離紙排出部に対する剥離紙のずれを規制するずれ防止部を更に具備する、ことを特徴とする。
【0025】
このように構成することにより、剥離紙排出部に係合する剥離紙の幅方向及び剥離紙排出部からの離反方向のずれを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
この発明の両面テープ・スタンパによれば、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0027】
(1)請求項1,2,3記載の発明によれば、ばね部材の弾性力に抗してスライダを被貼付面から後退して、両面テープから分離した両面粘着剤層を伴って転移ローラを被貼付面に押圧した後、この押圧を解除して切り込みによって切断された両面粘着剤層の被貼付面へのスポット状貼付、又は、転移ローラ及び両面粘着剤層を押圧した状態で、被貼付面上を移動させて両面粘着剤層の被貼付面へのライン状貼付を選択的に行うことができるので、切断手段を必要とすることなく、転移ローラの押し付けと押しつけの解除の簡単な操作のみによって、被貼付面上に両面粘着剤層をスポット状あるいは所定の長さのライン状に貼付することができる。
【0028】
(2)請求項4記載の発明によれば、剥離紙排出部を構成するカムホィールの外周に突設された送り用突起と、両面テープに穿設された送り孔とが係合した状態で、剥離紙をケース外部へ排出することができるので、上記(1)に加えて、更にテープ保持部から引き出される両面テープの移動を確実にすることができると共に、移動量を切り込みのピッチに合わせることができる。
【0029】
(3)請求項5記載の発明によれば、両面テープに送り孔を穿設することによる両面テープの強度の低下を抑制することができるので、使用中に両面テープが不用意に切断する心配がない。また、分離部における両面テープからの両面粘着剤層の分離を送り孔が助長することができるので、両面テープからの両面粘着剤層の分離を更に容易かつ確実にすることができる。更には、被貼付面にライン状に貼付された状態において、両面粘着剤層の一部に送り孔の空気層ができるので、ここへ被貼付面の貼付部に抱き込まれた気泡(空気)が逃げ易くなることにより、しわが生ずるのを防止することができる。
【0030】
(4)請求項6記載の発明によれば、スライダの直線運動を剥離紙排出部の所定角度の間欠回転運動に変換すると共に、転移ローラの所定角度の回転運動を連動して行うことができるので、上記(1),(2)に加えて、更に駆動部の機構をコンパクトにすることができると共に、構成部材の削減を図ることができる。また、転移ローラが所定角度回転した後に、転移ローラが逆回転すると、遊星ギアと排出用ギア及び転移ローラ回転用ギアとの噛合が解かれて、両面テープの引き出しは行われないので、両面テープの無駄な引き出しを防止することができる。
【0031】
(5)請求項7記載の発明によれば、剥離紙排出部の逆転防止機構により、剥離紙排出部の逆転を防止して、両面テープの引き出し側の弛みを防止することができるので、更に両面粘着剤層の貼付を容易かつ正確に行うことができる。
【0032】
(6)請求項8記載の発明によれば、剥離紙排出部に係合する剥離紙の幅方向及び剥離紙排出部からの離反方向のずれを防止することができるので、使用中に剥離紙が剥離紙排出部から不用意に離脱するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】
◎第1実施形態
図1は、この発明に係る両面テープ・スタンパの第1実施形態の全体を示す概略側面図、図2は、両面テープ・スタンパの要部を示す概略斜視図、図3は、両面テープ・スタンパの要部を示す分解斜視図、である。
【0035】
上記両面テープ・スタンパは、剥離紙2に両面粘着剤層3が積層され、両面粘着剤層3に長手方向に沿って所定のピッチをおいて切り込み6を形成した両面テープ1と、両面テープ1を収容し、この両面テープ1を回転自在に保持するテープ保持部12を有するケース10と、テープ保持部12から引き出された両面テープ1を剥離紙2と両面粘着剤層3とに分離する分離部15と、分離部15で分離された両面粘着剤層3を被貼付面8に転移する回転可能な転移ローラ20と、分離部15で分離された剥離紙2をケース外へ排出する回転可能な剥離紙排出部30と、ケース10に摺動自在に装着されると共に、被貼付面8に対して進退可能に形成され、かつ、剥離紙排出部30を所定角度回転すべく剥離紙排出部30と間欠的に係合する、被貼付面8に摺接可能なスライダ40と、スライダ40を常時突出方向に弾性力を付勢するばね部材例えば引っ張り用コイルスプリング50と、コイルスプリング50の弾性力に抗してスライダ40を被貼付面8から後退して転移ローラ20を被貼付面8に押圧する際に、両面テープ1から両面粘着剤層3を切り込み6のピッチに対応して移動すべく所定角度回転し、両面粘着剤層3の逆移動を阻止するクラッチ機構60とで主に構成されている。
【0036】
上記両面テープ1は、図5ないし図7に示すように、外側に両面粘着剤層3を有するロール状に形成されている。ここで、両面粘着剤層3は、例えば不織布,和紙あるいはフィルム等からなる心材4の両面に粘着剤5を積層したサンドイッチ構造に形成されており、一方の粘着剤5に剥離紙2が積層されている。なお、この場合、両面粘着剤層3の厚さは心材4の厚さ5〜50μmを含めて約20〜200μmであり、剥離紙2の厚さは40〜200μmである。また、両面テープ1における両面粘着剤層3は、両面テープ1の長さ方向に沿って適宜間隔例えば12mmピッチに両面粘着剤層3の幅方向に渡って切り込み6が形成されている。また、両面テープ1の幅方向の中間部には、後述する剥離紙排出部30のカムホィール31の外周面に突設された送り用突起32と係合可能な円形状の送り孔7が穿設されている。この場合、送り孔7は、切り込み6に跨って設けられている。
【0037】
上記のように、両面テープ1に穿設される送り孔7を、両面粘着剤層3の幅方向に渡って形成される切り込み6に跨って設けることにより、分離部15における両面テープ1からの両面粘着剤層3の分離を送り孔7が助長することができるので、両面テープ1からの両面粘着剤層3の分離を更に容易かつ確実にすることができる。更には、両面粘着剤層3が被貼付面8にライン状に貼付された状態において、両面粘着剤層3の一部に送り孔7の空気層ができるので、ここへ被貼付面の貼付部に抱き込まれた気泡(空気)が逃げ易くなることにより、しわが生ずるのを防止することができる。
【0038】
上記ケース10は、互いに着脱可能に嵌合する側壁11を有する一対の例えばポリスチレン製のケース半体10aにて形成されている。なお、ケース10の側面には、図示しないカバーが着脱可能に被着されている。
【0039】
上記テープ保持部12はケース10の上部の一側部に設けられている。このテープ保持部12は、一方のケース半体10aのベース部から起立する円筒体12aを具備しており、この円筒体12aの周方向の対向する2箇所には、スリット12bを介して円筒体12aと分離される、先端部外側に係止爪12cを突設した係止片12dが設けられている。
【0040】
このように形成されるテープ保持部12に、ロール状の両面テープ1が着脱可能に、かつ、係止爪12cの圧接による摩擦抵抗を付与された状態で回転可能に嵌装されている。
【0041】
上記分離部15は、一方のケース半体10aのベース部における転移ローラ20の近傍位置に立設された支持軸(図示せず)に装着される反転ローラ16によって形成されている。この反転ローラ16は、テープ保持部12から引き出され、ガイドローラ17によって案内された両面テープ1を巻き掛けて、剥離紙排出部30側へ反転させるようになっている。
【0042】
このように、分離部15をテープ保持部12から引き出された両面テープ1を剥離紙排出部30側に反転する反転ローラ16によって形成することにより、両面テープ1に積層されている両面粘着剤層3が両面テープ1の引き出し方向の前方側の切り込み6部を始点として剥離紙2から分離(剥離)される。この際、両面テープ1に穿設される送り孔7を、両面粘着剤層3の幅方向に渡って形成される切り込み6に跨って設けることにより、分離部15における両面テープ1からの両面粘着剤層3の分離を送り孔7が助長することができるので、両面テープ1からの両面粘着剤層3の分離(剥離)を更に容易かつ確実にすることができる。
【0043】
上記剥離紙排出部30は、外周に両面粘着剤層3の切り込みピッチに対応するピッチを有する複数(図面では、6個場合を示す)の送り用突起32を突設したカムホィール31と、周方向に両面粘着剤層3の切り込みピッチに対応するピッチを有する複数(図面では、6個場合を示す)の従動突起33を一側面に突設した排出用ギア34を具備している。この場合、カムホィール31と排出用ギア34は、それぞれ中心部に小判状の透孔(図示せず)が設けられており、これら透孔を、一方のケース半体10aのベース部に立設された支持軸(図示せず)に回転自在に嵌合される回転軸35に嵌装して、回転軸35と一体に回転し得るように構成されている。
【0044】
この場合、カムホィール31及び排出用ギア34は共に例えばABS樹脂製材料にて形成されている。また、カムホィール31の外周に突設される送り用突起32は、先端部に狭小テーパを有する截頭円錐状に形成されており、両面テープ1に設けられた送り孔7との係合が円滑に行われるようになっている。また、排出用ギア34の一側面に突設される従動突起33は、排出用ギア34の同心円上に設けられており、側面視における中心側の半分に半円弧状部33aを有し、外周側の半分に直角部33bを有している(図4参照)。このように形成される従動突起33は、後述するスライダ40に設けられた駆動突起43に間欠的に係合されるようになっている。
【0045】
上記スライダ40は例えばABS樹脂製材料にて形成されている。このスライダ40は、図3に示すように、中央部には、長手方向に沿うスライド長孔41が設けられ、先端部(下端部)には、被貼付面8に摺接する円弧状部42が形成されている。また、スライダ40の基端部側(上端部側)の一側には、上記従動突起33に間欠的に係合する駆動突起43が設けられ、他側には摺動方向に沿う長孔部44aと、この長孔部44aのスライダ先端部側から中心側に向かって延在する膨隆孔部44bを有するガイド孔44が設けられている。なお、駆動突起43は、係合面43aが平坦状に形成され、係合面43aの背面43bがスライダ40の先端側に向かって下り勾配となっている。また、スライド長孔41と駆動突起43との間には、駆動突起43を有する部分に弾性変形をもたせるために、基端側(上端側)が開口するスリット45が設けられている。このようにスリット45を設けることにより、スライダ40が被貼付面8から後退する方向に移動して駆動突起43がカムホィール31の従動突起32に係合してカムホィール31を回転した後、コイルスプリング50の弾性力によってスライダ40が元の状態すなわちケース10から突出する状態に戻る際に、駆動突起43の背面43bが従動突起33に当たると、スリット45によりスライダ40の一部が変形して駆動突起43が従動突起33を乗り越えて元の状態に戻ることができる。このように形成されるスライダ40は、両面粘着剤層3の貼付の際の位置決め機能を有している。
【0046】
なお、スライダ40の基端側(上端側)の一側には、コイルスプリング50の一端を係止するばね受けピン46が突設されている。
【0047】
上記のように形成されるスライダ40は、先端部側がケース10の側壁11に設けられた切欠き部11a内に配設された状態で、スライド長孔41を、一方のケース半体10aのベース部から起立した2個のガイドピン18に摺動自在に嵌装され、そして、ばね部材例えば引っ張り用コイルスプリング50の一端をスライダ40のばね受けピン46に係止し、他端をケース10に設けられたばね受け部19に係止することによって、スライダ40は常時突出方向に弾性力(コイルスプリング50の引っ張り力)が付勢された状態でケース10に装着される。なお、ばね部材は必ずしも引っ張り用コイルスプリングである必要はなく、その他の引っ張りばねであってもよく、あるいは、スライダ40を常時突出方向に弾性力を付勢する圧縮ばねであってもよい。
【0048】
上記クラッチ機構60は、図1及び図3に示すように、ケース10のベース部から起立する支持軸(図示せず)に揺動自在に枢着されると共に、スライダ40に設けられたガイド孔44内に係合可能に挿入されるガイドピン61を有するスウィングレバー62と、このスウィングレバー62に突設された支持軸63a,63bにそれぞれ回転自在に枢着されると共に互いに噛合される一対の遊星ギア64a,64bを具備している。そして、一方の遊星ギア64aは排出用ギア34に接離可能に噛合し、他方の遊星ギア64bは転移ローラ20と同軸上に装着された転移ローラ回転用ギア23に接離可能に噛合されている。この場合、スウィングレバー62及び遊星ギア64a,64bは、例えばABS樹脂製材料にて形成されている。
【0049】
上記転移ローラ20は、例えばポリスチレン製材料にて形成されており、その外周側表面には、例えばシリコンゴム等の弾性被覆層21aが被覆されている。なお、転移ローラ20の外周側表面は弾性を有するものであれば、必ずしも弾性被覆層21aを被覆する必要はない。この転移ローラ20は、ケース10のベース部から起立する支持軸(図示せず)に回転自在に枢着される回転軸22に転移ローラ回転用ギア23と共に装着されている。
【0050】
上記のように構成される、スライダ40,剥離紙排出部30及びクラッチ機構60によれば、スライダ40がコイルスプリング50の弾性力(引っ張り力)に抗して被貼付面8から後退する方向に直線移動すると、スライダ40の駆動突起43が剥離紙排出部30の従動突起33に係合して剥離紙排出部30の排出用ギア34を所定角度すなわち切り込みピッチに対応する角度、図1において反時計方向に回転する。この回転に伴って排出用ギア34に噛合する遊星ギア64aが図1において時計方向に回転し、この遊星ギア64aに噛合する遊星ギア64bが図1において反時計方向に回転し、更に遊星ギア64bに噛合する転移ローラ回転用ギア23と共に転移ローラ20が図1において時計方向に回転して、分離部15の反転ローラ16によって分離された両面粘着剤層3を切り込みピッチに対応した長さ分移動して被貼付面8に押圧することができる。この状態において、スライダ40の被貼付面8から後退する方向への移動に伴ってスウィングレバー62に設けられたガイドピン61が、スライダ40のガイド孔44の長孔部44aから膨隆孔部44b側に案内可能になっており、転移ローラ20が逆回転(図1において反時計方向に回転)しようとすると、その反力によってスウィングレバー62が図1において時計方向に回転して、遊星ギア64a,64bと排出用ギア34,転移ローラ回転用ギア23との噛合が解かれて、両面テープ1の移動は阻止、すなわち両面テープ1の引き出しは行われない。また、このとき、転移ローラ20の回転は規制されずフリーの状態となるので、転移ローラ20を逆回転しても故障が生じない。
【0051】
なお、剥離紙排出部30の排出用ギア34には逆転防止機構としてのラチェット爪70が図示しないばね力を付勢して係合されている(図1及び図2参照)。
【0052】
このように、剥離紙排出部30の排出用ギア34に逆転防止機構としてのラチェット爪70を係合させることにより、剥離紙排出部30の逆回転を防止することができるので、テープ保持部12から引き出された両面テープ1の弛みを防止することができる。
【0053】
また、剥離紙排出部30の上方側には、この剥離紙排出部30に対する剥離紙2のずれを規制するずれ防止部80が設けられている。このずれ防止部80は、図1ないし図3に示すように、ケース10のベース部における剥離紙排出部30の上方部位に回転可能に枢着される回転筒部81と、この回転筒部81に一端部が連結される一対の湾曲アーム82と、両湾曲アーム82の自由端部間及び中間部間に架設される軸83の両端部に装着され、剥離紙2の側端部に係合可能な位置規制ローラ84と、回転筒部81の回転部に介設され、位置規制ローラ84を常時カムホィール31側に押圧すべく弾性力を付勢する押圧ばね85とを具備している。
【0054】
このように構成されるずれ防止部80によれば、剥離紙排出部30のカムホィール31に係合する剥離紙2の幅方向及び剥離紙排出部30からの離反方向のずれを防止することができるので、使用中に剥離紙2が剥離紙排出部30から不用意に離脱する虞がない。
【0055】
次に、第1実施形態の両面テープ・スタンパの動作態様について、図8及び図9を参照して説明する。
【0056】
<スポット貼付>
被貼付面8に両面粘着剤層3をスポット状に貼付するには、まず、両面テープ・スタンパを被貼付面8の貼付する位置にスライダ40の先端部を当接してセットする(図8(a)参照)。この状態で、スライダ40をコイルスプリング50の弾性力に抗して被貼付面8から後退する。すると、図4に示すように、スライダ40の駆動突起43が剥離紙排出部30の排出用ギア34に設けられた従動突起33に係合して、排出用ギア34を所定角度すなわち切り込みピッチに対応する角度回転すると同時に、カムホィール31を同様に切り込みピッチに対応する角度回転して剥離紙2をケース10の外部へ排出する。この動作に伴って排出用ギア34と噛合する遊星ギア64aが回転し、この遊星ギア64aに噛合する遊星ギア64bが回転し、更に遊星ギア64bに噛合する転移ローラ回転用ギア23と共に転移ローラ20が回転して、分離部15の反転ローラ16によって分離された両面粘着剤層3を切り込みピッチに対応した長さ分移動して被貼付面8に押圧する(図8(b)参照)。この状態において、転移ローラ20が逆回転(図8において反時計方向に回転)しようとすると、その反力によってスウィングレバー62が図8において時計方向に回転して、遊星ギア64a,64bと排出用ギア34,転移ローラ回転用ギア23との噛合が解かれて、両面テープ1の引き出しは行われない。次に、押圧状態を解除して転移ローラ20を被貼付面8から離すと、切り込み6によって切断された両面粘着剤層3が被貼付面8にスポット状に貼付される(図8(c)参照)。
【0057】
<ライン貼付>
被貼付面8に両面粘着剤層3をライン状に貼付するには、まず、スポット状に貼付する場合と同様に、両面テープ・スタンパを被貼付面8の貼付する位置にスライダ40の先端部を当接してセットする(図9(a)参照)。次に、この状態で、スライダ40をコイルスプリング50の弾性力に抗して被貼付面8から後退すると、図4に示すように、スライダ40の駆動突起43が剥離紙排出部30の排出用ギア34に設けられた従動突起33に係合して、排出用ギア34を所定角度すなわち切り込みピッチに対応する角度回転すると同時に、カムホィール31を同様に切り込みピッチに対応する角度回転して剥離紙2をケース10の外部へ排出する。この動作に伴って排出用ギア34と噛合する遊星ギア64a及び遊星ギア64aに噛合する遊星ギア64bが回転し、遊星ギア64bに噛合する転移ローラ回転用ギア23と共に転移ローラ20が回転して、分離部15の反転ローラ16によって分離された両面粘着剤層3を切り込みピッチに対応した長さ分移動して被貼付面8に押圧する(図9(b)参照)。この状態において、転移ローラ20が逆回転(図9において反時計方向に回転)しようとすると、その反力によってスウィングレバー62が図9において時計方向に回転して、遊星ギア64a,64bと排出用ギア34,転移ローラ回転用ギア23との噛合が解かれて、両面テープ1の引き出しは行われない。次に、転移ローラ20及び両面粘着剤層3を被貼付面8に押圧した状態でスライダ40を被貼付面8に摺接させながら移動すると、転移ローラ20は両面粘着剤層3を押圧しながら回転(図9において時計方向に回転)して、両面粘着剤層3を被貼付面8にライン状に貼付する(図9(c)参照)。この際、転移ローラ20の回転に伴って転移ローラ回転用ギア23が回転し、遊星ギア64a,64bを介して排出用ギア34及びカムホィール31を回転して、剥離紙2をケース10の外部へ排出する。そして、押圧状態を解除して転移ローラ20を被貼付面8から離すと、切り込み6によって切断された両面粘着剤層3が被貼付面8にライン状に貼付される(図9(d)参照)。
【0058】
◎第2実施形態
図10は、この発明に係る両面テープ・スタンパの第2実施形態の全体を示す概略側面図、図11は、第2実施形態における転移ローラ部を示す要部拡大断面図である。
【0059】
第2実施形態は、基本構成は第1実施形態と同じであり、両面粘着剤層3の分離を転移ローラ20によって行うようにした点で第1実施形態と相違している。すなわち、第2実施形態は、図10及び図11に示すように、テープ保持部12から引き出された両面テープ1を転移ローラ20に巻き掛けて反転することにより、切り込み6によって両面テープ1の剥離紙2と両面粘着剤層3とを分離(剥離)し、転移ローラ20部で分離された剥離紙2を剥離紙排出部30のカムホィール31に巻き掛けて、ケース10外部へ排出するようにした場合である。
【0060】
なお、第2実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して、説明は省略する。
【0061】
次に、第2実施形態の両面テープ・スタンパの動作態様について、図12及び図13を参照して説明する。
【0062】
<スポット貼付>
被貼付面8に両面粘着剤層3をスポット状に貼付するには、第1実施形態と同様に、まず、両面テープ・スタンパを被貼付面8の貼付する位置にスライダ40の先端部を当接してセットする(図12(a)参照)。この状態で、スライダ40をコイルスプリング50の弾性力に抗して被貼付面8から後退する。すると、図4に示すように、スライダ40の駆動突起43が剥離紙排出部30の排出用ギア34に設けられた従動突起33に係合して、排出用ギア34を所定角度すなわち切り込みピッチに対応する角度回転すると同時に、カムホィール31を同様に切り込みピッチに対応する角度回転して剥離紙2をケース10の外部へ排出する。この動作に伴って排出用ギア34と噛合する遊星ギア64a及び遊星ギア64aに噛合する遊星ギア64bが回転し、遊星ギア64bに噛合する転移ローラ回転用ギア23と共に転移ローラ20が回転して、テープ保持部12から引き出された両面テープ1を転移ローラ20に巻き掛け移動して、引き出し方向の前方側の切り込み6によって剥離紙2から分離された両面粘着剤層3を切り込みピッチに対応した長さ分移動して被貼付面8に押圧する(図12(b)参照)。この状態において、転移ローラ20が逆回転(図12において反時計方向に回転)しようとすると、その反力によってスウィングレバー62が図12において時計方向に回転して、遊星ギア64a,64bと排出用ギア34,転移ローラ回転用ギア23との噛合が解かれて、両面テープ1の引き出しは行われない。次に、押圧状態を解除して転移ローラ20を被貼付面8から離すと、引き出し方向の後方側の切り込み6によって切断された両面粘着剤層3が被貼付面8にスポット状に貼付される(図12(c)参照)。
【0063】
<ライン貼付>
被貼付面8に両面粘着剤層3をライン状に貼付するには、スポット貼付と同様に、まず、スポット状に貼付する場合と同様に、両面テープ・スタンパを被貼付面8の貼付する位置にスライダ40の先端部を当接してセットする(図13(a)参照)。次に、この状態で、スライダ40をコイルスプリング50の弾性力に抗して被貼付面8から後退すると、図4に示すように、スライダ40の駆動突起43が剥離紙排出部30の排出用ギア34に設けられた従動突起33に係合して、排出用ギア34を所定角度すなわち切り込みピッチに対応する角度回転すると同時に、カムホィール31を同様に切り込みピッチに対応する角度回転して剥離紙2をケース10の外部へ排出する。この動作に伴って排出用ギア34と噛合する遊星ギア64a及び遊星ギア64aに噛合する遊星ギア64bが回転し、遊星ギア64bに噛合する転移ローラ回転用ギア23と共に転移ローラ20が回転して、テープ保持部12から引き出された両面テープ1を転移ローラ20に巻き掛け移動して、引き出し方向の前方側の切り込み6によって剥離紙2から分離された両面粘着剤層3を切り込みピッチに対応した長さ分移動して被貼付面8に押圧する(図13(b)参照)。この状態において、転移ローラ20が逆回転(図13において反時計方向に回転)しようとすると、その反力によってスウィングレバー62が図13において時計方向に回転して、遊星ギア64a,64bと排出用ギア34,転移ローラ回転用ギア23との噛合が解かれて、両面テープ1の引き出しは行われない。次に、転移ローラ20及び両面粘着剤層3を被貼付面8に押圧した状態でスライダ40を被貼付面8に摺接させながら移動すると、転移ローラ20は両面粘着剤層3を押圧しながら回転(図13において時計方向に回転)して、両面粘着剤層3を被貼付面8にライン状に貼付する(図13(c)参照)。この際、転移ローラ20の回転に伴って転移ローラ回転用ギア23が回転し、遊星ギア64a,64bを介して排出用ギア34及びカムホィール31を回転して、剥離紙2をケース10の外部へ排出する。そして、押圧状態を解除して転移ローラ20を被貼付面8から離すと、引き出し方向後方側の切り込み6によって切断された両面粘着剤層3が被貼付面8にライン状に貼付される(図13(d)参照)。
【0064】
◎その他の実施形態
第1実施形態では、両面テープ1の幅方向の中間部に、切り込み6に跨って円形状の送り孔7を穿設する場合について説明したが、この構造以外の両面テープを使用することも可能である。
【0065】
例えば、図14(a)に示すように、両面テープ1の引き出し方向の後方側に形成される半円弧状の送り孔7Aを切り込み6に跨って設けてもよく、半円弧状の送り孔7Aに代えて半楕円形状の送り孔7Bを切り込み6に跨って設けてもよい(図14(b)参照)。また、図14(c)に示すように、円形状の送り孔7に代えて四角形状の送り孔7Cを切り込みの中間部に跨って設けてもよい。この場合、送り孔7Cの亀裂を避けるために、送り孔7Cの角部に円弧面7aを形成する方が好ましい。また、図14(d),(e)に示すように、両面テープ1の引き出し方向の後方側に形成される四角形状又は三角形状の送り孔7D,7Eを切り込み6に跨って設けてもよい。この場合においても、送り孔7D,*Eの亀裂を避けるために、角部に円弧面7aを形成する方が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明に係る両面テープ・スタンパの第1実施形態の全体を示す概略側面図である。
【図2】上記両面テープ・スタンパの要部を示す概略斜視図である。
【図3】上記両面テープ・スタンパの要部を示す分解斜視図である。
【図4】この発明におけるスライダと剥離紙排出部のカムホィールの係合状態を示す側面図(a)及び(a)のI−I線に沿う拡大断面図(b)である。
【図5】この発明における分離部と転移ローラを示す側面図である。
【図6】上記分離部の拡大断面図である。
【図7】この発明における両面テープの概略平面図(a)、(a)のII−II線に沿う拡大断面図(b)及び(a)のIII−III線に沿う拡大断面図(c)である。
【図8】第1実施形態の両面テープ・スタンパにより両面粘着剤層をスポット状に貼付する場合の動作態様を示す概略断面図である。
【図9】第1実施形態の両面テープ・スタンパにより両面粘着剤層をライン状に貼付する場合の動作態様を示す概略断面図である。
【図10】この発明に係る両面テープ・スタンパの第2実施形態の全体を示す概略側面図である。
【図11】第2実施形態の両面テープ・スタンパの要部を示す概略斜視図である。
【図12】第2実施形態の両面テープ・スタンパにより両面粘着剤層をスポット状に貼付する場合の動作態様を示す概略断面図である。
【図13】第2実施形態の両面テープ・スタンパにより両面粘着剤層をライン状に貼付する場合の動作態様を示す概略断面図である。
【図14】この発明における両面テープの別の形態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 両面テープ
2 剥離紙
3 両面粘着剤層
6 切り込み
7,7A〜7E 送り孔
8 被貼付面
10 ケース
12 テープ保持部
15 分離部
16 反転ローラ
20 転移ローラ
23 転移ローラ回転用ギア
30 剥離紙排出部
31 カムホィール
32 送り用突起
34 排出用ギア
40 スライダ
44 ガイド孔
44a 長孔部
44b 膨隆孔部
50 コイルスプリング(ばね部材)
60 クラッチ機構
61 ガイドピン
62 スウィングレバー
64a,64b 遊星ギア
70 ラチェット爪(逆転防止機構)
80 ずれ防止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離紙に両面粘着剤層が積層されたロール状の両面テープから両面粘着剤層を被貼付面にスポット状又はライン状に貼付する両面テープ・スタンパであって、
上記両面粘着剤層に、上記両面テープの長手方向に沿って所定のピッチをおいて切り込みを形成した両面テープと、
上記両面テープを回転可能に保持するテープ保持部を有するケースと、
上記テープ保持部から引き出された両面テープを巻き掛け反転し、両面テープから分離された上記両面粘着剤層を上記被貼付面に転移する回転可能な転移ローラと、
上記両面粘着剤層が分離された剥離紙を上記ケース外へ排出する回転可能な剥離紙排出部と、
上記ケースに摺動自在に装着されると共に、弾性力を付勢して上記被貼付面に対して進退可能に形成され、かつ、上記剥離紙排出部を所定角度回転すべく剥離紙排出部と間欠的に係合する、被貼付面に摺接可能なスライダと、
上記弾性力に抗して上記スライダを被貼付面から後退して上記転移ローラを被貼付面に押圧する際に、上記両面テープから両面粘着剤層を上記切り込みのピッチに対応して移動すべく転移ローラを所定角度回転し、逆移動を阻止するクラッチ機構と、
を具備してなり、
上記弾性力に抗して上記スライダを被貼付面から後退して、上記転移ローラの回転により上記両面テープから分離した両面粘着剤層を伴って上記転移ローラを被貼付面に押圧した後、この押圧を解除して、上記両面テープから分離され、上記切り込みによって切断された両面粘着剤層の被貼付面へのスポット状の貼付、又は、上記転移ローラ及び両面粘着剤層を押圧した状態で、被貼付面上を移動させて両面粘着剤層の被貼付面へのライン状の貼付のいずれかを選択的に行えるように形成してなる、
ことを特徴とする両面テープ・スタンパ。
【請求項2】
剥離紙に両面粘着剤層が積層されたロール状の両面テープから両面粘着剤層を被貼付面にスポット状又はライン状に貼付する両面テープ・スタンパであって、
上記両面粘着剤層に、上記両面テープの長手方向に沿って所定のピッチをおいて切り込みを形成した両面テープと、
上記両面テープを回転可能に保持するテープ保持部を有するケースと、
上記テープ保持部から引き出された両面テープを上記剥離紙と両面粘着剤層とに分離する分離部と、
上記分離部で分離された両面粘着剤層を上記被貼付面に転移する回転可能な転移ローラと、
上記分離部で分離された剥離紙を上記ケース外へ排出する回転可能な剥離紙排出部と、
上記ケースに摺動自在に装着されると共に、弾性力を付勢して上記被貼付面に対して進退可能に形成され、かつ、上記剥離紙排出部を所定角度回転すべく剥離紙排出部と間欠的に係合する、被貼付面に摺接可能なスライダと、
上記弾性力に抗して上記スライダを被貼付面から後退して上記転移ローラを被貼付面に押圧する際に、上記両面テープから両面粘着剤層を上記切り込みのピッチに対応して移動すべく転移ローラを所定角度回転し、逆移動を阻止するクラッチ機構と、
を具備してなり、
上記弾性力に抗して上記スライダを被貼付面から後退して、上記両面テープから分離した両面粘着剤層を伴って上記転移ローラを被貼付面に押圧した後、この押圧を解除して上記切り込みによって切断された両面粘着剤層の被貼付面へのスポット状の貼付、又は、上記転移ローラ及び両面粘着剤層を押圧した状態で、被貼付面上を移動させて両面粘着剤層の被貼付面へのライン状の貼付のいずれかを選択的に行えるように形成してなる、
ことを特徴とする両面テープ・スタンパ。
【請求項3】
請求項2記載の両面テープ・スタンパにおいて、
上記分離部が、転移ローラの近傍位置に配設され、テープ保持部から引き出された両面テープを巻き掛け、剥離紙排出部側へ反転させる反転ローラにて形成されている、ことを特徴とする両面テープ・スタンパ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の両面テープ・スタンパにおいて、
上記剥離紙排出部は、外周に両面粘着剤層の切り込みピッチに対応するピッチを有する送り用突起を突設したカムホィールを具備し、上記両面テープは、上記送り用突起に係合可能な送り孔を穿設してなる、ことを特徴とする両面テープ・スタンパ。
【請求項5】
請求項4記載の両面テープ・スタンパにおいて、
上記送り孔が、両面粘着剤層の幅方向に渡って形成される切り込みの中間部に跨って設けられている、ことを特徴とする両面テープ・スタンパ。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の両面テープ・スタンパにおいて、
上記剥離紙排出部は、周方向に両面粘着剤層の切り込みピッチに対応するピッチを有する従動突起を突設した排出用ギアを具備し、
上記スライダは、このスライダの摺動に伴って上記従動突起に間欠的に係合する駆動突起と、摺動方向に沿う長孔部のスライダ先端部側に膨隆孔部を有するガイド孔を具備し、
上記クラッチ機構は、上記ケースに揺動自在に枢着されると共に、上記ガイド孔内に係合可能に挿入されるガイドピンを有するスウィングレバーと、このスウィングレバーに回転自在に枢着されると共に互いに噛合され、一方は上記排出用ギアに接離可能に噛合し、他方は上記転移ローラと同軸上に装着された転移ローラ回転用ギアに接離可能に噛合する遊星ギアを具備する、
ことを特徴とする両面テープ・スタンパ。
【請求項7】
請求項1,2,3,4又は6に記載の両面テープ・スタンパにおいて、
上記剥離紙排出部の逆転防止機構を更に具備する、ことを特徴とする両面テープ・スタンパ。
【請求項8】
請求項1,2,3,4,6又は7に記載の両面テープ・スタンパにおいて、
上記剥離紙排出部に、この剥離紙排出部に対する剥離紙のずれを規制するずれ防止部を更に具備する、ことを特徴とする両面テープ・スタンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−238243(P2007−238243A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−61578(P2006−61578)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000004020)ニチバン株式会社 (80)
【Fターム(参考)】