乗用型茶園管理機
【課題】従来の技術では、薬液タンクや堆肥又は肥料のコンテナなどの重量物を高い位置に移動しなければならず、バランスが崩れ、転倒の危険があった。また、アタッチメントを機体全長内に収めることは難しく、アタッチメントを取り付けていない場合、前半分に重心が移動し、危険であった。更に、上述したようにアタッチメントは数多くの種類があり、それぞれのアタッチメントに適用しやすい乗用型茶園管理機を提供することを課題とする。
【解決手段】茶樹を跨ぐ門型の機体と、機体を走行させる左右の走行装置と、前記機体後部に上下可動とした作業荷台と、該作業荷台後部に上下可動としたアタッチメント取付部とより構成し、アタッチメントを取り付けて茶園管理作業する。
【解決手段】茶樹を跨ぐ門型の機体と、機体を走行させる左右の走行装置と、前記機体後部に上下可動とした作業荷台と、該作業荷台後部に上下可動としたアタッチメント取付部とより構成し、アタッチメントを取り付けて茶園管理作業する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防除、施肥、剪枝、深耕等の茶園を管理するユニットをアタッチメントとして取り付けて作業を行なう乗用型茶園管理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用型茶園管理機は、防除、施肥、剪枝、深耕等、それぞれの茶園管理作業の専用機であり、例えば、防除の場合は防除のみに使用し、防除する為の防除ユニットが門型の機体の上部に固着され、施肥の場合は施肥ユニットが機体に固着され、剪枝の場合は剪枝ユニット、深耕の場合は深耕ユニットがそれぞれ固着されていた。近年では、防除ユニット、施肥ユニット、剪枝ユニット、深耕ユニットなどをアタッチメントとして、必要に応じて取付して、作業を行なうようになってきている。
【0003】
茶樹を跨いで走行する乗用型茶園管理機は、主要構成要素(機体や駆動源、操縦席などその他必要なもの)を茶樹より上に配置しており、一般的に茶樹の高さは50〜100cm程度のために、機体が少なくとも100cmを超え、重心位置が高くなり、機体が不安定になり、転倒しやすいという問題があった。その上、本来はアタッチメントを取り付けない状態で安定する茶園管理装置の後部にアタッチメントを取り付け、走行装置の全長外にアタッチメントが張り出すことで、バランスの悪化を招いていた。また、アタッチメントが走行装置より大きく張り出していると、旋回や後退のときに茶樹や他の障害物にぶつかる危険性があった。更には、茶樹や障害物の高さ、作業する場合の高さに合わせるため、アタッチメントは上下可動に取り付けられており、上昇すると更に重心位置が高くなり、不安定要因となっていた。
【0004】
アタッチメントには、様々な種類がある。例えば、防除の場合は、防除ユニットとセットで使用する薬液タンクが大きくて重い為、機体上に固定されていたが、傾斜地において液体の形状が変化し、バランスが崩れ、機体が不安定になり、転倒する危険性があった。そのため、薬液タンクの高さを低くし、平坦な形状の薬液タンクを使用したり、小さな複数の薬液タンクに薬液を小分けにして使用したりしていた。しかし、前述のように機体は50〜100cmの茶樹より更に高くなっているため、その機体の上に置いた薬液タンクを降ろしたり、再度載せたり、また機体の上の薬液タンクに薬液を補充したりする作業は、困難であった。
【0005】
次に、施肥の場合、堆肥または肥料をコンテナに入れ、コンテナに一体型の堆肥または肥料を茶樹の間に散布する散布口があり、コンテナ全体を上下動させて、高さの調節をしていた。この場合、堆肥または肥料が入ったコンテナはとても重く、重いコンテナを高い位置に移動すると、乗用型茶園管理機全体のバランスが崩れ、平坦な地面であっても転倒する危険が高くなった。
【0006】
以上のように、アタッチメントを取り付けるときには、乗用型茶園管理機全体のバランスが崩れやすく、危険な為、アタッチメントを上昇時に、機体前後中心に向けて傾斜上昇させ、上方に移動するにつれて機体の前後中心に位置するような構造をとる発明(特許文献1)や、機体構成において操縦部と駆動源を可能な限り前側に配置して、操縦部と駆動源の後ろにアタッチメントを機体全長内に収める発明(特許文献2)があった。
【特許文献1】特開2006−67827号公報
【特許文献2】特開2006−101839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、薬液タンクや堆肥又は肥料のコンテナなどの重量物を高い位置に移動しなければならず、バランスが崩れ、転倒の危険があった。また、アタッチメントを機体全長内に収めることは難しく、アタッチメントを取り付けていない場合、前半分に重心が移動し、危険であった。更に、上述したようにアタッチメントは数多くの種類があり、それぞれのアタッチメントに適用しやすい乗用型茶園管理機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の手段は、茶樹を跨ぐ門型の機体と、機体を走行させる左右の走行装置と、前記機体後部に上下可動とした作業荷台と、該作業荷台後部に上下可動としたアタッチメント取付部とより構成し、アタッチメントを取り付けて茶園管理作業する。この手段を用いると、アタッチメントの種類により、重量物は作業荷台上に載せ、茶樹に対して直接作業する部分をアタッチメント取付部に取り付けて作業することができる。そして、作業荷台とアタッチメント取付部はそれぞれ上下可動なので、作業荷台のみ又はアタッチメントのみ独立して上下動することができる。
【0009】
本発明の第2の手段は、第1の手段において、機体と作業荷台とアタッチメント取付部を走行装置の全長内に配置する。これにより、作業荷台の上に重量物が載ったとしても、バランスが余程崩れることはなく、作業荷台が少々高くなったとしても安全である。
【発明の効果】
【0010】
上記の第1の手段により、必要に応じて作業荷台とアタッチメント取付部(アタッチメント)の高さを調節することができ、重心位置の上昇を極力抑え、バランスを取りやすくなる。よって、転倒の危険がなくなる。そして、作業に応じて、アタッチメントの着脱時にアタッチメント取付部を下げたり、薬液タンクや肥料又は堆肥のコンテナの載せ降ろしや内容物の補充のために作業荷台を下げることによって、労力の低減を図ることができる。作業荷台とアタッチメント取付部と2箇所で上下可動としたことにより、より精密な高さ調節は後部アタッチメント取付部にて行うことができる。アタッチメント及びアタッチメント取付部は、作業荷台を動かす場合と比べて軽いため、こまかく容易に高さ調節ができる。これらのことにより、本発明の装置は、様々なアタッチメントに適用可能となる。
【0011】
本発明の作業荷台は茶園管理作業以外にも荷台として使用でき、アタッチメントを装着していなくても荷物運搬台車として活用できる。
【0012】
上記第2の手段により、重心位置を走行装置の中心に近づけることができ、バランスが余程崩れることはなく、作業荷台が少々高くなったとしても安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、アタッチメントを取り付けていない状態を図1に示す。機体1は茶樹を跨ぐ門型の形状となっており、茶樹の両脇に走行装置2を備えて機体1を走行させる。この走行装置2はエンジン3、油圧ポンプ4などの駆動源により駆動され、走行する。シート6は作業者が座る部分であり、作業者はハンドル7を操作して、乗用型茶園管理機を走行させ、作業を行なう。ブロア9はアタッチメントによる作業を行うときに送風が必要となる場合があるため、機体1に固着してある。
【0014】
機体1の後部に、作業荷台11を設け、機体1に対して作業荷台上下シリンダ12及び作業荷台固定用アーム13によって上下可動となるように設ける。上下可動とするための機構は他の機構でもよく、モータによるものでもよい。
【0015】
作動荷台11の後部に、アタッチメント取付部16を上下可動に設ける。アタッチメント取付部16はアタッチメント上下レール17に沿って、アタッチメント上下モータ18により上下する。本実施例ではアタッチメント上下モータ18とアタッチメント上下レール17によってアタッチメント取付部16を上下動するが、作業荷台11を上下する機構と同様に、シリンダとアームにより上下動してもよい。機体1と作業荷台11とアタッチメント取付部16を、走行装置2の全長内に配置する。作業荷台11の上下動とアタッチメント取付部16の上下動は何の互換性もなく、独立して行なう。しかし、必要に応じて連動して上下動させてもよい。
【0016】
ステップ19は、通常、使用するときには図10のようにシート6の前に張り出している。使用しないときや、乗用型茶園管理装置を搬送するときは、図11のようにステップ19を軸20を中心として、上へ折りたたむ。
【実施例1】
【0017】
防除の実施例を図2、3、4、5、6、7に示す。防除の場合は、薬液を散布する薬液吹出口23を備えた部分を防除ユニット21をアタッチメント取付部16に取付け、防除ユニット21とセットで使用する薬液タンク22は作業荷台11に載せる。本実施例の作業は、薬液タンク22内の薬液を薬液ホース24により防除ユニット21へ流し込み、ブロア9からの送風によって防除ユニット21の薬液吹出口23から薬液を茶樹へ散布する。本実施例では送風により薬液を散布する方式を取ったが、ブロア9ではなく動力噴霧器を用いて薬液を散布してもよい。
【0018】
薬液タンク22を作動荷台11に載せるときには、図4のように作業荷台上下シリンダ12を伸ばして作動荷台11を最低位置にする。薬液を薬液タンク22に補充するとき、薬液タンク22を降ろすときにも、作動荷台11を最低位置に移動する。必要に応じて作業荷台上下シリンダ12を縮め、作業荷台11を図5のように上昇させる。図5は最高位置だが、図4と図5の間の高さで停止することは自在であり、乗用型茶園管理機で茶樹26を跨いだとき、作業荷台11が茶樹26に当たらないように高さを決める。
【0019】
薬液吹出口23の高さを調節するときには、アタッチメント上下モータ18を作動させ、アタッチメント取付部16を上下動する。アタッチメント取付部16が最低位置の場合は図6のようになり、最高位置の場合は図7のようになる。薬液噴出口23を更に上へ移動したい場合は、作動荷台11を上へ移動する。この場合、基本的には、作業者がアタッチメント上下モータ18と作業荷台上下シリンダ12のそれぞれを動かすようにコントロールするが、アタッチメント取付部16をアタッチメント上下レール17の許容範囲外に移動したいときには、自動的に作業荷台上下シリンダ12に連動して移動するようにしてもよい。
【実施例2】
【0020】
施肥の実施例を図8に示す。堆肥または肥料34を入れたコンテナ31を作業荷台11を最低位置にしてから作業荷台11の上に載せ、アタッチメント取付部16には散布口32を施肥ユニットとして取り付け、コンテナ31と散布口32の間を施肥ホース33で接続する。散布口32にはシャッタ(図示しない)が付いており、散布中にはシャッタを開放し、散布しないときにはシャッタを閉鎖する。散布口32はできるだけ地面に近い方が、堆肥や肥料が飛び散らなくて良い。作業台11とアタッチメント取付部16の上下動は独立しており、コンテナ31と散布口32の距離が変わるため、施肥ホース33はフレキシブルなものがよい。堆肥または肥料を散布するときには、作業荷台11を茶樹と当たらない最低位置にセットし、シャッタを開き、茶樹の間(走行装置2が走行するところ)に堆肥または肥料を散布しながら走行する。
【実施例3】
【0021】
剪枝の実施例を図9に示す。剪枝用の刈刃を備えた剪枝ユニット41をアタッチメント取付部16に取付け、ブロワ9のブロワホース10を送風管42に取り付ける。剪枝ユニット41には、刈刃(図示しない)がついており、剪枝を行なうときにはアタッチメント取付部16(必要に応じて作業荷台11)を上下動し、刈刃を所望の刈り込み位置にする。そして、茶樹の間を走行し、茶樹を刈り取り、送風管42から吹出す送風によって刈り取った茶葉を茶樹の上から畝間に落とす。この剪枝は、通常の摘採とは異なり、茶葉を収穫しないで茶樹の間に落としていくものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】アタッチメントを取り付けていない状態の乗用型茶園管理機の後方斜視図。
【図2】実施例1の乗用型茶園管理機の後方斜視図。
【図3】実施例1の乗用型茶園管理機の前方斜視図。
【図4】実施例1で作業荷台が最低位置の場合の側面図。
【図5】実施例1で作業荷台が最高位置の場合の側面図。
【図6】実施例1でアタッチメント取付部が最低位置の場合の側面図。
【図7】実施例1でアタッチメント取付部が最高位置の場合の側面図。
【図8】実施例2の乗用型茶園管理機の後方斜視図。
【図9】実施例3の乗用型茶園管理機の後方斜視図。
【図10】ステップ使用時の側面図。
【図11】ステップ不使用時の側面図。
【符号の説明】
【0023】
1 機体
2 走行装置
3 エンジン
4 油圧ポンプ
5 バッテリ
6 シート
7 走行ハンドル
8 作動油タンク
9 ブロア
10 ブロアホース
11 作業荷台
12 作業荷台上下シリンダ
13 作業荷台固定用アーム(上)
14 作業荷台固定用アーム(下)
15 燃料タンク
16 アタッチメント取付部
17 アタッチメント上下レール
18 アタッチメント上下モータ
19 ステップ
20 軸
21 防除ユニット
22 薬液タンク
23 薬液吹出口
24 薬液ホース
26 茶樹
27 作業者
31 コンテナ
32 散布口
33 施肥ホース
34 堆肥または肥料
41 剪枝ユニット
42 送風管
【技術分野】
【0001】
本発明は、防除、施肥、剪枝、深耕等の茶園を管理するユニットをアタッチメントとして取り付けて作業を行なう乗用型茶園管理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用型茶園管理機は、防除、施肥、剪枝、深耕等、それぞれの茶園管理作業の専用機であり、例えば、防除の場合は防除のみに使用し、防除する為の防除ユニットが門型の機体の上部に固着され、施肥の場合は施肥ユニットが機体に固着され、剪枝の場合は剪枝ユニット、深耕の場合は深耕ユニットがそれぞれ固着されていた。近年では、防除ユニット、施肥ユニット、剪枝ユニット、深耕ユニットなどをアタッチメントとして、必要に応じて取付して、作業を行なうようになってきている。
【0003】
茶樹を跨いで走行する乗用型茶園管理機は、主要構成要素(機体や駆動源、操縦席などその他必要なもの)を茶樹より上に配置しており、一般的に茶樹の高さは50〜100cm程度のために、機体が少なくとも100cmを超え、重心位置が高くなり、機体が不安定になり、転倒しやすいという問題があった。その上、本来はアタッチメントを取り付けない状態で安定する茶園管理装置の後部にアタッチメントを取り付け、走行装置の全長外にアタッチメントが張り出すことで、バランスの悪化を招いていた。また、アタッチメントが走行装置より大きく張り出していると、旋回や後退のときに茶樹や他の障害物にぶつかる危険性があった。更には、茶樹や障害物の高さ、作業する場合の高さに合わせるため、アタッチメントは上下可動に取り付けられており、上昇すると更に重心位置が高くなり、不安定要因となっていた。
【0004】
アタッチメントには、様々な種類がある。例えば、防除の場合は、防除ユニットとセットで使用する薬液タンクが大きくて重い為、機体上に固定されていたが、傾斜地において液体の形状が変化し、バランスが崩れ、機体が不安定になり、転倒する危険性があった。そのため、薬液タンクの高さを低くし、平坦な形状の薬液タンクを使用したり、小さな複数の薬液タンクに薬液を小分けにして使用したりしていた。しかし、前述のように機体は50〜100cmの茶樹より更に高くなっているため、その機体の上に置いた薬液タンクを降ろしたり、再度載せたり、また機体の上の薬液タンクに薬液を補充したりする作業は、困難であった。
【0005】
次に、施肥の場合、堆肥または肥料をコンテナに入れ、コンテナに一体型の堆肥または肥料を茶樹の間に散布する散布口があり、コンテナ全体を上下動させて、高さの調節をしていた。この場合、堆肥または肥料が入ったコンテナはとても重く、重いコンテナを高い位置に移動すると、乗用型茶園管理機全体のバランスが崩れ、平坦な地面であっても転倒する危険が高くなった。
【0006】
以上のように、アタッチメントを取り付けるときには、乗用型茶園管理機全体のバランスが崩れやすく、危険な為、アタッチメントを上昇時に、機体前後中心に向けて傾斜上昇させ、上方に移動するにつれて機体の前後中心に位置するような構造をとる発明(特許文献1)や、機体構成において操縦部と駆動源を可能な限り前側に配置して、操縦部と駆動源の後ろにアタッチメントを機体全長内に収める発明(特許文献2)があった。
【特許文献1】特開2006−67827号公報
【特許文献2】特開2006−101839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の技術では、薬液タンクや堆肥又は肥料のコンテナなどの重量物を高い位置に移動しなければならず、バランスが崩れ、転倒の危険があった。また、アタッチメントを機体全長内に収めることは難しく、アタッチメントを取り付けていない場合、前半分に重心が移動し、危険であった。更に、上述したようにアタッチメントは数多くの種類があり、それぞれのアタッチメントに適用しやすい乗用型茶園管理機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の手段は、茶樹を跨ぐ門型の機体と、機体を走行させる左右の走行装置と、前記機体後部に上下可動とした作業荷台と、該作業荷台後部に上下可動としたアタッチメント取付部とより構成し、アタッチメントを取り付けて茶園管理作業する。この手段を用いると、アタッチメントの種類により、重量物は作業荷台上に載せ、茶樹に対して直接作業する部分をアタッチメント取付部に取り付けて作業することができる。そして、作業荷台とアタッチメント取付部はそれぞれ上下可動なので、作業荷台のみ又はアタッチメントのみ独立して上下動することができる。
【0009】
本発明の第2の手段は、第1の手段において、機体と作業荷台とアタッチメント取付部を走行装置の全長内に配置する。これにより、作業荷台の上に重量物が載ったとしても、バランスが余程崩れることはなく、作業荷台が少々高くなったとしても安全である。
【発明の効果】
【0010】
上記の第1の手段により、必要に応じて作業荷台とアタッチメント取付部(アタッチメント)の高さを調節することができ、重心位置の上昇を極力抑え、バランスを取りやすくなる。よって、転倒の危険がなくなる。そして、作業に応じて、アタッチメントの着脱時にアタッチメント取付部を下げたり、薬液タンクや肥料又は堆肥のコンテナの載せ降ろしや内容物の補充のために作業荷台を下げることによって、労力の低減を図ることができる。作業荷台とアタッチメント取付部と2箇所で上下可動としたことにより、より精密な高さ調節は後部アタッチメント取付部にて行うことができる。アタッチメント及びアタッチメント取付部は、作業荷台を動かす場合と比べて軽いため、こまかく容易に高さ調節ができる。これらのことにより、本発明の装置は、様々なアタッチメントに適用可能となる。
【0011】
本発明の作業荷台は茶園管理作業以外にも荷台として使用でき、アタッチメントを装着していなくても荷物運搬台車として活用できる。
【0012】
上記第2の手段により、重心位置を走行装置の中心に近づけることができ、バランスが余程崩れることはなく、作業荷台が少々高くなったとしても安全である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明において、アタッチメントを取り付けていない状態を図1に示す。機体1は茶樹を跨ぐ門型の形状となっており、茶樹の両脇に走行装置2を備えて機体1を走行させる。この走行装置2はエンジン3、油圧ポンプ4などの駆動源により駆動され、走行する。シート6は作業者が座る部分であり、作業者はハンドル7を操作して、乗用型茶園管理機を走行させ、作業を行なう。ブロア9はアタッチメントによる作業を行うときに送風が必要となる場合があるため、機体1に固着してある。
【0014】
機体1の後部に、作業荷台11を設け、機体1に対して作業荷台上下シリンダ12及び作業荷台固定用アーム13によって上下可動となるように設ける。上下可動とするための機構は他の機構でもよく、モータによるものでもよい。
【0015】
作動荷台11の後部に、アタッチメント取付部16を上下可動に設ける。アタッチメント取付部16はアタッチメント上下レール17に沿って、アタッチメント上下モータ18により上下する。本実施例ではアタッチメント上下モータ18とアタッチメント上下レール17によってアタッチメント取付部16を上下動するが、作業荷台11を上下する機構と同様に、シリンダとアームにより上下動してもよい。機体1と作業荷台11とアタッチメント取付部16を、走行装置2の全長内に配置する。作業荷台11の上下動とアタッチメント取付部16の上下動は何の互換性もなく、独立して行なう。しかし、必要に応じて連動して上下動させてもよい。
【0016】
ステップ19は、通常、使用するときには図10のようにシート6の前に張り出している。使用しないときや、乗用型茶園管理装置を搬送するときは、図11のようにステップ19を軸20を中心として、上へ折りたたむ。
【実施例1】
【0017】
防除の実施例を図2、3、4、5、6、7に示す。防除の場合は、薬液を散布する薬液吹出口23を備えた部分を防除ユニット21をアタッチメント取付部16に取付け、防除ユニット21とセットで使用する薬液タンク22は作業荷台11に載せる。本実施例の作業は、薬液タンク22内の薬液を薬液ホース24により防除ユニット21へ流し込み、ブロア9からの送風によって防除ユニット21の薬液吹出口23から薬液を茶樹へ散布する。本実施例では送風により薬液を散布する方式を取ったが、ブロア9ではなく動力噴霧器を用いて薬液を散布してもよい。
【0018】
薬液タンク22を作動荷台11に載せるときには、図4のように作業荷台上下シリンダ12を伸ばして作動荷台11を最低位置にする。薬液を薬液タンク22に補充するとき、薬液タンク22を降ろすときにも、作動荷台11を最低位置に移動する。必要に応じて作業荷台上下シリンダ12を縮め、作業荷台11を図5のように上昇させる。図5は最高位置だが、図4と図5の間の高さで停止することは自在であり、乗用型茶園管理機で茶樹26を跨いだとき、作業荷台11が茶樹26に当たらないように高さを決める。
【0019】
薬液吹出口23の高さを調節するときには、アタッチメント上下モータ18を作動させ、アタッチメント取付部16を上下動する。アタッチメント取付部16が最低位置の場合は図6のようになり、最高位置の場合は図7のようになる。薬液噴出口23を更に上へ移動したい場合は、作動荷台11を上へ移動する。この場合、基本的には、作業者がアタッチメント上下モータ18と作業荷台上下シリンダ12のそれぞれを動かすようにコントロールするが、アタッチメント取付部16をアタッチメント上下レール17の許容範囲外に移動したいときには、自動的に作業荷台上下シリンダ12に連動して移動するようにしてもよい。
【実施例2】
【0020】
施肥の実施例を図8に示す。堆肥または肥料34を入れたコンテナ31を作業荷台11を最低位置にしてから作業荷台11の上に載せ、アタッチメント取付部16には散布口32を施肥ユニットとして取り付け、コンテナ31と散布口32の間を施肥ホース33で接続する。散布口32にはシャッタ(図示しない)が付いており、散布中にはシャッタを開放し、散布しないときにはシャッタを閉鎖する。散布口32はできるだけ地面に近い方が、堆肥や肥料が飛び散らなくて良い。作業台11とアタッチメント取付部16の上下動は独立しており、コンテナ31と散布口32の距離が変わるため、施肥ホース33はフレキシブルなものがよい。堆肥または肥料を散布するときには、作業荷台11を茶樹と当たらない最低位置にセットし、シャッタを開き、茶樹の間(走行装置2が走行するところ)に堆肥または肥料を散布しながら走行する。
【実施例3】
【0021】
剪枝の実施例を図9に示す。剪枝用の刈刃を備えた剪枝ユニット41をアタッチメント取付部16に取付け、ブロワ9のブロワホース10を送風管42に取り付ける。剪枝ユニット41には、刈刃(図示しない)がついており、剪枝を行なうときにはアタッチメント取付部16(必要に応じて作業荷台11)を上下動し、刈刃を所望の刈り込み位置にする。そして、茶樹の間を走行し、茶樹を刈り取り、送風管42から吹出す送風によって刈り取った茶葉を茶樹の上から畝間に落とす。この剪枝は、通常の摘採とは異なり、茶葉を収穫しないで茶樹の間に落としていくものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】アタッチメントを取り付けていない状態の乗用型茶園管理機の後方斜視図。
【図2】実施例1の乗用型茶園管理機の後方斜視図。
【図3】実施例1の乗用型茶園管理機の前方斜視図。
【図4】実施例1で作業荷台が最低位置の場合の側面図。
【図5】実施例1で作業荷台が最高位置の場合の側面図。
【図6】実施例1でアタッチメント取付部が最低位置の場合の側面図。
【図7】実施例1でアタッチメント取付部が最高位置の場合の側面図。
【図8】実施例2の乗用型茶園管理機の後方斜視図。
【図9】実施例3の乗用型茶園管理機の後方斜視図。
【図10】ステップ使用時の側面図。
【図11】ステップ不使用時の側面図。
【符号の説明】
【0023】
1 機体
2 走行装置
3 エンジン
4 油圧ポンプ
5 バッテリ
6 シート
7 走行ハンドル
8 作動油タンク
9 ブロア
10 ブロアホース
11 作業荷台
12 作業荷台上下シリンダ
13 作業荷台固定用アーム(上)
14 作業荷台固定用アーム(下)
15 燃料タンク
16 アタッチメント取付部
17 アタッチメント上下レール
18 アタッチメント上下モータ
19 ステップ
20 軸
21 防除ユニット
22 薬液タンク
23 薬液吹出口
24 薬液ホース
26 茶樹
27 作業者
31 コンテナ
32 散布口
33 施肥ホース
34 堆肥または肥料
41 剪枝ユニット
42 送風管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶樹を跨ぐ門型の機体と、機体を走行させる左右の走行装置と、前記機体後部に上下可動とした作業荷台と、該作業荷台後部に上下可動としたアタッチメント取付部とより構成し、アタッチメントを取り付けて茶園管理作業することを特徴とする乗用型茶園管理機。
【請求項2】
機体と作業荷台とアタッチメント取付部を走行装置の全長内に配置することを特徴とする請求項1記載の乗用型茶園管理機。
【請求項1】
茶樹を跨ぐ門型の機体と、機体を走行させる左右の走行装置と、前記機体後部に上下可動とした作業荷台と、該作業荷台後部に上下可動としたアタッチメント取付部とより構成し、アタッチメントを取り付けて茶園管理作業することを特徴とする乗用型茶園管理機。
【請求項2】
機体と作業荷台とアタッチメント取付部を走行装置の全長内に配置することを特徴とする請求項1記載の乗用型茶園管理機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−106170(P2009−106170A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279807(P2007−279807)
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月29日(2007.10.29)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【Fターム(参考)】
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