説明

予備含浸されたストリップから切断されたトリミング屑を分離および排出するための装置

本発明は、アクションライン15に沿ってストリップ材料3に接する吸引ローラ10を用いて、紙1から、ストリップ材料3のストリッピング2“を分離する、あるいは、あらかじめ切断されたプリプレグを、廃棄されるべきストリッピング2”と保持されるべき素材板2’とに分離する装置である。下流側位置には、前記直線経路上において素材板2’を回収するための装置24、26が設けられ、ローラ10により近い装置12が、ストリッピング2’を排出する。紙1は、直線経路に沿って装置を横断しつつ、素材板2’を該紙上に維持する。ストリップ材料3に対して垂直方向に移動可能とされた、ストリップ材料3を一時的に進路変更させる装置20が、ストリッピング2’の初期剥離を容易にするために、ストリップ材料3を一時的に逸らせ、ローラ10に近づける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断機により切断されたトリミング屑を分離および排出するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙またはプラスチックフィルムで構成された裏打ちテープに支持され、熱可塑性または熱硬化性樹脂を含浸させた、複合材料(カーボン、ガラス、ケブラー(登録商標)など)からなる複合ストリップ材料をベースにした、航空機の翼部などの様々な部品を製造するための繊維材ストリップまたはシートを、ドレープ成形ヘッドを有するロボットを用いて鋳型にまたは堆積工具によって自動的に堆積(deposit)させることは、例えば、米国特許第4,842,684号などから公知の慣行である。複合材テープは、リールから繰り出されて、プリプレグ繊維のテープが裏打ちテープから分離されるドレープ成形ヘッドを通過する。後者(すなわち裏打ちテープ)は、巻き取りマンドレルに戻される一方、プリプレグは、たいていはローラで構成された成形(締固め)部材によって、または、ドレープ成形ヘッドに接続された塗布シュー(applicator shoe)によって、鋳型またはすでに堆積された前層に適用される。
【0003】
製造される部品の形状のため、そして、とりわけそのエッジのために、テープの四隅「全幅」部分を堆積する必要があるだけではなく、テープの複雑な切断によって得られた様々な形状の部分を堆積する必要がある。堆積されるであろう部分は、「パネル」と呼ばれ、切断された複数のパネルの間の部分は、廃棄されるべき「トリミング屑」と呼ばれる。
【0004】
単純な形状のスルーカットであれば、単一フェーズの堆積工程が用いられ、この工程は、「元の位置で」堆積されたストリップ材料の切断を行い、そして、装置によりそれらの直接的な堆積が行われる。機械式ナイフまたは超音波ナイフが、プリプレグテープをその裏打ちテープ上において直接切断し、他方、剥離後にマンドレル上に巻き取られることになる裏打ちテープは切断されないままである。
【0005】
ストリップ材料を複雑な形状に切断するため、出願人は、2段階構成の方法を完成させた。それによれば、第1の専用機械を用いて、(ストリップ材料の)切断が堆積工程それ自体の上流で実行され、交互するあらかじめカットされた複数の部分が裏打ちテープの上で堆積され、または、2つのプロテクタの間に堆積されて、ドレープ成形ヘッドに取り付けられたカセットに巻き取られる。
【0006】
この第1の専用機械は、したがって、パネルの切断、紙裏打ちの剥離、トリミング屑の排出、および、パネルの再パッケージ処理(repackaging)を行うものである。
【0007】
出願人は、また、仏国特許第2,656,290号において、ストリップ材料から切り取られたトリミング屑の分離および排出のための装置を開示しているが、ここでは、トリミング屑が、吸引ローラによってその直線経路から逸らされて、取り出しローラによって排出される。
【0008】
本明細書の図1は先行技術を示したものである。裏打ちテープ1およびプリプレグ2を結合させた複合体3の形態を有するストリップ材料は、装置の上流に現在しているが、プリプレグ2は、装置の上流に設けられた図示しない切断手段によって、裏打ちテープ1を切断することなく、裏打ちテープ上においてあらかじめ切断されたものである。プリプレグ2は、たいていは、接着用樹脂のフレキシブルな母材に浸漬された一方向炭素繊維で構成されている。したがって、切り取られたプリプレグ2において、パネルと呼ばれる有用な区間2’(これは保持されなければならず、再パッケージ処理されるであろう)と、トリミング屑区間2”(これは装置によって排出されなければならない)とが設けられている。該装置は、調整可能な程度の吸引ゾーンが設けられた吸引ローラまたはドラムを備えている。ドラムのすぐ上流において、剥離エッジ11が裏打ちテープ1をはがすことができ、その結果、プリプレグ2のみがドラム10の動作中の部分の前を通過するようになる。プリプレグ2の切断部分に応じて制御プログラムによって起動される吸引機能がドラムに設けられている場合には、排出されるべき部分2”が、ドラムの周縁に従い、そして、廃棄物缶へ搬送されるように搬送ローラ12によって急速に回収される。かかる吸引機能がない場合には、プリプレグ2のうち保持されるべき部分2’が、その直線経路(に沿った移動)を継続するが、その目的は、下流側において、再パッケージ処理されたプリプレグの切断部分の複合体4をなすように、保持された切断部分またはパネル2’の周りに、2つの再パッケージ処理フィルム14を供給する2つの連動ローラ13がなす再パッケージ処理あご部内に前記保持されるべき部分2’を回収することにある。再パッケージ処理されたプリプレグは、堆積装置において利用するためにカセットに巻き取られる。
【0009】
この公知の装置によれば、剥離エッジの先端部分と再パッケージ処理あご部(repackaging jaw)13との間に、再パッケージ処理されるべきパネル2’が案内されていない経過ゾーンAが存在している。
【0010】
最後に、この方法を用いて、堆積の間、単段階構成の方法における堆積装置によって堆積されたストリップ材料に対して、堆積されたパネルの面が反転される。
【0011】
国際公開第01/56754号により公知であるのは、トリミング屑であるとみなされた切断されたシートを直接的に取り除く進路変更ローラによって、金属板または板紙において切断された切断部分を分離するとともに切断部分を装置の下流側に積み上た状態とすることができる装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,842,684号
【特許文献2】仏国特許第2,656,290号
【特許文献3】国際公開第01/56754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前記国際公開第01/56754号は、プリプレグの切断、すなわち、裏打ち処理されたストリップ材料に堆積されるべき複合材料の切断に関するものではないかぎりにおいて、本発明の問題、すなわち、トリミング屑の排出後におけるプリプレグの正しい位置決めに関連するものではない。
【0014】
本発明の目的は、堆積処理の際におけるパネルの位置決めの精度を改善する、トリミング屑を分離および排出する新たな装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、その目的を、略直線状経路において搬送されるストリップ材料からトリミング屑を分離および排出するための装置によって解決するものであるが、ここで、ストリップ材料が、連続した裏打ちテープ(その厚さ方向において)および排出されるべきトリミング屑と保持されるべきパネルとからなる被切断材料(その厚さ方向において)で構成され、本発明の装置が、経路に対して横断的にかつストリップ材料に接してアクションラインに沿って配置された回転吸引ローラと、前記アクションラインの下流側において、ほぼ前記直線経路上に置かれたパネルを回収するための回収装置と、前記ローラの周縁近くに置かれたトリミング屑の排出のための装置と、を備え、連続した裏打ちテープが前記直線経路に沿って前記装置を通過し、その間、裏打ちテープ上にパネルが恒常的に保持され、前記装置が、ストリップ材料の一時的な進路変更のための進路変更装置を備え、そして、ストリップ材料の前記経路を一時的に逸らせるとともに前記ストリップ材料を前記ローラに近づけて、トリミング屑の初期剥離を前記進路変更装置によって加えられる一時的な進路変更によって容易とするように、前記進路変更装置が、前記ストリップ材料に対して直角に移動可能とされていることを特徴としている。
【0016】
したがって、本発明によれば、一方で、複合ストリップ材料の裏打ちテープが回転吸引ローラの上流ではがれずに、装置により一貫して保持され、他方で、排出すべきトリミング屑のみを対象とする剥離が、回転吸引ローラのアクションラインの下流側において実行される。また、ストリップ材料の裏打ちテープが、保持されるべきパネルが依然として裏打ちテープ上にある状態で保持されるので、これらのパネルが不正確に位置決めされるというリスクがない。さらに、本発明は、先行技術におけるような再包装フィルムを用いる必要がない。
【0017】
トリミング屑の剥離は、選択的な回転吸引ローラによる吸引と、廃棄されるべき切断部分が通過する間に、少なくともこの通過の開始時点で、ストリップ材料に対する進路変更装置によるダウンスラスト(押込み)によって与えられる進路変更角と、の二重の効果により実行される。
【0018】
依然として当初の裏打ちテープ上に現在しているパネルを回収するための装置は、回転吸引ローラの近くかつ経路の下流側に配置された任意のストリップ材料案内装置で構成され、ストリップ材料は、パネルを含むストリップ材料が巻き取られるカセット巻き取りステーションからの牽引によって保持されることができる。
【0019】
有利には、進路変更装置のダウンスラストの間の剥離を十分に促進するような進路変更を生じさせるため、アクションラインの近くに、経路抑制裏面ローラが設けられており、回転吸引ローラおよび進路変更装置と連動されている。換言すれば、これは、回転吸引ローラの吸引の助けを得てトリミング屑が容易にはがれることを許容するために、走行しているストリップ材料の経路を一時的に十分に角度をつけられた経路とすることを含む。有利には、進路変更装置は、エッジまたは剥離ローラを有している。
【0020】
好適には、また、アクションラインの近くに、経路の上流側および下流側において、ストリップ材料が進路変更装置の降下の間に膨らむのを防ぐために経路抑制押圧ローラが設けられている。
【0021】
有利には、下流側押圧ローラは、下流側裏面ローラと連動(associated)されて、(両者あわせて)保持された切断部分を有するストリップ材料を回収するための回収装置を構成する。
【0022】
廃棄すべき切断部分を排出するための装置は、有利には、切断部分を廃棄物缶に向けるためのローラまたはコンベヤベルトを有している。
【0023】
進路変更装置は、排出されるべきトリミング屑の形状に応じてストリップ材料の幅において局所的に動作することができるように、ストリップ材料の横断方向において一体的に設けられまたは分節化(segmented)して設けられている。
【0024】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して以下の記載を読解することにより顕出するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】従来の分離および排出装置の概略側面図である。
【図2】本発明の分離および排出装置の概略側面図および切断部分のストリップ材料の上面図を組み合せたものであり、進路変更装置は上昇位置とされている。
【図3】本発明の分離および排出装置の概略側面図および切断部分のストリップ材料の上面図を組み合せたものであり、進路変更装置は下降位置とされている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1については既述したところである。本発明に係る図2および図3については、従来の要素と同一の要素をさす場合には同一の引用符号を用いるものとする。
【0027】
裏打ち紙1(裏打ちテープ)の厚さ(方向)と、あらかじめカットされたプリプレグ(予備含浸材)2の厚さ(方向)とで構成された複合体3(以下、ストリップ材料3と表記する)は、略直線経路上において装置の上流側に供給され、裏打ち紙1が装置の下流側に移動する。裏打ち紙1上のプリプレグ2の切断部分は、図2の下側部分または図3に示されているように、保持されるべき切断部分または該切断部分と交互する廃棄されるべきパネル2’、または、切断ライン(このラインは特に傾斜したラインであってよい)で分離されるトリミング屑2’で構成されている。図の簡略化のため2つ(の切断部分)のみが図示されている。本発明によれば、パネル2’は裏打ち紙1に取り付けられた状態で装置を横断しなければならず、かつ、トリミング屑2”は、前記装置によって排出されなければならない、この装置は、公知のものと同様な回転吸引ローラ10、すなわち、トリミング屑2”が回転吸引ローラ10とストリップ材料3の直線経路とが接する位置にあたるアクションライン15に現在している適時に吸引面を提供することができる回転吸引ローラ10、を備えている。
【0028】
裏打ち紙1のトリミング屑2”の剥離を促進するため、本発明は進路変更部材20を提案するが、この進路変更部材20は、アクションライン15のすぐ下流側に(設けられているとともに)、ストリップ材料の経路外でかつストリップ材料の経路と干渉しない格納位置または上昇位置(図2)と、進路変更部材20が進路変更部材20のエッジ状端部22によってストリップ材料3をその裏打ち紙1側で押圧する降下位置または下降位置(図3)と、の間で垂直方向に(両方向矢印21で示す)移動することができるものである。
【0029】
図3の下側部分をみると分かるように、トリミング屑2”の開始部分が線23で示す、エッジ22のレベル水準に達したことが検出されると、機械(すなわち本発明の分離・排出装置)の駆動装置が、進路変更部材20(図3参照)を下降させ、進路変更部材20がストリップ材料3を下方に、回転吸引ローラ10の周縁に対して押圧する(進路変更部材20の端部の面取りされた形状により、ストリップ材料3が可能な限り回転吸引ローラ10の周縁に接近することが可能となる)。下流側近くに配置されている押圧用の裏面ローラ24により、ストリップ材料の直線経路の軸に近接しつつストリップ材料の経路が一時的に変化して実質的に角をなし(この角の頂点がエッジ22に対応している)、トリミング屑2”の剥離が促進される。この時点以降、ストリップ材料は裏打ち紙1およびパネル2’のみを保持した状態となり、裏面ローラ24上を通過するが、他方、トリミング屑2”は、ドラムによって吸い取られ、任意的には公知のものと同様な搬送ローラ12(請求項中における「回収装置」に相当)またはコンベヤベルトを用いて、廃棄物缶へ運ばれる。トリミング屑2”の開始部分がひとたび裏打ち紙1から正しくはがされて搬送ローラ12に係合されると、進路変更部材20がその上昇位置にまで戻され、トリミング屑2”の剥離はトリミング屑2”の引っ張りにより継続されることになる。
【0030】
ストリップ材料3が進路変更部材20の片側へ膨らむことを惹起する動作に起因する進路変更部材20のダウンスラスト(押込み)を防止防するために、2つの押圧ローラ25、26が、ストリップ材料の経路上側を封じ込めるためにストリップ材料の上方に配置されている。下流側の押圧ローラ26は、有利には、(請求項中における)ストリップ材料回収装置として機能する一対の協働するローラをなすように、裏面ローラ24と連動している。裏面ローラ24の駆動は、下流側に位置する図示しないカセット巻き取り装置によって提供される。
【符号の説明】
【0031】
1 裏打ち紙(裏打ちテープ)
2 被切断部材(プリプレグ)
2’ パネル
2” トリミング屑2
3 ストリップ材料
10 回転吸引ローラ
12 搬送ローラ
15 アクションライン
20 進路変更部材
24 裏面ローラ
25 押圧ローラ
26 押圧ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線経路に搬送される、連続した裏打ちテープと廃棄されるべきトリミング屑および保持されるべきパネルからなる被切断部材とで構成された、ストリップ材料からトリミング屑を分離および排出するための装置であって、
(イ)前記装置が、(a)前記直線経路を横断しかつアクションラインに沿って前記ストリップ材料に接するように配置された回転吸引ローラと、(b)前記アクションラインの下流側において前記直線経路上に設けられた、前記パネルを回収するための回収装置と、(c)前記アクションラインの下流側において前記吸引ローラの周縁に近接して設けられた、トリミング屑を排出するための排出装置と、(d)前記アクションラインと前記回収装置との間に設けられた、前記ストリップ材料を一時的に進路変更させるための進路変更装置と、を備え、
(ロ)前記裏打ちテープが前記直線経路に沿って前記装置を通過し、かつ、前記パネルが前記裏打ちテープ上に恒常的に保持され、そして、
(ハ)前記ストリップ材料を前記直線経路から一時的に逸らせるとともに該ストリップ材料を前記ローラに近づけて、前記トリミング屑の初期剥離を前記進路変更装置によって加えられる一時的な進路変更によって容易とするように、前記進路変更装置が、前記ストリップ材料に対して直角に移動可能とされている
ことを特徴とする、直線経路に運ばれる材料のストリップ材料からトリミング屑を分離および排出するための装置。
【請求項2】
前記アクションラインに近接して、経路抑制用の裏面ローラが、設けられ、そして、前記進路変更装置の押込みの間に前記剥離を十分に促進するような進路変更を生じさせるように、前記裏面ローラが、前記吸引ローラおよび前記進路変更装置と連動されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記進路変更装置の降下の間に前記ストリップ材料が膨らむのを防止するための経路抑制用押圧ローラが、前記経路の上流側および下流側にそれぞれ、前記アクションラインに近接して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記下流側押圧ローラが、前記下流側裏面ローラと連動されていることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記廃棄されるべき被切断部材を排出するための装置が、前記トリミング屑を廃棄物缶へ向けるためのローラまたはコンベヤベルトで構成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記進路変更装置が、一体的に設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記進路変更装置が、前記排出されるべきトリミング屑の形状に応じて前記ストリップ材料の幅方向において局所的に動作することができるように、分節化されて設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記被切断部材が、プリプレグで構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2010−523350(P2010−523350A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501546(P2010−501546)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000220
【国際公開番号】WO2008/135645
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(509275851)
【Fターム(参考)】