説明

両面画像形成装置

【課題】 一方の面に印刷された用紙であって、その後他方の面に印刷される用紙の、再給紙トレイ上における斜行を防止する、両面印刷装置等の両面画像形成装置の提供。
【解決手段】一方の面に画像形成された用紙36であって、その後他方の面に画像形成される用紙36が載置される再給紙トレイ45と、用紙36に係合し、再給紙トレイ45上における用紙36の斜行を防止する斜行防止手段151とを有し、斜行防止手段151が、用紙36の側縁に係合したときに回転可能であり用紙36の前記斜行を防止するための斜行防止部材59a、59bを有する両面画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再給紙トレイを有し、用紙の両面に画像形成を行うことが可能な、孔版印刷装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえば〔特許文献1〕ないし〔特許文献4〕等に示された孔版印刷装置等の種々の画像形成装置が用いられており、近年では環境問題に伴い、用紙の消費量及び書類、ファイルの保管スペースを低減させるため等の目的から、用紙の両面に画像形成を行う両面画像形成が増加の傾向にある。従来は、給紙トレイに積載した用紙を画像形成部に通紙し、一面に画像形成した後に用紙を裏返して給紙トレイにセットし、再度画像形成部に通紙して他面に画像形成することで両面画像形成を行っていたが、一度排紙された用紙を揃えること、一度排紙された用紙を再度給紙トレイにセットすること、また孔版印刷装置にあっては一面の印刷が終了した後に他面の印刷のための製版を行うことを要し、作業が面倒である上、時間のロスが生じるという問題があり、また孔版印刷装置にあっては原紙消費量が増えることによるコスト高が生じるという問題もあった。
【0003】
そこで、一台の装置で、手差しによる再給紙を行うことなく、両面の画像形成が可能な画像形成装置が種々提案されており、たとえばそのような両面印刷装置として、〔特許文献3〕、〔特許文献4〕に記載された両面印刷装置が提案されている。
〔特許文献3〕、〔特許文献4〕に記載の両面印刷装置は、ワンパスで両面に印刷を行うことができるとともに、大型化を抑制し、片面印刷時におけるインキ転移防止のための無製版マスタの巻着によるマスタの浪費を抑制する観点から、版胴を1つのみ備え、版胴の回転方向に第1製版画像と第2製版画像とが2面並んだ分割製版済みマスタを用い、用紙の一方の面に一方の製版画像と対応する第1印刷画像を印刷し、用紙をスイッチバックした後、用紙の他方の面に他方の製版画像と対応する第2印刷画像を印刷することにより一工程で両面印刷物を得るものである。
【0004】
このように、用紙をスイッチバックして両面画像形成を行う画像形成装置においては、用紙をスイッチバックする際に用紙を積載する再給紙トレイを備え、再度の給紙を、再給紙トレイから、画像形成部に向けて行うようになっていることが一般的である。
【0005】
【特許文献1】特開平6−48014号公報
【特許文献2】特開昭64−24783号公報
【特許文献3】特開2003−200645号公報
【特許文献4】特開2004−224479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、スイッチバックされる用紙が斜行した状態であると、再度の給紙が斜行した状態で行われ、第1面の画像と第2面の画像とが異なる位置に形成される、縦レジストなどといわれる画像位置ずれが生じることとなる。
用紙の斜行は、複写機、プリンタ等の静電現像方式の画像形成装置においても生じるが、〔特許文献1〕ないし〔特許文献4〕に記載の孔版印刷装置など、版胴などから用紙を剥離する印刷装置において特に生じやすい。これは、版胴などから用紙を剥離するための種々の手段を備えた印刷装置であっても、たとえば剥離ファン等によって吹き付けられる、用紙を版胴から剥離するための気流のムラが生じ版胴からの用紙の剥離が均一に行われない場合があるためであり、また、印刷画像の大きさや偏り、用紙のコシ等に起因して、版胴からの用紙の剥離が均一に行われない場合があるためである。
【0007】
再給紙される用紙が斜行している場合には、再給紙の開始時はその程度が僅かであっても再給紙の過程において斜行の程度が増大する等して、画像位置ずれが大きく生じる場合がある。画像位置ずれは、両面画像形成を行った際の画像品質を低下させるものであるから、高品質の両面画像形成を行うためには、再給紙する用紙の斜行を防止し、画像位置ずれを防止する必要がある。
【0008】
本発明は、一方の面に印刷された用紙であって、その後他方の面に印刷される用紙の、再給紙トレイ上における斜行を防止する、両面印刷装置等の両面画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される用紙が載置される再給紙トレイと、前記用紙に係合し、前記再給紙トレイ上における同用紙の斜行を防止する斜行防止手段とを有し、前記斜行防止手段が、前記用紙の側縁に係合したときに回転可能であり同用紙の前記斜行を防止するための斜行防止部材を有する両面画像形成装置にある。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の両面画像形成装置において、前記斜行防止部材が、前記用紙の各側縁に対して配設され対をなすことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の両面画像形成装置において、前記斜行防止部材が、前記用紙の幅方向に移動自在であることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の両面画像形成装置であって、請求項2記載の両面画像形成装置に従属する両面画像形成装置において、少なくとも前記用紙が前記対をなす斜行防止部材の間に位置するときに、前記対をなす斜行防止部材は、その間隔が前記用紙の幅と略同じ大きさとなる位置を占めることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項3または4記載の両面画像形成装置において、前記斜行防止部材を前記幅方向に駆動する駆動手段と、この駆動手段を制御して前記斜行防止部材を変位させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の両面画像形成装置において、前記制御手段が、前記用紙が前記対をなす斜行防止部材の間に位置するときに、前記対をなす斜行防止部材を、前記用紙に係合して同用紙の斜行を防止する第1の位置と、前記用紙から離間する第2の位置との間で変位させることを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載の両面画像形成装置において、画像形成を行われる用紙を積載するトレイと、前記トレイ上に積載された用紙の幅方向に変位可能であり同用紙の側縁に係合して前記トレイ上における同用紙の位置決めを行うためのガイド部材と、同用紙の幅方向における前記ガイド部材の位置を検知する検知手段とを有し、前記制御手段が、前記検知手段が検知した前記ガイド部材の位置に基づいて前記斜行防止部材を変位させることを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし7の何れか1つに記載の両面画像形成装置において、前記斜行防止部材が、上方に向けて径が減少する形状をなしていることを特徴とする。
【0017】
請求項9記載の発明は、請求項1ないし8の何れか1つに記載の両面画像形成装置において、孔版印刷装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される用紙が載置される再給紙トレイと、前記用紙に係合し、前記再給紙トレイ上における同用紙の斜行を防止する斜行防止手段とを有し、前記斜行防止手段が、前記用紙の側縁に係合したときに回転可能であり同用紙の前記斜行を防止するための斜行防止部材を有する両面画像形成装置にあるので、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される用紙の、再給紙トレイ上における斜行を、斜行防止部材が用紙の側縁に係合することで防止し、また回転可能であることにより用紙に係合した際の用紙の搬送の妨げになることがなく、したがって、画像位置ずれが生じることがなく、高品質の両面画像形成を行うことができる両面画像形成装置を提供することができる。
【0019】
前記斜行防止部材が、前記用紙の各側縁に対して配設され対をなす斜行防止部材を有することとすれば、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される用紙の、再給紙トレイ上における斜行を、対をなす斜行防止部材が用紙の各側縁に係合することでより良好に防止し、また回転可能であることにより用紙に係合した際の用紙の搬送の妨げになることがなく、したがって、画像位置ずれが生じることがなく、高品質の両面画像形成を行うことができる両面画像形成装置を提供することができる。
【0020】
前記斜行防止部材が、前記用紙の幅方向に移動自在であることとすれば、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される、種々の大きさの用紙の、再給紙トレイ上における斜行を、対をなす斜行防止部材が用紙の各側縁に係合することで良好に防止し、また回転可能であることにより用紙に係合した際の用紙の搬送の妨げになることがなく、したがって、画像位置ずれが生じることがなく、高品質の両面画像形成を行うことができる両面画像形成装置を提供することができる。
【0021】
少なくとも前記用紙が前記対をなす斜行防止部材の間に位置するときに、前記対をなす斜行防止部材は、その間隔が前記用紙の幅と略同じ大きさとなる位置を占めることとすれば、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される、種々の大きさの用紙の、再給紙トレイ上における斜行を、対をなす斜行防止部材が用紙の各側縁に係合することでより良好且つ確実に防止し、また回転可能であることにより用紙に係合した際の用紙の搬送の妨げになることがなく、したがって、画像位置ずれが生じることがなく、高品質の両面画像形成を行うことができる両面画像形成装置を提供することができる。
【0022】
前記斜行防止部材を前記幅方向に駆動する駆動手段と、この駆動手段を制御して前記斜行防止部材を変位させる制御手段とを有することとすれば、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される、種々の大きさの用紙の、再給紙トレイ上における斜行を、対をなす斜行防止部材が用紙の各側縁に係合することで、良好に防止し、また回転可能であることにより用紙に係合した際の用紙の搬送の妨げになることがなく、したがって、画像位置ずれが生じることがなく、簡易に高品質の両面画像形成を行うことができる両面画像形成装置を提供することができる。
【0023】
前記制御手段が、前記用紙が前記対をなす斜行防止部材の間に位置するときに、前記対をなす斜行防止部材を、前記用紙に係合して同用紙の斜行を防止する第1の位置と、前記用紙から離間する第2の位置との間で変位させることとすれば、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される、種々の大きさの用紙の、再給紙トレイ上における斜行を、対をなす斜行防止部材が用紙の各側縁に係合することで、より良好に防止し、また回転可能であることにより用紙に係合した際の用紙の搬送の妨げになることがなく、したがって、画像位置ずれが生じることがなく、簡易に高品質の両面画像形成を行うことができる両面画像形成装置を提供することができる。
【0024】
画像形成を行われる用紙を積載するトレイと、前記トレイ上に積載された用紙の幅方向に変位可能であり同用紙の側縁に係合して前記トレイ上における同用紙の位置決めを行うためのガイド部材と、同用紙の幅方向における前記ガイド部材の位置を検知する検知手段とを有し、前記制御手段が、前記検知手段が検知した前記ガイド部材の位置に基づいて前記斜行防止部材を変位させることとすれば、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される用紙の、再給紙トレイ上における斜行を、制御手段によって変位された斜行防止部材が用紙の側縁に係合することで防止し、また回転可能であることにより用紙に係合した際の用紙の搬送の妨げになることがなく、したがって、画像位置ずれが生じることがなく、簡易かつ良好に高品質の両面画像形成を行うことができるとともに、用紙サイズ設定を間違うことで発生するジャム等の不具合を確実に防止できる、ユーザの信頼性の高い両面画像形成装置を提供することができる。
【0025】
前記斜行防止部材が、上方に向けて径が減少する形状をなしていることとすれば、一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される用紙の、再給紙トレイ上における斜行を、斜行防止部材が用紙の側縁に係合することで防止し、また回転可能であることにより用紙に係合した際の用紙の搬送の妨げになることがなく、さらに、上方に向けて径が減少する形状をなしていることで用紙の受け入れを良好に行うとともに斜行が良好に防止され、したがって、画像位置ずれが生じることがなく、高品質の両面画像形成を行うことができる両面画像形成装置を提供することができる。
【0026】
前記両面画像形成装置が孔版印刷装置であることとすれば、一方の面に印刷された用紙であって、その後他方の面に印刷される用紙の、再給紙トレイ上における、孔版印刷装置において生じ易い斜行を防止し、また斜行防止部材が回転可能であることにより用紙に係合した際の用紙の搬送の妨げになることがなく、したがって、画像位置ずれが生じることがなく、高品質の両面印刷を行うことができる両面画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。本実施形態において同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。
【0028】
図1を参照して、本発明を適用した両面画像形成装置である両面印刷装置の一例としての両面孔版印刷装置200の全体構成について説明する。両面孔版印刷装置200は、図1に示すように、図1の左側上方に配置されロール状に巻かれたマスタ8を製版する製版部15と、図1における略中央部に配置され製版されたマスタ8(以下、「製版済みマスタ8」という)を外周面に巻装する版胴1およびこの版胴1の外周面に対して接離自在であり該版胴1上の製版済みマスタ8に用紙36を押し付ける押圧手段としてのプレスローラ21等を有する印刷部16と、版胴1を挟んで製版部15に対向して配置され版胴1上の使用済みマスタ8を剥離・排版する排版部17と、この排版部17の下方に配置され給紙台としての給紙トレイ35上の用紙36を印刷部16に向けて給送する給紙部30と、この給紙部30に対向して製版部15の下方に配置され印刷された用紙36を版胴1から剥離して排紙台としての排紙トレイ172に排出する排紙部19とを具備している。
【0029】
また、両面孔版印刷装置200は、印刷部16においてその一方の面である表面に印刷画像を形成された表面印刷済み用紙36を一時的に載置され貯容する再給紙貯容手段としての下部搬送装置たる再給紙トレイである用紙受け45と、表面印刷済み用紙36を用紙受け45に搬送する用紙保持手段60と、表面印刷済み用紙を用紙受け45に案内する案内手段としての剥離ガイド46を備え排紙部19の一部を構成する排紙搬送手段47と、用紙受け45に貯容された表面印刷済み用紙36を印刷部16に向けて再給紙する再給紙手段49とを有している。
【0030】
また、両面孔版印刷装置200は、図2に示すように、版胴1、製版部15および排版部17(図2では共に省略している)が配設された印刷装置本体としての本体フレーム130の上部に配置され原稿受け台134上から移送される原稿133の画像または読取部としてのコンタクトガラス135上に載置された図示しない原稿等の画像を読み取る画像読取部18と、両面孔版印刷装置200の動作全般を制御する図3に示す制御手段としての制御装置100と、制御装置100に対して所定の情報を入力するための、両面孔版印刷装置200の正面位置に配設された、図4に示す入力手段としての操作パネル173とを具備している。
【0031】
製版部15は、マスタ8に製版を行い、図5に示すように、版胴1の回転方向(用紙搬送方向X、マスタ搬送方向X1でもある)に沿って表面印刷用の第1の製版画像8A(以下、「表面製版画像8A」と言い替える)と裏面印刷用の第2の製版画像8B(以下、「裏面製版画像8B」と言い替える)とを有する分割製版済みマスタ8X、あるいは同図に示すように、版胴1の回転方向に沿って表面製版画像8Aと裏面製版画像8Bとの2面分の画像量域を有する第3の製版画像8YA(以下、「片面製版画像8YA」と言い替える)を有する製版済みマスタ8Yを作製する機能・構成を有する。表面製版画像8Aは、分割製版済みマスタ8Xが版胴1の外周面上に巻装されたときに図1に示す表面領域1Aと対応する位置に形成され、裏面製版画像8Bは同裏面領域1Bと対応する位置に形成される。
【0032】
図1、図5等において、製版済みマスタ8Yには括弧を付して示すことにより、分割製版済みマスタ8Xと区別する。図5において、製版済みマスタ8Yに形成された片面製版画像8YAの領域範囲を二点鎖線で示し、マスタ搬送方向X1の同領域範囲の境界線が表面製版画像8Aおよび裏面製版画像8Bの実線と重なるため、その領域範囲を少し大きめに図示しているが、片面製版画像8YAの領域範囲は、表面製版画像8A、裏面製版画像8Bおよびこれらの中間に位置する未製版の空白領域である中間未製版領域8Cを合わせた全範囲である。なお、図5においては、表面製版画像8A、裏面製版画像8B、中間未製版領域8C、片面製版画像8YAは、スケールアウトして描かれており、特に中間未製版領域8Cは誇張拡大して描いてある。
【0033】
図1に示すように、製版部15は、マスタ8をマスタ搬送方向X1に繰り出し可能に支持するマスタ支持手段としてのマスタ支持部材8cと、繰り出されたマスタ8を画像情報に応じて加熱製版するサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11にマスタ8を押圧しながらマスタ搬送方向X1下流側にマスタ8を回転しながら搬送するマスタ搬送手段としてのプラテンローラ9と、プラテンローラ9により搬送されて来たマスタ8を適度の張力を付与しながらさらにマスタ搬送方向X1下流側に搬送するマスタ搬送手段としての搬送ローラ対13と、プラテンローラ9と搬送ローラ対13との間に配設され製版済みマスタ8または未製版のマスタ8を所定の長さに切断するカッタ12と、プラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されてきたマスタ8の先端を後述するように版胴1上の拡開したクランパ7に案内するマスタガイド板14等とを具備する。
【0034】
マスタ8は、連続シート状をなし、合成樹脂製のロール芯8bに巻き付けられてマスタロール8aが形成される。ロール芯8bは、マスタロール8aの両端面から突出していてマスタ8の幅よりも長く形成されている。マスタロール8aは、両端側のロール芯8bがマスタ支持部材8cにより反時計回りに回転自在に支持されていて、マスタ支持部材8cに対して着脱自在となっている。マスタ支持部材8cの両端側は、製版部15におけるマスタ搬送方向X1に沿ってその左右両側に配設されている図示しない製版側板対に取り付け固定されている。したがって、マスタ8は、マスタ支持部材8cによって、マスタロール8aからマスタ搬送方向X1に繰り出し可能に支持されている。
【0035】
マスタ8は、例えば厚さが1〜5μmの熱可塑性樹脂フィルムと、合成繊維等からなる多孔質支持体とを貼り合わせたラミネート構造をなす。なお、マスタは、これに限らず、例えば和紙繊維、あるいは和紙繊維および合成繊維を混抄したもの等からなる多孔質支持体と熱可塑性樹脂フィルムとを貼り合わせたものや、いわゆる実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ等も用いられる。
【0036】
サーマルヘッド11は、プラテンローラ9のプラテンローラ軸と図1の紙面の手前側および奥側に平行に延在して設けられていて、図示しないカムおよびバネ部材等を備えた接離機構により、マスタ8を介してプラテンローラ9に接離自在となっている。サーマルヘッド11は、上記バネ部材によりプラテンローラ9に接触する向きに付勢されている。サーマルヘッド11の主走査方向には、プラテンローラ9にマスタ8を介して当接する部位に多数の発熱素子(図示せず)が配設されている。サーマルヘッド11は、共に図示しないA/D変換部および画像信号処理部等を経て、製版制御装置およびサーマルヘッド駆動回路(共に図示せず)で処理されて送出されるデジタル画像信号に基づき上記発熱素子を選択的に加熱することにより、マスタ8を選択的に加熱溶融穿孔・製版する製版手段としての周知の機能を有する。
【0037】
プラテンローラ9は、金属製の芯金を介してプラテンローラ軸と一体的に形成されている。プラテンローラ9は、プラテンローラ軸の両端部が上記製版側板対に回転可能に支持されていることにより、時計回りに回転自在となっている。プラテンローラ9は、タイミングベルトやギヤ等の回転伝達部材(図示せず)を介してマスタ搬送駆動手段としてのマスタ搬送モータ10に連結され、これにより時計回りに回転駆動される。マスタ搬送モータ10は、例えばステッピングモータからなる。上記構成のとおり、プラテンローラ9がマスタ搬送モータ10により時計回りに回転駆動されることにより、マスタ8はマスタロール8aから引き出されることとなる。
【0038】
搬送ローラ対13は、バネ等の付勢手段により適度な押圧力を与えられて互いに圧接して設けられていて、各ローラ軸の両端部が上記製版側板対に回転自在に支持されていることにより互いに反対方向に回転自在となっている。搬送ローラ対13は、マスタ搬送モータ10を含む上記回転伝達部材によって、プラテンローラ9の周速度(搬送速度)よりもわずかに速い周速度(搬送速度)で回転するように設定されていて、マスタ8との間で滑りながら適度のフロントテンションをマスタ8に付与するようになっている。マスタ搬送モータ10を介してのプラテンローラ9および搬送ローラ対13周りの駆動系は、例えば本願出願人が提案した特開平11−77949号公報の図12に示されている回転伝達機構と略同様の機構を採用している。
【0039】
カッタ12は、固定刃12bおよび可動刃12aを備えたギロチンタイプの公知のものである。カッタ12は、上記ギロチンタイプに限らず、可動刃がマスタ搬送方向X1と直行するマスタ幅方向に回転しながら移動する回転刃移動タイプのものを用いてもよい。
製版部15において、サーマルヘッド駆動回路(図示せず)によって駆動されるサーマルヘッド11、マスタ搬送モータ10を含む製版部15の制御対象駆動手段を、図3に示すように、総括的に製版駆動手段124とする。
【0040】
版胴1は、多孔性で円筒状の支持円筒体と、その支持円筒体の外周を覆うように複数層巻き付けられた樹脂あるいは金属網体製のメッシュスクリーン(図示せず)との2層構造からなる。版胴1は、インキ通過性の多数の開孔が開けられた印刷可能な開口部1a(以下、「画像形成領域」というときがある)と、クランパ7等が設けられていて非印刷可能な非開口部(以下、「非画像形成領域」というときがある)とが、図1中矢印で示す版胴1の回転方向に沿って形成されている。上記画像形成領域は、図1中の版胴1における第1の画像領域1A(以下、「表面領域1A」という)と、中間領域1Cと、第2の画像領域1B(以下、「裏面領域1B」という)とを少なくとも含む領域である。
【0041】
版胴1は、図示しない端板フランジの外周部に巻着・固設されていて、後述するインキパイプ5を兼ねる支軸5の周りに回転自在に支持されている。版胴1の大きさは、片面印刷時において最大でA3サイズの用紙36に印刷を行ってA3サイズの印刷物を得ることが可能な大きさ、すなわちA3サイズの1版のマスタ8を巻装可能な大きさを有しており、その外周直径が180mm(版胴1の外周長としては約565mm)に、その幅方向(回転中心軸線方向)の寸法が350mmに設定されている。
【0042】
版胴1は、図示しないギヤやベルト等の駆動伝達手段を介して版胴駆動手段としてのメインモータ20に連結されていて、メインモータ20により図1中矢印方向(時計回り)に回転駆動される。メインモータ20としては、例えば制御用のDCモータが使用されている。メインモータ20の出力軸には、光学式のロータリエンコーダ(図示せず)とこれを挟み付けて該ロータリエンコーダとの協働作用によりパルスを発生する版胴センサ(図示せず)が設けられている。この版胴センサは、透過型の光学センサからなり、版胴1の回転速度(印刷速度)の制御や回転位置の割り出し等のために用いられる。
【0043】
版胴1の内部には、図示しない側板に回転自在に支持されていて、図示しないギヤ等の駆動伝達手段によりメインモータ20の回転駆動力が伝達されて版胴1と同期して図中矢印方向(時計回り)に回転駆動され、版胴1の内周面に接触してインキを供給するインキローラ2と、インキローラ2とわずかな間隙を置いて平行に配置されインキローラ2との間に断面楔状のインキ溜まり4を形成するドクタローラ3と、インキ溜まり4へインキを供給するインキパイプ5とが配置されている。インキローラ2、ドクタローラ3およびインキパイプ5がインキ供給手段を構成しており、本形態では該インキ供給手段は単一のものとなっている。インキ溜まり4のインキは、版胴1の外部に設けられた図示しないインキパック等より図示しないインキポンプで吸引され、インキパイプ5の供給孔より供給されて混練される。インキ溜まり4のインキは、ドクタローラ3により計量されながらインキローラ2の外周面上に薄膜状に供給され、さらにインキローラ2の外周面が版胴1の上記支持円筒体内周面に接触することにより版胴1の開口部1a部分に供給される。
【0044】
版胴1の上記非開口部外周面上の一部分には、版胴1の一つの母線に沿って設けられた強磁性体製のステージ6と、このステージ6の両側端に設けられたクランパ軸に回動自在に取り付けられ、ステージ6の平面部に対して開閉自在なゴム磁石を有するクランパ7とがそれぞれ設けられている。クランパ7は、本体フレーム側に設けられた開閉装置(図示せず)により所定位置において開閉される。版胴1は、クランパ7が図1に示す略真上に位置する状態、すなわち給版待機位置において停止されるようになっている。版胴1は、上記インキパックや上記インキポンプ等と一体的になされた版胴ユニットとして構成されており、両面孔版印刷装置200の本体フレームに対してインキパイプ5の軸線方向に挿脱自在になっている。
【0045】
図1において紙面奥側の版胴1の端板フランジおよびこの端板フランジ近傍の本体フレーム側には、版胴1の回転位置を検出することにより給紙部30の給紙モータ37およびレジストモータ41への起動(スタート)・トリガ情報を与える構成要素が配設されている。すなわち、版胴1における奥側の上記端板フランジの外側壁には、図示しない給紙開始用遮光板とレジスト開始用遮光板とが版胴1の同円周上に所定の間隔をおいてそれぞれ所定の位置に取り付けられており、これら遮光板近傍の本体フレーム側には、図示しない給紙レジストセンサが取り付けられている。
【0046】
本形態では、版胴1のホームポジション(初期位置)は、そのクランパ7が略真上に位置して製版部15から搬送されてくる分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yの先端部を受け取り保持する位置である給版待機位置と同様の位置に設定されている。版胴1における奥側の上記端板フランジ外側壁の所定位置には、版胴1のホームポジションを検出するための図示しないホームポジション用遮光板が取り付けられている。該ホームポジション用遮光板近傍の本体フレーム側には、版胴1の上記ホームポジション用遮光板に対向してこれを挟む態様で、ホームポジションセンサ(図示せず)が取り付けられている。該ホームポジションセンサは、透過型の光学センサである。図3において、上記版胴センサ、給紙レジストセンサおよび上記ホームポジションセンサを、版胴1の回転位置を検出する版胴位置検知手段としての版胴位置検知センサ29と総称して示している。
【0047】
インキローラ2に対向する版胴1の外周面の下方近傍には、単一のプレスローラ21が配設されている。プレスローラ21は、金属製のプレスローラ軸21aに弾性体を一体的に固着して構成されており、版胴1の軸方向に延在して設けられている。プレスローラ21は、その横幅が版胴1の開孔部1aを覆うマスタ8と同程度か、それよりもやや幅が広い長さとなるように形成されている。プレスローラ21は、プレスローラ軸21aの両端部を介して、紙面の手前側および奥側に配設された押圧手段支持部材としての一対の印圧アーム22(紙面の手前側は省略されている)によって回転自在に支持されている。
各印圧アーム22は、アーム軸22aおよび図示しない連結補強部材によってそれぞれ一体化されている。アーム軸22aは、本体フレーム130側に固設された一対の図示しない筐体側板の間に図示しない軸受を介して所定角度回動自在に支持されている。
【0048】
プレスローラ21は、耐油性を有する弾性体である例えばニトリルゴム(NBR)またはシリコーンゴム(Q)で形成されていて、少なくとも該ゴムの外周表面には、オフセット印刷装置等で印刷物の汚れ防止等に用いられているガラスビーズ等が均一に配設されており、あるいはプレスローラ21の外周表面は、フッ素ゴム(FKM)やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜を平滑にコーティングしたものであっても良い。これにより、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yと接触したときや、表面印刷済み用紙36の印刷画像面側のインキと接触することによる膨潤およびインキ付着等による汚れが最小となるようになされている。
【0049】
プレスローラ21は、後述する図3に示す印圧範囲可変手段28および各印圧アーム22により、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yに未印刷の用紙36や表面印刷済み用紙36を押し付ける図1に示す印刷位置とこの印刷位置から離れた図6に示す非印刷位置(初期位置でもある)との間で変位自在に構成されている。
【0050】
プレスローラ21は、図示しない押圧手段駆動手段としてのプレスローラ回転駆動手段によって回転駆動される。プレスローラ回転駆動手段は、プレスローラ21を、版胴1の周速度と略同じ周速度で版胴1の回転方向と反対方向に回転駆動する駆動手段としての図3に示すプレスローラ駆動モータ55と、プレスローラ駆動モータ55の回転駆動力をプレスローラ21に伝達する駆動力伝達手段とから主に構成される。
【0051】
プレスローラ21は、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xや製版済みマスタ8Yに未印刷の用紙36や表面印刷済み用紙36あるいは片面印刷済み用紙36を圧接するタイミングに合わせて、プレスローラ駆動モータ55により回転駆動されるようになっている。プレスローラ駆動モータ55の作動は、図3に示す制御装置100によって制御される。プレスローラ21がプレスローラ駆動モータ55によって版胴1の周速度と略同じ周速度で回転駆動されるので、印刷画像位置ずれのない良好な印刷物を得ることができる。
【0052】
各印圧アーム22間には、上記プレスローラ21の他、再給紙レジスト部材としての再給紙レジストローラ51、給紙案内部材としてのローラガイド板50等が配設されている。再給紙レジストローラ51は、用紙受け45に貯容された表面印刷済み用紙36の先端部をプレスローラ21との間に保持させ、プレスローラ21が版胴1に接触するときのプレスローラ21の回転により所定のタイミングを取って表面印刷済み用紙36の先端を版胴1に搬送する機能を有する。再給紙レジストローラ51は、串刺し状に分割された複数のローラからなり、軸51aと一体的に形成されている。再給紙レジストローラ51は、プレスローラ21の下側においてその外周面がプレスローラ21の外周面に圧接した状態で配置されており、軸51aの両端部が各印圧アーム22間に回転自在に支持されていることにより、プレスローラ21の回転力を受けてプレスローラ21の回転方向と反対方向に従動回転する。
【0053】
ローラガイド板50は、プレスローラ21の回転力によって搬送される表面印刷済み用紙36をプレスローラ21の外周面に当接させて版胴1に向けて案内する機能を有する。ローラガイド板50は、表面印刷済み用紙36をプレスローラ21の外周面に沿わせて案内するためにプレスローラ軸21aを中心とした湾曲した部分円筒形状をなし、プレスローラ21の外周面と所定の隙間を開けて各印圧アーム22間に固着されている。ローラガイド板50における表面印刷済み用紙36の案内面側は、表面印刷済み用紙36に対して摩擦係数が低く、かつ、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜がコーティングされている。
再給紙手段49は、表面印刷済み用紙36をその外周表面に保持して版胴1に回転搬送するプレスローラ21と、再給紙レジストローラ51と、ローラガイド板50と、図3に示す表面印刷済み用紙検知手段としての再給紙センサ52とから主に構成されている。
【0054】
次に、プレスローラ21の印圧範囲を決定している印圧範囲可変手段28周りの構成について詳述する。本形態では、図1および図5に示すように、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した表面領域1Aのみに印圧を付与する第1の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIと、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bに対応した裏面領域1Bのみに印圧を付与する第2の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIと、版胴1上の製版済みマスタ8Yにおける片面製版画像8YAに対応して表面領域1Aから続けて裏面領域1Bに亘って印圧を付与する第3の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIIとの少なくとも3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換え可能になっている。
印圧範囲可変手段28は、プレスローラ21を印刷位置と非印刷位置との間に変位させるための構成・機能を有し、これら3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換える。印圧範囲可変手段28は、押圧手段接離手段としてのプレスローラ接離機構とも呼ばれることがある。
【0055】
印圧範囲可変手段28は、アーム軸22a、印圧アーム対22、22、図示しない一対のカムフォロア、図示しない一対の印圧バネ、図示しない一対の複数組の印圧カム、図示しないソレノイド等を有する周知の構成である。
各カムフォロアは、各印圧アーム22により、回転自在に保持されている。各印圧バネは、各印圧アーム22と図示しない筐体側板との間に係止され、プレスローラ21を常に版胴1の外周面に圧接する向きに付勢している。各印圧カムは、各カムフォロア近傍の筐体側板側に回転自在に支持され、図示しないベルトやギヤ等の駆動伝達手段を介してメインモータ20に連結されており、版胴1の回転と同期して回転するようになっている。カムフォロアは、印圧バネ25により、印圧カムに常に当接する向きに付勢されている。
【0056】
印圧カムは、小径部(凹部部分)と大径部(凸部部分)とが形成された例えば板カムからなるが、各組の印圧カムは互いに、小径部、大径部の位相、形状等が異なっている。印圧カムの大径部が印圧バネの付勢力に抗してカムフォロアと圧接することにより、プレスローラ21による印圧をオフ・解除するようになっている。上記3つの印圧範囲パターンに応じてカムフォロアに係合する印圧カムがソレノイド等によって切り換えられる。
【0057】
図5は、プレスローラ21の印圧範囲を分かりやすくこれを展開して図示したものである。図5において、同図5に図示しない版胴1上の開口部1aに巻装された分割製版済みマスタ8Xには、表面製版画像8Aの領域部分と裏面製版画像8Bの領域部分とが形成されていて、それらの間には未製版空白の中間未製版領域8Cを設けてある。ここで、同図5に図示しない版胴1のクランパ7に挟持・固定される先端余白部とも呼ばれる分割製版済みマスタ8Xの先頭側は左端側である。
【0058】
片面印刷を含む通常印刷時用の印圧範囲パターンは、IIIのようになっている。すなわち、印圧範囲パターンIIIは、表面製版画像8Aの領域部分から中間未製版領域8Cを経て続けて裏面製版画像8Bの領域部分に亘って印圧を付与することにより、製版済みマスタ8Yの片面製版画像8YAに用紙36を連続して押し付けて印刷されるように、所定の印圧カムの小径部がカムフォロアに対向するようにその印圧カムが回転駆動される。
【0059】
表面印刷時には、印圧範囲パターンIのようになっていて、表面製版画像8Aの領域部分に対応して印刷されるように、所定の印圧カムの小径部がカムフォロアに対向するようにその印圧カムが回転駆動され、次いで、中間未製版領域8C部分では印圧が解除されるように、所定の印圧カムの大径部がカムフォロアに当接するようにソレノイドがオン/オフ駆動制御される。
【0060】
裏面印刷時には、印圧範囲パターンIIのようになっていて、始めの表面製版画像8Aの領域部分では印圧が解除されるように所定の印圧カムの大径部がカムフォロアに当接するようにソレノイドがオン/オフ駆動制御され、次いで、所定の印圧カムの小径部がカムフォロアに対向するようにその印圧カムが回転駆動される。
【0061】
上述したことをまとめると次のようになる。すなわち、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した表面領域1Aのみに印圧を付与する第1の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIと、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bに対応した裏面領域1Bのみに印圧を付与する第2の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIと、表面領域1Aから続けて裏面領域1Bに亘って印圧を付与する第3の印圧範囲パターンとしての印圧範囲パターンIIIとの少なくとも3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換え可能になっている。これら3つの印圧範囲パターンのうちの一つを選択的に切り換える機構が、上述した印圧範囲可変手段28である。
【0062】
図1に示すように、排紙搬送手段47は、版胴1の左側に配置されている。排紙搬送手段47は、図示しない筐体側板対の間に回動自在に支持された駆動軸85に一体的に設けられた駆動ローラとしての排紙ローラ後84と、駆動軸85よりも用紙搬送方向Xの上流側であって剥離ガイド46の近傍に配置された従動軸87に一体的に設けられた従動ローラとしての排紙ローラ前86と、排紙ローラ後84と排紙ローラ前86との間に巻き掛け・張設され表面印刷済み用紙36、版胴1とプレスローラ21との圧接部である画像形成部としてのニップ部から排出・搬送された両面印刷済み用紙36または片面印刷済み用紙36の何れか一つを保持して搬送する無端ベルトとしての空気吸引用の複数の図示しない孔が形成された排紙ベルト88と、駆動軸85にギヤやベルト等の駆動力伝達手段を介して連結され排紙ローラ後84の回転駆動を介して排紙ベルト88を回転駆動するベルト駆動手段としてのベルト駆動モータ90と、ニップ部から排紙ベルト88に向けて排出・搬送された表面印刷済み用紙36、両面印刷済み用紙36または片面印刷済み用紙36の何れか一つを複数の孔88から空気を吸引することにより排紙ベルト88の上面に吸引・保持させるための単一の吸引ファン89とから主に構成されている。
【0063】
排紙ローラ後84および排紙ローラ前86は、串刺し状に分割されていて歯付きのローラからなり、例えばニトリルゴム(NBR)等の耐油性(耐インキ腐食性)を有する高摩擦材料で形成されているが、このような性質を有する材料であれば樹脂等であっても構わない。排紙ベルト88は、歯付きベルトからなり、複数本のものが串刺し状に分割された排紙ローラ後84と排紙ローラ前86との間にそれぞれ巻き掛けられ張設されている。排紙ベルト88は、表面印刷済み用紙36の印刷画像面側に接触して保持・搬送するため、耐油性を有する弾性体である例えばニトリルゴム(NBR)またはシリコーンゴム(Q)で形成されていて、少なくとも該ゴムの外周表面には、フッ素ゴム(FKM)やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜が平滑にコーティングされている。吸引ファン89には、ファン駆動手段としてのファン駆動モータが内蔵されている。以下、説明の簡単化のために、該「ファン駆動モータ」のことを単に「吸引ファン89」というときがある。
排紙ベルト88は、制御装置100からの指令信号に基づくベルト駆動モータ90の作動によって回転されるようになっている。
【0064】
剥離ガイド46は、排紙ベルト88から用紙搬送方向Xの上流側に配設され、用紙搬送方向Xの下流側の軸46aを中心に所定角度回動するようになっている。剥離ガイド46は、その先端部が尖った薄板状をなしている。剥離ガイド46は、図示しないソレノイド、ステッピングモータ等の駆動手段により回動されるようになっており、プレスローラ21が印刷位置を占めたときには、先端が版胴1側に向けて回動し、プレスローラ21が非印刷位置を占めたときには、先端がプレスローラ21側に向けて回動する。剥離ガイド46は、先端が版胴1側に向けて回動したとき、ニップ部で印刷された表面印刷済み用紙36を版胴1から剥離する剥離手段を兼ねている。
【0065】
排版部17は、上排版部材160、下排版部材161、排版ボックス162、圧縮板163等を具備している。上排版部材160は、駆動ローラ164、従動ローラ165、無端ベルト166等を有している。駆動ローラ164は、図示しない排版モータを含む排版駆動手段126(図3参照)によって図1の時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルト166が図1中矢印方向に移動する。下排版部材161は、駆動ローラ167、従動ローラ168、無端ベルト169等を有している。駆動ローラ167は、駆動ローラ164を回転駆動する上記排版モータの駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることにより、図1の時計回り方向に回転駆動されることにより、無端ベルト169が図1の矢印方向に移動する。また、下排版部材161は、排版駆動手段126に含まれる図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図に示す位置と従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169が版胴1の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
【0066】
排版ボックス162は、その内部に使用済みマスタを貯容するものであり、本体フレーム130に対して着脱自在に設けられている。圧縮板163は、上排版部材160と下排版部材161とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス162の内部に押し込むように本体フレーム130に上下動自在に支持されており、排版駆動手段126に含まれる昇降モータを含む図示しない昇降手段によって上下動される。排版部17は、上排版部材160、下排版部材161、排版ボックス162、圧縮板163等を有している。上排版部材160は、駆動ローラ164、従動ローラ165、無端ベルト166等を有している。駆動ローラ164は、排版モータを含む排版駆動手段126(図3参照)によって図1の反時計回り方向に回転駆動されることにより無端ベルト166が図1中矢印方向に移動する。下排版部材161は、駆動ローラ167、従動ローラ168、無端ベルト169等を有している。駆動ローラ167は、駆動ローラ164を回転駆動する上記した排版駆動手段126の駆動力をギヤやベルト等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることにより、図1の時計回り方向に回転駆動されることにより、無端ベルト169が図1の矢印方向に移動する。また、下排版部材161は、排版駆動手段126に含まれる図示しない移動手段によって移動自在に設けられており、図に示す位置と従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169が版胴1の外周面に当接する位置とを選択的に占める。
【0067】
排版ボックス162は、その内部に使用済みマスタを貯容するものであり、図2に示す本体フレーム130に対して着脱自在に設けられている。圧縮板163は、上排版部材160と下排版部材161とによって運ばれた使用済みマスタを排版ボックス162の内部に押し込むように本体フレーム130に上下動自在に支持されており、排版駆動手段126に含まれる昇降モータを含む図示しない昇降手段によって上下動される。図3において、排版部17の上記排版モータ、上記移動手段、上記昇降モータを含む排版部17の制御対象駆動手段を総括的に排版駆動手段126とする。
【0068】
給紙部30は、図1または図7に示すように、画像形成すなわち印刷を行われる用紙36を繰り出し可能に積載して昇降自在な上記したトレイとしての給紙トレイ35と、版胴1の外周面とプレスローラ21との間に後述するタイミングを取って用紙36を給送するレジスト手段としてのレジストローラ対31と、給紙トレイ35上の用紙36に接触してレジストローラ対31のニップ部に向けて用紙36を1枚ずつ分離して搬送する給紙手段としての給紙ローラ33および分離部材34と、用紙36の用紙サイズを検出する用紙サイズ検出手段109等とを具備している。
【0069】
給紙トレイ35は、給紙トレイ35を上下動させる図示しない昇降手段としての給紙トレイ昇降モータおよびワイヤ式昇降機構等を備えた駆動装置(図示せず)により、積載された用紙36の最上位が常に給紙ローラ33に所定の押圧力(用紙36が搬送可能な押圧力)をもって接触するように、すなわち用紙36の増減に連動して用紙36が搬送可能な範囲の押圧力で接触する状態を保持しつつ昇降される。給紙トレイ35は、多くの用紙種類および用紙サイズを使用できる構造を有すると共に、その用紙積載容量を例えば用紙サイズA3(縦)やA4の用紙36で500枚以上を積載可能とする孔版印刷装置に適した構造を有する。
【0070】
用紙サイズ検出手段109は、用紙幅方向Yに変位可能に配設され用紙サイズに応じて用紙36の各側縁に係合して位置決めし揃えるためのガイド部材としての一対のサイドフェンス110a,110bと、給紙トレイ35の下部に配設されている図示しない不動部材に回動自在に取り付け支持されたピニオン116と、サイドフェンス110aの下部端縁部に形成されピニオン116と噛み合うラック部115と、サイドフェンス110bの下部端縁部に形成されラック部115に対向してピニオン116と噛み合うラック部114と、サイドフェンス110bのラック部114に対向する下部端縁部において下方に突出して折り曲げられ適宜の間隔をもって切り欠かれた複数の切欠きを備えた遮閉部114aとを有している。
【0071】
用紙サイズ検出手段109はまた、給紙トレイ35の上記不動部材に適宜の間隔をもって固設され遮閉部114aとそれぞれ選択的に係合する複数(ここでは2つ)の横サイズ検知センサ118a,118bと、給紙トレイ35の上記不動部材における給紙方向Xに適宜の間隔をあけて固設された複数(ここでは3つ)縦サイズ検知センサ119a,119b,119cとから主に構成されている。
用紙サイズ検出手段109は、サイドフェンス対110a,110bの用紙幅方向Yの移動に連動して用紙36の用紙サイズを検出するものである。
【0072】
各横サイズ検知センサ118a,118bは、発光部および受光部を具備した透過型の光学センサであり、遮閉部114aとそれぞれ選択的に係合することにより用紙36における用紙幅方向Yの長さ・サイズを検出する。よって、各横サイズ検知センサ118a,118bは、用紙36の、用紙幅方向Yにおけるサイドフェンス110a,110bの位置を検知する検知手段としての機能を有している。
【0073】
縦サイズ検知センサ119a,119b,119cは、反射型の光学センサである。縦サイズ検知センサ119a,119b,119cは、用紙36における給紙方向Xの長さ・サイズを検知する。各横サイズ検知センサ118a,118bおよび各縦サイズ検知センサ119a,119b,119cを総称して、用紙サイズ検知センサ117という。
【0074】
用紙サイズ検知センサ117は後述する制御装置100に電気的に接続されており、これらの用紙サイズ検知センサ117で検出されたサイズ信号データを組み合わせて制御装置100のCPU101が判断することにより、用紙36の用紙サイズを決定するものである。よって、用紙サイズ検知センサ117の全体で、用紙36の、用紙幅方向Yにおけるサイドフェンス110a,110bの位置を検知する検知手段としての機能を有しているということもできる。用紙サイズ検知センサ117は、用紙36の用紙サイズを検知する用紙サイズ検知手段としての機能を有する他、縦サイズ検知センサ119aは用紙36の有無を検知する用紙有無検知手段としての機能も有する。
【0075】
なお、用紙36における用紙幅方向Yの長さ・サイズを検出する横サイズ検知センサおよび用紙36における給紙方向Xのサイズを検知する縦サイズ検知センサとしては、説明の簡明化のためにそれぞれ2つおよび3つとしたが、これ以上配設してより多くのサイズを検知できるようにしてもよい。用紙サイズ検知方式としては、上述したような方式に限定されず、他の方式、例えば給紙側板(サイドフェンス)に連動して摺動子がスライドして、用紙サイズに応じて配置されている紙サイズ検知板の各端子と接触・接続して検知するもの等であってもよく、それらを、用紙36の、用紙幅方向Yにおけるサイドフェンス110a,110bの位置を検知する検知手段とすることができる。
【0076】
給紙ローラ33は、金属製の給紙ローラ軸33aと一体的に形成されていて、給紙ローラ軸33aの一端部が上記筐体側板に回転自在に支持されている。給紙ローラ33の表面は、少なくともゴム等の高摩擦抵抗部材で形成されている。給紙ローラ軸33aは、用紙搬送方向Xにのみ用紙36を搬送するように給紙ローラ33を回転させる、つまり時計回りにのみ回転させるためのワンウェイクラッチ(図示せず)を介して給紙モータ37に接続されている。分離部材34は、用紙36に対する摩擦係数の高いゴムや樹脂で形成され給紙ローラ33に当接可能となっている分離パッドと呼ばれる部材を有している。この分離パッドは、付勢手段としての図示しない圧縮バネにより給紙ローラ33に押し付けられる向きに付勢されている。
【0077】
給紙モータ37は、パルス入力で駆動するモータとしての例えばステッピングモータからなっている。
レジストローラ対31を構成する下側のローラの軸31cにはレジストモータ41が接続されている。レジストモータ41はパルス入力で駆動するモータとしての例えばステッピングモータからなっている。
【0078】
図1において、版胴1とプレスローラ21とのニップ部からレジストローラ対31のニップ部までの用紙搬送経路XAには、レジストローラ対31から送り出された用紙36の先端および後端を検知する用紙検知手段としての用紙検知センサ32が配設されている。用紙検知センサ32は、該用紙検知センサ32の配置位置(用紙36の先端を検知できる位置)よりも上流側の用紙搬送経路XAに用紙36が留まっていること(ジャム等を生じていること)を検知する機能も有する。用紙検知センサ32は、発光部および受光部を具備した反射型の光学センサである。
【0079】
給紙部30の上記給紙トレイ昇降モータ、給紙モータ37、レジストモータ41を含む給紙部30の制御対象駆動手段を、図3において、総括的に給紙駆動手段125として示している。なお、給紙ローラ33を回転駆動する給紙駆動手段は、給紙モータ37等に限らず、メインモータ20からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって給紙ローラ33に伝達されることで、版胴1と同期した所定のタイミングで回転駆動されるように構成してもよい。同様に、レジストローラ対31を回転駆動するレジスト駆動手段は、レジストモータ41等に限らず、メインモータ20からの回転駆動力をギヤやカム等の図示しない駆動力伝達手段によって伝達されることで、版胴1とプレスローラ21とのニップ部に向けて用紙36を所定のタイミングで給送するように構成してもよい。
【0080】
排紙部19は、図1に示すように、版胴1の外周面に近接自在に設けられ、片面印刷済み用紙36を版胴1上の製版済みマスタ8Yから剥離する剥離爪170と、剥離爪170で剥離された片面印刷済み用紙36の先端部と版胴1との間に送風して剥離爪170による剥離作用を助勢するための剥離ファン171と、排紙搬送手段47と、排紙トレイ172とから主に構成されている。
【0081】
剥離爪170は、版胴1の外周面にプレスローラ21が圧接することにより形成される印刷ニップ部における下流近傍に設けられている。剥離爪170は、版胴1の回転と同期して回転駆動されるカムおよびバネ等を具備した剥離爪変位手段(図示せず)により、版胴1の外周面に近接して版胴1上の製版済みマスタ8Yから片面印刷済み用紙36を強制的に剥離する剥離位置と、この剥離位置から離間して版胴1の外周面から突出したクランパ7配置部との接触を避ける非剥離位置との間で変位自在に構成されている。剥離ファン171は、該剥離ファンを回転駆動するファン駆動モータを内蔵している。
【0082】
図2に示すように、画像読取部18は、複数枚の原稿133を積載する上記した原稿受け台134と、原稿133を載置する読取部としてのコンタクトガラス135と、原稿133を搬送する原稿搬送ローラ対136および原稿搬送ローラ137と、搬送される原稿133をガイドするガイド板138,139と、原稿133をコンタクトガラス135に沿って搬送する複数の原稿搬送ベルト140と、読み取られた原稿133を積載する原稿トレイ141と、コンタクトガラス135を除く上記各部材を支持しコンタクトガラス135に対して接離・開閉自在に設けられた圧板142と、原稿133の画像を照明しつつ走査して読み取るための反射ミラー143,144および蛍光灯145と、走査して読み取られた画像の反射光を集束するレンズ146と、集束された画像の反射光を処理するCCD(電荷結合素子)等を備えた画像センサ147等とを具備している。
【0083】
上記構成中、原稿受け台134、原稿搬送ローラ対136、原稿搬送ローラ137、各ガイド板138,139、原稿搬送ベルト140および原稿トレイ141によって、コンタクトガラス135(読取部)上に原稿133を1枚ずつ給送する自動原稿給送手段としての自動原稿搬送装置(以下、「ADF」という)148が構成されている。また、コンタクトガラス135、各反射ミラー143,144、蛍光灯145、レンズ146および画像センサ147によって、原稿133の画像をコンタクトガラス135(読取部)上で読み取る原稿読取手段としてのスキャナ装置132が、各反射ミラー143,144、蛍光灯145およびレンズ146によって原稿走査光学系が、それぞれ構成されている。原稿搬送ローラ対136、原稿搬送ローラ137および原稿搬送ベルト140は、図示しない原稿搬送モータによって駆動される。スキャナ装置132には、スキャナ装置132を駆動するスキャナモータ(図示せず)が配設されている。
【0084】
画像センサ147は受光した反射光に対応して光電変換をし、これにより得られた画像信号を上記A/D変換部に入力する。
コンタクトガラス135の下方近傍には、搬送される原稿133またはコンタクトガラス135上に載置された図示しない原稿の図において搬送方向(左右方向)の原稿の長さを検知する原稿縦サイズ検知センサ149a,149bおよび搬送される原稿133またはコンタクトガラス135上に載置された図示しない原稿の図において紙面の手前側および奥側の長さを検知する図示しない原稿横サイズ検知センサが配設されている。原稿縦サイズ検知センサ149a,149bおよび上記原稿横サイズ検知センサによって、搬送される原稿133またはコンタクトガラス135上に載置された図示しない原稿のサイズが検知され、以下、これらを原稿サイズ検知センサ149と総称する。原稿サイズ検知センサ149の原稿縦サイズ検知センサ149a,149bおよび上記原稿横サイズ検知センサは、共に反射型の光学センサであり、コンタクトガラス135上における反射量の違いにより原稿133の輪郭・サイズおよび原稿133の有無を検知する。原稿サイズ検知センサ149からの信号は、制御装置100に入力される。原稿サイズ検知センサ149からの信号に基づいて、制御装置100は原稿サイズ(等倍のときには、マスタ8に製版・形成されるべき製版画像のサイズでもある)を判定し認識する。原稿受け台134の下方には、原稿受け台134上に残存している原稿133を検知する原稿検知センサ131が配設されている。原稿検知センサ131は、原稿受け台134上の原稿133が無くなったときに制御装置100に信号を出力する。画像読取部18の上記スキャナモータ、上記原稿搬送モータを含む排紙部19の制御対象駆動手段を、図3において、総括的に読取駆動手段128と示している。
【0085】
図4に示すように、操作パネル173は、両面孔版印刷装置200に所定の動作等をさせるべく指示等をするためのものであり、図2に示した画像読取部18の近傍に配設されている。
操作パネル173は、その上面に製版スタートキー174、印刷スタートキー175、試し刷りキー176、連続キー177、クリア/ストップキー178、テンキー179、エンターキー180、プログラムキー181、モードクリアキー182、印刷速度設定キー183、4方向キー184、用紙サイズ設定キー185、両面印刷キー187、片面印刷キー188、7セグメントLED(発光ダイオード)からなる表示装置189、LCD(液晶表示装置)からなる表示装置190等を有している。
【0086】
製版スタートキー174は、両面孔版印刷装置200に製版動作を行わせる際に押下され、製版スタートキー174が押下されると排版動作および原稿読取動作が行われた後に製版動作が行われ、その後、版付け動作が行われる。版付け動作の後、後述する連続モードが設定されていないとき、両面孔版印刷装置200は印刷待機状態となる。印刷スタートキー175は、連続モードが設定されていないとき、両面孔版印刷装置200に印刷動作を行わせる際に押下され、両面孔版印刷装置200が印刷待機状態となり各種印刷条件が設定された後に印刷スタートキー175が押下されることにより、印刷動作が行われる。試し刷りキー176は、両面孔版印刷装置200に試し刷りを行わせる際に押下され、各種条件が設定し試し刷りキー176を押下して試し刷りすなわちテストプリントを設定すると、テストプリントとして1枚だけ印刷が行われるようになっている。連続キー177は、製版動作と印刷動作とを連続して行う際に製版スタートキー174の押下前に押下され、連続キー177の押下後、印刷条件が入力された後に製版スタートキー174が押下されると、排版動作、原稿読取動作、製版動作に引き続いて印刷動作が行われる。
【0087】
クリア/ストップキー178は、両面孔版印刷装置200の動作を停止させる際あるいは置数のクリア時に押下される。テンキー179は、数値入力等に用いられる。エンターキー180は、各種設定時に数値等を設定する際に、プログラムキー181はよく行う操作を登録したりそれを呼び出したりする際にそれぞれ押下され、モードクリアキー182は、各種のモードをクリアして初期状態に戻す際に押下される。印刷速度設定キー183は、印刷動作に先立って印刷速度を設定する際に押下され、濃いめの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が低い場合等には印刷速度を遅く、薄めの画像を得たい場合あるいは雰囲気温度が高い場合等には印刷速度を速く設定する。4方向キー184は、上キー184a、下キー184b、左キー184c、右キー184dを有しており、画像編集時に画像位置を調整するときあるいは各種設定時に数値や項目等を選択する場合等に押下される。用紙サイズ設定キー185は、用紙サイズを任意で入力する際に押下され、用紙サイズ設定キー185で入力された用紙サイズは用紙サイズ検知センサ73によって検知された用紙サイズに優先される。
【0088】
両面印刷キー187は、両面孔版印刷装置200に両面印刷動作を行わせる際に製版スタートキー174の押下前に押下され、両面印刷キー187が押下されるとその近傍に配置されたLED187aが点灯して両面印刷モード設定状態であることが表示される。片面印刷キー188も、両面印刷キー187と同様に両面孔版印刷装置200に片面印刷動作を行わせる際に製版スタートキー184の押下前に押下され、片面印刷キー188が押下されるとその近傍に配置されたLED188aが点灯して片面印刷モード設定状態であることが表示される。両面孔版印刷装置200では、図示しない電源スイッチオン後の初期状態時においてLED188aが点灯しており、片面印刷モード設定状態となっている。
【0089】
表示装置189は、主に印刷枚数等の数字を表示する。表示装置190は、階層表示構造となっており、その下方に設けられた選択設定キー190a,190b,190c,190dを選択して押下することにより、変倍や位置調整等の様々なモードへの変更および各モードでの設定が可能に構成されている。たとえば、連続モードを指定するか否かの設定を行うことができる。連続モードを設定すると、版付け動作の後、印刷待機状態となることなく、印刷動作が開始される。また、画像位置調整を行うか否かの設定を行うことができる。画像位置調整を行うように設定すると、テストプリントを行うよう設定されているときにはテストプリントを行った後、テストプリントを行わないよう設定されているときには印刷動作開始後すぐに、4方向キー184を用いて印刷位置が調整できる状態となるようになっている。表示装置190には、図示したように「製版・プリントできます」のような両面孔版印刷装置200の状態が表示される他、製版あるいは排版ジャム、給紙あるいは排紙ジャム等の警告、用紙、マスタ、インキ等のサプライの供給指示等も表示される。
【0090】
これら、各モード、各設定に応じた制御は、後述する制御装置100によって行われるようになっている。
また、両面孔版印刷装置200には、制御装置100に対して所定の情報を入力する入力手段として、操作パネル173の他に、パーソナルコンピュータ等の、外部の入力手段を接続可能とすることができ、かかる入力手段を接続した場合には、これにより、上述した、操作パネル173によって入力される情報をすべて入力することが可能となるようになっている。また、かかる入力手段によって、形成すべき画像のデータすなわち印刷すべき画像のデータを入力することもできる。なお、かかる入力手段が両面孔版印刷装置200に接続可能である場合、操作パネル173は必ずしも必要ではない。
【0091】
図3を参照して、両面孔版印刷装置200の主たる制御構成を説明する。制御装置100は、両面孔版印刷装置200の主として原稿読取動作、製版動作、給紙動作および印刷動作を制御する制御手段としての機能・構成を有する。制御装置100は、CPU101(中央演算処理装置)、図示しないI/O(入出力)ポート、ROM102(読み出し専用記憶装置)、RAM103(読み書き可能な記憶装置)および図示しない電池付きのタイマ等を備え、それらが図示しない信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。
【0092】
制御装置100は、図1に示すように、図2に示した本体フレーム130内の制御基板配置部に設けられている。制御装置100のCPU101(以下、説明の簡明化を図るため、単に「制御装置100」というときがある)は、操作パネル173からの各種信号および本体フレーム130に設けられた上記した各種センサからの検知信号およびROM102から呼び出された動作プログラムに基づいて、印刷部16の版胴駆動手段129、製版部15、給紙部30、排版部17、排紙部19、画像読取部18に設けられた各駆動手段、プレスローラ駆動モータ55、排紙搬送手段47に設けられた吸引ファン89、ベルト駆動モータ90、揺動モータ96の各作動等を制御し、両面孔版印刷装置200全体の動作を制御する。また制御装置100は、図3に総括的に示した版胴位置検知センサ29からの各種の版胴位置信号に基づいて、版胴1の回転位置の割り出し等の把握も行っている。
【0093】
ROM102には、両面孔版印刷装置200全体の動作プログラムや必要なデータ等が記憶されており、この動作プログラムはCPU101によって適宜呼び出される。RAM103は、CPU101の計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル173上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン/オフ信号を随時記憶する機能等を有している。
【0094】
図1に示すように、用紙受け45は、排紙搬送手段47の下方に配置されている。用紙受け45は、筐体側板対の間に回動自在に支持された駆動軸155に一体的に設けられた駆動ローラとしての搬送ローラ後154と、再給紙レジストローラ51の近傍に配置された従動軸157に一体的に設けられた従動ローラとしての搬送ローラ前156と、搬送ローラ後154と搬送ローラ前156との間に巻き掛け・張設され表面印刷済み用紙36を保持して搬送する無端ベルトとしての空気吸引用の図示しない複数の孔が形成された搬送ベルト158と、駆動軸155にギヤやベルト等の駆動力伝達手段を介して連結され搬送ローラ後154の回転駆動を介して搬送ベルト158を回転駆動するベルト駆動手段としてのベルト駆動モータ150と、表面印刷済み用紙36を複数の孔から空気を吸引することにより搬送ベルト158の上面に吸引・保持させるための吸引ファン159とを有している。
【0095】
用紙受け45はまた、表面印刷済み用紙36に係合し、用紙受け45上における表面印刷済み用紙36の斜行を防止する斜行防止手段151と、図3において再給紙手段49の一部として示した再給紙センサ52と、搬送ローラ前156及びこれに巻き掛けられた部分の搬送ベルト158が常に再給紙レジストローラ51の近傍に位置するように、用紙受け台45を駆動軸155を中心に搖動させる図3に示す変位手段48と、搬送ベルト158の内側に配設された図示しない面板とを有している。
【0096】
搬送ローラ後154および搬送ローラ前156は、串刺し状に分割されていて歯付きのローラからなり、例えばニトリルゴム(NBR)等の耐油性(耐インキ腐食性)を有する高摩擦材料で形成されているが、このような性質を有する材料であれば樹脂等であっても構わない。搬送ベルト158は、歯付きベルトからなり、複数本のものが串刺し状に分割された搬送ローラ154と搬送ローラ前156との間にそれぞれ巻き掛けられ張設されている。搬送ベルト158は、耐油性を有する弾性体である例えばニトリルゴム(NBR)またはシリコーンゴム(Q)で形成されていて、少なくとも該ゴムの外周表面には、フッ素ゴム(FKM)やポリテトラフルオロエチレン樹脂等の撥インキ性かつ耐油性を有する被膜が平滑にコーティングされている。吸引ファン159には、ファン駆動手段としてのファン駆動モータが内蔵されている。以下、説明の簡単化のために、該「ファン駆動モータ」のことを単に「吸引ファン159」というときがある。
【0097】
搬送ベルト158は、制御装置100からの指令信号に基づき所定のタイミングで断続的に駆動されるベルト駆動モータ150によって、表面印刷済み用紙36を受け入れるときと給送するときとで反対方向に回転されるようになっている。
面板には、搬送ローラ後154および搬送ローラ前156の回転や吸引ファン159による吸引を妨げることのない形状をなしているとともに、後述するローラガイド59a,59b及び移動板152a,152bの用紙幅方向Yへの変位を許容する切欠が形成されている。
【0098】
再給紙センサ52は、表面印刷済み用紙36が用紙保持手段60によって用紙受け45に搬送されるとき、表面印刷済み用紙36を検知する。再給紙センサ52は、反射型の光学センサからなり、表面印刷済み用紙36の前後端を検知する。再給紙センサ52は、用紙受け45の、再給紙レジストローラ51の近傍位置に配置されている。
【0099】
変位手段48は、駆動軸155を中心とした扇形状をなすように筐体側板対に設けられた図示しないラックと、これらの各ラックに噛み合う図示しないピニオンと、これらのピニオンを連結し従動軸157に平行に固設された図示しない軸と、軸に固着された図示しないウォームホイールと、このウォームホイールに噛み合う図示しないウォームと、このウォームを回転駆動する変位駆動手段としての図3に示す揺動モータ96とから主に構成されている。
【0100】
変位手段48は、搖動モータ96がプレスローラ21の上下動に合わせて制御装置100によって駆動されることによりピニオンが回転し、従動軸157が筐体側板対に対して移動することで、用紙受け台45を駆動軸155を中心に搖動させ、再給紙レジストローラ51の上下動にかかわらず搬送ローラ前156及びこれに巻き掛けられた部分の搬送ベルト158が常に再給紙レジストローラ51の近傍に位置するように用紙受け台45を駆動する。
【0101】
図8に示すように、斜行防止手段151は、用紙36の各側縁に対して配設され、用紙36の各側縁に係合して位置決めし斜行を防止する斜行防止部材としての用紙幅方向Yにおいて一対のローラガイド59a,59bと、用紙サイズに応じて用紙幅方向Yに変位可能であって、ローラガイド59a,59bをそれぞれ回転自在に支持した移動板152a,152bと、移動板152aの下部端縁部に形成され面板の下方に位置するラック部121と、移動板152bの下部端縁部に形成されラック部121に対向し面板の下方に位置するラック部122と、面板の下方に位置しラック部121及びラック部122に噛み合うピニオン153と、ピニオン153を回転駆動する駆動手段としてのステッピングモータ123と、移動板152a,152bを用紙幅方向Yに移動自在に支持した図示しない支持手段とを有している。ローラガイド59a,59bはそれぞれ、用紙搬送方向Xに2つずつ設けられている。
【0102】
図9に示すように、ローラガイド59a,59bはそれぞれ、移動板152a,152bに固定され略鉛直方向に長い軸部61a,61bと、軸部61a,61bに回転自在に遊嵌され支持されたローラ部62a,62bとを有している。ローラ部62a,62bはそれぞれ,上方に向けて径が減少する釣鐘形の形状であって、軸部61a,61bの長手方向に垂直な断面が円形をなす形状をなしている。ローラ部62a,62bの材質は軽量のプラスチックであって、用紙36の側縁が係合し、回転するときのトルクが小さくなるようになっている。また外面は滑らかであって、用紙36の側縁との摩擦が減じられている。ローラ部62a,62bは、外面を滑らかにするため、減摩加工が施されている。
【0103】
上述のように、ローラガイド59a,59bはそれぞれ、用紙搬送方向Xに2つずつ設けられているが、その数は、後述するように表面印刷済み用紙36の斜行を、表面印刷済み用紙36の搬送の妨げになることなく、確実に修正できるのであれば、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0104】
ステッピングモータ123は制御装置100によって駆動を制御され、ローラ部62a,62bの最大径部分すなわち移動板152a,152bに最も近接した部分の間隔、言い換えるとスパンが、用紙サイズ検知センサ117によって検知された印刷に使用される用紙36の幅と一致するよう、移動板152a,152bの位置を調整する。この調整は、本形態においては、後述するように製版スタートキー174が押下され用紙サイズ検知センサ117によって用紙36のサイズが検知されたときに行なわれるが、少なくとも表面印刷済み用紙36がローラ部62a,62bの間に位置するときに行なわれれば良い。
【0105】
よって、表面印刷済み用紙36が用紙保持手段60によって斜行した状態で搬送されてきても、ローラガイド59a,59bは、表面印刷済み用紙36をローラ部62a,62bで受け入れ、表面印刷済み用紙36は、落下するにつれて、下方に向けて径が大きくなっているローラ部62a,62bによる規制を受け、ローラ部62a,62bにて進行方向に対して次第に略真っ直ぐな姿勢に修正され斜行が解消する。
【0106】
この際、ローラ部62a,62bの外面が滑らかであることにより、ローラ部62a,62bが表面印刷済み用紙36に当接しその姿勢を修正するときに表面印刷済み用紙36の搬送が妨げられることはなく、また、表面印刷済み用紙36がローラ部62a,62bに強く当接するなどしてローラ部62a,62bとの摩擦が大きくなっても、ローラ部62a,62bは滑らかに回転するため、表面印刷済み用紙36の搬送はやはり妨げられることがない。
【0107】
用紙保持手段60は、図1に示す用紙保持部材64と、用紙保持部材64を図1に示す第1の位置としての用紙保持位置と図6に示す第2の位置としての待機位置との間で移動可能に支持する図示しない支持部材と、用紙保持部材64を用紙保持位置と待機位置との間で往復動させる図示しない駆動手段とを有している。
【0108】
用紙保持部材64は、用紙保持位置において表面印刷済み用紙36の先端を挟持して保持するとともに待機位置において表面印刷済み用紙36の先端を開放する図示しない用紙先端挟持部材を一体に有している。用紙先端挟持部材による表面印刷済み用紙36の挟持・開放は、用紙保持部材64が駆動手段によって駆動され変位することと連動してなされるようになった周知の構成である。用紙保持部材64のホームポジションは待機位置であって、通常は待機位置を占めている。
【0109】
駆動手段は、制御装置100によって駆動を制御され、両面印刷モードにおける表面印刷時において、プレスローラ21が印刷位置を占め剥離ガイド46の先端が版胴1側に向けて回動したときに、用紙保持部材64を待機位置から用紙保持位置とし、その後プレスローラ21が非印刷位置を占め剥離ガイド46の先端がプレスローラ21側に向けて回動するまでの間に、表面印刷済み用紙36が版胴1とプレスローラ21との間のニップ部から送り出される速度と略同じ速度で、用紙保持部材64を待機位置まで変位させる。
【0110】
斜行防止手段151による表面印刷済み用紙36の斜行の解消は、用紙先端挟持部材が表面印刷済み用紙36の先端を開放し、表面印刷済み用紙36が用紙受け45に向けて落下し搬送ベルト158に吸着されるまでの間に行われるが、用紙先端挟持部材による挟持力の強さによっては、用紙保持部材64が用紙保持位置から待機位置に向けて移動し表面印刷済み用紙36の搬送を行う過程で行なわれる。
【0111】
本形態においてはこのようにして表面印刷済み用紙36の斜行が防止されるが、斜行を防止するための動作として、表面印刷済み用紙36がローラ部62a,62bの間に位置するときに、ローラ部62a,62bの間隔を、表面印刷済み用紙36の幅と一致する第1の位置と、表面印刷済み用紙36の幅より数ミリ程度大きくした第2の位置との間で変位させ、かかる変位により斜行の解消動作を行うようにしても良い。
【0112】
かかる解消動作は、第2の位置から第1の位置への変位を少なくとも1回含んでいれば良い。かかる変位のタイミングは、表面印刷済み用紙36の少なくとも一部がローラ部62a,62bの間に位置するときであれば良いが、用紙先端挟持部材が表面印刷済み用紙36の先端を開放し、表面印刷済み用紙36が用紙受け45に向けて落下し搬送ベルト158に吸着されるまでの間であることが望ましい。ただし、用紙先端挟持部材による挟持力の強さによっては、用紙保持部材64が用紙保持位置から待機位置に向けて移動し表面印刷済み用紙36の搬送を行うまでの間であっても良い。
【0113】
かかる解消動作を行うときには、ローラ部62a,62bが第2の位置を占めるときに表面印刷済み用紙36を受け入れるようにすれば、ローラ部62a,62bは円筒形状とすることができる。
ローラ部62a,62bが第2の位置を占める場合のこれらの間隔は、第1の位置を占める場合のこれらの間隔に対し、上述のように数ミリ程度大きくされているが、何らかの原因で用紙の斜行の程度すなわち暴れ量が大きくなった場合を想定して、第1の位置を占める場合におけるかかる間隔を基準とした第2の位置を占める場合におけるかかる間隔の大きさの差は、操作パネル173により入力することで適宜設定値を変更できるようにすることが好ましい。
【0114】
図10に示すように、ローラ部62a,62bの位置の調整は、ピニオン116の位相に基づいてローラ部62a,62bの位置を検知することで行なっても良い。この場合、ピニオン116の位相を検知する検知手段としては、エンコーダ65を用いることができる。制御装置100には、かかるエンコーダ等の検知手段からの信号が入力され、制御装置100はかかる信号に応じてローラ部62a,62bの位置の調整を行なうこととなる。
【0115】
このような構成によれば、ローラ部62a,62bがサイドフェンス110a,110bの間隔と同間隔となるよう、サイドフェンス110a,110bに連動して駆動される。よって用紙36の幅に合わせてローラ部62a,62bの位置の調整が正確かつ容易に行われる。用紙36が定型サイズ以外のサイズであっても、ローラ部62a,62bの位置の調整が正確かつ容易に行なわれる。
【0116】
上述の構成に基づき、本形態における両面孔版印刷装置200の操作手順を含む動作について説明する。この動作は、制御装置100による制御の下になされるため、各種モータや各種ソレノイド等のアクチュエータ(制御対象駆動手段)の起動、作動、停止等の詳細動作を説明する際において、制御装置100からの指令あるいは指令信号に基づきというような表現をできるだけ省略する。
【0117】
(動作例1)まず、片面印刷モードを設定し、片面印刷を行う動作例1について説明する。動作例1は、従来の孔版印刷装置により片面印刷を行うる動作と略同様であり、印圧範囲パターンIIIが使用される。動作例1では各動作を理解しやすくするために、マスタサイズとしてA3のものが、原稿サイズおよび用紙サイズとしてそれぞれA3サイズのものが用いられるものとする。なお、連続モードは設定せず、画像位置調整は行わないものとする。
【0118】
ユーザは給紙トレイ35上に印刷に使用される用紙サイズとしてA3サイズの用紙36を積載し、圧板142を開放してコンタクトガラス135上に印刷すべきA3サイズの原稿を載置した後、再び圧板142を閉じる。その後、操作パネル173上の各種キーによって製版条件を設定した後、片面印刷キー188を押下して片面印刷モードを設定して製版スタートキー174を押下する。
【0119】
ユーザは片面印刷モードであることをLED188aの点灯によって確認した後、製版スタートキー174を押下する。製版スタートキー174が押下されると、用紙サイズ検知センサ117から用紙サイズ検知信号が、また原稿サイズ検知センサ149から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御装置100に送られ、信号を受けた制御装置100は各信号を比較する。このとき、用紙サイズと原稿サイズとが同じ場合は直ちに画像読取動作が行われ、用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合には、制御装置100はその旨を表示装置190に表示してユーザに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御装置100からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行い、原稿サイズと画像サイズとを整合させるように構成してもよい。
【0120】
製版スタートキー174が押下されてスタート信号が生成され、これが制御装置100に入力されると、排版から排紙に亘る一連の動作が自動的に行われる。これに先後して、上記給紙トレイ昇降モータがオンすることにより給紙トレイ35が上昇して、最上の用紙36が給紙ローラ33に当接することにより、図示しない給紙位置検知センサのオン検知によって最上の用紙36が給紙可能な状態になったことが制御装置100により判断されると、給紙装置30では給紙待機状態となる。
【0121】
先ず、排版部17において、版胴1の外周面から使用済みマスタを剥離する排版動作が行われる。製版スタートキー174が押下されると版胴1が回転を開始し、版胴1はクランパ7が略真上となる上記ホームポジションに達すると、上記ホームポジションセンサから制御装置100にホームポジション信号が送られる。ホームポジション信号を受けた制御装置100は、このホームポジションを基点として図示しない上記エンコーダが発するパルス数を計測し、版胴1の外周面上に巻装された使用済みマスタの先端が従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169と対応する所定の排版位置に達したと判断すると、メインモータ20の作動を停止させる。
【0122】
メインモータ20が停止されて版胴1が所定の排版位置で停止すると、メインモータ20および排版駆動手段126が作動して各駆動ローラ164,167が回転駆動されると共に、下排版部材161が版胴1側に移動し、従動ローラ168の外周面上に位置する無端ベルト169が使用済みマスタと当接する。すると、版胴1の回転および無端ベルト169の移動によって版胴1の外周面上よりすくい上げられた使用済みマスタは、下排版部材161と上排版部材160とで挟持搬送されて版胴1の外周面より剥離される。剥離された使用済みマスタは排版ボックス162内に廃棄された後、圧縮板163によって圧縮される。外周面上より使用済みマスタが全て剥離された後も版胴1は、回転を継続し、クランパ7が略真上に位置する所定の給版待機位置まで回転して停止する。版胴1が給版待機位置で停止すると、図示しない開閉装置が作動してクランパ7が開放され、両面孔版印刷装置200は給版待機状態となる。
【0123】
上記排版動作と並行して、画像読取部18での原稿画像の読取動作が行われる。原稿画像の読み取りは、蛍光灯145によって照明された反射光を各反射ミラー143,144によって反射することにより行われ、読み取られた原稿画像に係る反射光はレンズ146で集束された後に画像センサ147に入射されて光電変換される。光電変換された電気信号は本体フレーム130内の図示しない上記A/D変換部に入力された後、図示しない製版制御装置(制御装置100の中に配設されていてもよい)を経由して図示しないサーマルヘッド駆動回路に送信される。
【0124】
排版動作および画像読取動作と一部並行して、製版部15では製版動作が行われる。すなわち、サーマルヘッド11の上記発熱素子を発熱駆動制御するためのデジタル画像信号が、図示しない製版制御装置およびサーマルヘッド駆動回路を介してサーマルヘッド11へ送信される。これにより、サーマルヘッド11の上記多数の発熱素子が主走査方向にパルス状に通電されて選択的に発熱されると共に、マスタ搬送モータ10が回転駆動されることにより、プラテンローラ9、搬送ローラ対13が回転を開始して、マスタロール8aからマスタ8が引き出されつつマスタ搬送方向X1に搬送されながら、マスタ8の上記熱可塑性樹脂フィルム部分が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔される。
【0125】
そして、製版済みマスタ8Yの先端部がマスタガイド板14に案内されてステージ6に対して拡開しているクランパ7の間に挿入され、マスタ搬送モータ10のステップ数がある設定値に達し、製版済みマスタ8Yの先端部がステージ6とクランパ7との間に届いたと判断されると、上記開閉装置によりクランパ7が閉じられ、製版済みマスタ8Yの先端部がステージ6とクランパ7との間に吸着・挾持される。
【0126】
製版済みマスタ8Yの先端部のクランプ後、メインモータ20の回転駆動により版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で回転を再開して、製版済みマスタ8Yがプラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されて版胴1の外周面へ巻装されるべく給版される。マスタ搬送モータ10の所定ステップ数の回転駆動により、マスタ8への製版および設定量の製版済みマスタ8Yの搬送が終了したと判断されると、カッタ12が作動して製版済みマスタ8Yが切断されると共に、マスタ搬送モータ10の回転駆動が停止されることによりプラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止する。
【0127】
そして、切断された製版済みマスタ8Yの後端が、版胴1の回転によって製版部15内から引き出され、版胴1の外周面に完全に巻き取られた段階で版胴1への製版済みマスタ8Yの巻装が終了することにより、給版動作が終了する。版胴1への製版済みマスタ8Yの巻装が完了すると、版胴1が所定の周速度で図1に示す矢印方向に回転し始めることにより、版付けのための給紙・印刷工程が開始される。なお、用紙36の先端が用紙検知センサ32を横切り・通過するまでは、換言すれば用紙検知センサ32により用紙36の先端がオン検知されるまでは、印圧範囲可変手段28は非作動状態にあり、これによりプレスローラ21は非印刷位置、すなわち版胴1の外周面から離間した初期位置で保持されている。
【0128】
版胴1が矢印方向に低速で回転して、先ず、給紙開始用遮光板が給紙レジストセンサと係合することにより、給紙レジストセンサがオンして給紙スタート信号が生成され、この信号がトリガとなって給紙モータ37が起動(回転駆動開始)する。給紙モータ37が作動することにより、給紙ローラ軸33aおよび給紙ローラ33が時計回りに回転することで、給紙ローラ33と接触している給紙トレイ35上の最上の用紙36が、搬送されながら分離部材34との協働作用によって1枚に分離されて用紙搬送方向Xの下流側であるレジストローラ対31のニップ部に向けて給送される。
【0129】
次いで、版胴1が図1における矢印方向にさらに回転して、レジスト開始用遮光板が給紙レジストセンサと係合することにより、給紙レジストセンサがオンしてレジストスタート信号が生成され、この信号がトリガとなってレジストモータ41が起動(回転駆動開始)する。このレジストモータ41が起動するタイミングは、版胴1上に巻装された製版済みマスタ8Yの版胴回転方向における片面製版画像8YAの画像領域先端部がプレスローラ21と対応する位置に到達する所定のタイミングになるように設定されている。レジストモータ41が作動することにより、軸31cが反時計回りに回転することで、レジストローラ対31のニップ部で当接して待機している用紙36が、版胴1とプレスローラ21とのニップ部に向けて送り出される。
【0130】
次いで、レジストローラ対31により給送された用紙36先端の進入が正常に行われ、すなわち用紙36の先端が、上記タイマで計時される所定の時間内(あるいはレジストモータ41に供給される所定のパルス数内)に用紙検知センサ32によってオン検知されることによって、この信号が制御装置100に入力される。この用紙検知センサ32からの用紙36先端の検知信号および版胴位置検知センサ29からの版胴1の回転位置情報に基づいて、制御装置100は印圧範囲可変手段28を作動させる。
【0131】
プレスローラ21は、その外周面が図1に示す版胴1の表面領域1Aないしは裏面領域1B上に巻装されている製版済みマスタ8Yの片面製版画像8YAよりも少し左寄りの先端余白部分に用紙36を押し付けて印圧を付与する印刷位置に変位する。これと同時に、プレスローラ駆動モータ55がプレスローラ21を版胴1の周速度と略同じ周速度で回転させることにより、プレスローラ21は版胴1の回転方向と反対方向に回転しながら版胴1上の製版済みマスタ8Yに用紙36を連続的に押し付けることで、製版済みマスタ8Yを版胴1の外周面に密着させそれにインキを充填させるためのいわゆる版付けが行われる。この版付けでは、版胴1の開口部1aの開孔部分から製版済みマスタ8Yの穿孔部分へとインキが滲み出てきて用紙36の表面に転移されることで孔版印刷が行われる。
【0132】
この時、インキローラ2も版胴1の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜まり4のインキは、インキローラ2の回転によりインキローラ2の表面に付着され、インキローラ2とドクタローラ3との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
【0133】
こうして版胴1上の製版済みマスタ8Yにおける片面製版画像8YAに対応した版付け印刷が行われ、版胴1がさらに回転して片面製版画像8YAの後端より少し右寄りの後端余白部分において、プレスローラ21による印圧付与状態が解除される。
なお、版胴1が図1中矢印方向に回転して、クランパ7が版胴1に圧接しているプレスローラ21の近傍に至ると、プレスローラ21は版胴1の外周面から外側へ突出しているクランパ7から離間し、プレスローラ21とクランパ7部位との干渉が避けられるようになっている。
【0134】
こうして版付け印刷された片面印刷済み用紙36はプレスローラ21で押圧された状態で版胴1の図1中矢印方向の回転によってさらに搬送され、片面印刷済み用紙36の先端部は、版胴1の外周面に接近する剥離爪170および剥離ファン171からの送風により版胴1上の製版済みマスタ8Yから確実に剥離され、剥離された片面印刷済み用紙36は下方へと落下して排紙搬送手段47へ送られ、反時計回りに回転している排紙ベルト88の上面に吸引ファン89による吸引力によって引きつけられ保持されながら用紙搬送方向Xの下流側に搬送されて、排紙トレイ172に排出される。
【0135】
一方、プレスローラ21が版胴1の外周面に当接した時点より版胴1が略4分の3周したとき、プレスローラ21は、版胴1の外周面から離れた非印刷位置に復帰して保持されると共に、版胴1は再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面孔版印刷装置200は印刷待機状態となる。
【0136】
また、給紙ないしは版付け中において、プラテンローラ9および搬送ローラ対13が回転を再開して、切断されたマスタ8の先端が搬送ローラ対13のニップ部に向けて送り込まれる。マスタ搬送モータ10のパルス数から、切断されたマスタ8の先端が搬送ローラ対13のニップ部に届き挟持されたと判断されると、プラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止し、次の製版に備えた製版待機状態になる。
【0137】
両面孔版印刷装置200が印刷待機状態となった後、印刷速度設定キー183および操作パネル173上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー176が押下されると試し刷りが行われる。試し刷りキー176が押下されると、設定された印刷速度で版胴1が回転駆動されると共に、給紙部30から用紙36が1枚給送される。給送された用紙36はレジストローラ対31で一時停留された後に版付け時と同じタイミングで給送され、プレスローラ21によって版胴1外周面上の製版済みマスタ8Yに圧接される。印刷画像を形成された片面印刷済み用紙36は剥離爪170および剥離ファン171により上記したと同様に版胴1上の製版済みマスタ8Yから確実に剥離され、剥離された片面印刷済み用紙36は排紙搬送手段47によって上述したと同様の動作で搬送されて排紙トレイ172上に排出される。なお、設定された印刷速度に伴い、印圧範囲可変手段28、給紙部30、排紙搬送手段47等の各種モータや各種ソレノイド等の制御対象駆動手段が印刷速度に適合した速度やタイミングでそれぞれ駆動制御される。
【0138】
試し刷りにより画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー179によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー175が押下されると、給紙部30から用紙36が連続的に給送され、試し刷りと同条件で印刷動作が行われる。そして、設定された印刷枚数(所定枚数)が消化されると版胴1がホームポジションで停止し、両面孔版印刷装置200は再び印刷待機状態となる。通常の印刷動作は、版付け時の印刷動作と比較して、上記したように版付け印刷に用いられた用紙36の枚数が正規の通常の印刷枚数としてカウントされないこと、およびユーザが所望する設定印刷速度に応じた速度での給紙、印刷および排紙の各動作が行われることが主に相違するだけである。
【0139】
なお、用紙36の先端が用紙検知センサ32により、制御装置100の上記タイマで計時される所定の時間内に検知されないとき、制御装置100はレジストローラ対31またはこれよりも用紙搬送方向Xの上流側で用紙36がジャム等によって滞留状態にあると判断して、プレスローラ21を非印刷位置で保持したままとする。これにより、用紙36がないのにも拘わらず、プレスローラ21が印刷位置を占めてしまうことにより、版胴1上の製版済みマスタ8Yにおける片面製版画像8YAに接触して、プレスローラ21の外周表面をインキで汚してしまうことが防止される。このような制御動作は、後述する両面印刷モード時の連続的な給紙動作等でも同様であり、以下一々の説明を省略する。
【0140】
なお、画像読取部18での読取り動作は、上述した以外に、ADF148を使用する場合もある。この場合の動作例1との相違点は、次のとおりである。すなわち、ユーザによってADF148の原稿受け台134にA3サイズの原稿133がセットされると、上記排版動作と並行して、画像読取部18のADF148が作動することにより1枚の原稿133が読取部であるコンタクトガラス135上に送出されることのみ相違するだけである。その後、上述したと同様に、スキャナ装置132の作動によってその原稿133の画像が光学情報として読み取られる。
【0141】
(動作例2)次に、両面印刷モードを設定して両面印刷を行う動作例2について説明する。この動作例2は、印圧範囲パターンIおよび印圧範囲パターンIIが使用される。動作例2では、各動作を理解しやすくするために、マスタサイズとしてA3のものが、原稿サイズおよび用紙サイズとしてそれぞれA4サイズのものが用いられるものとする。以下、動作例1と相違する点を中心に説明する。
【0142】
ユーザは給紙トレイ35上に印刷に使用される用紙サイズとしてA4サイズの用紙36を積載し、圧板142を開放してコンタクトガラス135上に表面印刷用の1枚目のA4サイズの原稿を載置した後、再び圧板142を閉じる。その後、操作パネル173上の各種キーによって製版条件を設定した後、両面印刷キー187を押下して両面印刷モードを設定し、その後、両面印刷モードであることをLED187aの点灯によって確認する。次いで、製版スタートキー174を押下すると、片面印刷モード時と同様にスタート信号が生成されて、これが制御装置100に入力される。
【0143】
動作例1と同様に、用紙サイズ検知センサ117から用紙サイズ検知信号が、また原稿サイズ検知センサ149から原稿サイズ検知信号がそれぞれ制御装置100に送られ、これらの信号を受けた制御装置100は各信号を比較する。本形態では、片面印刷時において版胴1で印刷可能な最大用紙サイズがA3サイズであるため、両面印刷時において使用可能な用紙サイズはA4横置きまでである。
【0144】
原稿サイズと用紙サイズとを比較した結果、両サイズが同じ場合には直ちに画像読取動作が行われ、両サイズが異なる場合には、制御装置100はその旨を表示装置190に警告として表示してユーザに注意を促す。用紙サイズと原稿サイズとが異なる場合に、制御装置100からの指令で自動的に拡大または縮小の変倍を行って原稿サイズと画像サイズとを整合させる構成、表示装置190に縮小や画像データの回転等の手順を表示してユーザの操作の手助けを行う構成としてもよい。また、用紙サイズがA4横置きを超える大きさの場合には、制御装置100は両面印刷動作を禁止して片面印刷を促す旨の表示を表示装置190にさせる。
【0145】
製版スタートキー174が押下されると、動作例1と同様に排版から排紙に亘る一連の動作が自動的に行われる。動作例1と同様にして、給紙トレイ35の最上の用紙36が給紙可能な状態になったことが制御装置100により判断されると、給紙部30では給紙待機状態となる。動作例1と同様の排版動作が行われた後、外周面上より使用済みマスタを全て剥離された版胴1は、動作例1のときと同様に給版待機位置で停止し、図示しない開閉装置によってクランパ7が開放される。この排版動作と一部並行して画像読取部18では表面印刷用の1枚目の原稿画像の読取動作が動作例1と同様に行われ、その画像データ信号が上記製版制御装置を経由して上記サーマルヘッド駆動回路に送信される。
【0146】
排版動作および画像読取動作と一部並行して、製版部15では動作例1と同様にサーマルヘッド11による製版が行われ、プラテンローラ9、搬送ローラ対13の回転によって、マスタロール8aからマスタ8が引き出されつつマスタ搬送方向X1に搬送されながら、マスタ8の上記熱可塑性樹脂フィルム部分が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔されて、マスタ8の前半部分に表面印刷用の表面製版画像8Aが形成される(図5に示す分割製版済みマスタ8X参照)。
【0147】
そして、分割製版済みマスタ8Xの先端部がマスタガイド板14に案内されてステージ6に対して拡開しているクランパ7の間に挿入され、マスタ搬送モータ10のステップ数がある設定値に達し、分割製版済みマスタ8Xの先端部がステージ6とクランパ7との間に届いたと判断されると、上記開閉装置によりクランパ7が閉じられ、分割製版済みマスタ8Xの先端部がステージ6とクランパ7との間に吸着・挾持される。
【0148】
分割製版済みマスタ8Xの先端部のクランプ後、メインモータ20の回転駆動により版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で回転を再開して、分割製版済みマスタ8Xがプラテンローラ9および搬送ローラ対13により搬送されて版胴1の外周面へ巻装されるべく給版される。マスタ搬送モータ10のステップ数により、図5に示す分割製版済みマスタ8Xのうちの表面製版画像8Aの製版が完了したと制御装置100によって判断されると、プラテンローラ9および搬送ローラ対13ならびに版胴1の回転が停止し、次の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面印刷用の裏面製版画像8Bの製版のための製版待機状態となる。
【0149】
次いで、ユーザは再び圧板142を開放してコンタクトガラス135上に裏面印刷用のA4サイズの2枚目の原稿を載置した後、再び圧板142を閉じる。その後、再度、製版スタートキー174を押下すると、スタート信号が生成されてこれが制御装置100に入力される。この時、1枚目の原稿の場合と同様に、制御装置100による原稿サイズと用紙サイズとの比較および上記したと同様の処理動作が行われる。画像読取部18では裏面印刷用の2枚目の原稿画像の読取動作が上記1枚目の原稿のときと同様に行われ、その画像データ信号が上記製版制御装置を経由して上記サーマルヘッド駆動回路に送信される。製版部15では1枚目の原稿のときと同様にサーマルヘッド11による製版が行われ、マスタ搬送モータ10が再び回転駆動されることにより、プラテンローラ9、搬送ローラ対13が回転されることで、マスタロール8aからマスタ8が引き出されつつマスタ搬送方向X1に搬送されながら、マスタ8の上記熱可塑性樹脂フィルム部分が画像情報に応じて選択的に加熱穿孔されて、マスタ8の後半部分に裏面印刷用の裏面製版画像8Bが形成される(図5参照)。
【0150】
この時、版胴1がマスタ搬送速度と略同じ周速度で回転を再開することにより、分割製版済みマスタ8Xの後半部分が製版部15内から引き出されつつ版胴1の外周面へ巻装されていく。そして、マスタ搬送モータ10のステップ数により、分割製版済みマスタ8Xのうちの最後の裏面製版画像8Bの製版が完了したと制御装置100によって判断されると、カッタ12が作動して分割製版済みマスタ8Xの後端部分が切断されると共に、プラテンローラ9および搬送ローラ対13の回転が停止し、版胴1の回転によって切断された1版分の分割製版済みマスタ8Xの後端が製版部15内から完全に引き出され、版胴1への分割製版済みマスタ8Xの巻装・給版動作が完了する。
【0151】
なお、原稿画像の読取動作および画像データの入力動作は、上述した例に限らず、例えばADF148を使用して原稿133をコンタクトガラス135上に自動的に搬送する構成、あるいは図示しない外部装置から画像データを取り込む構成としてもよい。また、両面印刷モード時において1枚の原稿を反転させて搬送し、その表面および裏面から2枚分の画像データを取得する構成としてもよい。また、両面印刷モード時において表裏面印刷用の1枚の原稿を反転させて搬送し、その表面および裏面から2枚分の画像データを取得する構成としてもよい。
【0152】
ADF148による原稿133の自動搬送動作に加えて、または単独で、読み取られた原稿画像に係る画像データを記憶・格納する例えばビットマップメモリ等からなる図示しない画像メモリを設け、この画像メモリ内に1枚目や2枚目の画像データを格納・記憶して、その画像データを順次呼び出しながら製版を行うようにしてもよい。
【0153】
一方、上記した版胴1への分割製版済みマスタ8Xの巻装が完了すると、版胴1が所定の周速度(通常、版付け用の低速度)で回転し始めることにより、版付けのための給紙・印刷工程が開始される。動作例1と同様に、用紙検知センサ32により用紙36の先端がオン検知されるまでは、プレスローラ21は非印刷位置で保持されている。
【0154】
版胴1が矢印方向に回転して、先ず、給紙開始用遮光板が給紙レジストセンサと係合することにより、動作例1と同様にして給紙モータ37が起動する。給紙モータ37が作動することにより、動作例1と同様の動作を介して、給紙ローラ33と接触している給紙トレイ35上の最上の1枚目の用紙36が、搬送されながら分離部材34との協働作用によって1枚に分離されてレジストローラ対31のニップ部に向けて送り出される。こうして送り出された用紙36の先端がレジストローラ対31のニップ部で当接した後、用紙36の先端部に所定の湾曲した撓みが形成された状態で保持される。次いで、版胴1が図1における矢印方向にさらに回転して、レジスト開始用遮光板が給紙レジストセンサと係合することにより、動作例1と同様にしてレジストモータ41が起動する。レジストモータ41が作動することにより、レジストローラ対31のニップ部で当接して待機していた用紙36が動作例1と同様の所定のタイミングで版胴1とプレスローラ21との間に向けて送り出される。この時、動作例1と同様に、レジストローラ対31により給送された用紙36先端の進入が用紙検知センサ32によって正常に検知される。
【0155】
次いで、用紙検知センサ32からの用紙36先端の検知信号および版胴位置検知センサ29からの版胴1の回転位置情報に基づいて、制御装置100は動作例1と同様に印圧範囲可変手段28を作動させる。
これにより、プレスローラ21は、図5に示すように、その外周面が図1に示す版胴1の表面領域1A上に巻装されている分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8Aよりも少し左寄りの先端余白部分に用紙36を押し付けて印圧を付与する印刷位置に変位する(図5に示す印圧範囲パターンIにおけるプレスローラ21による印圧オンタイミング参照)。これと同時に、プレスローラ駆動モータ55がプレスローラ21を版胴1の周速度と略同じ周速度で回転させることにより、プレスローラ21は版胴1の回転方向と反対方向に回転しながら版胴1上の分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8A部分に用紙36を連続的に押し付けることで、分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8Aを版胴1の外周面に密着させそれにインキを充填させるためのいわゆる版付けが行われる。この版付けでは、版胴1の開口部1aの開孔部分から分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aの穿孔部分へとインキが滲み出てきて用紙36の表面に転移されることで孔版印刷が行われる。
【0156】
この時、インキローラ2も版胴1の回転方向と同一方向に回転する。インキ溜まり4のインキは、インキローラ2の回転によりインキローラ2の表面に付着され、インキローラ2とドクタローラ3との間隙を通過する際にその量を規制され、版胴1の内周面に供給される。
また、変位手段48の揺動モータ96が駆動されることによって、用紙受け45が駆動軸155を支点として反時計回りに揺動変位されることで図1に示す位置を占めて停止保持されるとともに、用紙保持部材64が図1に示す用紙保持位置に変位される。
【0157】
こうして版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した版付け印刷が行われ、この過程において、用紙先端挟持部材により表面印刷済み用紙36の先端が挟持され、この状態で用紙保持部材64が待機位置に向けて変位される。用紙保持部材64が待機位置を占めると用紙先端挟持部材が表面済み用紙36の先端を開放し、表面印刷済み用紙36は搬送ベルト158に向けて落下して吸着されるが、表面印刷済み用紙36が斜行しているときには、搬送ベルト158に吸着されるまでに進行方向に対して略真っ直ぐな姿勢に修正され斜行防止手段151によって斜行を矯正される。
【0158】
版胴1の回転により表面製版画像8Aの後端近傍部分が印刷ニップ部16aに対応した回転位置に至ると、制御装置100は版胴位置検知センサ29からの版胴1の回転位置情報に基づいて、プレスローラ21が印刷位置から離間して略非印刷位置を占めた状態で保持され、次の給紙に備えた給紙待機状態となる。
このとき変位手段48の揺動モータ96が駆動されることによって、用紙受け45が駆動軸155を支点として時計回りに揺動変位されることで図6に示す位置を占めて停止保持される。
版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した版付け印刷が行われた表面印刷済み用紙36の先端部は、剥離爪170、剥離ガイド46および剥離ファン171からの送風により版胴1上の分割製版済みマスタ8Xから確実に剥離される。
【0159】
表面印刷済み用紙36の後端が再給紙センサ52を通り過ぎた時点で、ベルト駆動モータ150の回転駆動は一端停止し、次に所定時間だけ逆転駆動される。これにより、搬送ベルト158に吸着保持されていた表面印刷済み用紙36の先端が、プレスローラ21と再給紙レジストローラ51との間のニップ部に当接し、所定の湾曲した撓みが表面印刷済み用紙36の先端部に形成され、搬送ベルト158の回転が一時停止される。
【0160】
版胴1が所定位置に達したと判断されると、ベルト駆動モータ90が再度駆動され、搬送ベルト158が版胴1の周速度と略同じ線速度で反時計回りに回転される。
これと同時的に、プレスローラ駆動モータ55が回転駆動されることにより、プレスローラ21が反時計回りに回転されることで、プレスローラ21と再給紙レジストローラ51との間のニップ部に当接して保持されていた表面印刷済み用紙36の先端が、反時計回りに回転するプレスローラ21とこれに従動して時計回りに回転する再給紙レジストローラ51との間に挟持されながら、版胴1の周速度と略同じ周速度で、かつ、ローラガイド板50によりプレスローラ21の外周面に沿って搬送されるように案内されて、版胴1とプレスローラ21とが圧接されることにより形成されるニップ部に向けて表裏反転されながら搬送される。
【0161】
この搬送と並行して版胴1の所定の回転位置、すなわち版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bの先端近傍部分がニップ部に対応した回転位置に至ると、プレスローラ21はその外周面が版胴1の裏面領域1B上に巻装されている分割製版済みマスタ8Xの裏面製版画像8Bよりも少し左寄りの先端部分に表面印刷済み用紙36の裏面を押し付けて印圧を付与する印刷位置に変位することとなって、版付け用の両面印刷が行われる(図5に示す印圧範囲パターンIIにおけるプレスローラ21による印圧オンタイミング参照)。
【0162】
こうして、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける裏面製版画像8Bに対応して両面印刷が行われた版付け用の両面印刷済み用紙36は、片面印刷済み用紙36の排紙動作と同様に、その先端部が版胴1の外周面に接近する剥離爪170および剥離ファン171からの送風により版胴1上の分割製版済みマスタ8Xから確実に剥離され、剥離された両面印刷済み用紙36は下方へと落下して排紙搬送手段47へ送られ、排紙ベルト88の上面に吸引ファン89による吸引力によって引きつけられ保持されながら用紙搬送方向Xの下流側に搬送されて、排紙トレイ172に排出される。版付けによって印刷された両面印刷済み用紙36は、用紙受け45上において、常に、進行方向に対して略真っ直ぐな姿勢となっているため、表面製版画像8Aによって印刷が行われた位置と裏面製版画像8Bによって印刷が行われた位置とは正確に一致しており、画像位置ずれは生じていない。
【0163】
一方、プレスローラ21が版胴1の外周面に当接した時点より版胴1が略4分の3周したとき、プレスローラ21が版胴1の外周面から離れた非印刷位置に復帰して保持されると共に、版胴1は再びホームポジションまで回転して停止し、版付け動作を終えて両面孔版印刷装置200は次の正規の両面印刷のための印刷待機状態となる。
【0164】
両面孔版印刷装置200が印刷待機状態となった後、印刷速度設定キー183および操作パネル173上の各種キーによって印刷条件を入力した後に試し刷りキー176が押下されると試し刷りが行われる。試し刷りキー176が押下されると、設定された印刷速度で版胴1が回転駆動されると共に、両面印刷時における版胴1の1回転目に、給紙部30より1枚の用紙36が給送されて、版胴1上の分割製版済みマスタ8Xにおける表面製版画像8Aに対応した印刷が行われ、かつ、剥離ガイド46によって用紙受け45に案内・搬送されて保持された後、両面印刷時における版胴1の2回転目に、再給紙手段49により表面印刷済み用紙36が再給紙されてその裏面に裏面製版画像8Bに対応した印刷が行われ、両面印刷済み用紙36が排紙部19に案内・搬送される。
【0165】
試し刷りによって印刷された両面印刷済み用紙36は、版付けによって印刷された両面印刷済み用紙36と同様に、用紙受け45上において、常に、進行方向に対して略真っ直ぐな姿勢となっているため、表面製版画像8Aによって印刷が行われた位置と裏面製版画像8Bによって印刷が行われた位置とは正確に一致しており、画像位置ずれは生じていない。
なお、設定された印刷速度に伴い、印圧範囲可変手段28、給紙部30、排紙搬送手段47、変位手段48、再給紙手段49等の各種モータや各種ソレノイド等の制御対象駆動手段が印刷速度に適合した速度やタイミングでそれぞれ駆動制御される。
【0166】
試し刷りにより画像の位置あるいは濃度等が確認され、テンキー179によって印刷枚数が入力された後に印刷スタートキー175が押下されると、給紙部30から用紙36が連続的に給送され、試し刷りと同条件で印刷動作が行われる。そして、設定された印刷枚数(所定枚数)が消化されると版胴1がホームポジションで停止し、両面孔版印刷装置200は再び印刷待機状態となる。通常の正規の両面印刷動作は、版付け時の両面印刷動作と比較して、上記したように版付け印刷に用いられた用紙36の枚数が正規の通常の印刷枚数としてカウントされないこと、およびユーザが所望する設定印刷速度に応じた速度での給紙、再給紙、表面印刷、裏面印刷および排紙等の各動作が行われることが主に相違するだけである。
【0167】
このように、通常の正規の両面印刷動作では、設定された印刷枚数の両面印刷が版胴1の2回転ごとに行われ、版胴1の奇数回転では分割製版済みマスタ8Xの表面製版画像8Aに対応した表面印刷が、版胴1の偶数回転では分割製版済みマスタ8Xの裏面製版画像8Bに対応した裏面印刷がこの順に行われる。
【0168】
通常の正規の印刷によって印刷された両面印刷済み用紙36は、版付け、試し刷りによって印刷された両面印刷済み用紙36と同様に、用紙受け45上において、常に、進行方向に対して略真っ直ぐな姿勢となっているため、表面製版画像8Aによって印刷が行われた位置と裏面製版画像8Bによって印刷が行われた位置とは正確に一致しており、画像位置ずれは生じていない。よって、高品質の印刷物が得られる。
【0169】
以上、本発明を実施するための形態として、画像形成装置たる孔版印刷装置200を説明したが、本発明を適用した画像形成装置は、孔版印刷装置のみならず、オフセット印刷装置などの他のタイプの印刷装置、また複写機、プリンタ、ファクシミリなど何れのタイプの画像形成装置であっても良い。
【0170】
斜行防止部材は、用紙サイズが固定された画像形成装置や、片側基準で画像形成を行う画像形成装置等、用紙の斜行を解消できるのであれば、用紙の一方の側縁のみに対して配設しても良い。また、斜行防止部材は、用紙サイズが固定された画像形成装置等、用紙の斜行を解消できるのであれば、用紙の幅方向に移動自在でなく固定で配設しても良いし、用紙の搬送の妨げにならないのであれば回転自在でなく固定であってもよい。
【0171】
斜行防止部材を直接手で把持して動かすよう構成すること、操作パネル等の入力手段によってユーザの指示で動かすよう構成することができ、この場合には検知手段や制御手段等を適宜省略することができる。
本発明の適用は、上述の説明において特に限定を行っていない限り、上述の形態に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明を適用した両面孔版印刷装置の要部の一部断面正面図である。
【図2】図1に示した両面孔版印刷装置の画像読取部の要部の正面図である。
【図3】図1に示した両面孔版印刷装置の要部の制御構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示した両面孔版印刷装置の操作パネルの要部の平面図である。
【図5】図1に示した両面孔版印刷装置に用いられる版胴上の分割製版済みマスタに対応して適用される3つの印圧範囲パターンを展開して説明するための図である。
【図6】図1に示した両面孔版印刷装置の別の状態の正面図である。
【図7】図1に示した両面孔版印刷装置の給紙部のトレイ、トレイ状の用紙のガイド部材、このガイド部材の位置を検知する検知手段を示した斜視図である。
【図8】図1に示した両面孔版印刷装置の斜行防止手段の一部を示した平面図である。
【図9】図8に示した斜行防止手段に備えられた斜行防止部材の正面図である。
【図10】図8に示した斜行防止手段と異なる構成の斜行防止手段を示した概念図である。
【符号の説明】
【0173】
35 トレイ
36 用紙
45 再給紙トレイ
59a 斜行防止部材
59b 斜行防止部材
59a,59b 対をなす斜行防止部材
100 制御手段
110a,110b ガイド部材
117,118a,118b 検知手段
123 斜行防止部材の駆動手段
151 斜行防止手段
200 両面画像形成装置、孔版印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に画像形成された用紙であって、その後他方の面に画像形成される用紙が載置される再給紙トレイと、
前記用紙に係合し、前記再給紙トレイ上における同用紙の斜行を防止する斜行防止手段とを有し、
前記斜行防止手段が、前記用紙の側縁に係合したときに回転可能であり同用紙の前記斜行を防止するための斜行防止部材を有する両面画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の両面画像形成装置において、前記斜行防止部材が、前記用紙の各側縁に対して配設され対をなすことを特徴とする両面画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の両面画像形成装置において、前記斜行防止部材が、前記用紙の幅方向に移動自在であることを特徴とする両面画像形成装置。
【請求項4】
請求項3記載の両面画像形成装置であって、請求項2記載の両面画像形成装置に従属する両面画像形成装置において、少なくとも前記用紙が前記対をなす斜行防止部材の間に位置するときに、前記対をなす斜行防止部材は、その間隔が前記用紙の幅と略同じ大きさとなる位置を占めることを特徴とする両面画像形成装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の両面画像形成装置において、前記斜行防止部材を前記幅方向に駆動する駆動手段と、この駆動手段を制御して前記斜行防止部材を変位させる制御手段とを有することを特徴とする両面画像形成装置。
【請求項6】
請求項5記載の両面画像形成装置において、前記制御手段が、前記用紙が前記対をなす斜行防止部材の間に位置するときに、前記対をなす斜行防止部材を、前記用紙に係合して同用紙の斜行を防止する第1の位置と、前記用紙から離間する第2の位置との間で変位させることを特徴とする両面画像形成装置。
【請求項7】
請求項5または6記載の両面画像形成装置において、画像形成を行われる用紙を積載するトレイと、前記トレイ上に積載された用紙の幅方向に変位可能であり同用紙の側縁に係合して前記トレイ上における同用紙の位置決めを行うためのガイド部材と、同用紙の幅方向における前記ガイド部材の位置を検知する検知手段とを有し、前記制御手段が、前記検知手段が検知した前記ガイド部材の位置に基づいて前記斜行防止部材を変位させることを特徴とする両面画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか1つに記載の両面画像形成装置において、前記斜行防止部材が、上方に向けて径が減少する形状をなしていることを特徴とする両面画像形成装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか1つに記載の両面画像形成装置において、孔版印刷装置であることを特徴とする両面画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−248767(P2006−248767A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−71717(P2005−71717)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】