説明

乗物用制御装置、該制御装置を備えた乗物及びその制御方法

【課題】調整されるべき走行態様の増加に対し、操作用のスイッチの増加を抑えることができると共に、運転者の意思に応じた状態に調整できる制御装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】走行フィーリングに影響を与える走行態様、たとえば出力に関する態様又はトラクションコントロール性能に関する態様、を複数有し、選択スイッチ40、順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42からの入力により、走行態様の選択及び制御量等の制御段階の調整が行われる。前記選択スイッチ40による入力毎に、予め定められた順序に従って調整すべき前記走行態様を切り換え、前記調整スイッチ41,42よる入力毎に、選択された走行態様について、現状の制御段階に対して予め定められた傾向方向に制御段階を変化させ、前記制段階が順向最終段階又は逆向最終段階に達した状態では、さらに同じ調整信号が入力されても、前記各最終段階の状態を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行フィーリングに影響を与える複数の走行態様を選択スイッチにより選択し、各走行態様における複数の制御段階を、順向調整スイッチ及び逆向調整スイッチにより、所定の順序又はその逆の順序で前記複数の制御段階を変化させることにより、前記走行態様の選択及び各走行態様での制御段階の調整が行われる乗物用制御装置、乗物及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗物には、運転者のスイッチ操作により制御段階が調整可能な走行態様が複数あり、そのうち、走行フィーリングに影響を与える走行態様として、エンジン出力に関係する態様、トラクションコントロール性能に関する態様、及び制限速度に関する態様等、各種態様が存在する。また、エンジンとは直接関係のない走行態様として、ABS,電子サスペンション、ウインドシールド等に関する態様がある。これらの走行態様を所望の制御段階に切り換えるために、走行態様毎に専用のスイッチを備えていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−196297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、走行態様の増加に伴って専用のスイッチを配置してゆくと、スイッチの数が増え過ぎ、スイッチ用部品点数が増えると共に広いスイッチ配置スペースが必要になり、しかも、走行中に、調整すべき走行態様のスイッチを捜すのに手間がかかるようになる。特に、ハンドルバーを備えた自動二輪車等では、スイッチの数が増え過ぎると、グリップから離れた箇所にスイッチを配置しなければならなくなり、走行中におけるスイッチ操作が困難になる。
【0005】
本発明の目的は、調整されるべき走行態様の増加に対し、操作用のスイッチの増加を抑えることができると共に、運転者の意思に応じた状態に制御段階に調整することが制御装置、乗物及びその制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係る乗物用制御装置は、走行フィーリングに影響を与える複数の走行態様を有し、走行中に前記複数の走行態様から所望の走行態様を選択可能な選択スイッチと、該選択スイッチで選択された走行態様における複数の制御段階を所定の順序に従って切り換える順向調整スイッチと、前記所定の順序と逆の順序で前記複数の制御段階を切り換える逆向調整スイッチと、を備え、前記選択スイッチ、前記順向調整スイッチ及び前記逆向調整スイッチにより入力された信号に基づき、前記走行態様の選択及び各走行態様での制御段階の調整が行われる乗物用制御装置において、前記選択スイッチは、該選択スイッチからの選択信号が入力される毎に、予め定められた順序に従って調整すべき前記走行態様を切り換えるよう構成され、前記順向調整スイッチは、該順向調整スイッチからの順向調整信号が入力される毎に、現状の制御段階から前記所定の順序で前記制御段階を変化させ、順向最終段階まで達した状態では、前記順向調整スイッチによる前記順向調整信号が入力されても、前記順向最終段階を維持し、前記逆向調整スイッチは、該逆向調整スイッチからの逆向調整信号が入力される毎に、現状の制御段階から前記所定の順序と逆順序で前記制御段階を変化させて、逆向最終段階まで達した状態では、前記逆向調整スイッチによる前記逆向調整信号が入力されても、前記逆方向最終段階を維持する。前記制御段階とは、次に述べる制御量の増減には限定されず、制御力の強弱、オンオフあるいは周波数の高低等に加え、単に、複数の状態を1乃至5あるいはA乃至D等の順に並べた段階等、各種段階が含まれる。上記段階は、上記オンオフのように2段階でも可能であるが、3段階以上設定することが好ましい。
【0007】
本発明に係る乗物用制御装置は、上記構成に加え、次のような特徴を備えることができる。
【0008】
(a)前記所定の順序とは、各制御段階に対応する制御量が順次増量する順序であり、前記逆順序とは、各制御段階に対応する制御量が順次減量する順序であり、前記順向調整スイッチは、制御量増量側へ順次切り換えるスイッチであり、前記逆向調整スイッチは、制御量減量側へ順次切り換えるスイッチである。
【0009】
(b)選択された前記走行態様及び調整された前記段階の少なくとも一方は、対応する前記選択スイッチ又は前記調整スイッチの動作に応じて、態様確認用表示部に表示される。
【0010】
(c)前記選択スイッチによる選択信号が入力されていない初期標準状態では、前記調整スイッチにより入力される前記調整信号に応じて、前記走行態様以外の態様の制御段階が変化される。
【0011】
(d)調整すべき前記走行態様が選択された状態で、前記選択スイッチ又は前記調整スイッチによる前記信号が一定時間入力されないと、新たに前記選択スイッチによる選択信号が入力されるまで、前記調整スイッチによる調整信号が無効となる。
【0012】
(e)前記制御装置は、ハンドルバーを備えた乗物に搭載されており、前記選択スイッチ及び前記調整スイッチは、前記ハンドルバーのグリップ近傍に配置されており、かつ、報知用あるいは照射用の光又は音を前記乗物外に発する装置を制御するスイッチとは別に設けられている。
【0013】
(f)走行フィーリングに影響を与える前記走行態様は、乗物の駆動力の出力制御である。
【0014】
(g)走行フィーリングに影響を与える前記走行態様は、乗物の出力制御用アクチュエータとは異なるアクチュエータの制御態様である。
【0015】
また、本願は、前記本発明に係る乗物用制御装置を備えた乗物を提供し、さらに、次の制御方法も提供する。
【0016】
走行フィーリングに影響を与える複数の走行態様を有し、走行中に前記複数の走行態様から所望の走行態様を選択可能な選択スイッチと、該選択スイッチで選択された走行態様における複数の制御段階を所定の順序に従って切り換える順向調整スイッチと、前記所定の順序と逆の順序で前記複数の制御段階を切り換える逆向調整スイッチと、を備え、前記選択スイッチ、前記順向調整スイッチ及び前記逆向調整スイッチにより入力された信号に基づき、前記走行態様の選択及び各走行態様での制御段階の調整が行われる乗物の制御方法において、前記選択スイッチは、該選択スイッチからの選択信号が入力される毎に、予め定められた順序に従って調整すべき前記走行態様を切り換えるよう構成され、前記順向調整スイッチは、該順向調整スイッチからの順向調整信号が入力される毎に、現状の制御段階から前記所定の順序で前記制御段階を変化させ、順向最終段階まで達した状態では、前記順向調整スイッチによる前記順向調整信号が入力されても、前記順向最終段階を維持し、前記逆向調整スイッチは、該逆向調整スイッチからの逆向調整信号が入力される毎に、現状の制御段階から前記所定の順序と逆順序で前記制御段階を変化させて、逆向最終段階まで達した状態では、前記逆向調整スイッチによる前記逆向調整信号が入力されても、前記逆方向最終段階を維持する、ことを特徴とする乗物の制御方法である。
【発明の効果】
【0017】
(1)本発明によると、選択スイッチにより調整すべき走行態様に切り換え、選択された調整すべき走行態様について、各調整スイッチで制御段階を調整するので、複数の走行態様に対して調整スイッチを共通化することができ、これにより、走行態様毎に調整スイッチを設ける必要がなくなり、スイッチ用の部品点数を減らし、スイッチ配置スペースをコンパクトにすることができる。
【0018】
(2)走行中、順向調整スイッチによる順向調整信号を入力し続けたり、逆向調整スイッチにより逆向調整信号を入力し続けたりした場合も、制御段階は、それぞれの最終段階で維持されることになり、走行中、常に運転者の意思に応じて制御段階を変化させることができる。すなわち、運転者の意思に反する調整側に制御段階が急激に変化することを防止できる。これにより、走行フィーリングを良好に保つことができる。
【0019】
(3)制御段階の調整に関し、順向調整スイッチと逆向調整スイッチを別々に設けているので、運転者は、メータ画面を注視していなくとも、意思に沿って調整することができる。
【0020】
(4)構成(a)によると、調整される制御段階は、制御量であり、順向調整スイッチにより、制御量増量側へ制御量を変化させ、逆向調整スイッチにより制御量減量側へ制御量を変化させるので、走行中、順向調整スイッチにより増量側に調整信号を入力し続けたり、逆向調整スイッチにより減量側に調整信号を入力し続けたりした場合も、制御量は最大値又は最小値で維持されることになり、走行中に、運転者の意思に反する傾向側に制御量が変化することを防止できる。
(5)構成(b)によると、調整すべき走行態様又は制御段階(制御量等)が、スイッチ操作に連動してメータ等の運転状態確認用表示部に表示されるので、走行態様又は制御段階(制御量等)を確認しながら調整できる。
【0021】
(6)構成(c)によると、前記選択スイッチによる選択信号が入力されていない初期標準状態では、前記調整スイッチを操作しても、前記走行態様は変化せず、誤操作を防止できる。また、部品点数も削減できる。
【0022】
(7)構成(d)によると、走行態様を選択した状態で一定時間放置しておくと、選択終了指令を入力することなく、自動的に選択モードを終了した状態になるので、選択スイッチの押し忘れを防止でき、不所望に走行状態が変化するのを防ぐことができる。
【0023】
(8)構成(e)によると、自動二輪車のようにハンドルバーを備えた乗物において、運転者はグリップを握った状態で、選択スイッチ、調整スイッチを操作でき、走行中におけるスイッチ操作が容易であり、また、報知用又は照射用に、光や音を発生させるスイッチとは別に配置されているので、スイッチ操作がし易くなる。
【0024】
(9)構成(f)によると、駆動力の出力制御を、前記選択スイッチ及び調整スイッチを利用して選択し、調整するので、出力制御が容易になる。上記駆動力の出力制御は、スロットル及び燃料噴射弁等の操作により、主として燃料噴射量及び吸気量等を調整することにより行われるが、その態様としては、パワーレベル(フルパワーとローパワー等)の切り換え、エコモードとノーマルモードとの切り換え等がある。また、燃料供給マップあるいは電子スロットル制御特性を切り換えることにより、制御することもある。
【0025】
(10)構成(g)によると、出力制御用アクチュエータ(たとえば、燃料インジェクター、電子スロットル、イグニッション等)とは異なるアクチュエータの制御態様(たとえば、ABS,ウインドシールド、グリップヒータ、電子制御サスペンション、ステアリングダンパ等)を容易に制御することができる。
【0026】
(11)本発明に係る制御装置を備えたハンドルバー型乗物では、制御用の機能を増やしつつも、限られた配置スペース内において、スイッチを増やす必要がなくなる。
【0027】
(12)本発明に係る制御方法においては、前記効果(1)(2)及び(3)と同様な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る制御装置を備えた自動二輪車の右側面図である。
【図2】図1の自動二輪車のハンドル装置及びメータユニットの平面図である。
【図3】図2のハンドル装置の左グリップ近傍の背面図である。
【図4】図3のIV-IV断面図である。
【図5】制御系統の配線を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る制御方法による制御の流れを示すブロック図である。
【図7】メータユニットのパネル表示部の平面図である。
【図8】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ3チャンネル型スイッチ機構の変形例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
「自動二輪車の構成」
図1は本発明に係る制御装置を備えた自動二輪車の右側面図、図2はハンドル装置及びメータユニットの平面図、図3は左グリップ部近傍の背面図である。図1において、車体フレーム1は、前端のヘッドパイプ2と、該ヘッドパイプ2から左右に分岐して後方に延びるメインフレーム3と、を備えており、該メインフレーム3の後端部には、下方に延びるスイングアームブラケット4が一体に形成されると共に、後方に延びる後部フレーム5が固着されている。ヘッドパイプ2の上側にはハンドルバー型のハンドル装置13が配置され、メインフレーム3の下側にはエンジン6が搭載され、メインフレーム3の上側には燃料タンク7等が配置され、後部フレーム5の上側にはシート8が配置されている。
【0030】
ヘッドパイプ2には、操舵軸2a及び上下一対のブラケット(図2に上側ブラケット9のみ図示)を介して、左右一対のフロントフォーク11が支持され、該フロントフォーク11の下端部に前車輪12が支持されている。スイングアームブラケット4には後方に延びるスイングアーム10が上下揺動自在に支持され、スイングアーム10の後端部に後車輪14が支持されている。ヘッドパイプ2の前方にはフロントカウル17が設けられ、該フロントカウル17には、高さ又は角度調節可能なウインドシールド19が設けられている。
【0031】
図2において、ハンドル装置13のハンドルバー14は、上側ブラケット9の左端部に固定された左側ハンドルバー部分14aと、上側ブラケット9の右端部に固定された右側ハンドルバー部分14bとから構成されており、左側ハンドルバー部分14aに左グリップ15が設けられ、右側ハンドルバー部分14bにスロットルグリップ16が設けられている。上側ブラケット9の左右方向中央部にはメインスイッチ28が設けられ、左側ハンドルバー部分14aにはクラッチレバー(図示せず)が取り付けられ、右側ハンドルバー部分14bにはブレーキレバー18(図1)が取り付けられている。
【0032】
上側ブラケット9の前方にはメータユニット29が配置されている。該メータユニット29は、ヘッドパイプ2に支持されたメータブラケット30を有し、該メータブラケット30には、速度メータ取付孔31、タコメータ取付孔32及びパネル表示部取付孔33が形成されている。速度メータ取付孔31には速度メータ(図示せず)が取り付けられ、タコメータ取付孔32にはタコメータが取り付けられ、パネル表示部取付孔33には、図7に示すようなパネル表示部35が取り付けられている。
【0033】
図3において、左グリップ15の右隣位置には、左側スイッチ取付台20が左側ハンドルバー部分14aに固定されており、該左側スイッチ取付台20の左半領域には、上方から順に、ヘッドランプ高低切換スイッチ21、ウインカスイッチ22及びホーンスイッチ23が配置され、左側スイッチ取付台20の右半分領域の上部に、本発明に係る3チャンネル型スイッチ機構25が配置され、左側スイッチ取付台20の右半領域の下部にハザードスイッチ24が配置されている。
【0034】
なお、図2において、右側ハンドルバー部分14bにおける右グリップ16の左側位置には、右側スイッチ取付台26が固定され、該右側スイッチ取付台26には、前記以外の各種スイッチ27が設けられている。
【0035】
[3チャンネル型スイッチ機構25の構造]
図4は、図3のIV-IV断面図あり、3チャンネル型スイッチ機構25は、押しボタン式の選択スイッチ40と、該選択スイッチ40を上下から挟むように配置された順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42と、を有している。
【0036】
選択スイッチ40は、走行フィーリングに影響を与える複数の走行態様を選択するスイッチであり、順向調整スイッチ41は、前記選択スイッチ40で選択された走行態様における複数の制御段階を所定の順序に従って変化させる調整スイッチであり、逆向調整スイッチ42は、前記所定の順序と逆の順序で前記複数の制御段階を変化させる調整スイッチである。
【0037】
選択スイッチ40、順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42は、共通のスイッチハウジング44に支持されており、順向調整スイッチ41は選択スイッチ40の上側に、逆向調整スイッチ42は選択スイッチ40の下側に配置されている。なお、該実施の形態では、3チャンネル型スイッチ機構25が取り付けられている左側スイッチ台20の上部取付面20aは、下方に向かって後方に傾斜する傾斜面となっている。従って、前記選択スイッチ40に対し、正確には順向調整スイッチ41は前上方位置に、逆向調整スイッチ42は後下方位置に配置されている。
【0038】
順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42は相互に一体的に結合されたシーソー型スイッチであり、回動支軸45を介してスイッチハウジング44に回動可能に支持されている。したがって、順向調整スイッチ41を矢印R1方向に押すと、逆向調整スイッチ42が矢印R2と逆方向に持ち上がり、反対に逆向調整スイッチ42を矢印R2方向に押すと、順向調整スイッチ41が矢印R1方向と逆方向に持ち上がる。
【0039】
選択スイッチ40はコイルばね46によりオフ位置側(矢印R0方向と逆方向側)に付勢されている。選択スイッチ40、順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42は、スイッチハウジング44内に配置された可動ピン40a、41a、42aにそれぞれ当接しており、各可動ピン40a、41a、42aはばね部材により選択スイッチ40、順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42側にそれぞれ付勢されている。選択スイッチ40をコイルばね46に抗して押すことにより、選択スイッチ用の可動ピン40aが押されて選択用の接点が接続し、選択信号が発信される。順向調整スイッチ41を押すことにより、順向調整スイッチ用の可動ピン41aが押され、順向調整用の接点が接続し、順向調整信号が発信される。逆向調整スイッチ42を押すことにより、逆向調整スイッチ用の可動ピン42aが押され、逆向調整用の接点が接続し、逆向調整信号が発信される。
【0040】
また、該実施の形態では、選択スイッチ40、順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42は、押し込んだ状態を所定時間(たとえば3秒乃至4秒程度)内で解除する短押し操作と、押し込んだ状態を前記所定時間を越えるまで持続させる長押し操作とが、可能となっており、それらの使い分けは、後述する3チャンネル型スイッチ機構25による制御内容の欄で説明する。なお、順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42の同時押しは、キャンセル状態、すなわち、いずれの調整スイッチ41,42も押していない場合と同様に判断されるようになっている。
【0041】
図5は、車輌に搭載されたECU(エンジンコントロールユニット)50と、車輌の各アクチュエータ及び制御対象作動部と、の間の電気配線を示すブロック図である。ECU50の一つの入出力用接続ポート50aと、メータユニット29及びABSユニット51が、CAN用通信線(CANH線及びCANL線)55で接続されており、これにより、多重通信機能を有するCAN通信システム(Control Area Network Communication System)が構築されている。一方、ECU50の別の入出力用接続ポートには、エンジン制御用のアクチュエータとして、燃料噴射用のインジェクター58、電子スロットル59及び点火装置60等が通常のシリアル通信用の電気配線により接続されている。また、ウインドシールド19の昇降作動部52が、リレー回路53及び信号線53を介してECU50の入力部に接続されている。また、他のハンドルスイッチ類(21,22,23,24)は、回路を介してホーン等の報知装置あるいはウインカ等の照射装置に接続されている。
【0042】
前記3チャンネル型スイッチ機構25は、仮想線(56a)で示すようにECU50の接続ポートに直接接続することも可能であるが、本実施の形態では、メータユニット29に通常の信号線(シリアル通信用電気配線)56により接続されており、メータユニット29及びCAN用通信線55を介して、ECU50に選択信号、増量信号及び減量信号等を入力するようになっている。なお、3チャンネル型スイッチ機構25は、メータユニット29と直接接続されているので、メータユニット29自体の制御(表示画面の切換等)については、メータユニット29内の制御部との通信を利用して、ECU50を介さずに直接行うことも可能である。他のスイッチについてもECU50介さずに接続することが可能である。
【0043】
要するに、本実施の形態では、3チャンネル型スイッチ機構25は、該スイッチ機構近傍に配置される車載電装品であるメータユニット29に信号伝達可能に接続されており、このメータユニット29が、ECU(制御装置本体)50に信号伝達可能に接続されている。そしてメータユニット29とECU50とを接続する信号線は、ECU50と複数の車載電装品をバス接続するものであって、複数の車載電装品で1つの通信路を共有して信号の送受信を行う。すなわち、メータユニット29は、前述のように、CAN通信によってECU50と信号の送受信を行うのである。
【0044】
メータユニット29は、3チャンネル型スイッチ機構25と接続される信号線56の電気的変化、例えば電圧変化に基づいて、運転者の操作指令を判断する。メータユニット29は、3チャンネル型スイッチ機構25での運転者の操作指令を示す信号を、CAN通信送信可能に変換して、ECU50へ送信する。このように3チャンネル型スイッチ機構25は、メータユニット29とECU50とを接続するCAN用通信線55を介して、ECU50へ、運転者の操作指令を送信することで、3チャンネル型スイッチ機構25とECU50とを直接接続する場合に比べて、信号線の長さ、数などを低減することができるのである。
【0045】
CAN通信で接続される車載電装品は、メータユニット29、ABSユニット51のほか、電子制御サスペンション制御ユニット、イモビライザなどの盗難防止ユニット、AFSユニットなどが想定される。
【0046】
[パネル表示部35の構成]
図7は、パネル表示部35の一例を示しており、パネル表示部35は、ECU50又はメータユニット29内の制御部分からの情報に基づいて、メータユニット29内で、メータ表示すべき情報を演算し、演算された情報を表示する。パネル表示部35には、運転者による操作で調整可能な走行態様状態を示す第1情報と、運転者による操作で表示切替可能であって走行態様とは無関係な情報を示す第2情報と、第1および第2情報以外の第3情報とが、表示される。第1情報は、出力段階、トラコン及びエコモード等であり、第2情報は、燃費、走行可能距離、バッテリ電圧、外気温等及び2種類の積算走行距離等であり、第3情報は、水温、ギヤ比、燃料残量、エラー情報及び時計等である。
【0047】
表示領域の区分の一例を説明すると、上段の第1表示領域S1には各種燃費のうち、瞬間燃費が表示され、第2表示領域S2には変速段位が表示されている。中段の第3表示領域S3には水温が表示され、第4表示領域S4には現在の時刻が表示され、第5表示領域S5には各種走行距離のうち、積算走行距離が表示されている。下段の第6表示領域S6には設定された出力段階が表示され、第7表示領域S7にはトラクションコントロールに関する制御値等が表示されている。さらに、右端位置の第8表示領域S8には燃料残量が表示され、下段の左端位置の第9表示領域S9には、燃費優先の出力特性でエンジンが制御されることを示す「エコモード」が表示されている。
【0048】
該実施の形態では、上段の表示領域のうち、第1表示領域S1の表示内容は、前記3チャンネル型スイッチ機構25により、切り換え可能となっている。たとえば、前記瞬間燃費、平均燃費、航続可能距離、バッテリ電圧及び外気温のいずれかに、運転者の操作で表示変更できるようになっている。この切り換え操作は走行中においても可能となっている。
【0049】
出力段階を表示する下段の第6表示領域S6には、エンジン出力を制限しないフルパワー状態を示す表示記号「F」と、エンジン出力を制限するローパワー状態を示す表示記号「L」とのいずれかが、パワー状態の切り換えに対応して、表示あるいは反映されるようになっている。すなわち、フルパワー状態では表示記号「F」が表示あるいは反映され、ローパワー状態では表示記号「L」が表示あるいは反映される。前記第6表示領域S6は走行態様確認用の表示部となる。
【0050】
トラクションコントロール性能を表示する下段の第7表示領域S7には、トラクションコントロール性能の高低を示す数値又は記号「OFF、1,2,3」のいずれかが、前記3チャンネル型スイッチ機構25により、トラクションコントロール性能の切り換えに対応して、表示あるいは反映されるようになっている。さらに、上記数値等「OFF、1、2、3」を表すボックスの右隣には、実際のトラクションの効き具合の強弱を、セグメントの数の増減により反映するようになっている。前記効き具合の強弱とは、走行時における出力抑制量であり、この出力抑制量をリアルタイムに表示し、抑制量が大きくなるにつれて表示するセグメント量が増加するようになっている。前記第7表示領域S7も走行態様確認用の表示部となる。
【0051】
前記トラクションコントロール性能の高低の段階「OFF、1、2,3」は、トラクションコントロールが効き始める時の駆動輪(後車輪)側の空転量の値、たとえば前車輪と後車輪との速度差と、トラクションコントロールが効いている時の出力抑制の値との組合せにより、それぞれ設定されている。
【0052】
例えばオフ「OFF」の段階は、トラクションコントロールが解除された状態であり、駆動輪(後車輪)がいかに大きくなっても、その空転は阻止されない。第1段階「1」は、大きな空転量でトラクションコントロールが効き始め、かつ、出力制御が最も小さくなるように設定された段階である。すなわち、トラクションコントロールが効き難く、かつ、出力制御が最も小さい段階である。そして、第2段階「2」及び第3段階「3」に切り換えるに従い、トラクションコントロールが効き易くなり、出力制御が大きくなるように設定されている。
【0053】
前記各表示内容及び調整内容について、重複説明になる箇所もあるが、まとめてみると次のようになる。
【0054】
前記出力段階の調整に関し、フルパワーは最大出力の制限はなく、ローパワーは過剰出力が出ないように状況に応じて最大出力を制限するものであり、フルパワー設定時とローパワー設定時とで、前述のように「F]と「L」とで、表示を変えるのである。そして出力が小さい状態から大きな状態になる順序を所定の順序と設定し、順向調整スイッチ41を短押し操作するとフルパワーとなり、逆向調整スイッチ42を短押し操作するとローパワーとなる。
【0055】
トラクションコントロールに関し、スリップ抑制制御しない場合を「OFF」とし、スリップ抑制制御する場合を、その抑制度合いに応じて、1〜3の3段階に分けており、抑制度合いが小さい値から大きい段階になる順に、「1、2、3」と設定している。すなわち、値「3」が最も抑制度合いが大きい状態である。抑制度合いは、スリップ抑制開始するスリップ量、スリップ量に応じた抑制率、抑制期間などが総合的に設定されてもよく、段階に応じて表示を変えるのである。
【0056】
たとえばスリップ量が第1設定値を超えるとスリップ抑制開始する場合(1)と、スリップ量が第1設定値よりも小さい第2設定値を超えるとスリップ抑制開始する場合(2)と、スリップ量が第2設定利よりも小さい第3設定値を超えるとスリップ抑制開始する場合(3)との3つの段階が設定されてもよい。また注目するスリップ量での抑制量が小(1)、中(2)、大(3)との3つの段階が設定されてもよい。
【0057】
エコモードに関し、非エコモードは制限なしの状態であり、エコモードは、燃費優先の出力特性でエンジンを制御し、アクセルグリップ変化に対して出力変化を遅らせたり、定速時に出力トルクが少なくなるようにしたりする。そして、非エコモード設定時とエコモード設定時とで表示を変えるのである。
【0058】
[3チャンネル型スイッチ機構25の操作による制御内容」
図6は、3チャンネル型スイッチ機構25の操作及びそれによる制御の一例を示している。選択スイッチ40より選択できる走行態様として、第1段目に示す初期標準状態と、第2段目に示す出力切換可能状態と、第3段目に示すトラクションコントロール切換可能状態とが、上記順序に従って順次切り換えることができるようになっている。第2段目の出力切換可能状態及び第3段目のトラクションコントロール切換可能状態は、走行フィーリングに影響を与える走行態様が調整可能な状態である。初期標準状態は、走行フィーリングに影響を与えない態様を調整可能な状態である。
【0059】
上記3つの態様は、第1段目の初期標準状態から、選択スイッチ40を1回短押しする毎に、第2段目の出力切換可能状態及び第3段目のトラクションコントロール切換可能状態に順次切り換わり、第3段目のトラクションコントロール切換可能状態からさらに選択スイッチ40を短押しすると、第1段目の初期標準状態に戻るように構成されている。また、第2段目あるいは第3段目の選択状態において、選択スイッチ40及び調整スイッチ41,42のいずれのスイッチも押さない状態で、所定時間経過すると、第1段目の状態に自動的に戻るようになっている。
【0060】
また、該実施の形態では、上記3つの態様に加え、最下段に示すように、システムメニュー切換可能状態も選択できるようになっており、初期標準状態から選択スイッチ40を1回長押しするとシステムメニュー切換可能状態となり、更に選択スイッチ40を長押しすると、初期標準状態に戻るように構成されている。さらに、前記システムメニュー切換可能状態において、選択スイッチ40及び調整スイッチ41,42のいずれのスイッチも押さない状態で、所定時間経過すると、第1段目の状態に自動的に戻るようになっている。
【0061】
次に、調整可能状態における順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42による制御量等の制御段階の調整又は切換操作を、図6及び図7に基づいて説明する。
【0062】
[初期標準状態における切換操作]
図6の第1段目に示す初期標準状態では、走行フィーリングに関係のない態様を調整可能となっている。
【0063】
たとえば、第1表示領域S1の燃費等の表示に関し、順向調整スイッチ41を短押しする毎に、瞬間燃費の表示から、平均燃費、航続可能距離、バッテリ電圧及び外気温の表示に順次に切り換えられ、外気温表示状態からさらに順向調整スイッチ41を短押しすることにより、瞬間燃費の表示に戻るようになっている。
【0064】
また、第1表示領域S1を平均燃費に設定した状態で、順向調整スイッチ41を長押しすることにより、平均燃費の表示が「0」にリセットされて、以後、リセット後の平均燃費が表示される。
【0065】
第5表示領域S5の走行距離等の表示に関しては、逆向調整スイッチ42を1回短押しする毎に、リセット不可の積算走行距離を示すオドメータ(ODO)表示から、リセット可能な任意区間の走行距離を示すトリップA表示及びトリップB表示に順次切り換えられ、トリップB表示からさらに逆向調整スイッチ42を短押しすることにより、オドメータ表示に戻るようになっている。
【0066】
また、第5表示領域S5をトリップA又はトリップBの表示に設定した時に、逆向調整スイッチ42を長押しすることにより、走行距離表示が「0」にリセットされて、以後、リセット後の平均燃費が表示される。
【0067】
[出力切換可能状態における制御量調整操作]
前記初期標準状態から選択スイッチ40を1回短押しすることにより、第2段目の出力切換可能状態に切り換わる。出力切換可能状態において、パネル表示部35では、第6の表示領域S6の表示が点滅する。すなわち、出力切換切画面となっていることを運転者に示す状態となる。
【0068】
前記2段目の切換可能状態で、現段階がフルパワーの場合には、「F」が表示されており、このフルパワー段階から逆向調整スイッチ42を短押しすると、逆向調整信号は、図5の3チャンネル型スイッチ機構25からメータユニット29を介してECU50に入力され、ECU50からパネル表示部35、インジェクター58及び電子スロットル59等に制御信号が送られる。これにより、パネル表示部35の第6表示領域S6の出力表示が「F」から「L」に切り換わると共に、燃料噴射量及び吸気量等が制御され、エンジンの出力状態をローパワー状態に変更する。
【0069】
上記ローパワー状態からさらに逆向調整スイッチ42を短押ししても、ローパワー状態は変化せず、パネル表示部35の第6表示領域S6の出力表示も「L」に維持される。
【0070】
一方、ローパワー状態において、順向調整スイッチ41を短押しすると、順向調整信号は、図5のスイッチ機構25からメータユニット29を介してECU50に入力され、ECU50からパネル表示部35、インジェクター58及び電子スロットル59等に制御信号が送られ、燃料噴射量及び吸気量等が調整され、エンジンの出力状態をフルパワー状態に変更すると共に、パネル表示部35の第6表示領域S6の出力表示が「L」から「F」に切り換わる。
【0071】
上記フルパワー状態からさらに順向調整スイッチ41を短押ししても、エンジンのフルパワー状態は変化せず、パネル表示部35の第6表示領域S6の出力表示も「F」の状態に維持される。
【0072】
[トラクションコントロール切換可能状態における調整操作]
出力切換可能状態からさらに選択スイッチ40を短押しすることにより、第3段目のトラクションコントロール切換可能状態に切り換わる。トラクションコントロール切換可能状態において、パネル表示部35の第7の表示領域S7の表示が点滅する。すなわち、トラクションコントロール切換画面となっていることを運転者に示すことになる。
【0073】
この状態において、順向調整スイッチ41を短押しすると、順向調整信号は、図5のスイッチ機構25からメータユニット29を介してECU50に入力され、ECU50からメータユニット29のパネル表示部35、インジェクター58及び電子スロットル59等に制御信号が送られ、パネル表示部35の第7の表示領域S7のトラクションコントロール性能表示が、現状の段階から高性能側へ一段変化すると共に、燃料噴射量及び吸気量(さらには点火時期等)等が調整され、トラクションコントロール性能が高性能側へ一段変化する。
【0074】
すなわち、現状が「OFF」状態であれば、一段高い「1」状態へ変化し、現状が「1」状態であれば、一段高い「2」状態へ変化し、現状が「2」状態であれば、一段高い「3」状態へ変化する。ただし、現状が「3」状態であれば、たとえ、順向調整スイッチ41を短押ししても、「3」状態が維持される。
【0075】
トラクションコントロール切換可能状態において、逆向調整スイッチ42を短押しすると、逆向調整信号は、図5のスイッチ機構25からメータユニット29を介してECU50に入力され、ECU50からメータユニット29のパネル表示部35、インジェクター58及び電子スロットル59等に制御信号が送られ、パネル表示部35の第7の表示領域S7のトラクションコントロール性能表示が、現状の段階から低性能側へ一段変化すると共に、燃料噴射量及び吸気量(さらには点火時期等)等が制御され、トラクションコントロール性能が低性能側へ一段変化する。
【0076】
すなわち、現状が「3」状態であれば、一段低い「2」状態へ変化し、現状が「2」状態であれば、一段低い「1」状態へ変化し、現状が「1」状態であれば、一段低い「OFF」状態へ変化する。ただし、現状が「OFF」状態であれば、たとえ、逆向調整スイッチ42を短押ししても、「OFF」状態が維持される。
【0077】
[初期標準状態への選択操作]
前記トラクションコントロール切換可能状態において、さらに選択スイッチ40を短押しすると、初期標準状態及び初期標準画面に戻る。
【0078】
本実施の形態では、図6のように、初期標準状態から選択スイッチ40を長押しすると、パネル表示部35はシステムメニュー切換可能状態となる。システムメニュー切換可能状態では、順向調整スイッチ41又は逆向調整スイッチ42を短押しあるいは長押しすることにより、各種システムメニューの表示を切り換えることができる。たとえば、パネル表示部35の使用言語を、英語からドイツ語あるいは他の言語に切り換えたり、パネル表示部の明るさあるいは表示色を切り換えたり、時計の表示形式を切り換えたり、することが可能である。
【0079】
さらに本実施の形態では、第2段目の出力切換可能状態又は第3段目のトラクションコントロール切換可能状態において、前述のように、所定時間(たとえば5秒間)、調整スイッチ操作が行われないと、初期標準状態の初期標準画面に戻る。
【0080】
[実施形態の効果]
(1)図2及び図3のように、グリップ15の近傍に、選択スイッチ40,順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42からなる3チャンネル型スイッチ機構25を配置し、選択スイッチ40により、調整したい態様、すなわち出力又はトラクションコントロール性能に関する態様を選択し、選択した走行態様において、出力又はトラクションコントロール性能を、順向調整スイッチ41又は逆向調整スイッチ42により調整するので、調整スイッチを各態様に共通化することができる。これにより、走行態様毎に調整スイッチを設ける必要がなくなり、スイッチ用の部品点数を減らし、スイッチ配置スペースをコンパクトにすることができると共に、グリップ15を握った状態で簡単に切換操作が行える。また、ウインカスイッチ22、ホーンスイッチ23及びハザードスイッチ24とは別に、走行態様切換調整用の3チャンネル型スイッチ機構25を設けているので、スイッチ操作がし易くなる。
【0081】
(2)選択スイッチ40による選択操作、調整スイッチ41,42による制御段階の調整操作は、運転者が走行中に行うことが可能であり、これにより、運転者は、制御量等の制御段階の変化を実感しながら、走行できる。
【0082】
(3)右側のスロットルグリップ16とは反対側(左側)のグリップ15近傍に、3チャンネル型スイッチ機構25を配置しているので、3チャンネル型スイッチ機構25がスロットル操作の邪魔になりにくい。
【0083】
(4)図6の第2段目に示す出力切換可能状態において、順向調整スイッチ41により順向調整信号(増量信号)を入力し続けても、最大、フルパワー状態が維持され、一方、逆向調整スイッチ42により逆向調整信号(減量信号)を入力し続けても、最小、ローパワー状態が維持されるので、運転者の意思に反する傾向に走行状態が変化することを防止できる。すなわち、フルパワー状態の時に、運転者が現状の出力段階を認識せずにパワーアップしようとして、順向調整スイッチ41を短押ししても、フルパワー状態からローパワー状態に変化するのを防ぐことができる。
【0084】
(5)前記出力制御と同様に、トラクションコントロール性能の制御に関しても、順向調整スイッチ41により順向調整信号を入力し続けても、トラクションコントロール性能が最大値「3」状態の場合には、最大値「3」状態が維持され、一方、逆向調整スイッチ42により逆向調整信号を入力し続けても、トラクションコントロール性能が「OFF」状態の場合には、「OFF」状態が維持されるので、運転者の意思に反する傾向にトラクションコントロール性能が変化することを防止できる。すなわち、最大値「3」の時に、運転者がトラクションコントロール性能の段階を認識せずにトラクションコントロール性能を高めようとして、順向調整スイッチ41を短押ししても、最大値「3」から「OFF」に変化するのを防ぐことができる。
【0085】
(6)制御量等の制御段階の調整に関し、順向調整スイッチ41と逆向調整スイッチ42を別々に設けているので、運転者は、メータ画面を注視していなくとも、意思に沿って調整することができる。
【0086】
(7)調整すべき走行態様及び制御量等の制御段階が、3チャンネル型スイッチ機構25のスイッチ操作に連動してパネル表示部35の所定の領域に表示されるので、走行態様及びその制御段階を確認しながら調整できる。たとえば、出力制御の場合には、第6表示領域S6の表示が点滅し、かつ、切り換えられる数値が表示され、また、トラクションコントロール性能の制御の場合には、第7表示領域S7が点滅し、かつ、切り換えられる数値が表示される。
【0087】
(8)選択スイッチ40による選択信号が入力されていない初期標準状態では、前記調整スイッチ41,42を操作しても、前記走行態様は変化せず、誤操作を防止できる。また、部品点数も削減できる。
【0088】
(9)選択スイッチ40により所望の態様に切り換えた後、所定時間、スイッチ未操作状態が続くと、初期標準状態に戻るので、選択スイッチ40の押し忘れを防止でき、不所望に走行状態が変化するのを防ぐことができる。
【0089】
(10)初期標準状態において、図7のパネル表示部35の上段に配置された第1表示領域S1(燃費表示等)の切換操作は、図4の選択スイッチ40の上側に配置された順向調整スイッチ41で行い、パネル表示部35の中段の下側に配置された第5表示領域S5(走行距離)の切換操作は、図4の選択スイッチ40の下側に配置された逆向調整スイッチ42で行うようにしているので、切換対象となる表示領域とスイッチの上下位置がそれぞれ対応し、操作がし易くなる。
【0090】
(11)3チェンネル型スイッチ機構25は、ウインカスイッチ22やホーンスイッチ22等のように、外部車両への報知用または外部照射用の放射装置を駆動させるためのスイッチとは、別に設けられているので、報知操作等が複雑化することがなく、運転への負担が増えることを防ぐことができる。
【0091】
(12)ウインカスイッチ21等の放射装置用にスイッチに比べ、グリップ15から離れた位置に、3チャンネル型スイッチ機構25を配置している。すなわち、走行中に、頻繁に使われるウインカスイッチ21等をグリップ15の近くに配置しているので、ウインカスイッチ21等の放射装置への操作を今回の3チャンネル型スイッチ機構25が阻害することを防ぎ、ウインカスイッチ21等の放射装置への操作を優先できる。
【0092】
(13)3チャンネル型スイッチ機構25を、グリップ15の近傍に配置して、走行中、グリップ15を握りながら、3チャンネルスイッチ機構25を操作することができる。
【0093】
(14)ハンドルバータイプの乗物は、ハンドル周りにスイッチ配置可能な領域が少ないので、本発明を好適に適用することができる。
【0094】
(15)出力を増加させたり、トラクションコントロールの効き具合を大きくさせる順向調整スイッチ41を、出力を減少させたり、トラクションコントロールの効き具合を小さくする逆向調整スイッチ42に比べて、上方および前方に配置しているので、運転者は、直感的に操作後の状態を想定しやすくなる。
【0095】
(16)順向調整スイッチ41と逆向調整スイッチ42との間に選択スイッチ40が配置されているので、順向調整スイッチ41と逆向調整スイッチ42とを一定の間隔で離すことができる。これにより、たとえば、運転者がグローブを装着している状態であっても、順向調整スイッチ41と逆向調整スイッチ42との間での誤操作を防ぐことができる。すなわち、順向調整スイッチ41を押そうとして、間違えて逆向調整スイッチ42を操作するのが防がれる。
【0096】
(17)図4のように、調整スイッチ41、42よりも選択スイッチ40が脊が高く、ハウジング44の表面からの突出量が大きいので、選択スイッチ40が順向調整スイッチ41と逆向調整スイッチ42との間に配置されていても、選択スイッチ40を押そうとして間違えて調整スイッチ41,42を操作するのが防がれる。
【0097】
(18)順向調整スイッチ41、逆向調整スイッチ42及び選択スイッチ40が、グリップ軸の周方向に沿って並んでいるので、グリップ長手方向の大型化を防ぎ、グリップ15を握った状態でも、親指で各スイッチを操作しやすくなっている。
【0098】
(19)図4のように、3チャンネル型スイッチ機構25は、スイッチ取付台20の表面のうち、前側から後方に向かって下方に傾斜する傾斜面20aに配置されているので、運転者が3チャンネル型スイッチ機構25を視認し易い。
【0099】
[その他の実施の形態]
(1)前記実施の形態の3チャンネル型スイッチ機構25は、選択スイッチ40の上下に順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42を配置しているが、図8の(a)ように、選択スイッチ40の左右に順向調整スイッチ41及び逆向き調整スイッチ42を配置する構成とすることもでき、また、図8の(b)のように、T字に配置された構造とすることも可能である。さらに、図8の(c)のように、選択スイッチ40、順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42に加え、別の制御段階を調整するためのスイッチ71,72を一対備え、それら調整スイッチを選択スイッチ40の周りに十字状に配置した構造とすることもできる。
【0100】
(2)3チャンネル型スイッチ機構25の形状は、前記各実施の形態には限定されず、走行中に各スイッチを操作可能であれば他の形状であってもよい。また、前記実施の形態では、順向調整スイッチ41、逆向調整スイッチ42及び選択スイッチ40が近接して配置したが、それらスイッチ40,41,42を互に離して配置することも可能である。たとえば右グリップ近傍16に一つの調整スイッチ、左グリップ15近傍に他の調整スイッチを配置しても良いてもよい。また手動操作以外に、足操作でスイッチ操作するようにしてもよい。
【0101】
(3)図6の第2段目に示す出力切換可能状態において、フルパワー及びそれを表示する「F」が、最大出力制限無しの制御段階とし、ローパワー及びそれを表示する「L」が、過剰出力が出ないように状況に応じて最大出力を制限する制御段階とすることができる。
【0102】
(4)3チャンネル型スイッチ機構の制御について、図6の最下段に示すようなシステムメニュー切換え可能状態は、走行停止状態でないと、初期標準状態から切換りできないようにしてもよい。また、システムメニュー切換可能状態で走行開始すると、初期標準状態に復帰するように構成してもよい。
【0103】
(5)3チャンネル型スイッチ機構の制御について、初期標準状態で表示が変更されたものは画面が点滅するなど、所定時間が経過するまで、表示変更前に比べて表示態様を変化させてもよい。これによって操作者が表示が変更されたことを認識することができる。
【0104】
(6)3チャンネル型スイッチ機構の制御について、上側に配置された調整スイッチで、上下2つの表示領域のうち上側領域の表示を切換可能とし、下側に配置された調整スイッチで、上下2つの表示領域のうち上側領域の表示を切換可能とすることで、調整スイッチと表示切替を直感的に理解しやすくすることができる。スイッチにより演算される表示結果のリセットについても同様である。
【0105】
(7)前記実施の形態では、走行フィーリングに影響を与える走行態様として、出力及びトラクションコントロール性能に関する態様を設定しているが、これらの他に、たとえば、ABSユニットの切換、ウインドシールド19の高さの切換、電子サスペンションの性能の切換、パワーステアリングの増幅圧力切換、速度リミッタの制限速度の切換等、各種走行態様を、3チャンネル型スイッチ機構2により選択及び調整できるようにすることも可能である。
【0106】
たとえば、ABSユニットの場合、ABS動作のON/OFFまたはOFF、1,2,3(ABSの効き具合)を調整スイッチによって設定してもよい。この場合、トラクションコントロールの場合と同様に、段階が大きくなるほどABS動作しやすくなる。すなわち、順向調整スイッチ41を短押しする程「3」に近づき、逆向調整スイッチ42を短押しする程「OFF」に近づくようにする。
【0107】
ウインドシールド29の場合は、たとえば、順向調整スイッチ41を押すほどウインドシールドの高さが高くなり(角度が大きくなり)、逆向調整スイッチ42を短押しする程ウインドシールドの高さが低くなるようにする。
【0108】
電子制御サスペンションの場合は、たとえば、ON/OFFのほか、順向調整スイッチ41を押すほど減衰が小さくなり、逆向調整スイッチ42を押すほど減衰が大きくなる。
【0109】
電子制御ステアリングの場合は、たとえば、ON/OFFのほか、順向調整スイッチ41を押すほど減衰が小さくなり、逆向調整スイッチ42を押すほど減衰が大きくなる。
【0110】
パワーステアリングの場合は、ON/OFFのほか、順向調整スイッチ41を押すほど操作力の増幅量が大きくなる。
【0111】
速度リミッタの制限速度は、たとえば、ON/OFFのほか、順向調整スイッチ41を押すほど制限される速度が低下する。
【0112】
オートクルーズの場合は、ON/OFFのほか、順向調整スイッチ41を押すほどオートクルーズ速度が低下する。
【0113】
AFSの場合は、ON/OFFのほか、順向調整スイッチ41を押すほどバンクに対する配光変化が大きくなる。
【0114】
その他、エンジンブレーキの効き具合、アイドル回転数等の調整も可能である。
【0115】
さらに、出力制御調整として、エコモード、パワーレベル等の他、複数段階用意される燃料・FIマップを切換えるようにしてもよい。また、スロットルレスポンス(アクセル操作変化に対するスロットルバルブの開度変化)の関係を切り換えたり、エンジン特性、性格、出力も変えることができる。
【0116】
(8)走行フィーリングに影響を与えない態様、たとえば、オーディオのFM/AM切換、グリップヒータのオンオフ切換等を、3チャンネル型スイッチ機構25の操作により行うようにすることもできる。
【0117】
(9)パネル表示部35として、速度メータ及びタコメータをデジタル表示する構造にも本発明を適用可能である。その場合には、たとえば、車速をキロメータ/hの表示とマイル/hの表示との間で、調整スイッチにより切換可能とする。
【0118】
(10)本発明は、自動二輪車の他に、騎乗型四輪走行車や作業車など、各種車輌の走行態様の切換及び制御量調整に適用可能である。また、電気自動車にも適用可能であり、その場合、出力等の制御は、エンジンの代わりに電動モータが対象となる。
【0119】
(11)走行モードが、たとえばレインモード、ノーマルモード、サーキットモード及びモトクロスモード等のようにエンジン特性を切換可能な自動二輪車では、それらのモード切換に対して前記3チャンネル型スイッチ機構25を適用することも可能である。
【0120】
(12)選択スイッチ40を短押しして選択される態様及び画面表示の順序は、ユーザーの好みに応じて変更することは可能である。また、選択され、調整された時のログをECU等に記憶しておき、頻繁に選択される態様の順に選択されるように構成することもできる。
【0121】
(13)順向調整スイッチ41及び逆向調整スイッチ42を、メータ(パネル表示部)の初期設定についても利用できるようにすると、更なる部品点数の削減が可能となる。
【0122】
(14)選択スイッチ、順向調整スイッチ及び逆向調整スイッチを、一つの3チャンネル型スイッチ機構として備える構造には限定されず、3つのスイッチを分散して配置した構造とすることもできる。また、他の既存のスイッチを調整スイッチとして利用することも可能である。
【0123】
(15)走行状態によって、調整スイッチで調整される制御量等の制御段階の変更を、制限する構造とすることもできる。たとえば、加速中、旋回中又は空転速度が大きい時には、変更は保留され、前記保留条件が終了してから、変更する。
【0124】
(16)また、定速状態で、変更可能とし、非定速状態で変更幅を小さくするようにしてもよい。さらに、ABS、トラクションコントロール又は最高速度規制等、何らかの出力抑制状態であれば、この抑制状態が解除されてから走行態様の変化を許容する構成することができる。抑制状態等で変更できない場合は、そのことが分かるように表示部に表示させる(たとえば点滅の周期を速めたりする。
【0125】
(17)CAN通信システムを有しない場合、3チャンネル型スイッチ機構25は、直接ECUに接続されてもよい。
【0126】
(18)初期状態で、メータ表示切替でなく、ウインドシールドの上下動作を行うようにしてもよい。また初期状態でオーデオ切換でもよい。またメータ表示切替ではなく、出力切換可能状態またはトラクションコントロール切り換えのいずれかでもよい。さらに、頻繁に変更しない走行対応ものは、ユーザの好みで通常の選択画面から外すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0127】
13 ハンドル装置
14 ハンドルバー
15 右グリップ
16 左グリップ(スロットルグリップ)
25 3チャンネル型スイッチ機構
29 メータユニット
35 パネル表示部
40 選択スイッチ
41 順向調整スイッチ
42 逆向調整スイッチ
44 スイッチハウジング
45 回動軸
50 ECU(制御部)
51 ABSユニット
52 ウインドシールド
58 インジェクター(アクチュエータ)
59 電子スロットル(アクチュエータ)
60 点火装置(アクチュエータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行フィーリングに影響を与える複数の走行態様を有し、走行中に前記複数の走行態様から所望の走行態様を選択可能な選択スイッチと、該選択スイッチで選択された走行態様における複数の制御段階を所定の順序に従って切り換える順向調整スイッチと、前記所定の順序と逆の順序で前記複数の制御段階を切り換える逆向調整スイッチと、を備え、前記選択スイッチ、前記順向調整スイッチ及び前記逆向調整スイッチにより入力された信号に基づき、前記走行態様の選択及び各走行態様での制御段階の調整が行われる乗物用制御装置において、
前記選択スイッチは、該選択スイッチからの選択信号が入力される毎に、予め定められた順序に従って調整すべき前記走行態様を切り換えるよう構成され、
前記順向調整スイッチは、該順向調整スイッチからの順向調整信号が入力される毎に、現状の制御段階から前記所定の順序で前記制御段階を変化させ、順向最終段階まで達した状態では、前記順向調整スイッチによる前記順向調整信号が入力されても、前記順向最終段階を維持し、
前記逆向調整スイッチは、該逆向調整スイッチからの逆向調整信号が入力される毎に、現状の制御段階から前記所定の順序と逆順序で前記制御段階を変化させて、逆向最終段階まで達した状態では、前記逆向調整スイッチによる前記逆向調整信号が入力されても、前記逆方向最終段階を維持する、
ことを特徴とする乗物用制御装置。
【請求項2】
前記所定の順序とは、各制御段階の制御量が順次増量する順序であり、
前記逆順序とは、各制御段階の制御量が順次減量する順序であり、
前記順向調整スイッチは、制御量増量側へ順次切り換えるスイッチであり、
前記逆向調整スイッチは、制御量減量側へ順次切り換えるスイッチである、
請求項1に記載の乗物用制御装置。
【請求項3】
選択された前記走行態様及び調整された前記段階の少なくとも一方は、対応する前記選択スイッチ又は前記調整スイッチの切換動作に応じて、態様確認用表示部に表示される、請求項1又は2に記載の乗物用制御装置。
【請求項4】
前記選択スイッチによる選択信号が入力されていない初期標準状態では、前記調整スイッチにより入力される前記調整信号に応じて、前記走行態様以外の表示が切り換えられる、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の乗物用制御装置。
【請求項5】
調整すべき前記走行態様が選択された状態で、前記選択スイッチ又は前記調整スイッチによる前記信号が一定時間入力されないと、新たに前記選択スイッチによる選択信号が入力されるまで、前記調整スイッチによる調整信号が無効となる、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の乗物用制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、ハンドルバーを備えた乗物に搭載されており、
前記選択スイッチ、前記順向調整スイッチ及び前記逆向調整スイッチは、前記ハンドルバーのグリップ近傍に配置されており、かつ、報知用あるいは照射用の光又は音を前記乗物外に発する装置を制御するスイッチとは別に設定されている、
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の乗物用制御装置。
【請求項7】
走行フィーリングに影響を与える前記走行態様は、乗物の駆動力の出力制御である、
請求項1乃至6のいずれか一つに記載の乗物用制御装置。
【請求項8】
走行フィーリングに影響を与える前記走行態様は、乗物の出力制御用アクチュエータとは異なるアクチュエータの制御態様である、
請求項1乃至5のいずれか一つに記載の乗物用制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の乗物用制御装置を備えたハンドルバー型の乗物。
【請求項10】
走行フィーリングに影響を与える複数の走行態様を有し、走行中に前記複数の走行態様から所望の走行態様を選択可能な選択スイッチと、該選択スイッチで選択された走行態様における複数の制御段階を所定の順序に従って切り換える順向調整スイッチと、前記所定の順序と逆の順序で前記複数の制御段階を切り換える逆向調整スイッチと、を備え、前記選択スイッチ、前記順向調整スイッチ及び前記逆向調整スイッチにより入力された信号に基づき、前記走行態様の選択及び各走行態様での制御段階の調整が行われる乗物の制御方法において、
前記選択スイッチは、該選択スイッチからの選択信号が入力される毎に、予め定められた順序に従って調整すべき前記走行態様を切り換えるよう構成され、
前記順向調整スイッチは、該順向調整スイッチからの順向調整信号が入力される毎に、現状の制御段階から前記所定の順序で前記制御段階を変化させ、順向最終段階まで達した状態では、前記順向調整スイッチによる前記順向調整信号が入力されても、前記順向最終段階を維持し、
前記逆向調整スイッチは、該逆向調整スイッチからの逆向調整信号が入力される毎に、現状の制御段階から前記所定の順序と逆順序で前記制御段階を変化させて、逆向最終段階まで達した状態では、前記逆向調整スイッチによる前記逆向調整信号が入力されても、前記逆方向最終段階を維持する、
ことを特徴とする乗物の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−28294(P2013−28294A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166378(P2011−166378)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)