説明

予混合式2ストローク機関

【課題】系全体の応答性を高め、安定した運転を可能とすることができる予混合式2ストローク機関を提供する。
【解決手段】シリンダライナ3の掃気ポート1の外側に、開口部51を有する遮蔽円筒52が、上下方向に移動可能に嵌合される。遮蔽円筒52は、油圧シリンダ53によって上下駆動されるようになっており、油圧シリンダ53は、保持器54によってシリンダライナ3に取り付けられている。遮蔽円筒52が下端位置にあるときは、シリンダライナ3の掃気ポート1と遮蔽円筒52の開口部51は全面的に重なる。また、遮蔽円筒52が上方に移動すると、掃気ポート1と開口部51は一部重なり、掃気ポート1の下方部は遮蔽円筒52によって遮蔽される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1往復(2行程=2ストローク)で1周期とするレシプロエンジンである予混合式2ストローク機関に関し、特に、空燃比調整(制御)技術に特徴のある予混合式2ストローク機関に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、従来例に係る予混合式2ストローク機関の一部断面全体構成図である。
【0003】
掃気ポート1とガス噴射弁2を有するシリンダライナ3が外衣4に取り付けられ、シリンダライナ3の内部にピストン5が挿入されている。シリンダライナ3の上部にはシリンダカバー6が取り付けられ、シリンダカバー6には、排気弁棒7を有する排気弁箱8及びパイロット噴射弁9が装着されている。
【0004】
排気弁箱8と排気主管10が結合され、排気主管10と排気タービン11が排気タービン入口管12で結合されている。また、排気バイパス弁13を有する排気バイパス管14が排気タービン入口管12と排気出口管15の間に接続されている。排気出口管15は、排気タービン11の出口に設けられる。
【0005】
過給機ブロワ21には、空気吸込み管22とブロワ出口管23が接続され、ブロワ出口管23は、空気冷却器24に接続されている。空気冷却器24は、外衣4に取り付けられた掃気溜25の内部に取り付けられている。また、過給機ブロワ21のブロワ出口管23には、空気バイパス管26と空気バイパス管27が装備され、空気バイパス管26には、バイパス弁28が、空気バイパス管27にはバイパス弁29が装備されている。
【0006】
空気吸込み管22から吸入された空気は、過給機ブロワ21により加圧されブロワ出口管23を通り、空気冷却器24で冷却された後、掃気溜25を通り掃気ポート1からシリンダライナ3に流入する。シリンダライナ3に流入した空気とガス噴射弁2よりシリンダライナ3内に噴出されるガスにより混合気が形成される。
【0007】
そして、シリンダライナ3内を下死点から上死点に向けて移動するピストン5により圧縮された混合気にパイロット噴射弁9より液体燃料を噴射し、着火することで混合気を燃焼(爆発)させる。この爆発により、ピストン5は上死点から下死点に向けて移動する。このようにして、ピストン5が1往復(2行程=2ストローク)することで、1周期の動作が終了する。
【0008】
燃焼した混合気は、排気弁棒7の開時に排気弁箱8を通り、さらに排気主管10から排気タービン入口管12を通って排気タービン11を駆動し、外部に排出される。排気タービン11は過給機ブロワ21と直結しているので、排気タービン11の駆動により過給機ブロワ21も駆動される。
【0009】
ところで、シリンダライナ3内の混合気の空気とガスの混合比(空燃比)を調整して、最大の爆発力(エンジンの出力)を得るためには、掃気ポート1を通りシリンダライナ3に流入する空気量を調整すればよい。即ち、空燃比を調整するためには、過給機ブロワ21からブロワ出口管23を通じて供給される空気量を調整すればよい。
【0010】
過給機ブロワ21から供給される空気量を調整する方式としては、主として以下の3通りの方式がある。
【0011】
第1の方式は、排気バイパス弁13の開度調整により排気タービン11に流入する排気ガス量を調整し、過給機ブロワ21の回転数を変化させる方式である。第2の方式は、バイパス弁28の開度を調整し、ブロワ出口管23に供給される空気を排気タービン11に導く方式である。第3の方式は、バイパス弁29の開度を調整し、ブロワ出口管23に供給される空気を空気吸込み管22に戻す方式である。
【0012】
上述したように従来は、過給機ブロワ21の回転数変更やバイパスによる過給空気量の調整により空燃比調整を行っていた。しかし、このような従来の空燃比調整方式は、応答が遅く、機関の負荷変動に追従して適性な空燃比を作る時間が不足する欠点がある。
【0013】
ここで特許文献1には、排ガススタック内にシリンダの燃焼室からの排気ガスによって駆動される過給機のタービンを備え、下流ディフューザ内にタービンにより軸を介して駆動される過給機の圧縮用ロータを備える予混合式2ストローク機関が開示されている。
【0014】
上記のガス機関においては、シリンダ燃焼室からの排気ガスによりタービンが駆動されると、軸を介してロータが駆動され、給気スタックからの空気はロータに吸入されて圧縮され、ロータで圧縮された圧縮空気は、ディフューザ、空気冷却器、圧力経路を介してインレットレシーバに供給され、該インレットレシーバから掃気開口を通り、掃気としてシリンダの燃焼室に流入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−151140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記特許文献1の予混合式2ストローク機関では、燃焼室に掃気として供給する圧縮空気の流量を変更する際には、出口弁の開度を制御(調整)し、シリンダ燃焼室からの排気ガスの流量を調整して過給機におけるロータの回転数を変更しなければならない。
【0017】
即ち、上記特許文献1の予混合式2ストローク機関においても、上述した従来技術と同様に、過給機の回転数変更による空燃比調整(制御)技術を採用しており、上述した従来技術の欠点を有している。
【0018】
本発明は、上記従来技術の課題を解消し、系全体の応答性を高め、安定した運転を可能とすることができる予混合式2ストローク機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、外部の空気を取り入れる掃気開口とその上部の燃料噴射弁を有するシリンダと、前記シリンダ内を往復動するピストンとを備え、前記ピストンが下死点から上死点に移動して前記掃気開口から取り入れられた空気と前記燃料噴射弁から噴射された燃料からなる混合気を圧縮する圧縮行程と、前記混合気の着火による爆発力で前記ピストンが上死点から下死点に移動して前記上死点側に取り付けられる排気弁から排気を行う排気行程との2行程で1周期を完結する予混合式2ストローク機関であって、前記掃気開口に対面する位置の前記シリンダの外周に、前記掃気開口の開度を調整する遮蔽円筒を上下方向に移動可能に嵌合して配置したことを特徴とする予混合式2ストローク機関に係るものである。
【0020】
また、本発明は、外部の空気を取り入れる掃気開口とその上部の燃料噴射弁を有するシリンダと、前記シリンダ内を往復動するピストンとを備え、前記ピストンが下死点から上死点に移動して前記掃気開口から取り入れられた空気と前記燃料噴射弁から噴射された燃料からなる混合気を圧縮する圧縮行程と、前記混合気の着火による爆発力で前記ピストンが上死点から下死点に移動して前記上死点側に取り付けられる排気弁から排気を行う排気行程との2行程で1周期を完結する予混合式2ストローク機関であって、前記掃気開口に対面する位置の前記シリンダの外周に、前記掃気開口の開度を調整する遮蔽板を水平方向に回転可能に取り付けたことを特徴とする予混合式2ストローク機関に係るものである。
【0021】
上記において、燃焼した前記混合気を排気させる排気主管と、排気タービン入口管により前記排気主管と接続される排気タービンと、前記排気タービンと連結され、外部の空気を吸込む空気吸込み管と圧縮空気を送り出すブロワ出口管と燃焼した前記混合気を外部に排出する排気出口管を有する過給機ブロワと、前記排気タービン入口管と前記排気出口管の間に接続され排気バイパス弁を有する排気バイパス管と、前記ブロワ出口管の前記圧縮空気を前記排気タービン側に逃がす機能を有し第1のバイパス弁を有する第1の空気バイパス管と、前記ブロワ出口管の前記圧縮空気を前記空気吸込み管側に逃がす機能を有し第2のバイパス弁を有する第2の空気バイパス管とを備えることが好ましい。
【0022】
また、上記において、前記遮蔽円筒または前記遮蔽板を駆動制御して前記掃気開口の開度を調整する空燃比制御装置を備えることが好ましい。
【0023】
さらに、上記において、前記空燃比制御装置は、少なくとも前記排気主管の近傍の空燃比センサの検出信号を取り込むことが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の予混合式2ストローク機関によれば、掃気ポートの開口面積を変化させ、シリンダライナに取り込まれる空気量を調整するようにしたので、系全体の応答性が高まり、安定した運転が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る予混合式2ストローク機関の一部断面全体構成図である。
【図2】図1のA部拡大図である。
【図3】図2におけるシリンダライナの下方部分の外観図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る予混合式2ストローク機関のシリンダライナ下方部の断面図(図2に相当)である。
【図5】図4のB部分の拡大図である。
【図6】図5の上視図である。
【図7】図4のC−C線断面上視図である。
【図8】駆動ピンの移動軌跡とそれに伴う遮蔽板の回転の様子を示す模式図である。
【図9】従来例に係る予混合式2ストローク機関の一部断面全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る予混合式2ストローク機関の一部断面全体構成図である。
【0028】
まず、その構成を説明する。
【0029】
掃気ポート(掃気開口)1とガス噴射弁(燃料噴射弁)2を有するシリンダライナ(シリンダ)3が外衣4に取り付けられ、シリンダライナ3の内部に、上下に往復動するピストン5が挿入されている。シリンダライナ3の上部にはシリンダカバー6が取り付けられ、シリンダカバー6には、排気弁棒(排気弁)7を有する排気弁箱8及びパイロット噴射弁9が装着されている。
【0030】
排気弁箱8と排気主管10が結合され、排気主管10と排気タービン11が排気タービン入口管12で結合(接続)されている。また、排気バイパス弁13を有する排気バイパス管14が排気タービン入口管12と排気出口管15の間に接続されている。排気出口管15は、排気タービン11の出口に設けられる。
【0031】
排気タービン11と連結される過給機ブロワ21には、外部の空気を吸込む空気吸込み管22と圧縮空気を送り出すブロワ出口管23が接続され、ブロワ出口管23は、空気冷却器24に接続されている。空気冷却器24は、外衣4に取り付けられた掃気溜25の内部に取り付けられている。また、過給機ブロワ21のブロワ出口管23には、空気バイパス管(第1の空気バイパス管)26と空気バイパス管(第2の空気バイパス管)27が装備され、空気バイパス管26には、バイパス弁(第1のバイパス弁)28が、空気バイパス管27にはバイパス弁(第2のバイパス弁)29が装備されている。
【0032】
空気バイパス管26は、ブロワ出口管23内の圧縮空気を排気タービン11側に逃がし、空気バイパス管27は、ブロワ出口管23内の圧縮空気を空気吸込み管22側に逃がす機能を有する。
【0033】
排気弁棒7の上端には、排気弁棒駆動ピストン31が取り付けられており、排気弁棒駆動油圧管32からの油圧により、排気弁棒7は、クランク軸と連動して排気弁を開閉するようになっている。
【0034】
また、本実施の形態の予混合式2ストローク機関は、排気弁箱8と排気主管10の間の排気管10aに、空燃比センサ33が排気主管10の近傍に位置するように配置され、掃気溜25に過給空気圧センサ34が配置されている。また、クランク軸付歯車35の周囲には、パルスセンサ36と負荷検出センサ37が配置されている。
【0035】
また、本実施の形態の予混合式2ストローク機関には、パイロット噴射弁9を制御するパイロット噴射弁制御装置38、ガス噴射弁2を制御するガス噴射弁制御装置39、後述する油圧シリンダを制御する油圧シリンダ制御装置40が備えられる。さらに、本実施の形態の予混合式2ストローク機関には、CPUで構成される空燃比制御装置41が備えられる。
【0036】
空燃比制御装置41は、空燃比センサ33、過給空気圧センサ34、パルスセンサ36及び負荷検出センサ37からの検出信号を取り込んで、パイロット噴射弁制御装置38、ガス噴射弁制御装置39、油圧シリンダ制御装置40を制御するようになっている。また、空燃比制御装置41は、各弁13、28、29に取り付けられたモータ42、43、44のオン、オフを制御するようになっている。
【0037】
本実施の形態の予混合式2ストローク機関の主要部である図1のA部の構成は、図2以下で後述する。
【0038】
次に、その動作を説明する。
【0039】
空気吸込み管22から吸入された空気は、過給機ブロワ21により加圧されブロワ出口管23を通り、空気冷却器24で冷却された後、掃気溜25を通り掃気ポート1からシリンダライナ3に流入する。シリンダライナ3に流入した空気とガス噴射弁2よりシリンダライナ3内に噴出されるガスにより混合気が形成される。
【0040】
そして、シリンダライナ3内を下死点から上死点に向けて移動する(圧縮行程)ピストン5により圧縮された混合気にパイロット噴射弁9より液体燃料を噴射し、着火することで混合気を燃焼(爆発)させる。この爆発により、ピストン5は上死点から下死点に向けて移動する(排気行程)。このようにして、ピストン5が1往復(2行程=2ストローク)することで、1周期の動作が終了(完結)する。
【0041】
燃焼した混合気は、排気弁棒7の開時に排気弁箱8を通り、さらに排気主管10から排気タービン入口管12を通って排気タービン11を駆動し、外部に排出される。排気タービン11は過給機ブロワ21と直結しているので、排気タービン11の駆動により過給機ブロワ21も駆動される。
【0042】
前述したように、本発明は、シリンダライナ3内の空燃比調整技術に特徴がある。以下にその詳細を説明する。
【0043】
図2は、図1のA部拡大図である。シリンダライナ3と外衣4の下方部分が断面で示されている。また、図3は、図2におけるシリンダライナ3の下方部分の外観図である。
【0044】
図2、図3に示すように、シリンダライナ3の掃気ポート1の外側(外周)に、開口部51を有する遮蔽円筒52が、上下方向に移動可能に嵌合(装備)される。遮蔽円筒52は、油圧シリンダ53によって上下駆動されるようになっており、油圧シリンダ53は、保持器54によってシリンダライナ3に取り付けられている。
【0045】
ここで、遮蔽円筒52が下端位置にあるときは、シリンダライナ3の掃気ポート1と遮蔽円筒52の開口部51は全面的に重なる。言い換えると、遮蔽円筒52が下端位置にあるときは、掃気ポート1は掃気溜25に完全に露出する。
【0046】
また、油圧シリンダ53の作用により、遮蔽円筒52が上方に移動すると(図2、図3の状態)、掃気ポート1と開口部51は一部重なり、掃気ポート1の下方部は遮蔽円筒52によって遮蔽される。これにより、掃気ポート1を介してシリンダライナ3内に取り込まれる空気量を低減することができる。即ち、掃気ポート1の実開口面積を変化させることで、シリンダライナ3内に取り込まれる空気量を調整し、空燃比を制御することができる。即ち、遮蔽円筒52は、掃気ポート1の開度を調整する機能を有する。
【0047】
具体的には、図1で説明したように、空燃比制御装置41は、空燃比センサ33、過給空気圧センサ34、パルスセンサ36及び負荷検出センサ37からの検出信号を取り込んで、油圧シリンダ制御装置40を制御する。油圧シリンダ53は、油圧シリンダ制御装置40によって駆動制御されるので、空燃比制御装置41の判断により、油圧シリンダ53を駆動制御し、遮蔽円筒52を上下して掃気ポート1の実開口面積を変化させ、常に適正な空燃比制御を行うことができる。
【0048】
さらに詳細に空燃比制御装置41の機能を説明する。空燃比センサ33の検出信号により空気量が多いと空燃比制御装置41が判断した場合、空燃比制御装置41は、油圧シリンダ制御装置40に指令して遮蔽円筒52を上昇させ、掃気ポート1の開口面積を小さくする。それにより、シリンダライナ3内に取り込まれる空気量を低減して、所定の空燃比にすることができる。
【0049】
また、掃気溜25より供給される空気量が、機関定格出力で必要とされる空気量よりも十分多くなるように、排気タービン11と過給機ブロワ21をマッチングしておく。そして、空燃比制御装置41は、通常運転では、排気バイパス弁13やバイパス弁28またはバイパス弁29を開き、必要な空気量となるように減少して掃気溜25に空気を供給する。
【0050】
空燃比制御装置41は、負荷検出センサ37で得られた負荷に対応するLNGを、ガス噴射弁制御装置39を用いてガス噴射弁2に供給する。しかし、このLNG量に対応する空気量が不足する場合は、空燃比制御装置41は、排気バイパス弁13やバイパス弁28またはバイパス弁29を閉じ、遮蔽円筒52を下端位置に戻し、掃気ポート1を全開にして、掃気溜25に十分な空気を供給する。
【0051】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る予混合式2ストローク機関のシリンダライナ下方部の断面図(図2に相当)である。また、図5は、図4のB部分の拡大図、図6は、図5の上視図、図7は、図4のC−C線断面上視図、図8は、駆動ピンの移動軌跡とそれに伴う遮蔽板の回転の様子を示す模式図である。
【0052】
シリンダライナ3の外側に、掃気ポート1を開閉する遮蔽板61が、水平方向に回転可能に取り付けられる。具体的には、図5に示すように、シリンダライナ3の外側には、掃気ポート1の上下端近傍に保持環62(62a、62b)が固定されており、遮蔽板61の上下の固定側端部に形成されたヒンジピン63(63a、63b)がこの保持環62に係合されている。
【0053】
また、保持環62の外周には、駆動環64が回転自在に嵌合されており、その駆動溝65に、遮蔽板61の回転側上端に形成された駆動ピン66が嵌合されている(図8参照)。駆動環64は、油圧シリンダ53により保持環62の周囲を所定の範囲内で回転するようになっている(図6参照)。
【0054】
油圧シリンダ53の作用により駆動環64が回転すると、駆動溝65に嵌合する駆動ピン66の位置が変わり、その結果、遮蔽板61がヒンジピン63を中心として回転し、掃気ポート1の開口面積を変化させる。これにより、掃気ポート1に取り込まれる空気量を制御することができる。この空燃比制御は、第1の実施の形態と同様に、空燃比制御装置41の判断によってなされる。
【0055】
尚、本発明の予混合式2ストローク機関では、燃料としてガスを使用する場合について説明したが、燃料として油を使用することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 掃気ポート
2 ガス噴射弁
3 シリンダライナ
5 ピストン
7 排気弁棒
10 排気主管
11 排気タービン
12 排気タービン入口管
13 排気バイパス弁
14 排気バイパス管
15 排気出口管
22 空気吸込み管
23 ブロワ出口管
26、27 空気バイパス管
28、29 バイパス弁
33 空燃比センサ
41 空燃比制御装置
52 遮蔽円筒
61 遮蔽板



【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の空気を取り入れる掃気開口とその上部の燃料噴射弁を有するシリンダと、前記シリンダ内を往復動するピストンとを備え、前記ピストンが下死点から上死点に移動して前記掃気開口から取り入れられた空気と前記燃料噴射弁から噴射された燃料からなる混合気を圧縮する圧縮行程と、前記混合気の着火による爆発力で前記ピストンが上死点から下死点に移動して前記上死点側に取り付けられる排気弁から排気を行う排気行程との2行程で1周期を完結する予混合式2ストローク機関であって、
前記掃気開口に対面する位置の前記シリンダの外周に、前記掃気開口の開度を調整する遮蔽円筒を上下方向に移動可能に嵌合して配置したことを特徴とする予混合式2ストローク機関。
【請求項2】
外部の空気を取り入れる掃気開口とその上部の燃料噴射弁を有するシリンダと、前記シリンダ内を往復動するピストンとを備え、前記ピストンが下死点から上死点に移動して前記掃気開口から取り入れられた空気と前記燃料噴射弁から噴射された燃料からなる混合気を圧縮する圧縮行程と、前記混合気の着火による爆発力で前記ピストンが上死点から下死点に移動して前記上死点側に取り付けられる排気弁から排気を行う排気行程との2行程で1周期を完結する予混合式2ストローク機関であって、
前記掃気開口に対面する位置の前記シリンダの外周に、前記掃気開口の開度を調整する遮蔽板を水平方向に回転可能に取り付けたことを特徴とする予混合式2ストローク機関。
【請求項3】
燃焼した前記混合気を排気させる排気主管と、排気タービン入口管により前記排気主管と接続される排気タービンと、前記排気タービンと連結され、外部の空気を吸込む空気吸込み管と圧縮空気を送り出すブロワ出口管と燃焼した前記混合気を外部に排出する排気出口管を有する過給機ブロワと、前記排気タービン入口管と前記排気出口管の間に接続され排気バイパス弁を有する排気バイパス管と、前記ブロワ出口管の前記圧縮空気を前記排気タービン側に逃がす機能を有し第1のバイパス弁を有する第1の空気バイパス管と、前記ブロワ出口管の前記圧縮空気を前記空気吸込み管側に逃がす機能を有し第2のバイパス弁を有する第2の空気バイパス管とを備えることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の予混合式2ストローク機関。
【請求項4】
前記遮蔽円筒または前記遮蔽板を駆動制御して前記掃気開口の開度を調整する空燃比制御装置を備えることを特徴とする請求項3記載の予混合式2ストローク機関。
【請求項5】
前記空燃比制御装置は、少なくとも前記排気主管の近傍の空燃比センサの検出信号を取り込むことを特徴とする請求項4記載の予混合式2ストローク機関。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−219727(P2012−219727A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87134(P2011−87134)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(591083406)株式会社ディーゼルユナイテッド (30)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)